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僕とカミンスキーの旅(2015)

ICH UND KAMINSKI
ME AND KAMINSKI

メディア映画
上映時間123分
製作国ドイツ/ベルギー
公開情報劇場公開(ロングライド)
初公開年月2017/04/29
ジャンルドラマ/コメディ
映倫R15+
ピカソ、ダリ、ウォーホル!
かつて美術界が熱狂した!
盲目の天才画家と青年の
奇想天外なロードムービー

僕とカミンスキーの旅

(C)2015 X Filme Creative Pool GmbH / ED Productions Sprl / WDR / Arte / Potemkino / ARRI MEDIA


 Photos

【解説】
 「グッバイ、レーニン!」のヴォルフガング・ベッカー監督と主演のダニエル・ブリュールが再びタッグを組んで贈る奇想天外ロード・ムービー。美術史にその名を刻む破天荒な盲目の老天才画家と、彼の伝記本で一発逆転を狙う崖っぷちの青年美術評論家が繰り広げる珍道中の行方を描く。共演はイェスパー・クリステンセン、ドニ・ラヴァン、ジェラルディン・チャップリン。
 31歳の無名の美術評論家ゼバスティアンは、ある芸術家の伝記で一発当てようと目論む。相手はマティス最後の弟子にして、ピカソとも親交のあった盲目の画家マヌエル・カミンスキー。60年代に一世を風靡するも、美術界から忽然と姿を消してしまった伝説の存在。スイスで隠遁生活を送るカミンスキーを見つけ出し、接触を試みるゼバスティアン。食えない老人、カミンスキーに振り回されながらも、彼がかつて愛した女性のもとへと一緒に旅に出るゼバスティアンだったが…。
<allcinema>
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【ユーザーコメント】
投稿者:黒美君彦投稿日:2017-05-14 23:29:35
【ネタバレ注意】

2003年の『グッバイ、レーニン!』でドイツ統一の悲喜劇を見事に描いたヴォルフガング・ベッカー監督が、再びダニエル・ブリュールを主役に起用した作品。"盲目の画家"として一世を風靡した85歳の画家マヌエル・カミンスキー(イェスパー・クリステンセン)の伝記執筆を目論む31歳の若き美術評論家ゼバスティアン・ツェルナー(ダニエル・ブリュール)。
正直野心的なゼバスティアンも頑固で気難しいカミンスキーも最初は好きにはなれないタイプだ。
ところがゼバスティアンが、カミンスキーのアトリエで未発表の作品を見つけ出す辺りから奇妙な感覚に囚われる。
ゼバスティアンの思惑はともかく、カミンスキーはやはり一流の画家だったのではないかと。
ただ、そうした伏線はともかく、ゼバスティアンはカミンスキーの若き日のミューズであるテレーゼ・レッシングなる女性が健在であることを突き止め、カミンスキーをまんまと連れ出す。老画家と、彼が愛し、創造の源泉となった女性と再会する!そんな劇的なシーンに立ち会えたら、作家としてそれ以上の喜びがあろうか。
ゼバスティアンが求めているのは芸術家の世界観などではない。欲しいのはスキャンダラスなネタだ。
実際カミンスキーは旅の間も娼婦を招き入れたり、ホームレスを車に呼び込んだりと好き勝手に振る舞う。挙句の果てにホームレスに車まで盗まれてしまう。
そんなドタバタの間に、カミンスキーはさまざまな警句をゼバスティアンに語る。
それは例えば「達磨大師と弟子」のエピソードだ。達磨大師にずっと付き従った弟子が、一向に何も教えてくれない達磨に対して業を煮やし「なぜ何も教えてくれないのですか。私にはもう何もありません」と語ると、達磨が「それも捨てるべきだ」と語ったというエピソードだ。「何もない」ということは「何かを持つ」の反語だろう。つまり「何もない」と語るとき、「何かを持つ」ことにまだこだわっている心性が現れている、ということかも知れない。
単なるエロ爺と思われていたカミンスキーは、正直に欲望をぶつけてくるゼバスティアンに妙に心を開いてくる。
絵の良し悪しや評価について知ったふりをして何かを聞こうとしないせいかも知れない。
そしてテレーゼ(ジェラルディン・チャップリン)との再会。
ところが再会は、カミンスキーの期待を裏切ることになる。そこにはきわめて普通に年老いてテレビ番組に夢中になる女性がいるだけだ。しかも一緒に暮らす男は凡庸そのもので話にもならない…。

老いと人生の皮肉。そんなものに彩られ、カミンスキーは海辺でたそがれる。
そして唯一彼の哀しみを理解してくれるだろうゼバスティアンが持ち出した作品に、サインをするのだ。こうすることで、この作品に価値が生まれる。それが君への礼だ、とでもいうように。

もちろんここで描かれるカミンスキーは実在の画家ではないけれど、こんな画家はいそうだ。
盲目といいながら、心眼?で描くこんな芸術家。人生は短く、若き日の永遠なんてない。そんな皮肉たっぷりな画家の言葉が、何とも小気味よい。
そういえば彼はシャガールについてこんなことも言っていた。「彼の本物は複製より多い」。
笑える。

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