10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス(2002)TEN MINUTES OLDER: THE TRUMPET10ミニッツ・オールダー RED(ビデオ題)
【クレジット】
【解説】 映画史に燦然と輝く巨匠監督15人が“時間”をテーマに競作した豪華な短編集。10分という厳密な時間制限と予算だけが決められ、それ以外は各監督の自由にすべてが委ねられたこの企画は、2本のコンピレーション・フィルムに結実。本作はそのうちの1本。もう1本のタイトルは「10ミニッツ・オールダー イデアの森」。 7人の映画監督が“結婚・誕生・進化・孤独・死・運・郷愁”という誰にでもいつかは訪れる出来事を題材に、人生の意味を10分間の一場面に凝縮して描く。収録されている作品は、アキ・カウリスマキの「結婚は10分で決める」、ヴィクトル・エリセの「ライフライン」、ヴェルナー・ヘルツォークの「失われた一万年」、ジム・ジャームッシュの「女優のブレイクタイム」、ヴィム・ヴェンダースの「トローナからの12マイル」、スパイク・リーの「ゴアVSブッシュ」、チェン・カイコーの「夢幻百花」の全7編。 【関連作品】
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カウリスマキ
この人の短編ってどうなんだろうと思いましたが。いつもどうりでしたね(笑)長編のラスト10分を見ている感じ、かといって悪くはなく。むしろ短時間に彼の魅力が詰まっている感じ、無表情だし、無声映画的だし。あとバンドの曲(10分の作品にこんなん入れるのカウリスマキくらい)も良かった。プロローグとしてもGood
ヴィクトル・エリセ
お見事。流石の一言です。10分で生命の素晴らしさ、人々のつながりをここまで描けるなんて!1カット一つ一つが興味深い。やはり巨匠は違う。
ヴェルナー・ヘルツォーク
うーん、やりたいことは良くわかるし、10分という時間で一万年のカルチャーギャップを表現する試みも面白いとは思うけど、ちょっとあざとく見えてしまった。悪くはないが、すきじゃないです。
ジム・ジャームッシュ
女優さんの休み時間をとるなんて、彼らしいね。もともと短編上手な人なので安全パイです。可愛らしい佳作
ヴィム・ヴェンダース
この人もどんな短編になるか気になっていた、結構長尺な人だし。なんて思ってから10分で笑わしてくれましたね。ラストも素敵。余裕を持って作ってるなぁ。
スパイク・リー
これが微妙でした、別に10分で政治ドキュメンタリー撮らなくても。リーも自分の色を出したかったんだろうけど、それなら黒人主人公のパワフルな作品が見たかった。
チェン・カイコー
アジア代表ですが、割と良かった。現代中国の抱える問題をさらりとファンタジーで(ここ重要)描く。10分を効率よく使っていると思います。トリとしても収まりが良い。
全部あわせて7!!
★『結婚は10分で決める』(Dogs Have No Hell) 監督:アキ・カウリスマキ
出所したばかりの男が、事業の共同経営者に株を売り払うとシベリアへの切符を買い、愛する女とともに旅に出る。窓外に目を向ける男は何を見ているのか問われ答える。「祖国がまだあるかどうか見ているんだ」―。カウリスマキ監督らしい味わいのある作品。『過去のない男』のキャストとスタッフ、バンドまで(!)使っているとか(笑)。
★『ライフライン』(Lifeline) 監督:ビクトル・エリセ
出産したあと眠る女のすぐ横で、ゆりかごの赤ん坊を包む白い布がゆっくり血に染まっていく。1940年6月28日付け「国境検問所にナチスの旗が挙がる」という見出しの記事が載っている新聞が挿入されることから、危うく死にかかったこの赤ん坊が、1940年6月30日にスペイン北部のバスク地方で生まれたエリセ監督自身であろうことが推察される。
静かな山間の村の生と死。そこに歴史的な流れが無縁でないことがラストカットで象徴的に表現される。
★『失われた一万年』(The Thousand Years Older) 監督:ヴェルナー・ヘルツォーク
1980年頃、ブラジルとボリビアの国境付近の森林で文明との接触を拒み続けたウルイウ族という先住部族。彼らは国家が派遣した調査隊を受け入れ、金属器を手にした彼らはあっという間に数千年分進化した…という、何だかウソっぽいお話。これって実話なのだろうか?20年後、免疫力のない彼らは外部からのウイルスに殆どが死に絶えたという。ちょっと出来すぎな印象もあるが。
★『女優のブレイクタイム』(Int. Trailer. Night) 監督:ジム・ジャームッシュ
着飾った女優のトレーラーの中での休憩時間を舞台に選ぶという逆転の発想が見事。スタッフがひっきりなしにやって来て、ちっとも休まらない中での恋人との短い電話。クロエ・セヴィニーが虚実を生きる「女優」という役を好演。追い立てられる姿がなんともいえない虚無的な雰囲気を醸し出す。面白かった。
★『トローナからの12マイル』(Twelve Miles To Trona) 監督:ヴィム・ヴェンダース
クッキーに混ざっていた?薬の過剰摂取で死の恐怖にとりつかれた男は、診療所を求めて車を走らせるが…。薬の影響で幻覚がみえ、殆ど盲目状態で高速で走る車の恐怖。よく事故らないなー(苦笑)。内容は深刻?なのに妙なおかしみがある作品。ヴェンダースらしい諧謔味もあってなかなか楽しい。
★『ゴアVSブッシュ』(We Wuz Robbed) 監督:スパイク・リー
そもそも2000年のあの大統領選から彼の国はおかしくなっていったのだ。大接戦の末、連邦最高裁が下したブッシュ勝利の結論。様々な不正が陰で行われ、様々な疑惑が闇に葬られた。ゴア陣営の僅か10分間ほどの間の希望と怒りと絶望。今だからこそ逆に、あのとき民主党政権が成立していたらその後の世界はどうなっていただろう、と考えてしまう。スパイク・リーらしい怒りのこもったドキュメンタリー。
★『夢幻百花』(100 Flowers Hidden Deep) 監督:チェン・カイコー
男たちが引越しを依頼されて来たのは「百花通り」。しかしそこは何もない更地。男たちは、実際には存在しない荷物を、案内の男の指示に従って運び出す。
変貌著しい北京を描いたある種の怪談、だろうか。チェン・カイコーの最近の作品は大して評価しないが、この作品は何とも愛すべき小品である。北京では胡同(フートン)という形式の伝統家屋の多くがどんどん解体されているらしいが、同時にどれだけの「記憶」が打ち毀されていることだろう。そんなことを思わせる秀作。
彼の映画はすべてがすべて、音楽がすばらしい。一度、まとめて一枚CDを作ってもらえないだろうか。
ヴェンダース作品が自分としては一番良かったというか、好きだったかな。
これから・・って時に終わってしまうんで、10分では自分にはやっぱり物足りない気がした。
ヴィクトル・エリセの映像は、活字化不能である。脈絡不要。これほど10分という制約の中で、完全な映像による心の処方箋があるだろうか。
ヘルツォークの、待ってましたとばかりの、お得意の「土人」フィルム。未開文明を10分で1万年の錬金術。時の流れなど瞬きの如く・・・。
ジャームッシュのキーワードは、いらない素材を徹底して長回し。商業映画ではバッサリとカットされるであろうワンシーンこそが、ジャームッシュの感性の塊である。
対照的にスパイク・リーは、テーマへのこだわり、息をつく暇も無いカットと台詞被せの応酬。アンチ芸術根性。やはりスパイク・リーは、煮ても焼いてもスパイク・リーであり続ける。
チェン・カイコーのぬるい題材は、些か不釣合いの体だが、アジアはしばらくチェン・カイコーに付いて行かざるを得ないであろう。
意外なところでヴィム・ヴェンダース。どれほど自己満足で煙に巻くと思いきや、外しの美学。なんと、10分間で一級品の娯楽作品を作り上げてしまった。
当然といえば当然であるが、いつみてもカウリスマキの画の中の人物には、花がない。敢えてなのか、ハードボイルドに花はいらないか。
ジャームッシュの初期の頃の映画に似たつくりで、
クロエ・セヴィニーには、サイレント映画の頃の女優に似た気品がある。
まるで何年も前から、クロエはジャームッシュのミューズだったみたいに
作風にマッチしていて、最高にすてき。
映画うんぬんより、見ているだけでシアワセ。
そんな映画があってもいいと思う。10分だけだし。
ヘルツォークのやつは、最初に原住民が出てきただけで恐ろしかった。
十数年で1万年もの進化を遂げるなんていう過程を
こんな10分だけでほんとにいいわけ?ヘルツォーク、おそるべし!!
あまりにもアッサリしていて、それが妙に恐かった。
この10分の中では、殺人も死体も変質者も何もでてこないのに、
妙な恐怖映画よりひどくおそろしい。
あと良かったのが、ヘルツォークとスパイク・リーでしょうか。言いたいことハッキリしてるし、特にヘルツォークは『カスパー・ハウザーの謎』以来ずっと取り組んできたテーマが端的ながらとてもシンプルに表現されてるって感じで、個人的にとても感慨深かったです。
僕はエリセだけでもこの映画、見る価値があると思います。ほんと、何回でも見たくなるような暗喩と展開が絶品だし、新鮮で、強烈。こういうことは、芸術でしか表現できない。