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ガザの美容室(2015)

DEGRADE

メディア映画
上映時間84分
製作国パレスチナ/フランス/カタール
公開情報劇場公開(アップリンク)
初公開年月2018/06/23
ジャンルドラマ
映倫G
オシャレする。
メイクする。
たわいないおしゃべりを、
たわいない毎日を送る。
それが、私たちの抵抗。

2018年6月23日(土)より、新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか全国順次公開

ガザの美容室

(C)


 Photos

【解説】
 パレスチナのガザ地区にある小さな美容室を舞台に、戦火の絶えない過酷な日常をたくましく生きる女性たちの姿を描いたドラマ。監督はガザで生まれ育った双子のタルザン&アラブ・ナサール。パレスチナ自治区、ガザ。ロシア移民のクリスティンが営む美容室は、オシャレを楽しむ女性たちでいつも賑わっていた。離婚調停中のエフィティカールや兵士の夫が負傷しているサフィアをはじめ、外ではヒジャブをつけていても、みなオシャレに余念がない。彼女たちがいつものように順番を待ちながら四方山話に花を咲かせていると、突然店の外で銃声が鳴り響くのだったが…。
<allcinema>
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【ユーザーコメント】
投稿者:黒美君彦投稿日:2018-07-03 12:32:54
【ネタバレ注意】

鎖された美容室で女たちが会話し、反目しあい、助け合う。あたかも舞台劇のようだが、それは同時にイスラエルによって封鎖されているガザそのものを寓話的に示しているともとれる。
ガザ地区は東地中海に面していて2016年現在200万人が暮らしている。しかしパレスチナ自治政府はPLOの主流派ファタハとイスラム過激派のハマスの間で覇権争いが続き(2007年以降はハマスが統治)、2008年以降はイスラエルによる封鎖が続いている。
度重なるイスラエルの空爆によって、下水処理施設や上水道施設が破壊され、水の汚染が深刻だ。停電も日常的で、8時間おきに停電しているという話もある。
そんなきわめて劣悪な環境の中で、物資はエジプトからの地下道を通じて運ばれているが、それらもイスラエルによる攻撃で限定的になっているという。
そんなガザで美容室を経営しているクリスティン(ヴィクトリア・バリツカ)はロシアからの移民だ。美容室のアシスタントのウィダト(マイサ・アブドゥ・エルハディ)は、マフィアの一員である恋人アハマド(タルザン・ナサール・本作の監督)との関係に悩んでいる。夫と離婚調停中のエフィティカール(ヒアム・アッバス)は弁護士とつきあっている。戦争で負傷した夫に暴力を振るわれているサフィア(マナル・アワド)は、薬物中毒者。敬虔なムスリムであるゼイナブ(ミルナ・サカラ)は、女たちの下ネタに冷ややかな視線を向ける。このほか結婚式を今夜に控えたサルマ(ダイナ・シバー)や臨月の妊婦ファティマ(サミラ・アル・アシーラ)、サルマの母ワファ(リーム・タルハミ)や離婚経験のあるソーサン(ウェダッド・アル・ナサル)といった女性たちが、困難な暮らしや男たちのこと、政治や戦闘について語り合うが、誰ひとり共感できる者がそこにはいない。
長期間にわたる封鎖によって、人々は自分のことで精一杯で他人を思いやる気持ちなどどうに枯れ果てている。
そんなギスギスしたやりとりもまた、ガザの「現在」なのだろう。
「ファタハもハマスも両方クソよ!」と叫ぶ女はしかし、否応なしに戦闘に巻き込まれていく。
そしてまた殺され、嘆きが町を包む。
ガザの現状についてある程度知識がないとなかなか状況が飲み込めないかもしれないが、寓話的な物語は初監督作品とは思えない。パレスチナ問題は全世界に影響があり、責任もある。当然国際世論を無視し、イスラエルを支持する米国の責任も大きいが、間接的に日本もまたガザ封鎖に関与しているのだ。知らないではすまされない現実がこの作品にはあった。

なお、原題の『DEGRADE』は仏語で「(髪型の)段カット」という意味だが、同時に「劣化」という意味もある。目に見えない「封鎖」という暴力に曝されて、ガザに暮らす人々の生活は日々劣化している。それこそがこの“デグラデ”という原題に込められた意味なのだ。
じわじわと殺されるガザの現実を描いた作品である。

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