莫逆家族 バクギャクファミーリア(2012)
【クレジット】
【解説】 『BADBOYS』の人気マンガ家・田中宏の同名コミックスを人気お笑いコンビ“チュートリアル”の徳井義実主演で実写映画化したバイオレンス・ドラマ。強い絆で結ばれたかつての暴走族仲間が、ある事件をきっかけに“家族”を守るべく再び立ち上がる姿を、激しいバイオレンス描写とともに描く。監督は「青春☆金属バット」「ノン子36歳 (家事手伝い)」の熊切和嘉。 かつて17歳で関東一の暴走族“神叉”のトップに立った火野鉄も中年となり、建築作業員をして家族を養いながら反抗期の息子に手を焼く鬱屈した日々を送っていた。そんなある日、当時の仲間・横田あつしの娘が不良たちに暴行される事件が起こる。やがてその背後に、暴走族時代の遺恨を引きずる五十嵐の存在が浮かび上がってくる。鉄は家族同然だった仲間たちを守るために、再び暴力の世界へと身を投じていくのだが…。 <allcinema> 【ウェブリンク】 【ユーザー評価】 下記フォームからあなたのこの作品に対する採点を投票してください。 【ソフト】
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だが、本作で描かれる「家族」はただの大枠だけで、その中の個々の描き込みが圧倒的に不足している。
長い回想場面がありながらキャラクター紹介が雑で、焦点も絞り切れていない。
だからこそ、主人公と他の「家族」、特に息子との距離感が全くつかめない。
息子を語り部的な役割に据えているにもかかわらず、それも一貫した構成になっていないので、観客は本作をどのように観ればいいのか分らないまま前半は過ぎていく。
しかし、血気盛んなかつての若者たちが、オッサンになってもズブズブの生活を送り、悪あがきしている。
そんな彼らのアクションシーンには、『るろうに剣心』のようなスタイリッシュさは一切ない。
鉄パイプを振り回し、カッターナイフで切りつけ、拳で殴り合う。
血しぶきが飛び、どす黒い血糊が塗りたくられた過剰なバイオレンス描写。
そのドサドサした殴り合いの応酬から、不思議と「もがき」や「あがき」が伝わってくる。
それは、前半部のしっちゃかめっちゃかな作りの延長線上に浮上してくる、細かい理屈や論理を越えたものだ。
オープニングでピントがぼやけた観覧車が映し出される。
きっと望遠レンズで捉えられたであろうその観覧車は、オルゴール風の音楽も重なり、どこか夢の光景のようにも見える。
それは、やんちゃな青春時代のノスタルジーを象徴するものかもしれない。
あるいは、永遠に回り続ける「観覧車」から降りられずに大人になってしまった「家族」を表しているのかもしれない。
だが、ラストでその「観覧車」の意味が、文字通り「くっきり」と見えてくる。
親父との叶えられなかった思い出を達成させるために、主人公が辿り着いた遊園地。
冒頭ではあんなにぼやけていた観覧車が、今ではこんなに間近に、色彩豊かに、巨大にそびえ立っている。
結局、父親と息子は観覧車に乗れたのかは分からない。
主人公が子供だった頃のように、直後に父親と息子が引き離されてしまったのかもしれない。
だが、そのギリギリ手前で、本作は幸福な余韻を残しつつ幕を閉じる。
結局、ズブズブな生活へのケジメをつけきれずに結末を迎える、大甘でセンチメンタルな映画であることは確かだ。
だが、そこからかつての東映黄金期を支えた「ヤクザ映画」への作り手の愛情さえも感じてしまう。
だからこそ、オープニングでメルヘンチックに流れていた音楽が、再び力強く聞こえてきた時、自然に涙が溢れてきた。