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父、帰る(2003)

VOZVRASHCHENIYE
THE RETURN

メディア映画
上映時間111分
製作国ロシア
公開情報劇場公開(アスミック・エース)
初公開年月2004/09/11
ジャンルドラマ
なんで今さら帰ってきたんだ
アンドレイ・ズビャギンツェフ 全作コンプリートBOX【初回限定生産】 [DVD]
参考価格:¥ 8,424
価格:¥ 6,469
USED価格:¥ 7,102
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父、帰る父、帰る父、帰る父、帰る

【解説】
 2003年のヴェネチア国際映画祭で絶賛され最高賞の金獅子賞と新人監督賞をダブル受賞する快挙を果たしたアンドレイ・ズビャギンツェフ監督による静謐で衝撃的な人間ドラマ。12年ぶりに突然帰郷してきた父親を前に、事情も呑み込めず戸惑うばかりの兄弟の姿を、謎を秘めた緊張感溢れる語り口で綴り、親子の間の絆や葛藤を鮮やかに描き出す。なお、本作撮影終了後、ロケ地だった湖で兄アンドレイ役のウラジーミル・ガーリンが不慮の事故で溺死する不幸な出来事があった。
 ロシアの片田舎。2人の兄弟、アンドレイとイワンは母とつつましくも幸せに暮らしていた。父親は12年前に家を出て行ったきり音信不通。兄弟は写真でしか父の顔を知らなかった。そんなある夏の日、父が突然家に帰ってきた。寡黙な父はこれまでのことを何も語ろうとはせず、母も事情を説明しようとはしない。兄弟の戸惑いをよそに、翌朝父は彼らを小旅行に連れ出す。道中、父は子どもたちに対し高圧的に振る舞う。そんな理不尽な接し方にも、父を慕い続ける兄に対し、弟のほうは徐々に反抗心を募らせていくのだった…。
<allcinema>
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【ユーザー評価】
投票数合計平均点
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【ユーザーコメント】
投稿者:nedved投稿日:2012-03-11 01:38:15
ウラジーミル・ガーリン
投稿者:いまそのとき投稿日:2011-05-25 21:33:52
彼に尽きます。男にはあります。父親に対する反抗心。しかし、恐ろしいほどの父と子の葛藤でした。死なせなくてもいいのに。他の展開もあったと思います。
投稿者:FFF投稿日:2010-11-15 23:58:40
絆を描いてる映画だろ。
この男が父以外である訳ない。
父もまた完璧でないが自分がなすべき事は分かっている。
テーマは明確でその為のロケーション、映像の素晴らしさ言うにおよばず。
投稿者:Ikeda投稿日:2009-09-24 11:23:52
最初にイワンが怖くての高い所から飛びこめない。それを母親が慰めるのはこの映画全体の伏線になっています。そして12年ぶりで父親が帰ってくるが、何をしていたのか解らないし、何のために子供を連れて無人島へ行くのかの理由も不明というあたりが、この映画を批判する人のポイントではないかと思います。ただ。私はラストまで見た時に、これは映画の雰囲気をファンタジックにするためではないかという気がしてきました。
また、この映画の本質は父親と二人の息子のふれあいにあると私は思っています。理由は解らないにせよ、12年の成長期を不在にしたため、改めて子供を教育しようとする父親の気持ちが滲み出ています。そしてアンドレイがイワンに対しての兄としての威厳がなさすぎる所はありますが、父に、素直に従う一方、反抗期にあるイワンは父に対し徹底的に反感を持つという設定がこの映画の本質です。
私事に亘りますが、私は4才の時、父を亡くし、弟と二人、母に育てられました。私の場合は「父、帰らず」ということになりますが、子供の頃、もし父が亡くなったのが間違いだったらと考えた事もありますので、また別の感慨も持ちました。
投稿者:AZ投稿日:2009-09-16 00:35:12
雰囲気が良い。映像がきれい
無駄な音楽とか一切なくて素敵。
投稿者:ジョナサン投稿日:2008-11-01 12:07:43
いろんなメッセージがこめられているのだろうが、純粋に父と子の普遍的な物語として見た。何十年一緒にいても、分かり合えない親子もいる。突然帰ってきた親父に対して、イワンの反撥は当然。あの箱の中身に何が入っていようと、悲劇のあとでの旅の終わりに、「お父さん」と叫んだ瞬間に父と子が分かり合えたのではないだろうか。そして、イワンの子供から大人への脱皮も描いたのではないか。ずしりと思い心打つ作品だ。
投稿者:kouseikeishi投稿日:2007-09-11 13:33:28
説明を省いたぶっきらぼうなタッチ、静けさと激しさを備えた不思議な映画。結婚が遅く50を超えて子宝に恵まれ、子供の成長が生きる糧となっている私には、不器用で分かりあえる術を知らないこの父子の顛末は悲しすぎる。自分とていつまで子供と心を開いて対峙できるかわからないけど・・・映画の境遇で自分がこの子なら、この親なら、まさに映画と同じような態度しかとれないような気がしてまた切なくなる。
投稿者:ヤース投稿日:2007-04-07 02:44:05
久しぶりにロシア映画を観た。話題になっていたようだが田舎住まいなので、観る事が出来なかった。だが今や、DVDや巨大で精細な画像のテレビがある。じゅうぶんに映画館の気分が堪能できる。絵作りの丹精さ。空間設計の精緻さ。どうしてこういった美質が、ある種のヒトの「悪感情」をかき立てるのだろうか。いいものが、どうして、そんなに腹が立つことなのか。何故なんだろう。レンフィルム。かつてそんな名のつく映画祭すら日本で開催されていた。ソクーロフ。アラノビッチ。タルコフスキーの遺影がちらつく。高名な大学教授の映画うるさ型がそれに絡まったりもしていたが、忘れていい。ロシアが、レニングラードが、というのも、この映画の場合、どうでもいい。言語がイギリス語でもドイツ語でもよかった。日本語でも韓国語でもよかった。お話は他愛ないもの。五行くらいで要約できるだろう。シンプルで、煩雑さがゼロだ。だがその動作、空模様、シャツの汗ばみ具合、食卓の風景、肉のさばき方の無造作さ、草原の色合い、実によく作りこまれている。地球の美だ。それは「特典映像」という豊穣な教えから、よく分かる。それと、母親だ。ハッとする美人だ。日本のテレビでもてはやされている自称他称の「美女」は、要は南方亜細亜顔である。東北亜細亜顔の遺伝子が自己を相殺しようとしているわけだ。そんなコップの中の小さい性的闘争を遥か高みから見下ろすような美女、それがこの映画のナタリア・ヴィドナという、初めて観る・稀に観る・スラブ美女だ。
投稿者:brilliant tomorrow投稿日:2007-03-23 19:57:28
 歯を食いしばって最後まで観ました。自分に拍手…
 聖教観とか、いろいろ込められたものがあるらしいですが、そんなもの以前に次男は不快です。愛情を含めて複雑に混ざり合った気持ちが起こさせる行動の数々と取れないでもないけれど、父親が現れる前から、そのいただけない性格が描かれていたのですから、弁護側に立つことが困難なキャラクターでしたね。食べ物をああいう風に扱うヤツは、自分にはダメダメです。映画のその他の部分がまったく味わえないほど強烈な不快さでした。それでも、映像はきれいだったと思います。
 それにしても、母親がへいぜい、不在の父親についてどんな風に語っていれば(あるいは語らなければ)、あんなに父親観の違う兄妹が出来上がるのだろうと思いました。
投稿者:kath投稿日:2006-09-29 17:16:38
初めて観たロシア映画。予想に反してスペインのような明るさを感じた。
兄弟の力関係が、父親出現を境に逆転するのが面白い。
不可解な点が多数残る映画だったが、それが2人の子供目線だったと考えれば左程不快感も無かった。
ハッピーエンドではないものの、目覚しい兄弟の成長が心に残った。
投稿者:ushigome投稿日:2006-07-13 18:56:16
【ネタバレ注意】

アンドレイ・ズビャギンツェフの『父帰る』、どんな映画かと言うと、母子家庭があって、男の子が二人いるんだけど、兄の方はともかく弟(イワン)がすごく頑固で意地っ張りで、どれくらいひどいかと言うと、映画の最初にそれを表すエピソードが出てくるんだけど、海があって、そこに高い塔のような見張り台があって、そこで子供達が、上から海に飛び込む度胸試しの遊びをやっているんだけど、このイワンは自分の番が来ても飛び込もうとせず、兄が、促すためにわざとからかいの言葉をかけてみても駄目で、かと言って臆病者呼ばわりされるのが嫌だから梯子を使って下に降りようともせず、とうとう日暮れ時になってしまって、友達も兄もあきれてとっくに帰ってしまって、イワン一人が馬鹿みたいに塔の上に意地張って座り込んでそこから一歩も動かないでいると、母親が迎えに来てなだめてやるんだけど、そうやって優しい言葉を掛けられたことで勇気が出て塔の上から飛べましたと言うわけでもなく、結局は最後まで飛ぶことができずに、依然として塔の上に留まったままで中途半端な形の幕切れを迎えてしまう、そんなイワンと言う少年なのだが、物語は彼の元にある日、長い間行方不明だった父が突然訳もなく現れる所から始まる。

イワンと兄は、誘われる形で父と小旅行に出かけるのだが、このどこかうさん臭い男に対して、受け入れの姿勢を見せる兄とは対照的に、イワンは例のかたくなな態度で拒絶の姿勢を表し、事あるごとに反発し、それに対してなおも厳しい態度をとりつづける父に、ついには逆上して泣きわめき、そんな彼を抑えようとして追いかけて行く父を振り払う形で高い塔の上にまで登ってしまう。それは、旅路の果てに辿り着いた島にある物見の塔で、自暴自棄になったイワンは、その上から今にも飛び降りようとする。

場面は違うけれども、ここに至ってイワンはようやく塔の上から飛び降りる決心をする。塔の上に座り込んで一歩も動こうとしなかった彼のかたくなな態度を変えたのは、兄でもなく母でもなく父に他ならなかった。長い間行方不明だったのに、なぜ今さら帰ってきたんだと問われる父は、これでようやくその答えを得る。この役割を果たすことこそが、この映画における父親の使命だったのだ。

この場合の父親と言うのは、一つの役割に過ぎない。それは、血のつながったいわゆる本当の父親でなくても、全くの赤の他人であってもつとまる役だ。この映画でも、突如として現れた男が父親だと言うことになってはいるものの、果たして彼が本当の父親であるかどうかはわからない。その真実性が疑われているような状況なら当然あってもよさそうな検証、例えば、本当の父親でなければ知らないような質問を彼をぶつけてみるような場面が、この映画には一切ない。彼は、ひょっとしたら兄弟の母親が子供達のために雇った男かも知れないのだ。旅の途中にも、この男が、子供たちに隠れて誰かと連絡を取り合う場面がいくつかあるが、その時連絡を取っていた相手が子供達の母親でなかったとはどうして言い切れよう。そもそも、その旅を立案したのが母親その人に他ならなかった。父親に会えると約束したシングルマザーの母親が、夫に似た男を雇って子供の前で演技をさせる映画『ディア・フランキー』がそうだったように、母子家庭の母親が子供に関わる何らかの目的のために男を雇う、そうした例は映画にもよくあることなのだ。

では、『父帰る』の場合、母親の目的とは何だったのか。少なくともそれは、あの映画の冒頭の場面と関係しているように思われる。この母親の子供が、ついに塔の上から一歩も動けなかったと言う事実は、当の本人と母親だけの秘密となったまま依然未解決な状態となっているが、この事態に決着をつけるには、母が雇った父親役の存在が必要だった。だとすれば、これこそが母親の目的だったことになる。

雇われた男は、役割を果たした後どうなったのか。イワンが塔の上でついに決心を固めて動いた時、父親役の男の使命は果たされ、その存在意義もなくなった。イワンを追って塔を登って来ていたこの男は、その瞬間、誤ってまっさかさまに転落して死ぬ。これこそが目的達成の証だった。この男にもこの男なりの目的があったらしく、辿り着いた島で謎の箱を手に入れるために旅をしていたようなのだが、そんなこととは関係なしに、ひょっとしたら彼本人にも知らされぬままに課せられていた父親役としての使命は、きっちりと果たされたのだった。

投稿者:POCHI投稿日:2006-04-27 17:43:23
正直に言って一般人が見たらつまらない映画だと思う。芸術作品かも知れないが、ソ連崩壊後の社会情勢やキリスト教などの予備知識がなければ理解できないような映画は決して一般向けではない。
そして、その様なことが暗示されていたとしても、それによって何が訴えたかったのか私にはまったく理解できなかった。それとも暗示しているだけで終わってしまっているのか?
この映画は少数の蘊蓄を垂れたがるオタク的映画ファンに向けて作られた物で、一般の私達がありがたがって観るような物ではないと思う。
謎が何も解決されずに終わったことを潔いと感じるよりも、ストレスを感じる人の方が圧倒的に多いと思うのだが、ここにその手の感想が少ないのが不思議だ・・・・
映像の美しさ、後味の悪さを楽しみたい人は観ても損がないかも。
投稿者:bond投稿日:2006-02-22 12:21:53
まあ、確かに映画としてはいいけど、結局何故いなくて何故帰ってきたのか、箱はなんなのか?中途半端に終わってしまった。
投稿者:pilokun投稿日:2006-02-08 23:59:12
突然現れた横暴な父。微妙な距離で慕う兄。当惑し拒否する弟。三人三様の感情の表れ方に妙にリアルさを感じてしまった。未だ混乱冷めやらぬロシアだからいかにもありそうに思ってしまったのかも知れない。
結局父の経歴も旅の目的も全て謎のまま、沈んでゆく父。観終わった後、妙な寂寥感を感じた。その原因はわからないけれど中途半端というより、結局父がなぜ帰ってきてなぜ旅に出て死んだのか、映画の中では最後まで謎だからだと思う。だた、父としての役割はおそらく一週間で全て果たしたのではないだろうか。生きてゆく為に必要な強靭さを与えるために、現れ消えていったような気がする。父の死を乗り越えることによって更に強靭になってゆくのだろう。
なぜなら父の持っていた写真には父自身の姿は写っていないのだから…。
ロシアの短い夏と、父と共に在った短い一週間…。
映像は素晴しい。
投稿者:ケーコ投稿日:2006-01-05 15:02:45
【ネタバレ注意】

―見ず知らずの関係に等しい親子がいきなり旅をする。当然、お互いどう接していいのか、わからない。―
そんな不器用な人間の部分を、表情や短い言葉のやり取りでうまく描写していると思います。
旅の間ずっと威圧的でワンマンだった父が「誤解している!」と必死でイワンを追いかけるシーンでは、怒りの表情は消えていたように思います。
自分の愛情をわかってほしいという切なる思いが込められていたのではないでしょうか。
兄弟が父の亡骸を一生懸命ボートまで運んだのは、亡くなった後でこみ上げた父への愛情と敬意を表しているんだと思います。
2人の子役の演技もすばらしかったと思います。大人顔負けです。
アンドレイ役の少年が撮影後に亡くなったのを観賞後に知り、さらなる悲しみに襲われました。

投稿者:hiro911投稿日:2005-12-08 02:21:48
必ずしも親が子供を愛するとは限りません。(以前コメントをした方へ)
この父親は子供に近づきたかった。でもその方法が分からなかった。
見たこともない男と『父』という言葉を繋げるには、次男はあまりに心と頭が重なりすぎていた。それが実感として現れる瞬間こそ父が海に沈み行く瞬間で、人の不器用さと矛盾のようなものを突きつける。その中に哀愁を感じさせます。モノクロの写真が過ぎ去った過去を淡々と語り、儚くも愛すべき人の姿を見ます。それだけではないけれど、そんな映画だと思います。
投稿者:さち投稿日:2005-12-06 04:00:45
すばらしい
投稿者:喜頓投稿日:2005-10-26 21:41:27
幼児期に虐待された訳でもなければ、懐いている義父がいて、そこにヤサグレた実父が現れた訳でもない。
12〜13歳の男子が、初めて会う父親に対して、どうしてこれだけの憎悪心を燃え上がらせるのか、私には到底理解できない。
投稿者:irony投稿日:2005-10-14 15:34:33
 父、沈む。父の言う誤解も12年間の空白も旅行の目的も掘り出された品も全て深淵に沈んでゆく。何も語られないし、そこにまたこの作品の奥深さを感じました。自分自身の子供時代の時の父の思い出に感慨に浸りました。兄役の少年は16才で水難事故により命を落とされた様で、御冥福をお祈りします。
投稿者:エバ投稿日:2005-06-12 01:38:58
【ネタバレ注意】

それゆえに子の心、親知らず。特にこういうテーマは同性同士の親子のほうが
ドラマになりえますね。父と息子、母と娘といった具合に。
しかし数々の伏線を含ませながらも、結果的に観客は唐突に放り出される。
私なぞあの箱の中身や、いきなり兄弟を車から下ろしたり、でもやっぱり
一緒に旅行に連れ出したりする父親の心情の裏の裏の裏までかいてしまったので
幾分納得いかないところも多々あります。
以下のみなさんの書き込みをみると、
キリスト教的観点やソビエトからロシアへの経済変革などの状況などから
この映画を考察していて、私には及びもつかないで考えです。
単純志向回路な私には難解でした…
でも兄弟描写はうまいな、と思いました。
悲劇が起きてからの兄と弟の態度の微妙な変化にも唸るものがある
(ちなみに弟役はハーレイジョエルオスメントくんにしか見えない)。

投稿者:黒美君彦投稿日:2005-03-07 16:33:24
【ネタバレ注意】

圧倒された。
12年ぶりに帰ってきた写真でしか知らない父親。突然車で旅行に連れ出される兄弟。
父親はこれまで何をしていたのか。どこへ向かう旅なのか。なぜ母親は同行しないのか。
何の説明もなく、父子は旅に出る。
絶望的なまでに灰色を基調としたロシアの大地と、降ってはやみ、やんでは降る雨。この雨がいかにも冷たい。
何も知らず、父子の葛藤や和解を描くヒューマン・ドラマを期待していると、やがて大きな裏切りにあう。

「パパ」と呼ばせることにこだわった父親は、子供に対する権力者として振舞う。そしていきなり荒々しい男としての教育を、まだ父親に慣れない兄弟に強いる。当然反発する息子たち。
ラスト近くで「誤解だ!」と叫んだ父親は、いったいどのような物語を語ろうとしていたのか。島の小屋から掘り出した箱に入っていたものは何か。
全ては封印され、「水底へ」「還って」いく。

ところどころ配置されているキリスト教的イメージも興味深い。帰還した父親の眠る姿は、確かにあたかも横たわるキリストの画のようでもあり、最後に自ら転落していった姿は、「サクリファイス」という言葉を想起させる。
39歳でこのデビュー作を撮ったズビャギンツェフ監督はこの作品の原題“帰還”について、「形而上学的には『永遠の回帰』といった意味が込められている」と語る。
悲劇的なことに、この作品で兄アンドレイを好演した少年ウラジミール・ガーリンが、撮影終了後の03年6月、ロケ地となったラドガ湖で事故死したそうだ。映画を観終わった後にその事実を知り、作品が示す冷たい湖水に沈む肉体との不思議な合致に愕然とした。

投稿者:HIRO投稿日:2004-12-30 08:06:06
チラシや予告の印象では、父子の人情ドラマと思ったのですが、
実際は、哲学的な雰囲気すら漂う芸術作品だと思いました。
状況説明のなさは、無謀とも思えるほど。
しかし、冒頭から引き込まれる美しい映像、
どの場面を切り取っても絵になるような構図、
独特の音楽は、この映画を格調高く仕上げています。

ストイックなストーリー展開は、決して単純でもなく、
監督の独り善がりでもありません。
権威の象徴として描かれた父、そして下の感想にもある通り、
兄弟の年齢に応じた社会適応の差が如実に示されており、
静謐な展開の中、父と兄と弟の力関係が逆転するシーンなどは、
鳥肌が立つほどの鮮やかさで描かれていました。
二人の兄弟の父との体験は、まさに大人になるための通過儀礼であり、
このストイックな展開は、むしろこれが一家族の物語に納まらない、
哲学的なものを感じさせてくれます。

冒頭と後半で登場する鉄塔のシーンや兄弟や父子が走るシーンなど、
それぞれに、象徴的な意味付けが成され、
この映画は、絵画に例えると、具象画ではなく、
ブラックの抽象絵画のようにも思えました。

パンフの解説によると、この映画には更にキリストを暗示するもの、
ソビエトからロシアへの変革など、
文化的政治的背景も暗示されているそうですが、
残念ながら、仏教文化の中に育った日本人には、
知識として知ることはできても、それらを実体感するのは難しいと思いました。
しかし、それを逆手にとって、
映画の本質をダイレクトに感じられるのではないかとも思いました。

この映画は、ヴェネチア国際映画祭の金獅子賞に輝いたそうです。
最近、カンヌの選ぶ作品に疑問を持つことの多い僕にとって、
「イン・ディス・ワールド」を選んだベルリン国際映画祭とともに、
このような芸術作品を選んだヴェネチアには改めて敬意を表したいと思います。

投稿者:投稿日:2004-11-26 22:11:52
【ネタバレ注意】

期待をかなり下回った。映像はスタイリッシュだが、それだけだ。
 この映画は誰の視点にも立っていない。父でもなく、長男でもなく、次男でもない。3人
を突き放して見ているようなところがあり、3人の誰にも共感をおぼえさせないような描
き方になっている。
 父は、理想的には描かれていない。犯罪者として暗示されているし、12年ぶりに会った
子供にいきなり権力的に振舞う。次男が反発を覚えるのは当然なのだが、この父子の描き方
に私は違和感を覚える。愛する息子たちに会った父親は、もう少し違った態度、表情をする
のではないか。監督は、6歳のときに父親と離別したという。父を知らない監督が、頭で作
ったようなところがあるのではないか、と2児の父の私は思う。
 「山の郵便配達」「リトル・ダンサー」「ロード・トゥー・パーディション」の、父の息子に
対する愛には素直に共感できるのだが。
 この作品をけなす評論家の批評を読んだことが無い。思うに、ヴェネツィア映画祭金獅子
賞受賞だから誉めておけば無難だ、とかの思いがどっかにあるのではないか。皆さんの評価
のほうが正しいと思う。ちなみに、皆さんの評価の平均点は、現時点で6.45である。

投稿者:SYCO投稿日:2004-10-25 22:37:23
突然家庭に現れた男を、母親は『あなた達のお父さんよ』と言う。
はたしてその男は本当の父親なのか、母の愛人なのか、何かを企んでいる悪党なのか、私は最後までわからなかったので、最後までドキドキしながら観れました。
なんとなく悲劇に終わるのは予想がつきましたけど。http://mippi.jp/obob/
投稿者:敦煌投稿日:2004-10-13 00:19:06
 予告編を見て、てっきり「いたいけな少年が身勝手な父親に翻弄される話」だ
と思っていたが、実際は「意固地なガキがフェアな父親を逆恨みする話」だった
のね。次男役の子役は、さしずめ「ロシアのハーレー・ジョエル・オスメント」。
実にかわいげのない演技を見せて、うまい。
 父親はそんな子供たちを叱りつけ、時に手を上げる。だがよく見れば、昨今の
若い親たちのように感情にまかせて罵ったり、体罰を加えたりしているわけでは
ない。「人を待たせるな」とか「男らしく振る舞え」とか、父親が主張するのは
男親として至極もっともなことばかりだ。年端もいかないひったくりを捕まえた
シーンなど、この父親の人間的な大きさを感じさせずにはおかない。
 しかし次男は、いつまでたっても父親に心を開こうとはしない。むしろ反発を
憎悪に発展させていく。女親の無条件の愛し方しか知らずに育った彼は、そこに
介入してきた“異物”がとにかく気に入らないのである。
 そんな次男のかたくなさが、終盤、思いもかけない悲劇を招いていく。年齢的
に父親との心理的距離がより近い私にとっては、悲しい悲しい物語だった。

 本作の中心となるのは父親と次男との関係だが、長男の人物造型も忘れがたい。
彼は年齢の高い分だけ、弟よりも社会性が発達している。父親との関係において
も、全面拒否の次男とは違い、認めるべきところは認める是々非々のスタンスを
取る。父だからということではなく、人間としてごく当たり前の敬意を示すので
ある。次男との身長差は10センチほどだが、内面の成熟度には大きな差がある
ようだ。この兄弟、長じて『トロイ』のエリック・バナとオーランド・ブルーム
みたいな関係になるかもしれないね。
http://homepage3.nifty.com/atsuo-m
投稿者:490tetu投稿日:2004-10-01 19:09:03
【ネタバレ注意】

それなりな秩序を維持していた家庭に、突如わがままなダメ親父が帰ってくる…。
予告編を観た限りではそんな印象を受けるのだが、実際は少しだけ違っています。
親父は決してダメ人間ではなく、暴力をふるうにもキチンと理由が伴っている。息子に対する厳しさも、それなりの愛情が感じられます。
寧ろ、ママっ子な弟の無駄な反発の方が「何故?」と思ってしまいました。
あと、兄貴の面従腹背振りも。
この二人にとっては人生で初めて、善悪を超越した絶対的存在がいきなり現れた訳で、戸惑うのは仕方がないとも云えますが。

音楽も少なく、会話もまばらな演出ですが、親父のミステリアスさや跳び抜けて美しい風景などで、観ている間は全く退屈しませんでした。
ラストの突き放すような展開には唖然としましたが、それも余韻として許せてしまう映画です。

投稿者:阿里不哥投稿日:2004-09-28 00:56:18
【ネタバレ注意】

伏線にも思えるような要素も、「父、不在」の理由ですらも全て余韻の中に葬り去った潔さに感服した。
それだけに、父親と兄弟の短い期間における関係と彼らの感情の変化を丁寧にじっくりと描いているので良作になっていると思う。
弟役があまりにかわいくないのが笑える。

【ソフト】
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