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 「黒津 明二郎」さんのコメント一覧 登録数(563件)rss
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[091]去年マリエンバートで
 凡作黒津 明二郎2012-03-17
 
プルーストを思わせるような、時間と空間を超越したアートシネマの極北。 ロブグリエの非物語的で脱構築な脚本やビエルニのキャメラにジャックサルニエのロケセットなどはいい・・・
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プルーストを思わせるような、時間と空間を超越したアートシネマの極北。 ロブグリエの非物語的で脱構築な脚本やビエルニのキャメラにジャックサルニエのロケセットなどはいいのだが、レネの腰砕けの演出が全てを氷解させてしまった。 なお、助監督にはフォルカーシュレンドルフが当たっている。
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[092]黒いオルフェ
 まあまあ黒津 明二郎2012-03-10
 
ラテン文化のブラジルにギリシャ神話を移植しようとした、ミュージックな寓話譚。 かつては‘旧列強‘ポルトガルの植民地であり、奴隷としてアフリカから黒人が大量に送り込まれ・・・
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ラテン文化のブラジルにギリシャ神話を移植しようとした、ミュージックな寓話譚。 かつては‘旧列強‘ポルトガルの植民地であり、奴隷としてアフリカから黒人が大量に送り込まれたこの地で、その混血の子孫たちがカーニバルに狂奔する様を、これまた‘旧列強‘フランス人の制作陣がセミドキュメンタリータッチに描いている。ただ、それだけではあるが、サンバのリズムと原色の色彩と現地の人々のノリの良さ、これは一見の価値あり。
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[093]カラー・オブ・ハート
 凡作黒津 明二郎2012-02-25
 
斬新な設定は結構なんだが、それだけで終わってしまったファンタジックドラマ。 50年代のTVホームドラマを題材にして、ノスタルジーを感じさせながらも、保守的で堅物なアメ・・・
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斬新な設定は結構なんだが、それだけで終わってしまったファンタジックドラマ。 50年代のTVホームドラマを題材にして、ノスタルジーを感じさせながらも、保守的で堅物なアメリカ郊外の中流社会を皮肉った感じであろうか。「バックトゥザフューチャー」「ブルーベルベット」「シザーハンズ」などで扱われてきたテーマではあるが、ここでは真正面から描いている。 ‘color‘とくれば黒人を指す英語でもあるので、黒人差別も風刺してるのは明らか。その証拠に、法廷シーンでのあるカットは差別を描いた名作「アラバマ物語」を真似ている。 独特なカラー表現のために、本作は当時としては異例なほどのデジタル合成を施しており、大変な手間がかかっているのだが、ロス監督の演出・シナリオとも平凡なので、単なる見世物になってしまった。 演技陣。トビーはぬぼーとした掴み所のない個性が持ち味だが、ここでは悪くない。リースはイケイケギャルを地で演じて健闘。後はジョアン・ジェフ・ウィリアム・JTなどがベテランの味を見せている。
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[094]本日休診
 佳作黒津 明二郎2012-02-18
 
まだ空襲の焼け跡が残る、東京の蒲田近辺と思われる地域を舞台に、町医者とその患者たちの群像ドラマをユーモラスに描く。 渋谷監督による手だれの演出と、斎藤の練られた脚本・・・
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まだ空襲の焼け跡が残る、東京の蒲田近辺と思われる地域を舞台に、町医者とその患者たちの群像ドラマをユーモラスに描く。 渋谷監督による手だれの演出と、斎藤の練られた脚本、それに豪華なキャストが相まって、雑然としながらも終盤まで快調に進むが、中途半端に反戦を強調したラストの失速が惜しい感じだ。それでも小船や電車を利用した住宅など、当時の逼迫した住宅難や貧困が思われて興味深かったが。あるいは淡島の兄が営む炭団屋も、私には新鮮だった。 演技陣。柳の飄々とした主人公が実に素晴らしい。その他に、三国・鶴田・淡島(先ごろ逝去された合掌)や岸に佐田も悪くないが、田村が印象に残った。
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[095]暗黒界
 アメリカ映画最初の演技派女優黒津 明二郎2012-02-13
 
「国民の創生」以来、何千通ものファンレターが殺到しました。その中には、日本人の少年からのものもありました。 私に、この本を書く資格あるの?という声もあるかもしれませ・・・
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「国民の創生」以来、何千通ものファンレターが殺到しました。その中には、日本人の少年からのものもありました。 私に、この本を書く資格あるの?という声もあるかもしれませんけど、私も一応、映画の先駆者の一人だと思ってますから! 私は、小学校時代に、よく先生のマネをしてくれって頼まれた覚えがあります。まあ、頼まれなくても進んでやってたと思うけど。実際に、私よりうまくやった友達は誰もいませんでしたから。とはいっても、その時点では女優になりたいとかは思ってなかったですね。 グリフィス監督は、スウィートさんのフワフワしたブロンドの髪に、バックから、スポットライトを当てることによって、日光が透けて見えるような感じになるのを発見しました。 「国民」の役は、可哀想なくらい惨めな服を着てるのですが、これでは彼女の気持ちやシーンの意図を表現できないと思いました。何か飾り付けたいと思った私は、「サザンアーミン」と呼ばれるコットンの布きれを見つけました。これを、その家庭的な古いドレスに付けるわけですが、さらに暖炉の煤で色を加えて、こうすれば、兄を喜ばせたいというフローラ役をうまく表現できるだろうと考えたんです。 キャメロン家が黒人の暴徒たちに乱入され、家族は地下室に逃げ込むのですが、その時に私がどう反応するかが問題になりました。監督は私に、もしこういう恐ろしい事が自分の人生に起こったならばと尋ねました。私「はい、」監督「どうすると思う?」私「笑うと思います。」監督はすぐに反応しました。「いいね、それで行こう。」 「イントレランス」のラッシュで、グリフィスさんも傍でチェックしていましたが、終わった後で、イスを回してこう言いました。「親父が死んだ時にさ、君が何を考えているんだか伝わってこないよ、あれじゃ、親が死んでるのに他人事みたいに見えるぞ。」「そうですね・・・」私はポツリと小声で答えました。すぐに撮り直しが開始されました。この時、私は本当の父親の死について考えていました、テキサスの小さな家での大きな悲劇でした。母・姉・兄・妹そして私自身、それぞれの深い悲しみを思い出したんです・・・ 私が今までにやった中で、一番大変だったのは法廷シーンでした。何しろ、同じシーンを4回撮り直したんですから!其の度に、私は体力と能力の限界に挑みました。全身全霊で、演じるキャラクターに成りきろうとしたんです。その4回分の映像ですが、最終的に全てが編集でまとめられて、完成作ではすっきりしてました。また、あのシーンでは、私は無意識にハンカチを握り締めて、顔に近づけようとしました。すると、監督は「はい、いい感じだ、そのまま!」と言いました。 さて残念ながら、グリフィスさんの名声も一時と比べ衰えてきています。いつの日か、どなたかが、映画のために数多くの貢献をした監督を、真に評価してくれることを願っています。いずれ、監督について、もっと多くの本が書かれることでしょう・・・ 私たちの多くは、監督に深く恩を感じていますけど、それに対して恥ずかしい事ですが、誰も恩返しすることはできそうもありません。 私も、スタジオの誰かさんが思い付いた、複雑怪奇なシステムの下で働いて来たわけですが、コスト節約とかでメーキャップの時間まで記録されたりして、色々な目に遭いましたね。まあそれでも、スタジオの大半は、手袋や箒を作る会社と同じレベルではありませんから(ゴールドウィンを皮肉っている笑)、心配しないでね。 これまでの所、お気に入りの出演作は、「The Sands of Dee」「Apple Pie Mary」「暗黒界」「The Little Liar」(以降は全て1916)「Hoodoo Ann」「The Wharf Rat」です。 シカゴにいる映画評論家の方が、かつて私に、これから女優業の方はマイペースでやったらどうなの、とアドバイスしてくれたことがあります。そして「小遣い稼ぎ程度に仕事してれば問題ないでしょ。」とも。 というわけで、ギッシュがプロとして舞台にTVにと、女優業に全力投球し生涯独身を貫いたのと対照的に、マーシュにはそこまでのこだわりはなかったのだろう。あくまで普通の主婦として常に家庭第一でやってきて、1939年以降は20世紀FOX専属の脇役として、「パートタイマー」的に出演を細々とこなしていった。 1964年、つまりクラシックなハリウッドが没落しかかってる時期に、70mm6トラックステレオのテクニカラー大作のフォード「シャイアン」で、デビュー作と同じようにエキストラ出演して、その役者人生に幕を閉じた。 さて、そのフィルモグラフィーで変り種が一本ある。B級専門のスタジオAIPの作品「Girls in Prison」(1956)で、女囚物・非行少女物のハシリだったとか。
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[096]アッシリアの遠征
 アメリカ映画最初の演技派女優黒津 明二郎2012-02-13
 
1910年の春、LA、マルグリートのロケ撮影を見に行った時にスカウトされてエキストラ出演し、続いて同じように、今度はグリフィスのロケ撮影を見学しに行ったら、グリフィス本・・・
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1910年の春、LA、マルグリートのロケ撮影を見に行った時にスカウトされてエキストラ出演し、続いて同じように、今度はグリフィスのロケ撮影を見学しに行ったら、グリフィス本人に目を付けられ、同年の白黒サイレント「Ramona」でエキストラとして公式にデビューした。 1912年以降、主演作を次々と撮っていくことになるのだが、グリフィス映画の歴代主演女優つまり「グリフィスガールズ」には、初期の奥さんであるリンダ・アービドソン、マリオン・レナード、アメリカ最初のスターとも云われたフランシス・ローレンスから中期のピックフォード、ブランチ・スウィート、マーシュ、ギッシュがいて、後期にはキャロル・デンプスター、クラリン・シーモアなどがいた。 よくグリフィス映画の女優で語られる時に、真っ先にギッシュが挙げられるわけだが、私見ではマーシュこそグリフィスが最も愛した女優だと思う。 例えば「ホームスイートホーム」(1914)はオムニバス形式の作品だが、元は彼女主演の「Apple Pie Mary」(1914)がその母体であり、あの「イントレランス」も彼女主演の「The Mother and the Law」が原形になっている。何かグリフィスに、インスピレーションを与えうる存在だったのかもしれない。 「暗黒界」(1914)は、残念ながらフィルムが現存してないが、NYのスラムを舞台にドナルド・クリスプ扮するボクサーと結婚する貧しい薄幸のヒロインを演じた。ボクサーは野蛮な男で彼女との間に出来た赤ちゃんを殺して、彼女を売春婦として売り飛ばす。そして最終的には死を迎えることになる。そう、「散り行く花」(1919)の原形ともいうべき作品だ。 あるいは、その代表作たる「国民」「イントレ」における二人の扱いを見ても、明らかにマーシュを重宝しているのが明瞭に分かる。「国民」ではギッシュが一応の主役だが、この役は元々スウィートが予定されており、交代になった。そしてマーシュは準主役ではあるものの、ドラマチックな見せ場が用意され儲け役なのだ。「イントレ」では、あの大勢のキャスト陣の中で実質上の主役であり、ギッシュは狂言回し的な役を、セリフもなくロングショットだけで撮られていて印象が薄い。他にも目立つ役がありながら、なぜあの役を振ったのか?どう考えても彼女を、当初は人形みたいな外見だけの女優としてしか、グリフィスは評価してなかったのだと思う。 1916年一杯でマーシュはグリフィスの元を去り、サミュエル・ゴールドウィンの会社「Goldwyn Pintures」最初の専属女優となり、その映画「曲馬団のポリー」(1917)はあのMGMで有名なライオンマークが付いた初めての映画だった。 そこで仕方なくグリフィスは、ギッシュ主演で「散り行く花」などを量産していくのだが、「嵐の孤児」(1921)を最後にギッシュが去ると、「ホワイトローズ」(1923)で再び、七年ぶりにマーシュを主演に迎えて撮ることになる。去るものは追わずと云われたグリフィスには異例のことだった。しかも、当時のマーシュは結婚して家庭優先のためか、第一線を降りてマイナーな映画中心に出演しており、明らかに興行的価値はギッシュに比べ低かった。実際、マーシュの上手さは評価されたが、興行成績は良くなかったのである。 1948年7月23日、グリフィスが死んだ時に、遺体安置室でフォードと二人で彼の遺骸と対面している。ギッシュは、NYでの舞台のため直接の対面には「間に合わなかった」そうである。ここにおいても、表面上で云われているアメリカ映画史とは違う、隠された真実を象徴しているように感じてならない。「アメリカ映画の父」の死を、アメリカ映画を代表する巨匠と2人きりで見届ける、そんな特権的な立場にいた、この控えめな女優は正に幸福な人であった。 ここに、一冊の本というか冊子とも呼ぶべき1921年に書かれた彼女の著作「Screen Acting」がある。題名にもある通り、女優志願の少女向けに演技のノウハウや映画界の内幕を簡便に書いたカジュアルな一冊だが、色々興味深いことが書いてある。一部ではあるが引用してみる。続きは、「暗黒界」の項目で・・・
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[097]メエ・マーシュ
 アメリカ映画最初の演技派女優黒津 明二郎2012-02-13
 
「あれは、‘Man's Genesis‘(1912)ていう原始時代が舞台の、映画のヒロインを決める時のことだった。当然、ボロキレの露出度の高い衣装を着なくちゃいけないわけだから、誰も・・・
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「あれは、‘Man's Genesis‘(1912)ていう原始時代が舞台の、映画のヒロインを決める時のことだった。当然、ボロキレの露出度の高い衣装を着なくちゃいけないわけだから、誰もやりたがらなかったの。 そこで手を挙げたのが彼女だった。後で分かったことなんだけど、DW・グリフィス監督は褒美に次の映画にもヒロインにしてあげるって約束したらしいのよ。それが‘The Sands of Dee‘で、本当は私が演じる予定だった。 それで、主役が変更したって聞かされた時は、思わず‘何ですって!‘って叫んだわ。だからその映画が完成して、試写されることになった時に、私は友達たちを引き連れて喜び勇んで行ったものよ。もちろん、彼女を酷評するためにね! でも、それが終わった時には意気消沈だった。完敗だったのよ。仮に私が演じても、ああうまくは出来なかったと思う。でも、彼女は確かこの間までデパートの売り子をしていて、全く舞台とかで演技の修行はしてなかったはず、そして私はそれまで10年以上も舞台で鍛えてきてたのよ。この差は何なの?舞台と映画ではこんなにも違うものなの?ショックだったわ。それで、その年でグリフィスさんの所を辞めて、ブロードウェイに行ってもう一度舞台でやり直すことにしたのよ。」メアリーピックフォード 「そう、確かに彼女は天才的な女優だったかもね。私も舞台での経験がそれなりにあったから、プライドをズタズタにされた気分だった。私がやりたいと思った役はみんな彼女が持っていっちゃうのよ。それだけじゃない。その役を完璧に演じきってしまうの。あれには参ったわ。彼女は、私が嫉妬した唯一の役者よ。」リリアンギッシュ サイレント映画を代表する大女優の双璧に、そこまで言わしめた女優メエ・マーシュ。彼女こそ、実はグリフィスに最も愛され、サイレント時代はその他に、マック・セネットやトマスH・インス、世界初のアニメーターでバイタグラフ映画の創立者、Jスチュアート・ブラックトン作品などに出演、そしてトーキー以降はノンクレジットの端役が多かったとはいえ、18本で組んだジョン・フォードを始めヘンリー・キング、フランク・ボーゼージ、アラン・ドワン、ラオール・ウォルシュ、エリア・カザン、オットー・プレミンジャー、ジョセフL・マンキウィッツ、ジョージ・キューカー、ジャン・ルノワール、ジュリアン・デュビビエ、フリッツ・ラングなど、200本近くの作品に出演し、舞台やラジオには全く出ずTV出演も2,3本だけという、知られざる伝説の「全身映画女優」なのだ。 1894年、リュミエールが映画を‘発明‘する前年に生まれ、1968年ニューシネマが全盛の折、「2001年宇宙の旅」「ナイトオブザリビングデッド」が公開され、フォードやハワード・ホークス、ウィリアム・ワイラーらかつての巨匠が表舞台を去ろうとしていた年、反対に若手のスティーブン・スピルバーグやフランシス・コッポラらが前面に出ようとしていた年に、この世を去った彼女は、ピックフォードやギッシュのように、華やかなスポットライトを浴びることはなかった。 しかし、「国民の創生」(1915)「イントレランス」(1916)「オーバー・ゼ・ヒル」(1931)「怒りの葡萄」(1940)「わが谷は緑なりき」(1941)「スワンプウォーター」(1941)「ジェーン・エア 」(1942)「ブルックリン横丁」(1945)「荒野の決闘」(1946)「34丁目の奇跡」(1947)「三人の妻への手紙」(1948)「三人の名付け親」(1948)「拳銃王」(1950)「静かなる男」(1952)「聖衣」(1953)「タイタニックの最期」(1953)「スター誕生」(1954)「捜索者」(1956)「口紅殺人事件」(1956)「ドノバン珊瑚礁」(1963)・・・その作品歴をみれば、彼女ほど、偉大な古典的アメリカ映画の一部始終を片隅からひっそりと、しかし確実に見届けてきた人はいない。 1894年11月9日、ニューメキシコ州生まれ、5人兄妹の次女で父親はバーテンダー、中西部を点々とする貧しい家庭だった。 長女のマルグリート(1888〜1925)はカンザス州生まれで女優、ハリー・フーディーニの連続活劇「人間タンク」(1920)のヒロイン役で有名、長男のオリバー(1892〜1941)はミズーリ州生まれでジャネット・マクドナルド御用達の映画キャメラマン、三女のフランセス(1897〜1958)はテキサス州生まれで編集者、エルンスト・ルビッチ「メリイ・ウイドウ」(1934)で有名、四女のミルドレッド(1898〜1975)は同様にテキサス州生まれで女優だが、数本の出演作のみの末っ子である。続きは、「アッシリアの遠征」の項目で・・・
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[098]カンフーハッスル
 秀作黒津 明二郎2012-02-11
 
CGを存分に駆使してサービス精神満載の、製作費20億をかけたカンフーコメディ大作。 序盤はクラシカルなギャング物+ミュージカル調で幕を開けるが、中盤はカンフー+ドタバ・・・
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CGを存分に駆使してサービス精神満載の、製作費20億をかけたカンフーコメディ大作。 序盤はクラシカルなギャング物+ミュージカル調で幕を開けるが、中盤はカンフー+ドタバタコメディタッチでギャング団と貧民窟住民たちの闘いが展開され、クライマックスはシリアスに「マトリックス」的な超自然バトルが繰り広げられる。尺が短い割りに、色んな要素を詰め込んでいて、しかも場面毎の流れがよくないせいか、面白さが断続的な感じになってしまうのが惜しいけれど、ブラックユーモアも盛り込んでまずは退屈させない。 面白いのはクライマックスまで、主演兼脚本兼監督のシンチーがあんまり目立たないことである。つまり彼のワンマン映画にはなってないのだ。まあ、さすがに最後にはきっちりと見せ場を用意するのだけど(笑)それに、現実の彼は単なるコメディスターではなく、映画館を複数所有し総資産160億円のセレブであり、しかもやはり、けっこうイタイ性格らしく、本作でも武術指導を担当していたキンポーがシンチーの対応に不満で途中降板している。 何れにしても、撮影や美術に音楽のクオリティも合わせ、中国映画のレベルの高さを窺わせるのには十分な娯楽映画であった。 演技陣。シンチーの陰りのある情けなさがいいし、大家夫妻のワーとチウに、ラスボスのリャンも好演、その他多彩な脇役がその個性的な外見とパフォーマンスで映画を盛り上げてくれる。こうした役者陣の豊富さは、現代日本には真似の出来ないところだろう。
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[099]ソーシャル・ネットワーク
 秀作黒津 明二郎2012-01-28
 
今をときめくIT長者のサクセスストーリーを、ドライにクールに描く。 本作の原作者とプロデューサーは、この前に「ラスベガスをぶっつぶせ」を手がけており、そこでもマサチ・・・
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今をときめくIT長者のサクセスストーリーを、ドライにクールに描く。 本作の原作者とプロデューサーは、この前に「ラスベガスをぶっつぶせ」を手がけており、そこでもマサチューセッツ工科大の学生が、理論的に編み出した必勝法でカジノから大金を巻き上げるという、実話を元に描かれていた。 本作の前半、「アニマルハウス」のように、大学内のクラブを巡ってエリートとオタクのギャップが、コミカルに描かれていく。後半は、ビジネスとして大きくなっていく‘フェイスブック‘を巡る確執がクローズアップされる。フィンチャーは、主人公を含めて誰にも肩入れせずに、フラットにスピーディーに、ストーリーを捌いていくのだが、その感傷を排した演出は、もちろん扱っている題材が正に現在進行形の実話だということが大きいのだろう。 あるいは、アイゼンバーグの演技指導にも注目しよう。他の役に比べ、彼の感情表現が少ないことは、口元や眉毛の動きでわかるであろう。 また、クローネンウェスによるデジタルカメラ‘REDONE‘の「低体温的映像」も効果的だ。 だがそれによって、この成功譚を、今日的な無機質な存在として描くことに成功している。そこには、肉体的な労働の成果や物質的な発見といった過去のケースとは違う、何とも曖昧なニュアンスが漂っているのだ。 一度キッカケを掴めば、全ては瞬時に雪だるま式に膨らんでいく辺りも現代的であるけど、これがハーバードだったから、こうなったのだろうねえ〜。ま、たとえ日本の東大生が考え付いたとしても無理でしょうな。英語圏の壁は厚いもの、所詮、日本語圏は‘ローカル規格‘ですからね(笑) 演技陣。アイゼンバーグのぶっきら棒な演技は適役だし、ガーフィールドにティンバーレイクも健闘している。そして「ジュラシックパーク」の子役だった、あのマゼロ君がアイゼンバーグの仲間として出ている。
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[100]エグゼクティブ・デシジョン
 傑作黒津 明二郎2012-01-22
 
ルシアンネイハムの傑作小説「シャドー81」を思わせる、航空サスペンスの逸品だ。 何といっても、最大の功績はトーマス兄弟の練りに練られたシナリオであろう。巨大ジャンボと・・・
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ルシアンネイハムの傑作小説「シャドー81」を思わせる、航空サスペンスの逸品だ。 何といっても、最大の功績はトーマス兄弟の練りに練られたシナリオであろう。巨大ジャンボという密室を舞台として、主人公チーム・客室内の犯人グループ・乗員乗客たち・そして外部の政府側と何重にもシチュエーションを設定し、さらにタイムリミットを設けて話を転がしていく・・・ これだけで、劇中に大してアクションがなくても、2時間持つものなんだね。実際、映画の大半が、狭く薄暗い機内での小声で交わされる会話劇なわけだから。 ベアードは、ケンラッセル作品の編集からスタートしたイギリス出身の編集マン、本作が初監督作品だが、手堅くまとめ、さすがに編集面で切れ味ある鋭さを見せている。その後、2本を監督したのち、再び編集に戻って「グリーンランタン」などを手がけている。 ただ、トムソンのキャメラも含め、全体的なテイストは昨今のアクションに比べると、いささか古さを感じさせるかもね。CGも原始的だし。逆に、最後の着陸シーンでのミニチュア特撮は見事だったけど。勿論、ゴールドスミスのいつもながらの迫力あるスコアも効果的である。 しかし、制作時から5年後に、あの「9・11」テロが起きるわけで、何とも複雑だ。 演技陣。ラッセル・ベリー・レグイザモいずれも好演だ。プラットのコメディリリーフにセガールのゲスト出演も効いているが、あのポアロ役で有名なスーシェが正反対のテロリスト役を憎々しげに演じてビックリ!
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[101]兄とその妹
 傑作黒津 明二郎2012-01-21
 
戦前のアッパーミドル層の家庭と会社の情況が、克明に捉えられており、それだけでも貴重なホームドラマだ。 ストーリー的には淡々とコミカルに進んでいく感じだが、クライマッ・・・
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戦前のアッパーミドル層の家庭と会社の情況が、克明に捉えられており、それだけでも貴重なホームドラマだ。 ストーリー的には淡々とコミカルに進んでいく感じだが、クライマックスで劇的な状況になって、ラストは中国(満州か?)へと仕事で行くことになる。この辺り、かなり急ぎ足で進むために、唐突に感じられたが、やはり当時の時勢を踏まえた展開なのだろう。 長火鉢でトーストを焼いたり、風呂を沸かすために炭を入れたり、会社に出る時は出勤簿に判子を押したりと、そうしたディテールを、島津監督は長回しでじっくりと撮っていく。タイトルみたいな兄妹愛をことさら描いているわけでもなくて、会社の出世レースや「戦前仕様」の女子会や箱根登山(当時の登山鉄道が見られる!)と盛りだくさんな内容である。 まあ、桑野のあの派手なコートはどこのキャバクラだよ?という感じだし、坂本の部長宅は社長の間違いじゃないのというくらいの豪勢な邸宅だったりと、ツッコミ所もありますが。 演技陣。佐分利・桑野・三宅の主役トリオはいずれも適役。確かに、桑野のコケテッシュな演技が目立つが、三宅の地味ながらも堅実な好アシスト振りもいい。後は、河村の老獪な同僚社員が上手いねえ〜
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[102]大いなる西部
 傑作黒津 明二郎2012-01-15
 
駆け出しの頃、ユニバーサルで数十本に及ぶサイレントの短編西部劇を大量に撮ってたワイラーにとって、正に本作は、その集大成とでもいえそうな西部劇大作。 35ミリを横送り・・・
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駆け出しの頃、ユニバーサルで数十本に及ぶサイレントの短編西部劇を大量に撮ってたワイラーにとって、正に本作は、その集大成とでもいえそうな西部劇大作。 35ミリを横送りで撮影するビスタビジョンに、アナモレンズを付けて圧縮し、そのまま35ミリにプリントして、映写時に元の像に戻す「テクニラマ」作品だが、やはり解像感は甘い箇所が散見される。この辺り、70ミリにプリントした「スーパーテクニラマ70」方式がつまり映写時に戻す必要が無く、画質的に有利であろうが、それでも野外の大平原を捉えたパノラマシーンは中々の高画質だ。 5人の手になる、考え抜かれたシナリオがまず素晴らしいけども、ワイラーの悠揚迫らざる‘横綱相撲‘の名演出が冴えまくっている。前半などは、かなりゆったりとしたテンポなのだが、それがまた大西部の感覚を十二分に味わわせてくれる。 プラナーのキャメラも品があって、いかにも正統なウェスタン調だが、しかしこの理性を全面に出したワイラーらしい感じは、ほろ苦い辛口のラストも合わせて、多少堅苦しくて盛り上がりに欠ける印象があるかも。あるいは、続きは1923年制作のバスターキートン「荒武者キートン」でどうぞ!という感じかな(笑)あれも主役の名前はマッケイだしね。 それでも、モロスのあの名スコアに助けられて、まずはエバーグリーンな映画になったのは違いあるまい。 演技陣。ペックとシモンズは型通りだが、ヘストンとアイブスにビックフォードにベドヤそしてコナーズは皆それぞれ力演だ。でも、ここではあまり評判がよくないようだが、ベイカーのワイルドな西部女が一番良かったけどね!
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[103]暖流
 佳作黒津 明二郎2012-01-14
 
岸田原作の病院内を舞台にした人間ドラマ。 戦前の松竹版は、佐分利信・水戸光子・高峰三枝子のトリオで、前後編の大作メロドラマだったが、今回は増村がモダンでドライなおか・・・
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岸田原作の病院内を舞台にした人間ドラマ。 戦前の松竹版は、佐分利信・水戸光子・高峰三枝子のトリオで、前後編の大作メロドラマだったが、今回は増村がモダンでドライなおかつスピーディーに映画化している。独特の早いテンポの台詞回しなど、鬼才の面目躍如たるところだろう。 演技陣。左がやはり一番だが、野添や船越に村田も好演。根上も悪くはないのだが・・・
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[104]安城家の舞踏會
 駄作黒津 明二郎2011-12-17
 
民主主義の啓蒙と大時代の松竹メロドラマの合体作だが、終戦直後の混乱期だからだろうか、あまりにもベタな脚本と直球過ぎる演出には閉口させられた。 クライマックスの、原の・・・
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民主主義の啓蒙と大時代の松竹メロドラマの合体作だが、終戦直後の混乱期だからだろうか、あまりにもベタな脚本と直球過ぎる演出には閉口させられた。 クライマックスの、原の滝沢に対する猛タックルと逢初の砂浜での横回転など、大映TVドラマを見てるようで失笑してしまう。残念ながら、2011年の今ではギャグでしかない。
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[105]楢山節考
 秀作黒津 明二郎2011-12-11
 
木下の実験精神が炸裂した、無常観溢れる時代劇ドラマ。 文楽を模した設定で描かれた、この貧困と因習に満ちた山奥の閉鎖的な寒村。掟を破れば村八分で、場合によっては一家諸・・・
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木下の実験精神が炸裂した、無常観溢れる時代劇ドラマ。 文楽を模した設定で描かれた、この貧困と因習に満ちた山奥の閉鎖的な寒村。掟を破れば村八分で、場合によっては一家諸共皆殺しにされてしまう・・・現代からすれば理不尽で前近代的な社会だが、そこには生きるために止むを得ない‘知恵‘があるのだろう。姥捨ても同じ事なのだろうが、その不条理性において震災後の現代日本にも一脈通じるものがありはしまいか? というわけで、中々考えさせられる映画ではあるのだけど、冒頭から鳴りっ放しの浄瑠璃や場面転換の早変わりや極端なライティングなど、意欲は買うがもう少し段階的にしてもらえれば良かったと思う。その辺の失点が痛いね!ま、それでも伊藤によるあのオールセットは一見の価値あり。 演技陣。これはもう田中の一人舞台だが、凄い女優根性だ。高橋と望月も好助演。
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[106]エル・スール
 佳作黒津 明二郎2011-12-10
 
温暖なスペイン南部とは違う、寒冷で暗鬱な北部を舞台にした寡作の作家エリセの映像詩。 設定的には、「ミツバチのささやき」と同工異曲な感じだが、今回の少女は傍観者的役割・・・
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温暖なスペイン南部とは違う、寒冷で暗鬱な北部を舞台にした寡作の作家エリセの映像詩。 設定的には、「ミツバチのささやき」と同工異曲な感じだが、今回の少女は傍観者的役割で真の主人公は謎めいた父親だろう。「ミツバチ」ではフランケンシュタインの映画がキーポイントとして使われていたが、今回は1930年代頃と思しき架空の作品になっている。 アルカイネの陰影濃いキャメラによって描き出されるエリセの演出は、やはり芸術性が高く堪能させられたが、途中で父親のモノローグが入ったのは頂けない。あくまで少女の主観で貫き通すべきだろう。ラストも尻切れトンボな気がするな。 演技陣。オメロが貫禄の存在感でいい。
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[107]ベン・ハー
 傑作黒津 明二郎2011-11-20
 
TVの波に押されつつあったハリウッド、そしてMGM、その対抗として作った歴史スペクタクルの最高峰。 MGMカメラ65、後のウルトラパナビジョンは70ミリに25%圧縮したア・・・
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TVの波に押されつつあったハリウッド、そしてMGM、その対抗として作った歴史スペクタクルの最高峰。 MGMカメラ65、後のウルトラパナビジョンは70ミリに25%圧縮したアナモレンズを装着した超横長映像である(シネラマにはかなわないが)。であるから、やっぱり70ミリとはいえ多少甘い感じが残念か。まあ、それも背景の書割丸出しの質感と合わせ、かつての時代を忍ばせて悪くはない。サーティースによる高級グラビアのようなテクニカラー映像も満点級だ。 目玉の戦車競争ばかりでなく、地味目なドラマパートもワイラーの確かな目が光り、飽きさせない。キリストの宗教譚もそれほど臭みがないのはやはりワイラーマジックのおかげか?いや、ローザの素晴らしすぎるスコアも貢献度大だろう。ラストのハレルヤコーラスには不覚にもジーンとしてしまった。その他、美術に衣装に特殊効果もいい仕事をしている。 プロデューサーはジンバリストだが、彼は撮影中に心臓発作で急死してしまった。よほどプレッシャーが凄かったのだろう。尤もトラブル続きだった25年版に比べれば、撮影自体は大過なく終わっている。海戦シークエンスの25年版に対するスケールの縮小化など割り切りが奏功したか。ちなみに監督のギャラは当時で100万ドル、あのインパクトあるポスターにもデカデカと名前が一枚看板で載ってるしね。勿論、大ヒットのオスカー総舐めで云う事なしだけど。 演技陣。ヘストンは熱演してるがやはり固い。それよりも敵役ボイドやホーキンスやグリフィスにスリングなどが良かった。
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[108]ベン・ハー
 まあまあ黒津 明二郎2011-11-13
 
南北戦争の英雄で作家でもあったウォーレスの、新約聖書のエピソードをもとにして架空の主人公で綴った小説を原作にしたサイレント超大作。 元々は、サミュエル・ゴールドウィ・・・
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南北戦争の英雄で作家でもあったウォーレスの、新約聖書のエピソードをもとにして架空の主人公で綴った小説を原作にしたサイレント超大作。 元々は、サミュエル・ゴールドウィンの会社‘Goldwyn Pictures Corporation‘で企画されてローマで撮影開始されたが、様々なトラブルに巻きこまれ競争シーンでは死者まで出てしまい、一旦中止となる。その折に会社は合併して‘MGM‘となりボスが変わり、監督や主役は交代になり、脚本も手直しされて仕切り直しとなった。ニブロ監督の下、ローマで再び撮影再開となったが海上戦闘シーンでまたもトラブルで火が突風に煽られパニックになったとか。確かにその様子は画面でも確認できる。そして競争シーンは結局ハリウッドで撮り直されることになってその時に1959年版のウィリアム・ワイラー監督も助監督で参加している。そんな無駄の繰り返しで膨大なコストになってしまった。 確かにセットや海上戦闘や群集シーンは59年版を上回るけど、目玉の競争シーンは早回しを多用してるせいかあまり迫力はなかったかも?全体的な映像演出もロング気味で1910年代の古臭い感じだし、競争シーン後の聖書をそのままなぞった様な展開は退屈だった。 なお、一部のシークエンスで‘2原色式テクニカラー‘によるカラー映像になってるが青系や黄系の表現が弱く不自然、だがそれも今では新鮮な印象である。 演技陣。カタキ役のブッシュマンはちょっとオッサンが入ってて微妙だね。
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[109]海の牙
 秀作黒津 明二郎2011-11-12
 
潜水艦の戦争映画としては最初期だと思われる、終戦間もない1947年製のフランス映画。 戦争時の記録フィルムを多用したり、撮影や編集などに荒っぽい箇所が散見されるが、当時・・・
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潜水艦の戦争映画としては最初期だと思われる、終戦間もない1947年製のフランス映画。 戦争時の記録フィルムを多用したり、撮影や編集などに荒っぽい箇所が散見されるが、当時の混乱期にあったであろう事情を鑑みればやむをえまい。しかし、実物のUボートを用意したりアクションシーンも本格的でけっこう金はかかってるのではあるまいか。 クレマン作品としては「鉄路の闘い」「Le père tranquille」に続く戦争物だが、基本的にはドキュメントタッチで描きながらも脚本が要所にサスペンスを盛り込んでいるため、かなりハリウッドに負けないくらいの娯楽性を有していると云える。特にクライマックスの盛り上げ方はすごいと思った。プロデューサーはアンドレ・ポールベだが、この前に「美女と野獣」を担当しておりクレマンはそれをノンクレジットで代用監督していた。 演技陣。悪役のデストが憎々しげでよい。後はチョイ役(?)だが子猫ちゃんが可愛い!
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[110]切腹
 大傑作黒津 明二郎2011-10-29
 
江戸時代封建の世、武家社会という組織の偽善を鋭く抉ったえらくハードでソリッドなリアリズム時代劇。 松竹京都の作品だが、戦前の下加茂時代はともかく戦後は大映・東映ある・・・
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江戸時代封建の世、武家社会という組織の偽善を鋭く抉ったえらくハードでソリッドなリアリズム時代劇。 松竹京都の作品だが、戦前の下加茂時代はともかく戦後は大映・東映あるいは東宝に比べどうにも時代劇の有名作に乏しい所の中で、本作はその代表作といっていい。 とにかく、橋本の名シナリオに宮島の彫刻を思わせるまでのハイコントラストな映像美に戸田・大角による重厚で荘厳なセットに琵琶を生かした武満スコア・・・そしてそれを纏めて手綱を十分に引き締める小林の監督術、最高だ!もっとも撮影の際は、‘天皇‘の異名を持つほどの凄腕の宮島にかなり仕切られていたそうだが(笑)。例えば、仲代と丹波の決闘シーン、雲の様子が気に食わないと無言で監督を差し置いてさっさと帰ってしまう。それに監督以下がとぼとぼと付いていくという有様。そんなことを二週間以上も続けていたとか(!)昔の邦画界は贅沢だったんだねえ〜 さて時代背景だが、仲代の仕官先は福島正勝で先代が創始した安芸の福島家。先代は関が原の際、東軍一の猛将として参陣しており一番槍の栄誉を密かに狙っていたが、家康が決めた先陣は‘井伊の赤備え‘として恐れられていた徳川四天王の一人、井伊直政。が、大胆にも先代は真っ向から反抗し、勝手に最前線に踊り出るや否や一番槍の栄誉を強引に奪ってしまったのだ。その後も活躍をした福島だったが、天下が平穏になるや逆に邪魔になってくる。そして外様たちを粛清し改易する政策を打ち出した時、英雄でもあるはずの福島家を見せしめにしたのだ。本作で仲代らは因縁浅からぬ井伊家へ出向く設定になっており、さらにラストで先代直政の具足を破壊している。これは井伊家に対する反抗であり、ひいては幕府批判でもあろう。 演技陣。仲代は怒りに燃える形相が凄まじい老け役を大熱演。老獪な三国や丹波も憎々しげでいいし、哀れな石浜も好演してる。
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[111]乾いた花
 佳作黒津 明二郎2011-10-22
 
半年以上オクラになってた、松竹ヌーベルバーグの篠田監督によるアート風味のヤクザ映画。 実際は「人間の条件」などで松竹と縁の深い独立プロ‘にんじんくらぶ‘の制作作品で、・・・
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半年以上オクラになってた、松竹ヌーベルバーグの篠田監督によるアート風味のヤクザ映画。 実際は「人間の条件」などで松竹と縁の深い独立プロ‘にんじんくらぶ‘の制作作品で、ここには記載されてないがその社長の若槻繁もプロデュースをしている。つまり「涙を、獅子のたて髪に」に続くコラボというわけだ。 ストーリーらしいものはないし淡々と花札賭博などが描かれていくのだが、そのオフビートでスタイリッシュな演出は悪くない。逆に云えばそれだけなんだけどね・・・ 演技陣。池部のぶっきらぼうな感じがここではうまく嵌っているし、加賀の小悪魔的魅力もコケティッシュでいいし、杉浦のワル振りもクール!
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[112]インセプション
 まあまあ黒津 明二郎2011-10-15
 
「マトリックス」+「惑星ソラリス」といった感じのSFアクション大作。 場面ごとに見れば、雰囲気を盛り立てて仕掛けも派手に中々の演出を魅せてくれるノーランではあるけど・・・
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「マトリックス」+「惑星ソラリス」といった感じのSFアクション大作。 場面ごとに見れば、雰囲気を盛り立てて仕掛けも派手に中々の演出を魅せてくれるノーランではあるけど、やはりシナリオが詰め込み過ぎだしアクションやディテール描写においてはどうもパッとしないのが頂けないね。後は、ケニアとかフランス・日本など現実の場所をあちこち移動するのだが、これも単にスケール感が増すだけでどうもちぐはぐである。 演技陣。レビットやハーディのアシスト振りや懐かしのベレンジャー(老けたしちょっと太り気味)が良かったが、我らが謙さんもクレジットビリングはディカプリオに次いでセカンドとはやるじゃん!
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[113]グリーン・ゾーン
 凡作黒津 明二郎2011-10-10
 
一億ドルをかけたが見事に失敗した、イラク戦争がネタの社会派戦争アクション。 当時のバグダッドを再現したりなど、物量を投じたセット・エキストラは凄いのだが、それで展開・・・
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一億ドルをかけたが見事に失敗した、イラク戦争がネタの社会派戦争アクション。 当時のバグダッドを再現したりなど、物量を投じたセット・エキストラは凄いのだが、それで展開されるストーリーが手垢の付いたお座なりではどうしようもない。シナリオは「LAコンフィデンシャル」「ミスティックリバー」のヘルゲランドだが手抜きもいいとこだろう。グリーングラスお得意のハンドヘルド撮影も、もはや形骸化の一歩手前であり、何とかした方がいいかも。
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[114]私は二歳
 凡作黒津 明二郎2011-10-08
 
二歳の子供の目を通して描く大人の世界というフレコミだが、それほど徹底されておらず、市川監督特有のオフビート演出がここでは逆効果に陥り、退屈になってしまった。 アグフ・・・
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二歳の子供の目を通して描く大人の世界というフレコミだが、それほど徹底されておらず、市川監督特有のオフビート演出がここでは逆効果に陥り、退屈になってしまった。 アグファカラーのスタンダード撮りはけっこうなんだが、室内シーンにおける明暗比のきついローキー照明はいただけない。同じフィルム仕様で子供を描いた小津「お早よう」と比較すれば、あちらの秀逸さがわかるだろう。 演技陣。メイコの‘声演‘がいい。
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[115]ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録
 傑作黒津 明二郎2011-09-18
 
コッポラの「デビッドリーンじゃなく、アーウィンアレンみたいな作品にしたい」という言葉が印象深いメイキングドキュメントの逸品。 最初は、正にアレン風の娯楽要素に溢れた・・・
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コッポラの「デビッドリーンじゃなく、アーウィンアレンみたいな作品にしたい」という言葉が印象深いメイキングドキュメントの逸品。 最初は、正にアレン風の娯楽要素に溢れた戦争アクションを目指していたのだが、コッポラの凝り性が蠢いてリーンのような芸術作品に方向転換しようとした。ところがそうは問屋が卸さず、何ともわけのわからない映画と酷評されてしまった。しかし、実際は違うと思う。これはそんな既成の映画を奇跡的に超越した怪物的傑作なのだ!コッポラはその後、燃え尽きたかのようにどうでもいいような凡作を発表してきたが構うことはない。これ一本だけで十分すぎるくらいの功績だ。
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[116]人間の條件 完結篇
 秀作黒津 明二郎2011-09-11
 
敗残兵の主人公が逃避行の果てに捕虜にされ、やがて雪の大地に消える大河ドラマ6部作の最終篇。 お国のため会社・軍隊それぞれの非近代的な組織が個人を踏みにじる状況に正面か・・・
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敗残兵の主人公が逃避行の果てに捕虜にされ、やがて雪の大地に消える大河ドラマ6部作の最終篇。 お国のため会社・軍隊それぞれの非近代的な組織が個人を踏みにじる状況に正面から闘う集団のドラマと夫婦愛を謳う個人のドラマが、これまで連綿と綴られてきたわけだが、本作でそれは融合して、もはや無秩序地帯となった所で極限の飢えに苦しめられながら善悪を超えてただ生き延びようとする、バラバラになった兵士・民間人たちそれぞれを点描していく。また、軍国日本の批判だけでなくソ連共産主義の理想と現実についての言及も。 モノローグを多用した内面描写が随所に出てきて、それまでのテイストと異にする。しかし、深く突っ込めば目も当てられない残酷な展開も出てくるのだけど、これまで通りあっさりと次にカットしていくので、テンポは相変わらずだ。ただ、ラストはもう少し盛り上げてくれた方が良かったね。あまり感傷過多なのも困るが、なにしろ9時間30分の大長編の締めなのだから、あれでは物足りないねえ〜。 何にしても、小林監督にシナリオの松山そして夜空に流れる背景のスモークがいい宮島キャメラマンまた美術・音楽・編集その他大勢のスタッフ陣にご苦労様と云って上げたいね。後は、最後まで本6部作を完遂した独立プロにんじんくらぶとその社長でプロデューサーの若槻にも敬意を表したい。 この連作を通しで見てきて思うのは、当時の旧弊な日本という国の酷さがやはり一番印象に残る。それは60数年過ぎた震災後の今でも残ってるんじゃねえの?後は踏みにじられた中国の悲惨さもよくわかった。しかし、個人レベルでは中国人も朝鮮人もロシア人も関係ない、善人もいりゃー悪人もいるわけだ。その単純に白黒をつけない姿勢に感銘を受けた。 演技陣。クライマックス、仲代の鬼気迫る表情は物凄い!後は理知的な内藤・妖艶な岸田・悪役担当の金子が良かった。高峰はいつもながらのワンパターン演技で鼻につく。
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[117]人間の條件 第3部望郷篇/第4部戦雲篇
 傑作黒津 明二郎2011-08-28
 
主人公が軍隊に召集、より一層の不条理で熾烈な運命に翻弄される五味川原作の大河ドラマ6部作の中篇。 本作は前作のヒットに気を良くした松竹が本格的に制作参加しており、にん・・・
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主人公が軍隊に召集、より一層の不条理で熾烈な運命に翻弄される五味川原作の大河ドラマ6部作の中篇。 本作は前作のヒットに気を良くした松竹が本格的に制作参加しており、にんじんくらぶとの合同ユニット‘人間プロ‘名義の作品となっている。 「真空地帯」にも似た理不尽な新兵イジメに耐え抜きながら、「また逢う日まで」のような妻との束の間の逢瀬に救いを求め、そして「ヨーロッパの解放」とはさすがにチト落ちるだろうが当時の日本映画レベル的には大迫力モノのソ連戦車軍団との戦闘シークエンス・・・ オーソドックスなストーリーテリングながら、小林監督のリアリズム演出に宮島キャメラマンの冷酷なまでに全てを曝け出す映像美が有無を言わせない圧倒的迫力を生み出す。もちろん、平高のセットにも手抜きは一切なく、兵舎の暗鬱な雰囲気をよく出していた。木下の控えめながらも的確なスコアも快調だ。 演技陣。仲代はここにきて十分な‘一枚看板‘の大熱演!あのビシッとした敬礼にはしびれる(笑)他に田中邦衛・佐藤慶・佐田・桂ら、悪役勢の南・多々良・千秋実が好演。後はいつもなら将校クラスがお似合いの藤田が初年の二等兵役というのも珍し。
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[118]人間の條件 第1部純愛篇/第2部激怒篇
 傑作黒津 明二郎2011-08-21
 
中国戦線で過酷な運命を辿ることになる一人の正義漢を描いた大河ドラマ6部作の初篇。 木下恵介の門下生ながら、完全主義でそのダイナミックかつ壮大なスケールの作風から‘松竹・・・
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中国戦線で過酷な運命を辿ることになる一人の正義漢を描いた大河ドラマ6部作の初篇。 木下恵介の門下生ながら、完全主義でそのダイナミックかつ壮大なスケールの作風から‘松竹の黒澤明‘とでも呼びたい小林監督の「切腹」に並ぶ代表作だ。本当に直球ど真ん中ストレートなヒューマンタッチなんだけど、実際に満州に従軍していた小林の実体験が生かされたのか、黒澤ほどに押し付けがまくもなく、熱い夫婦愛も素直に見ることができた。 シナリオはこれも木下門下生の松山との共同執筆だが、長大な原作からエピソードを取捨選択してグイグイと引っ張っていく。それでも、第2部はちょっと繰り返しの展開がリズムを鈍らせた感もあるか。 そして西に宮川一夫あれば東は彼だと云う‘天皇‘宮島キャメラマン!元々、松竹とPCLで現像技師として出発したから知識は豊富、その傍若無人な仕事振りは有名だがそれも納得の硬質な映像美は流石に凄い。また筋金入りの左翼アナーキストでもあったから、本作の内容を考えればさぞかし腕が鳴ったに違いない(笑) 平高のセットもいい仕事をした。ロケは北海道と秋田で行ったそうだが、重量感あふれる効果が出ている。ちなみに室内シーンは東京世田谷区舟橋の連合映画スタジオ(後の東京映画)で撮影されている。なお、本作は独立プロの‘にんじんくらぶ‘が制作しているが、資金不足のため松竹傘下の‘歌舞伎座プロ‘が制作協力している。 演技陣。仲代はオーバーアクト一歩手前で踏みとどまり引っ張っていく。そして新珠・山村・宮口また中国人娼婦に扮した有馬稲子(にんじんくらぶ設立者でもある)、悪役勢の小沢・三井・安部・三島雅夫らも好演だ。
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[119]トレマーズ
 秀作黒津 明二郎2011-08-14
 
ありふれた題材ながら、太陽が熱く降り注ぐ砂漠地帯という舞台設定や地中怪物の恐怖演出にユーモアあふれるキャラ描写やストーリー展開など、小技が光るパニックアクション。 ・・・
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ありふれた題材ながら、太陽が熱く降り注ぐ砂漠地帯という舞台設定や地中怪物の恐怖演出にユーモアあふれるキャラ描写やストーリー展開など、小技が光るパニックアクション。 アンダーウッド監督は、この後「シティスリッカーズ」「愛が微笑む時」「マイティジョー」などで佳作を連打して注目の俊英であったが、大作「プルートナッシュ」の大コケで没落し、現在はTVドラマ専門の御用監督に甘んじている。 演技陣。ベーコンとウォードのボンクラコンビがとにかく最高!ヒロインのカーターや銃マニア夫婦のグロスとマッケンタイアも健闘している。
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[120]スタンド・バイ・ミー
 秀作黒津 明二郎2011-07-23
 
キングの原作に負う所、大だがライナーの淡々とした演出が好印象の青春映画の小品だ。 オレゴンの現地ロケを生かしたルースのソフトなキャメラが何とも云えないノスタルジーを・・・
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キングの原作に負う所、大だがライナーの淡々とした演出が好印象の青春映画の小品だ。 オレゴンの現地ロケを生かしたルースのソフトなキャメラが何とも云えないノスタルジーをいざなう。パイ投げコンテストのエピソードも良かったが、食料品店のシーンが好きなんだよな。様々な物が所狭しと置いてあってコーラのガラス瓶やバーガー肉を店のオヤジがブッチャーペーパーで包装するなどあの雰囲気、いいね。 演技陣。四人の少年それぞれ好演だが、メガネ姿のフェルドマンが一番かな。後は短い出番ながらドレイファスがビシッと締めている。
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