害虫(2002)HARMFUL INSECT
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【解説】 孤独や怒り、漠然とした不安を抱え心を閉ざす中学生の少女が、その残酷な現実に混乱しながら送る荒んだ日常を冷徹に切り取った思春期ドラマ。「月光の囁き」「どこまでもいこう」の塩田明彦監督が、「EUREKA ユリイカ」の宮崎あおいを主演に迎え、どこまでも突き放したかのような厳しい眼差しで描いた衝撃作。 中学1年生の少女・北サチ子は、小学校時代の担任・緒方との恋愛や、二人だけで暮らしている母稔子の自殺未遂など複雑で混乱した現実にいまにも押し潰されそうになる。学校に行くこともなく、街でダラダラと時間を潰す毎日。サチ子はそこで、万引きで小銭を稼ぐ少年タカオ、精神薄弱の中年男キュウゾウらと出会う。そんな彼らと過ごすうち、少しずつ変わり始めるサチ子。そして、そんな自分に戸惑いを感じるサチ子。やがて、同級生・夏子のおかげで再び学校へも行くようになったサチ子は、以後順調な学校生活を送るようになるのだったが……。 【ユーザー評価】
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で、この『害虫』である。コンセプトとして彼は当初、「女子児童と中年男とのSM的純愛映画」をイメージしたとか。
若き宮崎あおいと蒼井優が競演した作品として記憶されていきそうだが、私個人は何ともやりきれない印象を持った。
13歳にしてはふたりともやや年長のイメージが拭えないが(実際は15歳だった)、学校などの光景で多用される足元のアップに象徴されるように、主人公たちの外にある社会には「顔」がない。そうした心象風景はよく描かれていると思う。
だが、転げ落ちるように道を外れていく少女を食い止める可能性を持っているのが、小学生と恋愛した元教師、というのもやりきれない。
感情移入を拒む映画だ、と思うのだ。それはそれでこの作品の存在意義としてあるのだろうが、個人的には「拒む映画」には私自身も「拒む」しかない。いくら宮崎あおいや蒼井優が好演していようとも、後味の悪さは拭えないのだから。
いったいこの作品は誰に向かっているのだろう。
インパクトは十分感じた。だがやはり、私は「拒む」しかない…のだろうか。いや、それは単に私の心の共振の振り幅が小さいだけのことなのだろうか。
テーマは「10代の危うさ」かな?
ラスト、好きな先生の元へ向かうサチ子。
が、その先生、緒方智の乗る車は待ち合わせ場所に向かう途中で故障。
サチ子のいるファミレスでは女が長電話。緒方が電話しても通じない・・・。
大幅に遅れる緒方。待ちぼうけを食らうサチ子。
するとサチ子の向かいに男が座ってきた。
「家出?何歳?仕事あるよ」
ようやく足を見つけ、レストランへ急ぐ緒方。
が、緒方が着く前にサチ子はなんと声を掛けてきた男について行ってしまう!
すれ違う二人。
男の車の中、緒方に気づいたのか、何となく気配を感じたのか、後ろを振り向くサチ子。
男「どうしたの?」
サチ子「別に」
「なにーーーーー!?」でしたよ。
ヒッチハイクして緒方に会いに行く姿を見てたら年の差カップル(ロリだけど)の純愛物語だったんだなと勝手に勘違いしちゃってて・・・、それでこのラストだからビックリ。
サチ子にとって緒方という人間は一番特別な存在ではあったろうが、
唯一無二というわけではなかった。そしてサチ子は男について行く。
ここで露見する主体性の無さ!
サチ子という人間が特別とは思わない。ただ、父親がいなくて、母親は自殺未遂したことがあって、小学6年の時に担任の教師と付き合って、その環境と経験が彼女を感受性豊かにしちゃって、学校がつまらなくなって登校拒否するようになって、プラプラしてたら変わってる男の子とホームレスのおじさんと知り合って仲良くなって、そしたらその男の子が死んじゃって、遊び相手がいなくなったのとちょっとそういう社会に背を向けることが少し怖くなったのともあって学校に戻ってみた。始めはなかなか馴染めなかったけど段々慣れてきて、そしたらサチ子のことが好きだっていう男の子が現れてなんとなくキスしてなんとなく付き合うことになったんだけど話が合わなくて、そうしてたらある日帰宅するとお母さんの彼氏が家にいてサチ子をレイプしようとした。そしたらすぐその噂が学校に広まって、彼氏は「悩み事があったらなんでも言えよ」とお決まりの台詞を口にする。終いには先生との事の噂話まで持ち出して・・・。サチ子は再び社会のレールからはずれる。ホームレスのおじさんとまた遊ぶようになって、どっかの家を放火して、恐くなって、先生の元へ行く。
ただそれだけ。
ただ流されただけ。
サチ子の噂話をする同級生たちと、サチ子を心配する蒼井優と、
好きな女の話で盛り上がる男子たちと、
サチ子は何ら変わりないのである。
と、思いました。
このレベルならTVで十分(深夜枠)
すぐ思い出したのは、(小津シンポジウムで)ペドロ・コスタが言ってた、今の時代、映画を撮ることはどんどん難しくなっている、というような台詞です。語り口に適合した映像手法というものを、自分独りで見つけて行かなければいけないという絶対的な孤独感(陳腐な表現ですが)。そしてその労を厭うものは、映画作家にはなれないのでしょう。小津と比べたくなるのも分かるというか、小津がやってきたのはこういうことかと、かえって合点のいく感じがしました。もちろん小津は遥かに洗練された手法を獲得していたわけですけど。逆に言えば、われわれ(というより、私)が見た小津は円熟期以降だったとも言えます。塩田明彦はよくやっていたと、言えると思いました。
ただし、ここで塩田が見せた技法は、完成の域には程遠く、かつ今後年月を経るにしたがって洗練されていくもの、にも見えませんでした。この中途半端さのまま、試行錯誤を繰り返す人だろう彼は。その意味で、今の世の中に広く行き渡る”生きにくさ”をテーマに選んだ彼の狙いは、(宮台真司風の言い回しですが)最適解かな、とは思いました。
彼に才能を感じたところは、少女を描く美しさですね。これは(あまり声高に言うのははばかられますが)それだけのものがありますよ。5
で、あおいちゃん、メイキングでこの映画について聞かれて「わかんない」。いいねえ。おじさん、安心したよ。
ナンバーガールの詩も良い。「おれはあの子のことを知らない、あの子のウソも知らない」。いつの時代にもいる美少女。期間限定だし、早く捕まえないと正体はまたわかんないままだ。で、その結果… また逃してしまった。
とにかく考えさせられますね。何が彼女をそうさせたか。それを突き詰めていくと、実はそんな珍しくもないものにぶち当たる、それも監督の観察眼が確かだから出来ること。全体的に厳しいけど石川さんが出てくるとなごむ。笑
語ろうとする意志を画面いっぱいに拡げている映像が、
止むことなくひそひそと語り続ける音響が、
そしてクライマックスに向かって散逸していたものが集積していく様が、
つまり「害虫」が映画として全うしようとしているその姿が余りにも残酷なのだ。
その残酷さの響きは一見小津安二郎のそれと似ていなくはないのだが、
できあがった作品は小津安二郎のどの作品とも全く似ていないし、共通点すらない。
素晴らしいなどと安易に口にすることがためらわれるような残酷さが「害虫」にはある。
中学生の心の中は、実はこれぐらいに複雑に、かつ単純にできているんだと思う
こわれやすい。
思春期の胸のしめつけられる想いが蘇ってきたよ。
特に、サチコが薫平とキスして、「タバコくさい」ってはにかむところや、
学生たちの白い視線の集まる廊下をサチコと歩く夏子が手を取り、
二人でこつこつと歩くシーンなど。
素晴らしい脚本。
塩田明彦は、思春期の心の機微を微妙に描く。
『月光の囁き』も小気味良かったが、今作は、世の中の生きにくさが絶妙に演出されている。
彼は、どのような学生時代を送ったのだろう。
もちろん宮崎あおいもあぶなっかしくて良いのはいうまでもなし。
☆☆☆☆☆
見終えた感想はうわぁぁぁぁーって感じです。とことん落ちて行って救えない感じが実は好きなんですけどね。
2003.4.26観賞 6点
よーく、注意してみないと、読み間違える映画です。こころして、かかりましょう。