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愚なる妻(1921)

FOOLISH WIVES

愚かなる妻

メディア映画
上映時間108分
製作国アメリカ
公開情報劇場公開(劇場公開)
初公開年月1923/02/
ジャンルドラマ
愚なる妻《IVC BEST SELECTION》 [DVD]
参考価格:¥ 1,944
価格:¥ 1,562
USED価格:¥ 1,220
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【解説】
 不夜城モンテカルロの壮麗なセット他、金に糸目はつけないシュトロハイムの狂的な完全主義が大いに発揮された、本来は34巻(約6時間)から成ったという大作を、ユニヴァーサルは公開時に10巻に短縮してしまった。現在見られる版もそれで、後段、コンティニュテイの怪しくなること甚だしいのだが、それでも、天才の偉業の“片鱗”以上のものを存分に窺い知ることができる。
 モナコのアモロサ荘に三人のロシア貴族が集う。公爵夫人オルガ、公爵令嬢ベラ、と二人の従兄、大尉カラムジン伯だ。朝食のシリアル代わりにキャビアを喰う遊蕩生活を送り、彼らは金に困っていた。その時目にした米公使来訪の報。三人は公使夫人をカラムジンの手管で篭絡し、金を巻き上げようと企む。まずは射撃会で夫妻と近づきになり、後はとんとん拍子で、伯爵は週末のドリーム館へ夫人を誘う。そして、嵐の気配を察してわざと散策に出て迷い、不気味な婆さんの小屋を訪れ、一夜の宿とする(彼が暖炉にあたりながら、濡れた衣服の着替えをする夫人を手鏡で覗く場面のいやらしさ!)。が突然の神父の訪問で、本懐を遂げることなくその晩はすぎ、しばらくして伯爵は夫妻をカジノに誘う。ルーレットの資金を夫人に出させ、10万フランを獲得させた伯爵は、自分の屋敷に彼女を呼びつけ、財産のすべてを祖国につぎ込んで金が要る、と9万フラン無心する。一方で秘密裏に作った偽札を公使たちとのポーカーの過程で本物の札とすり替える従妹たち。夫人は伯爵に喜んでお金を譲るが、それを隠れ聞いていた伯爵お手つきのメイドが、嫉妬から二人を閉じ込め、館に火を放ってしまう(その狂気演技が凄烈)が、間一髪の所で救われ、メイドは自殺。後が判然としないのだが、伯爵は何者かによって酷たらしく殺され、エピローグでこれが物語の中の事件であったことが(取ってつけたように)匂わされる。ともかくスキャンダラスな素材をねちっこい描写で見せて、今でも虚を突かれる映像に満ちた怪作だ。
<allcinema>
評価
【ユーザー評価】
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【ユーザーコメント】
投稿者:黒津 明二郎投稿日:2010-04-17 17:00:07
当時、ユニバーサルはグレード別にレッドフェザー(低予算)・ブルーバード(メイン)・ジュエル(大作)とブランドをしていたが、本作はスーパージュエル!文字通り破格の超大作だったのである。
元は8時間とも6時間とも云われ、アメリカのプレミア時では3時間30分、日本でも公開時は同じような時間だったようだが、私が見た今回の2時間20分バージョンで見る限り、それほどストーリー面では凄いという感じではなかった。
確かにモンテカルロのセットは豪華だし大勢のエキストラや馬車が行きかうなど、金と手間がかかってるのはわかるのだが、リアリズム重視のためか例えば室内のセットデザインなどは案外地味だったりする。演技も大げさにはせず自然な感じだ。
また字幕は、セリフより体言止めの状況描写を多用して文学調を狙ったようである。
いずれにしてもシュトロハイムの熱意は十分に伝わる、サイレント映画史に残る映画だろう。
演技陣。ずるそうなニヤニヤ笑いをするモードジョージがよかった。
投稿者:TNO投稿日:2009-10-29 23:59:44
【ネタバレ注意】

エリッヒ・フォン・シュトロハイムが、監督、脚本、衣装を手掛け、モンテカルロのセットをカリフォルニアに作り上げユニバーサルを存亡の危機に陥らせたと言われる作品。シュトロハイムは、それが原因で、この作品完成後、ユニバーサルをクビになったと言われる。シュトロハイムは、オーストリア出身のユダヤ人で、フォンとつくように、貴族の出のような名を名乗っていたが、出自は、謎のようだ。帽子職人をしていたという説もある。ドイツのオーストリア併合を逃れて、渡米してきたようだ。"師匠"D.W.グリフィスに映画制作を学び、サイレント時代では、監督として、トーキー後はフランス、米国で貴重な性格俳優として名を残した。この映画は、冒頭に、今で言う"メイキング"映像が付されている。ここで、世界博覧会の会場並みのモンテカルロのセットをカリフォルニアに作ったことが紹介される。シュトロハイムのクビの原因である。このメイキング映像の挿入は、プレゼンターとしてクレジットされているカール・レムリの趣向であろうか、それともこの頃にサイレントでは一般的であったのであろうか、私には分からないが。カール・レムリは、1930年代にホラー映画の傑作群をユニバーサルが制作していた頃、"フランケンシュタイン"において、冒頭に自ら登場し、恐ろしい映画であることを観客に"警告"している。そのことを思い出した。能書きの好きな人物であったのだ。この作品でも最後にレムリの名前で”お好みに合いましたか。ご意見をお寄せください。”とクレジットされている。さて、この作品だが、全体的には、シュトロハイムの非凡なる才能を感じさせる。それぞれの出演者の性格の描写もしっかりしているし、あの手この手で、金を騙し取ろうというシュトロハイム扮する亡命ロシア貴族の"極悪非道さ"も楽しい。メイドに結婚の空手形を切り、20年間に渡りせっせと貯めた2千フランの金さえ、騙し取る。米国特使夫人との痴話騒動直後に、平然と偽札作りの知恵遅れの娘のところに夜這いをかける。女を騙す時には、白い軍服で身を固めるところも、用意周到だ。両腕を失くした傷痍軍人、湿地帯の薄汚い小屋に住む老婆といった端役にまで、個性付けをする小技も完璧主義といわれるシュトロハイムの面目躍如だ。しかし、米国特使夫人がいとも簡単に強面のロシア貴族の軍門に下ってしまうのは、少なからず違和感あり。タイトルは、Foolish wivesで複数なので、"愚か"に描かれているのは、米国特使夫人だけではなく、最後に捕まってしまうペチュニコフも含めて指しているのであろう。本作の映画評に、シュトロハイムを偽貴族と書いているものが見られるが、父の代から仕えるメイドがいるので、本作では、落ちぶれた本物の貴族として描かれているものと思われる。本作は、元々6時間の長尺モノを切り詰めているので、様々なバージョンが世に出ているようだ。主要登場人物の設定を変えたトーキー版もあったり、2006年には、イタリアに残っていた版を元に復刻版が制作されたりしているので、中には似非貴族として設定されら版があるのかも知れない。私の見たのは、IVCの淀長さんにお解説付きの108分のものであるが、そのケースに記されている解説でも、どういうわけか"ニセ貴族"となっている。シュトロハイムの演技は良い。助演陣では、メイドのマルシュカ役のデイル・フラーが迫真の演技をしている。従姉妹のオリガ・ペチュニコフ役のモード・ジョージも、怪しさを発散させ、好演している。米国特使夫人ヘレンのミス・デュポンは、ぽっちゃり系で、現代では、好かれるタイプではなさそう。当時27歳ぐらいで、21歳の夫人を演じた。

投稿者:paris1895投稿日:2007-06-28 15:10:40
ハリウッドはやはり才能が有りすぎる監督を正当に評価して来なかった歴史を、自らもが恥じているかの様に、名誉賞などをシュトロハイムに贈与する事のその浅ましさ。
 しかし、正当に評価しなかったとはいえ、ハリウッド以外で、才能あり過ぎる監督の映画が作られる事も少ないのだから、何とも言えない。
 ルノワールもラングも、やはり亡命してハリウッドで名作群を撮った訳だから。

この「愚なる妻」素晴らしいですね。
果たして、あのラスト。
夢か幻が現世か。
その(短さ故の)謎の多さも、気になるところです。
 完全オリジナル版を見たいですね。
6時間でちゃんと見たい。
 映画の神様が撮った映画が、6時間なんて短いぐらいです。

投稿者:ミュジドラ投稿日:2006-05-16 19:18:54
 シュトロハイムはどう見ても美人とは言えない女優を、非常に印象的に使っている。『グリード』のザス・ピッツもすごかったけれど、この映画のデイル・フラーも負けていない。放火する前後の狂った演技は壮絶の一言。30歳を過ぎて恐らくは男と無縁で生きてきた彼女が、貯金を全額貢いでまで尽くしてきた男に裏切られて鬼女と化す。同時代の監督たちで、そんな「女心」を正面から描いた人が他にいるだろうか。シュトロハイムの慧眼にはただ感服するのみ。
投稿者:神慮論投稿日:2006-01-15 19:11:46
ロシアたばこの煙につつまれて神領区の主席堕天使のような(シュトロハイム演じる)カラムジンにせ伯爵と猛禽ヅラの妾たちがくらす、風光明媚なアモンロザ館。
黒龍のりんかくがみえるような大型車のむれを横付けする、きらびやかな軍服ドレスがゆきかうモンテカルロホテル。
一転して荒れ野、荒れ家、岩屋はシェイクスピアの魔女の釜をのぞきこむよう。
五時間だか七時間だかの<完全版>黒魔術の絵巻物はずたずたにひきさかれ、その罪をいっそう際立てた。・・・・クライマックス、石油をぶちまける横に十字架が立っていたりラスト、カラムジンが少女を狙って窓によじのぼる壁のくぼみには聖人像がはめこまれていたりと、残酷描写にもヒネリがきいている。
「愚なる妻」の、日本一の語り部といえば淀川さんだけど・・・淀川さんと、伊藤大輔監督のトークショーによればふたりが観たという長尺の「愚なる妻」のラストで、カラムジンの屍体が一緒に殺られた犬ともどもマンホールにぶちこまれて、下水が雨であふれると、マンホールのふたがもちあがり、カラムジンと犬が死に顔をべったりくっつけあってうかびあがり、流れていったのだそうだ。もちろんこんなシーンは今残ってるフィルムにはでてこない!
投稿者:Ikeda投稿日:2005-05-16 12:02:41
このの映画のセットも凄いですが、当時、映画は1ヶ月以内で作られていたものを、一年以上かけて製作されたという事なので、費用は莫大だったと思います。大分カットされて公開されたらしく、そのせいか話のつなぎが良くありませんが、全体の長さとしては、この程度が適切だと思います。
しかし、エリッヒ・フォン・シュトロハイムのドイツ映画的な露骨さは、当時のアメリカ映画には無かったようですし、アメリカ人の成り上がり者的な軽薄さを皮肉ってもいる所が凄いです。シュトロハイムの特異な演技が目立ち、ラストも大胆な描写の映画です。
投稿者:ルミちゃん投稿日:2004-07-05 18:44:05
【ネタバレ注意】

自称、公爵婦人、公爵令嬢の二人の女と、その従兄称する男の大尉カラムジン伯爵、この三人は愛人関係の詐欺師仲間.

召使付きで借りたアモロサ荘、古くから勤める召使の女の、こつこつ貯めた蓄えを、カラムジン伯爵は結婚を約束に巻き上げる.
他方、三人は賭博を開き、客から本物の金を受け取り、偽札を返すことによって、偽札を本物にすり替える.
女二人は、警察に捕まった.カラムジン伯爵は、偽札作りの男の病弱な娘を強姦に行き、殺された.賭博の客からお金を騙し取っても、警察に捕まるだけのこと.けれども、結婚を餌に女を騙す、恋愛感情をもとに人を騙すことは許されない.

愚なる妻、大使婦人は、兵士の服装の男が、本を落としたとき拾ってくれなかったことを怒ったけれど、エレベータの中で彼が両腕がないことを知り、許してください、と、謝った.この事によって、彼女の愚かさは許されているのね.

投稿者:さち投稿日:2004-07-02 07:11:01
まさに大作 
現代にもそのまま通じる上流階級批判と不貞のテーマ、
そして画面からはみ出しそうな豪華さ。
サイレント映画はどうしても間が抜けたような感じが多いのだが、
それは少ないと思う。 
キャラ一人一人に血が通い過ぎていて非常にリアル。 
しかしなんといってもシュトロハイム。 あの表情は映画史上最高の無気味さ。
【受賞履歴】
(■=受賞、□=ノミネート)
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