カケラ(2009)
【クレジット】
【解説】 父・奥田瑛二監督作などで現場経験も積んできた安藤モモ子が、人気少女漫画家・桜沢エリカのコミックを原作に記念すべき監督デビューを飾ったガールズ・ムービー。満たされない気持ちを抱えていたヒロインが、対照的な女性と出会い、葛藤しながら成長していく姿を繊細なタッチで綴る。主演は「愛のむきだし」の満島ひかりとモデル出身の中村映里子。 女子大生のハルは、ボーイフレンドといてもいつも何かが欠けているような気がしていた。そんなある日、彼女はリコという女性から声を掛けられる。彼女はメディカルアーティストと呼ばれる、病気や事故で失った身体のパーツをつくる仕事をしている。やがて2人の奇妙な交流が始まる。恋愛の対象に男か女かなんて関係ないというリコに心の安らぎを感じ始めるハルだったが…。 <allcinema> 【ウェブリンク】 【ユーザー評価】
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お目当てである満島ひかりの演技にはいつもながらに魅了されてしまいましたが、この映画を見た最大の収穫は、何と言っても本作の脚本・監督を担当した安藤モモ子と言う若い才能に出会えたこと!
20代にして、しかも初監督作で類稀な才能を感じさせる作品を作り上げてしまうのですから、大したものです(o^-\')b
初監督作ともなると、どうしてもやりたいことを詰め込みすぎて中途半端になりがちですが、安藤モモ子監督はまるでベテランのようにどっしりと構え、自分の世界観・・・安藤モモ子ワールドを見事に作り上げた印象を持ちました。
さすが父に奥田瑛二、母に安藤和津、妹に女優の安藤サクラと言うとんでもないDNAを持つだけはありますね!
まず、初監督作でいきなり女の子同士の同性愛物を作り上げたチャレンジ精神に感服しました。
何だレズものかよと言うなかれ!
同性愛ではなくあくまで人間愛なのだと、妙に説得力のある台詞や描写で物語を紡いでいるのです。
それと女性監督らしく、男では気付かないような女性に関する細かい描写を盛り込んだ辺りには、彼女なりのこだわりを感じましたね。
放尿、生理、ムダ毛・・・私はここまでリアルに女性を描いた映画を今まで見たことがありませんでした(ノ゚ο゚)ノ
とにかくギリギリの線で映画を作り上げたチャレンジ精神にだけは拍手を送りたいです(ノ^^)八(^^ )ノ
ただし、安藤モモ子監督は徹底的に女性目線で映画を作り上げたところもあるので、この映画に出てくる男がとんでもないクズやゲス野郎だったのは、男の立場として考えるとちょっと微妙かな(・・;)
男はいつでも下心たっぷりにS○Xばかり考えていたり、浮気ばかりしている訳ではないですからね(^_^;)
さて、お目当てでもあった満島ひかりが演じた主人公のハルですが、何の目標も無く流されるように生きている女子大生感が相当リアルに描かれていましたね。
等身大の若者は普段こんな感じで過ごしているのかなと、興味深く鑑賞させていただきました。
安藤監督は、ハル役に満島ひかりをキャスティングした辺りにもセンスを感じます!
この脱力感は、満島ひかりならではだなと思わされましたから。
そんな流されるように生きてきたハルに、転機が訪れました。
とある喫茶店で、中村映里子演じるリコと言う女性が声を掛けてきたことから、ハルの人生観は一変!
リコはいわゆるレズビアンではありましたが、出てくる言葉が深い深い・・・。
「男も女も無い、要は人・・・たまたま好きになった人が女性で何が悪い?」と言われたら、確かにごもっとも。
「キン○マ付いてりゃ偉いのか?」って、確かにエロイことはあっても偉いことはありません。
ところで、女性の立場で、モデル系の素敵な女性に好きなんですけど声を掛けられたら、どんな心境に陥るのでしょうかね?
私は女性でもなければ同性愛の経験も当然無いのでその辺の心理は分かりませんが、少なくともハル同様に綺麗な人に好きと言われたら驚きはするものの、気分的には悪い気分はしないでしょうね。
私は同性愛を肯定まではしませんが、否定もしません。
いろいろな人間がいて、いろいろな人生があって、人生何が起こるか分からない、サプライズに満ちているから楽しいのです!
もし福山雅治やトム・クルーズにあなたが好きですと言われたら、私だってそっちの世界に飛び込む可能性が100%無いとは言い切れませんからね( ´艸`)
ハルは徐々にリコの魅力に嵌っていく訳ですが、惰性で付き合っているS○Xしか頭に無い二股かけてるゲス野郎な彼氏との関係も断ち切れないでいました。
男と別れたいけど、流されるように生きてきたハルにはそれも出来ず、リコを愛しながらも同性愛をしている事実も公には隠したい・・・そんなモヤっとした雰囲気に、我々見る側はイライラしつつも何となく気持ちが分かるような不思議な感覚に陥りました。
ハルの体のカケラを埋めるのがゲス野郎の彼氏、心のカケラを埋めるのがリコとなっていたのでしょうかね。
本当の意味で愛されたいハル、カケラを埋めて上げたいリコ・・・そんな2人の苦悩・葛藤が最後まで描かれ続け、劇中の2人同様に悶々としたような気持ちにさせられてしまいました。
そんな悶々が爆発するかのうような中盤の居酒屋でのリコの大暴走、そして終盤にハルが号泣し絶叫するシーンが、本作の最大の見せ場であり且つ本作を象徴するシーンだったなと思いました。
こう言った刺激的な新しい出会いを経験したことによって、ハルが人間として成長出来たことだけは間違いない事実だったでしょう。
まあ正直私はこの映画を全て理解したとは言い難いところもあるのですが、安藤モモ子監督のセンス溢れる作風に、何とも不思議な魅力を感じてしまいました(^O^)/
この映画の撮影中は、監督から、空虚な毎日を送る女子大生を体現させるために、一切のムダ毛の処理を禁止させられてたそうで、彼氏に押し倒されるシーンで見える腋毛もホンモノ。黒木香以来久々に目にしましたよ。
冒頭、起き抜けに手作りのゴム鉄砲でベランダのハトを執拗に撃つ男。その男が朝飯を食う汚い口元を凝視するヒロイン。気分としては自分の彼氏である男に幻滅してるんだが、身体を求められると拒めない。そんな自分にも二重に幻滅していて、すべてのことに無気力になってます。
映画でものを食べるシーンを意識的に描く監督は多いけど、大画面にものを食う口元を写すのに、大抵排泄シーンはない。「食うことは排泄すること」だから、両方ないとフェアじゃない。この安藤サクラ監督は、トイレのシーンもちゃんと描いていて、そこは誠実に作ってると思いますね。
「私ね、女の人の肌の方が気持ちいいと思う」とヒロインひかりを、唐突にナンパしてくる、身体パーツ職人の中村映里子。誘惑者としての淫靡さはなく、髪をひっつめにして、ノーブルな空気を纏っていて、女性が見ても抵抗感がないかも。
やがてキスを交わし、同棲状態になる過程で、サバサバしてるように見えた映里子が、ひかりが男と切れないことへの嫉妬心で、どんどんSキャラになってくのが面白い。居酒屋でのサラリーマンたちドン引きの痴話ゲンカは映画のハイライトです。
ただ、前半の女性じゃなきゃ描けないだろうなと思うような、むきだしの生理感が、後半は観念的な描写に収束していってしまうのは物足りない。「女の肌の気持ちよさ」を確かめて、身体パーツの手触りに繋げるシーンがひとつ位は欲しいですよ。レズシーンが見たいってことじゃないです(いや見たいことは見たいけど)。
身体を晒した“むきだし”演技をすべて満島ひかりに預けていて、中村映里子にはさせてないのが、欠如感の一因です。男に関する描写などの容赦なさと、踏み切れてない部分とが混在してますね。
男が前カノを家に引き込んでるのを目撃して愕然となったひかりが、映里子の家の前でしゃがみ込んでるシーン。帰宅した映里子が「お腹すいてる?」って声かける所は良かった。多分世界で一番優しい響きのある言葉ですね。「お腹すいてる?」って。