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タロウのバカ(2019)

メディア映画
上映時間119分
製作国日本
公開情報劇場公開(東京テアトル)
初公開年月2019/09/06
ジャンルドラマ/青春
映倫R15+
3人が世界のすべてだった。

タロウのバカ

(c)2019 映画「タロウのバカ」製作委員会


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【解説】
 「さよなら渓谷」「日日是好日」の大森立嗣監督が、社会の枠からはみ出した少年を主人公に、その純粋で刹那的な生きざまを過激かつ寓話的に描いた衝撃の青春ドラマ。主演はモデルとして活躍し、これが俳優デビューとなるYOSHI。共演に菅田将暉、仲野太賀。戸籍がなく、学校に一度も通ったこともない少年。名前もない彼はなぜか年上のエージとスギオと仲良くなり、彼らからタロウと呼ばれるようになる。エージとスギオはそれぞれに悩みを抱える高校生だったが、タロウとつるんでいるときだけは、心を解放することができた。自分たちの町を自由気ままに走り回っていただけの3人がある日、偶然にも一丁の拳銃を手に入れてしまうのだったが…。
<allcinema>
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【ユーザーコメント】
投稿者:黒美君彦投稿日:2019-09-11 16:09:20
【ネタバレ注意】

不快な映画である。
いきなり半グレっぽい男が廃墟ビルのようなところにある障がい者施設に入っていき、死んだ男の死体に銃弾を撃ち込む。役に立たないのにどうして生きているんだ、といいながら。
半グレ集団が金をもらって障がい者を施設に閉じ込めている、というフィクションではあるが、こうした役で実際の障がい者が出演していることに驚く。出演を断られるケースも多かったが、理解を得られるまで辛抱強く出演依頼を続けたのだという。こうした場合、本人が良くても、家族が嫌がるケースが少なくない。その結果、障がい者の存在、被介護者の存在は隠され、目にする機会が減る。いきなり驚いたのは単純に障がい者の存在が可視化されていたからかも知れない。
遺体を埋め、それを手伝った男(國村隼)も半グレ男は射殺して、一緒に埋めてしまう。
不快な映画だ。
そして意味もなくバカ笑いをする主役の三人の少年。高校に通うエージ(菅田将暉)、スギオ(仲野太賀)、タロウ(YOSHI)。タロウは「ヨシフミ」というのが本名らしい。
半グレ男吉岡(奥野瑛太)を襲って拳銃を奪った三人。無軌道に盗み、奪い、はしゃぐ。
底辺にいることすら自覚できない(あるいはしようとしない)三人には、それぞれ大事な(はずの)人がいる。エージにとっては自分がケガで挫折するまで同じ柔道をしていた兄、スギオにとっては援助交際をしている同級生の洋子(植田紗々)、タロウにとっては滅多に家に帰ってこない母親だ。
しかし、彼、彼女らにも近づけず、三人はピストルを弄び、バカ笑いするしかない。
不快な映画である。
「好きって何」とタロウは繰り返す。それは河原でいつも遊んでいるダウン症のカップルの藍子の問いでもある。
「祈れよ!」とタロウは叫ぶ。壁には「いのる いきる しぬ」という文字。
無軌道な若者たちは、破滅する運命を抱いている。
タロウだけが群れる仲間も失い、走り出す。
20年以上大森立嗣が温めていたというこの脚本は、『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』(2010年)に連なる作品だといえるかも知れない。救いのない若者たちの、救いのない日々。逃げ場のない現実のその先にあるもの。ないもの。
不快な映画である。しかし不快であるが故に、「やべえ〜!」というタロウとエージのバカ笑いが印象に刻まれる。
不快だが緊張が途切れない作品なのだ。
多様な作品を生み出す大森立嗣監督の、貧しい現代を映した豊饒な映画なのだと評価したい。

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