allcinema ONLINE オールシネマ 映画&DVDデータベース
検索オプション

投稿されたユーザーコメント
 
 「呑気呆亭」さんのコメント一覧 登録数(728件)rss
 コメント題投稿者投稿日
[391]過去をもつ愛情
 帰らざる波止場呑気呆亭 (Mail)2013-10-14
 
フランソワ−ズ・アルヌ−ルは元々演技派ではなく、その肉体の存在感で勝負する女優であるからして、暗い過去を持つ女の演技を求めるのは酷であろう。ダニエル・ジュランも不倫の・・・
続きを読む
フランソワ−ズ・アルヌ−ルは元々演技派ではなく、その肉体の存在感で勝負する女優であるからして、暗い過去を持つ女の演技を求めるのは酷であろう。ダニエル・ジュランも不倫の妻を殺してその軍歴ゆえに無罪となってリスボンまで流れて来たにしては軽い存在感で、二人の悲劇を盛り上げるのはアマリア・ロドリゲスの唄ばかり。この唄がなかったらアルヌ−ルの顔を見る楽しみのみの映画になってしまっただろう。この過去をもつ男と女と追う刑事という設定をパクッて製作した日活映画「帰らざる波止場」と比べてみると、アルヌ−ルと浅丘ルリ子の演技力の差とジュランと裕次郎の主役を張る役者の存在感の差が作品の出来を左右したように思われる。刑事役のハワ−ドと志村喬は甲乙付け難い演技であった。
隠す
  
 
[392]用心棒
 顔・顔・顔呑気呆亭 (Mail)2013-10-05
 
監督・脚本・撮影・照明・美術・音楽以下のスタッフ連中が、まるで妍を競うかのように面白がってこの映画作りに参加したことが見て取れる。その面白がり方のベクトルが仕合わせ・・・
続きを読む
監督・脚本・撮影・照明・美術・音楽以下のスタッフ連中が、まるで妍を競うかのように面白がってこの映画作りに参加したことが見て取れる。その面白がり方のベクトルが仕合わせにも一つの方向を向いたためにこの傑作を生んだのだろう。もちろん三船敏郎以下の役者さんたちという素材の質の高さあってのことでもあるのだが。何度も見てきて今回発見したのは、三十郎への対応をめぐって清兵衛(河津)おりん(山田)与一郎(太刀川)が顔を寄せてひそひそ話(三十郎や女郎たちに聴かれている)をしているカットだった。カメラを据え付けての顔・顔・顔のドアップの映像なのだが、ギラギラする欲と思惑と怯えが渦巻いて据え付けでありながら何ともダイナミックな映像であった。 映像と音楽と役者の芸を幕開けから終幕まで隅から隅まで舐めるように味わいながら大いに笑って愉しめる快作である。
隠す
  
 
[393]悪名
 コンビ誕生呑気呆亭 (Mail)2013-10-04
 
シリ−ズの第一作ということで、興味は朝吉(勝)とモートルの貞(田宮)の出会いに絞られる。大阪遊郭で遊ぶ朝吉たちの前に現れたモートルの貞は実にカッコ好いべらんめえでま・・・
続きを読む
シリ−ズの第一作ということで、興味は朝吉(勝)とモートルの貞(田宮)の出会いに絞られる。大阪遊郭で遊ぶ朝吉たちの前に現れたモートルの貞は実にカッコ好いべらんめえでまくし立て、朝吉との喧嘩も力一杯正々堂々の一騎打ち。負け方さえもカッコ好い。親分に愛想を尽かした貞が朝吉に親分子分の盃を貰おうとして、“わしゃ、ヤクザが嫌いだ”と言われて“何だと”気色ばみ、ニコッと笑った朝吉に“兄弟でええやないか”と言われてぐにゃぐにゃとなる場面の可笑しさといったらない。田宮二郎という役者の優れた才能がこのシ−ンに凝集されている。それを絵にした田中徳三と宮川一夫の腕と、人たらしの朝吉を演じた勝新太郎という役者のすごさを思い知らされたのだった。その二人を巡る女たちがそれぞれに個性的な存在感を見せて見事だった。
隠す
  
 
[394]海峡、血に染めて
 国境呑気呆亭 (Mail)2013-10-04
 
海上保安官の体験談をもとにした話だということで、恐らく隠岐の島でロケしたものか、韓国との国境線を巡っての密輸団と海上保安官たちとの争いにリアリティがある。韓国からの・・・
続きを読む
海上保安官の体験談をもとにした話だということで、恐らく隠岐の島でロケしたものか、韓国との国境線を巡っての密輸団と海上保安官たちとの争いにリアリティがある。韓国からの密航を斡旋するボスを演ずる山岡久乃は、岡本喜八の「独立愚連隊」でも見せてくれたが、韓国のオモニを実に達者に演ずる役者さんである。芸達者で廻りを囲まれた和田浩治も若者らしく溌溂と新米保安官を演じて好感が持てた。監督の鈴木清順も後期のやや独りよがりな演出スタイルではなく、オ−ソドックスな演出で海洋アクションを面白く見せてくれた。昨今の国境を巡る情勢を思うと、再上映が望まれる貴重な映画である。
隠す
  
 
[395]生きていた野良犬
 リノ・ヴァンチュラ呑気呆亭 (Mail)2013-10-04
 
武部次郎が刑務所から出てきた。五年前、やくざ同士の争いから殺人事件がおこり、次郎は兄太郎の身代りで逮捕された。次郎が入獄中に、太郎は何者かに殺され、平井一家は太郎の・・・
続きを読む
武部次郎が刑務所から出てきた。五年前、やくざ同士の争いから殺人事件がおこり、次郎は兄太郎の身代りで逮捕された。次郎が入獄中に、太郎は何者かに殺され、平井一家は太郎の弟分大村、坂崎らに支えられていた。むなしく過ごした五年間の青春、兄の仇を討つ次郎の執念は火と燃えた。大村の子分が次郎を尾行した。ある新興都市−−次郎はチンピラの春夫を喧嘩から救ってやった。それが縁で五年前の仲間で、今は食物屋をやっている浜やんと妹の民子に再会した。春夫と民子は恋人同士だった。太郎の死因がわかった。何者かが彼の乗用車に爆薬を仕掛けたのだ。次郎は坂崎の経営するバーにのりこんだ。坂崎はうろたえた。一味の高村が犯人は坂崎と大村だと白状した。(goo映画) ◎スタッフが粒ぞろいの割には映像的にも見るモノがない平凡な出来上がりの映画である。プロロ−グの仕掛けに懲りすぎて見る者にストンと筋立てが入ってこないので、兄貴の罪を負って刑務所に入る次郎がただのマヌケに見えてしまう。その次郎を演ずる二谷英明にはこんなマヌケな役柄は似合わない。これまで裕チャンと対等に丁々発止してきた二谷がこんな風に使われるのは気の毒でならない。彼はフランス映画でいえばリノ・ヴァンチュラのような存在なのだから、ヴァンチュラの「ゴリラ」シリ−ズのような企画を立てて大事に使って欲しかったと思う。
隠す
  
 
[396]静かなる男
 スカ−トの真紅呑気呆亭 (Mail)2013-10-01
 
カ−ルスタウンの駅に降り立ったショ−ンを囲んで、村人と機関手たちが列車の運行をそっちのけにして喧々囂々と魚釣りについて論議するプロロ−グからして、いかにもフォ−ドの映画・・・
続きを読む
カ−ルスタウンの駅に降り立ったショ−ンを囲んで、村人と機関手たちが列車の運行をそっちのけにして喧々囂々と魚釣りについて論議するプロロ−グからして、いかにもフォ−ドの映画だと嬉しくなってしまう。迎えの馬車に乗ったショ−ンの目に羊を追う村の娘のまるで妖精のような姿が飛び込んでくる。振り向いた娘の目とショ−ンの目が合って、瞬間二人は運命的な恋を雷に打たれたかのように自覚するのだった。この場面の色彩(娘メアリ−のスカト−から覗く真紅の裾)の美しさが観る者にこの映画が幸福なファンタジ−であることを告げ知らせる。まだ電気に象徴される文明に汚されていない村の人々は、薄暗いパブで黒ビ−ルに酔い、ショ−ンとメアリ−の恋の成り行きの噂話に興じ、兄貴のウイルとショ−ンの対決への期待に酔う。村を二分する宗教とIRAの組織の存在もさりげなく描写されて、観客も又ウエインとマクラグレンのヘビ−級の殴り合いをワクワクしながら期待するのであった。
隠す
  
 
[397]地獄ヘの逆襲
 西部劇でも裁判劇でも・・・呑気呆亭 (Mail)2013-10-01
 
前作「地獄への道」の続編を期待する向きには不満が残るだろう。前作でジェシ−を演じたタイロン・パワ−の輝きは余光としてもこの作品には残っていない。西部劇でもなく裁判劇と・・・
続きを読む
前作「地獄への道」の続編を期待する向きには不満が残るだろう。前作でジェシ−を演じたタイロン・パワ−の輝きは余光としてもこの作品には残っていない。西部劇でもなく裁判劇としても中途半端で、邦題が感じさせるアクションへの願望は満たされない。ヘンリ−・フォンダのフランクも前作の方が凄味があって良かった。フィリッツ・ラングにしてこんな凡作を撮るのだなあと思ったことだった。
隠す
  
 
[398]ローマの休日
 小さな嘘呑気呆亭 (Mail)2013-10-01
 
観客にとってこの映画の見どころは、至る所に歴史的建造物があるロ−マの町並みと、そこに暮らす人々のゆったりとした生活ぶりと、そしてその素敵な景色の中をスク−タ−に乗って・・・
続きを読む
観客にとってこの映画の見どころは、至る所に歴史的建造物があるロ−マの町並みと、そこに暮らす人々のゆったりとした生活ぶりと、そしてその素敵な景色の中をスク−タ−に乗って駆け巡る一組の男女が、互いについている小さな嘘を乗り越えていつ恋に落ちるのだろうとワクワクしながら待ち受ける愉しみだろう。偶然出会った娘が王女だと知ってこれを特ダネにしようとする新聞記者ジョ−と、身分を隠して束の間の自由を存分に楽しもうとするアン王女とは、互いに小さな嘘を抱えている。そのことの隔てがライオンの口でのエピソ−ドで壊されて心が通い合う。そして船上でのダンスパ−ティで親しさが増し、黒服のガ−ドマンたちとの乱闘と水中へのダイブ。濡れ鼠になって目を見合わした二人はこの瞬間に恋に落ちたのだった。ラストの落ちも効いていて、後味の良いお伽噺であった。新聞記者の友人のカメラマンを演じたエディ・アルバ−トの好演も旨味を加えるスパイスになっていた。
隠す
  
 
[399]終着駅
 サスペンス呑気呆亭 (Mail)2013-10-01
 
駅という交々の人生が交錯する空間と、その交々の人生を乗せて発進して行く列車のタイムテ−ブルに象徴される時間とが、撚り合わされることで生ずるサスペンスを見事に破綻なく・・・
続きを読む
駅という交々の人生が交錯する空間と、その交々の人生を乗せて発進して行く列車のタイムテ−ブルに象徴される時間とが、撚り合わされることで生ずるサスペンスを見事に破綻なく映像化したデ・シ−カの力量に驚く。その切迫した時間と空間の中で激しく揺れ動く感情をまるでドキメントを見るかのように哀切に表現したジェニファ−・ジョ−ンズの演技は奇跡的であるとしか言いようがない。クリフトもこうした役柄にはうってつけで、男にせよ女にせよ、若き日の「恋」を回想する者にとっては、この映画はフィクションであることを超えて胸に迫るものがあったのではなかろうか。
隠す
  
 
[400]黄金の馬車
 マニャ−ニに乾杯!呑気呆亭 (Mail)2013-10-01
 
花形女優のマニャ−ニを繞って恋のさや当てをする三人の男たちの描き方が面白い。旅の一座に同行して来た青年と現地の花形闘牛士と総督と、それぞれが個性的で嫌みがない。普通・・・
続きを読む
花形女優のマニャ−ニを繞って恋のさや当てをする三人の男たちの描き方が面白い。旅の一座に同行して来た青年と現地の花形闘牛士と総督と、それぞれが個性的で嫌みがない。普通の作劇術であれば総督などは悪役にするのが常套であろうが、これが一癖あるも決して卑劣漢ではないのが面白い。青年と闘牛士はマニャーニを争って決闘にまで及ぶのだが、これもどちらも傷付かぬ引き分けとなる。それもこれもその真ん中に居るマニャーニの開けっぴろげな陽気さと無欲さに依るのだろう。その象徴が「黄金の馬車」なのである。現地の暮らしに退屈した総督が俗物ばかりの上流人士への面当てにこれを取り寄せたのだったが、事もあろうに旅芸人の女にこれを贈ってしまったことから、てんやわんやの騒動が始まるのだった。総督は共に居て声を合せて心から笑うことの出来るマニャーニへの想いをそのプレゼントによって現わしたのだが、そんな物を貰ってしまったマニャーニは、その苦境と男たちの恋のさや当てをあっという機転によって見事に躱してしまったのだった。マニャーニに乾杯!
隠す
  
 
[401]宮本武蔵 巌流島の決斗
 お杉婆=浪花千栄子呑気呆亭 (Mail)2013-09-24
 
第一部からこの第五部までたけぞうを仇と付け狙ってきたお杉婆の変貌ぶりが、見どころの少ないこの作品の唯一といって良い見せ場である。決闘を明日に控えた日、小次郎の宿舎を・・・
続きを読む
第一部からこの第五部までたけぞうを仇と付け狙ってきたお杉婆の変貌ぶりが、見どころの少ないこの作品の唯一といって良い見せ場である。決闘を明日に控えた日、小次郎の宿舎を訪れて助太刀を申し入れたお婆は門前払いをくう。プリプリ怒って引き上げる道筋でお婆はお通と又八と又八の子を産んだ朱美に出会う。“こんな子供は本位田の血筋ではない、いやじゃ、いやじゃ”と道ばたにぺたんと座り込んで駄々をこねるお婆を演ずる浪花千栄子の小さくなった後ろ姿が何とも微笑ましい。すっかり好好爺の顔になったお婆と又八たちは武蔵の船出を見送る。お通は例によって泣き落としに掛かるのだが、武蔵は武士の妻らしく笑って見送ってくれと言って舟島への船に乗り込む。泣き崩れるお通の肩を抱いてお婆は叫ぶ“たけぞう、負けるでないぞう、負けるでないぞう”と。 クライマックスの決闘シ−ンに関しては、その前夜の武蔵と小次郎の対照的な過ごし方を類型的に描いたために、誰もが知っている結末へのサスペンスが盛り上がらなかった。それもあってか内田吐夢は\'71年に遺作となる武蔵と宍戸梅軒の闘いを描く「真剣勝負」を撮ったのだろう。
隠す
  
 
[402]宮本武蔵 一乗寺の決斗
 三つの音呑気呆亭 (Mail)2013-09-22
 
この第四部の見どころは三つの音である。第三部の終わりに近くその姿を現わした虚無僧は、かつてたけぞうを追い回した青木丹左衛門(花沢徳衛)であった。この青木丹左が寺の縁・・・
続きを読む
この第四部の見どころは三つの音である。第三部の終わりに近くその姿を現わした虚無僧は、かつてたけぞうを追い回した青木丹左衛門(花沢徳衛)であった。この青木丹左が寺の縁先に座って吹く尺八の音が喨喨と鳴る。そこには主家をしくじり家族も捨てて虚無僧に身を落とした青木丹左の六年の歳月と、辛苦を独り越えてきたある境地さえ感じられるのだった。小次郎の元から逃げてきた朱美を床下にかくまって、青木丹左は坦々と尺八を鳴らす。その喨喨たる音色はさすがの小次郎にも破調を感じさせず、床下にひそむ朱美と又八を無事隠しおおせたのだった。 二つ目の音色は、吉野太夫(岩崎加根子)の弾く琵琶の音である。本阿弥光悦に招かれた宴席から密かに抜けて、三十三間堂での吉岡伝七郎との対決を制し、何ごともなかったかのように戻ってきた武蔵を、吉野は茶室に招じる。灰屋紹由・本阿弥光悦・烏丸光弘・花山院忠長の居並ぶ末席に座した武蔵の右袖に赤い染みを認めた吉野はそっと寄って懐紙でそれを拭う。“血ではないか?”“いえ、牡丹のひとひら”と答えた吉野は灰屋紹由(東野英治郎)の求めに応じて手元の琵琶を奏で始める。その音色が粋人たちのそれぞれに波紋を生じさせて行くにもかかわらず、一見平静に端座するかと見える武蔵に何の感興も起こさせていないことに吉野は気付く。平静をよそおう武蔵ではあったが、実はこの場に列しながら「心此処に在らず」であることを吉野は見たのである。吉岡の門弟たちの待ち伏せから守るために一人茶室に引き留めた武蔵に、吉野は琵琶の胴を断ち割って音色の微妙が何に依って生じるかを諄々と説くのだった。 三つ目の音色は、一乗寺への道を行く武蔵を待ち受けたお通の奏でる笛の音である。その音は故郷の山で孤絶の耳に聞いた音、柳生の里で門弟たちに囲まれた必死の場で聞いた音、この笛の音こそ時により折にふれ聴いてきた懐かしい音であった。その音が決死の場に赴く武蔵の足を止めさせ、そして、さすがの武蔵をして遂にお通を“心の妻”と呼ばさせてしまったのだった。
隠す
  
 
[403]宮本武蔵 二刀流開眼
 芍薬の巻呑気呆亭 (Mail)2013-09-22
 
柳生の高弟との立ち会いで右袖口を切られたことからとっさに左手で小刀を抜いて対処したことから、この第三部を内田吐夢は「二刀流開眼」と名付けた。とっさにとは、相手の剣風・・・
続きを読む
柳生の高弟との立ち会いで右袖口を切られたことからとっさに左手で小刀を抜いて対処したことから、この第三部を内田吐夢は「二刀流開眼」と名付けた。とっさにとは、相手の剣風が右腕を襲ったと同時にということで、武蔵は右腕を切り落とされたと感じ、瞬間左で剣を抜いたのだったろう。これを「開眼」というのはいかがなものか。それよりこの第三部の見どころは、石舟斎が切った芍薬の茎の切り口に、それを贈られた伝七郎は何の異状も見ず、たまたまそれを手に入れた武蔵が己の技を比べんとして切った芍薬の茎を返された柳生の高弟たちが、やはりその違いを判定出来なかったという所にある。よくある達人伝説の一つだが、石舟斎は自ら持った芍薬を中空で切ったのに比べて、武蔵は宿の小女に両手で持たせた茎の中頃を切ったという所に、花を生けるということを知らぬ武蔵の素養が石舟斎に劣ったということだった。そこに目を止めれば、これを「芍薬の巻」とでも名付けたいものだ。
隠す
  
 
[404]宮本武蔵 般若坂の決斗
 三年、二年。呑気呆亭 (Mail)2013-09-20
 
前作のエピロ−グで白鷺城の天守に幽閉されたたけぞうは、万巻の書を読み三年、遂にある境地に達する。“今日までの勇気は人間の本当の勇気とは云えない。もののふの強さとはそん・・・
続きを読む
前作のエピロ−グで白鷺城の天守に幽閉されたたけぞうは、万巻の書を読み三年、遂にある境地に達する。“今日までの勇気は人間の本当の勇気とは云えない。もののふの強さとはそんなものではない。怖い物の恐ろしさを良く知り、命を惜しみ、労らなければならない”と。その暗黒蔵から沢庵の導きによって脱し、名も宮本武蔵と改めたたけぞうは城主から拝領の両刀を腰に“光明を抱いて人間の中へ”と諭す沢庵と別れ、“弧剣、そうだ、剣の天下、これに生きよう。これを魂とみて常に磨き、何処まで人間として己を高め得るか。頼むはただこの一腰、青春21、遅くはない” このクサくも感動的な台詞は脚本の創作かと思ったが、確かめて見ると原作のモノであった。(蛇足) お通への未練を振り切って修行の旅に出た武蔵は、二年後、京の吉岡憲法の道場に現れる。その変貌ぶりが凄まじい。蓬髪弊衣、離れ座敷に端然と座る武蔵は、身構える門人の目に己の体にたかるシラミを潰して差し出して見せる。二年という歳月、どれほどの辛苦と闘いを経てきたかを一瞬にして観る者に悟らせるシ−ンであった。宝蔵院での勝負と般若坂での決闘は、この一瞬に比べれば付けたりに過ぎないと言えるだろう。
隠す
  
 
[405]宮本武蔵
 月の出呑気呆亭 (Mail)2013-09-20
 
戦で脚に傷を負った又八を救ったお甲(木暮)が、又八の傷口に口を着けて毒血を吸い出すシ−ンが凄まじい。口に焼酎を含みながら又八の太股から一心不乱にお甲は血を吸い出すう・・・
続きを読む
戦で脚に傷を負った又八を救ったお甲(木暮)が、又八の傷口に口を着けて毒血を吸い出すシ−ンが凄まじい。口に焼酎を含みながら又八の太股から一心不乱にお甲は血を吸い出すうちに、この若い男の体に惹かれて行くのだが、これがもの凄いエロチシズムを醸し出して、前半一番の見所であった。その男を自分のモノにするためにお甲はたけぞうを見捨てて朱美を連れて遁走する。独りになったたけぞうは落ち武者詮議の関所を破って故郷に戻る。たった一人の姉に逢うためと又八の生存をその母(浪花)に告げるためだった。落ち武者詮議の侍たちと村人に追われるたけぞうは破れかぶれになって暴れ回る。その姿はまるで一匹のケダモノのようだった。そのケダモノが沢庵に捕まって寺の境内の千年杉にに吊される。その千年杉が作り物だったという。内田吐夢によれば最初の杉は高さが足りなかったので、作り直させたのだという。頂上から見下ろした絵が欲しかったからだという。その千年杉に吊された錦之助は実はとんでもない高所恐怖症だったらしく、あの喚き散らす演技は沢庵に向かってというよりかは内田吐夢に向かってのものだったように思われる。そして、ここに凄い月の出の映像が現れる。千年杉を挟んで左に力尽きて死んだようにぶら下がるたけぞうの姿、その姿を差し照らす巨大な上弦の月を右に配した映像は、このケダモノのような若者の未来を暗示するかのような奇跡的な絵であった。
隠す
  
 
[406]栄光何するものぞ
 夕景と朝焼け呑気呆亭 (Mail)2013-09-17
 
フラッグ大尉とクワ−ト軍曹のシャルメ−ヌをめぐっての駆け引きの間に、フォ−ドは若者たちの恋を置く。若き兵士のルイスンは町で出会ったフランス娘のニコ−ルに一目惚れしてしま・・・
続きを読む
フラッグ大尉とクワ−ト軍曹のシャルメ−ヌをめぐっての駆け引きの間に、フォ−ドは若者たちの恋を置く。若き兵士のルイスンは町で出会ったフランス娘のニコ−ルに一目惚れしてしまう。ルイスンはその純な恋情をフラッグ大尉に打ち明け、彼女との結婚の許可を受けようとする。そうした所に前線への出動命令が下され、フラッグは独軍の将校を生捕りにするように特命を受ける。フラッグとクワ−トはその任務に失敗して落胆するが、そこになんと独軍将校を捕虜にしたルイスンが現れる。フラッグはルイスンの勇気を見直すが、その直後に爆撃を受けてルイスンは爆死してしまうのだった。 任務を終えて帰還したフラッグ大尉の元をルイスンの死を知ったニコ−ルが訪れる。“ニコ−ルです”“知っている、ルイスンから聞いたよ。結婚を望んでいたが、軍は指揮官の許可が必要でね、分かるか”“ええ、彼は・・・”“イエス、彼は勇敢な兵士だったが、結婚には若すぎた。彼のことを思い出すときはこう考えてくれないか。多くの青年たちはここに来て彼と同じ目に遭う。だが彼は、君に逢えた”“ありがとう・・・” ニコ−ルを見送ってフラッグはシャルメ−ヌに告白する。“戦争なんて沢山だ、俺は引退する。もういい、任務を理解する男どもならいい、だが今は幼い少年ばかりだ、ここにいる義務などない。シャルメ−ヌ、たとえ戦争が終わっても俺は帰国しない、俺と一緒になろう” ところがその場にクワ−ト軍曹が現れ、シャルメ−ヌを中に置いての争いとなり、滅茶苦茶な酒飲み合戦と拳銃とシャルメ−ヌを賭けてのポ−カ−勝負となって、フラッグ大尉の感傷も吹っ飛んでしまう。 プロロ−グに夕景の中をボロボロに疲弊した兵士たちの帰還を描いたフォ−ドは、エピロ−グに朝焼けの景色の中を前線に向かう兵士たちの行軍を置く。その先頭を行くフラッグ大尉の脇に、“軍隊は愚か者の集まりだ・・・”とシャルメ−ヌに別れを告げたクワ−ト軍曹の姿が有った。
隠す
  
 
[407]真昼の決闘
 大衆というもの呑気呆亭 (Mail)2013-09-15
 
ハドリービルという西部の小さな町、その町にガンベルトを腰にしたいかにも無法者然とした男三人が乗り込んでくる。この平和ボケしたような町には時代錯誤に見える男たちを見送・・・
続きを読む
ハドリービルという西部の小さな町、その町にガンベルトを腰にしたいかにも無法者然とした男三人が乗り込んでくる。この平和ボケしたような町には時代錯誤に見える男たちを見送る町の連中の腰にはガンベルトなどは見当たらない。町の役場では今しも和やかな結婚式が執り行われている。この町に平和をもたらした功績者・保安官ウィルと過去に父と兄の命を銃弾に奪われてクエ−カ−教徒となったエミ−の結婚式であった。人々は平和を満喫しそしてやや倦んでいるかに見え、“保安官をやめたら雑貨屋でもやるか”とやや自嘲的につぶやくウィルだが、町の人々はこの硝煙の過去を背負ったカップルをこうして送り出すことでほっとするかのように見える。 その町に激震が走る。7年前に町ぐるみで引っ捕らえ監獄に送り込んだミラ−という無法者が釈放されて復讐のために帰ってくるという報せが入ったのだ。この辺りの描写がじつに丁寧に描かれている。興味深いのは町のホテルのオ−ナ−が呟く“ミラ−のいた頃は町の景気も良かった”一言であった。平和に倦んで刺激を求める町の連中は保安官ウィルの窮地に救いの手を延べるどころか、協力を要請する彼を嘲笑さえする。彼は真面目な保安官ではあったが好かれてはいなかったのだなと分かる。一番の理解者であったとウィルが思っていたトマス・ミッチェルにさえ“君は戻って来るべきじゃなかった”と言われてしまうのである。孤立無援で戦う彼に手を延べたのは不戦の誓いを掟とするクエ−カ−教徒の妻エミ−だけだった。 ずるくてエゴイスティックな大衆を批判的に描こうとしたジンネマンとクレイマ−の意図は分かるのだが、却ってそのエゴこそがなまじな批判を超越した大衆の本体なのだと町のホテルのオ−ナ−の呟きが教えてくれる。
隠す
  
 
[408]オール・ザ・キングスメン
 悪に強い者は・・・呑気呆亭 (Mail)2013-09-15
 
ジョ−ン・ドル−が出演しているということでDVDを手に入れて視聴。前半のクロフォ−ドとアイアランドが絡んでの政界裏話的な展開には一気に引き込まれたが、知事に当選して権力を・・・
続きを読む
ジョ−ン・ドル−が出演しているということでDVDを手に入れて視聴。前半のクロフォ−ドとアイアランドが絡んでの政界裏話的な展開には一気に引き込まれたが、知事に当選して権力を手に入れたクロフォ−ドが変貌してゆく課程の描写が俳優の演技に頼っただけのずさんなものなので、こんなものかと一気に引いてしまった。これは脚本の失敗だったのではないか。クロフォ−ドが知事になって公約通りに建設した病院に絡んでの悪事をもっと丁寧に描くべきだったのではないだろうか。「悪に強い者は善にも強い」という諺を是非このクロフォ−ドに造形してみて欲しかった。ドル−も今一の活躍であったこともあり、残念な作品である。蛇足だが、同じような題材を扱ったウォ−レン・ビ−ティ監督・脚本・製作・主演の快作「ブルワ−ス」の面白さを思い出してしまったのだった。
隠す
  
 
[409]そして誰もいなくなった
 いなくならなかった呑気呆亭 (Mail)2013-09-15
 
「テン・リトル・インディアン」の歌と10人の犯罪者を組み合わせるという原作の思いつきは面白いが、一種のグランドホテル形式の劇としては人間の描き方に深みがなく、肝心のサ・・・
続きを読む
「テン・リトル・インディアン」の歌と10人の犯罪者を組み合わせるという原作の思いつきは面白いが、一種のグランドホテル形式の劇としては人間の描き方に深みがなく、肝心のサスペンスも今一で、クレ−ルにしては仕掛けが大袈裟なだけの凡作である。
隠す
  
 
[410]喜びなき街
 噴飯もの呑気呆亭 (Mail)2013-09-15
 
グレタ・ガルボ主演ということで購入したVHSで初見。暗い画面と俳優たちの大袈裟な演技に辟易しながら何とか最後まで視聴。サイレント時代の作品であるからメイクアップがく・・・
続きを読む
グレタ・ガルボ主演ということで購入したVHSで初見。暗い画面と俳優たちの大袈裟な演技に辟易しながら何とか最後まで視聴。サイレント時代の作品であるからメイクアップがくどいのはやむを得ないが、特にマリアを演ずるアスタ・ニ−ルセンのうじうじとした演技は噴飯ものであった。グレタ・ガルボは美しいが彼女を巡るスト−リ−もご都合主義が目立ってエンドマ−クを打たれても釈然としなかった。
隠す
  
 
[411]斬る
 呑気呆亭 (Mail)2013-09-10
 
プロロ−グの藤村志保と天知茂のエピソ−ドがいかにも三隅研次らしく綺譚風に物語られて見る者を一気に引き込んで行く。その事件にこの物語の発端があり、主人公高倉信吾の悲劇の・・・
続きを読む
プロロ−グの藤村志保と天知茂のエピソ−ドがいかにも三隅研次らしく綺譚風に物語られて見る者を一気に引き込んで行く。その事件にこの物語の発端があり、主人公高倉信吾の悲劇の因がある。何も知らずに成人した信吾は家族にも藩主にも愛される爽やかな青年に成長していた。その信吾が藩主からも許された3年の旅を経て帰還し、“何も得るモノはなかったよ”と妹と父を韜晦しながらも藩主の求めには逆らえず、「三絃の構え」なる異様な必殺の構えを披露する。これは相打ち覚悟の必殺の剣であって、未だ出生の秘密を知らぬ信吾がまるでその母の果断さを思わせる構えを自得したのはやはり血というものだったのだろう。彼の悲劇はここに端を発するのである。
隠す
  
 
[412]稲妻
 浮雲呑気呆亭 (Mail)2013-09-10
 
高峰秀子という俳優さんのふくれっ面でする特異なエロキュ−ションはまだこの映画では見られない。バスガ−ル役のデコちゃんは可愛いのである。その彼女が3年後の同じ成瀬監督の・・・
続きを読む
高峰秀子という俳優さんのふくれっ面でする特異なエロキュ−ションはまだこの映画では見られない。バスガ−ル役のデコちゃんは可愛いのである。その彼女が3年後の同じ成瀬監督の「浮雲」ではガラッと変わった複雑な性格と肉体を持つオンナとして立ち現れる。この3年の間に高峰は9本の映画に出演している。演出はいずれも名監督によるものだが、成瀬はこの間高峰を使っていない。この3年の間に高峰に何が起こったのか。\'54年の「二十四の瞳」の撮影中に出会った松山善三とは\'55年に結婚しているが、それがこの変身に影響しているとは思えない。恐らく「浮雲」の出演が高峰秀子という役者の中の何かを目覚めさせたのではなかったろうか?それほどに「浮雲」以前と以後の彼女には別人を見るような変化が見られるのである、というのはワタクシの極めて個人的な意見である。
隠す
  
 
[413]雨月物語
 呑気呆亭 (Mail)2013-09-10
 
今となって見れば物語の出来を云々するよりは、丹念に戦国時代らしきものを再現した美術と時代考証の仕事を顕彰しなければなるまい。撮影の宮川一夫は坦々とした筆致で物語を綴・・・
続きを読む
今となって見れば物語の出来を云々するよりは、丹念に戦国時代らしきものを再現した美術と時代考証の仕事を顕彰しなければなるまい。撮影の宮川一夫は坦々とした筆致で物語を綴ってゆく。溝口の演出は考えてみれば異様な怨霊物語を破綻なく定着してゆく。我々はその仕事に驚嘆しつつ琵琶湖に浮かぶ船のように霧の中をあてどなく彷徨って、ふと、この世に自分が生きていることを見出して驚くのである。
隠す
  
 
[414]世紀は笑ふ
 広沢虎造呑気呆亭 (Mail)2013-09-09
 
★浪花節の名調子で一世を風靡した広沢虎造の、実人生を重ね合わせたような立身出世物語。売れない浪花節語りの虎造が、杉狂児扮する友人の影の尽力によって名声を得る。しかし・・・
続きを読む
★浪花節の名調子で一世を風靡した広沢虎造の、実人生を重ね合わせたような立身出世物語。売れない浪花節語りの虎造が、杉狂児扮する友人の影の尽力によって名声を得る。しかし、驕りの心を持った虎造は友情のありがたさを忘れていた・・・。マキノ正博の人情噺の呼吸を心得た演出もみごと。現存フイルムは、後半部分のみだが、作品の味わいは伝わる。(ぴあ・CINEMA CLUB) ◎テレビで放映されたモノを視聴。全篇を見ることが出来た。マキノ雅弘作品への虎造の出演は「次郎長三国志」(\'52・東宝)が最初だと思っていたが、この映画は\'41年の製作であるから10年前にもうマキノは虎造の才を買っていたのだなと分かる。銭湯の風呂桶に浸かって好い気持ちで浪花節を呻っている夜泣き蕎麦屋の虎造が、本物の浪花節語りを喰ってしまうプロロ−グが面白い。その声を生かすために夜泣き蕎麦屋の相棒の杉狂児が“お前と一緒に居たんじゃ俺の前途が開けねえ”なんてことを言って虎造と袂を分かつ。虎造は段々出世して大看板になり、一方の狂児も演芸団の裏方からひょんなことで表舞台に立つようになる。その狂児のもとに、以前二人が世話になった町の興行主から虎造の出演を依頼する使者が来る。狂児は意を決してかつてのいざこざから感情を害しているであろう虎造の元に向かうのだった・・・。 何よりもの見もの聞き物は広沢虎造という人の高座姿とその素晴らしく伸びのある浪花節であった。講釈と浪花節の違いも描写されていたりして、物語に破綻もなく安心して見ることが出来た。
隠す
  
 
[415]探偵物語
 呑気呆亭 (Mail)2013-09-01
 
前回見た時に、カ−ク・ダグラス演ずるマクラウド刑事の一寸した動作が気になったことを覚えていたのだが、それが重要な伏線であったことを今回見直してみて気が付いた。その動・・・
続きを読む
前回見た時に、カ−ク・ダグラス演ずるマクラウド刑事の一寸した動作が気になったことを覚えていたのだが、それが重要な伏線であったことを今回見直してみて気が付いた。その動作とは、マクラウド刑事は銃のホルスタ−を右腰の前に着けている。その彼はジョゼフ・ワイズマン演ずる狂犬のような強盗犯に相対する時は必ずホルスタ−から銃を抜いてポケットにしまうのである。それが一度ではなく二度もその動作をするので、その動作が彼マクラウド刑事のプロフェッショナル性を現わすだけではなく、ラストの惨劇への重要な伏線になっていたのだと気が付いたのだった。そのことをあらかじめ知っている観客の目は、狂犬・ワイズマンの目に同調して、部屋の向こうで無防備に後ろ向きになっている警官の腰に着けた銃にギラッと焦点を合わせるのである。
隠す
  
 
[416]抜き射ち二挺拳銃
 シルバ−・キッド呑気呆亭 (Mail)2013-09-01
 
オ−ディ・マ−フイが二挺拳銃を腰にした“シルバ−・キッド”と名乗る格好いいガンマンとして登場してくれれば、西部劇フアンとしてはもう何も言うことはない。物語がご都合主義だ・・・
続きを読む
オ−ディ・マ−フイが二挺拳銃を腰にした“シルバ−・キッド”と名乗る格好いいガンマンとして登場してくれれば、西部劇フアンとしてはもう何も言うことはない。物語がご都合主義だろうと、銃の撃てない保安官が我々には分かっている悪の一味の女にやたらデレデレするのが目に余ろうと、そんなことはどうでもいいのであった。悪の一味は一掃され町には平和が戻って、町の女の子の心まで射止めてしまった“シルバ−・キッド”は何処へ行く・・・。
隠す
  
 
[417]ボージェスト
 ご都合主義呑気呆亭 (Mail)2013-09-01
 
アフリカの砂漠の中の砦、一見各部署に銃を構えていると見えた隊員がすべて死んでいたというプロロ−グの設定が面白い。その砦に最初に偵察に入ったラッパ手がどうしたことか失・・・
続きを読む
アフリカの砂漠の中の砦、一見各部署に銃を構えていると見えた隊員がすべて死んでいたというプロロ−グの設定が面白い。その砦に最初に偵察に入ったラッパ手がどうしたことか失踪し、生存者がいないはずの兵舎から火の手が上がる。まるで幽霊船に乗り込まされたかのような謎が、イギリスの或る家庭の物語の回想から徐々に明らかにされる。謎のキ−ワ−ドは“Blue Water”。と、ここらくらいまでは快調なのだが、ジェスト兄弟の長兄ボ−がその宝石“Blue Water”を奪って失踪するところから物語がご都合主義になって行く。彼が奪ったのは本物の“Blue Water”だったのか、育ててくれた叔母の対面を保つための勇気ある行動(ボ−ジェスト)だったのか?盗むためにはあの状況では共犯者がいなければならないが、それは誰だったのか。等々が曖昧なままに外人部隊に三人のジェスト兄弟が揃っているシ−ンに飛躍してしまうのだ。そしてそこには物語にとってお誂え向きの悪軍曹ブライアン・ドンレヴィが居たりしては、これはもう悪軍曹と戦う外人部隊の制服を着た格好いいク−パ−たちを見せんがための謎・謎・謎の仕掛けでしかなかったのではないかとガッカリさせられてしまったのだった。
隠す
  
 
[418]腰抜けモロッコ騒動
 ハ−ドボイルドもコメディも呑気呆亭 (Mail)2013-09-01
 【ネタバレ注意】
★国際スパイの大立者エリク・オーガスティン(ボブ・ホープ)は紐育からタンジールへ向け出発しようとしたとき、追ってきた警官隊に射たれ、負傷して倒れた。一方、オーガステ・・・
続きを読む
★国際スパイの大立者エリク・オーガスティン(ボブ・ホープ)は紐育からタンジールへ向け出発しようとしたとき、追ってきた警官隊に射たれ、負傷して倒れた。一方、オーガスティンと瓜2つの寄席芸人ピーナッツ・ホワイト(ボブ・ホープ2役)、オーガスティンと間違われて警官隊に引き立てられてきた。オーガスティンの鞄から数百万ドルが発見され、この金はヘーニッヒというタンジールのスパイから無人飛行機の設計図をうつしたフィルムを買い取るためのものだということが判った。当局はピーナッツをオーガスティンに仕立て、タンジールに向かわせた。ピーナッツはタンジールで美しい女スパイ、リリー・ドルブレイ(ヘディ・ラマー)と、彼女のボスであり、スパイ団の首領でもあるカール・ブルーベイカー(フランシス・L・サリヴァン)と知り合った。ピーナッツはヘーニッッヒから例のフィルムの入った筒を買い取ったがリリーに色仕掛けで盗まれ、更に彼女は本物のエリクに盗まれた。だが幸い、フィルムはピーナッツの部屋に偶然落ちたままだった。ピーナッツはリリーにすべてを打ち明け、2人で逃れようとしたが、ブルーベイカーに捕らえられ監禁された。リリーが火を放ち、混乱にまぎれて逃げ出した2人は、様々な目にあいながら無事救われた。ピーナッツはリリーと一緒にアメリカの田舎で小さい雑貨屋を開いて暮らすため、タンジールをあとにした。(goo映画) ◎ボブ・ホ−プのスパイの大物オ−ガスティンとしがない寄席芸人のピ−ナッツとの二役が面白い。オ−ガスティンを演ずるホ−プはまるで「第三の男」のハリ−気取りで決まっているし、しがない芸人のピ−ナッツは一転して安っぽいキャラクタ−全開で、この人はコメディもハ−ドボイルドも出来るんだなと思わせる。この懐の深さが有るからこそこうしたドタバタ劇も安心して見ていられるのだと納得させられた。共演の美しい女スパイも魅力的でありました。
隠す
  
 
[419]腰抜けペテン師
 腰抜け・・・呑気呆亭 (Mail)2013-08-31
 
ボブ・ホ−プという人は、動作や表情で笑わすチャップリンやキ−トンのような種類の喜劇俳優ではない。この映画の主人公であるレモン・ドロップ・キッドが競馬場で繰り返す詐欺行・・・
続きを読む
ボブ・ホ−プという人は、動作や表情で笑わすチャップリンやキ−トンのような種類の喜劇俳優ではない。この映画の主人公であるレモン・ドロップ・キッドが競馬場で繰り返す詐欺行為の可笑しさは洗練されたドライなもので、その活動のために彼はダンディな服装に常にこだわり、チャップリンのようなボロ服を身に着けることは決してしない。そのスノッブさが彼と同様にスノッブな観客の共感と我が身を省みての笑いを呼ぶのではないだろうか。彼はどんな窮地に陥ってもへこたれず、暴力には生まれつき弱いので決して肉体的に活躍することなく、その都度小才を使って切り抜ける。邦題に常に「腰抜け」と記される所以だが、この男、なるほど腰抜けではあるのだが実はしたたかな反骨心の持ち主であって、この映画でも見事にギャングのボスに一杯食わせて我々の溜飲を下げさせてくれるのである。
隠す
  
 
[420]好人好日
 忘れられた名作呑気呆亭 (Mail)2013-08-26
 
昭和30年代という長閑な時代と古都奈良という現代離れした土地に、“生まれたまんま”の奇人数学者が酒好きの淑やかな妻と可愛い娘と住んでいる。いきなり奈良の大仏のアップから・・・
続きを読む
昭和30年代という長閑な時代と古都奈良という現代離れした土地に、“生まれたまんま”の奇人数学者が酒好きの淑やかな妻と可愛い娘と住んでいる。いきなり奈良の大仏のアップから始まるプロロ−グから、我々平成の観客は時空を超える旅に誘われる。そこでは見るモノ(小道具・風景・建物)聴くモノ(滑らかな奈良言葉)平成の観客には心地良く、主人公の奇行・奇癖に振り回されるてんやわんやの人間模様も、そこに何の悪意もないことに安心しながらそれぞれの役者さん達の表情と台詞を楽しむことが出来る。笠智衆と淡島千景が素晴らしい。笠は小津作品の役柄とは違ったキャラクタ−を淡々と楽しむかのように演じ、淡島千景はその奇行の人を支え続けて来た妻を淑やかにしっとりとした美しさで造形して見事であった。この作品の当時の評価は知らないが、今となってみれば貴重な忘れられた名作である。
隠す
  
 
前へ 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19次へ
 
 



【スポンサーリンク】



allcinema SELECTION