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 「Bava44」さんのコメント一覧 登録数(722件)rss
 コメント題投稿者投稿日
[001]レヴェナント:蘇えりし者
 叙事詩Bava442016-04-27
 
最近の映画の傾向である、技量やテクニカルな部分へのこだわりが重視された作品で、撮影・演技は高評価されていることが納得できる出来栄えとなっている。さらに、6.5Kで撮影さ・・・
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最近の映画の傾向である、技量やテクニカルな部分へのこだわりが重視された作品で、撮影・演技は高評価されていることが納得できる出来栄えとなっている。さらに、6.5Kで撮影されたという映像は通常の映画よりも広さを感じさせ、画面にはやや重量感もあった。 プロットの方は極めてシンプルなので、2時間半の上映時間のあいだ、ほとんど物語は展開せず、出来事の描写が続く作品になっている。理不尽で過酷な環境において生存本能をむき出しにして戦う主人公に寄り添うような形で作っているので、ドラマ面では重苦しさがあり退屈することはない。一方で、そのような主観的な作りは世界観の狭さを伴うので、観終わった後に冷静になってみると、意外と叙事詩的スケールが小さいようにも感じた。 また、(台詞で示唆される)人物設定や関係性がやや腑に落ちないので、冒頭部分にもう少し説明的な要素があったほうがよかったと思う。その分フラッシュ・バックが多用されているのだが、主人公の情念を強調するために使われており、過去の出来事に対する(観客にとっての)新事実といった効果は希薄だった。 映画史的コンテクストとしてはフォードの『捜索者』や黒澤の『デルス・ウザーラ』、ヘルツォークの『アギーレ/神の怒り』の影響があるように思えたのだが、imdbをみると『荒野に生きる』(71年)という映画と同じ原作であるらしい。未見なので、そういう比較は詳しい方にお任せしたい。
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[002]ジェネラル 天国は血の匂い
 アンチ・ヒーローBava442016-03-21
 
90年代半ばのアイルランドを舞台に、“ジェネラル”と呼ばれた強盗犯マーティン・カーヒルの泥棒稼業と私生活を描いた実録犯罪ドラマ。 主人公が下層階級出身ということもあって・・・
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90年代半ばのアイルランドを舞台に、“ジェネラル”と呼ばれた強盗犯マーティン・カーヒルの泥棒稼業と私生活を描いた実録犯罪ドラマ。 主人公が下層階級出身ということもあって、冒頭部分は2000年代の中南米映画を先取りしたようなテイストと勢いがあった。全体としては、軽快なジャズに合わせて、なかなか饒舌な作りであり、コメディにならない程度のユーモアが作品の印象を軽やかにしている。また、主人公を立件しようと奮闘する因縁の検察官役を、ジョン・ボイドが力を抜いて演じており、コミカルな感すらあった。 ただ、若干尺が長めなのと、実話の制約故かドラマのメリハリに欠けるので、物語の展開には冗長さを感じた。 尚、私が見たのは色あせたカラー版で、往年のブアマン映画と比べるとやや画作りが弱く、薄っぺらい印象だったのだが、実は、海外での劇場公開時には白黒映像だったようである。確かにモノクロの方が、この映画ではより洒落た雰囲気が出てよかったのではないかと思う。露出の加減や照明もモノクロの画を前提にしている可能性があるので、できれば監督の意図した形で見てみたい。
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[003]テープヘッズ
 80年代に巻き戻せ!Bava442016-03-21
 
インチキな映像製作会社を立ち上げた主人公らがミュージック・クリップの制作を行うという話。 内容的に当時のビデオ・カルチャーや大衆文化がよく反映されているのだが、肝心・・・
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インチキな映像製作会社を立ち上げた主人公らがミュージック・クリップの制作を行うという話。 内容的に当時のビデオ・カルチャーや大衆文化がよく反映されているのだが、肝心の作品の出来は低予算B級映画の水準を出ず、特に笑えないコメディに終わった。カルト映画になるにはアクの濃さが足りなかった。
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[004]イマジン
 映画表現的にユニークBava442016-03-21
 
“I found the methods used by blind people to find their way around in the world to be both poetic and absolutely cinematic.” (英語版公式サイトの監督コメントより)・・・
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“I found the methods used by blind people to find their way around in the world to be both poetic and absolutely cinematic.” (英語版公式サイトの監督コメントより) 監督のヤキモフスキは上記のように、障害者福祉に特別関心があるわけではなく、映画的な目的をもって本作を作っている。それが理解されていないためか、世界的に見て過小評価されている感のある作品である。そんなわけで、私からみた本作の美学的観点を二点記しておきたい。 一つは「音のクロース・アップ」である。以前読んだ、西周成×大浦信行 両監督の対談の中で、普段であれば聞こえないはずの音に注意を向け拡大させるという意味で、「音のクロース・アップ」という概念が提示されていたのだが、本作などはまさにそれを多用している作品だといえる。映像のクロース・アップが日常で経験することがない反面、音のクロース・アップは身近な体験として誰もが経験していることだと思う(深夜の静かな時間に、水道の蛇口から水滴が垂れる音や、時計の秒針の響きなど)。本作の場合、音の存在は聴覚に頼って生活する主人公らの内面心理を強く反映させるので、作品に詩的な深みを出すことができる。感性に響く表現になっている。また、通常とは異なる音の聞こえ方によって、観客の事物に対する見方を変容させる異化効果も含まれている。 二つ目は、観客が知覚する物語世界(作中にあるとされる世界)と主人公の内面世界の間に不一致やズレがあるまま、ドラマが展開していることである。見えている観客と見えない主人公の間では、当然、周囲の出来事に対して認識の違いが出てくる。通常の映画では、主人公が知らないか気づいていない出来事というのはサスペンスの火種になる要素だが、本作ではその不安定さが常に生じている。そのため観客は、主人公らの想像的内面世界に台詞や表情を通して触れつつも、同時にその認識のズレをも知覚するという、特異な二重構造にさらされる。 さらに、このような二重性は必然的に、虚実が入り混じった内容を可能にする。残念ながら、ヤキモフスキはおそらくこの部分を上手く理解しないまま創作しているため、終盤が弱くなってしまっているのだが、作り方次第ではより高度な映画的ヴィジョンを示すことができたと思う。 なお、極端な見方をすれば、ポーランド人監督から見て異世界の明るい日差しのリスボンや、美男美女である主人公の外見も、彼らの心象風景にすぎないと考えることが可能である。(無論、どんな映画でも程度の差はあれ心象風景があるだろうが、この映画の場合は、盲目の主人公が実際には暗闇の世界にいるのだから、極めて対照的な舞台設定となっている。) 全体として、明確でない断片的な情報の組み合わせで意味を構築しようとしていることはモンタージュ的発想であり、表現技法には新奇さを感じさせる。それと同時に、ヤキモフスキはドラマ性を意識しており、退屈で観念的な映画にはなっていない。 基本的に最近の作家映画は内容を軽視して描写だけにこだわる傾向が強く、それが悪弊となり空疎化しているのではと思うことがある。そのため本作のように、「知る」ということの驚きや、物事に対する自分の理解を脱構築していく様が描かれている、素朴ながらも知的で誠実な映画は、新鮮で印象が良かった。
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[005]祇園の暗殺者
 後味が悪いBava442015-06-21
 【ネタバレ注意】
監督は知らない人だが、春日太一氏のオススメ時代劇らしいので、一往見てみた。 幕末の勤王派を主人公に、理想のためにやむなくやった行為から、次第にほころびが出てくる様を・・・
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監督は知らない人だが、春日太一氏のオススメ時代劇らしいので、一往見てみた。 幕末の勤王派を主人公に、理想のためにやむなくやった行為から、次第にほころびが出てくる様を、非情な展開で魅せる作品である。より客観的に観た場合は、共通の理想を謳いながら、方法論の相違を巡って次第に内ゲバに発展していく様子を描いているといえる。(当然、全共闘世代を揶揄しているのだろう) 大島渚などと同世代的なものがあって物語は面白いと思うのだが、主人公に寄り添って葛藤のあるドラマを描きたいのか、それとも突き放して冷やかに俯瞰したいのか、どちらなのか半端な感じで、脚本の方向性には釈然としないものがあった。 ただ、演出は職人的で悪くなく、同時期の集団抗争時代劇と同様、這いずりまわる様な乱雑な殺陣をする陰湿さがあって良かった。また、クレイジーになった子供の描写が変に突出してインパクトがあって凄かった。あれでは『呪怨』よりも怖く、やりすぎである。
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[006]ボーグマン
 ボディ・スナッチャー/移民の恐怖Bava442015-06-21
 
かつてのSF映画『ボディ・スナッチャー』が、いつの間にか隣人が赤化して別人になるという共産主義への恐怖を描いていたとすれば、本作の場合は、欧州への移民によって自分た・・・
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かつてのSF映画『ボディ・スナッチャー』が、いつの間にか隣人が赤化して別人になるという共産主義への恐怖を描いていたとすれば、本作の場合は、欧州への移民によって自分たちの居場所が次第に乗っ取られていく様を隠喩としている不条理ホラーだといえる。 ただ、そういうシリアスな社会的背景があるとはいえ、監督のヴァーメルダムは、基本的にはブラック・コメディの作家なので、本作でも小ネタ満載でかなり笑わせてくれる。ジャンル映画の範疇に収まる作品でありながら、カンヌのコンペ部門に出品されているだけあって、最近のホラー映画の中では、頭ひとつ抜けた出来である。
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[007]スウィート ヒアアフター
 純文学的Bava442015-06-21
 【ネタバレ注意】
主役の弁護士に代表される合理主義的な価値観に対して疑念を示している、暗い人間ドラマ。 一見、謎解き的であるプロット構成の合理性を、弁護士の破たんした私生活のプリズム・・・
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主役の弁護士に代表される合理主義的な価値観に対して疑念を示している、暗い人間ドラマ。 一見、謎解き的であるプロット構成の合理性を、弁護士の破たんした私生活のプリズムを通すことで解体させていき、得体の知れないものを浮かび上がらせていくことに成功している。 「笛吹き男」のテクストを下地に使う寓話性や、はっきりとした主張を行わない演出には、多少『ピクニックatハンギングロック』のテイストに近いものがあった。また、終盤になってそのテクストが、死んだ子供たちに向けられるのではなく、弁護士に踊らされる大人たちに向けられる奪胎があり、面白かった。 ただし、作品のテーマが不明瞭なのと、時制の変化がやや分かりにくいのが難点だった。不可解なものを分からないままにするのは、表現内容にある種の広義性を出すだろうが、もう少し絞った方が良かったのではと思う。あと題材の割に「コミュニティー」の概念が弱いことも気になった。
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[008]西部魂
 宣伝映画Bava442015-06-21
 
20世紀FOXが製作した、アメリカの大手電信会社「ウェスタン・ユニオン」の宣伝映画。1941年当時に、カラー映画を企業宣伝のために丸々一本作ってしまうとは凄いことである。 ・・・
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20世紀FOXが製作した、アメリカの大手電信会社「ウェスタン・ユニオン」の宣伝映画。1941年当時に、カラー映画を企業宣伝のために丸々一本作ってしまうとは凄いことである。 西部劇という当時の大衆的ジャンルを用いて、意外にも娯楽性の強い作品になっていると思うが、南部側の悪役たちの動機や背景がよく分からず、締めくくり方が釈然としなかった。(無論、あまりにも明確な敵がいたとしたら企業として問題だろうが。) 個人的にこの会社のサービスは何回か利用したことがあるので、こんな映画を作っていたのかと、ちょっとした驚きである。今だったら、あざとい広告として忌避されるだろうに。
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[009]どたんば
 吐夢×橋本忍Bava442015-06-21
 
炭鉱で起きた落盤事故で5人の炭鉱夫が坑内に閉じ込められ、地上からの決死の救出作戦が行われるという内容を、迫真のリアリズムで描いた群像劇。 題材的に面白そうであるが、・・・
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炭鉱で起きた落盤事故で5人の炭鉱夫が坑内に閉じ込められ、地上からの決死の救出作戦が行われるという内容を、迫真のリアリズムで描いた群像劇。 題材的に面白そうであるが、中盤はややテーマがずれて空回りをしている。物語の展開に全く寄与しない地上の人間同士の余計なドラマは、吐夢の個人的葛藤に過ぎないだろう。原作があるとはいえ、絞り込みが足りず風呂敷を広げすぎである。劇構成的にみた場合は、始まって20分程度で事故が起きる導入部の浅さに、中だるみの原因があるのかもしれない。 また、閉じ込められた側のドラマというのがほとんど描かれていないため、志村喬が二度の落盤事故を生き抜いたベテラン炭鉱夫であるという設定が全然活かされておらず、物足りなさを感じた。 吐夢の演出は怪獣映画並みの迫力があるので、脚本さえしっかりしていれば、クルーゾーの『恐怖の報酬』に匹敵する世界的名画になったはずである。当時はこの手のジャンルの物語がまだ確立していなかったのかもしれないが、惜しいと思う。 57年キネ旬ベストテン第7位
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[010]新座頭市物語 折れた杖
 地図に載っていない町Bava442015-06-21
 
勝新演出には、消化不良の面白さというのがあって、程よく壊れたまま展開するのだが、それが面白いと思えるのは一時間弱であって、長編劇映画というフォーマットではかなりダレ・・・
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勝新演出には、消化不良の面白さというのがあって、程よく壊れたまま展開するのだが、それが面白いと思えるのは一時間弱であって、長編劇映画というフォーマットではかなりダレてくる。それは脚本の構成が悪いからではなく、勝新がホンに興味がないからというのが実際のところなのだろう。映像的には変わったショットを要求しているとは思うが、正直、殺陣の見せ方や編集は良いとは言えない。 もっともこの人は、この路線をこのまま突き進んで、白日夢的な境地にまで到達するから、本作はまだまだ通過点である。後年ほどではないが、舞台設定にやや抽象性があって奇妙な感じがする。すごく主観性の強い映画である。
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[011]蒼い記憶
 フィルム・ノワールBava442015-06-21
 【ネタバレ注意】
オープニングでいきなり複数の時制を示され困惑するが、中盤まではほぼその調子で進むので少し覚悟が必要である。映像的には、青色の照明や変な切り返しがあって、スタイリッシ・・・
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オープニングでいきなり複数の時制を示され困惑するが、中盤まではほぼその調子で進むので少し覚悟が必要である。映像的には、青色の照明や変な切り返しがあって、スタイリッシュな印象が強い。ただし、こうしたプロット構成も映像スタイルも特に効果があるわけではなく、ただ単に観にくくなっているだけのような気がする。 問題なのは、他人の脚本とはいえ、この古風なストーリーで一体何をしたかったのか、よく分からないことである。切り口はともかく、物語面でのリアリティ(パターンや約束事)が50年は違うので、違和感があった。基本的な演出は上手く、主役の俳優たちも良いので、わざわざ犯罪映画にせずとも普通のドラマ作品で十分見ごたえのある良作になったと思う。 ただそうした難点を考慮に入れても、世間一般の評価は低すぎではないだろうかと思っていたところ、ラストにバカ映画級の酷いオチが待っていた。呆気にとられているなか、エンドクレジットの際の音楽がやけに楽しそうで、神経に障る。これが観客の逆鱗に触れるのだろう。
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[012]シャルロット・フォー・エヴァー
 セット撮影Bava442015-06-21
 
全編、燃え尽きた灰のような、けだるい感覚の中で、シャルロットだけは冴えておりカッコ良く撮られている。照明も構図も音響も全部そのためだけに奉仕しているように見える。 ・・・
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全編、燃え尽きた灰のような、けだるい感覚の中で、シャルロットだけは冴えておりカッコ良く撮られている。照明も構図も音響も全部そのためだけに奉仕しているように見える。 演出は表現のバリエーションに欠けるのだが、強烈な個性で引っ張っていくので、なかなか魅せる。物語性がほとんどないので、他人の脚本で撮っていれば少しは面白い作品になったと思う。 監督の歪んだイメージの実現のために、スタッフはいい仕事をしているなと感心していたら、the endの後で(多分に自己完結的ではあるが)その苦労に報いるショットがあった。この部分を見ると、本作がどんなタイプの映画か一目で分かる。
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[013]DISTANCE/ディスタンス
 ナイト・オブ・ザ・リビング・デッドBava442014-10-31
 
「(迷いのない根本的確信:中心的理念の有無について。) 「中心」というものは、人間が自己と世界に関する観念の秩序だった体系を自分のために作り出すべき場所であり、その・・・
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「(迷いのない根本的確信:中心的理念の有無について。) 「中心」というものは、人間が自己と世界に関する観念の秩序だった体系を自分のために作り出すべき場所であり、その観念の体系によってさまざまな努力の方向性が規制されるのである。「中心」の問題にまったく注意を向けないとしても、中心が空白のまま残されることはない。暗黒時代にともかく精神が受け入れたあの大思想が中心に入り込んでくるだろう。(中略)それは人生の意味と目的の完全な否定であり、その信者のたどりつく先は絶望一色である。」(「スモール・イズ・ビューティフル」p122 E・F・シューマッハー) 題材となった事件そのものは描かずに、別の角度から、その遠因となった根源的な問題点を浮かび上がらせようとしている意欲的な作品。結果として、現代日本人の内面的な空虚さと、話が噛み合わない対話性の無さが、リアリティをもって描かれていたように思う。 ただし作るなら、もっと聞き取りやすい日本語で台詞を話してくれないと、ボソボソと何を言っているのかさっぱり分からなかった。こういうのは内容以前の欠陥になるのではないだろうか。 映画としては、シネマ・ヴェリテ風で、映像で語るタイプの作品なのだろうが、シチュエーションが特殊なわりに説明不足であり、同時に無駄なショットが多い。また、唐突なフラッシュバックは繋がっておらず、強い違和感がある。特に警察の取り調べ場面などは陳腐である。作風はともかく、もうちょっと「語り」の仕方を考えるべきだったと思う。 ちなみに、本作で描かれているような(知的な人間関係を持つことができない)凡人たちについては、オルテガの名著「大衆の反逆」で詳しく解かれている。いい虫除けになるので、意識の高い方は読むことをお薦めする。
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[014]サム・クレバノフ
 国境なき映画Bava442014-10-31
 
ロシアでアート映画の配給会社を経営していたのだが、最近、裁判所から破産宣告を受けてしまった。 これに限らず、世界的に映画業界はかなり厳しくなっているようである。日本・・・
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ロシアでアート映画の配給会社を経営していたのだが、最近、裁判所から破産宣告を受けてしまった。 これに限らず、世界的に映画業界はかなり厳しくなっているようである。日本の業界も他人事ではないので、あと数年で同じ道をたどることだろう。
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[015]鬼の詩
 前半は良かったBava442014-10-31
 
大映出身の監督だけあって、前半はTV版「座頭市」を連想させるような荒涼とした雰囲気があり、文化性も感じさせる。そこに林光の雪解け水のような爽やかな音楽が重なることで、・・・
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大映出身の監督だけあって、前半はTV版「座頭市」を連想させるような荒涼とした雰囲気があり、文化性も感じさせる。そこに林光の雪解け水のような爽やかな音楽が重なることで、詩情を醸し出している部分があった。 ただし、後半になるとほとんど一人芝居を見ているかのような、広がりのない物語になってくるので興味が薄れた。また、製作された時代を反映してか変にアングラな部分があり、完成度を落としていた。 「アングラ」という要素もまた、(ATG映画にとっては)受け狙いの商業的特徴に過ぎないのだから、不必要だと思う。
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[016]ピクニックatハンギング・ロック
 居場所のある人・ない人Bava442014-10-31
 
若い女の承認欲求というのは、「自分のことを見つけてほしい」という形をとる。それをメルヘンチックな少女漫画趣味で上手く物語化したものが本作だといえる。 内容的にはそん・・・
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若い女の承認欲求というのは、「自分のことを見つけてほしい」という形をとる。それをメルヘンチックな少女漫画趣味で上手く物語化したものが本作だといえる。 内容的にはそんな感じだと思うが、それに加えて、オーストラリアの英国植民地としての文化的背景が微妙なアクセントになっていて、作品のオリジナリティに花を添えている。そのことがオージー映画という独自領域を感じさせることに繋がっていて好印象だった。 P・ウィアーの演出は、製作された時期が良かったのか、過不足のない丁寧なストーリーテラーに努めており、かえって新鮮に見えるほどである。これが『スター・ウォーズ』以降に作られていたら、最後に巨大なUFOが登場したりする、品の無い映画になったかもしれない。 やはり、70年代の持つ得体の知れない不信感には、創作面での許容度の高さという側面があったのだと思う。
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[017]ガガーリン 世界を変えた108分
 まだ観ていないけれど、Bava442014-10-31
 
<トリビア> この映画の撮影を担当しているアントン・アントノフは、ワジーム・ユーソフの門下生なのだが、実はユーソフ本人も「追加撮影」でクレジットされており、ごく一部・・・
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<トリビア> この映画の撮影を担当しているアントン・アントノフは、ワジーム・ユーソフの門下生なのだが、実はユーソフ本人も「追加撮影」でクレジットされており、ごく一部だが関与しているようである。死去する4か月前に催された本作のプレミア上映会にも参加しており、この作品が彼のラスト・ワークになったといえる。
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[018]シャーロック・ホームズとワトソン
 レンフィルムBava442014-10-31
 
テレビ放映用に作られた作品なので形の上ではTVMということになるのだが、レンフィルムのプロの映画人たちによって35ミリフィルムで製作されているので、どちらかといえば普・・・
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テレビ放映用に作られた作品なので形の上ではTVMということになるのだが、レンフィルムのプロの映画人たちによって35ミリフィルムで製作されているので、どちらかといえば普通の映画に近い。 全5作品(計11部)の内訳 1979年『シャーロック・ホームズとワトソン博士』 (2部構成) 1980年『シャーロック・ホームズとワトソン博士の冒険』 (3部構成) 1981年『バスカヴィル家の犬』 (2部) 1983年『アグラの財宝』 (2部) 1986年『二十世紀が始まる』 (2部) 以前、アレクセイ・ゲルマンの奥さんが、レンフィルム・スタジオの製作した至宝の1つとして本シリーズを挙げていたが、確かに国営映画スタジオが有効に機能していた時期の職人技が詰まっているという点で、レンフィルムの代表作といえる。ソビエト時代の作品ではあるが、政治性がなく、原作に忠実であるので、ホームズ映像化のクラシックとしてイギリス人からも評価されるに至っている程である。 全5作品のうち、作品の完成度では2作目がベストであるように思う。3作目の「バスカヴィル」には、ニキータ・ミハルコフやオレーグ・ヤンコフスキーといった国際的にも有名な俳優が出演しており、なかなか豪華である。 4作目は効果的なロケを多用し、映像面での見栄えは一番良く、ドラマを重視した内容に満足できる。 5作目は第一次世界大戦前夜の諜報戦を背景に、ヨーロピアン・スリラーのようなテイストの出来である。クレイジーな演出が多数有るためか、本国での評判はあまり芳しくない。 正直、4〜5作目になると、「原作の映像化」という縛りに足を引っ張られている感じがした。監督のマスレンニコフは創造性のある映画作家なので、作品の出来は良いのだが、同時に、同じ題材ばかり手掛けていると飽きて来てしまうらしい。これはどうにもならない悩ましいところである。
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[019]骨までしゃぶる
 初見せ八回目Bava442014-10-31
 
こういう題名だからか、ここのサイトではジャンルが時代劇/アクションと記載されているが、実際は明治の遊郭を舞台とした女のドラマ作品である。社会運動の60年代らしく、廓の・・・
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こういう題名だからか、ここのサイトではジャンルが時代劇/アクションと記載されているが、実際は明治の遊郭を舞台とした女のドラマ作品である。社会運動の60年代らしく、廓の搾取構造なども指摘しているので“骨までしゃぶる”としているのだろうが、題名からくる男くさいイメージとは全く異なる映画である。 内容のほうは、加藤泰作品だけあって、悲壮な文芸ドラマや社会派映画になることはなく、愚直でバイタリティ溢れる娯楽作となっている。ただ、演技のほうは基本的に大げさなのだが、ドラマ部分でのちょっとした仕草や表情には情念を感じさせるのがこの監督らしかった。複雑な感情であっても、フィルムに定着することを知っている粘着質の映像作家だからだろう。モノクロで作ったためか、この時期の作品にしてはセットに貧弱さを感じさせず、映像にメリハリがあるのも良かった。 尚、ファースト・ショットでは、ロー・アングルの画面中央に溝があり、水が手前に向かって流れているのだが、無茶な撮影をしていると思う。
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[020]メキシコ 地獄の抗争
 サロン・メヒコBava442014-10-31
 
冴えないオッサンが20年ぶりに故郷へ帰ると、町がマカロニ・ウェスタン状態になっており、自らもその抗争に引き込まれていくという話。 ラテン・アメリカには直球勝負の社会派・・・
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冴えないオッサンが20年ぶりに故郷へ帰ると、町がマカロニ・ウェスタン状態になっており、自らもその抗争に引き込まれていくという話。 ラテン・アメリカには直球勝負の社会派映画というのがよくあるのだが、本作の場合は、荒廃したメキシコという自虐気味のコミカルな演出が奇妙な味わいを出していて、なかなか面白い作品になっている。 最終的には、犯罪から抜け出すことのできないメキシコの病理という、お馴染みのテーマに収束するのだが、そこに至るまでの語り口がよく、背景となる冗談みたいな社会状況もブラック・ユーモアを込めてよく描かれていた。 全体としてクオリティのある映画にはなっていると思う。
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[021]千両獅子
 題材の割に重いBava442014-10-31
 【ネタバレ注意】
市川右太衛門が一人二役を演じる、「退屈男」風の痛快娯楽編であるはず・・・なのだが、まさかのバッド・エンディング寸前にまで突き進んでいき、本当にこのまま後味悪く終わる・・・
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市川右太衛門が一人二役を演じる、「退屈男」風の痛快娯楽編であるはず・・・なのだが、まさかのバッド・エンディング寸前にまで突き進んでいき、本当にこのまま後味悪く終わるのではないかと思った。ラストは無理に方向転換して、形だけ整えているが、これはだいぶ違和感がある。 主人公が空手チョップだけで軽快に敵をなぎ倒していく場面などを見ても、古いタイプの娯楽映画のイメージに足を引っ張られすぎているように感じる。そういった通俗的な内容を消化しようとする職人性と、それを越えようとする作家性が、吐夢のなかで分裂しており、作風の一貫性に欠けていた。 ただし、吐夢としては『逆襲獄門砦』『暴れん坊街道』と、思想的に混迷に満ちた失敗作が続いていたので、それらに比べれば本作はかなり方向性がまとまってきているといえる。シーン毎の完成度は高いので、商業映画の範囲内で、厳しい結末を前提にした映画作りをしていれば、見応えのある映画になったと思う。 その点、後年の宮本武蔵シリーズなどはまさに本作の難点が克服されたシリアスな商業映画になっていた。こういう向上がみられる点が、吐夢の映画作家としての長所だろう。
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[022]フランキー・ワイルドの素晴らしき世界
 フランクでワイルドな生き様Bava442014-10-31
 
個人的には、刹那的な感性を重視した映画は好きではないが、題材に合った演出がしっかりと出来ており、ミュージシャン系の映画としてはかなり完成度が高いと思う。 ただ、こう・・・
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個人的には、刹那的な感性を重視した映画は好きではないが、題材に合った演出がしっかりと出来ており、ミュージシャン系の映画としてはかなり完成度が高いと思う。 ただ、こういう短絡的な人物を主人公にするとドラマが深まっていかないので、その点では正直物足りなさを感じた。後半には、音を映像で表現していこうとしている部分があり、かなり良い線に達しているのだが、それが主観的感覚表現にとどまっているのは、やはり題材に原因があるのだと思う。 全体として、表現は鮮烈だがあまりその後味の残らない、「爆音」みたいな作品だったといえる。(それはそれで狙ったところだろうが)
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[023]7BOX [セブンボックス]
 トマト or レタスBava442014-10-31
 
製作国のパラグアイがどのような国なのかは全く知らないのだが、登場するキャラクターたちが妙に香港映画にそっくりなので既視感があった。作風の点でも、ジョニー・トーの映画・・・
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製作国のパラグアイがどのような国なのかは全く知らないのだが、登場するキャラクターたちが妙に香港映画にそっくりなので既視感があった。作風の点でも、ジョニー・トーの映画が好きな人ならば絶対に気に入ることができるような、アクロバチックな構成の作品である。 荷車をもってウロウロしている場面では『隠し砦の三悪人』を連想させたが、娯楽映画としての方向性も大体そんな感じだった。
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[024]美わしき歳月
 分解する交友関係Bava442014-07-13
 【ネタバレ注意】
最初の30分ぐらいは随分と通俗的な映画だなと思って観ていたのだが、さすがにこの監督の作品だけあって、次第に戦後の社会構造が浮かび上がってくるので、戦慄させられた。そ・・・
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最初の30分ぐらいは随分と通俗的な映画だなと思って観ていたのだが、さすがにこの監督の作品だけあって、次第に戦後の社会構造が浮かび上がってくるので、戦慄させられた。その問題意識の発露は、戦死した友人の墓参りをする場面に特に表れており、なかなか辛辣なものがある。 監督が前年に作った『この広い空のどこかに』が作劇的にかなり完成された作品だったため、その点における見劣り感があるものの、表現力は若干向上しており、生真面目なリアリズムから一歩距離を置いて、心象風景を描くことが出来ている。そのような、映像で語るということを意識した演出は評価できる。 全体として完成度は高くないのだが、小林正樹は、戦後の若者の心に痛々しく刻まれた断絶を克服しようとして、本気になって作品を作っている。格差と不合理に満ちた現実を変えることは出来ないが、信頼関係を取り戻すことによって、回復するものがあると信じている。そのような信念のおかげで、ラストシーンには本物の恰好良さが出ている。 (あと、この映画は木村功が主役なのだが、何故かここのデータに載っていない・・・。)
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[025]この広い空のどこかに
 重苦しいBava442014-07-13
 
小林正樹は、長編二作目の『壁あつき部屋』(53製作、56年公開)がお蔵入りした直後なので、一往は当たり障りのないホームドラマという体裁をとって作っているように思う。しか・・・
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小林正樹は、長編二作目の『壁あつき部屋』(53製作、56年公開)がお蔵入りした直後なので、一往は当たり障りのないホームドラマという体裁をとって作っているように思う。しかしながら、写実性と問題意識は作品内容全体に染みわたっており、非常に見応えのある映画だった。(この明るめで開放的なタイトルは、大島渚の『愛と希望の街』と同様の事情からだろう) 登場人物に悪人は誰もいないのだが、それぞれが時代に押しつぶされて苦しんでいる。そのような状況下で、コミュニティー内の軋轢がうねりとなって物語を展開させていくという劇構成である。 こういった作劇法は、同時代の作品ではピエトロ・ジェルミの『鉄道員』にみられるが、後年の作品ではユルマズ・ギュネイの映画でより救いのない非情な使われ方がされている。本作などは世界的に見ても早い試みをしていると思うが、当時のキネ旬ベストテンでは惜しくも圏外(11位)で目立たない存在となっている。再評価が必要だろう。  全体としてはやはり、立場的に弱いせいか会社の意向も一部入っているように見え、やや統一感に欠けるのが難点だが、本気で作っていることがひしひしと感じられる演出は好印象である。また、久我美子はこれがベスト・アクトの1つになると思う。与えられた役を越え出ているようなところがあった。 ちなみに私は、松竹が出していたVHSで観たが、コントラストがちょっと強かった。
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[026]ネイキッド・タンゴ
 ヴァレンチノBava442014-07-13
 
ただ単に恰好つけたかっただけの映画だが、リドリー・スコットのような演出によって、それなりに様になっている。 内容的には、ルドルフ・ヴァレンチノの映画がテクストとして・・・
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ただ単に恰好つけたかっただけの映画だが、リドリー・スコットのような演出によって、それなりに様になっている。 内容的には、ルドルフ・ヴァレンチノの映画がテクストとして使われているようなので、そっちを先に観た方がいいのかもしれない。 何故か、東宝東和が配給だけでなく一部出資もしているのだが、バブル時代でお金に余裕があったのだろうか?
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[027]ザ・ショートフィルム・オブ・デイヴィッド・リンチ
 白塗りおばあちゃんBava442014-07-13
 
リンチの短篇を、恐らくmk2が新たに配給するためにまとめたものが、この「ザ・ショートフィルム・オブ〜」で、収録作品は以下の6本である。 「Six Figures Getting Sick」(19・・・
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リンチの短篇を、恐らくmk2が新たに配給するためにまとめたものが、この「ザ・ショートフィルム・オブ〜」で、収録作品は以下の6本である。 「Six Figures Getting Sick」(1967年、4分)  「The Alphabet」(1968年、4分)  「The Grandmother」(1970年、34分)  「The Amputee」(1973年、9分)  「The Cowboy and the Frenchman」(1988年、26分。これは『パリ・ストーリー』の一部) 「Lumiere et compagnie : Premonition Following An Evil Deed」(1995年、1分。『キング・オブ・フィルム/巨匠たちの60秒』の一部) それぞれリンチ本人の解説があって本篇が始まる作りである。いずれの作品も物語性の希薄な所謂“実験映画”である。 最初の作品は、アニメーションとはいえ背景が固定されたフィックス撮影で、その上で絵が動いているだけなので退屈。内容もほとんど意味はない。また、4番目の「The Amputee」もビデオ撮り、フィックス撮影、1ショット×2という代物で、面白くはなかった。 しかしながら、2番目・3番目はリンチのファンなら必見の作品だった。彼の個性がよく出たシュールでえげつないアングラ幻想譚である。監督本人もこれらの作品には手ごたえを感じているらしく、このイマジネーションの豊かさは本当に天賦の才だと思う。 背景を黒塗りにすることで、低予算を隠しつつ怪しげな雰囲気を醸し出しているが、これは“黒塗りの画布”という絵画的な発想で作っているようである。アートアニメを多用していることも美術畑の出身であることが関係していると思う。 尚、権利関係の問題なのか、「The Cowboy and the Frenchman」が入っていないバージョンもあるようである。ただ、これは大した作品ではないので、別に入っていなくても構わないと思う。
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[028]アンジェイ・ヤキモフスキ
 イマジンBava442014-06-15
 
現代ポーランドを代表する監督の一人であるヤキモフスキが、合作で撮った「Imagine」(2012年)を観賞した。主演はエドワード・ホッグとアレクサンドラ・マリア・ララ。 リス・・・
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現代ポーランドを代表する監督の一人であるヤキモフスキが、合作で撮った「Imagine」(2012年)を観賞した。主演はエドワード・ホッグとアレクサンドラ・マリア・ララ。 リスボンにある盲学校(クリニック)に新たに赴任してきた、彼自身も盲人の教師が、生徒・患者たちに想像力を通して外界の存在を理解させていくという、ヘレン・ケラー的な話である。 しかしながら、あざとい社会派ヒューマン・ドラマではなく、どちらかといえば北野武の『あの夏、いちばん静かな海。』の印象に近い作品で、静かで繊細な感性で作られている。実際にポルトガルでロケをしているのだが、白を基調とした地中海的な雰囲気と温かい陽光が、明瞭な視覚的イメージを作りだし、作品の舞台としてとても効果的だった。 「イマジン」というタイトルからも監督の志向性が明らかなのだが、ものを見ることができない主人公たちの姿を通すことで、映画観客の注意が「言外の意味」の方へ自然と向かうように作られている。そのため 何となく“行間を読ませる”ような映画になっている。 観客がより能動的に映画に対してアプローチできるように促している点において、これは一つの収穫であり、もっと評価されても良い作品である。特に映像作品の作り手はこれを観ておいた方がいいだろう。ドラマがしっかりしているうえに、ほどよくユーモアがあり、主演の二人が演技力のある美男美女だから、題材の割に観やすい作品である。 ただ、終盤になると現実的な物語に収束していこうとする動きと、それに逆らう動きのなかで、次第にバランスを欠くようになるので、そこは残念だった。あれでは観客のイマジンを壊すと思うのだけど・・・。 7点
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[029]メトロ42
 及第点Bava442014-04-11
 
一般公開前のロシア映画を評価するのは何か気が引けるが、意外にも面白かったというのが、正直な印象である。脚本には難があるものの、パニック・ムービーの面白さのツボをしっ・・・
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一般公開前のロシア映画を評価するのは何か気が引けるが、意外にも面白かったというのが、正直な印象である。脚本には難があるものの、パニック・ムービーの面白さのツボをしっかりと押さえており、観ている間は十分楽しめる作品になっている。 聞いたところによると、VFXは、リアリティを重視するために準備期間をしっかり取って、地下鉄の構造と水の動きを上手く再現するようにしたという。そうした創作態度が功を奏しているのだと思う。 映画のほとんどは閉鎖空間を舞台としているので、劇場で観ると緊張感は倍増である。ハラハラ・ドキドキの展開は、デート・ムービーにも最適だろう。  まずは上映館が増えてほしい。 (追記) ここのサイトでは未公開扱いだが、結局、全国13館での上映だったようだ。
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[030]八百万石に挑む男
 中川信夫×橋本忍Bava442014-04-11
 
橋本脚本は、例によって複眼の構造を持った反権力物語で、非常に面白く出来ている。腹の据わった張り合いは、外交交渉の現場を生で見ているかのような「言葉の芸術」になってい・・・
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橋本脚本は、例によって複眼の構造を持った反権力物語で、非常に面白く出来ている。腹の据わった張り合いは、外交交渉の現場を生で見ているかのような「言葉の芸術」になっている。 一方、中川信夫は抑制の効いた画作りをして脚本のシリアスさを重視しつつも、硬派になり過ぎないよう、俳優の演技で魅せる演出を心がけている。そのためチャンバラが一切無いにもかかわらず、ちゃんと御大をフィーチャーした大衆向け映画になっており、職人技が光る。 中川信夫は恐らく、親子の情を背景にした脚本に上手く乗っていけることが出来たのだと思う。演出の重心もややそちらにあり、その分だけドラマの葛藤は印象が薄い。ラストが釈然としないというか、ちょっと分かりにくいのもそこに原因があるのだろう。このへんが職人監督の芸術的構成力の限界だと思う。
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