スタンリー・キューブリックStanley Kubrick■生年月日 : 1928/07/26 ■出身地 : アメリカ/ニューヨーク市ブロンクス ■没年 : 1999/03/07 ■13歳のときに父にもらったカメラに熱中。その腕前は16歳の時に“ルック”誌に写真が載るほどで、既に才能の片鱗を窺わせていた。17歳で同雑誌の社員となるが、近代美術館のフィルム・ライブラリーに通ううちに映画に興味を抱く。51年に短編ドキュメンタリー“Day of the Fight”を撮り、25歳のときに叔父から借りた金で最初の長編を完成させて配給されるに至った。第二作「非情の罠」はUAが買い取り上映。56年の「現金に体を張れ」が高く評価され、「突撃」がヒット。次いでピンチヒッターとして嫌々引き受けた「スパルタカス」で大作も撮れる監督として評価され、「博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」、「2001年宇宙の旅」、「時計じかけのオレンジ」の“SF三部作”を完成。世界的な映像作家としての地位を確立した。他に「シャイニング」、「フルメタル・ジャケット」など、常に完璧主義を貫き通してどの作品も話題になった。51年に離婚後、ルース・ソボトゥカと再婚したが3年後に離婚。その翌年にスザンヌ・クリスチャンと再婚した。99年、「アイズ・ワイド・シャット」完成直後に死亡。次回作として準備されていた「A.I.」はスピルバーグが引き継いで完成された。
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確かに彼ほど、娯楽性と芸術性を高いレベルで両立させた監督はいないかもしれない。そしてまた、作家的自由を思うがままに謳歌したのも彼くらいだろう。そこに至るプロセスにはプロデューサーのハリスやカーク・ダグラスの力添えも作用してたし、単純に運の良さもあったのだろうが・・・
しかし、彼にも弱点はある。それは「ロリータ」「アイズワイドシャット」みたいな日常生活を扱ったものは苦手ということである。つまり、職人的な普遍性のある演出テクニックがないからそうなるのだ。
とにかく、彼は人間よりもキャメラそしてセット・空間に興味があるのは明らかだ。ま、もちろん賢明なるキューちゃんのこと、刺激的で毒のある原作を探し出してそれなりの‘理論武装‘は怠らないので、ラングのドイツ時代の作品群やチミノ「天国の門」のように内容が空疎になることはないわけだが。
「フルメタルジャケット」のラスト付近で歌われる‘ミッキーマウス‘は示唆的である。まさしく彼の映画そのものが‘ディズニーランド‘なのだから。チリ一つないクリーンなそして広漠とした舞台を、お気に入りの広角レンズ+トラッキングバックでひたすら‘愛撫‘していりゃご満悦なのである。そしてクラシックなミュージックで強烈にダメ押しをするわけだ。
ツルツルとした掴みどころのないそのパッケージに入れる中身は、日常のドラマ・オリジナル曲では物足りなく駄目であり、やはり‘毒‘がないともたないのである。
60年代以降から始まった作家主義や映像主義の最大の成功者、キューちゃんではあるけどついにはヒッチコックになりえなかったのは、彼自身がキャメラの魅力に溺れすぎてしまいその映像・運動の‘快楽‘にのめりこんでしまったからなのだ。
様々なジャンルを撮って来た孤高の映像作家。
世間ではこの様に解釈され続けてますが、果してそうでしょうか?
キューブリックが撮った作品を大まかにカテゴライズすると
犯罪映画(非情の罠、現金に〜)等は、果して犯罪映画を撮りたかったのか?
戦争映画(突撃、フルメタ〜)等は、果して戦争映画を撮っていたのか?
SF映画(2001年〜、時計じかけ〜、博士の〜)等は果してSF映画を我々に提示していたのか? その他ホラー、歴史伝記物、等の作品も然り。
私はこの映像作家が処女作から遺作まで唯一、そして一貫して撮って来たのは
「人間」そのものだったと記憶します。
そして人間以外は全く興味がない作家。黒い未知なる物体もキノコ雲も薄暗い
蝋燭の明かりでさえも、単なる「人間」を露呈するだけの小道具に過ぎない。
人間の感情(喜怒哀楽)ではなく、もっと人間の(核・或いは真実)に付いて
深く鋭く静かに語るのみ。
よく「人間を描けない」「人に対し、ある嫌悪感を抱いてる監督」等と
耳にしますが、この人ほど人間を注意深くし凝視、観察し、愛しく厳しい眼差しで
終始一貫してフィルムに刻んで来た映像作家は果してどれだけいたでしょう? 笑
遺作「アイズワイド〜」は誰でも知ってるハリウッドスターを主役に配置し
全キューブリック作品のテーマ(核)であり、
唯一、一貫して撮っていたジャンル「人間」について珍しく直球勝負で
我々に遺して逝った作品と記憶します。(この人流のファンサービス?)
彼の全作品は「難解さ」や「謎」ではなく
ただ人間そのものの「真実」を我々に呈したに過ぎないのです。
私はそう記憶してます。
とは言っても、アラン・ムーアは人間性とヒューマニズム、両方を追求していますけど。
どなたかが「冷めた視点がこの監督の持ち味」っておっしゃってましたよね。だとすれば、オレのような、映画を観てる間は、登場人物と一緒に闘って、悩んで、恋して、怖がって、悲しんで、喜んで、っていう観客にとっては難物なのかもしれませんなあ・・・・・・
ただ、こういう人ってブラックな笑いの表現に長けてたりしますよね。
「博士の異常な愛情」を観なければ。
それぞれの映画を観て分かるように、うっすらと普遍的とも宗教的とも
解釈の出来ない、それでいて単純ならぬメッセージを含んだ映画を
SFだろうが戦争ものだろうがホラーであろうが、撮る。
しかし、それが何なのかはハッキリとは誰にも掴めない。
こうではないか、こうではないかと色々推測出来てしまうのが
実は鑑賞以上の楽しみなのかも知れない。
博士〜も。
永久保存版です(笑)http://members.jcom.home.ne.jp/0438320401/
<br>
<br>とにかく映画の可能性は無限だってことを教えてもらっただけでもありがたい。
僕は『時計じかけのオレンジ』が大好きで、しかし他作品はそれほど好きではないんです。『A.I.』は面白かったけれど、あれは ほぼ100%スピルバーグの映画だし。
キューブリックの映画は、出来上がった作品よりも、それが生まれるまでの秘話の方が面白かったり、衝撃的だったりすることもありますよね。
『2001年宇宙の旅』が好きではない人も、この映画のメーキング(NHKで放映されていました)を見たら、唸らずにはいられないでしょう。
映画というのは、どんな駄作であろうとも、一本創り上げるのにとんでもないテマヒマがかかっているもので、そのテマヒマに妥協しなかったのがキューブリックなんでしょうね。
http://face.ruru.ne.jp/harekura/