宮廷画家ゴヤは見た(2006)GOYA'S GHOSTS
【クレジット】
【解説】 「アマデウス」「カッコーの巣の上で」の巨匠ミロス・フォアマン監督が、スペインの天才画家ゴヤが活躍した激動の時代を背景に、非寛容・非人間的な異端審問がもたらした一つの悲劇を描いた歴史ドラマ。純真無垢な少女イネスと威厳に満ちた神父ロレンソが辿る数奇な運命を、2人の肖像画を手掛けるゴヤの目を通して繊細かつ重厚に描く。主演は「ノーカントリー」のハビエル・バルデムと「クローサー」のナタリー・ポートマン。「奇跡の海」のステラン・スカルスガルドがゴヤを演じる。 時は18世紀末、スペイン国王カルロス4世の宮廷画家に任命されたフランシスコ・デ・ゴヤ。画家として最高の地位に登り詰めながらも、常に現実の社会と向き合い、人間の真実を見つめ続けた画家。1792年、ゴヤは2枚の肖像画に取り掛かっていた。1枚は裕福な商人の娘で天使のように純真な魅力にあふれた少女イネス。もう1枚は威厳に満ちたロレンソ神父。そんな中、カトリック教会では、ロレンソの提案で、形骸化していた異端審問の強化が図られていた。そしてある日、イネスは居酒屋で豚肉を嫌ったことからユダヤ教徒の疑いありとして審問所への出頭を命じられてしまう。 【ウェブリンク】 【ユーザー評価】
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飽きることなく一気に観られた
ナタリーの熱演に拍手
スペインのある時代をゴヤという一画家の目を通して描かれていたのですが、ゴヤの視線は(この映画では)一人の観察者です。冷徹すぎず、それでいてどちらにぶれてもいない。一人の少女と関わることで時代に関わりつつもどちらの側にも思想的には肩入れしていない。それがいい。
そしてそれがロレンソ神父(バビエル・バルデム)と見事に対比をなしていて際だっています。
バビエル・バルデムがまた神父の時はねちっこい喋りで本当にいやらしく、その後それが一転する様も人間の恐ろしさを感じて背筋が寒くなる。
一方ゴヤを演じたもステラン・スカルスガルドも、この作品では芸術家ではあるけれどゴヤ自身は没個性なんです。そうでなければならない。それを巧く演じていた。
また、ナタリー・ポートマンも今は特殊メイクなどで人相を変えられても痩せることまではできないであろうことを考えると、あばらの浮き立つほど痩せこけみすぼらしくなった様は鬼気迫るものがあった。熱演だと思う。
信仰でもイデオロギーでも権力をふるうための装置になったらもうそれは同じ。つくづくヨーロッパは侵略と殺戮の歴史で思わずこんな不安な世界にいたら一神教のキリスト教が支配するのも道理なのかもと妙に頷けてしまいました。
不安が大きければ大きいほどシンプルで偉大な力を持った唯一絶対の神(イデオロギーでもいい)にすがることでその不安は和らぐのだろうか、とか。
この映画のエンディングを見ると、今まで絵画展などで呑気に漫然と眺めていた風刺絵画が人間の暗黒面がグロテスクにかいま見えたものであることをあらためてひしと感じました。人間とはかくも弱く愚かしい厄介な生きものなのだ。
しかし本作はそれで見逃しては勿体ないぐらいの大変充実した内容を誇る。 ドラマ、時代、風俗、人物像、信仰、etc…。 ミロシュ・フォアマン監督作としては「アマデウス」の姉妹編と言うところか。 違いとしては偉人モーツァルトを妬み且つ見守るサリエリは僕ら凡人を代表して感情移入の出来る人物だが、この映画のゴヤはあくまでも宮廷画家ゴヤで在って、観客は彼が時代の目撃者になっていく姿を俯瞰する視点になる。
そこでゴヤに倣ったかの様な、人の醜さや汚穢を絵具に宗教画を描いた如きフォアマンの筆致には衰えがない。
先ず往時のスペインの描かれ様は教会の在り様が興味深く、王の上に神はおわす、と言う事で、司教が随分勝手な内政進めてそうな辺り日本の役人を思わせた。 古い街並みの残るスペインの外景も良いが、立派なのが衣装。 俳優の着こなしが完璧で"服に着られちゃってる"様な人がどこにも見えない。 ベテランデザイナーのイヴォンヌ・ブレークの面目躍如たるものがある。 音楽のヴァルハン・バウアーは聞かない名前だが何れ更なる名声を上げる仕事をするだろう。
歴史的側面では、フランス人の王カルロス4世を迎えていたスペインは、次にナポレオンがそしてウェリントンが傀儡の王を立てていく。 解放軍のはずの兵は民衆を虐殺し、女は凌辱される。 各場面で一緒に追い散らされる鶏の姿が心象を深くする。 ロレンソはこうしたスペインを称して"この国は売春婦だ"と吐き捨てる。 夜ごとに違う男を乗せる商売女だ、と言ってるのですね。
そのロレンソ神父のハビエル・バルデムは役柄、演技共に本作が一番優れてる。 卑劣漢、変節漢、言う事だけは立派でおまけにむっつりスケベ。 まぁ見た時からそんな印象なのだが、
神父からころんでフランス軍の検察官として帰って来て司教を告発する。 英国に政権下が移り今度は改宗を裁かれる立場になるが、裁判の席でキリスト教へ戻れば罪を赦す、と司教グレゴリオが促した時に上げて見せる憤怒の表情が凄まじい。
元々彼は権威をカサに力を奮う事を生き甲斐にしている様な人間。 一方で神の代行者として異教徒狩りをマジメにする狂信的な人達がいるが、彼らは死後神サマが用意してくれた安息の場所に往きたいが為にしているのであって、要するにどちらも自分の得だの欲で動いている。 根は同じなんです。
つまりは人が人を裁いてるにすぎない。 そしてロレンソの様な男ですら、もはや命乞いもせずにグレゴリオを睨めつけする。 衆愚や欺瞞、この時代への憤懣が胸を打った。 処刑に向かうロレンソに十字架を押し付けたがる神父らも結局同じ"人間"でいたがっている。 フォアマンの人間洞察の真骨頂の場面だ。
当時代の女性の悲劇を一身に象徴したイネスのナタリー・ポートマンは異端審問に怯えて歪めた表情が返って美しい。 そりゃ目も付けられちゃうよな。 彼女はゴヤの絵における一環したミューズとしてのモチーフにもなっている。 獄中で生んだ娘アリシアとの二役をポートマンが演じているが、キャラクタとしては些か線が弱い気がした。 特にアリシア役は野卑な感じになっているが、ロレンソとイネスの間の子として適当だったろうか。
脇役ではカルロス4世のランディ・クエイドが思い切った配役で、アメリカの田舎親父専門俳優がちゃんと皮肉屋の国王になっていて面白い。
ゴヤは狂言回しと言った感じの役割に充てられているが、人物像を伝えるに何一つ蔑ろにされてはいない。 ゴヤが描いた王妃の絵が不興を買うのは、ゴヤが王妃の姿を見たままに描いたからだ。 タイトルにはそんな彼が描いた醜い人々の絵が映る。 エンドクレジットでもう一度同じ絵が映されていくと、それらはゴヤが実際に目の当たりして来た光景である事を痛感させられる。 最後の最後に出るゴヤの自画像にはステラン・スカルスガルドの容姿がしっかり被さって見事なものだった。
「狂信」という、現代にも通じる古くて新しい問題に取り組んだ力作。文字通り、力入ってます。ナタリー・ポートマンはすばらしすぎる。何より良かったのは、話がとっても分かりやすい!
しかし、ゴヤは、あんな普通のおじさんじゃなかったんじゃないかと思うけど。
なんかタイトルがイマイチで観ようか迷っていましたが、いつもコメントを参考にさせていただいているローランドさんの絶賛に押され新宿ミラノへ。
いやーぁ、良かった。入替え無しをいいことに2回続けて観ちゃいました。
重厚にして丁寧な人物描写、登場人物は多いものの欧州中世のおどろおどろしさを堪能しました。祖国を追われた、ホロコーストを体験したフォアマンだから描ける国家や宗教への畏敬や憎悪、そして郷愁が感じられる。
思えば名作「アマデウス」も天才芸術家の人生軸に時代を描きながらモーツアルトの音楽が作品を押し上げてましたが、本作はゴヤの絵画が同様な効果を生んでいる。そしてナタリー・ポートマンとハビエル・バルデムの演技が凄い!
残念なのは600席近い劇場にもかかわらず観客はパラパラ。
都内のみんなも劇場へ観に行こう!
追記 09.01.05
08年洋画 マイベスト6
稀で、それでも大画面で音響効果の良い劇場の暗闇空間に身を置
きたくて作品の内容に少々の不満感がありそうなのでも足を運んで
いるのだけど、この映画はそういうのとは別、ミロス・フォアマンの
作品も久しぶりだし、上映してくれるか! 嬉しいぞって、わくわく
いそいそと観にいってきたのであります。
ゴヤのオドロオドロしい銅版画に荘厳な音楽が重なり、ただな
らぬ気配を漂わすオープニングクレジットに期待たがわずとの思いで
観すすんで行きましたが、オープニング間もなくの居酒屋の雰囲気
濃厚な厚みのある映像に、音楽も全体に良くて、特に終盤、ロレンソ
神父が刑場に引き出されるときのグレゴリオ聖歌に軍楽隊のマーチ
が被さるあたりは最高です。
物語としては、カタルシスもないしどちらかといえば地味で暗い
のだけど、銅版画の製作過程を詳細に見せてくれたり、フランス革命
のころ (日本では田沼意次が老中を解任された頃なんだけど、
ヨーロッパでは宗教が大きな権力を持っていて、その不気味さと厭ら
しさと恐ろしさ。 織田信長は偉かった) の時代風俗など雰囲気を
丁寧に見せてくれるし、映画ならではの楽しみを満喫しました。
美術館でよく眼にするゴヤの銅版画も、これまでとは違って深い思い
入れで鑑賞することが出来そうです。
監督のミロス・フォアマン、あの名作「カッコーの巣の上で」もそ
うだけど、人間の本能にある暗く悲しく醜い部分が通奏低音のように
底流している。 プロフィールをみたら、両親がアウシュヴィッツで死
んでいるのですね・・・・。
それにしても! 月曜日とはいえ休日なのに、午後5時からの
回で観客はたったの5人。 これだからだんだんと俗な作品しか上映
されなくなる。 新潟県のみんな、県内二館で上映されているぞ。
観に行こう!。
この作品が史実と合致しているかどうかは知らない。しかし、オリジナル・ストーリーだとしても、ゴヤを登場させるなら、もう少し「1805年5月3日:プリンシペ・ピオの丘での虐殺」や「わが子を喰うサチュルヌス」に繋がる描き方をしてもらいたいものだ。
ゴヤを知らない人にとっては恰好のトリビア(薀蓄)のタネであり、ゴヤに興味を持つ人には物足りない、つまり、ゴヤに対するレベルを計る作品となるだろう。だからと言って、この作品を観たあとで、ゴヤの作品の前でどれだけの薀蓄を語れるかどうかは別である。
なぜなら、この作品は神父と娘の物語であって、ゴヤはいわば狂言回しとして登場するからだ。「自分はサルである」という書面にサインをしてしまった神父が、最後には、死を賭してまで自分の信念を貫くほど強い意志を持つことになるのだが、その過程があっさりと台詞で説明されているだけなのが物足りない。
最近のクリムト、レンブラント・・よくなかったので期待せず、ゴヤ見ました。
この映画はとてもいい!
ロレンソ役も、ゴヤ役も、とてもピッタリのいい役者だし。
とにかく映画が面白い!
スペインの歴史、絵は知ってるので、楽しく見れた。
2時間に上手く纏められてます。
私は知らなかったけど、監督が素晴らしいってことですね。
この監督75歳なんだ〜。
すばらしい!