ベニスに死す(1971)MORTE A VENEZIA | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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【クレジット】
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【解説】
掛け値なしに美しい映画だ。T・マンの原作ではギリシア神にも喩えられる少年タジオが現実にもいたせいだ。そのB・アンドレセンの美少年には主人公ならずとも、ヘテロの男性をも“その気”にさせる妖しさがあり、彼に出会えたことを“奇跡”と呼んだヴィスコンティの驚喜はよく分かる。彼とそして、全篇に流れる感傷的なマーラーの五番の第四楽章のお蔭で、この作品は耽美の極みに観る者を浸らせる。理想の美を少年に見出した作曲家アッセンバッハは、浜に続く回廊を少年を求めてさまよう。疫病に罹ってもなお、死化粧をその顔に施させ、ヴェニスの町を徘徊し、やがて疲れた体を海辺のデッキチェアに横たえる。波光がきらめく。満足の笑みを浮かべつつ涙し、化粧は醜く落ちていく……。痛切な幕切れは同時にひたすら甘美だ。


【吹き替え】
| 日曜洋画劇場 | ||
| 土屋嘉男 | ダーク・ボガード | グスタフ・アシェンバッハ |
| 武藤礼子 | シルヴァーナ・マンガーノ | タジオの母 |
| 水島裕 | ビョルン・アンドレセン | タジオ |
| 松尾佳子 | マリサ・ベレンソン | アシェンバッハ夫人 |
| 野島昭生 | マーク・バーンズ | アルフレッド |
| 今西正男 | フランコ・ファブリッツィ | 床屋 |
【おすすめ作品】
| A=無難にチョイス B=チャレンジの価値アリ C=発見があるかも!? | ||
| [001] | A | 冒険者たち (1967) |
| [002] | A | 地獄に堕ちた勇者ども (1969) |
| [003] | A | 映画に愛をこめて アメリカの夜 (1973) |
| [004] | A | 羊たちの沈黙 (1990) |
| [005] | A | 私のように美しい娘 (1972) |
| [006] | A | ブルジョワジーの秘かな愉しみ (1972) |
| [007] | A | 眺めのいい部屋 (1986) |
| [008] | A | 穴 (1960) |
| [009] | A | ヘヴン (2002) |
| [010] | A | イングリッシュ・ペイシェント (1996) |
【ユーザー評価】
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【受賞履歴】
(■=受賞、□=ノミネート)
| □ 衣装デザイン賞 | Piero Tosi | ||||
| □ パルム・ドール | ルキノ・ヴィスコンティ | ||||
| ■ 25周年記念賞 | ルキノ・ヴィスコンティ | (同氏のこれまでの全功績に対しても) | |||
| □ 作品賞 | |||||
| □ 主演男優賞 | ダーク・ボガード | ||||
| □ 監督賞 | ルキノ・ヴィスコンティ | ||||
| ■ 撮影賞 | パスクァリーノ・デ・サンティス | ||||
| ■ 美術賞 | |||||
| ■ 衣装デザイン賞 | |||||
| ■ 音響賞 | |||||
【ソフト】
| 商品名 | 発売日 | 税込価格 | ||
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美の化身タジオが老作曲家をからかひ、玩び、苦しめ、つひに滅ぼしてしまふ過程は、アッシェンバッハの窮屈な味気ない芸術観の誤り、その敗北を暗喩してゐるのですが、さういふ議論に興味のない方にとつては、愚かなゲイの老人が、美青年のストーカーと化した話としか映らないでせう。それはそれで正しい受け取り方であります。これは極めて厳粛な大真面目な顔つきで語られた「喜劇」なのです。アッシェンバッハが広場でへたりこんで笑ひ出すのは、芸術家として失敗し、滑稽で無様な老人に成り下がつた己を嘲笑してゐるからです。恋の悲劇などといふロマンチックなものではありません。
なほ文学者から見た音楽談義、といふ感想が下にありますが、トーマス・マンの原作のアッシェンバッハは作曲家ではなく、小説家です。映画の効果を考へ、ヴィスコンティが設定を変更したものです。
アッシェンバッハとエレベーターで乗り合わせて、彼が2階で降りる、ドアの開くあの瞬間のカメラワークがとても好きです。それとエリーゼのためにを単調に繰り返しながら、アッシェンバッハを一瞥するシーン。真骨頂だと思います。ため息。
でも映画はつまらないと思う。アンドレセンを探し出したのだから、それだけでも脱帽ですが、アンドレセン頼みでしかないというのも正直な感想です。母に聞いたら、公開当時のアンドレセン人気、すごかったそうですね(そうだろうなぁ!)
あとアッシェンバッハのきもちわるさは原作のほうが上だと思います。それも物足りなかったです。
極論すると、ヴィスコンティ以外の監督さんで、アンドレセンで映画化してほしかった。アンドレセンだけなら★10個つけられます。美しい。
http://www.amazon.com/exec/obidos/tg/detail/-/B0007LBM2M/ref=ord_cart_shr/102-4826388-6612146?%5Fencoding=UTF8&m=ATVPDKIKX0DER&v=glance
もともとトーマス・マンがあまり好きではなかったので原作も読んでいませんが、単にビヨルン・アンデルセンに対する敬慕の念を描き続けているだけの進行なので、必然的に多くなっている長回しのシーンなどは本当に退屈しました。それに、アンデルセンが美男子である事は確かですが、水着姿の彼のひょろひょろの姿態を見ると気持ちが悪くなりました。
勿論、画面は綺麗ですし、BGMを殆ど使わず、マーラーの交響曲以外にもムソルグスキー、レハール、プッチーニ、ベートーヴェンの曲を使っているようでいるようで、それはそれなりの効果を上げているますが、上記のような感じを持っていると、それだけでこの映画を評価は出来ないと言うのが私の率直な感想です。
老い、精彩に欠けた創作、おそらくは貴族の出でない成り上がりなのか、気品があるとか洗練されているともいえない主人公が水辺の都ベニスで見出したのは、若さと天性の美と生まれながらの気品を兼ね備えた絶世の美少年タジオだった。「美は倫理である」「美は感覚ではなく芸術家の努力によって到達するもの」と信じていた主人公は神が難なく生み出したタジオの存在に愕然とし、同時に彼を愛してしまう。紆余曲折を経て、結局主人公は信条を捨て、タジオへの愛に没頭し(といってもストーキングするだけ)、いよいよ魔界的な本当の美の世界を知る。最後は当局の隠蔽する熱病に倒れ、この世を去る。病に倒れてもなおタジオを求める姿は断末魔の喘ぎだったのか。短い恋ながら、人生の最後の最後になってようやく知り得た究極の美は命を賭けるにふさわしい境地である。
主人公と少年、ベニスの美しい町並みと隠蔽、こうした美と醜悪は決して両極端なのではなくむしろ共存している。そもそも「美」という感覚自体がある種醜い手段なしには得られない。どこか後ろめたい、どろどろとしたバックグラウンドがあって初めて美は成り立つ。
三島が生きていたら絶賛してたに違いない、20世紀初頭のベニスを舞台にした正にアートな作品だ。
とにかくセリフが少ないし大したストーリーもないが、マーラーの音楽に乗せて流れるように描かれる風景や上流階級のバカンス生活に魅了されよう。それはまるで白昼夢のようである。ビスコンティはやはり、うまい!
ただ、芸術論談義のシーンはちょっと冗長か。それにしても浜辺で食べる生イチゴってスイカより美味しいのかな?
演技陣。ボガード、渾身の演技だ。
ジイさんが美少年をひたすら、追いかける(でも声すらかけない)内容で、見てて気持ちが悪くなりました。
ある意味でホラー映画よりコワイかも。今ならあのジイさんストーカーだよね。
ヴィスコンティ作品なら、「異邦人」「イノセント」のが上だと思うけど。
ちなみに、Thomas Mannの同原作をもとに、Brittenがオペラを作曲してもいます。
Brittenが同性愛者であったことは周知のことで、Sirの称号を貰い損ねたのもこのためだといいます。
自身が同性愛者であったことを考えれば、BrittenがMannの原作を基にオペラを作曲した理由は分からないわけではない。
しかしそれが分かっても、依然として作品の良さそのものは、私には謎です。
本作が名作呼ばわりされているのも、私には不可解です。
同性愛の問題は脇に置くにしても、そもそも劇中の作曲家が胡散臭すぎる。
主人公が友人と戦わせる音楽論議、――あれは私に言わせれば、文学者の想像する音楽論議であって、作曲家自身の音楽論議ではない。
美術理論や文学理論は、一種の美学哲学であり、またそれ自体一種の文学でもある。
しかし、音楽理論だけは違う。
一種の文法の世界に近い。
作曲家たるものがあんな頓珍漢な観念を振り回して喜んでいるとは、私にはちょっと信じ難い。
もっとも、Romain Rollandの作品でも、ベートーベン似の主人公が批評家の友人と文学論議だか音楽論議だか分からないようなものをまくし立てあっているので、あの当時のあっちの作曲家というのは、もしかしたら皆ああいうものだったのかもしれない。
少なくとも表向きはああいう議論をしたがった、ということはあり得る。
化粧をして浜辺で横になって死んでいく大切りも、正直なところ、私にとっては美しいよりも気持ち悪かった。
あれは、劇中に登場した道化の人物や薄汚い乞食芸人のように、他ならぬ老作曲家自身が美しい少年に見捨てられた道化であり乞食芸人であったことを象徴的に示している、……としか私には思われない。
そう言えば、Mannの原作でもBrittenのオペラでも、鑑賞後は単に少しばかりの気持ち悪さが残っただけでした。
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山猫も叱り.
字幕の背景のモニュメントの女性の像.若い娘に思えるけど、ひねた表情で、口をとんがらかせている.なに、これ?
映画の後半は、延々と舞踏会のシーンが続くけれど、これだけ続ければ誰でも嫌になる、どんな馬鹿でもくだらないことが分かるだろう、そこまで描いてある.
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鳥インフルエンザの話から、
鳥インフルエンザの発生を隠そうとした、養鶏場の出来事はまだ記憶に新しいことです.結果として、病気の発生を隠すこともできなければ、皆が迷惑を被っただけで誰の得にもならなかった馬鹿げた出来事であり、今となれば、くだらない行為であったことを、当事者自ら認めることであろうと思います.
さて、映画の話、
この映画が『美』を描いているのは、誰も否定しないはず.美がどう言うものかと言えば、例えば美意識と言うと正しい物を示す.より詳しくは、辞書を引いて調べていただくとして、美に対比するのは『悪』なのです.
美少年に対比する悪は、初老の音楽家の男.
ベニスの美しい町並みに対比する悪は、悪党の船頭、蒸し暑さをもたらす季節風、コレラ、そして、その発生、蔓延を隠そうとする、街の当局者.
美少年がベニスの美しい街並のオブジェならば、初老の音楽家の男は、コレラの発生、蔓延を隠そうとする、街の当局者のオブジェであり、その行為がどのようなことかというと、くだらない、映画一本、見事にくだらない映画のようですね.
なかなか映画館でみる機会に恵まれず、観るまでに20年以上かかってしまいました。しかもドジな映写技師がフレームサイズを間違えて上映を始めてしまい、30秒後に調整するという最悪のスタート。その翌年、館内食べ物持込禁止の映画館で注意しても無視を決め込むゲイカップルと喧嘩になりました。ヴィスコンティに対するリスペクトの足りなさに悲しくなりましたよ。大好きな映画なので、いつかプライベート上映会をしたいです。
ダーク・ボガード演じるグスタフが最後に死ぬということなのですが、
あれは本当に死んでるんでしょうか?
というのは、コレラって、確かに怖い病気なんでしょうけど、
71年当時はそこまで怖い病気だったのかなあ?
というのがひとつ。
映画を観ていてなんか繋がりが変だなぁと思えるシーンがあって、
それを最後まで観た後に観直してたら、
やっぱり死んでないのじゃないかと思いました。
僕の中では、グスタフが死ぬ事=ベニスに死す
ではなくて、違う意味で死ぬって事なんじゃないかと思いました。
それは説明しないんですけど。
だって、本当にネタばれになる気がするし。
そういうことを踏まえた上で
この作品大好きです。
別に男の人好きじゃないんですけど、
構成とか、映像的にもよい出来なのだと思うので。
何でこんなに好きなんだろ?何度見ても、どっぷり浸ってしまうんですよね。
かといって、「絶対イイから!」って、無理強いするタイプの映画でもない。派手なエピソードがあるわけではないから、あのリズムに乗れなかったり、デカダンスが苦手な人には、退屈なんだろーなとも思います。
僕はタッジオという少年が「美」の象徴だとは思えないんですよね。むしろ「死」ではないかと。
文化差や個人差はありますけど、「死」って恐怖の対象であるとともに、究極の安息っていう、憧れめいた部分もありますよね。それの具現化がタッジオだと考えると、才能の枯渇した芸術家が魅せられていくという物語が、よりクリアに見えてくる。角度を変えれば、芸術家が美少年に魅せられたのではなく、彼が死に魅入られたとも言えるわけで、憑かれたような彼の行動やラストシーンもより必然的なもの思えてきます。まぁ、僕個人の勝手な解釈ですけれど。
でも、生涯ベスト1として挙げてる身としては、この映画を単なる美少年愛みたいなところで批評されてると、がっかりしてしまうのは正直なところです。
ダーク・ボガードももちろんすごいけど・・
・・・
いまなら、分かる!
なにが面白いか(いや、面白くないけど…)
だって、分かりゃしないわよ、あの頃の私には。
バブルに突っ込む前よ、ね。
偶然 TV映画で観る。年齢の経過による感受性の変容は歴然。
この映画 老境に至る男の観るべき映画。
但し 老境に至る人間は映画を観なくなる現実有り 矛盾。
死 に直面する人間の抗い難き空虚な 生への執着。
名画で有ること 論を待たず。(年齢差 顕著)
はまる。この映画では死の病が迫るベニスの町の映像とかね。
この芸術家は理性や倫理、叡智が芸術に必要なものだと思っていたわけだけど、
それがタジオという美少年に心酔することにより、自分の持っていた理性が
崩壊してしまう。
そのタジオというのは生命の美しさの影に残酷さを秘めているわけ。それは本来
彼の芸術論である普遍的な美の概念を覆すもので、自分自身への否定となるわけ。
それでも最後には自分自身に化粧を施して、若さというものへ傾斜していくの
だけどね。
ヴィスコンティは理性と情欲で揺れるアッシェンバッハを見事に描いている。
ホモ映画とも言われるが、これほど、芸術性の高い映画は稀である。
http://cinema.ff.vu/
無粋で冴えないのはダーク・ボガードの顔.田舎のオジサマみたい.そこが良いんだけど.
初老の作曲家は病気に罹り、その衰えを隠すために化粧をするが、かえってそれが老いとその醜さを際立たせる。その作曲家が、美と若さで輝く「少年」の姿に向かって手を差し伸べて息絶えるラストで、もう手が届かない「美と若さ」への憧憬が溢れる。初老の私としては、身につまされ、感動した。
ホモセクシャルの話ととる人もいるようだが、対象が美少女だったら性が前面に出てきてしまう。若さへの思いを明確にするには、対象を中性的な美少年にする必要があったのだと思う。また、芸術論や、娼婦を振り切ったエピソードは、主人公の厳しい道徳観を示すためのものであろう。その道徳観のため、人生に悔いが残ったのであろう。
しかしそれを彩りたい、何か意味を与えたいと思うのもまた自然なことでしょう。
この映画で主人公の最期の迎え方は滑稽であり人生の皮肉を謳ってるともとれるし、最期に芳醇で甘美な美酒を味わえる幸せにあずかった?(代償があまりにも大きい)ともとれるし、ただ単に老醜を描いたともとれます。
私は監督が最後をどう落としたのかはっきりとは読めませんでした。まるっきりこちらに任せたような感じです。以前にも書きましたが、この偏屈な主人公を慈しんで描いてる所に胸を熱くしました。また何年か先この映画を見たら別のことを感じるかもしれません。
「美」についてですが、これはまさに‘在る’もので、まるでこの映画の少年の思わせぶりな目つきのように招き入れますが、こちらの求めに応じることなく厳然と‘在る’ものではないでしょうか。
「気づいた時には終わってる」・・・終わっててもいいんですよ。
思春期の頃は「ビョルンアンドレセンの美少年との同性愛」の映画だと思ってました(少し肩透かしを食らった感じもした)が、今見ると随分と違う物として観れました。
この映画はセリフなしの、映像とマーラーの音楽でつづった‘作品’だと思います。D・ボガードの行動、表情、しぐさがこれほど雄弁に主人公グスタフ・アッシェンバッハを物語ってるとは思いませんでした。回想部分では説明的なセリフがたくさんありますが、私個人としては友人との芸術論の戦わせ方も少し派手過ぎるかな、或いは大幅カットでもいいかな、とさえ思ったくらいです。
前半から中盤にかけてのボガードのアップは、主人公に対するこの作品の作り手の愛情を、包み込みほどの大きな愛情を感じました。マーラーの音楽とB・アンドレセンの美は勿論ですが、D・ボガードの演技が大きなウェイトを占めてますね。
静であるこの映画のアクセントとして流しの楽団員と主人公の2度大きな‘笑い’があります。後半最終場面に向って主人公の自嘲的な大きな笑いから、最後の化粧も剥げ毛染めの黒い汁を流しながら死んでしまうところまで、大きく余韻を残して終わります。観客を突き放してるようでもあります。──実はよく分かってなかったりして・・・(T_T) ヴィスコンティはやっぱり大好きです。他の映画ももう一度見てみよう。
この映画は30年の時を経てもなお新鮮であると思います。