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原爆の子(1952)

メディア映画
上映時間100分
製作国日本
公開情報劇場公開(北星)
初公開年月1952/08/06
ジャンルドラマ
新藤兼人アンソロジー(1) [DVD]
参考価格:¥ 20,520
価格:¥ 17,800
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【解説】
 長田新により編まれた作文集『原爆の子―広島の少年少女のうったえ』を元に、新藤兼人が脚本・監督を担当した作品。被爆から七年後に製作された本作は、原爆を取り上げた最初の日本映画と言われる。
 広島の幼稚園で働いていて被爆した石川孝子は、瀬戸内海の小さな島で教員をしていた。原爆投下から七年後の夏、孝子は広島を訪ね、かつて石川家の使用人だった岩吉と再会する。岩吉は被爆し失明、浮浪者同然の生活をしていた。孝子は幼稚園の同僚の夏江から園児たちの住所を聞き、子供たちを訪問して行った。生き残った三人の教え子たちはみな中学生になっていた。三平は原爆症で父を亡くし、敏子は原爆症で病床に臥せ、そして平太は両親を亡くし兄姉と暮らしていた。
<allcinema>
【ユーザー評価】
投票数合計平均点
19 9.00
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【ユーザーコメント】
投稿者:o.o投稿日:2013-09-16 02:00:19
貴様たちに原爆の恐ろしさを叩き込んでくれるわ風な、これでもかと悲惨なものを見せつけられる映画なのかもしれないなと、ちょっとブルーな気分で見始めたのですが、さすがは新藤兼人監督、そんな映画は撮っていなかったのでした。もとより明るい映画であるはずもないのですが、懸念していたような、どろどろとした情念が渦巻くような映画とはまるで違っていて、ほっとしました。

個々のエピソードはもちろんすべて哀しいものであるし、とりわけ元使用人の境遇は悲惨なのですが、映画全体としてそんなに陰惨な感じがしないのは、舞台となる広島の街に、どこか戦後の解放感というのが感じられ、とくに子供たちがやたらと元気で、みなで海に飛び込んで遊んでいるような姿が映されているからだろうと思います。さらには、新藤監督独特の映像の力もあるだろうし、みなそろって古き良き日本人たちと言いたくなるような登場人物たちの姿も一因かと思います。

素朴な映画なのですが、この映画の場合はこれでいいのだと思います。それだけに、火事のエピソードは本当に必要だったのかと思わないでもありません。なにかそこだけ、最後はこれで盛り上げてやろう風な作為を感じてしまい、少なくともこの作品にはそぐわないような気がしました。これがなくても、いや、これがなくて、あの地で生き続けているという風にした方が、むしろいろいろな意味で考えさせられるようなものになった気がしたのですが、どんなものでしょうか。

静かで、そして清潔な映画でした。強い日差しに照らされた広島の街の家々の屋根や道路が、まるで雪景色であるかのように、真っ白に光り輝いている光景が脳裏に焼き付いた次第です。
投稿者:nabeさん投稿日:2011-10-22 15:50:36
名匠新藤兼人監督が、戦後7年目に撮った問題作である。
制作された昭和27年の広島は、まだ原爆の爪痕が生々しく残っていて、瓦礫の山、顔に火傷跡が残った女性達、原爆症で死んでゆく人々・・・と、ロケーション撮影ならではの迫力に満ちている。
季節の設定も原爆投下の時と同じく夏の暑い時期にしているので、当時の観客は7年前の体験をリアルに思い出したことだろう。滝沢修の名演と、乙羽信子の抑えた演技が印象的だ。
ラストシーンで、雲の中から聞こえる飛行機の爆音に、不安気に空を見上げる乙羽信子の表情が原爆の恐怖を一瞬で表現する。映画史上に残る名シーンだ。
投稿者:黒美君彦投稿日:2007-08-27 00:29:48
【ネタバレ注意】

<あらすじ>戦後7年経った1952年。広島で幼稚園の教諭をしていて被爆した石川孝子(乙羽信子)は、家族の中で唯一の生き残りで、今は瀬戸内の小島で教員をしている。孝子は被爆時の園児達の消息を追って七年ぶりに夏の広島を訪れた。そこで孝子はかつて家で働いていた岩吉(滝沢修)に出会う。岩吉は原爆で失明し、バラック小屋でおとよ婆さん(北林谷栄)の助けを借りながら生活していた。息子夫婦は亡くなり、7歳になる孫・太郎は新生学園という孤児施設に預けている。一方孝子は、幼稚園で同僚だった森川夏江(斎藤美和)の家に泊めてもらい、生き残った3人の元園児を訪ねて行くが、そこにもいくつもの不幸があった…。

原爆を真正面から取り上げた最初の劇映画といってもいい作品(1950年に大庭秀雄監督が『長崎の鐘』を撮っているが、これは永井隆博士の伝記映画だという建前で製作された)。
1952年までは占領下にあり、厳しい検閲によって原爆被害について映画で触れることはきわめて難しかった。この作品も同年4月末に占領が終わると同時に5月から49日間にわたるロケが広島で行われ、原爆忌にあわせて公開された。
広島大学の長田新教授が編纂した子供たちの手記『原爆の子〜広島の少年少女のうったえ』を脚色したこの作品では、乙羽信子演じる石川孝子が狂言回しの役を演じ、広島の子供たちの現在を描こうとする。

川で戯れる子供たちがいる一方で、靴磨きをして家計を助ける三平は、原爆症で父親を亡くす。三平の母(高野千代)が原爆資料館の内装の仕事をしている、というのはある意味象徴的だ。戦災孤児の敏子は教会に引き取られているが、原爆症で衰弱している。教会で顔にケロイドが残るいわゆる「原爆乙女」たちが出演し、歌う場面は胸に迫るものがある。平太は両親を亡くし、兄(宇野重吉)と姉(奈良岡朋子)と暮らしている。原爆で足が不自由になった姉が嫁入りすることになり、平太と孝子は彼女を見送る…。

1952年当時の広島の姿が捉えられているという記録的な意味も大きい。
銀行の石段に灼きつけられた人影や欄干が壊れたままの萬代橋。繁華街を走るドリーの映像には「ピカドン」という店の名前も見える。岩吉の孫がいる孤児施設では、手に原爆によるものとみられる障害をもつ教師が「原爆孤児は500人から600人いるといわれるが、調査すればもっといるだろう」という。国からの補助で、子供たちの一日の食費は40円余り。子供たちは一生懸命畑仕事に精を出す。

孝子はそうした傍観者的な立場で子供たちの現状を見るが、岩吉の孫・太郎については主体的に動き、彼を島に連れて行きたいと願う。それはやがて岩吉の不幸な最期へとつながるが、面白いのは彼女の視線のありようが、例えばこの作品の55年後に作られた『夕凪の街 桜の国』(07年・佐々部清監督)の現代を生きる娘・石川七波(田中麗奈)の視線に重なるところだ。つまり孝子も七波も外部から広島を訪れ、外から広島の惨禍を凝視する、という形をとっている(アリバイ的に孝子は被爆者だということにはなっているが、彼女は他に登場する被爆者とは異なり、傷痕や疾病がないようにみえる溌剌とした女性として描かれる)。それは、「ヒロシマ」を経験した―つまりヒロシマを内在化させた被爆者が大勢いるなかで、そうしたヒロシマを内に抱えた人物を主人公とすることに無理を感じたからではないだろうか。非被爆者は、外側からしかヒロシマを体験できない。セミドキュメンタリーの要素のあるこの『原爆の子』においては、なおさらそういう思いが強かっただろう。新藤監督は、そこまで考えてこの作品を作ったのではないか、と思う。

原爆を扱いながら、「アメリカ」が一切語られないのも興味深い。占領が解けた直後ということもあるだろうが、人々は原爆を憎しみこそすれその憎しみはアメリカに向かっていないように思える。だが、よくいわれる加害責任や対米感情の発露を、戦後貧窮の生活を必死で生きる市井の人々にどれほど求めることができるだろうか。
もっともこの映画制作を支援した日教組は、「政治的方向性がないお涙頂戴ものにしてしまった」と批判したそうだが、政治性ではなく、人間性に焦点を当てたこの作品はプロパガンダに堕しない十分高いレベルにあると考える。
いずれにせよ、ヒロシマを考えるとき、是非観るべき作品であり、なかなか観る機会がないというのはそれこそ実に嘆くべきことだと思う。
(参考:ミック・ブロデリック編著『ヒバクシャ・シネマ』99年・現代書館)

投稿者:アキ投稿日:2007-08-23 22:53:08
清楚な元幼稚園教師乙羽信子の目を通して、かつての教え子たちの6年後の姿と、かつての雇人とその孫の姿を描く。原爆がこの人たちの家庭や人生をメチャメチャにした。涙も枯れ果てるほどの悲しみと苦しみ。淡々と描く画面から、戦争への憎しみと原爆の悲惨さがひしひしと伝わってくる。いまでは薄れ失われつつある、人と人の結びつき、情がこの悲劇の中での唯一の救い。孫の将来の幸せのために、自分を犠牲にする老人の哀れさ。その結果乙羽信子の親せきの家に引き取られる運命に身を任せた孫の決意。湧き上がってくる様々な思いなしには見られない秀作。
【受賞履歴】
(■=受賞、□=ノミネート)
■ 国連賞 
【ソフト】
  商品名  発売日  税抜価格  
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