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丹下左膳餘話 百萬兩の壺(1935)

丹下左膳餘話 百萬両の壺

メディア映画
上映時間92分
製作国日本
初公開年月1935/06/15
ジャンル時代劇/ドラマ/コメディ
丹下左膳餘話 百萬兩の壺 [DVD]
参考価格:¥ 5,076
価格:¥ 14,800
USED価格:¥ 2,100
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【クレジット】
監督:山中貞雄
原作:林不忘
脚本:三村伸太郎
潤色:三神三太郎
撮影:安本淳
編集:福田利三郎
音楽:西梧郎
助監督:萩原遼
出演:大河内傳次郎丹下左膳
喜代三お藤
沢村国太郎柳生源三郎
山本礼三郎興吉
鬼頭善一郎高大之進
阪東勝太郎柳生対馬守
磯川勝彦峰丹波
清川荘司七兵衛
高勢実乗茂十
鳥羽陽之助当八
宗春太郎ちょい安
花井蘭子荻野
伊村理江子矢場の女
達美心子矢場の女
深水藤子お久
【解説】
 わずか28歳の若さで戦死してしまった早世の天才映画監督・山中貞雄の現存する3本のうちの1本。それまでチャンバラものとして人気のあった丹下左膳を主人公に、擬似家族が織り成すホームドラマ風人情喜劇が展開する。
 とある小藩に伝わるこけ猿の壺。実はこの壺に先祖が埋め隠した百万両のありかが示されていることが判明する。だが、壺は先日江戸の道場屋敷に婿入りした弟・源三郎が知らずに持って行ってしまっていた。やがて、その秘密は江戸の源三郎にも知れるところとなるが、一足遅く壺は道具屋に売り渡されてしまっていた。ほどなく壺は道具屋の隣に住む安吉の金魚入れとなる。しかしその夜、安吉の父親は行きつけの遊技場である矢場で、チンピラとの諍いから刺し殺されてしまう。矢場で用心棒の傍ら居候をしている左膳と矢場の女将・お藤は男の家を見つけるが、そこで、安吉が母親を早くに亡くし父親との二人きりだったことを知る。仕方なく二人は安吉を預かることにし、安吉が大事にしている金魚を入れた壺とともにお藤の矢場へと連れ帰るのだった。一方、源三郎は壺を探して市中を回るが、そこでたまたま目にした矢場で働く娘に軽い浮気心を抱く。以来養子の身である源三郎は壺を探すと称しては矢場へ入り浸り羽を伸ばすようになり、いつしか安吉、左膳とも親しくなるのだったが……。
 大胆にして絶妙な省略を多用し笑いとテンポを巧みに生み出すあたり、まるで上質なハリウッド・コメディを観ているかのような錯覚を覚える(もちろん監督がそれらの作品を念頭に本作をつくったのはいうまでもない)。そしてなによりも驚くのはその的確にして奥行き深い人物造形で、矢場の女将と左膳の、照れ屋で意地っ張りでしかも口は悪いが根は優しい、そんな江戸っ子気質をみごとに描き出している。また、源三郎にしても城主の弟で今は養子の身という居心地の悪さと、それでいてどこかのん気で次男坊のお気楽さがちょっとしたセリフや行動からさりげなく表わされていて、その的確で無駄の無い演出に恐れ入る。それにしても、この時代に日本でもこれだけ高い完成度を誇る映画が作られていたことに今さらながら驚くとともに、何よりその監督のあまりにも早すぎる死が無念でならない。
<allcinema>
評価
【関連作品】
丹下左膳 第一篇(1933)第1作
丹下左膳 剣戟の巻(1934)第2作
丹下左膳餘話 百萬兩の壺(1935)番外編
丹下左膳 百万両の壺(2004)リメイク
【おすすめ作品】
A=無難にチョイス B=チャレンジの価値アリ C=発見があるかも!?
[001]A人情紙風船 (1937)
[002]A河内山宗俊 (1936)
[003]A流れる (1956)
[004]A浮雲 (1955)
[005]A東京物語 (1953)
[006]A幕末太陽傳 (1957)
[007]Aめし (1951)
[008]Aセリーヌとジュリーは舟でゆく (1974)
[009]A晩春 (1949)
[010]A隠し砦の三悪人 (1958)
【ユーザー評価】
投票数合計平均点
18171 9.50
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【ユーザーコメント】
投稿者:o.o投稿日:2017-07-10 04:28:41
ほとんど衝撃を受けたと言っても過言ではありません。昭和 10 年にこんなにモダンな感覚を持った明るくてユーモラスな時代劇が作られていたとは。正直、古臭くて陰気なチャンバラ劇なんだろうと思っていたのですが、根っこの根っこから違いました。こういうタイプの映画を自分は勝手に「モーツァルト型映画」と呼んでおりまして、やたらと気分を浮き立たせてくれる、何とも言えない愉悦感に満ちています。天才肌の作った映画であることは間違いありません。

この映画の面白さは、最初きつい感じで登場してきた矢場の女主人お藤と用心棒丹下左膳のコンビが、実は子供にめっぽう弱い底抜けのお人よしであることが次第に分かっていくプロセスだと思います。編集がうまく、お藤に何か頼まれる → 絶対やらねえと吠える → 結局やってるじゃん、というパターン、また、お藤が「誰があんな子供にご飯を食べさせてやるもんか!」などと冷たく啖呵を切り、次の場面では 「どう、おいしい?」などと結局可愛がってるなど、冷たい態度 → 結局優しいじゃん、というパターンの繰り返しが可笑しみを誘います。

百万両の値打ちがあるとも知らずに壺を売りに行ってしまった子供を追って家の外に出たところ、因縁のあったやくざに取り囲まれるという場面があり、その後すぐに、子供に追いついてあたふたと連れて帰るというシーンに切り替わるという箇所がありましたが、具体的な殺陣を見せられるよりも「めちゃくちゃ強い」とか、「軽く料理した」ということが伝わってくると共に、そのシリアスな場面と滑稽な場面の対比が可笑しく、うまいなあと思います。丹下左膳が、父親が死んだことを子供に伝えようとして、どうしても言い出せず、目を泳がせておろおろするシーンが微笑ましいです。

あえて欠点を挙げれば、間違ってくず屋に売られてしまった「百万両の壺」を巡るストーリー テリングはそれほどうまいとは思いませんでした。普通ならもっとその壺が次から次へと人の手に渡っていき、それに応じて様々な人物たちがてんやわんやという展開になるのでしょうが、この作品では壺が移動するのは最初だけで後はピタリと動かなくなってしまいます。でも十分面白かったから、べつにいいです。

この日本映画の傑作に出会えたことを心より嬉しく思う次第です。


[参考情報: 昭和 10 年のトピックス]

- 美濃部達吉の天皇機関説問題化

- 衆議院にて国体明徴決議案可決

- 永田鉄山軍務局長刺殺 (相沢事件)

- 北満鉄道譲渡に関する満ソ両国間の協定成立

- 満州国皇帝溥儀が来訪

- 石油輸入量の 6 か月貯蔵義務例公布

- 東北凶作地における娘の身売りが問題化

- 第一回芥川賞および直木賞発表
投稿者:noir fleak投稿日:2014-09-20 06:32:28
作品を見たが、まさに希代の名優というべきだろう。容姿、セリフの言い回し、太刀さばきだけでなく走るのも歩くのも全てが絵になっている。例えは変だが、何時どんな時でも絵になるルイアームストロングと似ている。それと同じくすごいのが喜代三という女優。本当に芸者だったそうでどうりで歌もうまいし、伝次郎に堂々と張り合っている。Wikiに詳細な伝記が出ているが、立派な人生を送った人のようだ。
沢村国太郎ののんき侍もおかしい。この人が長門弘之・津川雅彦のお父さんだったのか! 
話も実に面白い。たしかに30年代アメリカ映画のコメディータッチだ。
最後のほうで、ヤクザとの決闘が全部カットされているのはアメリカ進駐軍の指示というのは本当だろうか?? あまりにもリアルでばったばったと人が切られたのだろうか? それも見たいものだ。
「人情紙風船」と本作。山中貞夫という人が長生きしていたら、どこまで映画は変わっただろうか。
傑作中の傑作。
投稿者:ノブ投稿日:2014-02-09 10:20:27
【ネタバレ注意】

「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」(監督:山中貞雄 92分)
話の内容は、百万両の壺をめぐる騒動。
大木のあおり(仰角)のショットが良かった。
道場主と奥さんが、百万両の壺を「汚い」とか「三文の値打ちもない」とか言ってぞんざいに扱うのが基本的な演出だった。
矢場の的が垂れ下がって、的に当たると、上からデカイ人形みたいなのが落ちてきてぶら下がるというシーンが良かった(最後もそのショットで終わる)。
大河内傳次郎のダミ声が良かった。
女主人の三味線弾きながらの歌が粋だった。
矢場での客同士のケンカを、左膳が抜刀して、ケンカをおさめるシーンが良かった。
口では「やらない」と強く否定しているのに、場面が変わるとそれをやっているという演出がコミカルだった(左膳が夜道に客を送っていったり、女主人が子供に竹馬買ってやったり、子供がいじめっこ達からいじめられてるのを助けたり)。
女主人が「あんな汚い子供にご飯なんか食べさせるか」と悪態ついていたのに、次の場面では矢場で子供がご飯を食べているショットに変わるのがコミカルだった。
女主人が「子供は嫌いだから追い出せ」と悪態をついていたのに、次の場面では、矢場で子供がお客の道場主にお茶を出すほど矢場になじみ、女店員が「女将が子供を可愛がってる」と道場主に言っていたのが良かった。
景品の大小のだるまが並んで置いてあるショットがボク的には良かった。
左膳・子供・道場主・女店員の4人での、オシャベリしながらの金魚釣りが楽しそうだった。
道場主がクズ屋の家から色んな物を外に投げ出して、色んな物が外に散乱しているシーンが良かった(その後クズ屋がせっかく片付けたのに、別の壺を探す侍達が又ひっちゃかめっちゃかにして去っていくのが、基本的でコミカルだった)。
道場主が蹴った小さなだるまが転がって、おきあがりこぼしのように起き上がるシーンがボク的には良かった。
左膳は子供を仇討ちの為に「道場」に通わすと主張し、女主人は学問の為に「寺子屋」に通わすと主張して言い争うのがコミカルだった(言い争いが高じて三味線が投げつけられて壊れるのも良かった)。
子供が小判をめんこの代わりにして遊んでいて、めんこで勝って友達の大判(大金)をとったのを返しに行った時に、通行人に盗まれるというのが、映画全体の話を面白くした。
左膳と女主人が子供の事で言い争っているのを子供が聞いて、書置きを残して家を出て行ってしまう子供が切なかった(時間の経過を示す小道具の餅の使い方も良かった)
出て行った子供を必死で走り回って捜す左膳と女主人が良かった。
左膳が賭場で金儲けしようとして、負けて唸るのがコミカルだった。
賭場の帰りで、子供の父親を殺したヤクザを左膳が一瞬で叩き斬る殺陣が迫力があった(斬られて唸っている相手を見て、子供が「なぜあのおじちゃん唸ってるの?」と聞いたら、左膳が「賭けで負けたんだろう」と切り返すやり取りも無茶苦茶カッコ良かった)。
夜道場を抜け出そうとして、泥棒に間違われて、門弟達にボコボコにされる道場主がコミカルだった。
左膳の道場破りのシーンは、スピードと迫力のある殺陣で面白かった(片手で木刀を握って、相手の懐にジャンプして飛び込んで切って、相手を次々と倒す)。
道場主に左膳がわざと負けてやるのがコミカルだった。
子供が百万両の壺を行列に並んで売ってしまう前に左膳が止めようとした時に、ヤクザ達が左膳に復讐しに来て、アッという間に左膳がそのヤクザ達を倒し(その立ち回りは戦後のGHQの検閲でカットされていてないのがとても残念)、子供が壺を売る寸前で左膳が走ってきて壺を売るのを止めさせるのはハラハラした。
百万両の壺が見つかっても、自由に女遊びが出来るのを優先して、百万両の壺をほったらかしにしておく道場主が粋だった。
最後左膳が手で投げた矢が小さな的に当たり、デカイ人形みたいなのが落ちてくるシーンで終わるラストも良かった
全般的に
全編コミカルで、人情味もあり、少ないが左膳の独特の殺陣も楽しめて、とても面白い。特に口では冷たい事を言うけれど、やる事はとても優しい左膳と女主人がとても良かった。
キャストも大河内傳次郎は殺陣も面白いし声もダミ声で無茶苦茶個性がありとても魅力的だったし、道場主の俳優は全く強くなく人がいいだけというキャラに上手くハマっていたし、女主人の俳優もキップが良くて冷たそうだけど実はとても優しいというキャラを上手く演じていてとても良かった。
最後の左膳とヤクザ達との対決がカットされているのはとても残念だったが、全編コミカルで最初から最後まで楽しい、粋でいなせな時代劇の傑作。http://mamaduke.at.webry.info/

投稿者:uptail投稿日:2013-11-06 11:15:50
山中貞雄
投稿者:呑気呆亭投稿日:2012-06-21 23:48:02
ハリウッド製のサイレント喜劇のギャグの真髄は「繰り返し」にあると喝破した山中は、これでもかとばかりにギャグを連発するのだが、挿入される音楽と、左膳とお藤の絶妙な拍子の会話のやりとりで、その度に分っていても笑わされてしまうのだ。
すべては省略の妙と映像モンタ−ジュのテンポと、挿入される「♪とうりゃんせ」の音楽と、その音楽に乗って所作するチャンバラスタ−の大河内伝次郎の軽妙な動きの意外性と、お藤を演ずる喜代三の何とも言えぬエロキュ−ションの手柄なのだと言えるだろう。もちろんチョビ安の可愛らしさと、柳生源三郎を演ずる沢村国太郎とその若妻の花井蘭子のホ−ムドラマ的な会話の面白さも、この映画をありきたりな作品に終らせなかった重要な要因でもあったのだが。http://d.hatena.ne.jp/nanjakuteituisho/
投稿者:ルミちゃん投稿日:2012-03-29 15:37:31
【ネタバレ注意】

一攫千金
誰でもお金が欲しい、沢山欲しいのですが.
元はと言えば、百万両の壷.欲に目が暗み何としても壷を取り戻したい大名が、どんな壷でも一両で買うという.そうした経緯から左膳は1両を手にするのだけど、その一両を、左膳は、めんこの代わりに、子供にやってしまった.
子供は1両を元手にして、めんこで勝って、60両を稼いでしまい、お藤は『なんてことをするのだ、返しておいで』と子供をしかる.
そして、お金を返しに行く途中で、子供はお金を盗まれてしまい、困り果てた左膳とお藤は喧嘩になり、子供は家出をしてしまうことになる.
不幸の始まりは、百万両の壷.と、思えるのだけど、それは違うらしい.確かに左膳が子供に1両を渡してしまった、子供に不釣り合いの大金を渡したことは悪いのだけど、一両位のお金ならば、左膳もお藤も困ることがなかったはず.
左膳は博打でお金を作ることにして、子供を連れて賭場に行くけれど、負けてしまう.
翌日、左膳は『十両位にはなるだろう』そう言って道場破りに出かけていった.全部は無理だけど、いくらかでも稼いでこよう、左膳は、地道に働いてお金を稼ぐことにしたらしい.こう考えると、博打でお金を稼ぐことが間違っていると言う、あまりにも当然のことが見えてくる.
子供を博打場に連れて行くことが良いことがどうか、誰でもふと疑問に感じたはず.お藤が子供を叱ったように、博打で大金を稼いだことに、間違いがあった.それは、大人でも、子供でも、大名でも、庶民でも、同じこと.
子供が60両稼いでしまった、つまりは、必要としない大金を手に入れた所に間違いがあった.大名にしても、百万両もの大金は必要としない.必要としない大金を、働かないで手に入れようとする、それが間違っていると言うことなのでしょう.
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敵討ち
人殺しが良いことかどうかは、言うまでもないことなのに、敵討ちを良いことのように考えてしまいがち.この映画は単純明瞭、『見ちゃいけないぞ.目をつぶって十数えろ』.『お前の父親の敵だ、良く見ておけ』とは、言わなかったのです.
人殺しは悪いことである.だから、子供を博打に連れていった悪い行為に絡めて描いたのが、この映画である、と、しておきましょう.

投稿者:クリモフ投稿日:2010-03-15 02:25:00
戦前の天才、山中貞雄初鑑賞ですが、もうびっくりするほど無駄がない。90分ともともと長くない時間ですが、ぶっちゃけ半分くらいに感じました。優れた映画や音楽って「古さがない」と形容されますが、その表現がバッチリ。「幕末太陽傳」と同じように、こんな映画が日本にあったのかぁ、という感動がありました。
百万両の価値がある壷をめぐっての珍騒動ですが、よくよく考えると結構話が入り組んでいてややこしい(ガイ・リッチーっぽい感じ?)。ところが、それを感じさせないのは凄い。遊び心があっても、それをさらりと見せてしまうセンスが素晴らしいです。
この時代の俳優さんには詳しくないんですが、矢屋の女将さんが実に良かった。その他も、みんな自然で驚き。それと対照的な丹下左膳のデフォルメ演技も何故か浮かない、魅力的!
いやぁ、こういうのを面白い映画っていうんだろうなぁ。印象的なところはいっぱいあるんですが、まぁいいか、面白いってだけで。満足であります。
投稿者:にゃんにゃん投稿日:2010-02-24 02:21:18
面白すぎる
投稿者:QUNIO投稿日:2009-11-23 07:32:36
黒澤明の『椿三十郎』と同じく時代劇アクションと笑いが融合してほんわかした映画になった。大河内傳次郎による殺陣も迫力あり。出来ればもっと見たかった。

ただ、極力ヒューマニズムに偏った映画なので、今見ると若干嘘っぽいカナ?と思ってしまう部分もある。面白いことは確かなのだが、娯楽は娯楽に過ぎずそれ以上でも以下でもないので、崇めるほどの傑作かと言われると「ウ〜ム」で、山中貞雄監督のファンには申し訳ないが、世評が絶対だと過信するのはよくないんじゃないかと。大河内傳次郎なら『小原庄助さん』のほうが好きだし(俺の中では)。

山中監督の作品は群像劇が多く、アットホームな印象でちょうど小津と黒澤の中間みたいな雰囲気があるね。
投稿者:いまそのとき投稿日:2009-11-15 15:59:54
これまで見た時代劇の中では断然いいね。軽妙でユーモアたっぷり。江戸市井のセットがよくできてます。山中貞雄3本すべて傑作ですが、その中でも一番いいね。活劇調のテンポ。喜代三、大河内伝次郎の掛け合いも楽しい。沢村国太郎の奥方演じた花井蘭子はなんと17才。成熟していたんですねぇ。肩の力抜いて作った感じですが、面白い娯楽作品です。浮気心と百万両を天秤にかけて一笑したラストが秀逸です。
投稿者:黒津 明二郎投稿日:2009-11-14 15:44:58
前半は快調に飛ばすが、後半はいくぶん失速するのが惜しい、ライトコメディ風時代劇。それでも、山中の才気を窺わせるには十分の演出を堪能させてくれよう。
当時、日活は天下の‘ウェスタンエレクトリック‘謹製のトーキーを導入していたわけが、それを誇示すべく、うるさいくらい(笑)にBGMを流すのはご愛嬌か。
演技陣。大河内はさすがにうまいが沢村の方が儲け役、喜代三も健闘。
投稿者:アキ投稿日:2008-02-17 22:33:27
ゆったりと時間が流れる。なにも急ぐ必要はない。ちょっと生活を楽しみながら生きていければ。百万両もどうということはない。騒ぎたいやつらに騒がせておけ。窮屈で肩身の狭い養子としての道場主などをやらされているよりも、金魚釣りや的あての方が楽しい。女性はしっかりしていて、だらしない男たちを牛耳っている。それで平和でおさまりがよいのだ。時に血の雨も降る。やむを得ず降りかかる火の粉を払うのだから仕方がないのだ。人情と小歌と遊び、これさえあればよいのだ。
投稿者:ちゃぷりん投稿日:2007-12-24 18:10:57
この映画を観てると「幕末太陽傳」と「カリオストロの城」を思い起こさせる。何十年経っても映画ファンの心を掴む魅力を持った作品。
投稿者:さち投稿日:2006-04-11 05:34:38
最高
投稿者:Ki-Adi-Mundi投稿日:2005-11-04 23:22:35
【ネタバレ注意】

おもしろい作品ですね。とても丁寧に作られていると思うし、キャラクター造形がとても良いです。20代でこれほどの作品を作るとは・・。
道場破りのくだりは最高ですね。その直前の、壷を間にはさんで安とお藤が同じポーズで座っているカットも好きです。
「金輪際送ったりなんかしねえぞ」といいながら次のカットではしっかりと七兵衛を送っている、あの笑いの話法(DVDの解説では「逆手の話術」とある。あのワイプ処理は可笑しさをさらに引き立てていますね。)は、ちょっと多用し過ぎかな。おもしろいのだけれど竹馬のあたりで飽きてきました。

それと、オチがどうしても気になります。
てっきり、最後は壷を失うことになり、でも安坊は無事だし、浮気も出来るからいいじゃん的な感じで終わるのかと思いました。が、百萬両丸儲けかよ!
すくなくとも、壷の謎をめぐってもう一波乱あるのだと思っていましたが。

「河内山宗俊」のラストの立ち回りで見られたような美しさも欠けています。
それは撮影者が違っていることも影響しているのかもしれませんが(序盤で、映像的に違和感を感じたのですが、これが理由か?)。
これはもう趣味の問題ですが、どちらかというと、私は「河内山」の方が好きですね。

投稿者:投稿日:2005-09-25 22:22:34
こんな楽しく、微笑ましい時代劇は初めて。
名作といえばとかく堅苦しいイメージが付きますがこの作品は本当に面白い。かなり笑えるので、時代劇は苦手という人にもオススメ。
山中貞雄監督がもっと長生きしていたら・・・と思う。
投稿者:浄瑠璃2投稿日:2005-05-25 18:19:28
場面の省略が生む快感! スリル溢れる編集の見事さ、語り口のあまりの素晴らしさに、あれだけエンタテインメントに徹した黒澤明が凡人に見えます。小津の『生まれてはみたけれど』と並ぶ、サイレントの最高傑作です。
投稿者:Ikeda投稿日:2005-05-05 15:17:37
山中貞雄のセンスが良く解る非常に楽しい映画です。壺を探す人達の行動がパラレルに進行し、次々に思いがけない展開になります。それに「百万両、百万両」と騒いでいる割にお金には、それほど執着していない雰囲気がこの映画の良い所です。
大河内傳次郎は丹下左膳をコミカルに演じていますが、道場破りのシーンでの型は流石ですし、沢村国太郎もお坊ちゃん師範を、うまく演じています。射的屋の女将は歌手の喜代三がなっていて、「ションガイナ」と小唄も唄いますが、この人の映画出演は珍しいし、鹿児島訛が面白いです。それに屑屋で高勢実乗が鳥羽陽之助と一緒に出ているのも楽しいです。
この映画で一番面白かったのは大河内と喜代三のやりとりでした。喜代三が「こんな汚い子は嫌だ」と言いながら孤児の宗春太郎を育てる事になるし、大河内が子供のように「ヤダイ、ヤダイ」と言いながら、宗が心配で見に行くあたりに人情味が出ています。更に沢村が、お内儀の花井蘭子に空威張りをするけれども結局従ってしまうのも、皮肉たっぷりに女の強さを描いていますし、お神籤を引いて望遠鏡で覗くシーンも面白かったです。
私はこの原作は読んでいませんが、原作者の林不忘は「鞍馬天狗」や「丹下左膳」で有名な作家でした。ただ、この映画ははあまりに内容が違うので、不忘からクレームが付き、題名に「余話」が追加されたそうです。残念なことに不忘はこの映画が公開されて間もなく、36才で急死してしまいました。
投稿者:篭瀬山投稿日:2005-05-04 20:46:18
 特別なことをしてるようには見えないんですよ。昭和10(’35)年という年は、今(70年後)よりも江戸時代(67年前まで)の方が近い。この頃の邦画を他にあまり見たことないので比べようもないのですが、私が見た時代劇の中で最も古く(つまりその”時代”に最も近く)、その分、役者のちょっとした仕草や室内外の佇まいにおける「江戸」の再現力は圧倒的に感じます。当今の時代劇が懸命に模倣しようとする原型が、普通に残っているという感じ。

 にもかかわらず、なんです。滅法面白い。なんの予備知識もなしに見て、普通に分かる面白さがある。例えば源三郎(沢村国太郎)が壷を探しに出掛けるとき、「江戸は広い。屑屋は多い。10年かかるか、20年かかるか。まるで敵討ちだ」こんな台詞を聞こえよがしに繰り返すので、そのうち可笑しくなってくるんですが、これってこの頃からすでに<いまどきこんな言い方しないよねえ>というおかしみをベースに構成された笑いだったんじゃないかと思うんです。だから繰り返す(だって”敵討ち”ですよ)。

 また、安坊(宗春太郎)が台詞を棒読みしてたり、大河内左膳の台詞回しに至っては、記憶力の悪い人が台本を必死に思い出しながら喋ってる、ように見える(/にしか見えない)ときがあります。それでも面白いというのは、笑いを状況から作り出しているからだろうと。そして、この状況というものが、独創的というよりは、落語的・講談的世界で形成された、定石的なものに思えるんですね。特別に見えないというのはそういう意味です。

 山中貞雄はこの状況の処理が並外れてうまく、何と言うか、この演出の手慣れた感が彼の最大の特徴ではないかという気がします(1作見ただけで決めつけるのもなんですが)。弱冠26歳になぜこんなことができるのか、これが何を意味するのか、私の理解を超えています(簡単に言やあ、天才です)。

 もちろん山中の他作品も見たくなりました(次は『河内山宗俊』を見ます)が、この時代に普通に存在した他の作品群も見られたらいいなと思いました。

 ちなみに「こけ猿」とは、壷の横に取っ手のようについてた彫刻のことで、ずーっと横からしか映らないのが望遠鏡で覗くシーンで初めて正面から映って分かるんですけど、おどけた猿の顔が彫られてました。「こけ猿」の「こけ」ってのはまだ調べてませんが、たぶんこの猿の本名だと思います(   ・・・嘘ですよ)。8
投稿者:SoH投稿日:2005-05-04 06:48:35
以前、友達数人、皆が皆「悲しいけど、粋だよね。演出のセンスもすごくいい。二十代であんな映画撮れるだ」と賞賛した「人情紙風船」を監督した山中貞雄氏の、現存する貴重な監督作の内の一本。あらら、いつの間にかレンタルDVD出てたのねってな感じで、「丹下左膳」シリーズ一本も観てないくせに、さっそく借りてきて拝見。う〜ん、やっぱり粋でありながら洒脱。役者さんの喋りのスピードはまったりとしていても、編集やその会話のやりとりにテンポがある(ローアングル、引きのカメラポジションと共に、この辺も小津安二郎に影響与えてるのかな)。それが妙に心地いい。物語の省略も大胆だから、「人情紙風船」の時も感じたけど、ゆったりしながらテンポがいいという不思議な感覚が楽しめた。あと、笑える。ベタなことやってても妙に笑える。屑屋のいかにも阿呆そうな奴なんて、最初、出てきただけで「ぷっ」と吹いちゃったじゃないか。キャラが皆、可愛げがあって面白かった。それに役者さんの演技も味がある。時に棒読みな人もいるけれど(笑)、それがまた可愛く映る。ああ、そういえば黒澤明の映画以外で観るのは初めてな大河内傳次郎は、坂東妻三郎と通ずるような人情味を感じさせる役柄をこれまた人情味たっぷりに演じてて、スター性に溢れてる。いいねぇ。立ち振る舞いも含めて、ああいうのを「粋」っていうんだろうな。大衆に愛されるスターってやつ。殺された父親(七兵衛)のことを息子の安に言い出せないでいるその姿は、ホントにいい。終盤、道場で道場主と対決しながら行われる会話もユニークだった。それから脚本もなかなか巧い。中盤になると「壺を巡って…」という展開より、「キャラの交流」がメインになっちゃうから、ちとダレたんだけど、その交流も終盤にバッチリ活きてくる。セリフ回しも粋で、オチは見事に決まってるよ。あのラスト、実に微笑ましくて好きだ。山中貞雄さんの演出も巧みだった。「画面に写さないことで煽る面白さ」っていうのを今回は実践してる模様(例えば七兵衛がボコられる時、そのボコる相手と出会う瞬間を隠す。それが緊張感を煽る。「犬の遠吠え」がその時に入るのも巧い)。安の前で行われる左膳とゴロツキの対決も好きだ。ここでの過度なカット割、そして安が「十」まで数えたら一気にロングショットになるカメラは、緊張感とかっこよさを見事に描き出してました。あ、ただ、あの省略を多用した笑いは個人的には多いと感じたよ(「竹馬なんて買うもんじゃありません」といった次のカットで、ねだった子供が竹馬の練習をしてたりするやつね)。微笑ましいことに違いはないけれど、「笑い」という点だけでいえばさすがに飽きがきちゃう。それと、セリフによる繰り返しの笑いも多い。あの「十年かかるか二十年かかるか…」や、「この角から向こうへ曲がって…」がそれ。あそこまで多用されると、個人的には段々笑えなくなってくる。うん、でもまあ、この映画も面白かったよ。音楽もほのぼのしててマル。それと「幻の場面」はあった方が、終盤のタイムアップサスペンスがより緊迫したものになったと思う。完全に復元されてなくて残念。
投稿者:yoshi1900ololol投稿日:2005-02-01 06:52:27
【ネタバレ注意】

人情紙風船のオチは哀しいのに対し、これのオチは痛快。

↓以下オチですので


まさか、百万両を手にするより、弓をひいて遊ぶほうを選択するとは。

また、上記解説にもあるが、大胆な省略が心地よい。

幻の場面は無しでも十分楽しめる。

投稿者:黒美君彦投稿日:2004-09-24 23:42:52
28歳10ヶ月という若さで戦病死した山中貞雄。
伝説の天才監督として知られる彼の作品は、現在3本しか現存が確認されていない。そのうちの一本がこの作品で、山中貞雄が25歳で監督したものだ。
それにしても、この年齢でどうしてここまで楽しく、大人向きの作品が作れるのかとただただ驚くばかりだ。
大河内傳次郎演じる丹下左膳と、お藤(喜代三)のやりとりだけでも軽妙洒脱。そこに情けない城主の弟、柳生源三郎(沢村国太郎・・・長門裕之・津川雅彦の父親)の情けない風情が加わって、とにかく愉快爽快。ユーモアと温かさに溢れたこの作品は今でも十分通じる面白さに溢れている。
また、すでに指摘されていることだが、小道具の使い方が実に上手い。時折挿入される「小道具」が、シーンの中で人物の心理や状況を饒舌に語る。
ディテールを細部に至るまで描き尽くし、説明的な台詞を排除したこの一点をとっても、山中貞雄の天才ぶりが窺われる。

黒澤明と同世代(山中の方が一歳年上)であることを考えると、その後山中貞雄によって作られる「はず」であった戦後の作品群の喪失が何より哀しい。
投稿者:parole投稿日:2004-09-22 14:49:07
大河内傳次郎の殺陣の凄さ、素晴らしさには驚愕を通り越して畏怖さえ感じる。
フルで観ることができるのは剣道場での他流試合の部分だけだが、
道場(画面)狭しと跳ね回る姿には口をあんぐりせざるを得ないし、
今回のDVDでごく一部だけ復活した殺陣のシーンなどは
ほんの数秒だけでもその素晴らしさを震撼を持って感じることができる。
もちろんこれは大河内傳次郎だけがなし得たものではなく、
全編を通じて端正きわまりない画面が形作られているからこそ感じられることであり、
まさに山中貞雄の天才たる所以を余すところなく証明していると言える。

「人情紙風船」と甲乙付けがたい作品だと思うが、
個人的には上記の殺陣の要素を含め、笑いや涙など、
様々な要素が複雑かつ単純に詰まっている「百萬兩の壺」の方が好きだ。
投稿者:笛吹童子投稿日:2004-05-09 21:35:36
DVD−BOXが届いて、やっと念願の本作品を観ることができました。
1度目は、いささか退屈かと思いましたが、2度・3度と観るにつれて、
小道具の使い方の巧みさと省略のうまさに感激しました。
また、丹下左膳と女主人のやりとりから生じるユーモアも十分感じることができました。
丹下左膳をパロディ化した傑作コメディとして、私のベスト3の一つになりました。
それにしても、この天才監督が、28歳で戦病死したことは、痛ましいかぎりです。
【ソフト】
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