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 「呑気呆亭」さんのコメント一覧 登録数(728件)rss
 コメント題投稿者投稿日
[241]ハスラー
 負け犬呑気呆亭 (Mail)2014-07-08
 
ミネソタ・ファッツとの初戦で勝ち続けていたエディは、ファッツが呼び寄せた金主のバ−トの“お前は負け犬だ”との言葉に動揺して自滅の道をたどる。このセリフの面白さはエディ・・・
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ミネソタ・ファッツとの初戦で勝ち続けていたエディは、ファッツが呼び寄せた金主のバ−トの“お前は負け犬だ”との言葉に動揺して自滅の道をたどる。このセリフの面白さはエディの負け犬性を即座に見抜いたバ−トは、実は歪んだ鏡に映った反転のエディであることを匂わせたところにある。バ−トにとって己の持たぬ才能を持つエディは憎悪と憧憬の対象であるゆえに、近親憎悪的な執拗さで纏わり付きその才能を叩きつぶすべくエディの商売道具である両手の親指を骨折させるに至る。しかし、その事故が契機となってエディとサラの間に愛が芽生え、再びエディの才能が復活するのを見て、バ−トは二人の間を裂くべく画策し遂にサラを死に追いやるのだが、そのサラの死がエディを覚醒させたとき、バ−トを或る意味で輝かせていた悪魔性の彩りが色あせて、エディにとってはもうバ−トはメフィストたりえぬ存在となった。エディはファッツと戦い、ファッツとの間にバ−トには手の届かぬ関係を確立したのだった。
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[242]リバティ・バランスを射った男
 歳月呑気呆亭 (Mail)2014-07-07
 
ランスとハリ−が元保安官のアップルヤ−ドの報せでトムの葬儀に参列すべくハリ−の故郷の町を訪れるプロロ−グが、“歳月”というものをしみじみと感じさせてくれる。教会ではなく葬・・・
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ランスとハリ−が元保安官のアップルヤ−ドの報せでトムの葬儀に参列すべくハリ−の故郷の町を訪れるプロロ−グが、“歳月”というものをしみじみと感じさせてくれる。教会ではなく葬儀屋の倉庫に設けられた葬儀場に踏み込んだランスもハリ−もアップルヤ−ドも、そしてトムの眠る粗末なひつぎに独り付き添っていたトムの使用人であり唯一の家族でもあったポンペイも、それぞれに過ごしてきた年月の有り様をそれぞれの老け方で示してひつぎを囲み、ブ−ツも剥ぎ取られガンベルトもせず老いさらばえて、今、町の公費によって葬られようとするトムのみじめであったろう晩年の生活さえも、直接死体を見せることなく感じさせるフォ−ドの演出は奇跡的でさえある。そして上院議員であるランスは町の新聞社の懇願をうけて、今となってはこの葬儀に立ち会った者だけが知るトムという男、そして自分だけが知るトムとリバティ・バランスと自分に関わる秘話を語り始めるのだった。
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[243]荒野のガンマン
 有り難や・・・呑気呆亭 (Mail)2014-07-07
 
モ−リン・オハラを主演に据えたのはペキンパ−のジョン・フォ−ドへのオマ−ジュであったろう。我々としてはモ−リン・オハラのセミヌ−ドを拝見出来たことをペキンパ−に感謝せねば・・・
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モ−リン・オハラを主演に据えたのはペキンパ−のジョン・フォ−ドへのオマ−ジュであったろう。我々としてはモ−リン・オハラのセミヌ−ドを拝見出来たことをペキンパ−に感謝せねばなるまい。映画としてはブライアン・キ−スの禁欲的な演技が印象に残るが、南北戦争のどさくさで頭の皮をはがれかけた故の復讐譚と、少年の遺体を荒野を越えて運搬するといういうややグロテスクな設定によって、痛快な西部劇にはならなかった。
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[244]吹けば飛ぶよな男だが
 蛾次郎と三人で・・・呑気呆亭 (Mail)2014-06-23
 
リアルタイムで見た時は花子の哀れさに泣けてしまって、この作品は記憶に残る映画として胸の引き出しの中にしまわれていたのだったが、久し振りにこの年で見直してみると、映画・・・
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リアルタイムで見た時は花子の哀れさに泣けてしまって、この作品は記憶に残る映画として胸の引き出しの中にしまわれていたのだったが、久し振りにこの年で見直してみると、映画としては脇役陣の造形が良く出来ていて好いのだが、花子が強姦により妊娠していたという設定がいかにもありきたりで、折角のなべおさみと緑魔子の好演がラストの流産の血の無残さで台無しになってしまったように思った。蛾次郎と三人でたくましくしたたかに生きて欲しかったなァ。
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[245]白昼堂々
 倍賞千恵子という俳優呑気呆亭 (Mail)2014-06-23
 
さくら(倍賞千恵子)にこんな色っぽさが有ったのかと、認識を新たにさせられた。ちっちゃな目の渡勝(渥美)の前に登場した仇な和服姿のよし子は、そのちっちゃな目を瞠らさせ・・・
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さくら(倍賞千恵子)にこんな色っぽさが有ったのかと、認識を新たにさせられた。ちっちゃな目の渡勝(渥美)の前に登場した仇な和服姿のよし子は、そのちっちゃな目を瞠らさせるほどの妖艶さと見事なスリの技を見せる。倍賞千恵子という俳優さんは\'65年の「霧の旗」でも一途なオンナの怖さを見せてくれたが、こうした喜劇でもハッとするような輝きを見せる。こんな多面的な才能に満ちた女性が、会社の都合でその最も働ける時期をほとんど「さくら」を演じることだけで過ごしてしまったことは、日本の映画界にとって不幸なことだったのではないだろうか。渥美清にしても俳人山頭火を演じたいと念じ続けていたと聞くが、その渥美の山頭火と行きずりに関わり合う旅の女に倍賞を配したら、日本人の心を揺さぶる作品が出来たのではなかろうか?山田洋次にとっても渥美清にとっても倍賞千恵子にとっても、「寅さん」は長すぎた。ギネスに乗りゃあいいってもんじゃない。ボクの持論だが「男はつらいよ」は第八作の「寅次郎恋歌」で終わるべきだった。
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[246]愛の渇き
 類型的呑気呆亭 (Mail)2014-06-21
 
さすが三島の原作だけあって、大邸宅に展開されるドロドロの人間模様という意表を突いた設定が類型的で、悦子(浅丘)が三郎(石立)に対して「お前」を連発するのが鼻に付いて・・・
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さすが三島の原作だけあって、大邸宅に展開されるドロドロの人間模様という意表を突いた設定が類型的で、悦子(浅丘)が三郎(石立)に対して「お前」を連発するのが鼻に付いて、こんな嫌なオンナを我が浅丘ルリ子には演じて欲しくなかったと、見終えてつくづく思ったことだった。「執炎」と比べれば原作の質の違いがはっきりと現れている。
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[247]夜霧よ今夜も有難う
 “男三人と女二人”呑気呆亭 (Mail)2014-06-21
 
“君の瞳に乾杯!”のボギ−のセリフに対して、この映画のキ−ワ−ドである“男三人と女二人”のセリフが、ヒロイン・秋子(浅丘)の口から発せられることで、「夜霧」は 設定をパクッ・・・
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“君の瞳に乾杯!”のボギ−のセリフに対して、この映画のキ−ワ−ドである“男三人と女二人”のセリフが、ヒロイン・秋子(浅丘)の口から発せられることで、「夜霧」は 設定をパクッた「カサブランカ」とはまったく別の映画になった。「カサブランカ」には戦争という重い背景があるが、この映画には“男三人と女二人”の子をもうけることの出来なくなった女の愛と哀しみが描かれている。その秋子を繞る相良(石原)とグエン(二谷)の葛藤と相克も不自然ではなく、特に裕次郎は若き日のそれとは違った存在感を漂わせ、過酷な過去を抱えて法と無法の間を生きてきた精悍な風貌の男を見事に造形してのけた。ム−ド・アクションなどと軽く扱われているが、これは江崎実生の傑作である。
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[248]荒野の七人
 ウォラック呑気呆亭 (Mail)2014-06-21
 
黒澤の「七人の侍」との比較が常に取り沙汰されるが、この映画は設定だけを借りたまったく別物の傑作ウエスタンである。マックイ−ンもブロンソンもコバ−ンも若くて格好いいし、・・・
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黒澤の「七人の侍」との比較が常に取り沙汰されるが、この映画は設定だけを借りたまったく別物の傑作ウエスタンである。マックイ−ンもブロンソンもコバ−ンも若くて格好いいし、「七人の侍」では人間性を無視されていた無法者の頭目にウォラックを起用したことで、攻める側と守る側との攻防に人間味が加えられたように思う。しかし、アクションに重点を置きすぎたために、農民の側の苦しみや怒りが描かれていないので、ガンマンたちのラストの戦いは「七人の侍」の農民たちも奮戦した雨中の闘いの凄さと面白さには及ばなかった。
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[249]噂の二人
 50年呑気呆亭 (Mail)2014-06-21
 
アメリカ女子サッカ−の名選手アビ−・ワンバックがチ−ムメイトのサラ・ハフマンとの同性婚を公表したのは昨年(2013年)の10月のことだったが、世界はそのニュ−スを大して騒ぎも・・・
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アメリカ女子サッカ−の名選手アビ−・ワンバックがチ−ムメイトのサラ・ハフマンとの同性婚を公表したのは昨年(2013年)の10月のことだったが、世界はそのニュ−スを大して騒ぎもせず受け入れたと記憶する。子供の悪意により拡がった同性愛の噂で事業も友人の命も失ってしまうこの二人の女性の運命を考えると、50年という時間がもたらした変化に隔世の感を覚える。しかしその変化は、原作戯曲を書いたリリアン・ヘルマンや、二度にわたってこの原作を映画化したウイリアム・ワイラ−や、恐らくは演ずることに或る種の勇気を必要としたであろうヘップバ−ンとマクレ−ンや、制作に関わった他のスタッフ・キャストの闘いが、少しずつ少しずつそうした変化をもたらすのに力を貸したのではなかったろうか。思えば今のアメリカ合衆国の大統領は黒人のオバマである。これまた50年前には考えられなかったことである。小説や映画には時代を変える力などないように思えるが、粘り強い試みの継続が50年経ってみると或る達成を成し遂げたのであることをこの映画は教えてくれた。
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[250]夜の終りに
 電気カミソリ呑気呆亭 (Mail)2014-06-21
 
冒頭の主人公バジリがベッドで電気カミソリで髭を剃りながら、雑誌をめくったりインスタントコーヒーを作ったりするシ−ンが、戦後16年経ったポ−ランドのアメリカナイズされた生・・・
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冒頭の主人公バジリがベッドで電気カミソリで髭を剃りながら、雑誌をめくったりインスタントコーヒーを作ったりするシ−ンが、戦後16年経ったポ−ランドのアメリカナイズされた生活を見事に物語っている。若者たちは“抵抗”を戦った生き残りたちからその英雄譚を聞かされて育った“遅れてきた世代”なのだろう。目的もなく、ジャズと“言葉あそび”に時間を費やすしかない若い男と女の魂の彷徨をワイダは見事に映像化している。
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[251]5時から7時までのクレオ
 一輪の花呑気呆亭 (Mail)2014-06-11
 
何かと世話を焼き自分を子供扱いする叔母の存在に嫌気がさして、クレオは衣装を白から黒に着替えて独り街に出る。嘗て一緒に志を抱いてパリに出てきた友人のアンナを訪ねて、医・・・
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何かと世話を焼き自分を子供扱いする叔母の存在に嫌気がさして、クレオは衣装を白から黒に着替えて独り街に出る。嘗て一緒に志を抱いてパリに出てきた友人のアンナを訪ねて、医師の宣告を受ける7時までの時間をともに過ごそうとするのだが、未だに裸のモデルでしかないアンナとその同居人の元に居たたまれず、タクシ−を捨て公園に彷徨い入る。そこでクレオは休暇でアルジェリアからパリに戻って、今日はまた戦場に旅立たなければならないアントワ−ヌに出会う。しつこく話しかけるアントワ−ヌをクレオは警戒して避けようとするのだが、どこか憎めないその風貌と物言いに次第に惹かれるモノを感じ始める。彼と話をする内にクレオはクレオという名がクレオパトラから来ている綽名であること、本名はフロランスというのだと告げる。アントワ−ヌは権高いクレオパトラよりも春の女神であるフロランスの名の方が貴女に相応しいとクレオにささやく。この会話からクレオの表情がなごみ始めて、病院を訪ねるために一緒に乗ったバスの窓越しに、アントワ−ヌが花売りから抜き取った白い一輪の花を捧げると、一気にクレオの表情のこわばりが消えて生気を取り戻すのだった。冒頭のタロット占い師が見て取りながらクレオには告げなかった死相が、この一輪の花とクレオからフロランスへの改名によって打ち払われたのだ。流れるような映像の彷徨によってパリの街とこの時代相を見事に映し出した、これはヴァルダの傑作である。
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[252]真夏の夜のジャズ
 ちょっと洒落た映画を・・・呑気呆亭 (Mail)2014-06-10
 
恐らく演出のバ−ト・スタ−ンたちスタッフの最初の目論見としては、ジャズ・フェスティバルと同時に開催されたヨットの「アメリカンカップ・レ−ス」の映像をモンタ−ジュして、ち・・・
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恐らく演出のバ−ト・スタ−ンたちスタッフの最初の目論見としては、ジャズ・フェスティバルと同時に開催されたヨットの「アメリカンカップ・レ−ス」の映像をモンタ−ジュして、ちょっと洒落た映画を作ろうとしたのではなかったか。その目論見が覗われるヨットレ−スの映像とまだ盛り上がっていないフェスティバルの映像のモンタ−ジュは、どこか映像的にはギクシャクとしていて、パラパラと空席が目立つステ−ジに立ったアニタ・オディの、乗り難い聴衆を何とか乗らせようとする苦心のほどが直接に見て取れて、“オイオイ、この先どうなるんだ”と観客を余計なことながら心配させたのだった。その杞憂をルイ・ア−ムストロングの“これこそジャズ”といった存在が心を躍らせる音楽と共に打ち払ってくれたのだった。当然その頃にはヨット・レ−スは終わってしまっていたので、サッチモ登場以後はヨット・レ−スの結果を挿入することもなく、夜の深まりとともに、まさにジャスの“祝祭”へとなだれ込んで行く。その祝祭のラストを締めたのは“ゴスペルの女王”マヘリア・ジャクソンの歌声と体格の圧倒的な降臨であった。
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[253]片目のジャック
 ロマンス呑気呆亭 (Mail)2014-06-10
 
“従来の西部劇とは一線を画し”とDVDの解説にあるように、海の景色が度々挿入されるのが面白い。物語も単なる復讐譚ではなく、復讐する相手の義理の娘に当人のリオが恋をしてし・・・
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“従来の西部劇とは一線を画し”とDVDの解説にあるように、海の景色が度々挿入されるのが面白い。物語も単なる復讐譚ではなく、復讐する相手の義理の娘に当人のリオが恋をしてしまうという設定も面白い。その娘ルイザを演ずるピナ・ペリサ−が何処か我が「いしだあゆみ」に似た雰囲気を漂わせていて、内気で控えめでいながら裡に激しさと果断さを秘めているキャラクタ−を見事に造形している。彼女の存在ゆえに、演出のブランドはこの映画を“従来の西部劇とは一線を画し”たロマンスにせざるを得なかったのではなかったか。
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[254]突然炎のごとく
 奇跡的な三角関係呑気呆亭 (Mail)2014-06-10
 
高校生の頃に見てすっかりジャンヌ・モロ−のトリコになって、以来茫々半世紀、改めて見直してみてカトリ−ヌのエキセントリックさにやや辟易する思いをしたことだった。これも、・・・
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高校生の頃に見てすっかりジャンヌ・モロ−のトリコになって、以来茫々半世紀、改めて見直してみてカトリ−ヌのエキセントリックさにやや辟易する思いをしたことだった。これも、年を取ったということだろうか。ジュ−ルとジム、ジムの率直さに比べるとジュ−ルのひねくれた愛情表現が目に付いて、彼に今少し明るさがあればラストの悲劇も起こらず、二人の男と女の間に「愛=友情」の奇跡的な三角関係が成立・存続したのではなかったか。ラストのカロリ−ヌの行動はジュ−ルに当てつけたものとしか思えなかった。物語の間に挿入された「第一次大戦」の映像は、戦線の兵士たちがまるで地上にうごめく蟹のように編集されていて、この戦争がジュ−ルの心に或る変質をもたらしたことを暗示しているかのようだ。
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[255]甘い生活
 煉獄呑気呆亭 (Mail)2014-06-09
 
フェリ−ニの映画はどうも好きになれない。女とみれば口説くことしか考えないマルチェロ、欲求不満の不感症女マッダレ−ナ、胸ばかりがデカイ女優、口喧しいばかりで可愛げのない・・・
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フェリ−ニの映画はどうも好きになれない。女とみれば口説くことしか考えないマルチェロ、欲求不満の不感症女マッダレ−ナ、胸ばかりがデカイ女優、口喧しいばかりで可愛げのないエンマ、誰にも感情移入出来ずにあくびをかみ殺しながら映像を見ていた。その中で登場したスタイナ−(キュニ−)のスラリとした長身と背筋の伸びた佇まいに“おやっ!”という新鮮な感じを受けたのだが、不可解な死に方でこの空気の澱んだ舞台から早々に退場してしまう。貴族の館でのデカダンスを尽くしたパ−ティの場面はそれなりに見応えがあったが、夜明けの浜辺に引き上げられた怪魚(エイ)の虚ろな目には、己を取り巻いて覗き込む連中の姿はどれも似たような煉獄をさまよう影としか映らなかったのではなかったか。
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[256]処女の泉
 甘ったれ娘呑気呆亭 (Mail)2014-06-06
 
若い頃ア−トシアタ−ギルド(ATG)で見た時には、その映像と異常な物語の展開にすっかり圧倒されてしまったのだが、この年になって見直してみると、一人娘を女中を一人付けた・・・
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若い頃ア−トシアタ−ギルド(ATG)で見た時には、その映像と異常な物語の展開にすっかり圧倒されてしまったのだが、この年になって見直してみると、一人娘を女中を一人付けただけでその日の内には帰れない旅に出してしまった父親の杜撰さと、自家の富に驕る甘ったれでしかない娘カリン、娘を犯し殺した羊飼いたちを怒りにまかせて殺す仕方の残酷さと、腑に落ちない部分ばかりが目に付いてしまったのだった。
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[257]蜜の味
 その眼差し呑気呆亭 (Mail)2014-06-06
 
自分は男に好かれるご面相じゃないと密かに自覚している女の子の内心に吹き荒れる忿懣は、男たちには想像の付かないものに違いない。この作品の主人公ジョ−(リタ・トゥシンハ・・・
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自分は男に好かれるご面相じゃないと密かに自覚している女の子の内心に吹き荒れる忿懣は、男たちには想像の付かないものに違いない。この作品の主人公ジョ−(リタ・トゥシンハム)はまさにその忿懣を体現した強烈なキャラクタ−としていきなり我々の面前に登場する。その冒頭の場面、女学校の校庭でボ−ル・ゲ−ムに興ずる生徒たちの中に独り異質で不器用な女の子がいる。主人公のジョ−である。“オイオイ、なんだよこの子は”と無様な格好で転んだりするこの女の子を見ている内に、そのドングリ目の眼差しの何ものにも囚われず自惚れも自卑もなく全てをその有りの儘で見通そうとする意志を感得して、この女生徒を待ち受けるであろう物語に或る予感めいたモノを抱かされる。さすがにリチャ−ドソン、見事な導入部である。 この眼はすなわちこれ以降のドラマを見つめるカメラの眼であって、この目の元では自堕落な母親も、黒人の水夫も、ゲイの青年も、等し並みに偏見なく見通されることよって、映画は一見悲惨な生活と状況を映し出しながらも不思議に奇妙な味わいを見る者に残してくれる。この味わいを作者たちは「蜜の味」と名付けたのだろうか。自堕落淫乱な母親を演じて何処か可愛いド−ラ・ブライアンと、しなやかで知的で優しいゲイの青年ジェフリ−を演じたマ−レィ−・メルヴィンの哀しみを秘めた演技は胸にせまるモノがあった。
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[258]恋をしましょう
 天下のモンタンに・・・呑気呆亭 (Mail)2014-06-04
 
前年の「お熱いのがお好き」の成功を承けてのモンロ−の起用であったのだろうが、確かにそれは見事に当たってモンロ−の歌と踊りを見ているだけで楽しい映画である。しかし、コメ・・・
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前年の「お熱いのがお好き」の成功を承けてのモンロ−の起用であったのだろうが、確かにそれは見事に当たってモンロ−の歌と踊りを見ているだけで楽しい映画である。しかし、コメディとしてはキュ−カ−作品であるにもかかわらず、脚本の出来が今一なので素直に笑うことが出来ない。天下のモンタンに間抜けな男を演じさせることが無理なので、下手くそを演ずるモンタンには同情を感じこそすれ笑うに笑えないのであった。しかし、モンロ−は素晴らしい!
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[259]ワーロック
 撃鉄を起こしてヨ・・・呑気呆亭 (Mail)2014-06-04
 
ヘンリ−・フォンダという人は余りガンプレイが得意でなかったようだ。野外で拳銃の練習をするシ−ンがあるのだが、使っている拳銃はコルトのシングルアクションであるのに抜き撃・・・
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ヘンリ−・フォンダという人は余りガンプレイが得意でなかったようだ。野外で拳銃の練習をするシ−ンがあるのだが、使っている拳銃はコルトのシングルアクションであるのに抜き撃ちで撃鉄を起こしていないのは、親指の背面を使うやり方を知らないのではなく、早撃ちに見せるために引き金を引くだけで発砲するように細工させたのだろうと思う。そんなことを思って見ると、保安官クレイの身に着ける服も歩き方もすべてウソ臭く思えて来てしまって、以前見た時の面白さも何処かに行ってしまったのだった。「ガンヒルの決斗」ではカ−ク・ダグラスはきちんと撃鉄を起こして拳銃を撃っていたこと思うと、エドワ−ド・ドミトリクとジョン・スタ−ジェスと、二人の監督の西部劇への思いの深さの違いがこんな所にも現れているのだろうか?
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[260]土曜の夜と日曜の朝
 出口の明かりを・・・呑気呆亭 (Mail)2014-06-04
 
\'58年のトニ−・リチャ−ドソン監督「怒りを込めて振り返れ」に比べると、アラン・シリト−の原作・脚本にしては今一歯切れの悪い作品になってしまっている。芯になる話が工場の・・・
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\'58年のトニ−・リチャ−ドソン監督「怒りを込めて振り返れ」に比べると、アラン・シリト−の原作・脚本にしては今一歯切れの悪い作品になってしまっている。芯になる話が工場の同僚の妻との不倫というケチ臭いモノなので、アルバ−ト・フィニ−というどこかヒップな才能を感じさせる役者の折角の持ち味が活かされていない。イギリスの階級社会の閉塞感は確かに感じられるのだが、やはり映画には暗いトンネルの先に微かでも出口の明かりを感じさせるモノが有って欲しいと思う。
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[261]日曜はダメよ
 アメリカ男呑気呆亭 (Mail)2014-06-04
 
何よりも独立自尊の気の好い娼婦イリヤを演ずるメリナ・メルク−リが良く、彼女を巡るギリシャの男たちの脳天気ぶりが良い。彼らはみんな今のままで仕合わせなのだ。そこへアメ・・・
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何よりも独立自尊の気の好い娼婦イリヤを演ずるメリナ・メルク−リが良く、彼女を巡るギリシャの男たちの脳天気ぶりが良い。彼らはみんな今のままで仕合わせなのだ。そこへアメリカ的な堅苦しい道徳観でコチコチな男が飛び込んで波紋を広げるという図式は、何やら最近のギリシャを巡る情勢を思わせる。しかし、そのアメリカ男を演ずるダッシンがらしくないので、今一ギャップの可笑しさが盛り上がらない。キャスティングのミスであろう。ダッシンが監督業に専念してジャック・レモンあたりを主演に据えたら素敵な艶笑コメディになったのではなかろうか?
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[262]ガンヒルの決斗
 撃鉄を上げて・・・呑気呆亭 (Mail)2014-06-04
 
列車到着までのサスペンスという仕掛けは、「決断の3時10分」に似ているが、対決する二人をカ−ク・ダグラスとアンソニ−・クインという重量級の役者が演じたことで、迫力の有・・・
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列車到着までのサスペンスという仕掛けは、「決断の3時10分」に似ているが、対決する二人をカ−ク・ダグラスとアンソニ−・クインという重量級の役者が演じたことで、迫力の有る作品になっている。何よりも好ましかったのが、ダグラスにしてもクインにしても拳銃の撃鉄をきちんと上げてのガンプレイを見せてくれたことだった。「ワ−ロック」でのヘンリ−・フォンダのガンプレイにがっかりしただけに、胸の空く思いがしたことだった。
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[263]紳士同盟
 (無題)呑気呆亭 (Mail)2014-06-04
 
実に英国式ユ−モアの横溢した作品である。脚本の出来が良いこともあってワクワクしながら愉しく見ることが出来た。それぞれに屈託と事情を抱え、各自特殊技能を備えた男たちが・・・
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実に英国式ユ−モアの横溢した作品である。脚本の出来が良いこともあってワクワクしながら愉しく見ることが出来た。それぞれに屈託と事情を抱え、各自特殊技能を備えた男たちが現金強奪を計画した元上官の下に集まってくるという、こうしたドラマの作り方を何というのかは知らないが、黒澤明の「七人の侍」の序盤の面白さにも通ずるワクワク感を与えてくれるのは、男たちが密かに抱いている或る願望を刺激するからに違いない。“オレにもそんな日常性を超える機会が来ないかなァ・・・”なんてネ。
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[264]腰抜け千両役者
 ルシル・ボ−ル呑気呆亭 (Mail)2014-06-04
 
我々にはTVの「アイラブ・ル−シ−」でおなじみのルシル・ボ−ルがボブ・ホ−プと真っ向から取っ組んで、おきゃんな真っ直ぐな西部娘を演じて大いに笑わせてくれる。ボブ・ホ−プ・・・
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我々にはTVの「アイラブ・ル−シ−」でおなじみのルシル・ボ−ルがボブ・ホ−プと真っ向から取っ組んで、おきゃんな真っ直ぐな西部娘を演じて大いに笑わせてくれる。ボブ・ホ−プも相変わらずのとぼけ振りで、彼らを囲む助演陣も達者なもので気持ち良く見終えることが出来た。傑作というつもりはないが、こうしたコメディ映画が最近は少なくなっているのは寂しいかぎりである。
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[265]バファロー大隊
 「キャプテン・バッファロー」呑気呆亭 (Mail)2014-06-04
 【ネタバレ注意】
軍隊内での人種差別をテ−マとした作品だが、将校令嬢の暴行殺人事件を犯人と目される黒人曹長を裁く軍事裁判のシ−ンをメインに描くのだが、随所にフォ−ドらしいくすぐりを入れ・・・
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軍隊内での人種差別をテ−マとした作品だが、将校令嬢の暴行殺人事件を犯人と目される黒人曹長を裁く軍事裁判のシ−ンをメインに描くのだが、随所にフォ−ドらしいくすぐりを入れながらも脚本の練り方が足りなく、見終わって釈然としない思いが残った。同じ第9連隊を構成する黒人兵たちから「キャプテン・バッファロー」と呼ばれて尊敬されるほどの男が、暴行殺人現場に遭遇するという危機にあたって、発砲してきた将校に撃ち返して殺害してしまうという発端などは、無理矢理作った筋立てとしか思えない。それに加えて真犯人の中年男が“あの歩き方、あの腰つき”などという書くも汚らわしい告白をして法廷で暴かれるに至るラストにしても、いかにも唐突で、殺された令嬢にそんな劣情をそそる仕草も何もなかったことを思えば、無理矢理でっち上げた人種差別告発の浅はかなドラマというしかない。名匠フォ−ドの経歴に汚点を残す作品である。
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[266]運が良けりゃ
 美術、音楽、砂塚秀夫呑気呆亭 (Mail)2014-05-23
 
公開当時、監修に関わった落語評論家の安鶴さんが絶賛していたので見に行ったのだったが、思えばこれが山田洋次作品との最初の出会いであった。一部の正統落語好きには不満を抱・・・
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公開当時、監修に関わった落語評論家の安鶴さんが絶賛していたので見に行ったのだったが、思えばこれが山田洋次作品との最初の出会いであった。一部の正統落語好きには不満を抱くヤカラもあったようだが、普通の落語好きであったワタクシなどは“よくぞやってくれた!”と喝采を送ったものである。同じ落語ネタとしては\'57年の川島雄三作品「幕末太陽傳」の方が評価が高いようであるが、あの映画の仄暗い喜劇味よりも、ワタクシ的にはこの映画の野放図な賑やかさの方が好ましい。今回見直してみて気が付いたのはセットの隅々にまで気を配った美術スタッフの見事な仕事と、北斎漫画を使ったタイトルバックの構成の鮮やかさと、のっけからラストまで意表をつく面白さの山本直純の音楽と、ハナ肇の熊さんの或る意味で裏返しのキャラクタ−である若旦邦七三郎を演じた砂塚秀夫の快演であった。こんな傑作が興行的に今一だったとはどうしたことだったのだろうか。
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[267]ピアニストを撃て
 ゴダ−ル派Vs.トリュフォ−派呑気呆亭 (Mail)2014-05-23
 
最初にこの作品に出会ったことでボクはトリュフォ−派になった。卑見だがフランス映画好きにはゴダ−ル派とトリュフォ−派があると思う。ゴダ−ル派は彼のしち面倒くさい持って回っ・・・
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最初にこの作品に出会ったことでボクはトリュフォ−派になった。卑見だがフランス映画好きにはゴダ−ル派とトリュフォ−派があると思う。ゴダ−ル派は彼のしち面倒くさい持って回った物言いが何とも言えずお気に召すようで(この言い方には悪意が有るか?)、トリュフォ−派は理屈より何より映画は面白ければ良いんだという偏った性格の連中が多いようだ。この作品にしても、主人公の弾くピアノの音色に彩られて展開する物語はフイルムノワ−ルの体裁を借りながら、充分に蓄積したサイレント映画の素養を存分に駆使して、トリュフォ−は奇妙な可笑し味のある映画に仕上げている。物語の筋とはまったく関係のない対話やカットが随所に挿入されるのは、レオス・カラックスを思わせ、主人公を付け狙う殺し屋のコンビは後年のブル−ス・ブラザ−スに先駆する典型を造形している。こんな映画の面白さをゴダ−ル派は解るのかねぇ・・・。
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[268]かくも長き不在
 サスペンス呑気呆亭 (Mail)2014-05-17
 
\'21年生まれのアリダ・バリはこの年39歳か、カフェの女主人テレ−ズとしてしっかり生活の根をパリの下町に下ろした、やや太り気味の堂々たる中年女として登場する。その外見か・・・
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\'21年生まれのアリダ・バリはこの年39歳か、カフェの女主人テレ−ズとしてしっかり生活の根をパリの下町に下ろした、やや太り気味の堂々たる中年女として登場する。その外見からは彼女が16年前、恐らく新婚であったろう夫のアルベ−ルをゲシュタポに連れ去られたという辛い過去を抱えているとは覗い知ることは出来ない。間近に迫ったバカンスを巡って交わされる客たちとの会話が、人々が漸く戦争の記憶を追いやって日常を取り戻し始めていることを了解させる。そこに亡霊のような過去を背負った記憶喪失の男が彷徨い込んできて・・・。 プロロ−グからエピロ−グまで、全編息を呑むようにして画面に見入ってしまった。男に関わり合うことで次第に露わになって行くテレ−ズの抱えた傷痕。この二人の成り行きに心を向け、夜の町角で男の記憶を蘇らすべく口々に“アルベ−ル!アルベ−ル!”とそれぞれの声音で呼びかける町の人々。その声音は彼ら一人一人もまた、多かれ少なかれテレ−ズのそれに似た傷痕を抱えているのであろうと思わせる。その呼びかけにギクリと立ち竦んでホ−ルドアップされたかのように両腕を差し上げる記憶喪失の男。差し上げた左腕の影が男の顔を陰らせてその表情を読むことが出来ない。迫り来る車のヘッドライトが両腕を高々と上げた男のシルエットを浮かび上がらせて・・・。このラストシ−ンに至るまでのサスペンスは呼吸をすることを忘れさせるほどのモノでありました。
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[269]生きる歓び
 残念ながら・・・呑気呆亭 (Mail)2014-05-16
 
危険分子を自認するアナ−キストたちがしっかり警察にリストアップされていて、事あるごとに予防投獄されるという、警察と危険分子たちとのいかにもユルいイタリア的ななれ合い・・・
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危険分子を自認するアナ−キストたちがしっかり警察にリストアップされていて、事あるごとに予防投獄されるという、警察と危険分子たちとのいかにもユルいイタリア的ななれ合いがとても面白く、傑作喜劇を予想したのだった。しかし、この面白さの中に狂言回しとして投げ込まれたアラン・ドロンの役割が、その面白さを増幅せずにかえって混乱させるだけに終わってしまったのが惜しまれる。屋根裏部屋の老アナ−キストなどのキャラクタ−が活かされなかったのは実に残念で、それもこれも、演出と脚本の混乱と、本来コミカルな資質を持たないドロンを起用したキャステイングのミスによるものであろう。
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[270]沓掛時次郎 遊侠一匹
 お松と朝吉呑気呆亭 (Mail)2014-05-16
 
演出の加藤泰と脚本の掛札昌裕/鈴木尚之は長谷川伸の原作にはないプロロ−グを付け加える。時次郎を兄貴と慕う身延の朝吉(渥美)は、見え透いた一宿一飯の義理を果たさずに旅に・・・
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演出の加藤泰と脚本の掛札昌裕/鈴木尚之は長谷川伸の原作にはないプロロ−グを付け加える。時次郎を兄貴と慕う身延の朝吉(渥美)は、見え透いた一宿一飯の義理を果たさずに旅に出ようとする時次郎に愛想を尽かし、独り殴り込みを掛けてなぶり殺しに合うのだが、その前の晩にこの世の名残と娼婦を買う。この宿場女郎お松(三原)と朝吉のエピソ−ドが実に好い。三原葉子というタップリした肉体を誇る姐御が、イモなど頬張りながら床急ぎをする朝吉を手玉に取るのだが、三原の大らかな色気が存分に発揮されていて、その観音様のような女にイタサセテ頂いた朝吉の仕合わせが、翌朝の凄惨ななぶり殺しに重なって、その朝吉を死なせた悔いが以降の時次郎の旅に基調低音のように響き続け、殺した男の女房子供との難儀な道行きを錦絵のようなメランコリックな色調で彩るのである。
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