東京物語(1953)
【クレジット】
【解説】 日本映画を代表する傑作の1本。巨匠・小津安二郎監督が、戦後変わりつつある家族の関係をテーマに人間の生と死までをも見つめた深淵なドラマ。故郷の尾道から20年ぶりに東京へ出てきた老夫婦。成人した子どもたちの家を訪ねるが、みなそれぞれの生活に精一杯だった。唯一、戦死した次男の未亡人だけが皮肉にも優しい心遣いを示すのだった……。いまでは失われつつある思いやりや慎ましさといった“日本のこころ”とでもいうべきものを原節子が体現している。家でひとり侘しくたたずむ笠智衆を捉えたショットは映画史上に残る名ラスト・シーンのひとつ。 【関連作品】
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話の内容は老夫婦が東京にでてくる話。
構図が決まりすぎている。建物の中を走る汽車や港からでる船が画面を横切ったり、立ち位置・座り位置・寝る位置まで人物が重ならないようにうまく配置されている。
建物内も部屋からでたり入ったりの横の動きや熱海の旅館のように階段を使った縦の動きなど縦横無尽な動きを取り入れた構図を使っていて驚く。
固定ショットもスゴイ。畳に座る日本人が一番キレイにみえるようなローアングルのショット。近くに看板遠くに町の風景というような遠近のコントラストの固定ショットも完璧。
俳優達がまたいい。本当にやさしい戦死した息子の嫁の原節子、「ありがと、ありがと」の東山千栄子、チャキチャキした杉村春子、笠智衆や東野英治郎、大坂志郎、どの人もとてもいい味を出している。
本当の子供達よりも戦争で死んだ息子の嫁の方が優しくしてくれるというちょっとおかしさや皮肉がある上品なコメディーにもなっている。
年取ったら東山千栄子のようにいつも「ありがと、ありがと」と言っている年寄りになりたいと観ていて思った。
学生時代に観た時は退屈で寝てしまったが、今観たらとても面白い。本当に上品なハートフルコメディーの傑作。 http://mamaduke.at.webry.info/
旧友相手の酒の席での愚痴とはいえ、なんとも他愛のないセリフ。
この場面さえなければ完璧なのになぁ
て見たのは例のごとくアメリカでだったが、観客は的確に反応した。原節子の美
しさに見とれるアメリカ人は少なくない。数々の映画に出ている原節子だが、こ
の映画は私見だが絶品だと見た。そのおさえてもほとばしる魅力はどうしようも
ない。とくに、映画終盤になり、死んだ良人のことをよく忘れていることがある
と自分を儀父母の前で戒めるシーンがあるが、あれは間違いなく、他に恋人がで
きて逢引きでもしている、それを正直に言いたいが言えないし、良人の死後ひと
りで女盛りを惜しんでいるわけでもない、とジレンマに苛まれる苦悩をあれだけ
短い時間で演技している。最高。
小津作品にはときとして、当時にしてはエロティックな表現を日常のなかにいれ
ながらドキリとさせるところがある。父親が息子に向かって、
「おまえ、子供はできないようにしているのか?」
「ええ、まあ」
という具合だ。また夫婦の会話で、
「わたし、できちゃったのかな」
「なんで?」
「だって、来ないんだもの、今月」
「え?ああ、そうか。そんなはずないんだけどなァ」
「だって白粉のつきがわるいんだもの」
「・・・そんなはずないんだよなァ」
「だって、どうしようもないじゃないの」
「・・・そんなはずねぇんだけど」
と自分に向かって「思い出しながら」語る。これはかなり露骨な表現だけど、
今の若い人には恐らくピンともこないだろうし、わかったとしても、その奥ゆ
かしいところはわからないだろう。
小津節といわれるあの独特な言い回しも、この映画では自然に落ち着いて味が
ある。役者全員がいい。こんな見事なアンサンブルも世界映画では珍しい。と
にかく、この映画は老人が主役となったロードムービーの先駆になり、世界の
監督たちをうならせた功績だけでも映画史に燦然と輝くのだ。
一回目とこれほど感じ方に差があるのも自分では驚きです。
あ、ちなみに映画を見て泣いたのは初めてです。個人的な話すみません。
しかしなんで泣けてくるのか自分でもわからない。
映画の力ですね。
ちょっと、これ、すごい。
この映画で小津の世界を知り、その作品で観れるものは、全て観て来た。
目がにじむという感傷の体感においてはこれが出色で、形式の独創の
見事な発露としては『晩春』を挙げる人も多いだろうが、ま、どう見ても、
心にグッとくる物語性で、異論なく抜きん出た世界の名画の一つとして、ひかり輝いている。本当に明るくて眩しくて眩しくて、目にしみるのだ。或るドイツの監督が自分の映画の中で、笠智衆に未来の目の医者を演じさせていたが、わからぬでもない。目というより心の治癒、洗浄というべきだが、
まこと新しい年にふさわしい清らかに流れる明るい映画で始められて、よかった。
「多くのものに触れる機会、ただお互いの隔たりに驚くばかり」。交通手段の進歩、情報伝達手段の発達。近代化万歳なんて文明の恩恵に浮かれてみても、やはりいつまでたっても人間も動物なんです。
小津は、人間には目が2つしかないということを忘れさせるくらいいろいろな角度からモノを見てる。当時の日本とはいえ、様々な世代、立場にいる人々、その巨大なものをしっかり2時間という短時間の内に捉えてる。一流の詩人にしか出来ない仕事。たまに皮肉はあっても同情的で、誰も責めてない。小津自身、同じようにしか生きれないということを理解してるからだろう。本物ですね。原節子のエピソードにジンと来た。ラストの智衆に対する告白。ヤングな次女との会話。
間の使い方が柔らかいそして切ない雰囲気を倍増している
この作品こそが「最高の映画」であり、
原節子こそが「最高の女優」です。
この映画は小津の作品の中で優れたものの一つでしょうが、本当に世界に通用する作品かなとも思います。勿論、イギリスやアメリカで賞や評価を獲得していることは確かですが、そのことだけで世界に通用すると考えるのは早計だと思います。日本ですら核家族化が進行している現在、このような家族を描いた映画が見直されたのが主な理由のような気がします。世界に通用させるには、もう少しインパクトが欲しい所です
しみじみと胸に語りかけてくる映画ですね。親子双方の思いを巧み入れこんで演出しているので、この映画は見る年代によって捉え方が違うのかもしれないですね。20代前後の頃だったら見るに耐えない作品だったかもしれないです。あまりにも自身の内面を映し出すような作品なので、コメントしずらいしずらい(笑)
原節子や香川香子の身のこなしや言葉使いがヒジョ〜〜に美しい。老夫婦が海を見つめるシーンも微笑ましく美しい。ラストシーンはほとんど静止画面に近いあの映像から、妻を亡くした孤独感や、これからさらにゆるやかに流れるであろう彼の時間を感じました。これは映像力だ〜〜!
自らの墓碑銘が「無」であることからもわかるように、
小津安二郎(の作品)は徹底した透徹さと
この「絶対的な孤独感」こそが本質であり特徴であると言える。
いかに孤独であるかを「説明」したり、
声と表情とオーバーなアクションとで「表現」したり、
もちろん映像や音を「利用」した「象徴」でお茶を濁すこともなく、
映画としていかに実現するかについて格闘し続けたのが小津だった。
この限りにおいては小津が取った作品は
その感動を生々しい肉体感覚として見る者にもたらすアクション映画であり、
最早笑うことによってしか「それ」を受け止めることが出来ない喜劇映画だった。
「東京物語」はこうした小津の「小津的なるもの」が
ある意味ではわかりやすく体現(表現ではない!)されている作品だと思う。
日本が世界に誇るべき映画だと思う。
画面の中のあらゆること1つ1つが全て計算し尽くされている。
見ていて鳥肌が立った。
だから「空気枕」と東山千栄子さんのやさしい顔を思い出してほのぼのとしましょう。
これほど親子の断絶をさりげなく、そして厳しく描いた作品も稀だと思います。特に母親危篤の知らせを受けた長男(山村聡)が縁側から犬を呼び寄せて可愛がるシーン、喪服を持っていくことを何の感傷もなく言ってのける長女(杉村春子)の姿には、悪意がないだけにより胸に突き刺さります。
したがって、いわば「他人」の次男の嫁(原節子)と若く潔癖な末娘(香川京子)のラスト近くのやり取りに救われる思いがします。
ベスト3に必ず入ってるの?同じ小津・原節子コンビの
「晩秋」の方がはるかにいいと思うけど。この映画は
テ−マがかなりどぎつい。ほとんど親殺しだもん。その
テ−マと小津監督独特の淡々とした描写がちょっと合って
ない気がした。ただ、原節子の演技は素晴らしかった。
ちょっと老けが目立っていたけど、杉村春子にはない
本当の意味での自然さがあって感心した(杉村春子は
巧すぎてかえって不自然という感じ。ただ、成瀬巳喜男
監督の映画では本当に自然な演技を見せる)。笠智衆の
味というのもイマイチ理解できないし。う−ん、やっぱり
「晩秋」だね。この映画では原節子の意外なほどの激しい
演技が見られるし美の頂点に立っていた頃だし、この映画
での笠智衆と杉村春子の演技は良いと思うし。「東京物語」は
年を取ったら良さが分かるってタイプの映画なのかもね。