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グッバイ、レーニン!(2003)

GOOD BYE, LENIN!

メディア映画
上映時間121分
製作国ドイツ
公開情報劇場公開(ギャガ・コミュニケーションズ)
初公開年月2004/02/21
ジャンルコメディ/ドラマ
時代は変わっても、心は変わらない。
グッバイ、レーニン! [Blu-ray]
参考価格:¥ 4,104
価格:¥ 3,175
USED価格:¥ 3,015
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【解説】
 東西ドイツの統一という時代の波に翻弄される人々の悲喜劇を笑いと涙で綴ったファミリー・ドラマ。東ベルリンを舞台に、昏睡中に東西ドイツが統一され、意識を取り戻した母が再びショックを受けないよう、消滅前の東ドイツを必死に見せ続ける息子の奮闘をユーモラスに描く。監督は本作が長編2作目となるヴォルフガング・ベッカー。ベルリン国際映画祭で最優秀ヨーロッパ映画賞受賞をはじめさまざまな映画賞に輝き、本国ドイツで歴代の興行記録を塗り替える大ヒットを記録。
 1989年、東ベルリン。テレビ修理店に勤める青年アレックス。彼の父は10年前に家族を捨て、西側に亡命した。一方、母クリスティアーネは、その反動からますます愛国心を強めていく。そんなある日、秘かに反体制の考えを持っていたアレックスが反社会主義デモに参加。その結果、警察と衝突するところを偶然目撃したクリスティアーネはショックで心臓発作を起こし、昏睡状態に陥ってしまう。その間にベルリンの壁が崩壊、統一ドイツは資本主義国家となる。やがて8ヶ月後、クリスティアーネは奇跡的に覚醒するのだが…。
<allcinema>
【おすすめ作品】
A=無難にチョイス B=チャレンジの価値アリ C=発見があるかも!?
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【ユーザー評価】
投票数合計平均点
49409 8.35
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【ユーザーコメント】
投稿者:er3535投稿日:2015-04-06 01:27:54
【ネタバレ注意】

はじめのうちは隠すのが良いのか悪いのか分からなかったし、いやいや無理じゃない?と思った部分も多いけれど、とことん母思いな主人公を見ていると、段々それはどうでもよくなっていった。(お姉さんの反応が現実的かなと思った)真実を知ったと思われる母親の、主人公を優しく見守る姿も印象的。
温かい気持ちになりました。

投稿者:ピースケ投稿日:2014-02-25 22:48:43
コメディ部分を期待して観たらけっこう淡々と話は進み、ちょっと拍子抜け。
投稿者:jb投稿日:2013-04-27 00:20:49
予想以上に良かった。
投稿者:TNO投稿日:2011-04-09 15:46:09
母を思い、ベルリンの壁崩壊を隠し続けた息子と、息子に騙されたフリをし続けて天に召された母。東西ドイツの歴史に翻弄された家族がとても活き活きと描かれている。国家に忠誠を誓っていたはずの母親が実は亡命の機会を覗っていたという事実。ヘリで廃棄のため運ばれてゆくレーニン像(ですよね?)に指差される母親。先に西側に亡命していた父親と母親の再会シーンでは、一切の会話が明らかにされなかったのは良かった。元花形宇宙飛行士が今は病院に待機するタクシー運転手という設定もリアルに思える。東側がベルリンの壁を解放したというニセニュース映像を、母、恋人、姉、息子の4人で観る場面は、秀逸。4人それぞれが全く違う思惑で観ているのだ。ダニエル・ブリュールは、あまり表情を表に出さない俳優だと思っていたが、本作では、表情豊かに演じていて新鮮だった。 母親のカトリーン・ザースは、美しい人だと思った。
投稿者:タニ投稿日:2010-04-19 01:10:49
 主人公が健気だ。主役が優しくナニモノにも染まってないので思想や社会問題も扱うこの映画を非常に素直に楽しめる。
 悪者の一切出てこないこの映画は現実社会を切り取っているにも関わらず寓話のにおいがする。それは主要な登場人物たちが極端な記号化を持って語られるからで、母は東ドイツの象徴として、姉は資本主義を受け入れた東ドイツ人の象徴として、父は西ドイツの象徴として...。
 そして何よりこの映画を感動的にしているのは、記号化されたこれら登場人物たちが、ラストシーンにおいて氷解し、記号化を解いて一個の人間になるからだ、と私は思う。
 
 一見すれば「東ドイツ時代も捨てたもんじゃない」といったテーマかもしれない。事実、本国ドイツでは「あぁ、懐かしい」といった感想が多かったとか。しかし、最後までじっくり味わえば、思想や懐古趣味を超越した、人間本来の姿を描こうとした作り手の願いにも似たものが漂う。

 よくできた一本です。

 なにより、ピクルスの食べ方が好きでした。カリッと、おいしそうですね。
http://moviearth.at.webry.info/201001/article_3.html
投稿者:フラーティ投稿日:2010-02-04 01:16:16
 ベルリンの壁崩壊、ドイツ統一(東ドイツの消滅)、という時代の激変に翻弄されつつも、家族愛・隣人愛を忘れずに懸命に生きる東ベルリン市民の悲喜交々の姿を感動的に描いた、微笑ましくも切ない作品。
愛する者に残酷な真実を知られないための必死の嘘、というモチーフは、『ライフ・イズ・ビューティフル』にも通じる。


 庶民、市井の人々にスポットを当てて、その生活をユーモアとペーソスを交えて描くという作品には、どうにも弱い。
O・ヘンリーの『賢者の贈り物』とか、ビリー・ワイルダーの『アパートの鍵貸します』とかね。
どこにでもいるような、とるにたらない人々への暖かい眼差しというか。


 母親に嘘をつき通すのが正しいかどうかは分からない。
しかし、そこに母親への限りない愛情があることだけは確かだ。そして母親も息子の愛に応えた。
社会主義の理想は、そういう庶民の暖かい情に根差していたはずなのに、どこでどう狂ってしまったのか。

 主人公と友人が創造した「幻想の東ドイツ」。
これが現実だったら、どんなに素晴らしいだろうと思った。
元宇宙飛行士の演説は、100%嘘なのだが、その奥底に真実が眠っているような気がして、そこに真実があると信じたくて、胸が詰まる思いだった。
心は物に勝つのだ、と。
投稿者:黒芝投稿日:2007-07-05 01:35:25
ドイツには「オスタルギー」という言葉があります。
ドイツ語で「東」をあらわす「オスト」と「郷愁」をあらわす「ノスタルギー」の合成語、つまり統一前の東ドイツに対する郷愁です。

我々の感覚からすると「何それ、今の自由なドイツより共産主義時代のほうが良かったなんて」等と思ってしまいますが、それには作中でも触れられていますが事情があります。
名目上、東西ドイツの統一は双方平等な立場での併合だったのですが、実際に行われたのは西ドイツによる東ドイツの吸収に等しいもので、東の権力者達は皆その立場を失い、国営企業は軒並み倒産、閉鎖。
一つのドイツになった後も、東西で大きな経済格差を残すこととなってしまいました。

そんな中で、自分たちの生きてきた時代や社会を否定された形になってしまった元東ドイツ民達の間で「俺達の生きたあの頃だって、悪いことばかりじゃなかった」という郷愁の念から「オスタルギー」という言葉が生まれ、ブームを巻き起こすまでになったのだそうです。

例え酷い環境で生きてきたのだとしても、人はどのような状況でも幸せや生き甲斐を見つけて頑張っていける生き物ですから、歳を取って今が昔になってしまえば「あの頃は不便でしんどかったんだよォ、だけどね……」と、当時の思い出を懐かしんでしまうものなのではないでしょうか。
針を進め続ける世界に、自らの歩んできた過去が否定されてしまったのならなおさらです。
アレックス君の奮闘は、母の為であり、同時に自分の尊厳のためでもあったのだと思います。

コメディとしては弱いですし、細部があまり行き届いていない作品なのですが、色々と考えさせられる良作でした。
投稿者:ちゃぷりん投稿日:2007-02-05 22:49:54
【ネタバレ注意】

題名からして母親が死ぬのは想像がついたが、今ひとつ心に残る物が無かった。ずっと前に観た「ペレ」もそうだったが、部分部分で作為を感じたのと、演出と脚本が結局雑だったのが原因だと思う。
東ドイツ(北の某国も)を外人がどう思おうが、「祖国」を信じた人は暖かく見送ろうというのは解る。物質が豊かで、人々も真面目に健全に暮らしている国なんて、無いな。日本も含めて。

投稿者:kath投稿日:2006-09-29 17:49:15
ベルリンの壁崩壊をとてもドキュメントタッチで扱ってるところが面白い。
わずかな期間の間の思想の変化で翻弄される人々が如実に表現されている。
母を思う息子アレックスの行動には本当に心が温まる思い。
思想が変わっても想いは変わらないというステキなメッセージを感じる。
母親役のカトリーン・ザースの表情の豊かさには驚く。
最後に母親は真実を悟ったのか。。。?
投稿者:glamfreak投稿日:2006-05-21 17:39:37
最初に、この映画の宣伝を見たときには、「ああ、浦島太郎物語ね。東西ドイツという設定が面白そう」という程度にしか思っていなかったのだが、これは浦島太郎みたいに「街が変わるほど何十年も眠っていた」話ではまったくない。「ほんのちょっと寝ている隙に、ほぼ一夜にして世界が激変した」のがポイントだったのだ。

ドイツ統一を、海のこちら側で、リアルタイムで見てきた私は、今さらながらに、あれが、わずか8ヶ月の間の史実だったのを改めて認識した。そう考えてみると、明治維新ってどうだったんだろう。もっと最近、戦後の日本もそうとうな勢いで変わったのではないかと、ふと思い、親に聞いてみると、テレビもなかった時代に、8ヶ月もかからずに日本は変貌したはずだと言うではないか。確かに、年表を見るとそのとおりだ。特に、戦時中に威勢がよかった教師に限って、戦後、元気がなくなったという話は繰り返し聞いていて、映画の中とそっくりだと感じた。

ということは、逆に、人が戦争に走ったり、国が分断するのにも、そう時間はかからないはずだ。わかっちゃいたけど、本当に時間って、あっという間だということを『グッバイ、レーニン!』は見せつけてくれた。年寄りが付いていけないのも無理はない。

主人公の母は、彼の母国そのものだ。たまにショックを受けては倒れたり、偏った考えに走ったりしていたら、ふっと気をゆるめた隙に、やけに目立つ西に呑み込まれてしまった。それでも、常に凛としているし、子供たちを見る眼はいつでもやさしい。あの半みのレーニン像は、そんな母に手を差し伸べて、未来を託したのか、それとも過去への謝意を述べたのだろうか。映画を見て以来、私はヨーロッパの大きなピクルスを常備している。なぜだか、ここ日本で手に入るのはポーランド製だ。
投稿者:くろくろ75投稿日:2006-03-07 08:32:25
【ネタバレ注意】

素晴らしい作品です。映画ファンから大評判なだけある。
2時間あっという間。テンポも良く、主人公+母親を支える脇役も良いですね。120分の作品ですが、未公開場面を含めるとオリジナルは3時間あったそうで、そちらのバージョンでも見てみたい(脇役にもっとスポットライトが当たっているそう。恋人のロシア人ララの人生事情や、映画狂の友人デニスの事とか・・)。

母親が最後、アレックスの嘘に気づいていたのかどうか。自分には分からなかった。ただ、愛する旦那を失った反動で愛国者になって行った彼女には、家族愛を見つけ旦那と再会した時点で、資本主義も社会主義も無くなって、ただそこにある幸せを見つけたんだ・・と思いたい。ハッピーエンドなんだけど、ちょっとほろ苦くてせつない。

もっともっとこういう映画が見たい。

投稿者:さち投稿日:2006-03-05 13:41:53
よかった
投稿者:投稿日:2005-07-26 03:37:32
【ネタバレ注意】

 大傑作というほどではない。確かに良質なコメディだとは思うが、それ以上のものではないだろう。

 話があまりにわかりやす過ぎ、少し底が浅いような気がする。

 虚偽のニュースを作り、リアルなニュースとしてビデオ再生して見せるわけだが、文字通り子供だましで、いい大人は最初からだまされないだろう。この部分がこの作品の中核を担うので、どうしてもリアルさから離れていってしまい、作品自体が子供っぽい印象を与えてしまう。ここが難点である。

投稿者:bond投稿日:2005-04-26 11:21:58
【ネタバレ注意】

不幸があっても残った家族で支え合うのが健気だが、暗くならず淡々とした感じがいい。結果的にはハッピーエンドなのか。

投稿者:Yohji投稿日:2005-02-02 09:47:36
切なく悲しく愛しい、「嘘」のお話♪ (大好き)

投稿者:ちゃき投稿日:2005-01-18 15:10:38
【ネタバレ注意】

久々に単館に行って、本当に久々に観たヨーロッパの映画。ドイツのお話です。本当にすごくよかった。後から知ったのですが、アカデミー賞の海外部門でいっぱい賞を取ったらしい。それも納得。テンポも良く、話も良く、俳優もよく、全てが良かった。いい映画を観たなーという気分になった映画。

もう少しベルリンの壁崩壊あたりの歴史をまじめに撮る映画かと思っていたらぜんぜん違っていた。それでも随所にあふれるコメディータッチとか、旧東ドイツの服、食べ物などの感覚が面白くて、それだけでも面白い。あとはハリウッド映画ばかりみている私にとっては新鮮なカットとか、小道具の気の使い方とかがよかった。当時の実際の映像を交えたりそれを(ストーリー上)パロディ化していたりとかする遊び心が良かったです。ドイツの子ってかわいいなぁ。あんな息子が私にも欲しいです。もちろんドイツ語映画なので、英語字幕で見たのですが、日本語字幕で見たほうが入って来易いのだろうけれど、あまり気になりませんでした。ドイツ語をあんなに聞いたのは始めてかもしれない。でも映画を観てその言語の勉強になるっていうのはものすごく分かる気がする。簡単な挨拶とか言葉とかすぐに入ってくるし、忘れない。ドイツ語はフランス語よりも発音はマスターしやすそうだと思った。聞き取り易いんだもの。(04/09/2004)

この映画を観て、ヨーロッパ文化とアメリカ文化の違いを痛感しました。いかに日本では欧米といって一括りにしても、日常生活が違うと思った。そうは言っても10年くらい前が舞台なので、その辺の差はあるにせよ、やっぱりヨーロッパ文化は深いように見える分、少し貧し目だと思いました。華が足りない。それがある方がいいか、そうでないかは別の問題として、よくも悪くもヨーロッパだなと。そういう括りも大雑把ですが、やはり大きな違いがあると思いました。関係ないがこれをみたら無性にピクルス丸かじりしたくなりました。(12/30/2004)http://www.geocities.jp/milestones1980/

投稿者:nehane215投稿日:2004-12-22 01:59:04
お疲れ様でしたと言います。
それから
この映画にありがとうと言います。
この映画の制作に携わったすべての人たちにありがとうと言います。
この映画の感動を皆で分かち合える喜びに感謝してありがとうと言います。
とても良い作品を観せてもらいました。素晴らしい映画です(拍手!)

最後に、東西冷戦時に亡命に失敗して
          犠牲となられた方々へのご冥福をお祈りいたします。
投稿者:jyunn投稿日:2004-12-02 20:44:31
【ネタバレ注意】

とてもよかったです。
ユーモアや家族や友人と言った周りの人の事、主義の話、国家、時代背景等、人間を取り巻いて、けして無関係ではいられない要素がバランスよくセンスよくちりばめられている。随所にキューブリック監督作品のパロディのような部分が見られるが、不愉快ではなく、むしろ上手い。音楽も素敵。
お母さんやアレックス、お姉さんから父親、周囲の人々まで皆素敵。個人的には、様々な事を抜群のユーモアを持って助けてくれる友人がとても好きです。
アレックスの母親が本当の事を悟り、アレックスの方を見やる演技はものすごいと思う。表情だけで全てが理解できる。この主演の二人は本国ドイツでは素晴らしい役者として有名だそうですね。ララ役の方も非常にかわいい。ドイツ映画では、過去に「ビヨンド・サイレンス」と言う映画や、「es](確かドイツ映画かと・・)等を見ましたが、いずれも素晴らしかったです。ドイツ映画もいいものです。

投稿者:NYY投稿日:2004-09-19 13:00:46
 うん、素晴らしい映画だった。

  文句なし。

         以上
投稿者:vegirama投稿日:2004-07-20 17:17:25
つまらない
投稿者:D.T投稿日:2004-07-15 03:43:27
【ネタバレ注意】

『グッバイ、レーニン!』は、主人公アレックスとその母親クリスティアーネのキャラクターが立っていることが最大の美点だろう。この二つのキャラクターの輝き故に少々緩いイメージも含めて画面に見入ってしまう。

また、主人公に“アレックス”の名が冠されたこのドイツ映画が纏う“忙しなさ”は、東ドイツ(ドイツ民主共和国)と云う国家に唐突に訪れた一大転換の反映として在り、また、ベッカー監督のキューブリック・コンプレックス如きものが時には上滑りに画面に示されるが故に在るように思う。

例えば、『時計じかけのオレンジ』(1971)での札付きの不良たる主人公アレックスが少女2人を自室に連れ込んでのセックスを固定キャメラで捉えた映像を早回しで示すシーンを捩(もじ)っての病院から退院する母親を迎える部屋を模様替えするシーンにしても、主人公の所謂映画狂の友人が撮影した映像に在る『2001年宇宙の旅』(1968)中の「猿人が空高く放り投げた骨が大気圏外に在る宇宙船へと転じる」イメージの捩り方にしても、キューブリックの産み出したイメージとの無邪気な戯れとでも云った以上のものは感じられない。

また、主人公が看護士の恋人と暮らし始めたアパートで彼女の看護実習の試験台に使われているシーン。此処アパートのバスタブで包帯を全身に巻かれ手足にギブスを嵌められて身動きが取れないでいる主人公の姿は、『時計じかけのオレンジ』終幕の病院ベッドに在る“札付きアレックス”の姿に近しいものだろう。

兎も角、それらは微笑ましくこそあれ、然したる妙味、新味を以って僕の心を掴むものではない。

本作で『時計じかけのオレンジ』に在るものの変奏なり援用なりが試みられているとして、そこに新たな独自性をも見い出せるが故に僕を惹き付けるものは、主に、ベッドから出られぬ(―詳細は省く)母親を擁したシーンに於いてあり、母親思いの好青年たる主人公から垣間見えて来る脆さや強靭な意志や想像力に於いてある。

例えば、病院で昏睡する母親が初めて意識を取戻し目覚めるシーン。
アレックスは衛星放送アンテナのセールスマンとしての就業時間以外の大半を母親の介添に費やしている。そんな彼は病室の看護士であるララというロシア娘に一目惚れ、ある日、母親の病室でララを押し倒さんばかりに迫る、正にそんな最中に母親は昏睡から目覚める。顧みれば、彼(か)の“札付きアレックス”も当直の医師と看護婦のセックスの最中に意識を取戻している。

斯様に、両作品に於いては昏睡する者を至近にした男女のセックス、性衝動のぶつかり合いが彼等を目覚めさせる(ように見える)訳だが、それらが、人体の化学反応的道理に適っているか否か等はともかく、予知困難な“昏睡からの目覚め”の唐突性に映画的迫真を加えているものは昏睡する者の傍に在る男女の性衝動だ。

また、両作品の母と息子の関係に共通するものの一つは互いを突き放す事が出来ない点だと思う。特に『グッバイ、レーニン!』に於いては、主人公の幼少時に父親が西側に亡命(―詳細は伏せよう)したこともあり、母親は20年以上に亘って他の何者よりも(※例えば主人公の姉に対してよりも)息子アレックスに愛情を注いで止まなかった…。

さて、『時計じかけのオレンジ』の主人公“札付きアレックス”は自ら志願して凶悪な犯罪者を非暴力体質に変えることを目的とした「ルドビコ療法」の被験者となり、連日注射、投薬を施され、映画館の椅子に拘束され瞼を固定されさまざまな暴力映像を見続けさせられて行く。

一方、『グッバイ、レーニン!』に於いては、TVを観たいと言い出した母親はアレックスが(件の映画狂の友人の力を借りて)捏造した映像をベッドで見続けさせられる…。

おそらくベッカー監督は、暴力、窃盗、ドラッグ、セックス…に明け暮れ、過失ではあっても殺人を犯し、国家権力によって矯正され反体制側にも利用された挙句にも、自分を歓喜に満たすものの在り処を確信するに至る“札付きアレックス”の強靭な精神性、想像力を本作の二つのキャラクターに生かそうと試みたのだろう。

何にせよ『グッバイ、レーニン!』の二つのキャラクターは、自ら選んだ社会主義の価値観を生き抜いた母親として、国家、親子、家族、個人の激動期を生き抜いて行く若者として、脆さも強靭さも併せ持つ人間性を以ってスクリーン上に目映く輝いている。

映画終幕近く、母、息子、そして家族等が或るニュース映像に見入る。
そこに息子の“捏造”を見抜いたと思しき母親は不意にTVモニターから目を逸らしチラチラと息子を見遣る、そのいとおしげな眼差し、面差しは僕を甘美な心地に誘う。

映画はドイツの歴史的転換期を背景に主人公の精神的成長を示しながら、何よりもアレックスとクリスティアーネの絆を核に据えた親子の寓話性に収斂していよう。


■http://ohwell.exblog.jp/

投稿者:ilovesunshine投稿日:2004-06-13 02:05:40
良いドイツ映画を久しぶりに見ました。ユーモアが無かったらやりきれない話です。
投稿者:eu投稿日:2004-05-23 22:00:12
最近こういう良質のコメディ少なくなったような。社会風刺と笑いのバランスが抜群。音楽も印象的。隣で観ていたドイツ人カップルがやけに爆笑していたのも印象的。
投稿者:トレマー図投稿日:2004-05-03 11:58:03
久々にいいコメディを観た気がした。
投稿者:黒美君彦投稿日:2004-04-17 14:54:33
1989年10月から1990年10月までの激動のドイツ。ベルリンの壁崩壊、ワールドカップの独優勝、通貨統合、そして東西ドイツの統一。それをこんな風に描くとは・・・!ヴォルフガング・ベッカー監督の卓抜したアイディアにただただ感心させられた。東西分断の歴史がもたらした悲喜劇の数々。それをある家族に仮託し、コメディタッチに、時にウェットに、見事に描写してみせている。
東ドイツの消失した社会民主主義を嘲笑うわけでもなく、資本主義社会に対する風刺も効かせながら、国家のイデオロギーに圧し潰されそうになった家族の「理想」がやがて描かれる。人間同士が信頼し合い、単純に競争し相手を蹴落とすばかりではなく、必要とあれば助け合い、武力に頼らず話し合いで解決する「国家」「市民」のありよう。そんなもの、この地球上にあり得ないだけに、とても切ない。
それにしても、「ベルリンの壁」崩壊をテーマにしたこんな作品が生まれるということは、あの事態は既に「歴史的事実」になった、ということだろうか?
母親のクリスティアーネ役を演じた東独出身のカトリーン・ザースは「(東西ドイツ統一という)ああいう体験を受け入れるには、時間が必要だわ。あれから十数年を経た今、ようやく西と東は共に成長しあの出来事を受け入れることが出来るようになったの」と語っている(映画パンフより)。この作品以前であっても時期尚早だっただろうというわけだ。
時間が隣接していればしているほど、史実に縛られ、事態の大きさに引きずられてしまうことは容易に想像できる。その意味では、今ようやく「史実」に縛られない「真実」が描かれる時期なのかもしれない。
それにしても、「東西統一」の裏側にある人間的営為の混乱を窺い知ることの出来る大傑作だ。
宙吊りのレーニン像が、クリスティアーネに向かって手を差し伸べるカットは、奇跡のような印象的なシーンだ。
【受賞履歴】
(■=受賞、□=ノミネート)
■ ヨーロピアンフィルム賞ヴォルフガング・ベッカー 
□ 外国語映画賞ヴォルフガング・ベッカー ドイツ
□ 外国語映画賞 ドイツ
■ 作品賞 監督:ヴォルフガング・ベッカー
 □ 監督賞ヴォルフガング・ベッカー 
 ■ 男優賞ダニエル・ブリュール 
 □ 女優賞カトリーン・ザース 
 ■ 脚本賞ベルント・リヒテンベルグ 
 ■ 観客賞(監督賞)ヴォルフガング・ベッカー 
 ■ 観客賞(男優賞)ダニエル・ブリュール 
 ■ 観客賞(女優賞)カトリーン・ザース 
■ EU(欧州連合)作品賞ヴォルフガング・ベッカー 
【ソフト】
  商品名  発売日  税抜価格  
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