砂の女(1964)
【解説】 昆虫採集にやって来た男は、砂の穴の中にある未亡人の家に泊めてもらった。だが、そこから抜け出せなくなってしまう……。抽象的な原作を映画化した作品で、カンヌ映画祭審査員特別賞等を受賞している。 <allcinema> 【ユーザー評価】
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9.17

















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1,個人的な事、友人とか、家族とか、恋人とか、自分の将来とか、希望とか、挫折とか、容貌とか、頭脳とか。
2,社会的な問題、戦争とか、正義とか、不平等とか、政治とか。
映画物語は昆虫学者が迷い込む穴、砂丘の部落に生きる女に取り込まれ蟻地獄の底で必死に脱出を試みる男の苦闘の物語り、自由に抜け出せる段になって居ついてしまう不条理を描いた小説の傑作映画である。
しかも、昆虫採集に代わって、穴の底で水を溜めるという装置を思いつく男がロマンを手に入れて狂喜する姿、自らの置かれた状況さえも忘れ、結果、探究心や研究心(金餞でも)が満たされた男の辿る穴の中の生活、穴の底から世間を見ずに満足してしまう(サラリーマンが女房子供と幸せなマンション生活)意義を、美しい映像で描きながら、あんたの落ちた穴に横たわった女とのセックスを手にした男の辿る暗闇を、あざ笑う「正なる条理」が私に「世を忘れ自分の今を生きよ」と世の常識や世間並みが私を貫き通し、迫ってくる。
優れた青春映画の多くは生きていく苦悩や不安や恋愛を描く、「砂の女」この映画の優れた点はロマンとSEXを手にした男がその後に社会にかかわっていく軋轢を、象徴的に映像化している、私はそうやって薄々ながらも苦悩してきた。誰もが同じ思いに悩み憤ったことだろう、そして知らず知らずに平凡で闘争心を忘れた「穴倉生活」に安住してしまうのだ。反発しながらも頼ってくる女の性とSEXとに絡め捕られながら、そういえば女に捕らえられた男の物語り、との解説を目にしたことがある。
「砂の女」のその後が描かれていないことの不満は残るものの「ブロークバック・マウンテン」(2005)の映し出したその後も引きずる青春を、この映画も同じ主題で見事に映像化している。何が悲しいといって、「穴倉生活」から脱せず昔の思いだけで生きる人生の無常である。やるせなさである。自身への怒りである。
大人になったといってみても、人が丸くなったと言われてもどうしても捨てきれないもの、何時までもしがみつく過去の栄光、持った頭脳への自信と信頼、未だ発揮できない能力への見栄と過信である。
そうやって穴倉生活に安住して、気がつけばいい年を重ねて老人になっている。私の兄も父も先輩や多くも友人たちも、人生はなんだったのかと、結局「砂の女」は青春時代を過ぎて年取っていく男の内側を象徴している。そうなのだ外界を省みる事のない「穴倉生活」、無知で平凡な家庭人がいいのだと、一方でそれが、お前の悔いのない人生なのかと。
キネ旬ベストテン第一位。良くも悪くも批評家受けする映画。
8+
しかし現代社会が何だろうが、怖いのは砂の女、岸田今日子です。昔からこの人の声にはぞわぞわするものを感じていたのですが、これだけたっぷり聞かせてもらえて幸せです。常に全身に水を浴びているかのようなぬらぬらとした姿に、どんなに気色ばんでもはぐらかされてしまう、神経を逆撫でするような喋り方。「砂は湿気を呼ぶ」というセリフがありましたが、この映画では、からからに乾いた砂のイメージと、じくじくと物を朽ちさせていく水のイメージが重なり合って、汗まみれの肌に砂がべったりとくっついてくるような不快さを生み出していると思います。そんな映画に、彼女ほど似合う女優が他にいるでしょうか。
漏斗状の穴がいくつも開いた砂地が広がり、そこに落ち込んだ者達が人知れず無意味に砂を掻きだしている。そんなイメージがしっかりと心に残った次第です。
それら全てを表すものとして、岡田の役、「砂」の役、共同体の役が用意されている。ということで、時間かかった割にかなりベタな解釈となってしまったのでした。
映画史に残る名作だと確信している。
この作品。一見、非日常的だが、実はすごく現実的だったりする。その恐ろしさ(笑)。俺らの代表を演じる岡田も、始めのうちこそ混乱しながらも逃げ出そうとするが.....阿部、勅使河原、岡田。笑わせるね。難解なアート作品でもあり、ギャグの一級品だったりする。不条理劇の傑作。欧米でも、この作品(俺は全部好きだけど)だけは必ずビデオが発売されてる。
この当時の岸田今日子はかわいらしいんでアレですが、現在の彼女がこの女の役を演じたら(笑)と思うと、笑える。絶対、この作品以上に鋭さが増すはず(?)。武満徹の音楽も忘れられない。