メトロポリス(1926)METROPOLIS
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【解説】 F・ラングが無声映画時代、21世紀近未来の大胆な空想を鋭い文明批評の目を持って銀幕上に構築してみせた、SF映画の金字塔。その世界は、科学の飛躍的な発展の結果、地下に労働者たちが押しやられ、巨大な工場で家畜同然に管理されて作業に従事している半面で、資本家たちは地上でぬくぬくと享楽的生活を送っている--という設定。労働者たちの住空間は更に地下深くにあり、社長の息子(G・フレーリッヒ)はそこに降りて、彼らの悲惨な生活を知る。労働者の娘マリア(B・ヘルム)は、労使間に人間的な絆が皆無であることを仲間に訴え、これがストライキの気運を生む。そこで社長(A・アーベル)はマリアを監禁、彼女そっくりの人造人間を作って事態収拾にあたるが、人造人間は狂い始め(このイメージは夢に見そうだ)、造反を起こし工場の打ち壊しを煽動する……。さて、ここからは恐らく、当時ラングの妻だったT・V・ハルボウ(後にナチのシンパになってラングと離別)の妥協的な脚本のせいもあるだろう、結局この破壊騒動は、労働者の住居街を水浸しにする結果となり、まさに水を注されるように沈静化する。そこで労使協調でことにあたり、社長御曹司とマリアの仲も認められる。これを尻すぼみというのは容易だが、これ以外の決着を求めるのは難しかろう。それより、こうした現実に存在する重要テーマを未来に託し、想像の限りを尽くし、その後多くの模倣を生む、アンチ・ユートピア的ヴィジョンを創出したラングの功績を讃えたい。84年にハリウッドで、彩色を施し、ジョルジォ・モロダーの音楽をつけた新版が作られたが、そちらは物語性よりも絵を見せることに重点を置いたものである。 ![]() 【関連作品】
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公開時に見た、筈見恒夫の評価を抄出すると、
人類社会未来を予想し、労使の対立、人造人間の出現などを織り込んだ空想的なスペクタクルで物珍しかったが、その程度に止まった。
という事で、それほどの点数は出していません。ただし
「月世界の女」を含めてその後、各国で作られた空想科学映画の先陣をラングは切った。
とも言っていますので、ほぼ私の見た感想と一致します。確かに撮影技術を駆使し、出演者の動員数も多く、当時の映画界では格段の大作であることは間違いなく、歴史的に見てもエポック・メーキングな作品だったと思います。
とは言っても、皆さんのご意見にあるように、ストーリーとしては今ひとつで、特に最後の握手など如何にも迎合的な所は欠点だとも思います。反面、ブリギッテ・ヘルムの名演もまた、万人の認める所でしょう。
当時、日活の監督だった村田實と、外国映画輸入会社に勤めていた森岩雄が、共同で制作した『街の手品師』を外国に売り込みにヨーロッパへ出発したのは1925年(大正14年)の7月10日。パリ、ベルリン、ウィーンを訪問し、日本映画の海外輸出への道を模索します。
森と村田が『メトロポリス』撮影中だったバベルスベルグの撮影所を訪ねたのは同年秋。日付は記されていませんが、この時の訪問記を森が映画雑誌「キネマ旬報」(大正14年12月11日号)に「べるりん映画日記」として寄稿しています。非常に珍しい文献だと思われますので、以下、少し採録します。
「今日はウーファ会社の社客−おかしな言葉だな、とにかくお客様としてその撮影所を案内して貰うことになっていたのである。外国部長マイダム氏の好意によって、その秘書デュベル君に案内されて汽車に打ち乗る。ベルリン郊外を走る約25分にして、バベルスベルグに着く。森の中を抜けて歩く。落ち葉が頬りに至って秋の感傷殊更小生の心に深くしみ渡る。
バベルスベルグの撮影所というのは、その昔からあこがれのドイツ映画として、われら感嘆して止まなかった所のデクラビオスコープ会社の撮影所をいうのである。凡そドイツの大監督や名優にしてこの撮影所に働かないものはない程有名な撮影所である。今、ウーファ会社はその広大な敷地を利用し、主な野外大セット撮影場としてこの撮影所を使用している。
厳格なことこれも停車場の様な正門を通過して中に這入る。若手監督でクセニア・デニスの映画『経歴』を仕上げたグリーゼ(注:ロフス・グリーゼ(1891〜1978)『巨人ゴーレム』(20年)の装置監督。この直後アメリカに渡り、ムルナウの『サンライズ』(26年)で美術監督を務める。助手はエドガー・G・ウルマーとロバート・シオドマク) が背の高い男と門の近くで話している。紹介されたら、その背の高い男がエミール・ヤニングスの弟で監督助手をしていることが解った。だがどうも兄貴ほどの人間ではないらしい。ヤニングスは『ヴァリエテ(曲芸団)』(25年)を撮り上げ『ファウスト』(26年)のメヒィストフェレスに主演するなど大変忙しく、今はロケーションに出張中であるといふ。模型舞膏を専門に撮影する人工光線撮影所、大小道具製作室及び貯蔵部屋、石膏部屋、鍛冶工場。すばらしい専門の工場が沢山並んでいる。どこかの大工場を参観に来たのか、博覧会へでも来たような気がして活動写真を撮る撮影所へ来たとはどうしてもこの自分には思われない。井の中の蛙の心持をこうしみじみと味す日本の活動写真界を今更のやうに心細く思った。
スターと下働き役者の化粧部屋を見せて貰う。ヤニングスやアルフレッド・アベルの名札が出ている部屋などを見る。広くはないが実に整然としているのに感心する。若手の二枚目ウィリー・フリィッシュ君がメークアップして「今日は」と言われ等に挨拶して急いでセットへ出て行く、われらもその後からセットの方へ行く。室内のセットでは『ワルツの夢』を午後から撮るのでその準備に忙しい。ベルゲン監督(注:ルードヴィッヒ・ベルガー(1892〜1969)マックス・ラインハルト門下、『タルチュフ』(26年)の当初監督。この直後アメリカに渡りパラマウントと契約)、ヤニングス弟が助監督だ。書割の後から首を出したら、道具方や電気係の物凄い顔が、オヤ見馴れない奴がいるな、といった表情でヂロヂロ見る。それに閉口して歩を進める。
「フリッツ・ラングさんは、この二,三日、二百人からの子供を扱って、ほら見えるでせう、あそこに部屋がありますね、あの小屋はその子供達の為にこしらへた支度部屋なんですがね、どうも子供が思ひ通りにならないのですっかり神経過敏になっていますよ。ものはメトロポリスといふ作品なんです。」
案内役が、向こうの方から技師と二,三人の役者と短い撮影を終えて引き上げて来たラングを見ながら話してくれた。ラングはがっしりした、精力家らしい体躯をした人だ。ルビッチュのいない現在のドイツ映画界では第一に指を屈せられる監督であろう。・・・」
(この項、84年(モロダー版)『メトロポリス』のコメント欄に続く)
言ってみれば、これ押井の「イノセンス」と同じことで様々なメタファーに溢れかえっており、映像的には凄いんだけどストーリーとしては破綻しているわけですね。それでも1927年に実写でやったということが、やっぱりエポックメイキングだったのだろう。
クライマックスの「タイタニック」ばりの’水責め’スペクタクル(しかも数百人の子供たちが参加!)なんて、ラングの狂気が垣間見えてくるよう。惜しむらくは、本作が完全な形で見られないことである。
演技陣。ヘルムは神々しいまでの美しさ!フレーリヒは「ドクトルマブゼ」「ニーベルンゲン」におけるパウルリヒターのポジションを空回りながらも大熱演し、アーベル・ロッゲも悪くない。
http://www.publicdomaintorrents.com/nshowmovie.html?movieid=182http://cinema-novo.blogspot.com/
人間バージョンとロボット バージョンを演じ分けたブリギッテ・ヘルムは素晴らしいと思います。口元を歪めたその笑みを見た瞬間、昨年見た映画、「グリード」 (1924 年) における狂った女房の邪悪な笑顔がフラッシュ バックしてしまいました。また、指令を受けたロボット・マリアが片目だけつぶって (あれはウインクでしょうか?) うなずく場面にはぞくっとすると共にそのアイデアに感心します。人間そっくりだが微妙に変な身のこなしが絶妙です。
高層ビルの間を複葉機が飛び交う地上の風景は未来予想図風で、地下の工場は単調な肉体労働を象徴するほとんどナンセンスな機械群というところが面白いと思いました。何かと蒸気が吹き出ていましたが、そんな所にこの時代 (1925 年) がまだまだ蒸気の時代であることを感じるような気がします。
なんでも日本は人型ロボットでは最先端なのだとか。この作品では、本来は人間の労働者の代わりになるように人型ロボットを開発したという事になっていましたが、日本のロボット熱も、ひょっとしたら遠い将来、人口減を移民ではなくロボット労働者で乗り切ろうという意思が働いているのかもしれません。
年代的にすでにクラシカルなイメージとなるべくメトロポリスが、未だに現代のSF映画を映像美術面で圧倒している点、それはこれら機械/施設類の造形美において他ならないでしょう。
ただしストーリー面においては、原作者ハルボウのファシズム思想的な部分が見え隠れし、ラング監督が後年自ら認めているよう、やや鼻につく物語といえます。
ゆえに「映画を見る」というよりは「絵画を見る」もしくは「美術品を見る」というスタンスで視聴したほうが、この映画を堪能できるのではないでしょうか。
しんでも「あっ、そー。」ぐらいだった。
つまんない。
特撮でなく美術セットの映画なので今でも十分観賞できるのに驚き。
今ごろこの映画を初めて観て「もっと早く観とくべきだった」と後悔。反省。
美しく誕生して狂い死んでいく人造人間と走り込み十分なお坊ちゃま。。。