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兄とその妹(1939)

メディア映画
上映時間104分
製作国日本
初公開年月1939/04/01
ジャンルドラマ

【解説】
 島津保次郎が監督と脚本を担当し、島津の代表作といわれる作品。松竹で監督した最後の作品でもある。いわゆる「小市民映画」のひとつで、火鉢でトーストを焼くシーンなどが登場する。1956年に再映画化された。
 サラリーマンの間宮敬介は妻のあき子、妹の文子との三人暮らし。同じ趣味を持つことから毎晩会社の専務の碁の相手をしており、一部の同僚からは重役にへつらって昇進したなどと陰口をたたかれる。他の会社に勤める文子は、出入りの実業家から結婚を申し込まれるが、その実業家が敬介の会社の専務の甥だったことから、またもや同僚からやっかみを受けてしまうことに。
<allcinema>
【ユーザー評価】
投票数合計平均点
14 4.00
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【ユーザーコメント】
投稿者:Katsumi_Egi投稿日:2012-10-27 07:04:42
【ネタバレ注意】

 かなり技巧的な演出で、プロットの繰り出し方もスマート。小津の『戸田家の兄妹』(1941年)と同レベルとまで云ってしまえば云い過ぎだが、これも非常に良く出来た映画だ。例えば冒頭から佐分利の囲碁好きが語られるが、囲碁のシーンは中盤まで出ない。しかし坂本武との囲碁のシーンでは茶目っ気たっぷりに死活のシミュレーション(佐分利の読み)を表現したりして実に鮮やか。またこのシーンにクロスカッティングで佐分利の妹・桑野通子の誕生会が描かれるが、桑野がバラの棘で指を刺し、佐分利の妻・三宅邦子が血を吸い出すカットに続いて佐分利と坂本が碁盤を囲んで碁石を持つ、指の触感を意識させるカットを持ってくる。そしてその後すぐに佐分利の同僚・河村黎吉が上役とお膳を囲んで飲んでいるカットが来るという3連打のマッチカットなんてこともやってのけている。

 また、人物造型の点で本作の特筆すべきは矢張り桑野通子の明澄さだ。タイトルに「その」というともすれば不要とも思える指示語が付加されている意味はこゝにある。とりあえず、衣装の趣味と堅苦しく大仰な科白を置いておくとすれば、全編に亘って最も賢い人物として描かれているのが桑野なのだ。佐分利の顛末を事前に見抜いていたのが彼女だし、箱根のピクニックのシーンで富士山を掌に乗せる、なんて演出が象徴している。クライマックスの怒涛の展開、金や肩書きよりも誇りが大事なのだ、という胸を打つ展開は桑野通子が導いていると云える。ラスト、満州に渡る兄夫婦に何の疑問もなく桑野が同道するというのは不思議な感覚も持つのだが、内地で確固たる地歩のある桑野まで大陸を志向するという部分をプロパガンダ的にとらえるのは映画を貶めることになるのだろう。「飛行機の車輪に付いた草」という可愛らしい「たとえ話」を見ても、当時としてはこれ以上無い賢明なハッピーエンディング、賢明な演出の選択だったのだと確信する。

投稿者:pumpkin投稿日:2012-04-11 20:55:06
巨匠と名のみ高くなかなか見る機会のない島津保次郎、意識してみるのは初めての桑野通子、珍しいものを見ました。
演出が結構前衛的でした。
それと高峰秀子って、先輩の桑野通子に顔も声も台詞回しも似ているのですね。
投稿者:黒津 明二郎投稿日:2012-01-21 16:03:24
戦前のアッパーミドル層の家庭と会社の情況が、克明に捉えられており、それだけでも貴重なホームドラマだ。
ストーリー的には淡々とコミカルに進んでいく感じだが、クライマックスで劇的な状況になって、ラストは中国(満州か?)へと仕事で行くことになる。この辺り、かなり急ぎ足で進むために、唐突に感じられたが、やはり当時の時勢を踏まえた展開なのだろう。
長火鉢でトーストを焼いたり、風呂を沸かすために炭を入れたり、会社に出る時は出勤簿に判子を押したりと、そうしたディテールを、島津監督は長回しでじっくりと撮っていく。タイトルみたいな兄妹愛をことさら描いているわけでもなくて、会社の出世レースや「戦前仕様」の女子会や箱根登山(当時の登山鉄道が見られる!)と盛りだくさんな内容である。
まあ、桑野のあの派手なコートはどこのキャバクラだよ?という感じだし、坂本の部長宅は社長の間違いじゃないのというくらいの豪勢な邸宅だったりと、ツッコミ所もありますが。
演技陣。佐分利・桑野・三宅の主役トリオはいずれも適役。確かに、桑野のコケテッシュな演技が目立つが、三宅の地味ながらも堅実な好アシスト振りもいい。後は、河村の老獪な同僚社員が上手いねえ〜
投稿者:いまそのとき投稿日:2012-01-19 18:01:48
実のところ、戦前戦後日本映画を支えた映画人の層の厚さに今更ながら驚いている。得てして小津、黒澤、溝口ばかりに目が行くが、いやはやこの島津保次郎も凄い人だと思う。極めて日本的なリアリズムに革新的洒脱が散りばめられている。朝食に紅茶とバタートースト。銀座でドライアイス入りのアイスクリーム。昭和14年という戦前のこの時代、ごく庶民的な家庭にこんな豊かな西洋文化が香っていたとは信じがたかった。俳優人では、特に桑野通子が素晴らしい。小津の無声映画でもモダンな女性を颯爽と演じていたが、それにもましてこの作品での輝かしさは目が点になった。物言いの清清しさ、チャーミングな表情、サラッとした気遣い。日本映画にこういう女性がいたということに誇りを持ちたい。また佐分利信、三宅邦子。どちらも戦前から活躍した名優で安心してみることが出来る。ライブラリーに是非とも加えるべき名作だと断言する。
投稿者:よしよし投稿日:2012-01-19 12:24:30
このような作品があることは、全く知りませんでした。まさに小津、成瀬にまさるもので、当時の
文化、風俗、世情等を知る上でも貴重な文化財ともいえます。感動で身震いしました。歴史に学ぶところの大なること、痛感します。
投稿者:asama投稿日:2012-01-19 10:34:55
とても70年前の映画とは思えませんね。いやー、驚きの作品でした。小津安二郎などに比べ、監督島津保次郎の評価が正しくなされていないのはとても残念です。この溢れる才気、いいセンス、巧みな映画的ドラマツルギー。最後は見ているほうも思わず興奮するほどの熱狂で、心底感動しました。島津保次郎ただものではありませんね。
投稿者:投稿日:2012-01-18 01:04:47
島津監督の才能がほとばしる名作。独創的な編集やサラリーマン社会の醜さと兄妹愛を巧みに絡めたシナリオが素晴らしい。佐分利の潔さ、三宅の慎ましさ、桑野の愛らしさも魅力である。あた、日本家屋や衣装をとおして、当時の風俗にも親しむことができる。
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