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インスピレーション(1931)

INSPIRATION

メディア映画
上映時間74分
製作国アメリカ
公開情報劇場公開(劇場公開)
初公開年月1932/01/
ジャンルドラマ/ロマンス

【ユーザー評価】
投票数合計平均点
217 8.50
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投稿者:スティン・グレー投稿日:2014-09-11 03:51:52
パリで画家のモデルをしているイヴォンヌ(ガルボ)は、とあるパーティで青年がしきりに自分を見ていることに気づく。ガルボは彼に近づき煙草をくわえる。気になりつつも咄嗟に火をつけられない、この外交官を目指す学生のうぶさが浮き彫りになる。彼が慌てて火をつけ、イヴォンヌはあなたいくつ?と訊く。24歳と答える青年アンドレ(ロバート・モンゴメリー)。このとき恋愛の主導権を握っているのは明らかに、イヴォンヌだ。
パーティを抜け出す二人、馬車に乗り込み、イヴォンヌにどこに住んでいるの?と訊くアンドレ。彼女を送ってゆく気だ。ところがイヴォンヌは、あなたはどこに?と訊く。こうしてふたりはアンドレのアパルトマンに行く。部屋へ行く階段の窓から夜明けを見る二人。もう疲れたという彼女を、じゃあ、僕が運んであげると抱きかかえて階段を上るアンドレ。クラレス・ブラウンならではのロマンティックな愛の始まりのシーン。
イヴォンヌが彼を家に招かなかったのは、彼女が男の援助で豪華なアパルトマンに暮らしているからだったが、アンドレが訪ねたときに、その事情が知れてしまう。アンドレは急速にイヴォンヌから離れてゆくが、イヴォンヌの一途なアンドレへの愛は変わらない。このあたりの立場の逆転をガルボが演じるとじつによくはまる。それにこういうテーマがクラレンス・ブラウンは得意なのだ。
男の援助を捨てアンドレへの愛に生きようとするイヴォンヌは、ある夜、カフェでアンドレをみかける。が、彼女はアンドレに話しかけられない。ちょっと離れたテーブルに座ってコーヒーを頼む。そこでお金を払おうとするが、コーヒー代程度の現金も持ち合わせていないことに気づく。ギャルソンがイヴォンヌを盗人扱いするこのシーンのガルボの困惑の表情の切なさたるや・・・。その騒動に気づいたアンドレはお金を払いイヴォンヌを家まで送る。
部屋に入って、というイヴォンヌの誘いを断固として断るアンドレ。それでもイヴォンヌは彼とほんの少しの時間を過ごしたいと願う。アンドレをドアの前で待たせて部屋を片づけるイヴォンヌだが、そこはもう最貧層のアパルトマンで、アンドレもこのイヴォンヌの生活の変わりように驚く。彼女はアンドレへの愛のために過酷な道を選んだのだ。彼のはからいでアンドレのカントリー・ハウスに引っ越したイヴォンヌだが、結局はこの恋愛は成就しない。
こうしたストーリーの合間合間に入るロマンティックな音楽がとても素晴らしく、ガルボの恋愛の頂点での喜びの表情や、奈落に落ち込む時の苦悩の表情のどれもがあまりに美しく、こんな甘美な映画がなぜ、日本でソフト化されず、アメリカでも中古のビデオしか入手できないのか?と不思議に思う。
エイドリアンがデザインしたガルボの衣裳がどれも素晴らしい。最初のちょっとエジプト風の夜会服。昼間にアンドレを訪ねたときのモダンな服(階段を下りるだけのガルボがとてつもなく美しい)。ベレー帽に白いスカーフのスタイル。ゴージャスな毛皮のコート。どれもこれもエイドリアンがガルボのために精魂込めてデザインしたことが覗える。

ガルボの伝記映画のなかで、試写室でもう90歳近いクラレンス・ブラウンに『肉体と悪魔』を見てもらうシーンがあった。老いたブラウンは、自分が若かりし日に撮った、この映画でのガルボとジョン・ギルバートの恋愛のシーンを見て涙を流す。若き日への郷愁と、そしてあまりに美しいガルボに涙したのか・・・。ともあれブラウンはガルボにしか演じられないロマンティックで悲劇的な恋愛の名作をいくつか残した。現代から見てそれを陳腐と思う人もいるかもしれないが、映画の歴史が始まって30年ちょっとの頃、それはとても幻想的で至福で、でも思うに任せない人生というものを描ききってくれていたのだと思う。
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