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心に花の咲く日まで(1955)

メディア映画
製作国日本
公開情報劇場公開(大映)
初公開年月1955/04/14
ジャンルドラマ

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投稿者:黒美君彦投稿日:2013-01-05 22:22:31
【ネタバレ注意】

<あらすじ>東京の賃貸住宅に住む笹山三吉(芥川比呂志)とすず子(淡島千景)夫婦。三吉は半年前に造船会社の職を失い、すず子が洋裁で僅かな収入を得ている。壁をへだてた隣の森下(杉村晴子)は山梨の家を飛び出し、若い志野(仲谷昇)と暮らしている。すず子の友人原(丹阿弥谷津子)は愛人をしていて金には困っていない。すず子は姉山崎たか子(文野朋子)と不仲で、やっとのことで三吉にまわって来た新聞社の広告の仕事も弟の良(飯田紀美夫)に譲るよう、盲腸で入院中のすず子に求め、すず子はその悔しさを三吉にぶつけるのだった…。

監督としても活躍した佐分利信がメガホンを取った文学座総出演の作品。
1955(昭和30)年当時の小市民の生活が描かれるが、背景に挿入されるベートーベンの交響楽第6番「田園」が効果的(しかも多用していないところに好感)。
「地味」「華がない」(石上三登志)と一部からは厳しい評価も聞かれるが、文学座分裂前の名優たちの共演が観られるだけでも貴重。

“間が伸びている”と陰口を叩かれる三吉を演じる芥川比呂志(当時34歳)が素晴らしい。泰然と構えているが、健気な妻を心から愛している様子が伝わってくる。そして、愚痴もこぼすが夫をいつも気にかけている妻すず子を演じる淡島千景(当時30歳)の美しさはどうだろう。
新婚さながらに夫婦で戯れる様子は思わず微笑んでしまう。
そして若い男に惑ってしまった中年美女の杉村春子(当時49歳)。そんなに色気は感じなかったけど、つばめの志野を演じた仲谷昇(当時25歳)はなかなかの美男子。
「芥川賞を狙うんだ!」という志野について、三吉(芥川龍之介が父だけに?)が「彼は大したことないよ」と喝破するのも面白かった。

貧しくとも、若い男に走った森下や愛人に収まっている原から「旦那さんが優しくてうらやましい」と言われるすず子。
苦労は絶えない。しかし前向きに、ひたむきに生きている戦後10年の若夫婦の姿は心を打つ。

すず子にこんな台詞がある。
「私はね平凡な奥さん(になるのが夢)。旦那様に可愛がられて毎月月給袋をそっくりもらって、きちんきちんと家計簿をつけ、月給の5%を貯金して子供の教育費にする」……。

こうした真面目に生きた小市民が、今に至る豊かで平和なこの国を作ってきたのだ、と、その後の半世紀あまりを振り返って思う。

ロケ地は目黒区駒場付近だとか。まだ田園風景が残っているのも新鮮。
とにかく芥川比呂志と淡島千景が印象的な名画だ。

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