惑星ソラリス(1972)SOLARIS
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【解説】 近未来、未知の惑星ソラリスの軌道上に浮かぶ宇宙ステーションで異常事態が発生。その調査のために科学者クリスは地球を出発する。到着したステーション内は荒れ果て、先発の3人の科学者は皆、狂気の淵に立たされていた。そして、クリス自身も数年前に自殺したはずの妻ハリーの姿を目撃し、言い知れぬ衝撃を受ける。だがそれは、人間の意識を反映して具現化させるソラリス表面のプラズマ状の海の仕業だった……。ポーランドの作家スタニスワフ・レムの『ソラリスの陽のもとに』をタルコフスキーが映画化。ソ連製SFの代表作であると同時に、人間の潜在心理の持つ力を巧みに描き出した傑作。ソラリスが--いや、結局はクリス自身が--生み出した妻の幻影の描写など、まるで“愛の暴走”とでも言うべき狂おしさに溢れ、ラスト・シーン、クリスの意識を満面に受けたソラリスが創り出した情景には、深い郷愁の念を思い起こされる。“意識”の定義を大きく揺るがされる事だろう。ソラリスの海こそが、心の鏡であったのだ。これは、その鏡を覗き込んでしまったために、想いに取り憑かれた男の悲しい物語なのかもしれない。 ![]() 【関連作品】
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技法的に言えば、ひとつのパンにしてもズームにしても、観る側の予想よりも数段遅く、たっぷり時間をかけて動く。だからといって、パンの先やズームの先に「何か目新しい対象」が捕捉されるわけではない。つまり、通常なら「客に見せたいモノ」へとカメラが迅速にパン(ズーム)し、そうやってカメラが動くたびに「小さなカタルシス」を与えられるわけだが、ここでは異なる原理が支配しており、ゆっくりと進むカメラの運動、微妙に変化する映像だけが、「見せたいモノ」のほとんどすべてを構成している(たとえば、それは後半の図書室のシーンで、ブリューゲルの絵画『雪中の狩人』を、舐めるようにして、何度もあちこちから切り取っていくカメラに象徴されるだろう)。
ときおり、垂直方向に地面に散らばった物を撮ろうとする志向は、いかにもタルコフスキー調だ(普通カメラを垂直にして撮ると、モノが上にあるか下にあるか、分からなくなる危険がある)。
内容的にみると、最初の30分は老人の物語で、それが、じつに静謐な雰囲気を作っている。控え目な子役たちは、主として、老人たちの重苦しさを浮き立たせる機能を担っている。そして「老人たちの様子がおかしい」ということだけが、当初、観客に与えられる情報で、やがて中年の主人公(西田敏行に似ている)が原因究明のために出発することが分かる。
35分頃、ちゃぷりん氏も指摘した「首都高」を走る映像は、たしかに、並走する日本的なタクシーや、屋上の「コロナ」だの「観光バス」だのといった看板が読めてしまうのでツラいのはツラい。が、それでも延々と続きそうな気配のおかげで、じわじわと不思議なトリップ感覚をもたらすだろう。
40分頃、ようやく、舞台は宇宙へ。ステーション内には4人の中高年の専門家だけが滞在しているはずなのに、謎の女や子供が走り回っている、というので(座敷わらし的な)不気味なサスペンスが鮮明になる。彼女らがどうやって発生したのかは分からない、が、決して幻影ではない、という露骨なパラドックスの提示。
この後、一応(擬似)物理学的に理由づけがなされるが、妄想的なシチュエーション(ドラッグ系か)のまま、ラストまで引っ張っていく。
ドラマの演出としては、むしろ下手だろう。タルコフスキーは、むしろ、感動を犠牲にして、映像そのもの、あるいは時間そのものを巧みに調理してみせており、それだけで「8点」は行く。
思いきり俗な見方をしてしまえば、僻地でダッチワイフに夢中になるオッサンの話だ。
(以下、極度のネタバレ。注意。)
しかも、「俺は死ぬまでここにいるぞ」と欲望全開の決意まで表明する。アホである。しかしながら、ラストで老父にすがりつくのは、罪悪感丸出しの構造、と言えよう。たとえば終盤の会話シーンで「恥を知らなくてはダメだ」というのが繰り返されるのも、その一端を担うし、妻ハリー(のクローン)が去ってしまうのも、主人公に芽生えた恥と自責の反映だろう。
だから、どうした!
これが哲学かって?いやいや、もちろん違う。ただの「道徳」である。
俺流コメント終了。
(ネット上では多くのレビュアーが哲学風を吹かせているようだが、俺はそういう切り口を選択しない。「テーマは愛だ」と美化したがるレビューも、断じて是認できない、というのも、仮に「愛」の話なら、オヤジにすがりつく必要はないからである。あくまで「セックス→堕落→恥→反省」がテーマ。そして、こういったテーマのすべては、ここでは結局、さほど重要ではないのである。)
でも、久方ぶりに見たら、よく分かるストーリーじゃん。
リメイクも見たけど、やっぱ、オリジナルには到底及ばない。俳優も宇宙船も肝心のソラリスの海もムードは、断然こっちが上。海は、やっぱ、リメイクの紫ではなく、静かに蠢くあの海の方が、生きているというカンジがあった。
寝る前にちゃんと見るまでもなくVTRを流しているだけで、部屋のムードが変わるのでイイね。
最後主人公はソラリスから出られずあんな幻想を抱いたのか、出はしたが、もともと帰った場所が最初からソラリスの中だったのか、謎は残る。
けっこう長い。静かな映像をたっぷり堪能するには家でのビデオ・DVD鑑賞向き。
これは、かなり良かったですね。
どうして、ここまで差を感じたのか
自分でも不思議だ。
自分があの宇宙ステーションに行ったら何が出てくるんだろう・・・?
ソラリってみました。
リメイクも観てみよっと。
SF映画ファンにとっては、『2001年宇宙の旅』と並んで観なくてはならない通過儀礼の映画。
心を癒すものが単に反射的に生じた未知の物であるというとてつもない断絶が深い涙を誘います。
この作品に「ノスタルジア」と名付けた方がわかりやすかったかも知れませんね。
スタニスワフ・レムともめないで済んだかも知れません。
多大な影響を与えたSFの傑作。
SFというと未来やファンタジーのような感じを受けるが
これは生命の存在意義を訴えかける非常に哲学的な内容。
鑑賞後、今までになくブルーになった映画です。
この心境(こころ)、それをのちにロシア(ノスタルジア)という名前でタルコフスキーは言うがそれは現実的なロシアと言う事ではない。その冷戦のさなかロシアとは云わずソビエト連邦という戦後のある点(終わり)を脅威とした差し迫った世紀末に於いての愚徹さとしての世界認識。坂口安吾は文学のふるさととして差し迫った時間を示しているが、このふるさとはここにおいて冷戦という特異な環境においてじわりじわりとした持続する場所(以後ノスタルジアによって決定的な心境として打ち出される)として現れる(死というさけられぬものを伴い)。この意識はソビエト特有のものとタルコフスキーは言っているがそれがどこでも生まれるわけではないものでありまた誰にも分からないものであってまた、それに無関心ではいられない我々がそれを幾度も眺めその都度言葉にしながら自分の人生を揺らし続ける。
ソビエトは彼をゲリラとして(国家に対する脅威)見なしそれに伴って作品はより愚徹さとしての正義を示し、タルコフスキーにしか見えない場所(ノスタルジア)がより具体的になってきた。
だから映画自体がその実践であるから生々しく、具体的に身に詰まる映像として僕らにのしかかってくる。”待つ”という事が以後の作品に於いて何にも変えられない実践となる。だが本作以前から一貫したものでもある。タルコフスキーは後に亡命するがこれは自由な制作の為という簡単なものではなく、うまく言えないが”危機として突然訪れたもの”のような気がする。
それから凄いのがチャプター画面の迫力。アートなステーション内部の画面にロシア語が散りばめられ,異様なまでにエキゾチックで。13か国語の字幕が選べるのですが,その表記もやっぱりロシア語なので,日本語の字幕を選ぶのにすっごく手間取る……と思ってたらやっぱり不良品だったようで,あっという間に店頭から回収されてしまいました(笑)。いまお持ちの方は貴重品かも。