飢餓海峡(1965)
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十数年ぶりに観たが、素晴らしい作品である感想に変わりなし。
日本映画が本当に良かった頃の代表作であろう。
この作品に対し、演出がどうの、脚本がどうの、役者の演技がどうのこうのというCommentをする人間は何様なのかと思ってしまう。
特に映画評論家気取りの素人があーだこうだと言うのはオカシイと思うが。
こう書いていても、この後クダラナイCommentをする人間が出てくるんだろうが。
とにかくミステリー映画としても社会派ドラマとしても一級品。左幸子は狂っている!
3時間は長いとは思わなかったが、八重が出るシーンは流れが停滞し退屈ではある。
とは言え、全体を通して観るとそれが大事であり不可欠な箇所であることは間違いない。
彼女の10年間を丁寧に描かないと弓坂の言う「心的証拠」が理解できない。樽見の心もだ。
見終わって考えると、むしろ後半の性急さのほうが問題かもしれない。
高倉健登場あたりから、あまりにも急ぎすぎると感じられた。仮説を立てるのは結構だが、決めてかかるのはどうなんだ。もうちょい丁寧に進めても良いと思うのだが。
捜査陣の攻め手が弱すぎるし。
しかし、物語の力点はそこでは無いのだろう。弓坂の言うように「お互いに信じ合うことが出来ない」。八重が言った言葉「犬飼さんは優しい人」というのはおそらく事実なのだ。彼は本物の篤志家なのだろう。そんな彼でさえ八重を信じることが出来なかった。そして世間や警察もまた犬飼を信じられない。そこに深い海峡が横たわっているということか。
もうすこし上手く演出できたのではないかとも感じたが、見事なドラマだと思う。
配役がとても良い。演技以前に顔が役に合っている。
序盤で三国が物を食べるシーンが印象的だ。最初は駅で仲間二人を待つシーン。そして、初めて八重に会うシーン。タバコを吸うバアさんを間にはさみ、奥に三国、手前に左幸子。三国はうずくまり外を見ている。左幸子は軽く微笑む。とても美しく良いシーンだ。
そう、この映画はまさに、捜査主任の役に世界一ハマる俳優(?)藤田進を見るための映画です。いやぁ軍人役もいいけどこういう役ホント良いですよね!ものすごい存在感、高倉健さんが霞んじゃってます。(タイトルの名前の下に(東宝)って書いてあるのが面白い)
大分昔、子供の頃に、TVで前編後編の2週に分けて放映してたのを、たまたま後編の途中からチャンネルを合わせて観始めたら、あまりの面白さ、異様な迫力に目が離せなくなりました。それまで洋画ばかり観ていて、日本映画はつまらないと思っていたのが(裕次郎のアクション物とか)、こんなに面白い凄い映画もあるんだと、これを観てから日本映画も観るようになった最初の映画です。ラストの衝撃に思わず、アッ、と声をあげてしまいました。
個人的には
【主演】 藤田進
【助演】 伴淳三郎 左幸子
【その他】 三国連太郎 加藤嘉 高倉健 山本麟一
・・・・って位置付けかな。(そのくらい藤田進がカッコ良かった)
「老骨、お役に立ちましょう」 (伴淳三郎)
この歳になった今だからこそ砂に水が染み入るように入って来るものがある。
人生を変えたい…左幸子演じる娼婦が、棚から降って来た金をベースに、
それを使い切ることなく爪の垢に火を灯すが如く、金を積み重ねて行く。
そこには与えられた感謝と与えて来れし者への愛情。
形こそ変われど同じことが犬飼にも言えたのかも知れない…極貧の幼少からの脱却
手にした方法は汚れていても、重ねることで浄化されるかも知れないと言う希望…
細かなディテールの食い違いは私にとってはさして気にならない。
雨に濡れる恐山がまるでキーワードのように二つの重要な場面に登場するが、
(一つは娼婦に金を与える場面、一つはその娼婦を殺める場面)
感覚的に観る者へと刷り込まれる。
伴淳と高倉健の二人の刑事の対比も観ていて興味深いものがある。
後半のいい所を高倉健がさらうのかと思いきや肝心な所で伴淳が締める。
(伴淳の家庭の父子愛もさり気なく描かれているが素晴らしい)
終盤の伴淳のセリフで、
「あんたの歩いて来た道には草木も生えない」とあるが、
この言葉は観る者へもまた犬飼の心をも動かしているような感じがする。
戦後まもない貧困の中で誰もが生きることに必死だった…地ベタを這うかの如く。
食べることもままならない飢餓を心の飢餓へと上げ、提起しているこの作品は、
今の時代だからこそ観て欲しい。
人間ドラマとしても秀逸で心の深淵を更に深くえぐられる作品。
脚本も素晴らしいと思う。
結局、全てを明らかにする途中で…真相は観た人それぞれの中に、ですかね。
人間は、その行動、表情から、その人はどういう人なのか、読み取ろうとする。
役者達の素晴らしい演技によって、その判断材料は転がっている。
ソラリゼーションやエンボス処理等の映像加工表現も面白い。
杉戸八重は素晴らしいですね。実に前向きで人の為に生きる事に喜びを持つ。
犬飼多吉も親に現金書留を送る男ですね。何より大金を行きずりの女に与える、これは大金目当てで犯罪を犯した男の行為ではないように思えるが。
が、成功した己の地位可愛さに人の心を見失ったか?
観ている僕らは八重がどんな人間か良く解っている〜が、彼にとっては10年前の記憶しかないのだから…彼女が何をして、どのように生きてきたかなど知る由も無い。
人間の幸せとは何なのか?我々は何を持たず何を求めるのか?…飢餓か…
蛇足だが、下北半島に着いたのは奇跡(は起こる)かも知れないし、拾われたのかも知れない。
前科は無い…心にやましい事は無かったのかも…当時警察に行けば犯人にされたにしても。
ラストについては…僕も片手は手錠で片手で投げるのか、と思いきや、すっと前に出てきたので、あれっ、と思いましたね。まぁ、とりあえず警官で固められた船からは逃れる術は無い、船の上では外してやろう、という温情であったのかも。船を止めて助けにゆくのが普通なのかも…不自然ではあるかも知れないが、圧倒的に素晴らしいエンディングであるともいえるような。
久しぶりに観ましたが3時間の時間が全く感じられませんでした。
誰もが感じる所でしょうが、三國連太郎、左幸子、伴淳三郎は圧倒されます。
下北半島についてからの三國連太郎の心理描写。
左幸子の東京での生活における人の純粋さと残された物は爪しか無いのだから、
その爪に対して異常な執着心を持ち三國連太郎に殺される最後の最後まで親指に執着しようとする。
伴淳三郎と三國連太郎の最後の掛け合いは圧倒されます。
あまりにも良く出来ているので、かえって無いであろう所が目に付く。
手で小さな船をこいでいるのに函館付近から下北半島につくはずがない。(行った事がある方は分かると思いますが、ものすごい海流で船まで沈む日)
前科のある人間が新聞に載るような行為をするはずが無い。
三國連太郎の回想シーンで札束が全く濡れていない。
ラストに腰縄を警察がつけていないはずが無い。
こんな事を言うのは野暮でしょうが、逆に言えばそこしか不自然さは感じませんでした。
イタコがキーになると思ったけどそうでもなかったね
健さん いいね
世間が自分をどう見るかについては予測できても、目の前にいる他人が何を考え、どういう想いを持っているかについては見当がつかない。海峡が存在するとしたらここだが、ここに横たわるのは飢餓ではなく、ある種の人恋しさだろう。「自分がこれだけ思っているのだから、相手も同じように思っていてくれるはず」という勝手な思い込みで行動する登場人物が、理解を得られないと分かって感情を爆発させる。これまで自己を抑制してきたからだろうが、私に言わせれば要求が高すぎる。否、少なくとも、コミュニケーションの第一歩になって欲しい。この映画は結局のところ、コミュニケーションの不成立を描いている。この映画に人物描写の甘さを感じるとしたらここだろう。
世の中は確かにディスコミュニケーションに満ちている。だが、だからといってディスコミュニケーションのままでいいんだよ、と言ってあげたとしたら、それは気休めだ。映画に気休めを求めること自体は悪いことじゃないと思うが、それで雰囲気を暗くしてしまっている点が気に入らない。映画に対し求めるものが違う人たちに、この映画は違うよ、ってことが伝わりさえすりゃいんだが。6
この傑作の良さが判らないとは・・・。
「昭和」は遠くなりにけり・・・。
手馴れてないせいか、登場人物のつくりこみが甘すぎ。
我慢してみる価値はない。