欲望(1966)BLOWUP
【クレジット】
【解説】 カメラマンのトーマスは、夜の公園で逢い引きしているカップルを盗み撮りした。やがて男の方が姿を消したあと、女の方がトーマスのもとにやってきてネガを要求する。代償として女のヌードを撮らせてもらい、別のネガを渡して本物を現像した時、そこには女の逢い引き相手だった男性の死体が写っていた……。アントニオーニがイギリスに渡って作り上げた異色作。サスペンス・スリラーを思わせる前半から、次第に不条理劇の様相を呈してくる後半まで、現実と虚構の境界線を見据えるアントニオーニの筆致は鮮やかだ。 ![]() 【ユーザー評価】
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ロンドンのヒッピー(白塗り軍団)がワーワーやってる場面がなんかツボ。
ポストカードだと背景がマスタードっぽいものしか見たことないんですが、あれって邪道なかんじ。
原題に劣らない邦題がかっこいいです。
はじめてこの映画を観たのは学校をずる休みした日の真夜中で、5年たったいま考えても最適のシチュエーションだったと思います。ぼんやりしたあたまがくーっと引っ張られて、またびよんと離されるようで、すっかり好きになりました。最初の出会い次第で評価にすごーく差がでる映画の代表のような気がします。
それにしてもこの美人たちのなかで、のちのちバーキンだけが大成するなんてふしぎなものですね。わたしに見る目がないのか、かわいいけれどこれだけ見せられてもいまの彼女は想像できないかも。でもかわいい。ガリガリ美女がだいすきなので、そんな彼女たちがまさにスウィンギングロンドンなファッションに身を包んでかわるがわる現れるなんて、それだけで垂涎もの。あと女性陣だけでなくて、へミングスのいかにも切れ者っぽいハンサムぶりも見のがせないです。傲慢でちょっといやらしいところのありそうなあの表情、ほかの映画じゃ使えなくてもここではぴったり。たしかに晩年は、面影ないどころじゃなかったなあ。だからここで堪能すべきだと思います。
映画そのものについてはほかのかたが充分書いていらっしゃるので、とくに触れることはないです。
ヤードバーズのシーンはかっこいいけれど、みょうにテンポが悪くてあそこでちょっと映画がズレるのがおもしろかった記憶があります。映画としては不出来な点なのかもしれませんが、個人的にはのびきった意識がたわむ感じで心地よかった。
でももともとthe whoにオファーしてピートに断られていたそうで…あそこでthe whoが出てくれてたら、個人的には文句なしの★10個でした。こんなにクールな映画なのにもったいない。
もっとダンディに老化してほしかったけど、今はもう天国にいるから
きっと往年の美男子に戻ってることでしょう。
と、まあ、それはさておき、いまさらながら簡単な言葉で済ませちゃえば「不条理」。カメラマンの青年が、たまたま撮った写真に死体が写ってた。いったい何が起こったのか…という謎解き映画なのかと思ったら、ありゃりゃん、死体のことは結局、解決しないでやんの。夢か幻か、本当に死体はあの公園にあったのか?
そう、これはねぇ、誤誘導なんだろかね。要するに、アントニオーニは端からサスペンス映画やミステリー映画にするつもりはなくて、当時のロンドン・カルチャーの現状と退廃ぶりを描きたかったのではないかと。まあ、この映画に関してはいろんなところで研究・論争されているので、今頃になって僕なりの答えを出すのも気が引けるのだが、そんな風に感じたわけ。
ということで、60年代ポップ・カルチャーの描写はこの当時の最先端だったんだろうね。なんといっても主人公の職業がカメラマンだもの。美人モデルを言葉巧みにノせたり、軽くあしらったりと、男の眼でみるとなんとも羨ましい限り。彼女たちが着ている服がまたオシャレ。ハービー・ハンコックのスコアがカッコいい。おまけにヤードバーズだもん。
ちなみに、ヤードバーズの演奏シーンでは、観客の殆どはボーッと突っ立ててノリが悪い。ところが、ベックがギターを叩きつけてそれを客席に投げると、一斉にワーッと誰もが我先に取ろうと奪い合って大モッシュ大会になる。この演出、わざとやってます。
さて、特筆事項は、カメラマンのトーマス(役名で呼ばれる場面、あった?)のスタジオに押しかけてくるモデル志願の女の子のひとりが、ジェーン・バーキンだということ。レナウンのイエイエ・ガール(古ッ!)みたいな格好で、パンストの下はノーパン! スタジオでトーマスと戯れるシーンでは、ご自慢(?)の貧乳も披露。ジェーン・バーキン、最高!
ディテールでお話を見せていく手法が取られているので、台詞は極端に少ない。ゆえに、観客には相当な集中力と想像力が要求されるので、台詞による説明を好む人には不向き。体調が悪いときに観ると、眠るゾ。なおかつ意味の分からない(意味のない)描写も多い。ただし、一度観るともう一度観たくなる、そんな不思議な魅力もある。僕は最後まで一気に観れたぞい。
あんな終わり方をしているから、この映画、いろんな解釈をされている。どれが正しくて、どれが誤りなのか、それは分からない。自分なりの解釈であっていいと思うんだ(と、言い訳)。
ラストで主役がテニスのパントマイムに付き合う所など印象に残るシーンもあるが、こうしたブルジョアの退廃を扱った作品(それもヴィスコンティの「感傷」ではなく、当時の現在進行形で描いたような)はどれもピンと来ない。後で解説を聞くなんて論外。ブニュエルやフェリーニは面白い作品もあったが、このアントニオーニやゴダール、パゾリーニ、ブレッソンの映画はどれを観ても合わなそう。
プロの写真家である主人公が、モデルである女性との性交渉を暗示させるかのような絡みであるあのショット。あれは映画の歴史の中でもあまりにも有名であるが、このシーンは当時のコード規制の常識を打ち破っ、ある挑戦状である。セックスの描写が厳しく規制されていた当時、アントニオーニがフランスの国民的文化ともいえるセックスを写真撮影というフォームを用いて、表象的に世にたたきつけたアートモンタージュであるともいえる。
そしてひとたびオルガズムに達すると彼は、後に出てくる2人組みの女性同様、あっけなく興味を示さなくなる。女のほうも同様、1回のみの短期的関係をさっしして、そっけない態度をとるのである。一時的な快楽を味わった彼らはそれぞれ別行動に移るのだ。
彼は公園に行き、今まで写真集のために撮っていた戦争スナップのラストを飾る平和的な絵を収めるため、公園に出向く。そこからこの原題であるblow-upを行う写真を偶然とってします。そこからミステリーが始まるのだが・・・
決してただのミステリーに収まらないアーティスティックな映画をとるアントニオーニの英語映画の最高傑作ではないか、この映画わぁ!!
だけど人間には頭があるからそこに無理やり意味を読み取ろうと
する。それは時にとんでもない誤読をしかねない。
写真とか映像ってのは意味を読み取るもんじゃなくて人間はそれをありのまま
受容すべきだ、てことか?
だから主人公も観客も死体はどこ?と思ったりテニスのパントマイムを
理解したりできる訳だけど、死体もテニスも実際にそこにあったわけではない。
ただ人間がそう読み取ったにすぎないんだね。
実際に主人公が公園に行って死体を確認するシーンがあるけれど、それが夜なの
は重要で画面全体が白黒で統一されてるんだ、主人公が撮った白黒写真と同じで。
つまりあの夜の公園のシーンは現実とは区別されてるんじゃないかな。
幻想?どこからが夢?もしかして主人公も最初から存在しなかったとか?
そのわからなさがこの作品の面白さなのかもしれないが、自分は楽しむまでは至らなかったようです。
一度観ただけでこの映画のすごさとか多くを語れてしまう方々を尊敬するなぁ、嫌味じゃなくて。
写真に興味がある方はより面白かったのではないかな。
ファッションとか音楽とか60'Sだなぁと感じた。
この映画をモチーフ(パクって)に
ブライアン・デ・パルマが
『ミッドナイトクロス』(BLOW OUT)
を作りました。
オリジナルに比べてコピーであるはずの
デ・パルマの方が正直言って面白いぞぉ〜。
でも見た後の感じは相変わらず圧倒されてしまうんですね。なんだかうわついたノリだなあと思ってたのに、見事裏切られた。
すごい。すごい。
おしゃれか という質問にも?
ただ作品中の写真は面白いと感じた
色もよかったかもね
さて、主人公たるこの写真家はと言えば、たまたま公園でみかけた逢い引き中のアベックの写真を、なにがなんでも公にすると言う、肖像権と言う意識のかけらも無い人間.
骨董品店の店番のお爺さんが、この写真家の正体を一番端的に現しているみたい.
「安いものはないから無駄だ」、つまり、おまえは金にしか興味がないだろう.その通り、この男、店を安く買いたたくためにやって来たのね.
目の前で埃を吹き飛ばして、これは、モデル志願の二人連れの女の子を「汚らわしい」と言って置き去りにしたお返しみたい.
芸術とは素直な心、写真が持つ芸術性が見えない物を写す、つまり人の心を写すものであるとすれば、ゴシップ写真で人を困難に陥らせるものではない.
また、ある一面において写真が真実を伝えるものであるならば、殺人に気が付いた時点で警察に届けるべきはずなのに、自分のスクープを優先して届けようとはしなかった.言い換えれば、真実より興味の方が先にある人間なのね.
写真にすべきでない事柄を写真にしようとする人間は、写真にすべき事柄を写真にすることができない、結果としてこうなったのかしら.
テニスをやっているふりをする馬鹿の一団.乞われるままにボールを投げ返すこの男.
分かりやすく書けば、夜で描かれたのは、自分の書いたラブレターを覚えていなかった小説家.
この映画で描かれたのは、無いボールが見える写真家.
後から前の方へ辿れば、窓越しに他人のSEXをぼけっとして観ているこの男は馬鹿.
ロックバンドが演奏しながらギターを叩き壊して、壊れたギターを観衆が奪い合い、結局そのギターを道端に捨ててしまう.全部馬鹿げたこと.
モデルになりたい二人の女の子、結局裸になって馬鹿騒ぎ.
もう一度、骨董店のお爺さん、お客を見事に馬鹿にする.
「存在しない」テニスのラリーがトーマスに見えて、「存在した」はずのトーマス自身が消える。
トーマスはパントマイムの不条理の世界の一員となった。
ただ、ラストのカメラの遊離感だけは、僕も夢を見る者として、また、時にはそのイメージの断片を反芻する者として“夢”を実感できる映像なんです。
デヴィッド・ヘミングス扮する映画の主人公、トーマスは若く才気煥発な印象のカメラマン。映画冒頭で、明け方、公共宿舎めいた安宿から吐き出される大勢の労務者(風情の男)たちに混じって豊かな長髪のブロンドと鋭い眼差しで唯一生気を湛えた印象のトーマスが映し出される。
当てずっぽうかもしれませんが、トーマスが公共宿舎を出て、黒いスポーツカーに乗ってアクセルを踏んだ辺りからが夢の始まりなのではないか。…そう、夢を見ている主人公の実体は宿舎で眠っている。おそらく、トーマスが年齢を重ねた姿がベッドに横たわっている。少なくとも彼はかつてトーマスに似て感受性が強く、また、熟練のカメラマンであったのではないか…。
トーマスのスタジオ撮影等での尋常じゃない自信満々な身振り、一方、狂騒的なパントマイム集団に向ける寛容な眼差しや身振り…この辺りには、ヘミングス(1941年生まれ)が体現するトーマスという20代半ばと思しき若者というよりは、中年、老成に傾いた男の身振りを思わせる。加えて、トーマスが仕事仲間と佇むレストランで、外の風景を眺めながら「ロンドンは死んでいる」と呟くシーンからは、老いた者にして示せるような哀感や悔恨めいた何かが滲むんです。
アントニオーニの『欲望』は、劇中の重要なモチーフを通してジェネレーションギャップや価値観の揺らぎを見事に描いた映画でもある。
(1)ヴァネッサ・レッドグレーヴ扮するミステリアスなヒロイン、ジェーンと公園で密会していた紳士風情の男は、少なくともヒロインの父親に見えるほどの年齢差を感じさせる。
(2)トーマスが初めて“公園”に入った時すれ違うパントマイム風情の男は、冒頭近くから唐突に何度も現れて強いインパクトを残す若く狂的なパントマイム集団とは対称的に老いた哀感を漂わせている。
(3)トーマスは妻が友人とセックスしているのを目の当たりにしながら、怒ることも泣く事もできない…。
―加えて言えば、トーマスの中に熱中、追究といった“若さ”と、時折見せる寛容、哀感が滲み出す“老成”の身振りが同居している点も見逃せない。舞台となるロンドンの風景自体にも、しっとりした古さと、新たな価値観、美意識が混在している。
つまり、(おそらく公共宿舎で夢を見ている)真の主人公は、若さと老いの美徳が両方一遍に有る状態が望ましいと思っている、あるいはある時点でそう悟ったに違いない。その思いが、ある眠りの中で『欲望』というイメージを産み出したのではないか。
いずれにしてもこの映画、“夢”に似て破格の魅力を湛えた瞬間、映像に溢れています。
トーマスがぶらり訪れた公園で撮った“ジェーンと愛人”の密会。トーマスのスタジオを探し当て駆け込んできたジェーンは「写真が人目に触れたら自分は苦境に陥ってしまう」とネガの返還を迫る。トーマスはジェーンと不思議なひと時(※詳細省く)を過ごした後、別のネガを彼女に渡す……。
―ジェーンが去った後、トーマスは件のネガ・フィルムを現像し始める。トーマスはプリントを眺めながら何か怪しげな影が写っているのに気付き…黙して見詰める。何なのだ…引き伸ばしたプリントを一人眺める、指を当てて…ジェーンの視線の先の茂みを辿る…さらに、引き伸ばす。途中から、観客もピストルを持った男が、そして別のネガから引き伸ばしたプリントには死体めいたものが横たえられているのでは…とそこまではトーマスと同時体験的に見えてくる。だがしかし、目をトーマスのように凝らしても観客にも決定的な姿は見えてこない辺りが“夢”それ自体と似て圧巻なのだ。
―僕は、この一連の≪現像、引き伸ばし、観察…≫といった、台詞一つない孤独な作業に捧げられたシークエンスからは目を離すことができないのは勿論、いつも身を乗り出して見入ってしまう。
ラスト近く、件のパントマイム集団による見えないボールでのテニスとそれを穏やかに眺めるトーマスを追うシークエンス。引き伸ばしたネガに見たかったものには答えを出せなかったトーマスは、この“見えないボールでのテニス”のシークエンスでは、観客には見えないファールしたテニス・ボールを拾い、コートに投げ返している。そしてトーマスが姿を消してしまうラスト。公共宿舎のベッドで目覚めた真の主人公は何を失った男だったのだろうか…。うーん、謎は解ききれていない…。そして、なぜ僕がトーマスに惹かれ続けるのかも…
■http://ohwell.exblog.jp/
あの写真に映ってたおっさんこそが「主人公」かと思う。トーマスも死ぬおっさんも銃を撃ったヤツもひとりだろう。だから「BLOW UP」という原題も「欲望」という邦題もかなり的を得てると思う。一人称の独白映画。引き伸ばした写真の一枚に女が男のもとから去り男はレンズを見てうろたえてるヤツがあるけど、確かに密会場面を撮られてうろたえてるといえるが、何か「別の」迫り来るものに怯えてるようにも見える。
精力の衰え、異性に性的魅力をアピールできない、女房を寝取られてもどうすることも出来ない、迫り来る老いを認められないんじゃないか。だから若者の群れがウィアードな道化野郎の集団に見えたり、なぜジェフ・ベックがギターを壊すのか?ということもわからないんだろう(笑)。一番最初の場面でトーマスがおっさんの集団に混じって木賃宿から出てくるトコがすごい気になる。多分あそこで夢を見てるんだろう、と個人的に思う。
>黒いスポーツカーに乗ってアクセルを踏んだ辺りからが夢の始まりなのではないか。というDTさんの意見に同意。無意識の奥深くへ侵入開始、つまり夢。
時代の空気が感じられて最高。
ロック好きも感激。