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ラブレス(2017)

NELYUBOV
LOVELESS

メディア映画
上映時間127分
製作国ロシア/フランス/ドイツ/ベルギー
公開情報劇場公開(クロックワークス=アルバトロス・フィルム=STAR CHANNEL MOVIES)
初公開年月2018/04/07
ジャンルドラマ
映倫R15+
幸せを渇望し、
愛を見失う。

ラブレス

(c)2017 NON-STOP PRODUCTIONS - WHY NOT PRODUCTIONS


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ラブレスラブレス

【解説】
 「父、帰る」「裁かれるは善人のみ」のロシアの鬼才アンドレイ・ズビャギンツェフ監督による2017年のカンヌ国際映画祭審査員賞受賞作。離婚が決まり、一人息子を互いに押しつけ合う身勝手な夫婦を主人公に、その息子の失踪という事態に直面した夫婦の姿を冷徹な眼差しで描き出す。主演は長編映画初出演のマリヤーナ・スピヴァクと「エレナの惑い」のアレクセイ・ロズィン。
 一流企業で働くボリスと美容サロンを経営するジェーニャは離婚協議中の夫婦。言い争いが絶えず、目下の問題はどちらが12歳の息子アレクセイを引き取るかということ。2人ともすでに恋人がいて、新しい生活をスタートさせる上でアレクセイはお荷物でしかなかった。そんな中、学校からの連絡でようやくアレクセイが行方不明になっていることに気がつくボリスとジェーニャだったが…。
<allcinema>
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【ユーザーコメント】
投稿者:黒美君彦投稿日:2018-05-01 13:03:52
【ネタバレ注意】

タイトルそのものである「愛の不在」を描いたスビャギンコフの傑作。
ロシアの恵まれた中流家庭であるボリス(アレクセイ・ロズィン)と美容サロンを経営する妻ジェーニャ(マルヤーナ・スピヴァク)。ふたりの仲は冷え切り、離婚協議中。12歳の息子アレクセイ(マトヴェイ・ノヴィコフ)は、彼をどちらが引き取るかで争う二人のやりとりを聞き、学校に出かけたまま行方不明になってしまう。はじめはすぐに帰ってくると思っていた両親だが、やがて警察に届け出るが、家出にまともに取り合わない警察。そこに行方不明者を捜す市民ボランティアに協力を依頼する…。
物語の発端は2012年12月。
そこでは「世界の終わり」がさまざまなメディアで囁かれている。「2012年12月21日に世界は滅亡する」…あたかもノストラダムスの予言のように、野火のように燃え広がるフェイクニュース。それは「現在」の絶対的優越性を象徴する。どうせ未来がないのなら刹那的に生きるべきだ、とでもいうような。その意味でアレクセイが「未来」の象徴であることも腑に落ちる。
世の東西を問わず、現代人は端末から得る情報に頼り、目の前にいる人間に愛情を向けようとはしない。愛してもいないのにボリスに身を託し、アレクセイを産んだジェーニャは、息子への愛情すら懐疑的だ。ところが、その息子が「不在」になって初めて両親は気づく。自分たちが追って来た幸せの空虚を。
そこにあるのは粗末な家で暮らすジェーニャの母親との対比で明らかになる物欲に基づいた自己中心主義である。見た目にこだわり、恋人との逢瀬を楽しみ、SNSに没頭するジェーニャを、誰が非難できようか。そこにいるのはごく平均的な現代人だ。
しかし一方でボリスは、勤務先で離婚をどう隠すかに悩む。彼の不倫相手はもう妊娠しているのだが、上司が厳格なキリスト教原理主義者なので、離婚は認めないのだという。この前近代的な規則が現在のロシアに本当にあるのかとも思ってしまうが、社会主義や伝統や宗教が複雑に絡まってそこにITが入り込んでいる、という感じか。
さらに、行方不明者を専門に捜す市民ボランティアの存在。これは実在の組織『リーザ・アラート』をモデルにしているという。これもまた現代ロシアの反映である。犯罪が多発し、警察がその処理に追われるなか、子どものみならず大勢の市民が行方をくらますという現実。システム化されたボランティアの存在が、逆にロシアの現実を突きつけてくる。

その後、アレクセイは二度とスクリーンに現れない。
彼の不在はすなわち、「未来の不在」に他ならない。恐らく彼は生きていない。だから両親は捜すのをやめて、結末ではそれぞれ新たな人生を歩み始めている。
そこに流れてくるニュースは、ウクライナの内戦。
しかしジェーニャはそんなニュースには何の興味も抱かず、トレーニングマシーンで汗をかく。彼女は結局自分のことしか考えないのか。彼女の着ているトレーナーにはそれを象徴するように「ロシア」と書かれていた。そう、現代人はもちろんロシアという国家そのものが自己中心に走っていると、スビャギンツェフは示唆しているのではないか。
スビャギンツェフは語る。
「ポストモダン時代とは、個人が受け取る絶え間のない情報の流れに水没した脱工業化社会のことだ。他人のことは単なる目的達成の手段と捉え、ほとんど興味を抱かない。目下、誰もが自分のことしか考えていない。この無関心から抜け出す唯一の方法は、他者に尽くすことだけだ。相手が全く知らない他人であっても。例えば、報酬の約束もないまま、それが自分の人生の真の目的かのように、この失踪した子供を街中懸命に探すボランティアの捜索コーディネーターのように。この当たり前の行為が彼の一挙手一投足に意味を持たせる。それが、人間性の喪失と世界の混乱と戦う唯一の方法なのだ」と(「リアルサウンド」インタビュー記事からhttp://realsound.jp/movie/2018/04/post-179656.html)。

監督によると傑作だった前作『裁かれるのは善人のみ』(2014年)では予算の2割が文化省から出たのだというが、公開1年後文化大臣が「今後も文化省としては映画製作に資金は提供するが、『裁かれるは善人のみ』のような作品には絶対に提供しない」と言い放ったのだとか。そもそもあんな反体制的な作品に国が資金援助していたこと自体が驚きだが、その文化相の発言を受けて絶対国からの援助は受けない、と決意したのだとか。うん、それでいいと思うよ、監督。

【ミュージック】
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