成瀬巳喜男 なるせ・みきお【フィルモグラフィー】
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誤解を恐れずに言ってしまうが、私にはどうも黒澤・小津・溝口の才気というものが解らない。確かに彼等の作品群にも傑作はあるが、私にとってそれは数えられる程度である。
一方、成瀬巳喜男のフィルモグラフィーは逸品揃いで、特に「めし」や「浮雲」、「鶴八鶴次郎」等は日本映画史上に輝く至宝である。
無論、他の三人を否定しているのではない。
しかし、邦画といえば黒澤の名前くらいしか浮ばないという映画ファンには是非、成瀬の作品に目を向けてほしいと思う。
嫁に行った受身的なヒロイン(入江たか子)が、嫁ぎ先での圧力に耐えるうちに自我に目覚める映画。
入江たか子のアイドル映画みたいな面や、(当時の)女性の自立を描いた作品としての面だけでなく、
成瀬のテンポの良い活き活きとした映像表現で映画としても、それなりに成功している。(娯楽的な映画ではあるけど)
終盤は多少サスペンス風になるが、それ以前の些細な描写の積み重ねでヒロインにかかる圧力を観客にも感じさせるのが上手い。
それがヒロインに感情移入させ、そして彼女の行動に説得力を与えている。また、嫁ぎ先の舅姑が特に悪い人間ではないというのも良い。
7点