華氏451(1966)FAHRENHEIT 451
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【解説】 活字の存在しない未来の管理社会を描いたレイ・ブラッドベリの小説を映画化。主人公モンターグは禁止されている書物の捜索と焼却にあたる有能な消防士だったが、クラリスという女性と知り合った事から本について興味を持ち始める。やがて読書の虜となった彼の前には妻の裏切りと同僚の追跡が待っていた……。トリュフォー初の英語圏作品であった事も含め製作はトラブル続き(この辺りはトリュフォーの名著『ある映画の物語』に詳しい)だったが、仕上がった作品は高潔で機知に富んだ秀作となっている。雪降り頻る中の詩的なエンディングを始め、忘れ難いシーンに彩られており、モンターグの妻リンダとクラリスの二役を演じたJ・クリスティの魅力も手伝って、ブラッドベリ作品の映像化作品の中ではベストの出来と断言してもよいだろう。B・ハーマンのスコアはいつもながら素晴らしい。 ![]() 【ユーザー評価】
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この映画は本が邪悪な物であると考える社会が基本になっていますが、「焚書」という行為は、古くは秦の始皇帝の時代にあり、西洋ではネストリウス派やマルティン・ルターを排斥するために行われ、近くはハリー・ポッターを焼いたという話もありますが、宗教上の問題が絡んでいる事が多いと思います。それに絡んで聖書はどうなっているのかなとも思いましたが、この社会には宗教など存在しないという事かも知れません。
この作品では本の問題以外にテレビの普及の問題も取り上げられていて、これは多分、原作にはなくて、トリュフォーが取り込んだものだと思いますが、映画がテレビに押されてきているのを懸念したような気もしました。
最後に本を暗記してしまうシーンが出てきますが、これと同じ様なシーンは、これより4年前、すなわち1962年の映画「ミサイル珍道中」にも出て来ます。ただし、このレイ・ブラッドベリの原作は1953年に出版されているので、それを真似した訳ではないと思います。
壁掛けの薄い大型テレビは今でも憧れの対象だし、視聴者参加型番組、主人公モンターグを追跡する偵察機など割りとリアルな予想だったと思いますが、反面レトロに感じるシーン(一家に一台テレビのアンテナがあるとこや、電柱が木製であること、モノレールの昇降がかなり高い所から階段を利用しているところなど)もあるのが否めないです。 それとモンターグの気持ちの変化が滑らか過ぎたように思います。 彼の人生を180度変えるほどの大きな転機となったのですから、『本』の活字の素晴らしさ、大切さをモンターグが数日で理解出来たところがもっと濃厚に描かれていても良かったと思います。 主演女優のジュリー・クリスティは全く異なるタイプの女性を2役好演していて、違う作品を見ているようで見ごたえがありました。 この作品はかなり完成度が高いと思いますが、ぜひ現代から見る近未来を舞台にリメイクされるのを期待します。
だが、やっぱりダメだった。
随所に詩的で美しい映像表現がなされているのは印象的だったが、全体的には荒っぽい映画。
映像的にも論理的にもリアリティが皆無なのはまぁ目をつぶるとして、登場人物の感情の動きがやや唐突に感じられて気になった。映画から本の良さが全然伝わってこないから、主人公が本にのめりこむ辺りがとても不自然に感じる。本が(今でいう)麻薬と同じように扱われているのだから、常人なら間違っても手を出さない物であろう。それを跳ね返すぐらいの本の魅力を表現できていたならば、最高に美しい映画になったかもしれない。
また、全編にわたって見られるあざとい演出が私は食傷気味だった。
独特の雰囲気が出ていて面白いシーンも多かったが、妻や隣人が出てくるシーンはどれも陳腐な演出に感じる。朝起きると夫の話も聞かず喋りまくる妻・・・わざとらしすぎる・・。学校の廊下のシーンや本と一緒に焼かれるおばさんのシーンはとても不気味で良かったのだが(おばさんを不気味にしちゃうのはどうかと思うけど)。
細かいところで美しさがある映画だが、核心的な部分が抜けていた。
あと、映画に突っ込んでしまう人は見るべきでない。
(「本を簡単に暗記できるわけないだろ!」とか)
しかし、TVはこわい。画面に、表情のない目を見開いた人たちが、妙に間延びしたセリフを淡々としゃべるのは見てて気持ち悪かった。
主人公の妻と、教師でのちに主人公と共に逃げる女は一人二役であるが、対照的で印象的だった。
脚本的にもいくつか気になった場面があって、まず奥さんに本を読むのがバレるとこだと、「モンターグさん、そりゃ声上げて読んでたらヤバいでしょうが」と思ったし、「本の人々」と出会ってからのシークエンスはいささか長い。他にもモンターグの代わりに死んだのは誰だか気になったり、引っ掛かる部分はちょこちょこあったかな。
でも観て損はなかった作品。独創的な世界観と設定を活かした展開はなかなかのもの。「招待客の数や部屋の割り振りを延々と語るだけの視聴者参加ドラマ」なんかは、あまりにもバカらしくて、あまりにもシュールで、笑っちゃったよ。それから序盤、モンターグの奥さんが倒れた時の、どこか淡々としたやりとりは「規制が行き届きすぎた未来」を強く感じさせてくれて、少し怖くなった(実際、奥さんが倒れたら、もっと焦るだろうが!)。で、そんな世界で生きるモンターグが本と接することにより、次第に「感情」に目覚めていくあたり、本も好きな俺はやっぱり嫌いになれない。中年女性が本と共に死を選んだシーンなんて、フルサイズのショットの背徳的な美しさもあって印象的。終盤、署長のムカツク言葉と共に本が燃えるカットも好きだ。ニコラス・ローグのカメラはなかなか見応えあった。
人間の「本に懸ける情熱」が見て取れる終わり方もちと長い気はするけど、嫌いじゃないねー。あの場面にあった「僕、レイ・ブラッドベリの『火星年代記』」というユーモアはちょっとウケちゃったぞ。
あと、どーでもいいけど、やっぱりこれ、「アウターゾーン」の「マンガが禁止された未来の話」の元ネタだったことが確認できて嬉しかったです。
え〜、最後に文句を一つ。…本編鑑賞後、DVD特典を拝見しようとしてビックリ。これ、特典に日本語字幕が付いてないんだぜ!?俺、レイ・ブラッドベリへのインタビュー、けっこう楽しみにしてたのになあ…!字幕付いてないなら付いてないってジャケットに書いとけよ!
それにしても燃えゆく本が美しいなんて、何とも言えない皮肉だ。
そこで異世界の表現にモノレールを登場させているが、これが成功。
乗客の乗り降りに車体底から下げられた(本来非常用の)タラップを使っているのが、面白い。
『都会のアリス』とか『バタアシ金魚』とか、モノレールの出る映画って、不思議な魅力がある。
『死んでもいい』や『首都高速トライアル』も、東京モノレールがチラッと写るだけで好きだから....。
俺は単なるモノレールおたくか?
現在においてはインターネットが文字の氾濫する自由思想の宝庫となったわけだが、本を至高とするこの映画の古臭い近未来感覚はとても魅力的。
私は本を読むのは好きだけど、読め!と命令されて読むわけじゃない。読みたい時(自分にとって必要とされている時なのかな?)に読みたい本を読むのが心地よい。
ラストシーンの、老人から暗唱させられている子供は、その子供にとっては必要な活字だったんだろうか?ただたんに後世に残すために脳に焼きつけるだけだったら、それも洗脳じゃないの?と、恐いなと思いました。
こんなことを思うのも、いつでも、どんな時でも、読みたい本を手にすることができる自由があるからなんでしょうね。贅沢ですよね(^_^;)
続く主人公モンターグ(オスカー・ウェルナー)を擁する消防隊の出動シーン。
ここには緊急出動の緊迫感などはおよそ希薄だ。消防隊の官僚的、ロボット的な動作、身振りを冷ややかに際立たせるようなイメージとバーナード・ハーマンの木琴を駆使したスコアとが相俟って、この出動シーンは緊迫感というよりも漠とした不穏さが醸成されて行く。
現場に向かう消防車のモンタージュ・シーンは、若い男がくつろぐ部屋へと転じる。
そこに電話のベルが鳴り響き、受話器を取った若い男にキャメラが4度カットインする中、電話向こうから「大急ぎでそこから逃げて!」と女の声が警告。近づくサイレンを耳にするや若い男は部屋を飛び出して行く。
消防車が集合住宅に到着。件の若い男の部屋に踏み込んだ隊員たちは黙々と部屋を捜索し、あちこちに隠された本を見つけ出し袋に詰め込みベランダから外へ放り落とす。それらを主人公が火炎放射器で躊躇無く焚書処分する。
ここに於いては、「しかし、何故本を焼くのだろう?」という疑問が観客個々のレヴェルで生じもしよう。しかし、消防隊長が任務を終えた主人公に口にするのは「違反なのに何故本を読むのかな」という、観客の思いとは正反対に在るような言葉だ。
斯様に、トリュフォーはトップ・シークェンスで既に観客を文字、活字が抹殺されつつある“異世界”へと誘い込んでいる。
先述したように、映画のタイトル、主要キャストやスタッフは文字に拠らずナレーターの声で示され、登場人物が自宅やモノレール内で広げる新聞形態の印刷物にはコマ割されたコミック調の絵が在るばかりで文字は見当たらない。さらに、消防署や消防隊員を示すのも文字には拠らず、“蜥蜴”のデザインと“451”という数字に拠る。
そう、本作では本の表紙やその中身が示される画面、市民にあてがわれた数字による管理番号、そして、“THE END”が現れる画面以外には文字が徹底して排されているのだ。
本作のキャラクター造形に於いて印象深いのが、登場人物の鏡像的な姿の現れようだ。
幹部の声が掛かるほど優秀な消防士であった主人公は近所に住むクラリスという女性との出会いによって本に目覚め活字が紡ぎ出す知識や物語に没頭して行く。主人公の妻リンダは夫が家に持ち帰る本を畏れ夫を密告する。
二つのヒロインはジュリー・クリスティによって演じられる。小学校教師見習いのクラリスは快活で社交的、一方のリンダはやや神経質で内向的だ。
アントン・ディフリングという俳優は主人公にいつも冷ややかで敵対的な視線を向ける同僚フェビアンを演じ、さらに、小学校を解雇されたクラリスが主人公と学校を訪れた際に教室のドアからフェビアン同様の冷ややかな眼差しを送る女教師に扮する。
映画終盤、主人公は組織に反逆し、クラリスから教えられた“本の人々”が共同生活するコロニーへと逃走。ここで主人公は、権力側に拠って捏造された“贋のモンターグ”が街中で銃殺されるTV中継をコロニーのリーダーと一緒に眺めながら過去の自分と訣別する。
トリュフォーは登場人物の鏡像によって、一人の人間や組織の不完全性を示唆しているように思う。
映画終幕に描かれるのは“本の人々”。
彼らは自ら選んだ本の表題をコロニーでの名とし、絶滅間近い本を一冊丸々覚えるとその本を焼く。
ここ終幕に於いて静かに僕の心を奪うのが、老人と少年によって示される、本(物語)が伝承される瞬間だ。
コロニーのリーダーが主人公に示す川縁のテント。
そこでは余命幾ばくも無さそうな老人が甥たる少年に或る物語を伝授している。
老人は体を横たえたまま淡々と物語を諳(そら)んじ、少年は無心にそれを繰り返す。
画面がオーバーラップするとそこは銀世界に一変。
キャメラが川縁のテントに寄って行き、程なく少年のクロースアップに切り替わる。
物語終幕の一節ほどを諳んじた少年の顔が輝く。
キャメラが老人に切り替わると、老人の目は閉じられている…
キャメラは少年に切り替えされる。
少年の視線は漠と宙に在るが、その瞳は輝いている。
少年は物語の最後を諳んじる。
このシーンは、件のリーダーが主人公に語る「本が再び書かれ出版される時のために、一人一人が一冊ずつ本を記憶し伝承して行く」といった云わば本作のテーマ性を情感を以って明示していよう。
ラスト。
雪降り頻る中、本を諳んじる人々が森の中を思い思いに歩いているさまが奥行き感のある構図で示される。人々が幾重にも行き交いさまざまな言語が交錯して聞こえてくる。
彼等の一心な身振りが音(声の重なり)と映像に収斂し僕の胸を衝き揺さぶる。
■http://ohwell.exblog.jp/
この華氏451度で燃え出す本というのがなかなか官能的
確かに、こういう職業があったらやるかもしれないなー。
いや、本は好きだよ、よく読むし。
ただ、このビジュアルがよろしいですなあ、ヒッチコックに影響されたというトリッキーな映像もナイスだし。
ちなみにブロフロフスキーですぜ。ぼくもサウスパークのファンであります。
華氏451とは書物が燃える温度。
本を愛する人々がとった究極技は泣ける。
俺だって読書家で、本がなくなったら悲しい。
十代の頃はいろんな本を読んで知性を高め自分を磨いたもんだ。
例えば…
エロトピアでしょ。
GOROでしょ。
投稿写真でしょ。
(やめとけ!)
公開当時の評価はさほど芳しくはなく、トリュフォーの失敗作と断じた映画評を読んで一人憤慨したことを覚えています。イメージが時代を先行していたのでしょう。
その簡潔な画面構成は様式美すら感じさせ、今見てもとても新鮮です。DVD化を切望します。