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「知事抹殺」の真実(2016)

メディア映画
上映時間80分
製作国日本
初公開年月2017/04/22
ジャンルドキュメンタリー
収賄額0円、
不可解な汚職事件を
追って見えてきたのは――

【クレジット】
監督:安孫子亘
撮影:安孫子亘
音楽:野崎洋一
ナレーション:高橋春樹
【解説】
 原発立地県・福島で1988年から5期18年にわたり県政を率いてきた佐藤栄佐久知事。しかし原発の安全神話に対する疑問や東電の隠蔽体質への不信が募り、政府の原子力エネルギー政策に真っ向から異議を唱えるようになり、いつしか“闘う知事”と呼ばれるように。そんな2006年9月、突如、身に覚えのない収賄事件に巻き込まれ、辞任を余儀なくされるとともに、その後逮捕起訴されることに。しかし裁判では収賄額は0円と認定され、検察の主張の前提が完全に崩れているにもかかわらず、判決だけは有罪というあまりにも不可解なものとなった。本作は、存在すらしなかった収賄事件でひとりの知事が抹殺されるまでの驚きの過程を明らかにしていくドキュメンタリー。
<allcinema>
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【ユーザーコメント】
投稿者:黒美君彦投稿日:2017-08-28 17:05:08
【ネタバレ注意】

1988年から2006年まで福島県知事を務めた佐藤栄佐久氏は、郵政民営化や道州制など当時の国の方針に批判的であった。さらに福島第一・第二原発へのプルサーマル計画導入の見直しを迫り、2002年の東京電力によるトラブル隠蔽発覚後はプルサーマルの了承を撤回した。国策である原発政策にベテラン知事が反旗を翻したのだ。
そんな佐藤栄佐久氏が2006年、実弟の会社を巡る土地取引にからむ収賄容疑で逮捕された。当時の土木部長に県内のダム工事の発注を前田建設に発注するよう要請したほか、実弟が社長を務める家業の「三東スーツ」所有の土地を、相場より高額で前田建設に購入させ、時価相当額との差額を佐藤元知事が賄賂として受け取ったという容疑だった。

東京地検による過酷な取り調べで自殺を図った人物も現れ、佐藤氏は一度は容疑を認めたという。自白偏重主義は日本の司法の隅々にまで巣食っている。2008年8月、一審の東京地裁は懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡したが、翌09年10月の東京高裁判決は懲役2年、執行猶予4年の減刑となった。
この高裁判決では驚くべき事実認定がなされた。「賄賂額」はゼロであるのに、「無形の賄賂」「換金の利益」といったワケのわからない理屈が繰り出されたのだ。つまり、「三東スーツ」が建設会社に土地を売却した際、その売却額が市価よりも1割ほど高かったので、その差額が佐藤氏に対する賄賂に当たるはずだった。ところがその後この土地がさらに高い値段で転売されていたことから「市価より安い」という理屈が立たなくなったのだ。そこで検察が持ち出したのが「換金の利益」である。つまり、土地を買い取ってあげたことそのものが「無形の賄賂」にあたるというのだ。これでは土地取引は成立しない。売買することが「利益供与」とみなされるのだ。こんな理不尽なことはない。しかし2012年10月、最高裁は弁護側、検察側双方の上告を棄却し、高裁判決が確定してしまった。

現在の司法が独立性などはなから持たず、出来の悪い裁判官も多い、ということは以前から散々言ってきたことだが、これまた酷い話だ。
佐藤氏は、反原発の動きに政府(=検察)が動いた、と考えているが、もしそうだとしたらこの国は司法を放棄したとしか考えられない。

ただこのドキュメンタリーでは強引な判決の中身まで詳細に検討しているわけではないので、その辺がもうひとつわかりにくい。そもそも自民党の参議院議員だった彼がなぜ自民党政権から憎まれたのか。
原発に反対したから、というのはわかりやすいが、本当にそれだけなのか。
彼は本当は「誰によって」陥れられたのか。
若い頃の佐藤栄佐久はギラギラしているが、現在の彼は枯れて好々爺然としている。
国策捜査は時にこうした動きをする。検察国家とも揶揄される現代の一断面を捉えた作品である。

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