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否定と肯定(2016)

DENIAL

メディア映画
上映時間110分
製作国イギリス/アメリカ
公開情報劇場公開(ツイン)
初公開年月2017/12/08
ジャンルドラマ/サスペンス/伝記
映倫G
ホロコースト、信念の法廷が今始まった。

2017年12月8日(金)TOHO シネマズ シャンテほか全国ロードショー

否定と肯定

(C)DENIAL FILM, LLC AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2016


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【解説】
 ある日突然ホロコースト否定論者との法廷闘争に巻き込まれ、ホロコーストを巡る歴史の歪曲を許しかねない世界が注目する裁判の当事者となってしまったユダヤ人歴史学者デボラ・E・リップシュタットの回顧録をレイチェル・ワイズ主演で映画化した実録法廷サスペンス。共演はトム・ウィルキンソン、ティモシー・スポール。監督は「ボディガード」「L.A.ストーリー/恋が降る街」のミック・ジャクソン。
 1996年、アメリカの大学で教鞭を執るユダヤ人歴史学者デボラ・E・リップシュタットは、自身の著書で非難したホロコースト否定論者のデイヴィッド・アーヴィングから名誉毀損の訴えを起こされる。悩んだ末に裁判で争うことを決めたリップシュタット。しかし裁判の舞台となるイギリスの法廷では、訴えられた側が立証責任を負うとされ、たとえアーヴィングの主張がどんなに荒唐無稽であっても、裁判で勝利することは決して容易なことではなかった。そんな中リップシュタットは、法廷弁護士リチャード・ランプトンをリーダーとする弁護団からホロコースト生存者ばかりか彼女自身にも証言しないよう求められてしまう。それは自らホロコーストの真実を証明したいと意気込むリップシュタットにとって到底納得できるものではなかったが…。
<allcinema>
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【ユーザーコメント】
投稿者:黒美君彦投稿日:2017-12-15 13:03:23
【ネタバレ注意】

アトランタのエモリー大学教授デボラ・E・リップシュタットが著書『ホロコーストの真実』でホロコースト否定論者を退けたところ、その著書で言及のあったイギリスの歴史家デイヴィッド・アーヴィングが、名誉毀損で訴えた裁判(1996〜2001控訴棄却)の実話に基づいたストーリー。
この裁判については、当時新聞の外信記事で何度か読んだ記憶があるが、その裏側でここまでの闘いや葛藤があったことはもちろん知らなかった。
英国人であるアーヴィングがイギリスの裁判所に訴訟を起こした、というのがひとつのポイント。
英国の司法制度では、訴えられた側に立証責任を課すので、アーヴィングの嘘をひとつひとつ暴かなくてはならない。
レイチェル・ワイズ演じるデボラ・リップシュタット教授は、性格的にもキツく、好きになれないタイプ(笑)。
終盤で「私は生まれた時から周囲を全て疑ってきた」と振り返るシーンがあるが、しかし、だからこそ実証的な歴史学を修められたのだ、ともいえる。仮説が生じても事実を立証できないと歴史的事実にはならないからだ。
一方トム・ウィルキンソン演じるデイヴィッド・アーヴィングは、一見紳士的に見える。が、彼のデマゴギーがある一定の層から支持されるのも納得できなくもない。「ヒトラーがホロコーストを命じた文書はない」のは、その通りなのだから。

歴史修正主義は今や世界中を跋扈している。
彼らには一点突破型が多い。例えばある論文で南京事件の死体の写真の引用が間違っていたとする。その一枚が間違っていたのだから「南京事件はなかった」、と普遍化する。他の証拠が揃っていてもそこには触れない。そんなケースは枚挙に暇がない。

映画の中でデイヴィッド・アーヴィングは、明らかに人種差別的な発言をしている自らの映像を見せられても「私はレイシストではない」と言い募る。これは日本で差別的な言辞を繰り返す団体にも共通している。彼らは言う。「われわれは差別なんてしていない。事実を述べているだけだ」。特定の民族を十羽一絡げに「ゴキブリども」と呼んでも、彼らは「差別ではない」と言い切るのだ。
原題の「Denial」は心理学用語で「否認」を指すという。この場合の「否認」は、目の前で完全な事実を見せられても、自分が信じたいことを信じたいがためにそれを認めないことを指す。
こうした歴史修正主義者たちにとって、実は歴史的事実などどうでもいいのだ。彼らは自らの(誤った)信念にしか興味はない。事実かどうかなど知ったことではない。ホロコーストもなければ南京事件もない。相手を貶められたらそれでいい。そんなヤツらなのだ。
だからリップシュタットがホロコーストのサバイバーを証言させたいと主張しても、弁護団のアンソニー・ジュリアス(アンドリュー・スコット)は断固としてそれを認めない。
法廷でサバイバーが貶められ、傷つくことにしかならないと、彼はよくわかっているからだ。ホロコーストの事実を認めない彼らは、サバイバーの言葉など聴くつもりもない。その代わり、リチャード・ランプリング弁護士(トム・ウィルキンソン)が、理詰めでアーヴィングを論破する。彼がレイシストで、かつ極右思想の持ち主、都合の良いように史料を意図的に改竄した事実をあからさまにするのだ。

リップシュタットが勝訴後の会見で語る言葉も印象深い。「表現の自由を悪用する者から『自由』を守ったのだ」「発言には説明責任が求められる」…。
特定の民族を誹謗中傷し排除しようとする精神構造の裏には、陰謀論を好む大衆の不安があるとハンナ・アーレントは語っている。
歴史は元来法廷で争われるものではない。だが、歴史修正主義者たちの好む歴史は、本来の「歴史」ではない。あったことをなかったことにする風潮はしかし、今世界中で現在進行形で語られている。
そこにどう向き合うのか。いろいろ考えさせられる作品だった。
日本ではどうしてこうした作品が登場しないのだろう。

投稿者:mototencho投稿日:2017-12-12 22:12:22
根絶など不可能、知らん顔していても、しつこいホラ吹きはウィルスと同じで、何度も突然変異を繰り返しては現れる。“情に訴えず、法に則る”これが最適で、本作観賞の効用は、少なくとも憂いを払う備えになる。http://mototencho.web.fc2.com/2017/denial.html
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