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彼が愛したケーキ職人(2017)

THE CAKEMAKER

メディア映画
上映時間109分
製作国イスラエル/ドイツ
公開情報劇場公開(エスパース・サロウ)
初公開年月2018/12/01
ジャンルドラマ
映倫PG12
悲しみが、甘い涙に変わるまで

彼が愛したケーキ職人

(c)All rights reserved to Laila Films Ltd.2017


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【解説】
 イスラエルの新鋭オフィル・ラウル・グレイザー監督による長編デビュー作で、数々の映画賞を賑わせたヒューマン・ストーリー。事故で夫を亡くした女性と、その夫と不倫関係にあったケーキ職人の青年が、やがて出会い、次第に距離を縮めていく姿を丁寧な筆致で綴る。主演はティム・カルコフとサラ・アドラー。
 ベルリンのカフェでケーキ職人として働く青年トーマス。イスラエルから出張でやって来たオーレンは彼のケーキを気に入り、出張のたびに立ち寄るようになる。そしていつしか2人は深い仲に。しかしある時、いつものように再会を約束してイスラエルに戻ったオーレンからの連絡が突然途絶えてしまう。実は、オーレンは交通事故で亡くなってしまったのだった。悲しみに暮れるトーマスは、オーレンの面影を求めて彼の故郷を訪れる。そこではオーレンの妻アナトが悲しみを乗り越え、休業していたカフェを再開させていた。やがて客として現われたトーマスは、ケーキ職人としてカフェで働き始めるのだったが…。
<allcinema>
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【ユーザーコメント】
投稿者:黒美君彦投稿日:2018-12-12 16:12:06
【ネタバレ注意】

イスラエル映画を観るのは、本作品にも出ているサラ・アドラーが出演した『ジェリーフィッシュ』(監督:エトガー・ケレット/シーラ・ゲフェン、2007年)以来だろうか。
バイセクシャルの夫オーレン(ロイ・ミラー)が愛したドイツ人青年トーマス(ティム・カルコフ)。突然の死でエルサレムにオーレンの面影を求めてやってきたトーマスは、妻アナト(サラ・アドラー)のカフェで働き始める。トーマスはベルリンでケーキ職人だったのだ…。
バイセクシャルの男ふたりとひとりの女性の三角関係、といってしまえばそれまでなのだが、ユダヤ教の国イスラエルの庶民の生活が端々で描かれているのが印象的だ。
例えばユダヤ教においてはカシュルートと呼ばれる「食物規定」がある。これに基づいた食物が「コシェル」(ヘブライ語で「適正な」。英語表記で“koshe”)だ。コシェルでは豚と甲殻類が認められない。タコやイカもだめだ。また肉と乳製品を同時に食べてはならないとなっていて、皿や調理器具まで別々でなくてはならない。トーマスが新しい部屋に案内された時、アナトの義兄モティ(ゾハール・シュトラウス)に釘を刺される場面がある。ただ、モティは原理主義者であるが、アナトがモティに「信教を押しつけないで」と反発する場面があることから、やや自由なユダヤ教徒であることがわかる。
そのほかにも非ユダヤ人はオーブンを使ってはならないであるとかいろいろな宗教的な制約があり、飲食店であればコシェルの認定を受けなくてはならない。
そして劇中何度も登場する「きょうは安息日です」という有線放送の声。
安息日(シェバット、シャバット)はユダヤ教で最も重視される日で、労働はもちろん火を使った調理もしてはならない。

さて、とここで観る者は気づく。オーレンはバイセクシャルだが、当然ユダヤ教において同性愛は禁じられている。エルサレムの宗教世界に息苦しさを覚え、彼はベルリンへの出張を繰り返したのではなかったか。
アナトはそれと知らず、無口なトーマスに惹かれていく。厨房で少しずつ昂まるアナトの姿は実に艶かしい。トーマスは、オーレンが教えてくれた愛し方を反芻しながら彼女を抱く。何と皮肉な情愛だろうか。
当然事実は暴かれ、トーマスはドイツに戻ることになるのだが、アナトは3か月後ベルリンに飛んでいる。さてその後の展開は…ラストはそんな含みを持たせる。
夫が愛した男を愛した女。そんな複雑なアナトをサラ・アドラーが巧演している。

ドイツ人とユダヤ人の同性愛、というところにも意味がありそうな気がするが、そこは深くは描かれない。
オフィル・ラウル・グレイツァ監督は、1981年イスラエル生まれで、本人もシェフ。レシピ本も出版しているというから本格的だ。
とはいえ、イスラエル料理といい、トーマスが作るクッキーやドイツ伝統の菓子が全く美味しそうに見えないところがつらいところ。
ドイツにはビールとソーセージとポテト以外旨いものがないからねー。

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