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四畳半襖の裏張り(1973)

メディア映画
上映時間72分
製作国日本
公開情報劇場公開(日活)
初公開年月1973/11/03
ジャンルエロティック/ドラマ
四畳半襖の裏張り [Blu-ray]
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【クレジット】
監督:神代辰巳
製作:三浦朗
原作:永井荷風
『四畳半襖の下張』
脚本:神代辰巳
撮影:姫田真佐久
美術:菊川芳江
編集:鈴木晄
助監督:鴨田好史
出演:宮下順子袖子
江角英明信介
山谷初男ぴん助
丘奈保美夕子
絵沢萠子花枝
芹明香花丸
東まみ菊子
粟津號幸一
吉野あい染香
【解説】
 永井荷風の原作の映画化で、大正中期の騒乱を背景に、遊び人の中年男と初見の芸者との密室での情交のさまを描いた日活ロマンポルノの名作。日本中が米騒動に揺れる大正中期、東京・山の手の花街。料亭“梅ヶ枝”では、ひとりの客が芸者がくるのを待っていた。客の名は信介、30歳半ばの遊び人風情のいい男。そこへ、芸者・袖子がやってくる。そして、二人は座敷へと上がり……。
<allcinema>
【ユーザー評価】
投票数合計平均点
321 7.00
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【ユーザーコメント】
投稿者:シネマA投稿日:2007-02-28 23:09:48
 かつては神代辰巳監督作品といえば、なにを観ても不愉快になるばかりで、なんでこんなに評価が高いんだろうと内心では怪しんでいた私でしたが、多少は人生の修羅場(?)をくぐって大人になったせいでしょうか、あらためて見直してみると、透徹した人間観察の奥深さに瞠目させられます。

 さしずめこの作品あたり、神代辰巳の最高傑作といえるのではないかしら。永井荷風の作と伝えられる発禁ポルノ小説『四畳半襖の下張』を下敷きにして監督みずからシナリオを練りあげた。1973年のキネ旬邦画ベストテンでは第6位にランキングされていますね。海外では《The World of Geisha》というタイトルで紹介されているらしい(以下、ネタバレあり、です)。

 大正時代の米騒動の頃の東京は新橋界隈の花柳界が舞台。遊び人の信介(江角英明)と芸者の袖子(宮下順子)の交情を主軸に、半玉の花丸(芹明香)に芸を仕込む年増芸者の花枝(絵沢萠子)の日常、シベリアに出兵する幸一(粟津號)と恋人の夕子(丘奈保美)の束の間の逢瀬、酒席の座興で首を吊らされる幇間のぴん助(山谷初男)の災難、といったエピソードが配されて絶妙なカットバックで進行します。名人芸と評するほかない熟達した編集は、ご存じ鈴木晄。

 いきなり、キャメラの長まわしと横の移動に引き込まれる。姫田真佐久らしい端正で鋭利な撮影といい、低予算ながら行き届いた菊川芳江の美術といい、トーキー初期に『浪華悲歌』や『祇園の姉妹』を撮った溝口健二監督の霊魂が神代辰巳に乗り移ったか、と軽口を叩きたくなるほどの出色のできばえ。そのぶん、ポルノグラフィとしての満足度は総じて低くなったけれど、私はいっこうに気にならぬ。

 サイレント風の字幕をリズミカルに挿入したことも活きた。いわく「男は顔じゃない」「男の顔はお金」「ああ、××ます、××ます」「行きつく先は色地獄」なんていう類い。「女房は三度の飯なり。しかし、屋台の立喰い、わすれがたき味あり。此の理(ことわり)知らば女房たるもの、何ぞ嫉(や)くに及ばんや」という擬古文の原作からの引用もおもしろい。そのほかに当時の報道写真も活用されていた。

 宮下順子は怖いくらいの名演技です。抑制のきいた、しなやかなセリフ廻しに色気をやんわり滲ませていて油断ならない。信介との初会の床入りでは、ちらちらと横目で客を品定めする一方で、甘えたり拗ねたり恥じらったりしてみせる玄人っぽいしぐさがリアル。蚊帳のなかで、いつしか燃えあがり取り乱していく姿態がこれまたリアル。障子の明るさの微妙な変化。長時間の濡れ場には必然性がありました。

 絵沢萠子と芹明香のやりとりも強烈な印象を残します。お茶を挽いてる先輩から執拗にしごかれても、すっとぼけてやり過ごすオボコ娘のけなげさ。わざと深爪を切ってやって仕返しするしたたかさ。玉子や紙の笛の玩具であそこの締まりを鍛えさせられるとは大変な稼業です。すこし笑わせてしんみりさせる。人生のささやかな実相をあっさり描いて突き放す。

 男優陣も負けていない。江角英明は、裕福な遊び人特有の駄目さ加減というか、じつにイヤミな無神経さと狡さをさりげなく露呈させていたのが心憎い。「俺、なまけもの」なんていって全裸の股間を扇子で隠したまま片手で鴨居にぶら下がって自嘲。山谷初男が演じた哀れな幇間も忘れられないおバカさんです。出兵前に幼馴染みの丘奈保美に会いに来る粟津號の冴えない兵卒は、あの必死な形相の涙がなんともいえなかったな。いつも時間に追われていて、三こすり半で終わってしまう。男って、肝腎なときにだらしなかったりする。誰もが滑稽でせつない。

 宮下順子と丘奈保美と芹明香の三人の女優たちが一本道ですれちがったり、あちこちで交錯したかとおもうと、天井の蝿を取っている絵沢萠子を映し出して映画は唐突に幕切れとなる。あとには嘆息あるのみ。鮮やかなお手並み拝見。濃密な72分。淫らで喜劇的な色模様。

 男女を問わず、大人の映画ファン限定でお薦めしておくことにします。まあ、娯楽作品にしてはいささか身につまされて辟易する物語かもしれませんが、日本映画史上の不朽の名作のひとつだと私はおもいます。
投稿者:ASH投稿日:2003-05-31 23:11:05
大島渚監督が『愛のコリーダ』を撮るに当って最も影響を受けた映画がコレらしいが、なるほど、密室で性愛に耽る男女という設定はよく似ている。ポルノ映画だったら単に男女の秘め事をネチネチと撮ればそれで済むものの(実際、そういった映画も多い)、この映画では背景としての大正という時代を浮き上がらせようとしている(大正浪漫のそれとは違うけど)。その試みはポルノ映画と片付けるには勿体ないくらい、もはや高尚な匂いのする映画(褒め過ぎだね)。有名な蚊帳の中でのセックス・シーンなどの官能性は、神代辰巳監督の真骨頂なんでしょうね。
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