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一命(2011)

HARA-KIRI: Death of a Samurai

メディア映画
上映時間126分
製作国日本
公開情報劇場公開(松竹)
初公開年月2011/10/15
ジャンル時代劇/ドラマ
映倫G
いのちを懸けて、問う――

なぜ男は、切腹を願い出たのか――。世界を圧倒した衝撃の超大作。
一命 【2D&3D】 プレミアム・エディション [Blu-ray]
参考価格:¥ 6,264
価格:¥ 2,499
USED価格:¥ 1,620
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 Photos

【クレジット】
監督:三池崇史
製作:服部洋
野田助嗣
入江祥雄
奥野敏聡
野口明美子
野口英一
畠中達郎
町田智子
喜多埜裕明
エグゼクティブプ
ロデューサー:
中沢敏明
ジェレミー・トーマス
プロデューサー:坂美佐子
前田茂司
ラインプロデュー
サー:
小松俊喜
原作:滝口康彦
『異聞浪人記』
脚本:山岸きくみ
撮影:北信康
美術:林田裕至
編集:山下健治
音響効果:柴崎憲治
音楽:坂本龍一
衣裳デザイン:黒澤和子
殺陣:辻井啓伺
照明:渡部嘉
装飾:坂本朗
籠尾和人
録音:中村淳
助監督:兼崎涼介
キャスティングプ
ロデューサー:
北田由利子
出演:市川海老蔵津雲半四郎
瑛太千々岩求女
満島ひかり美穂
竹中直人田尻
青木崇高沢潟彦九郎
新井浩文松崎隼人正
波岡一喜川辺右馬助
天野義久佐々木
西沢仁太
仁科貴
望月章男
市瀬秀和
澁谷武尊
三宅朱皓
斎藤歩
平岳大井伊掃部頭直孝
大門伍朗和尚
笹野高史宗祐
中村梅雀千々岩甚内
役所広司斎藤勘解由
【解説】
 傑作の呼び声高い小林正樹監督の62年作品「切腹」の原作である滝口康彦の『異聞浪人記』を、「十三人の刺客」の三池崇史監督で完全再映画化。体面を重んじる武家社会の掟を前に、命を賭して人間としての義を問う一人の浪人の衝撃の運命を、最新の3D撮影システムによる臨場感溢れる映像と共に、緊張感みなぎる演出で描き出していく。主演は、これが時代劇映画初出演となる歌舞伎俳優の市川海老蔵。共演に役所広司、瑛太、満島ひかり。
 17世紀。戦国の世が終わり、天下太平の江戸時代初頭。しかし一方では、幕府による理不尽な御家取り潰しが相次ぎ、困窮した浪人があふれていた。巷では、そんな浪人たちが裕福な大名屋敷に押しかけ、“切腹のために庭先を拝借”と願い出て、困惑する屋敷の者から金銭を巻き上げる“狂言切腹”が横行していた。ある日、名門・井伊家の前にも切腹を願い出る浪人が現われた。男の名は津雲半四郎。対応する当主の家老・斎藤勘解由は、数ヶ月前にも同じようにして訪ねてきた千々岩求女という若浪人がいたことを告げ、その狂言切腹の惨めにして壮絶な顛末を語り始めるのだったが…。
<allcinema>
【関連作品】
切腹(1962)同一原作
一命(2011)同一原作
【ユーザー評価】
投票数合計平均点
18 8.00
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【ユーザーコメント】
投稿者:デジゴン投稿日:2013-03-24 11:28:46
まさに原作が書かれた1962年以前の時代背景を垣間見る作品でもある。
戦中戦後における日本の貧困さはちょんまげ時代より過酷だったかもしれません。
恥や正義なんて無いような戦後の混乱社会に、せめて士気の復活ということで
時代劇が流行ったのかもしれませんね。

医者や薬も少なく、なくちょっとした傷でも命取りの時代だったので
押し合って揉み合って睨み合ってというのは、ある程度想像できます。
でも本当の武士の時代はある程度調べないと想像もできません。
戦争も知らずに育った私なので戦後の貧困も想像でしかありません。

でも「こういう時代が60〜70年前にあったよ」という事実。
「これを忘れちゃだめだよ」という貴重な映像でもあると思う。
この反省から社会から不幸を、心ある有志が、
あるときは命をかけて政治的に解決して今の日本が…
浮かれてる時のカンフル剤的映画…涙涙

投稿者:bond投稿日:2013-02-08 08:44:08
ほぼオリジナルどおりのリメイク、海老蔵もいい演技してるが、父親役には若すぎる。仲代さん達のような、重厚感がない。
投稿者:uptail投稿日:2012-06-21 09:58:04
演出:5
演技:6
脚本:3
音響:5
投稿者:maxpit投稿日:2012-05-03 23:10:50
ご存知、小林正樹監督の名作「切腹」のリメイクだが、
それと比較するのは、酷だとしても、「十三人の刺客」
といいこの「一命」といい、三池崇史監督は時代劇の
演出はうまいと思う。ただ、全体的に照明が暗らすぎる。
ろうそくの時代なので、リアリティがあるのかもしれ
ないが、見にくい。それに、ちょっと間延びするシーン
が多く。もっとメリハリを利かせればよかったと思う。
市川海老蔵と瑛太は、とてもいい演技をしている。
海老蔵は演技過剰気味だが、もともと、の仲代達矢も
その口なので、いい配役だったかも(笑) 瑛太の侍姿も
意外にイケてた。満島ひかりは、時代劇でもかわいい。
2Dで見たのだが、3Dで、最後の殺陣シーンを観たら
迫力あったのかな?
投稿者:ghost-fox投稿日:2012-04-25 22:36:35
【ネタバレ注意】

前略 父さん 

求女さんのした事は困窮していたとは言え詐欺行為だったわけで 
侍の体面を保ちつつ金品をせしめようとは不心得者なわけで 
勘解由さんも事情を知りつつ竹光で切腹させるなんてあんまりなわけで 
脇差の1本くらい与えても評判にこそなれ主家の損にはならないわけで 
そんなわけで父さん・・・ 

♪ アーアーアアアアアー・・・(by さだまさし)♪

投稿者:ちょいQK投稿日:2011-11-27 17:23:16
【ネタバレ注意】

原作は未読だが、小林正樹の「切腹」(1962年)は随分昔にリバイバルで一度だけ観て、大変面白かったという記憶がある。細部は全く覚えておらず、もう一度観たいと思いつつ実現できていないところへ、この「一命」である。江戸時代初期に、困窮した浪人が大名家の玄関を借りて切腹したいと申し出て、体面を重んじる大名家よりいくばくかの金を得て帰る、という出来事があり、浪人たちの間に狂言切腹が続いたという題材に寄る。
井伊家に浪人・津雲半四郎(市川海老蔵)が切腹の場所借りを願い出るが、家老・斉藤勘解由(役所広司)は、追い返すために、先日の若侍の事例を話し聞かせる。その中で、この無様で哀れな若侍が半四郎の娘婿・千々岩求女(瑛太)であり、そして、半四郎が立会人に指名した井伊家の3名がいずれも出仕しておらず井伊側で不審を抱いたところで、半四郎が立場を明らかにし、あくまで体面のみを重んじる武家社会の理不尽さを訴え、やがて大殺陣へと続いていく。質素で重厚な武家屋敷の様子と、仰々しさを抑えて物静かに語る海老蔵の演技は、良き時代劇の伝統を受け継ぎ、十分に楽しめる。しかし、その間に繰り返し挟まれる、求女らが主家取り潰しの中で成長し現在に至る過程と、貧乏ながら結婚し子供を得ての幸せな生活や、妻子の病気から追い詰められる困窮振りの描写はいかにも冗長である。狂言切腹に追い詰められた訳を納得させたいのはわかるが、こちらは別に目新しくも無い浪人の生活振りを特に見たいわけではない。
切腹の場として与えられた内庭での半四郎と勘解由の対峙の場面が途切れながらもどうにか緊張感を保って、殺陣となるが、これがかなり長く続き、そうすると半四郎が竹光で戦っていることが余りにも不自然に思えてくる。どう見ても木刀よりも貧弱な竹光であり、刀を受けることは出来ず、いかに半四郎か達人でもあれだけの人数を相手にあんなに長く戦えるわけが無い、と思ってしまう。これで、それまでのリアルに思えた武士たちの立居振る舞いの描写と雰囲気がぶち壊しである。「切腹」ではどうだったか定かでなく、もう一度DVDでも観てみよう。タイトルもやはり「切腹」のほうがぴったり来る。武家社会の建て前の虚しさを訴えることには成功しているのではあるが。
http://allegro.blogzine.jp/

投稿者:トム・ルーズ投稿日:2011-11-08 17:16:08
【ネタバレ注意】

本作は、戦国の世も終わりを告げ、武士の存在意義があやふやになりつつあった江戸時代初頭を舞台にした映画でした。
当然時代劇ではありますが、現代社会にも通づるようなシーンが多々見受けられましたね。
そんな中でも、私が一番印象に残ったのは、貧しさとはかくも恐ろしいことなのかと言うこと・・・。
それは当然金銭的な貧しさでもあり、心の貧しさでもあります。
人間は、悲しいかな金が無ければ生きていけない生き物。
ただ、皆で支えあって生きていけば、なんとか生きながらえることは出来るのです。
しかし、人間とは本当にめんどくさい生き物ですね・・・本作の時代背景で言えば、武士の誇り、武士の面目と言ったものがそれを邪魔するのです。
現代社会でも、いらないプライドを捨て切れなかったが故の悲劇と言うのは、多々起こっていることでしょう。
とにかく本作は、誇り、面目、プライド・・・果たしてそんなものが、命より重要なのだろうかと、深く考えさせられるような映画でした。

もし隣人が、病院に行く金も無く倒れていたとしたら、当然助けますよね?
しかし本作では、そんなわずかな情けすらかけて上げられず、それどころか武士の面目を保つ為に、まるで見せしめであるかのように、腹なんて切りようもない竹光で切腹させてしまうのですから本当に恐ろしかったですΣ(゚д゚;)
人間は、社長だから、有名人だから「人間」として偉いのか?何をしたって許されるのか?
そうではありませんね!
皆、同じ人間と言う生き物で、平等なはずなのです。
まあ切腹させられてしまった瑛太演じる千々岩求女と言う浪人も、いくら瀕死の状態の愛息を医者に連れて行く金がないほど極貧だからとは言え、狂言切腹によって金を騙し取ろうとしたのですから当然褒められたものではありません。
しかし、一文無しの男がスーパーで万引きしたからと言って、その場で見せしめのように、しかも腹なんて到底切れる訳がない竹で自害させるなんてありえないでしょヽ(`Д´)ノ
求女の境遇を聞けば、まあ無罪放免という訳には行かないでしょうが、人として何らかの情けぐらいは掛けてやれるはず。
結局、求女の子供は切腹狂言の失敗により医者に見て貰う金を得られず死亡、満島ひかりが演じた求女の妻の美穂も絶望から自害へ・・・この一家の哀れさと言ったら、これ以上ないぐらいの哀れな末路でした(。>0<。)
金の貧しさと言い、心の貧しさと言い、貧しいって本当に恐ろしいものですね・・・。
とにかく、恥を承知でプライドを捨て去った男に、武士の面目を立てて拷問するとは本当に許し難かった!

そこで登場するのは美穂の父であり求女の義理の父にもあたる市川海老蔵演じる津雲半四郎ですが、その前に瑛太の演技を絶賛させてください(\'-^*)/
正直言えば鑑賞前は、瑛太の演技は市川海老蔵の凄みに押され、霞んでしまうのだろうなと思っていました。
ところが蓋を開けてみれば、鑑賞後脳裏に焼きついているのは瑛太が竹光にて切腹するシーン!
家族を守る為に、武士としてはこれ以上の恥は無いと言えるような浅ましい狂言切腹なるものを企て、しかも失敗に終わり、まるで拷問と言えるような竹光にての切腹をさせられる恥辱・・・怒りと情けなさと痛みが同居したような表情で切腹させられるシーンはまさに圧巻でした☆-( ^-゚)v
本当に切腹しなくてはいけなくなった時の恐怖に慄くしぐさ・表情も本当にリアルな演技で、見る者にヒシヒシと伝わってきました!
さすが役所広司も認める男ですねぇ〜。
妻の美穂役の満島ひかりもさすが旬の女優と言うか、華やかなだけのテレビ中心の女優さんと違って、どう見ても幸薄で貧乏で哀れにしか見えない演技派っぷりを披露してくれました(b^-゜)

さて、お待たせしました、ようやく海老蔵演じる半四郎の出番です!
家族をこれだけの目に合わされて、男なら黙っていられる訳がありませんね。
武士の面目を盾にする役所広司演じる井伊家の家老・斉藤勘解由との静かなる舌戦、そして終盤は竹光にての殺陣のシーン、さすが海老蔵ですね・・・見応えたっぷりでした(o^-\')b
人の情や尊厳よりも、武士の面目が大事なのか?
舌戦の結果、そして半四郎の最後の抵抗・・・お見事過ぎました!!
序盤は海老蔵が満島ひかりや瑛太の父役と言うのは若すぎて違和感ありすぎるな〜と思いながら見ていましたが、作品の出来の良さもあってか、そんなことは途中から全く気にならなくなるぐらい、圧倒されるような海老蔵の演技に惹き込まれてしまいました。

それにしても三池監督はやってくれますよね〜。
昨年の『十三人の刺客』とは真逆の路線で良作を作り上げるのですから、凄い監督さんですよ、本当に。
しかも、自分の色をしっかり盛り込むことも忘れていないのが天晴れなところです(*^ー^)ノ

投稿者:mototencho投稿日:2011-10-20 21:04:54
日本映画が生きている証。監督の実力は坂本龍一の控えめな使い方、日本映画を背負って立つ実力者3人の起用でも明らか。
http://mototencho.web.fc2.com/2011/harakiri.html
投稿者:陸将投稿日:2011-10-20 20:30:13
【ネタバレ注意】

本作は傑作時代劇『切腹』(62)の原作『異聞浪人記』を三池崇史が再映画化したものである。
故に、2つの作品を比較することで、三池崇史が再映画化してまで伝えたいものが見えてくる。

まず、本作が『切腹』と1番異なる点は、浪人の悲哀により焦点を当てることで、武士も血の通った1人の人間であることを強調している点である。
海老蔵扮する津雲が切腹前に語る回想場面はカットバックを一切排し、もはや回想であることを忘れさせるほど比重が置かれている。

その中で追加されている細やかな食事描写が非常に効果的だ。
ご飯と味噌汁、饅頭、鯛、和菓子、卵といった食べ物を、誰とどのように食べるかによって生活感や人間が見えてくる。
質素な生活の中のささやかな幸せや家族愛が掬い取られ、さらにいかなる困難な状況下に置かれても食べないと生きていけないという人生の過酷さや逞しい生命力さえ示される。
生きることとは食べることであり、また食べることとは生きることである。
だからこそ如何に死ぬべきかを描く『切腹』に比べ、『一命』は如何に生きるべきかを描いているように思える。
実際に質屋に行ってなんとか金を作り、妻への薬を買う描写を入れ込んだ点も、リアルな生活感を感じさせる。

だが、その分『切腹』で痛烈に描かれた封建社会や体制側の欺瞞を暴く姿勢は減じられている。
むしろ逆に、武士や侍の義にも一理ありという姿勢が見受けられる。
例えば、ラストの立ち廻り場面では雪を降らせることで、竹光を振りかざす海老蔵の立ち廻りは美しく彩られる。
あるいは、髷を斬られた武士たちは武士道に則り腹切りを許される。
このような変更点により武士の美学や美意識が強調される一方で、『切腹』と同様の批判も行っているため、どっちつかずな印象をどうしても受けてしまう。
瑛太の見事な切腹を真正面から撮りきり、美化されない武士の死を強烈に印象付けた分残念だ。
さらに、瑛太扮する若浪人の介錯を、役所広司扮する家老が代行してしまうという改変により、悪の対象にブレが生じてしまっている点も引っかかってしまう。

ただし、傑作時代劇と語り継がれる作品を、人間賛美の物語へと改変させた本作は作られるだけの価値は十分ある。
『十三人の刺客』(10)に引き続き、三池崇史は傑作と呼ばれる時代劇を現代版にアップデートしてみせた。
その意義は非常に大きい。

投稿者:ASH投稿日:2011-10-15 23:14:56
【ネタバレ注意】

 普通なら、割高だろうと迷うことなく3D版をチョイスするのだが、予告編を観る限りだとなんだか画面が暗くて、おまけに動きがあまりなさそうな映画のようだから、今回ばかりは通常版でいいやと思い3Dメガネは家に置いてきた。てなわけで、「満島ひかり3D」というわけにはいかなかったが、こりゃ通常版で観て正解だったかも。舞い散る雪の中での立ち回りは迫力があったんだろうけど。

 「十三人」「乱太郎」、そして「一命」と、ミイケはこれにて3作連続で時代劇を撮ったことになるが、「十三人」が「動」の映画だとすれば、「一命」は「静」の映画。真ん中の「乱太郎」については観ていないので知らん(多分、「騒」の映画)。もっとも、「乱太郎」を時代劇と捉えていいものなのかどうか憚られるケド。しかし、「乱太郎」にコメントがひとつも寄せられていないとは、このサイトのユーザーの傾向が窺えるようで面白いね。いわゆる黙殺ってヤツだ。

 で、本作、小林正樹監督の「切腹」の同一原作の映画化なんだそうな。海老蔵演じる浪人の半四郎が大名屋敷の庭を拝借して切腹をさせてくれと申し出る。巷で流行りの狂言切腹がまた来たのかと、代官の斎藤は同じ様な申し出に来て惨めに死んだ男の話をするのだが、この2人にはある繋がりがあった…。と、回想形式でお話が展開するのだが、この2人の関係はすぐに分かる。重要なのは、なぜそのような申し出に来たのかという真相と、そこから見えてくる「武士の面目」の無意味さ。こんなもののために尊い命が捨てられてしまうのだから。

 関ヶ原の戦いから30年ほどが過ぎ、世も泰平になった時代。巷にはお家取り潰しで職を失い貧窮した侍が溢れていた。と、なにやら今の世相とも通じるような背景がある。愛する妻と子供のために、武士のプライドを捨てる決心をした求女。彼にしてみれば、最初こそ姑息な手段だったのかもしれないが、そこまで追いつめられていたのも事実。体面ばかりを重んじる武士道とは、生きてゆく上で誠に邪魔くさいものだということが見えてくる。それを身を挺して訴える半四郎の姿には、熱いものがこみあげてくる。

 腹をかっさばくことができないような竹光で、求女は切腹をさせられるハメになる。このシーン、ミイケらしく観る者の痛覚を強烈に刺激して、画面を正視することができなくなるくらいの凄まじさ。苦痛に喘ぐ求女が介錯を求めても、サディスティックな笑みを浮かべて「グッと引き回せ!!」と迫る介錯人の彦九郎。あの瑛太が、ものすごい形相で悶絶するもんだから、その痛みが観客にもダイレクトに伝わってくる。武士道とは、かくも残酷でおぞましいものなのか!! 苦しみの果てに死んだ求女が笑いものとされ、彦九郎が武士として褒め称えられる。理不尽ナリ!!

 「切腹をしたいと申し出た。だからやらせた」とシレッと言いのける斎藤。確かに、一理あるが、求女がなぜそのようなことを申し出たのかも探ろうとしない。「武士の面目」の方が大事なのだから。マゲを切られて藩邸に戻った彦九郎は騒動の責任を取って潔く腹をかっさばくが、右馬助は明らかに嫌々だ。隼人正に至っては切腹する気もなさそうだ。大事に飾られた鎧兜が半四郎によって倒され、騒動の後、斎藤たちは何事もなかったように元に戻し藩主がそれを褒める。この辺り、意味ありげだ。武士の面目とはその程度のものかと。

 六本木事件以来、何かといいイメージではなくなった海老蔵だけど、この映画を見るとやっぱり役者なんだなぁ、と感心しちまう。あの目力! 感情を抑えて淡々と語っていた半四郎が、遂には目をカッと見開いて声を荒げる。半四郎の目に狂気が宿る瞬間! 多勢に無勢で立ち回るクライマックスはこれぞ時代劇の醍醐味、なのだが、「十三人」の後にしてはおとなしすぎるような気もする。ミイケならもっと壮絶にやってもよかんべよ。

 ただね、海老蔵に孫がいるという設定は、チト若すぎやしないかと。劇中で満島ひかりに「父上!」と呼ばれても、夫婦役でも通るような若々しさが海老蔵にはあるからねぇ。考えるに、あの目力が必要だったから海老蔵なのではないかと。で、満島ひかりは出番は少ないが、いつものエキセントリックさを封印していてこれがいい感じなの。あの幸薄そうな笑顔とか。青木宗高はいい面構えになったわ。

 幼子が死に、タイミングが悪く求女の遺体が運ばれてくる。妻の美穂は竹光の破片が刺さりまくった血まみれの手からひとつひとつ抜き取り、求女が懐にしまっていた茶菓子(最中?)を死んだ息子と分け合い折れた竹光で自害する。1日に身内を3人も失う半四郎のことを思うと、これが泣けてくる…。

 ジェレミー・トーマスが製作に関与してるってことは、世界配給を視野に入れているのか?

【受賞履歴】
(■=受賞、□=ノミネート)
□ パルム・ドール三池崇史 
□ 助演女優賞満島ひかり 
 □ 美術賞林田裕至 
【レンタル】
 【Blu-ray】一命レンタル有り
 【DVD】一命レンタル有り
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