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ザ・ビッグハウス(2018)

THE BIG HOUSE

メディア映画
上映時間119分
製作国アメリカ/日本
公開情報劇場公開(東風=gnome)
初公開年月2018/06/09
ジャンルドキュメンタリー/スポーツ
映倫G
アメリカ合衆国の光と影――
「観察映画」史上最高のス・ペ・ク・タ・ク・ル!

2018年6月9日(土)よりシアター・イメージフォーラムにてロードショー、ほか全国順次公開

ザ・ビッグハウス

(c)2018 Regents of the University of Michigan


 Photos

【解説】
 アメリカのミシガン大学に一年間招聘教授として招かれた「選挙」「港町」の想田和弘監督が、学生を含む16人の映画作家たちと撮り上げた観察映画第8弾。収容人数10万人以上を誇る全米最大のアメリカンフットボール・スタジアム“ミシガン・スタジアム”通称“ザ・ビッグハウス”を舞台に、超満員に膨れあがった試合当日の巨大スタジアムの舞台裏をあらゆる角度から詳細に見つめ、結果として図らずも人種や階級、宗教や政治などアメリカ社会の縮図が浮かび上がるさまが記録されていく。監督たちは観察映画のルールに従い、それぞれが事前にテーマを設定することなく行き当たりばったりでカメラを回し、集まった膨大な映像を想田監督が編集して一本の映画に仕上げた。
<allcinema>
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【ユーザーコメント】
投稿者:黒美君彦投稿日:2018-06-25 19:14:55
【ネタバレ注意】

「ビッグハウス」とは、ミシガン大学アナーバー校のミシガン・スタジアムのこと。
ミシガン大学から教授として招聘された想田和弘監督は、2016年10月、ミシガン大対ウィスコンシン大のアメリカン・フットボールの試合を総勢17人の映像作家で取材し、マーク・ノーネス(ミシガン大教授)、テリー・サレスとともにまとめあげた。ノーナレーション、ノーBGMの彼にとっての観察映画第8弾となる。
何せこのミシガン・スタジアムは巨大だ。1927年に建てられ、収容人数は実に11万人。スタジアムがあるアナーバー市の人口にほぼ匹敵する数である。ちなみにここを本拠地にするミシガン大学の「ウルヴァリンズ」は130年以上の伝統を誇るフットボールチームで、2018年度のチケット収入は約4017万ドル(約44億1800万円)が見込まれているという。そのほか放映権料やグッズのライツ使用料等で、年間200億円の収入を見込んでいるという。これは最早アマチュアを超えたスポーツのビッグビジネスそのものだ。
しかし作品はゲームそっちのけで、「周辺」にカメラを向ける。
上空から舞い降りる海軍特殊部隊のパラシュート。マーチングバンドのパフォーマンス。一斉に同じパフォーマンスを行う観客たち。
そこに軍学共同の匂いを嗅ぎとることもできるだろう。
だが、とりあえずこの“ビッグハウス”での試合は、徹底した「祝祭」なのだ。
スタジアムの周りには、大勢の観客を目当てにいろいろな人間も集まってくる。宗教の勧誘、パーカッションをしながら浄財を求める男、チョコバーを売る黒人少年、ダフ屋…驚くのは彼らはみなカメラを向けられても堂々としていること(もちろんそういう人にしかカメラが向けられなかったのかも知れないが)。
そしてスタジアムを支える数え切れないスタッフ。
警備、メディア、そしてアナウンス席では試合盛り上げの段取りがテキパキと指示される。厨房では巨大な胃袋のために巨大なトレイで大量の食料が作られ、そして空になれば洗われる。試合後は選手や監督のインタビューも行われる。ウルヴァリンズのジム・ハーボー監督の年俸は、2016年当時、実に9.9億円!これは本当に大学スポーツなのか??
試合が終われば、明け方にスタッフ数百人が観客席に放置されたゴミを回収していく。夕方の試合に向けて救護室も忙しい。アルコールがらみの負傷者が多いらしい。

とにかく「祝祭」であるフットボール・ゲームの周辺には、アメリカの「日常」が見え隠れしている。
丁度この撮影が行われた頃、全米はトランプ対ヒラリーの大統領選の真っ最中。「トランプを支持する中国系アメリカ人」という幕を引っ張る小型飛行機など、ところどころで大統領選のかけらが見える。
そんな中で、観客の多くは白人であることに気づく。アフリカ系やヒスパニック系は、厨房やスタジアム周辺では見かけるのだが…。
ふと頭の中で「大きいことはいいことだっ」という山本直純のCMソングが鳴り響く。
大きいことがいいこと。それはアメリカ的な価値観の究極の形かもしれない。しかしその一方で見え隠れするスタッフたちの日常は、祝祭を支えるためにのみ存在する。「私、フットボールなんて嫌いよ!」と吐き捨てる女性スタッフ。
そして大学は、卒業生たちの寄付によって成り立っている。研究費を自ら集めなくてはならないのは当然だが、奨学金制度も富裕層の寄付によって賄われている。
「ビッグハウス」は現代米国の縮図だ、などと手垢のついた言葉は使いたくないが、観察すればするほどに、アドレナリン出まくりの祝祭と日常のギャップに目が向けられる。マクドナルドのバーガーセットが16ドル(1,600円)もする米国。「ゴー・ブルー!」と声を上げるアメフト観戦に夢中の米国中間層。そしてVIPルームを借り切ってグラウンドを見下ろす富裕層。
そうか、観客席は格差を如実に表してもいるのだ…。

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