allcinema ONLINE オールシネマ 映画&DVDデータベース
検索オプション

煉瓦女工(1946)

メディア映画
上映時間63分
製作国日本
公開情報劇場公開(松竹)
初公開年月1946/02/14
ジャンルドラマ

【ユーザー評価】
下記フォームからあなたのこの作品に対する採点を投票してください。
メールアドレス年齢性別
評価 (低い←→高い)
12345678910
【ユーザーコメント】
投稿者:黒美君彦投稿日:2014-01-16 18:39:46
【ネタバレ注意】

<あらすじ>横浜・鶴見の運河のほとりにある長屋。みさ(矢口陽子)は、腕はいいが酒飲みの大工の父(三島雅夫)と母(三好久子)、弟と暮らしていた。釣舟屋の末娘菊子(草島競子)と一緒に、授業料が不要な学校に通っていたが、菊子は体が弱いにもかかわらず小さな工場を探してきて学校を辞めてしまう。隣には売れない浪曲師(徳川夢声)と妻(水町庸子)、娘千代(悦ちゃん)が住んでいたが、日掛け20銭の家賃も払えなくなり夜逃げしてしまう。その後に越してきたのは、母と政吉(松本克平)と音松(宇野重吉)の兄弟。政吉の妻(清川虹子)は隣人の借金を踏み倒すような女。みさは、転校してきた朝鮮人の少女チュイ(椿澄枝)と仲良くなる。彼女の父親(滝沢修)と母(原泉)は貧しいながらも、みさにご馳走を食べさせようとする。日雇いの林造(小沢栄太郎)は家を出て行って帰ってこないが、その間に妻お兼(赤木蘭子)が出産。産後の肥立ちが悪く死んでしまう。長屋の悲喜こもごも…。

1940(昭和15)年に完成しながら、検閲で「プロレタリアート」的と上映を禁止され、戦後の1946年に公開された作品。
原作は野澤富美子(1921〜)が19歳の頃に書いた短編集。

物語は長屋の住人たちの様々な生活を主人公のみさ(矢口陽子)の目を通して描いている。
だいたいとんでもない酒飲みや博打好きな夫がいて、妻は内職をしながら大勢の子供を育てている…という構図。夜逃げしてしまう家族もいれば、ちゃっかり借金を踏み倒す意地の悪い女もいる。娘を花街に送り出す家もある。
子供たちは労働力として期待されていて、学校に行かせるという意識もほとんどない。
身重の妻を放置して家に帰らなかった男(小沢栄太郎=当時の芸名は小澤栄)は、妻の葬式の最中に帰ってきてひたすら泣く。

どんよりとした出口のない貧しさの中にあって、時折支え合う長屋住まいの人々の生きようとする力が伝わってくる。もちろん夜逃げや産後の死といった悲劇も描かれるのだが、それとても日々の営みのなかの風景として淡々と描かれているのが印象的だ。
そうしたなか、みさが仲良くなる朝鮮人家族のエピソードが微笑ましい。朝鮮語を教えてもらったり、仲良くなった娘の結婚式に呼ばれたり…偏見をもたず友人として自然に接する姿が心地よく感じられた。

のちに黒澤明監督と結婚することになる矢口陽子(1921〜85)が溌剌とした娘役を好演。
周囲の大人を演じるのが新劇(第一次新協劇団)の俳優たちで、三島雅夫、小沢栄太郎、赤木蘭子、信欣三、松本克平、宇野重吉、滝沢修、原泉…と、錚々たるメンバーが出演している。
この映画が完成した1940年8月に、上記新劇の関係者がことごとく逮捕される弾圧事件が起き、劇団は解散を余儀なくされている。
だからこの作品が上映禁止になったのも、新劇俳優が多く出演していたからだろう。
徳川夢声や、戦前「和製シャーリー・テンプル」として子役として活躍した「悦ちゃん」も出演していて、映画史的な観点から見ても貴重な作品だ。

【広告】

【スポンサーリンク】



【スポンサーリンク】



allcinema SELECTION

allcinema SELECTION