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生きる(1952)

メディア映画
上映時間143分
製作国日本
初公開年月1952/10/09
ジャンルドラマ
映倫G
黒澤明監督作品 AKIRA KUROSAWA THE MASTERWORKS Bru-ray Disc Collection II (7枚組) [Blu-ray]
参考価格:¥ 29,800
価格:¥ 23,707
USED価格:¥ 20,900
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【クレジット】
監督:黒澤明
製作:本木荘二郎
脚本:黒澤明
橋本忍
小国英雄
撮影:中井朝一
美術:松山崇
編集:岩下広一
音楽:早坂文雄
演奏:キューバン・ボーイズ
P.C.L.スイングバント
P.C.L.オーケストラ
監督助手:丸林久信
堀川弘通
広沢栄
田実泰良
記録:野上照代
照明:森茂
出演:志村喬渡辺勘治
日守新一市民課課長・木村
田中春男市民課課長・坂井
千秋実市民課課長・野口
小田切みき小田切とよ
左卜全市民課課長・小原
山田巳之助市民課主任・斎藤
藤原釜足市民課係長・大野
小堀誠勘治の兄・渡辺喜一
金子信雄勘治の息子・光男
中村伸郎助役
渡辺篤病院の患者
木村功医師の助手
清水将夫病院の医師
伊藤雄之助小説家
浦辺粂子喜一の妻・たつ
三好栄子陳情のおかみA
本間文子陳情のおかみB
菅井きん陳情のおかみC
市村俊幸ピアニスト
倉本春枝ダンサー
ラサ・サヤダンサー
南美江家政婦・林
関京子光男の妻・一枝
阿部九州男市会議員
永井智雄新聞記者A
村上冬樹新聞記者B
青野平義新聞記者C
宮口精二ヤクザの親分
加東大介ヤクザの子分
林幹ヤクザの子分
堺左千夫ヤクザの子分
小川虎之助公園課長
千葉一郎警官
谷晃飲み屋の親爺
長浜藤夫市職員
小島洋々市職員
登山晴子焼香の客
安雙三枝焼香の客
【解説】
 癌で余命幾ばくもないと知った初老の男性が、これまでの無意味な人生を悔い、最後に市民のための小公園を建設しようと奔走する姿を描いた黒澤明監督によるヒューマンドラマの傑作。市役所の市民課長・渡辺勘治は30年間無欠勤のまじめな男。ある日、渡辺は自分が胃癌であることを知る。命が残り少ないと悟ったとき、渡辺はこれまでの事なかれ主義的生き方に疑問を抱く。そして、初めて真剣に申請書類に目を通す。そこで彼の目に留まったのが市民から出されていた下水溜まりの埋め立てと小公園建設に関する陳情書だった……。責任を回避し、事なかれを良しとする官僚主義への批判や人生の価値に対する哲学がストレートに表現されてはいるが、志村喬の鬼気迫る迫真の演技が作品にみごとな説得力を与えている。
<allcinema>
【関連作品】
生きる(2007)リメイクTVムービー版
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A=無難にチョイス B=チャレンジの価値アリ C=発見があるかも!?
[001]A七人の侍 (1954)
[002]A用心棒 (1961)
[003]A隠し砦の三悪人 (1958)
[004]A椿三十郎 (1962)
[005]A羅生門 (1950)
[006]A (1954)
[007]A赤ひげ (1965)
[008]A天国と地獄 (1963)
[009]A東京物語 (1953)
[010]Aおかあさん (1952)
【ユーザー評価】
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【ユーザーコメント】
投稿者:noir fleak投稿日:2015-06-06 10:52:18
黒沢演出というのは雨ならいつも土砂降り、、、、本作もまさにそうだ。冒頭の役所のタライ廻しの場面や、ダンスホールの群衆(!)や志村喬の歩き方や表情、、、どれもが過剰だ。しかし、あえて過剰にするのが黒沢流なのだろう。小津、溝口などの巨匠の日本的繊細・温かさこそ黒沢は嫌ったのだと思う。
逆に黒沢演出の一番いいところは、観客をひきつけるドラマチックな構成だ。ここでも突然志村を死なせて、あとはその後日談とフラッシュバック。40年代末あたりからアメリカのフィルムノワール(といってもそんな言葉が当時あった訳ではない。つまりB級犯罪もの。)の影響が色濃い。
有名な雪の中のブランコシーンで、志村の顔は真っ黒。見えない。こういうところもノワール的だ。
小田切ミキが非常にいい。もっと活躍してほしかった人だ。
巷でいうほどの大傑作とは思えないが、いかにも黒沢らしい演出で飽きさせないのはさすが。
なお、はじめのほうに Too Young のメロディーが流れる! この頃すでに日本でもヒットしていたのかな。黒沢監督がこの名曲を使ったことをうれしく思った。
投稿者:ameniutaeba投稿日:2014-07-17 00:51:29
人生と世間を諦観しているような内容だが、伝わってくるのは圧倒的に作り手の若い情熱である。ドストエフスキーを通奏低音にしてファウストの彷徨と日本の通夜を対比させる手法。若い野心に満ち満ちている。
投稿者:sachi823投稿日:2013-01-30 21:36:27
黒澤作品が大々的にリバイバルされたときの
何本目かの作品として鑑賞しました。
黒澤作品として一二を争う名作との評判で、
確かにその根底にあるヒューマニズムの深さという点で
感動作でありました。登場人物の個性が際立っていて
公務員は公務員らしく、やくざはやくざらしく、親は親らしく、
上役は上役らしく、今の没個性的な世相とはあきらかに異なる
時代の色をつよく感じました。志村喬は意外に主役の少ない
俳優でしたが、この作品では真に名演で説得力のある演技を見せます。
特にブランコに座りゴンドラの歌を唄う場面は非常に優れていると思います。
投稿者:こじか投稿日:2010-10-16 23:21:49
この監督が「侍」も「門」も撮っているんだから恐ろしい。
岡本喜八派なわたしですが、
黒澤映画で唯一満点以上を付けたい作品。

モノクロ映画、特にモノクロ邦画に免疫がないと
なかなか手が伸びにくいこととは思いますが、
一通りの作品に馴染んできたらぜひぜひおすすめしたい。
投稿者:gapper投稿日:2010-07-01 23:16:33
 かなりオーバー気味の表現で、実験的な意味合いもあったのではないかと思わせる作品。
 菅井きんが出ていて、驚く。

 やはり、世の中運というものもある。
 雑に見てしまったが、こういった表現を極端にするのも、場合によっては面白いと思った。
 やはり、椿三十郎までの黒澤はエンターテイメントを意識していて、面白い。

 影武者の頃から顕著に、エンターテイメント性が薄れてきて面白くなくなった。
 映画は、半商半芸であり芸術に偏ってしまったものはつまらない。
投稿者:Kircheis投稿日:2010-06-07 04:46:35
【ネタバレ注意】

『七人の侍』に続いて黒澤作品の2つ目を鑑賞。

これも実に素晴らしい映画だった。
今の我々も人生の短さに気付かず、ただ無為に人生を過ごしていないか??
自分を変えようと思っても次の日には忘れていないか??

50年以上前の映画なのに強いメッセージをはなつ、この映画を撮った黒澤明はやっぱりすごい!!

投稿者:ビリジョ投稿日:2010-04-26 19:54:27
【ネタバレ注意】

 黒澤明の映画は、ようやく「七人の侍」に続いて2本目。

 いやあ、凄い、凄すぎる。志村喬。ボソボソ台詞が圧巻である。

 にしても黒澤明。これだけ天才だと、さぞや人生楽しかっただろうな、と羨ましい限り。小道具の使い方といい、せりふ回しの妙といい、名人芸である。

 面白さとは、既存の面白さを提示することではなく、別世界を提示することなのである。小説家が、女性たちが、酔った公務員らが、じわじわと既存の世界観を打破していく。映画の寝床は、ひたすら心地よい。

 世界史において、映画が映画として一定の勢力になり得たのは、そりゃまあ色々な要素があっただろうが、その一つの重要な要素は、その世界に黒澤明が居たからなのであろう。

 「生きる」。こんなタイトルで映画を撮ろうなどと考える人間が、この世の中にどれだけ居るのだろうか。

 いやあ、面白かった。至福のひと時であった。

投稿者:たにし投稿日:2009-05-25 00:23:25
【ネタバレ注意】

暇な職場というのは悪戯に
保守的な考え方になると同時に
人の観察が職場の趣味と化す。
私もそんな楽で居心地のよい職場に昔いた。

多忙で目的にある職場にこのような考えはない。

この映画の志村喬演じる渡辺氏は
目的をもち死んでしまう時間を
考えもせず自ら多忙を用意した。

後半の葬式の雑談で構成されるのは
誰一人として渡辺さんの噂をするばかりで
目的のない過去の話を回想するだけである。

過去の情報をもとに人の価値観を創造する人と
前向きに生きようとしている人の価値観では
同じ空を見ても到底理解しえないだろう。

渡辺氏の葬式では、
「役所」という気質をもとに各職員が話を進めるが
それは渡辺氏を理解しているではなく、
役所に基づく過去の経歴を照らし合わせて
噂をしているにしか過ぎない。

渡辺氏は役所で生きるのではなく
自分から仕事を発起して生きようとした。

仕事を通じて「生きる時間のあり方」を描いた本作は
ヒト一人の時間のほとんどが仕事であるので
説得力があり共感できる。

これは他の黒澤映画を見てもこの映画ぐらいしか
庶民の目線がないのも驚く。他は荒唐無稽な物語か
ヒロイズムあふれる作品が多い。
この映画はそのヒロイズムを離れて
進むべき道を失った者とそうでない者の対比を
描いた。どちらも日本人だと思う。

「渡辺さんがなにも報いられず、、、」
「助役と呼べ!」
「あの男にはね、若いのがいたんですよ」
「役所ってのはねなにもしないのが一番」

ならぶ台詞・言葉は下劣かつ道徳も倫理もない。
それはこの映画の後半が
酒の席で、みんな酔いつぶれてるからだ。

この映画は成人した後と中学生で見たときの印象が違う。
中学生の時は「どうしてこなにも人の気持ちが
理解できない人が多いのだろうか」と怒りが満ちた。

しかし酒の席を知り、女を知り、仕事と人間関係を知ると
この映画の後半はただの愚痴話にしかすぎない。

まともでない暇人はいくら御託を並べても
翌日には元通りになる。
それは人生の時間を浪費するためだ。
生きるとは、自分の気持ち一つにより良くも悪くもなる
と実感させられる映画だった。

ps.
下に人生の幸酸を舐めた来た先輩がコメントを
書かれているのを拝見しました。

年上という者の我侭に呆れ返る自分としては、
年配の人も捨てたもんじゃない。
30代の自分にも目的をもとう
と思わせられました。

ありがとうございます。

投稿者:uptail投稿日:2009-05-22 10:35:33
志村喬
投稿者:にゃんにゃん投稿日:2009-02-04 00:19:46
黒澤のヒューマンドラマや社会批判は時にストレートすぎてあまり好きじゃない。
あまりにあざとくて私にはどうもこれが幼稚に見えてしまうからだ。
この作品も前半は特にそういった色が濃いのであまり好みではない。
しかし、後半の大胆な構成と演出には唸るものがある。
下手に感動的にもならず、あの歌と同様にしんみりとした味わいが出ている。
そしてラストの極めて現実的なエンディングがとても効果的。
もしこれが単なるハッピーエンドだったらどうだろうか。
次の日には役所の連中だけでなく観客もこの映画のことを忘れてしまうよ。
投稿者:verkhovensky投稿日:2009-02-03 23:10:18
さう何度も見たい映画ではなく、前半はもういいといふ気分になつてやめてしまふこともあるのですが、後半の通夜はよく出来た趣向です。公園造成の過程をそのまま辿ったら単調になったかもしれないところを、.妊スカッション劇に変質させて気分を転換する∋毀渦欅の意識の変化を表現する2鸛朷措阿砲茲弔禿亙佞旅堝阿里い呂丱魯ぅ薀ぅ半賁未髻∋間軸にとらはれず自由に効率的に描く−−かういつた利点があると思ひます。
投稿者:ちゃぷりん投稿日:2009-02-01 21:32:32
高校時代に初観賞。観る前の期待値の高さは「七人の侍」並みだったが、オープニングの渡辺の胃のレントゲン写真に被るナレーションで、「なんか違う…」と思い、その違和感は観終わっても、そしてもう一度観ても変わる事は無かった(当時の親友は絶賛してたけど)。死の病と向き合う人間に起こるドラマを観念で作っては駄目とは言わないが、日本社会にロシア文学の要素を持ち込むのにも無理があったと思う。
投稿者:アキ投稿日:2009-02-01 20:21:13
「ねえ、課長さんもなにかつくってみたら」「もうおそい……(はっと気づくものがある)。いや、おそくはない。やればできる。ただやる気になれば。わしにもなにかができる」ミイラとあだ名された市民課長が、余命いくばくもない中で、生きるあかしに気付く場面だ。その瞬間から5カ月間、たらい回しにされた小公園をつくる事業に、文字通り命懸けで取り組み、完成させる。その満足感の中、ブランコに揺られながら、静かにこの世を去る。1秒の無駄のない緊迫した画面の中、芸達者な多くのバイブレーターに取り囲まれ、志村喬の名演技、とくに眼の演技が光る。見ているこちらも、眼はうるみっぱなし。
投稿者:Ikeda投稿日:2008-08-15 11:57:11
公開時にも評判は高かったですし、黒沢作品の中では確かに上位に入る映画だと思います。ただし、役所仕事に対する批判が極端過ぎるのは多少気になります。市会議員(阿部九州男)や助役(中村伸郎)の描き方や、陳情に来た主婦たちが窓口をたらい廻しされるシーンなどは皮肉を込めていて面白いですが、その後の職員の行動が無気力すぎます。最後に渡邊(志村喬)を評価するのは木村(日守新一)だけで、酔っぱらった後、気合いは入るものの、結局元通りになってしまうストーリーは黒沢らしいとは言え、あまり好きにはなれませんでした。
また、志村喬は確かに名演ですが、オーバーアクション気味で、台詞が良く聞き取れない難点はあります。更に、途中でいきなり通夜の場面に移してから話が進行する構成は、一つの趣向ですし、これが良いという人も多いようですが、私はあまり好みません。主人公渡邊は、とよ(小田切みき)との関係を誤解されている訳ですが、この映画ではそれが疑問のまま終わっています。このような細切れのカットバック手法を使わない、普通の進行で、彼女も最後近くに登場させるもっと希望が持てる盛り上げ方でエンディングに持っていく方が良かったのではないかと言うのが私の意見です。
なお通夜の席で、黒江町の名前が出てきてますが、これは小津の「長屋紳士録」にも現れる地名です。戦前に消えてしまった地名ですが、東京の永代橋の傍にあった町名で、昔は魚市場として名が知れれていた所のようです。
投稿者:よしだ投稿日:2007-09-23 17:13:02
僕この映画の志村喬の演技が大好きです。
どこの世界を見ても、こんなふうに喋る者はいないでしょう。
しかし、この演技をやっている志村喬には余計な自意識が感じらません。
全身全霊を持って、役に成りきっています。
演技が臭い、とかいう次元でないことは確かです。
この映画のテーマは重く、内容も決して軽い調子のものではありません。
志村喬は真正面からこの役に挑み、映画「生きる」そのものの存在と同化していると思います。

http://okepi.jp/movie/2007/09/post_43.html
投稿者:3本立を1日3館投稿日:2006-10-18 01:00:32
出世競争から振り落とされたと感じ、俺も惨めだな、でも会社を辞めたら一家路頭に迷うのは明らか、定年までずーと下り坂だな、と早朝から満員電車の毎日だった。どうやっても重役や上司と上手く行かない、その筈だ、俺が目障りなだけなのだから。そんな時「生きる」の二度目を見た。ハッとした。俺の仕事の取り組み方が間違っていたのだ!と。出世をすっぱり捨てた、嫌われても、陰口を云われようと、迷惑さえ顧みず一人でピエロのように仕事をした。出世は止まったが出勤が苦痛ではなくなり快食快便で定年まで元気だった。私にとっては仕事の仕方を本当に教えてくれたのはこの映画だった。それにしても黒澤のやくざは凄い。加藤大介以上のやくざは見たことが無い。あのサングラスを取った時の表情とほほの傷、宮口精二の親分の表情も物凄い、そして堺左千夫までチンピラとして配置してくれた黒澤監督に感謝!きっとあの場面をニヤニヤしながら設定されたのしょうな、本当にあなたはエンターテイナーだ。
投稿者:こねこねこ堂投稿日:2006-08-14 23:05:52
【ネタバレ注意】

黒澤作品はどれも名作でベスト3を選ぶ事は難しい、10本を選べと言われても悩んでしまう、だが死ぬまでに1つだけ観て欲しい作品はと、聞かれたら「生きる」と答えたい。
最後にブランコに乗って歌う不思議な声のゴンドラの歌が心に沁みわたり忘れられない。
http://www5e.biglobe.ne.jp/~tnkktm/index.html

投稿者:魚篭投稿日:2006-04-07 03:11:05
【ネタバレ注意】

黒澤映画のベスト作品をあげよと聞かれて困ることがある。ベスト5でも困る。
映画監督が命がけで映画を撮る限り、駄作というものなどないからだ。全身全霊
をかけて作り上げたものに優劣などつけようがない。世間ではこのことがどうも
わからないようで、見るものの好みだけでいいだの悪いだの能書きをたれる。し
かしあえて言えば、いまのところ「生き物の記録」が私のベストで、この作品は
後の「赤ひげ」と同じ、それまでの作品の「集大成」のような作品に仕上がって
いる。しかし、「生きる」や「七人の侍」なくして「生き物の記録」は存在しえ
ないのだ。

程度の低い能書きをたれてしまった。あえて黒澤の履歴を見てゆけば、後になる
ほど映画の進展ぶりがめざましい。 それは一度使った方法論をそのまま使ったこ
とがなく、使うにしても、その都度創意工夫があったと聞く。

この「生きる」は「七人の侍」の前に作られたが、ここで試された実験はすべて
後者に応用されている。「生きる」は「羅生門」の体験からあり得た映画という
ことになるだろう。この作品の美しいところはいろいろあるが、特に通夜の席で
語られる同僚の回想シーンは絶品である。したたかに酔った役所の人間が伝染病
にでもかかったように次々と思い出を語るが、そのひとつひとつが実に雰囲気を
もっている。とくに好きなのは、遠く鳴り響く蒸気機関車の警笛の音を聞きなが
ら、夕焼けを見上げるシーンだ。白黒なのに、夕焼けを感じた。黒澤のセンシテ
ィビティは、あの空の下で点いている街灯の光だ。あの一点で夕焼けの色を出し
ているのだから、恐れ入る。それに、空間を感じさせる警笛の音。黒澤の真骨頂
だ。それから、公園の突貫工事を見に来たときのシーもいい。工事の振動(この
音が凄く響く!)でよろめく主人公を近所のおばさんたち(菅井きんがいい)が
かけより助ける。アルミの柄杓に水を張り、飲ませる。その柄杓の水に太陽の光
が反射してゆらゆらと主人公の顔を照らすのだが、これが美しい!個人的には、
「生きる」のイメージ写真をこのシーンのこの志村さんの顔にしてみたいと思う
のだが。まぶしいほどの空をバックに、まぶしく公園の建設を見つめる志村さん
の顔は映画史に残る、恒久感のある顔だ。このような顔は最近映像で見ない。と
にかく、どの映像も「羅生門」を進展させたものばかりだ。

この映画について語ることはありすぎる。うまくデフォルメされているから出て
くる人物はすべてリアルだ。匂いまで感じる。袖をまくる千秋実、やけくそにタ
バコを吸う田中春男、体全身でイヤミさをうったえている助役の中村伸郎、人に
わざわざガンの諸症状を説明する渡辺篤、アル中作家の伊藤雄之助...今これだ
けのキャラを集めることはできない。黒澤本人が生前もらしていたように、その
ような「顔」がないのだ。

しかし、韓国版の「生きる」についている英語字幕はちょっと...。主人公の息子
の「光男」が "Kong"ですよ!これじゃ、まるでサル同然じゃないですか。どうし
て "Mitsuo" と書けなかったのか、理解に苦しむ。

投稿者:民謡から演歌まで投稿日:2006-01-22 12:42:28
【ネタバレ注意】

故に癌の男が死ぬ話ではない。
…のだが、通夜の席が圧巻である。
前半の出来事が謎を解明する鍵となる。
そうか〜ヤクザの親分がね〜
これは面白いよ。…何かやりたいと思って、そのやりたいことをやる…っていう映画で、何で出来たのか?ってのがちょっとしたミステリーの肝。
結果やり遂げる事が出来て満足な男に、それで良いのか?ってのは野暮だし、たとえやり遂げられなくてもストーリーとしては成り立つ。
ラストは勘違い。彼のやりたかった事は反逆ではない…それは結果(過程?)に過ぎない。
志村喬の演技、彼がやりたいことを模索する前半も良いね〜現代っ子のパワーを追いかける怪しさも満点。それ故に間違った解釈をするのだが…俺には時間がない、及び異常な情熱…だが、知っていたかどうかは、ヤクザと彼女しか解らない…そしてウサギは可愛い。
男の子供に対する愛情の回想…陳情住民の通夜登場、は泣かせるね。
とんでもないストーリー構成、人間の感情を描き切る演出…これは名作だね。

投稿者:tanukun投稿日:2005-12-05 01:29:00
志村喬の大ファンで、洋の東西を問わず沢山観た映画の中でナンバー1です。劇中「胃がんといえば死刑宣告」というセリフがあるくらいですから、当時の胃がんは不治の病だったのです。結核などもそうでした。「生きるとは何なのか」「生きる価値というものはどこにあるのか」といった内容も去ることながら1952年という時代にあって、通夜という舞台でほとんどすべてが「回想」で語られるという手法も斬新でした、志村の没後某保険会社がCMでこの映画を使用して話題になりました。志村にとってもその家族にとっても他の多くの出演作品とは違う思い入れがあると聞きます。澤地久枝氏の「男ありて」という志村の伝記風の本や、志村夫人の「美しく老いたし」という随想本がおすすめです。このコメントコーナーの一部で「公務員」云々との批評がありますが、当時の公務員と今のそれを比較すること自体が「変」だと思います。舞台は昭和27年のことゆえ、時代考証的に「鑑賞」してもよいのではないでしょうか。
投稿者:篭瀬山投稿日:2005-11-25 21:04:36
 世界は、決定的に秩序を欠いている。つまり世界の本質は混沌にあるということだ。ではなぜ人は秩序を希求するのか。それは、この世の中にあるわれわれという存在が、混沌の中の秩序であることと無関係ではないだろう。

 この映画に描かれる世界を、おとぎ話にすぎないと批判すること、また別の観点から批判することは可能だと思う。だが、世界を、自分をテコに再編すること。これが生きるということだと描き、その内発的動機を生きがいに求めるこの物語は、最低でも感動的であると言える。では最高は? 私の乏しい語彙では・・・言うだけ野暮か。8
投稿者:Bava44投稿日:2005-10-16 16:24:19
回想シーンの霊柩車とかエレベーターのシーンは撮影の中井朝一らしさが出ていてよかった。
見る前はヒューマンドラマ(それしか評価されていないし)だと思っていたら
前半の乱れた風俗の描写力が凄い!フェリーニの「甘い生活」を連想させるくらいだった。

あと、構成が後半はずっと葬式(!)だし、さすが羅生門の監督。
投稿者:inamura投稿日:2005-09-19 15:18:08
【ネタバレ注意】

見る前は、タイトルからして、病気の主人公を闘病を前面に押し出した内容なのかな、と思ってましたが、日本のお役所批判を交えながら、死期に直面した主人公が
一生懸命、公園完成に命をささげる展開に引き込まれました。

投稿者:nehane215投稿日:2005-08-07 02:05:03
今も昔もお役所というところは変わらんねぇ〜。
今も昔もこの映画の良さも変わらんけどねぇ〜。
おいっ!、そこの世間知らずの公務員!
1回ぐらい観とけよ。損はないで〜。
もちろんこれって全国市長会推薦作品なんでしょ?
投稿者:wao投稿日:2004-06-03 03:09:27
自らの死期が迫っているとはいえ,官僚機構に突如反旗を翻し,自らの権限を行使して傍若無人に公園造成に突っ走る主人公の姿は,純粋にエゴイスティックだ。それ自体は確かに官僚批判の響きもあるが,この主人公の行動はいささか不器用ながらも常軌を逸していて,ヒロインの小田切みきのキャラクターと共に,小心に生きている世人をふっ飛ばしてしまうかのような強引さがある。そこがクロサワらしさでもあって,主人公のファナティックな行動を正当化するために胃ガンというファクターが持ち込まれた,と言っても過言ではない。実際に死期を前にした人がこんな風にエネルギッシュに生きられるものだろうかと,見終わった後で冷静に考えると半信半疑にならざるを得ないが,見ている間はそんなことはすっかり忘れて夢中になっていた。この映画で特筆すべきは,むしろ脇役の丁寧な描き込みにあるような気がしている。主人公を取り巻く凡庸な周辺人物のきめ細かな描写手腕には,本当に舌を巻く。現実にこんな奴いそうだな,という俗物描写のリアリティが,ストーリーに説得力を持たせている。なにしろ,これだけの登場人物を導入しながら,そのいずれもがストーリー上にきちんと介在し,それぞれのキャラクターを際立たせているのだから,凄い。また,ストーリー構成の面白さはよく評論のネタとなるところであるが,この映画のスタイルはジェットコースターに例られるように思う。前半の渡辺勘治のもたついた性格がだらだらと描かれるもどかしさは,まさにコースターが急な上り坂をゆっくりと登っていく過程であり,そこに小田切みきがチラチラ現れてストーリーが暗く重苦しくなるのをかろうじて救済している(「七人の侍」の菊千代みたいなものか)。後半,主人公が死んだ瞬間,この映画はその上り坂の頂点に達し,突然その坂をもの凄いスピードで落っこちていく。観客は,それまでじっくりと主人公の負の生き様に立ち会わされ,やや食傷気味になっていたところに,いきなり主人公の輝かしい栄光の凝縮された晩年の僅かな期間の正の生き様の記録が展開していく。このスピード感は並みではない。野球で例えるなら,見せ球でつられて最後にストレートで打ち取られるようなものだ。しかも,その見せ方が,主人公の通夜に訪れる弔問客の回顧談という複雑な形式をとっている点も,秀逸である。左ト全,伊藤雄之助,渡辺篤,日守新一,加東大介,千秋実といったバイプレーヤー陣の熱演も効果を盛り上げている。本作を見るたびに,傑作とは,作家の誇大妄想が映画という写実メディアと程よく溶け合って,絶妙な調べを奏でるときに生れるのだなぁ,とつくづく思う。この作品と,続く「七人の侍」は,いずれもクロサワのオブセッションが映画手法と見事に融合した傑作であり,時代を超えた普遍性を保ち続け,今もその輝きを失っていない。
蛇足ながら,劇中で渡辺勘治が歌う「ゴンドラの唄」の作曲者である中山晋平(「シャボン玉」「証城寺の狸囃子」「兎のダンス」「てるてる坊主」などの童謡が有名)は「生きる」の公開と同年の昭和27年12月に死んでいるが,その最晩年にこの映画を見ているらしく,大正時代に青春を謳歌するか如く作曲した自らの作品が既に死を悟った初老の主人公の心の叫びとして歌い上げられる様に感激した,というようなことを,昔,NHKの中山晋平のドキュメンタリーでやっていたのを観た覚えがある。
投稿者:ブル510投稿日:2004-05-02 14:11:53
ストーリー構成のすごさ。これにつきます。
投稿者:野島回投稿日:2004-05-02 00:01:39
まず、印象に残るのが、渡辺と小田切とのcontrastである。特に、1952年という段階で、小田切のような「女性」を描いた黒澤は、何か意図があったのだろうか?私には、すぐに『我が青春に悔いはなし』の主人公、八木原の描き方になにか近いものを感じた。まぁこのことを黒澤が意識していたのかどうかはわからないが・・・。しかし確実にいえることは、小田切をあのように描くことによって、渡辺がいっそう浮きだって見えてくるということである。
生の問題は、実は、現代の根本問題である。世俗的な部分において、主人公渡辺が悩み続けて出した(彼岸的なものに頼ろうとはしなかった)結論のあとに(彼は公共的なものに自分の生を見いだす)、残されたものたちの生の問題が再び浮かび上がってくる。このところからも分かるように、生はまさに根本問題なのだ。生の哲学、実存主義なんて古いというのはあてはまらない。この問題は、未だに「わたし」の底流なのである。
投稿者:KOU投稿日:2003-02-05 11:07:14
「さっさと喋れ!」と怒鳴りたくなる前半。(作品の出来に、という意味ではなく)本当にイライラさせられました(笑)。

死と直面し、最後の炎を燃え上がらせる主人公の姿には、公務員でなくても自省する人は多いのではないでしょうか。http://face.ruru.ne.jp/harekura/
投稿者:ダニエル投稿日:2002-07-27 11:34:29
生きるとは何なのかを教えてくれる作品。
投稿者:WILDアッホHEART投稿日:2002-07-22 04:31:54
これって、援助交際したいオッサンの話、でしょ?
ケータイ電話が登場しないだけで、
ストーカー行為も描かれているし、予言師クロサワの先見性だよー。

と思っていたら、先日、ある人が、
公園を作りたいという、ひとりの人間のエゴの強さ、に感動した。
虚栄心とゆーか、功名心とゆーか。
それを真っ向から描いたクロサワ先生は、ペロリと舌を出しているのでは。
と言っていた。

もちろん、御意だ。
投稿者:とし投稿日:2002-06-20 18:45:29
この映画を観るとガンで亡くなった親父のことを思い出す。親父には最後まで告知はしなかったが、ある時期からもう余命幾ばくも無いことを察知していたと思う。志村喬のあのまなざしが、ベッドに横たわって我々家族を凝視した親父のまなざしとあまりにも似ていたのだ。風貌は似ても似つかないのに、だ。どんな生き物にも終わりはやってくる。しかしそれを自覚できるのは人間だけだ。死を真近にして悩み、苦しみ、恐れおののく。そうであるがゆえにどう生きるか、を考えるのも人間だけだ。この広い宇宙の中で生まれては死んでゆく無数の営みが繰り返されている。そこにはどう生きようがどう死のうが意味など無いはずなのに人間はそこに意味を見出そうとする。逆に言えばそれが人間として生まれてきた特権なのだ。この映画を観ると、親父の想い出から始まって、あれやこれやそんなことを思い巡らす。自分にとってそんな作品は他にない。この映画は自分にとって特別な作品だ。
投稿者:キッド投稿日:2002-06-13 15:37:46
【ネタバレ注意】

主人公は管理組織の中で生きる人間。何の不満もなく感情のないロボットのように毎日を仕事に追われながら家族の為に過ごしていた。30分で終わる仕事に忙しい…忙しい…と感じながら。癌という宣告・妻の死・息子の不満というきっかけによって自分のこれまでの人生を振り返り自分を否定してしまう。30年という時間を。自分の為ではなく他人の為に生きてきた他人主体の人生。残った息子は自分の財産の事しか考えてない。自分は何の為に生きてきたんだろう?このまま死ねない…ふとした事からある人物に会いその人物を慕って世の中に蔓延してる娯楽という娯楽を経験しようとするが心の充足感は得られない。他人の真似事をしても主人公にとっては満足できないし生を感じる事が出来ないのだ。そんな時に、元職場の女性にあう。自分とは違う価値観で毎日を充実して生きていると主人公は感じ、その本質を見極めようとする。そして、その女性が工場で作ってる動物のおもちゃを見た時に、主人公はある事に気づく。自分の命は後、半年しかないが一つでも良いから何かを自らの手で作り上げようと。階段をかけおりて行く時に鳴り響くハッピーバースデイのメロディーは主人公の第2の人生の始まりなのだ。そして、見事に町の人の為、自分の為に公園を作り上げ、最後に公園のブランコに揺られながら生の意味を見出し死んでゆく。その顔は笑顔で満たされていた。そして、葬式で主人公の職場の人間も「俺達も続こう!」と意気込むのだが管理社会の組織の中でそれを実行するのは言う安しだが、非常に難しいことであり奇跡に近いものがあるのである。そして、それを非難することも人間には出来ず、ぞこが人間の弱さの部分でもある。帰り際に主人公が作り上げた公園を見ながら

「これでいいのだろうか?」

と自問自答しその思いは、長い年月の中で忘れ去られてしまうのである。「人間の生きるとは、創造性を持つことであり自分らしさを持ち実現する為に努力する事である。それが人間にとって大切な事である。」
というのが黒澤監督のメッセージだったと思う。http://members.tripod.co.jp/reonn1177/

投稿者:投稿日:2002-01-29 02:17:35
よく分かる気がする。人間ていうのはそういうものだ。
投稿者:ゆきぼー投稿日:2002-01-24 21:31:35
凄くセンスのいい映画だと思う。泣きはしなかったけど、最初から
引き込まれた。
投稿者:空三郎投稿日:2002-01-15 00:30:28
渡辺勘冶の息子、光男が入院する、あわただしい流れの回想シーン。”光男、光男”とささやく声がかぶさります。
主人公が心の中で息子を心配している声です。
この意味が深く理解できたのは、私に息子ができた時で、男は声に出さないまでも、心の中では心配しているのだ。とよくわかりました。
このように、クロサワ映画は年齢が経過すると共に理解できますし、新しい発見もあります。
ですから、奥が深く、何度見てもあきることはありません。
また、テーマ音楽となっている”ゴンドラの唄”は、この曲のない「生きる」は考えられないくらいピッタリはまっています。
「映画は総合芸術」の見本みたいな映画です。
【受賞履歴】
(■=受賞、□=ノミネート)
■ ドイツ上院陪審賞黒澤明 
□ 男優賞(国外)志村喬 
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