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オン・ザ・ミルキー・ロード(2016)

ON THE MILKY ROAD

メディア映画
上映時間125分
製作国セルビア/イギリス/アメリカ
公開情報劇場公開(ファントム・フィルム)
初公開年月2017/09/15
ジャンルコメディ/ロマンス/ファンタジー
映倫G
愛へ続く道を進め

オン・ザ・ミルキー・ロード

(C)2016 LOVE AND WAR LLC


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【解説】
 「アンダーグラウンド」「黒猫・白猫」のエミール・クストリッツァ監督が自ら主演し、ヒロインにモニカ・ベルッチを迎えて贈るコメディ・ドラマ。戦争が終わることなく続く国を舞台に、前線にミルクを届ける配達人の男と村にやってきた美しい花嫁が繰り広げる愛の逃避行を、エネルギッシュかつファンタジックに描き出す。
 隣国と戦争中のとある国。ミルク売りの美女ミレナは村の人気者。男たちは彼女に夢中で、ミレナ目当てにミルクを注文する。そのミルクを配達するために雇われている変わり者のコスタ。毎日兵士にミルクを届けるために、銃弾飛び交う前線へとロバで向かう。そんなコスタに想いを寄せるミレナは、兄のジャガが戦場から帰ってきた暁には、兄の結婚式と同じ日に、自分もコスタと結婚しようと考えていた。そんなある日、ミレナが兄の花嫁にと、難民キャンプで見つけてきた絶世の美女が村にやってくる。初めて出会った瞬間から互いに運命的なものを感じ惹かれ合う花嫁とコスタだったが…。
<allcinema>
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【ユーザーコメント】
投稿者:Katsumi_Egi投稿日:2017-10-16 22:46:03
 あゝモニカ・ベルッチは最早イタリアの宝石どころか世界映画史上の至宝だ。しかし、それにも増して、この映画ではミレナを演じるスロボダ・ミチャロヴィッチという女優が圧倒的なのです!なので、ミレナが退場するまでと、その後で、映画のテンションが全く変わってしまい、寂しくなるのが、どうしたって仕方がないところなのだ。という訳で前半から中盤にかけては驚愕の濃密度。もう全てのシーンが特筆すべきで、書き出せばキリがないが、特に、休戦の日の宴会シーン、ビッグブラザーの歌の場面は凄まじい。

 そして黒ずくめの特殊部隊が登場してからの後半が、演出もいくぶん緩んでしまうのだが、しかし、それだって中盤までとの対比による減衰感だと云うべきだろう。葦の覆う湿地帯や、川の中を逃亡する描写にしても、カルスト台地を舞台にした、地雷原での羊の演出にしても、並の映画ではないことは確かだ。

#ベルッチが施設で毎日見ていた映画は『鶴は翔んでゆく』(『戦争と貞操』)
http://www.page.sannet.ne.jp/egi/
投稿者:黒美君彦投稿日:2017-09-22 11:35:48
【ネタバレ注意】

9年ぶりの新作となったエミール・クストリッツァ監督の世界は奇想天外、ファンタスティックでありながらサスペンスフルでコミカル、そして深い愛を描いた傑作だった。
何年も隣国と戦争が続いているある国の山村が舞台。コスタ(エミール・クストリッツァ)は、元音楽教師でツィンバロムという打楽器の奏者だが、目の前で父親が斬首され、少しおかしくなってしまった。今は戦場にミルクを運ぶ彼のことを愛するミレナ(スロボダ・ミチャロビッチ)。ところがミレナの兄で英雄として知られるジャガ(プレドラグ・マノイロヴィッチ)の花嫁として難民キャンプから連れられてきた美女(モニカ・ベルッチ)に、コスタはひと目惚れ。そこに彼女に惚れた英国の将軍が「多国籍軍」の特殊部隊を送り込み、村は皆殺しに…。

「3つの実話と寓話を散りばめた」と冒頭字幕で紹介されるように、この作品で描かれる世界はありそうでなさそうな架空の国。だがそこに旧ユーゴスラビアの内戦や世界中の紛争が象徴されているのは間違いない。
「戦争を楽しむ」ように、束の間の休戦を経て再び銃を交える最前線。そこに、コスタはロバに跨ってミルクを届ける。
主人公と同じように存在感をみせるのが、コスタの“相棒”であるハヤブサであり、豚の血の桶で水浴びをするガチョウであり、鏡に映った自分に何度も飛びかかろうとするニワトリであり、ミルクを飲んで巨大になったヘビ、果物を取ろうと果樹にとびつくイヌといった動物たち。さらにはミレナの家にある巨大な時計は、隙あらば「咬みついてくる」。
ありとあらゆるものが生命感に満ち溢れ、スクリーンのなかを駆け回る。
戦場の悲壮感はそこには描かれない。徹底的に戯画化され、村人たちは音楽に身を委ね、踊り狂う。
停戦となり、ジャガと花嫁、コスタとミレナのダブル結婚式直前になって、ヘリコプターから降りて来た黒づくめの「特殊部隊」の襲来で事態は一変する。
村の兵士たちは次々銃で撃たれ、火炎放射器で焼き尽くされる。
ジャガは義眼だけを残して、新体操のトップ選手だったミレナはポーズをとった姿勢のまま黒焦げになってしまう。コスタのロバも、哀しげな断末魔をあげて倒れ込む…。

コスタと花嫁を追うのが「多国籍軍」であるというのも象徴的だ。
どこの国、というわけではない。どこかの国の集合体である多国籍軍が、微妙なバランスを保っていた村を蹂躙し、大量殺戮の先頭に立つのだ。
コスタと花嫁の逃避行はハラハラさせる。そして何とか逃げ込んだのが羊の群れ。そしてそこには地雷原があり…。

ハヤブサの視点というべきか、浮遊した映像が多用されているのも印象的。
美しい草原や山岳地帯が広がる大地。地雷で爆死した羊たちの中心にいるコスタは、15年後、石で地雷原を覆い尽くす。花嫁への深い愛をずっと抱えたまま。

音楽はエミール・クストリッツァの息子ストリボール・クストリッツァが担当。
バルカン半島の伝統的な音楽が、狂騒に満ちた前半、そして神話的でさえある後半の映像に見事にマッチしている。
観終わったとき、これほど深い愛に満ちた映画があっただろうかと思う。
それほどの傑作だと私は確信している。

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