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雪夫人絵図(1950)

メディア映画
上映時間86分
製作国日本
初公開年月1950/10/21
ジャンルロマンス/ドラマ/エロティック
雪夫人絵図 [DVD]
参考価格:¥ 5,184
価格:¥ 4,800
USED価格:¥ 2,015
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【クレジット】
監督:溝口健二
製作:滝村和男
原作:舟橋聖一
脚本:依田義賢
撮影:小原譲治
美術:水谷浩
編集:後藤敏男
音楽:早坂文雄
助監督:小森白
出演:山村聡立岡
浦辺粂子きん
加藤春哉誠太郎
夏川静江お澄
久我美子安部浜子
小森敏宇津保館板前
上原謙菊中方哉
石川冷宇津保館板前
田中春男ボーイ
浜田百合子綾子
柳永二郎信濃直之
木暮実千代信濃雪
水城四郎運転手
【解説】
 舟橋聖一の同名小説を「夜の女たち」でコンビを組んだ依田義賢が脚色し溝口健二が監督した文芸エロス。撮影は「一番美しく」の小原譲治、音楽は「羅生門」の早坂文雄が担当した。1975年には佐久間良子主演「雪夫人繪圖」として再映画化された。
 旧華族信濃家の一人娘の雪は婿養子の直之と結婚しているが、直之は京都のキャバレーに勤める愛人の綾子を抱え、放蕩三昧の生活を送っていた。家に出入りする琴の師匠の息子・菊中方哉に想いを寄せる雪だったが、夫に離婚話を切り出す勇気がなく、直之の肉欲に負けてしまうのだった。父が亡くなり財政的に行き詰まってしまったため、雪は熱海で旅館を始めるが、そこへ綾子とヒモの立岡を連れて直之が姿を現した。
<allcinema>
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【ユーザーコメント】
投稿者:noir fleak投稿日:2015-03-09 01:12:21
女性心理(性衝動か)を描いたのが珍しい。確かにちょっと通俗大衆文学的だし、人物描写にも一貫性がない。途中で書生が突然凶行におよぶくだりなど不可解だ。
しかし木暮、柳がすばらしい。二人に比べると上原謙も久我美子もあくまで脇役だ。(久我の入浴シーンがボーナスか。笑)
ロケ撮影と豪華セットの取り交ぜ方がいかにも溝口監督らしくていい。
見て損はない一作ではある。
投稿者:呑気呆亭投稿日:2013-12-15 11:07:55
初見では溝口の演出する木暮実千代の隠微なエロスに参ってしまったのだが、二度目では何度も奇妙な顔を象った帯留めをこれ見よがしに映し出す作為にうんざりしてしまったのだった。おまけに雪夫人が恋する琴の師匠の上原謙のしたり顔が鼻について、やたら裸になる柳永二郎の下品さとともに見るに堪えない思いがしたことだった。登場人物の誰にも感情移入出来ない珍しい作品である。http://d.hatena.ne.jp/nanjakuteituisho/
投稿者:ルミちゃん投稿日:2012-04-27 21:07:31
【ネタバレ注意】

夫は、財産を食いつぶしながら、愛人と一緒に暮らしている道楽者.なにがなんでも別れなければならない相手です.にもかかわらず、夜になると、やっぱりあなたが良いと、自分から擦り寄っていってしまう様な雪は、方哉にとっていくら好きな相手であっても、どうすることも出来ません.方哉は酔っ払って『妻を幸せにしてやって欲しい』と夫に言ったのですが、これ以外に言い様がないのですね.
作品全体を捉えれば、(庶民の男では華族の妻は幸せには出来なかった)華族の男たちに、自分たちが働いて妻を幸せにしろ、と、このように言っているのでしょう.
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書き加えれば、方哉は非常に聡明な人間として描かれています.今一度書けば、夫は、財産を食いつぶしながら、愛人と一緒に暮らしている道楽者.あくまでも悪いのは夫、家から追い出さなければならない人間であり、追い出してしまえば済む話である.
けれども、雪の望むように方哉が雪と関係を持ったならば、雪も所詮は財産を食いつぶして生きている人間であり、それでは全く夫と同じになってしまう.だから、方哉は体を求める雪を拒絶し、そして旅館をやるように勧めました.
夫は弱い人間であった.財産を失ってしまったら何も残らなかったのです.方哉は雪に強くならなければいけない、と言いましたが、夫が弱い人間であったと考えれば、夫と逆の生き方をすれば強くなれるはずである.何度も書くことになりますが、夫は財産を食いつぶしながら、SEXに狂った生活をしていた、こう言えるわけで、自分でお金を稼ぎ、SEX狂いを絶てば強くなれるのが分ります.
夫が愛人に旅館の経営をやらせようと言いました.誰がどう考えても酷い話です.さて、方哉と雪が自分たちだけの幸せを考えて、二人で駆け落ちのような形で逃げてしまったとしたら、女中達奉公人にとっては、夫が愛人に旅館の経営をやらせようとしたのと同様に、無責任で酷い話であったと言わなければなりません.
雪は京都へ夫に会いに行って、結果自殺を図ったのですが、奉公人からみれば無責任な行動でした.強い人間になるとは、自分でお金を稼ぐこと、描かれた雪の場合は、旅館の経営者として自覚を持つこと、つまりは夫と別れることであり、それはSEXすることより大切なのは当然のことである.けれども雪は、SEXに狂って自分のことしか考えていなかったと言えます.SEXに狂い道楽で財産を使い果す夫と、SEXに狂って別れられなかったと言うことは、自分がSEXに狂って財産を使い果たしたのと同じことなのですね.
いまひとつ書き加えれば、雪と夫を別れさせようとする山岡の企みに雪は乗ってしまったのですが、方哉は乗りませんでした.SEXに狂っている人間は自分のことしか考えない人間であり、皆の幸せを考えれば、決して他人の悪巧みにはまることはなく、正しい生き方が見つかるはずである.

投稿者:Bava44投稿日:2007-10-31 19:26:35
【ネタバレ注意】

溝口にしては随分通俗的なところがあって、またヒロインに味方するような人物が複数いる以上、全盛期の作品のような圧倒的な息苦しさ、
やるせなさを感じることはない。それでも普通の映画と比べると十分それを感じるし、真の人間ドラマを感じさせるところがあった。
ヒロインが病床の蚊帳から出るシーンは明らかに観客を意識した演出だと思う。

美人局にはまった男の妻の話だとすると、随分酷い話だな。
出演者に関してはそれぞれ得意な役をやっているので、流石に上手いと思った。
7.5点

投稿者:はこまる投稿日:2006-12-12 22:11:15
と、小津が言ったかどうかは分かりませんが、新東宝マークではじまる溝口映画です。落ちぶれた華族の女の物語。原作は未読です。この時代の日本人を知らない私には非常に面白い映画でした。現在の目でみると、この雪夫人のキャラはちょっと無理があるよなぁ、と思ってみてましたが、初公開時の日本人にはどのように受け止められたのでしょうか。

「民主主義か何か知らんが、どいつもこいつも我が物顔に振舞いやがって!」とうそぶく世渡り下手の床上手な夫。

「私はどうして女なんかに生まれてきたのでしょう・・私の中には魔物が住んでいるのです・・・」ありえないキャラだけど、シルエットやしぐさが実に美しい木暮美千代扮する雪夫人。

「強くなるのです」といいながらストイックを通り越してインポフェチ入っている上原謙。現代的なだめんず。例によって上原好演。

ただし、作者が現代的な視線を入れるため設定した、雪を慕う久我美子のキャラはあまりうまくいっていません。露出はありますが。

この映画の脚本を原作者の弟と共に書いた依田義賢氏の著書「溝口健二の人と芸術」に、本作の脚本を制作する過程での溝口とのやり取りが書かれています。ちょっと面白いので採録します。

監督協会の寄合から帰ってきた溝口。持っていた脚本を依田氏の方に放り投げます。
「依田君、僕は恥をかいて帰ってきました。」
「どうしてですか」ムッとする依田氏。
「どうしてじゃありません。この脚本をみんな笑ってますよ。お前、本当にやる気かい、どうかしてるんじゃないかと言われましたよ。こんなのシナリオじゃないと言ってますよ。」
「誰がそんなこといったんですか」
「誰だっていいですよ。困ったね。君。どうしますかね。」
「悪ければ直しますよ」怒る依田氏。
「いやだめですよ。直らんでしょう。」
「そう言わずに直せばいいでしょう」
「ダメだね、映画がわかってないんだよ、君は、こう言っては失礼だが、シナリオライターじゃありませんぜ。シナリオが書けると思ったら、大変な間違いだ。」
「そりゃまだまだ、だめだと思っていますよ。」
「それじゃ困るんだ。君は勉強して行くからいいかもしれないが、僕は困るんだ。」
「それじゃどうするんですか。僕がだめなら、今からでも別の人を立てて直さなきゃならないでしょ。」
「そんな時間ありませんよ。」
腸は煮えくり返る依田氏。
「まあ、やれるだけやらなきゃ仕様がないでしょう。・・・」今度は横にいる書生に目をやる溝口。
「○○君、君は時々、居眠るね、人が話している最中でも、船を漕いでいる。」怒りはさらに別の人へ。

依田氏によると、不慣れな世界を描くことに一抹の不安を持った溝口が、協会での席で小津らに脚本を読んでもらったらしい、とあります。果たして小津は溝口になんと言ったのでしょう。考えるだけでも楽しいです。

確かに、松竹と袂を分かち、優秀とはいえ溝口映画に不慣れなスタッフと仕事をしていくことに溝口が不安を持ったのは想像できます。ましてや時代は大変な勢いで劇的に変わっていた時期です。
本作は、溝口映画の中ではあまり評価が目立たない作品ですが、作り手が決して投げやりな態度では取り組んでいないため、やはり見ごたえのある映画となっていると思います。

撮影当時の時期的な理由で、素晴らしいラストシーンに雪景色が登場しないのが残念ですが、今見ても十分面白い映画です。
投稿者:黒美君彦投稿日:2006-11-06 01:43:00
【ネタバレ注意】

貴族の没落と女の業を描いた作品だが、まさにロマンポルノ的設定という指摘どおり(苦笑)。まだ穢れを知らない奉公人としてやって来た濱子(久我美子・・・当時19歳!)に、彼女の憧れの女性信濃雪(木暮実千代)のあられもない姿を見せつけ、悦に入る婿養子の直之(柳永二郎)。濱子が直之にいつ襲われるかとヒヤヒヤしてしまった(苦笑)。倫理的にも厳しい中、溝口は直截的ではない性描写を巧みにしのびこませている。そして雪の抗う術のない女の性の象徴として挿入される能面の帯留のクローズアップ。

放蕩三昧だが絶倫(?)の直之と、相談相手にはなるが全く頼りにならない琴の師匠・菊中方哉(上原謙)。いくら憎んでも肉体は直之を欲するという分裂した状況に陥る雪。そして、その間に残り僅かになった資産を奪おうとする立岡(山村聰)と直之の愛人綾子(浜田百合子)。他のコメントにもあるが、ラスト近いクレーンを使った巧みなカメラワークはなかなか。芦ノ湖の幻想的な雰囲気とともに、思い切りひいたルーズショットでの演出はさすが、と唸ってしまう。もちろんラストの久我美子の「意気地なしっ」に至るカットもいい。

木暮実千代はアンニュイな感じはあるものの、やや内側から溢れる艶かしさがこの作品では不足しているように思う。柳永二郎も、中盤までの憎々しげな演技はいいのだが、終盤突然雪にかしずき始めてからは少々弱い感がある。上原謙は相変わらず(苦笑)。寧ろさばさばとした悪役山村聰が引き立っていた。
旅館になる信濃家の熱海の別荘は、かつて熱海の三大別荘のひとつに並び称され、今は熱海市が管理する「起雲閣」だそうだ。この屋敷もこの作品の重要な要素のひとつといっていい。
溝口作品の中では必ずしも評価が高い作品ではないが、それなりに見どころのある作品だ。

投稿者:シネマA投稿日:2006-09-10 09:21:15
 世界のミゾグチの低迷期の作品なんていわれてるらしいですが、たいていの人は観ないで決めつけるので、あてになりませんね。私は最近になってようやく衛星放送で視聴しました。

 昭和25年のモノクロ映画。舟橋聖一の戦後の流行小説を依田義賢と舟橋和郎が共同で脚色。私は十代の頃に情痴小説のつもりで原作(新潮文庫絶版)を読みましたが、荷風や谷崎の作品ほどの文学的な深みと官能は感じられなかった。古風な通俗小説という印象をうけた程度。ほぼ忘れていました。

 旧華族の深窓育ちの雪夫人(木暮実千代)を軸にしてすべてがまわっている世界の物語です。放蕩三昧の婿養子の夫、直之(柳永二郎)。琴の師匠で恋人の方哉(上原謙)。よるべない貴婦人の心とからだをさんざん虐げたり苛んだりしている元凶であるはずの男たちが、じつは反対に雪夫人の強烈な支配の下にあって苦悩している。この人間関係は興味を引きます。

 目にあまる屈辱の仕打ちを受けて心から嫌悪しているはずの夫なのに、強引にもとめられると言いなりになり、あられもない痴態にふけってしまう、ふしだらな美人妻。露骨な濡れ場こそ巧妙に省かれていますが、心理的構図はいわゆるSMポルノの定型です。

 木暮実千代はさすがに名女優。凛とした気品のある表情、節度あるエロティシズムの露呈。新派の柳永二郎も巧い。愚かしい傲慢さ、ぶざまな弱さをさらけ出す。あの腹のたるんだ醜悪なステテコ姿。まるで日本の中年男性の典型じゃないですか。二枚目上原謙の頼りにならない傍観者ぶり。泥酔の醜態。悪役の山村聡と浜田百合子も達者。溝口演出は辛口。情け容赦がないですね。
 
 久我美子だけは清楚でさわやか。お手伝いの濱子の役。美人で上品すぎるか。原作ではたしか、雪夫人にレズっぽい憧れを抱いていたはず。最初のほうに久我の貴重な入浴シーンがあります。といっても、TBSの『水戸黄門』の由美かおるより控えめな露出なんですが。

 溝口らしいキャメラの移動と長まわし。もちろん、随所に観られますよ。特に終わりのほうの芦ノ湖畔のレストランのテラスでのクレーンを使った移動撮影。暗示的効果を発揮。ありがちかもしれないけど。

 フィルムの保存状態、最悪。巻頭から幕切れまで雨がざあざあ降りっぱなし。30年前の街の片隅のちっちゃな名画座をほうふつとさせますね。なんだかなあ。〈みなさまのNHK〉はいまどきこんなのを放映しても平気なのかしら。画質の悪さは作品の評価にも悪影響をおよぼします。新発売のDVDではどの程度まで修復されているのでしょうか。気になるところ。

 溝口健二監督の有名作品をひととおり観たうえで他に何かお探しのかたでしたら、これは一見の価値あり、なのでは?
投稿者:Ikeda投稿日:2006-09-08 10:51:54
旧華族の娘、雪(木暮実千代)は婿養子の直之(柳永二郎)と熱海伊豆山の別荘に住んでいるが、直之は京都の妾、綾子(浜田百合子)の所へ行っていてほとんど家にいない。そこへ女中のきん(浦辺粂子)と書生の誠太郎(加藤春哉)に連れられて浜子(久我美子)が奉公に来る。雪は箱根の山のホテルにいる琴の師匠、菊中(上原謙)が好きだが、直之と別れられない。更に直之の取り巻きの立岡(山村聡)が現れて愛欲と金銭がらみの話が展開します。
戦後のこの時期はエロティックな映画が流行りだした頃だったと思いますが、その傾向は別としても、あまり面白くない映画でした。主要な出演者がほとんど人生の敗北者といって良いでしょうが、それぞれの性格や考え方の描写がばらばらで、すっきりしません。
また、溝口の作品には各エピソードの説明が不十分な事がよくありますが、この映画は特にそれを感じました。伊豆山と箱根の場所的なセッティングも紛らわしく、多少混乱しました。
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