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 「Bava44」さんのコメント一覧 登録数(737件)rss
 コメント題投稿者投稿日
[001]アレクセイ・フェドルチェンコ
 『ムーンサルト ソ連極秘宇宙計画』Bava442018-05-13
 
7月6日に、恐らくレンタルのみですが日本盤リリースされます。2005年の映画で、ちょっとした掘り出し物です。 これと、ソ連時代のSF『宇宙飛行』(1935)を合わせて観ると、面・・・
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7月6日に、恐らくレンタルのみですが日本盤リリースされます。2005年の映画で、ちょっとした掘り出し物です。 これと、ソ連時代のSF『宇宙飛行』(1935)を合わせて観ると、面白い視点を得られるかもしれません。
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[002]母の残像
 相互不理解Bava442018-05-13
 【ネタバレ注意】
ユペール演じる母親は、有名な戦場カメラマンであったが、数年前に交通事故で死んでいる。自殺だったその死の真相が、故人の写真展を新たに開催するのに関連して、新聞記事とし・・・
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ユペール演じる母親は、有名な戦場カメラマンであったが、数年前に交通事故で死んでいる。自殺だったその死の真相が、故人の写真展を新たに開催するのに関連して、新聞記事として公になることになり、それを契機に父親は、まだ死の原因を知らぬ次男との会話を試みようとする、というのが映画のストーリーである。 本作が一見、謎解き風のミステリーにみえるのは、監督自身にそうした志向があることと、複数の視点による回想形式を導入している部分があることが、原因である。しかし、死因がノイローゼによる自殺であることは(何故か)設定上の確定事項であって、それを推論していくようなタイプの作品ではないのである。では映画の主題は何かというと、視点や記憶の違いからくる、コミュニケーションの困難さである。各自の主観に相違があるため、他者とのつながりをうまく作れず、満たされることもないまま、ひとり一人がつらい現実と直に向き合って生きているという状況が作品の背景にある。そして、作品のやま場となるのは、そうした孤立状態の解消である。特に次男の方を中心にして見た場合には、「認知=少年期の終わり」を描いた教養小説風の物語になっているのだと解釈することができる。ただし、登場人物の葛藤は自己完結ぎみである上に、作品の方向性は不明瞭であり、通常のドラマやミステリーとしてみると煮え切らない印象に終わっている。 それで、映画を構成の面からみた場合は、時制や視点の変化を頻繁におこなっていることが特徴として挙げられる。これは、みんなバラバラのまま、すれ違っているという内容とうまく合致しているので、意外と抵抗感のない作りである。それから、映画表現の点では、主観や空想の自在さを、ちょっとマジカルなタッチの映像で表現しているのが面白い傾向であった。特に高速度撮影を使った無重力のイメージは、主観性のユニークな表象として印象的である。また、回想やナレーションを駆使したシークエンスによって、現代風の「意識の流れ」のようなものが描かれていて、作品の見せ場になっていた。 尚、2回ある、そうしたシークエンスのうち、次男の自叙録の映像化の方は、クリップのような作りで面白味があるのだが、基本的には「手紙を読む」という古典的表現の枠内に留まっている。一方、(それより前にある、)学校で彼が想いに耽る場面では、本の朗読の声に触発された想像という形を採っているため、ナレーションと映像との間に距離が存在していて、意外性があった。つまり、ナレーションをAとするならば、映像はA´×Bの内容で出来ており、それらは表面的な類似性があるだけで全く異なるテクストなので、組み合わせとして珍しかった。さらに、ここにはサブの情報として、女の声に聞き入る次男、彼の想像を中断させる女教師という要素もあり、複合的な表現になっていた。 逆に、作りに拙さがあったのは、終盤の、次男が女と一緒に朝帰りする場面で、文学的な「全知の語り手」によるナレーションを、女の声が当てていることである。これは語りの人称としては明らかに不自然であり、解釈不能なデタラメである。しかしながら、フラれていることがはっきりとわかる内容のため、外すことができないので、これを次男の独白にするか、女が教室で朗読していた本の一部を使って示唆的に表現するかで、処理すべきだった。 そのほか、演出上の問題として、エピソードの始まりを唐突な形で示していることが、物語内容との関連において必然性に欠けていた。たとえば、メーンタイトルの後のシーンを劇中劇にしたり、場面転換の冒頭にエスタブリッシング・ショットではなく主観ショットをもってきたりすることで、謎めいた雰囲気を出しているのだが、その意図が不明であり、かえって作品のテーマが把握しづらくなっていた。画面作りの点でも、(恐らくはF値の小さい広角レンズの使用によって、)どことなく構図を歪ませているのは余計なことだった。 監督のヨアキム・トリアーについては、本作が事実上の日本初紹介で、大して情報がないのだが、噂によれば、デ・パルマ信者であり、ニコラス・ローグの『赤い影』もお気に入りだということで、なかなかカルトな趣味をしているようである。また若手監督の世代的な傾向なのか、80年代テイストの映像感覚や音楽の使用が特徴だった。個人的にはドラマツルギーがはっきりせず真実味に欠ける映画であまり好みではなかったが、好事家の中には監督のそうした嗜好性を評価する向きもあるかもしれない。マニアは彼の新作「Thelma」を要チェックだろう。
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[003]ハッピー・ゴー・ラッキー
 童心のオールド・ミスBava442018-05-13
 
個人主義・自由主義・楽天主義が強すぎるヒロインの奇天烈な人物造形と、ショットの構図の良さが全てであり、シナリオの構成がまったく出来ていなかった。やたらとセリフが多い・・・
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個人主義・自由主義・楽天主義が強すぎるヒロインの奇天烈な人物造形と、ショットの構図の良さが全てであり、シナリオの構成がまったく出来ていなかった。やたらとセリフが多いのは、キャラクター(性格)を描くことに満足して、そこに比重を置きすぎているからであろう。あまり意味のない無駄な描写や、必然性のない場面が多く、演出の力量だけで2時間弱を引っ張るのには退屈した。 そもそも、社会と折り合いがつかない程の奇抜さと喜劇性をもつ主人公を描くのに、比較的リアルな演出(色彩は派手気味だが)と平凡な物語を利用しているのは、題材と形式の不一致であり、余程の意図がない限りは不自然に感じられる。彼女が小学校の教師であるという設定にも信憑性がなく、中途半端な印象だけが残った。 題名が内容をうまく表現している点については評価したいと思う。
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[004]ロスト・ハイウェイ
 二役 = 一役Bava442018-05-13
 【ネタバレ注意】
不条理劇の一言で片づけられやすい映画であるが、実際は、ある程度まで分析可能な作りをしており、それに対してきちんと向き合ってみることが大切である。例えば、ロスト・ハイ・・・
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不条理劇の一言で片づけられやすい映画であるが、実際は、ある程度まで分析可能な作りをしており、それに対してきちんと向き合ってみることが大切である。例えば、ロスト・ハイウェイという題名には「道を見失って迷子になる」ぐらいのニュアンスを見出すことができる。これは作品の意図を、比較的わかりやすい象徴的なタイトルを用いて、宣言するものであろう。 シナリオは恐らく後半部分の粗筋を先に作ってから、全体を構想し、練っていったものである。 前半:生活感の乏しい夫婦が、何者かに家庭を見張られているというミステリー。 中盤:唐突に、主人公が殺人の罪で収監され、牢の中で別人になる。 後半:青年がマフィアの情婦と関係を持つ、青春系犯罪映画の体裁に変化する。 途中で物語が入れ替わるという劇構成は、ヒッチコックの『サイコ』という前例があるわけだが、主人公が完全に別人になってしまうというのは、リンチのような一部の作家にしか許されない荒業である。そうしたプロット上の不自然さを「頭痛」という要素を導入して緩和しているのだが、本作の場合、それはあくまでミステリーのコンテクストが生み出す擬似的な効果なのであって、作品自体にはあまり重要性のあることではない。病理学的観点から合理的に説明可能という代物ではないのだから、仮に記憶障害の要素がなくても、こうした作りは成立したであろう。 最後の「ディック・ロラントは死んだ」というインターフォンは、形の上では作品を冒頭につなげるループ構造にしているように見えるのだが、後半の主人公ピートについても、発見されるところから始まり、再度失踪して終わるという点で、前後の欠如した、ある種の循環性が感じられる。こうした通常のスキーマが機能しない、特殊な構成になっている以上、それに応じた評価をしていく必要がある。象徴性の強い不気味な男については、そうした物語世界の内外の境界にいて、コードの恣意性を反証的な形で体現している人物という解釈ができる。(白塗りなのはカーニバルのお化けを連想させる。) 尚、リンチ本人は、複数の筋立てを否定していて、映画は単一の筋だと語り、パトリシア・アークエットにも一人二役ではなく同じ役だと指示しているらしいが、これはむしろ、そのことの実現のために苦心していたとみるべきである。つまり、作品の肝がそうした部分の創作にあるというわけである。例えば、マフィアのボスは周りからはミスター・エディと呼ばれているが、警察はロラントと認識している。これは一人二役なのではなく、二役イコール一役である。たぶん、キャラクターの多くが前半後半でそうなっているのだと思う。 演出に関しては、常識外れの脚本を柔軟性をもって見事に具現化しており、その叙述法はかなり高度である。本作のような、ニュアンスと変化に富んだ映画を作るためには、相当な技量と感性が必要であり、容易には真似できないものである。 ちなみに前半部分の描写においては、主人公のどんよりとした主観性が優勢なのだが、これは完全にモノローグ化された世界における、強迫観念的叙述なので、当然「信用できない語り手」の要素が出てくることに注意である。(ただし、ここは描写性重視なのでドラマの展開に欠けており、間をもたせることができずにフェイドアウトを多用しているのは気になった。一般の観客には退屈すぎ、若干、映画優等生振りが鼻につく。)そのあと、中盤以降になると視点に客観性が出て、ストーリーの展開もあるので、こうした様態・文体の違いに対しても注目しながら鑑賞すべきであろう。 (尚、些細な演出だが、ボウリングのレーキ(降りてくるバー)のショットが、ワイプの代用として機能しているのが、音楽の入れ方と合わせて上手かった。) あと日本語字幕についてだが、細部まで緻密に計算されて作られている映画なので、翻訳にも細心の注意を払ってほしかった。中盤、頭痛を訴える主人公に対して、看守たちがするやり取りが「何て野郎だ。あの女房殺しthat wife killerは哀れだな」「どの女房殺しwhich one?」(爆笑)と訳されているが、後者は「何奴(どいつ)のこと?」としなければ次の展開につながらない。さらに解釈次第では「(殺されたのは)どっちの女?」にも掛かっている。物語や人物が二重になっているのだから、which oneという言葉に含みがあるのは当然であり、ここはしっかり解るように訳すべきである。
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[005]デタッチメント 優しい無関心
 便所飯Bava442018-05-13
 【ネタバレ注意】
国語の臨時教師が底辺校で教育再生に努める、という筋を媒介にして、諸々な社会問題を描いている作品である。しかしながら、主人公の独白が多く挿入されており、作品の重点は、・・・
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国語の臨時教師が底辺校で教育再生に努める、という筋を媒介にして、諸々な社会問題を描いている作品である。しかしながら、主人公の独白が多く挿入されており、作品の重点は、疲労感や無力感にさいなまれる孤独なインテリの姿を描くことに置かれている。深い憂いの中、「みんな苦しいんだよ」と主人公は吐露するのだが、他人の痛みがわかる人柄ゆえに、彼の葛藤はより大きくなるのである。 現場をよくリサーチして作られているシナリオは、中盤まではかなり巧妙に作り込まれていて、真に迫ったドラマに見応えがあった。悲観的で諦念的な調子が強く出ている作品なのだが、例外として、教師の側がほどよく壊れていることには少し諧謔な見方が可能であり、特にジェームズ・カーンの、毒をもって毒を制すという教育指導が面白かった。また、週末を描いたシークエンスの対照的な爽やかさも格別であり、ドラマの展開に弾みをつけるものだった。 叙述の面では、特に編集に顕著だが、誤解や混乱を招くような、少し癖のある表現をしているのが特徴である。唐突で、主調との関連が(その時点では)不明な、フラッシュバックやインサートが多用されていて、それらの一部は遅れて意味が判明する故に、ほとんどフラッシュフォワードに近い効果を生んでいた。こうした表現は標準的な映画の規範からは逸脱しているので、なかなか大胆である。また、アップが多いためか、カット転換が多めになっており、比較的単純なショットの連続を、省略の多い、粗さを感じさせるような編集で繋いでいた。 それ以外の語りとしては、一部で主人公の独白が「語り手」の役を務めていたほか、黒板の落書きがインタータイトルの代用になっているのが珍しい趣向だった。音楽の使い方も適切であり、しぜんと状況を表していた。 難点としては、低予算で撮影日数が少ないのはわかるが、カメラがドキュメンタリー・タッチでグラグラ揺れるので画的に見栄えせず、ちょっと酔ってしまうことと、終盤で象徴性が変に高まってしまい、ドラマの印象が弱くなっていることが、挙げられる。そのため全体の完成度は高くはない。恐らく、題材が要求するリアリズムと、主人公の不安定な心理状態の反映との間で、統一感を生み出すことが出来ていないのだと思う。こうした点は評価の分かれるところである。 ちなみに、題名の「デタッチメント」は、解脱し悟りに至るという意味らしい。公私ともに苦労が絶えずに疲れが蓄積すると、そういう方向に行ってしまうのだろうか。随分と厳しい、深刻な結びである。
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[006]津川雅彦
 夕食会Bava442018-05-13
 
「日本の美」総合プロジェクト懇談会 座長 ジャポニスム2018総合推進会議 総括主査 フランスで催される予定の官製博覧会「ジャポニスム2018」に関連して、1月5日に、安・・・
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「日本の美」総合プロジェクト懇談会 座長 ジャポニスム2018総合推進会議 総括主査 フランスで催される予定の官製博覧会「ジャポニスム2018」に関連して、1月5日に、安倍晋三首相と夕食会をしたという。総理からは「日本の文化を世界に発信していきたい」と後押しを貰ったらしい。 以前から、津川氏のことをアンシャン・レジーム(古き良き世代)の代表格だと思って、注目してきたのだが、今回はその本領を存分に発揮されているようで、お見事である。総理大臣から知遇を得るというのは、大変に名誉なことであり、マキノの名に恥じぬ快挙といえる。今後の活躍に大いに期待したい。
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[007]サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ
 マニア向けBava442018-05-13
 
キアヌ・リーブスが製作とインタビュアーを兼ねているためか、出てくるメンツが非常に豪華である。様々な意見を上手くまとめて構成されているので、観やすく、内容が分かりやす・・・
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キアヌ・リーブスが製作とインタビュアーを兼ねているためか、出てくるメンツが非常に豪華である。様々な意見を上手くまとめて構成されているので、観やすく、内容が分かりやすかった。ただし、上手く編集されている分だけ、削られた部分も相当多いはずで、もったいない感じがする。 本作の要となる部分は、フィルム撮影かデジタル撮影かの是非についてだが、一般観客からすれば違いも判らず、そんなのはどうでもいい話であり、マニア向けの話題ということになる。各々の映画監督が望みの映像を作れるように、(コストも考慮に入れた上で)機材を選べばいいだけの話である。映画撮影は××にすべきだ、という押しつけがましい意見は言う必要がない。
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[008]アート・オブ・エロス 監督たちの晩餐
 収録作品Bava442018-05-13
 
このシリーズのソフトは、収録されている作品の情報が錯綜していて、よく分からないので、調べてみた。 ・『マリッジブルーの愉しみ』収録 「マリッジブルーの愉しみ」 スー・・・
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このシリーズのソフトは、収録されている作品の情報が錯綜していて、よく分からないので、調べてみた。 ・『マリッジブルーの愉しみ』収録 「マリッジブルーの愉しみ」 スーザン・シーデルマン 「ウェイティング・ルーム」 ヨス・ステリング 「タッチ・ミー」 ポール・コックス ・『悪魔のレッスン』収録 「カーシュ夫人の欲望」 ケン・ラッセル 「悪魔のレッスン」 ヤヌシュ・マイェフスキ 「ウェット」 ボブ・ラフェルソン ・『ホテル・パラダイス』収録 「ホテル・パラダイス」 ニコラス・ローグ 「ブルーン・ブルーン・ブルーン」 メルヴィン・ヴァン・ピーブルズ 「エレファント・ネバー・フォーゲット」 デトレフ・バック ・『氷の愛撫』収録 「狂熱の白日夢」 ミカ・カウリスマキ 「レッド・ガーター」 マーカス・フィッシャー 「氷の愛撫」 フリドリック・トール・フリドリクソン ちなみに、日本紹介作は12本だが、実は全部で30篇ほどあるらしい。他の作品としては、シンツィア・Th・トリーニ、ローザ・フォン・ブラウンハイム、スーザン・ストライドフェルド、ゲオルギー・シェンゲラーヤ、ハル・ハートリー、ペトル・ゼレンカ、アモス・コレックらの監督作が存在するようだ。 企画物とはいえ、一般的に短編作品は流通しにくいので、レア度は総じて高い。しかし、やっつけ仕事のような、作品の出来に疑問符のつくものがあるので、そこは残念である。
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[009]ザ・プレイヤー
 ポストモダン時代の『サンセット大通り』Bava442018-05-13
 
内幕ものとフィルムノワールの物語的枠組みを借りてきて二重にしたうえで、それらのストーリー展開上、観客が当然するであろう期待や推論をことごとくそらして解体していき、映・・・
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内幕ものとフィルムノワールの物語的枠組みを借りてきて二重にしたうえで、それらのストーリー展開上、観客が当然するであろう期待や推論をことごとくそらして解体していき、映画における約束事の存在を暴露している作品である。ハリウッド流の紋切り型を誇張して表現して、さらにその脚注まで付けてしまう念の入れようなので、80年代以降のふやけたアメリカ映画に慣れた観客には新鮮だったかもしれない。 こうした方向性の作品はえてして、作り手の存在や主張が前面に出てきてしまうものだが、アルトマンの場合は、ハリウッドへの愛憎と理知の勝ったシニカルさによって、かなり抑制された作りになっている。その表に直接出ない辛辣さによって、アクの強い、笑えないユーモアが生み出されている(ただし警察署での場面は大いに笑える)。このような要素はコメディ・リリーフとして機能しているわけだが、同時にポストモダン的な遊びとしても活用されている。細部に至るまで、通常の伝統的な劇映画とは全く異なる目的と構成を持っており、いわゆる「前衛性」は今でも失われていない。 一方で、脱構築として、虚構の破壊と風刺的パロディに終始している感があるのは難点である。それが二時間続く映画を面白いと思うかどうかは個人の好みの問題だが、映画というメディアは文学よりも物語世界への没入感がある以上、それが作りものだと認識するように強要させるのは、観客の拒絶反応を招きやすい。アルトマンはわざとそうした抵抗感を煽っており、その点、エリート的な印象を与える作品である。 個人的にはこうした抵抗感を最小にしつつ、且つメタフィクションを成立させている作品の方が美的にみて高度であり、観客の作品解釈余地もずっと大きいのではないかと考える。なので、本作はあまり好みではなく、アルトマンはやはり評価が分かれる作家だと思った。
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[010]DOOR III
 完成度は低いBava442018-05-13
 【ネタバレ注意】
ディレカンが一作目を作っているので、その残党による作品だろうか。元々OVとして作られたらしいので、予算的な制約があったとは思うが、それでも不完全な出来であり、評価が難・・・
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ディレカンが一作目を作っているので、その残党による作品だろうか。元々OVとして作られたらしいので、予算的な制約があったとは思うが、それでも不完全な出来であり、評価が難しい。 コンセプトがはっきりせずリライト不足の脚本は、前半で保険業務のことを必要以上に詳しく描いておきながら、後半になるとその設定が特に筋と関係なくなり、一貫性に欠ける。一方で、寄生虫に関することは説明不足で取って付けたような感が強い。さらに、黒沢演出のモンタージュのテンポが(ストーリーテリング重視の映画に慣れた)一般観客の生理的感覚と合わないので反応に困る。 演出・脚本ともにジャンルに対する理解がある人達ゆえに一定の見所はあるものの、全体的に過不足の多い、ムラのある出来である。最後に余計なエピローグが付いているのも蛇足で、こんなのは本編内で暗示的に表現すべきだろう。
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[011]エム・バタフライ
 M/MBava442018-05-13
 【ネタバレ注意】
バルザックの「サラジーヌ」と似た物語なのかと思いきや、途中から半端な政治ドラマに比重が移っていき、そのまま終盤に入って陳腐な印象を残して幕が閉じた。 作品は1.文化・・・
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バルザックの「サラジーヌ」と似た物語なのかと思いきや、途中から半端な政治ドラマに比重が移っていき、そのまま終盤に入って陳腐な印象を残して幕が閉じた。 作品は1.文化的相違による誤解、2.東洋趣味、3.政治ドラマで出来ており、2は1を補うもので全く問題ない。しかし、実際に起きたスパイ事件をベースにしているとはいえ、政治的動機付けはドラマの面白味と説得力を大きく損なうものなので、それを前面に出すべきではなかった。 こんなしようもない話が、芸術作品に昇華しているとはとても思えず、クローネンバーグは一体何をしたかったのか不明だ。内容的に『クライング・ゲーム』の翌年公開というのも、分が悪かった。
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[012]シモーナ
 眼球譚Bava442018-05-13
 
よくあるユーロトラッシュだが、バタイユの「眼球譚」が原作なので、好事家需要はあるだろう。メーカーの告知不足である。
  
 
[013]雨上がりの駅で
 疎外Bava442018-05-13
 
アーシア演じる主人公は、田舎出身なのでローマには居場所がなく、都会で新たな人間関係を作ることが出来ないまま、密かに自傷行為を繰り返している。ようやく、無防備な徘徊老・・・
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アーシア演じる主人公は、田舎出身なのでローマには居場所がなく、都会で新たな人間関係を作ることが出来ないまま、密かに自傷行為を繰り返している。ようやく、無防備な徘徊老人とわずかに心を通わすも、名前すら覚えてもらえないことに深く傷つき、また荒れだす・・・。 この人はもう、そういうビターな運命なのだと思う。まさに、はまり役。特に、列車の中でキスしている若いアベックを、別次元を見るかのように醒めた横目で眺める、あのさりげない場面が痛かった。 ジャンル的にはロード・ムービーになるので、あまりテーマがはっきりしていないが、二人の対照的なアウトサイダーの疎外感を描いた小品である。演出は凡庸であるが、上手く題材の心象的な部分を捉えることは出来ていた。尚、ヒロインがホテルの待合室のテレビで観ている映像は、おそらく『ストロンボリ 神の土地』だが、何か深い意味でもあるのだろうか。 (追記) 上記の文章を書いた後で知ったが、アーシアは、20年前にワインスタインから行為を強要されたと主張しているらしい。調べてみると、『Bモンキー』(98年)という映画がミラマックス製作だった。本作の後ぐらいだと思うと、感慨深い。
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[014]たのしい知識
 反=コラージュBava442018-05-13
 
ゴダールはおそらくアニメーションの創作方法を応用しているので、フォルムの印象にはある種の統一感がある。抽象性が高く、時間的・空間的位置がはっきりしない設定のなかで、・・・
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ゴダールはおそらくアニメーションの創作方法を応用しているので、フォルムの印象にはある種の統一感がある。抽象性が高く、時間的・空間的位置がはっきりしない設定のなかで、音と映像の異質な組み合わせを駆使したイメージと挿入を多用することによって、社会運動を題材にしたコラージュ風の映画を作り出している。 ただし、作者の政治的主張を背景にして、ナレーションや引用などの言語情報の比重が大きくなっているので、コラージュとしての美的な構成は否定されている。また、テレビ放映を前提に作られたとはいえ、電波音やピー音を使うのは映画として余計だったと思う。 児童向け教育番組みたいな題名は、なかなかアイロニカルであり、政治的な再構築を一から考えてみようという趣旨だろうか。映像の修辞的な作りは、比較的日本人好みの「実験映画」なので、評価する人もいるかもしれない。 尚、19分頃のショットで、まだそれほど親密な仲ではないのに、すでに男が女の肩に手をまわしている。ここを仕草に注目して観ると笑える。
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[015]人狼 JIN-ROH
 マチスモの世界Bava442018-05-13
 【ネタバレ注意】
男と女がそれぞれ素性を隠したまま物語が展開しているので、淡い恋愛ものと錯覚するかもしれないが、これは治安機関内部の権力闘争を背景に、ハニートラップを描いた作品である・・・
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男と女がそれぞれ素性を隠したまま物語が展開しているので、淡い恋愛ものと錯覚するかもしれないが、これは治安機関内部の権力闘争を背景に、ハニートラップを描いた作品である。結末は一見、悲劇的にも見えるだろうが、それを「男の定め」としてカッコいいと思わせているところに本作の特徴がある。 面白かったのは、主人公の旧友で謀略を仕掛けている側の男が、処分中の主人公の様子をわざわざ見に来る場面である。ここは後から考えると犯罪心理学的な弱さや不安の現れとして理解でき、この時点で勝負がついていることが分かる。さらに、そこに居合わせている教習所の指導教官が、実は極秘別動隊の指揮官だという設定なので、見かけ上は単調なシーンであるが、裏では熾烈なコン・ゲームになっている。(この手の世界では、優秀な若手をスカウトするために、大物が教育機関に潜り込んでいるという。) こうしたことは映画の結末部分で明らかになる物語の別の側面であるが、このような癖のある遠まわしな語り口は、より単純で直接的な内容を好む人には合わないかもしれない。また、物語の下敷きに「狼と赤頭巾」が使われているのは、ただ単にメルヘン風の雰囲気を醸し出すためだけで、あまり関連性がないように思えた。 ただ、全体としては、男性賛美の意図的なクラシック映画として、その浪漫的な反時代性は評価することができる。組織への忠誠を謳う、極めて反動的な映画なので、プロパガンダとしても利用可能だろう。
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[016]レヴェナント:蘇えりし者
 叙事詩Bava442016-04-27
 
最近の映画の傾向である、技量やテクニカルな部分へのこだわりが重視された作品で、撮影・演技は高評価されていることが納得できる出来栄えとなっている。さらに、6.5Kで撮影さ・・・
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最近の映画の傾向である、技量やテクニカルな部分へのこだわりが重視された作品で、撮影・演技は高評価されていることが納得できる出来栄えとなっている。さらに、6.5Kで撮影されたという映像は通常の映画よりも広さを感じさせ、画面にはやや重量感もあった。 プロットの方は極めてシンプルなので、2時間半の上映時間のあいだ、ほとんど物語は展開せず、出来事の描写が続く作品になっている。理不尽で過酷な環境において生存本能をむき出しにして戦う主人公に寄り添うような形で作っているので、ドラマ面では重苦しさがあり退屈することはない。一方で、そのような主観的な作りは世界観の狭さを伴うので、観終わった後に冷静になってみると、意外と叙事詩的スケールが小さいようにも感じた。 また、(台詞で示唆される)人物設定や関係性がやや腑に落ちないので、冒頭部分にもう少し説明的な要素があったほうがよかったと思う。その分フラッシュ・バックが多用されているのだが、主人公の情念を強調するために使われており、過去の出来事に対する(観客にとっての)新事実といった効果は希薄だった。 映画史的コンテクストとしてはフォードの『捜索者』や黒澤の『デルス・ウザーラ』、ヘルツォークの『アギーレ/神の怒り』の影響があるように思えたのだが、imdbをみると『荒野に生きる』(71年)という映画と同じ原作であるらしい。未見なので、そういう比較は詳しい方にお任せしたい。
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[017]ジェネラル 天国は血の匂い
 アンチ・ヒーローBava442016-03-21
 
90年代半ばのアイルランドを舞台に、“ジェネラル”と呼ばれた強盗犯マーティン・カーヒルの泥棒稼業と私生活を描いた実録犯罪ドラマ。 主人公が下層階級出身ということもあって・・・
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90年代半ばのアイルランドを舞台に、“ジェネラル”と呼ばれた強盗犯マーティン・カーヒルの泥棒稼業と私生活を描いた実録犯罪ドラマ。 主人公が下層階級出身ということもあって、冒頭部分は2000年代の中南米映画を先取りしたようなテイストと勢いがあった。全体としては、軽快なジャズに合わせて、なかなか饒舌な作りであり、コメディにならない程度のユーモアが作品の印象を軽やかにしている。また、主人公を立件しようと奮闘する因縁の検察官役を、ジョン・ボイドが力を抜いて演じており、コミカルな感すらあった。 ただ、若干尺が長めなのと、実話の制約故かドラマのメリハリに欠けるので、物語の展開には冗長さを感じた。 尚、私が見たのは色あせたカラー版で、往年のブアマン映画と比べるとやや画作りが弱く、薄っぺらい印象だったのだが、実は、海外での劇場公開時には白黒映像だったようである。確かにモノクロの方が、この映画ではより洒落た雰囲気が出てよかったのではないかと思う。露出の加減や照明もモノクロの画を前提にしている可能性があるので、できれば監督の意図した形で見てみたい。
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[018]テープヘッズ
 80年代に巻き戻せ!Bava442016-03-21
 
インチキな映像製作会社を立ち上げた主人公らがミュージック・クリップの制作を行うという話。 内容的に当時のビデオ・カルチャーや大衆文化がよく反映されているのだが、肝心・・・
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インチキな映像製作会社を立ち上げた主人公らがミュージック・クリップの制作を行うという話。 内容的に当時のビデオ・カルチャーや大衆文化がよく反映されているのだが、肝心の作品の出来は低予算B級映画の水準を出ず、特に笑えないコメディに終わった。カルト映画になるにはアクの濃さが足りなかった。
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[019]イマジン
 映画表現的にユニークBava442016-03-21
 
“I found the methods used by blind people to find their way around in the world to be both poetic and absolutely cinematic.” (英語版公式サイトの監督コメントより)・・・
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“I found the methods used by blind people to find their way around in the world to be both poetic and absolutely cinematic.” (英語版公式サイトの監督コメントより) 監督のヤキモフスキは上記のように、障害者福祉に特別関心があるわけではなく、映画的な目的をもって本作を作っている。それが理解されていないためか、世界的に見て過小評価されている感のある作品である。そんなわけで、私からみた本作の美学的観点を二点記しておきたい。 一つは「音のクロース・アップ」である。以前読んだ、西周成×大浦信行 両監督の対談の中で、普段であれば聞こえないはずの音に注意を向け拡大させるという意味で、「音のクロース・アップ」という概念が提示されていたのだが、本作などはまさにそれを多用している作品だといえる。映像のクロース・アップが日常で経験することがない反面、音のクロース・アップは身近な体験として誰もが経験していることだと思う(深夜の静かな時間に、水道の蛇口から水滴が垂れる音や、時計の秒針の響きなど)。本作の場合、音の存在は聴覚に頼って生活する主人公らの内面心理を強く反映させるので、作品に詩的な深みを出すことができる。感性に響く表現になっている。また、通常とは異なる音の聞こえ方によって、観客の事物に対する見方を変容させる異化効果も含まれている。 二つ目は、観客が知覚する物語世界(作中にあるとされる世界)と主人公の内面世界の間に不一致やズレがあるまま、ドラマが展開していることである。見えている観客と見えない主人公の間では、当然、周囲の出来事に対して認識の違いが出てくる。通常の映画では、主人公が知らないか気づいていない出来事というのはサスペンスの火種になる要素だが、本作ではその不安定さが常に生じている。そのため観客は、主人公らの想像的内面世界に台詞や表情を通して触れつつも、同時にその認識のズレをも知覚するという、特異な二重構造にさらされる。 さらに、このような二重性は必然的に、虚実が入り混じった内容を可能にする。残念ながら、ヤキモフスキはおそらくこの部分を上手く理解しないまま創作しているため、終盤が弱くなってしまっているのだが、作り方次第ではより高度な映画的ヴィジョンを示すことができたと思う。 なお、極端な見方をすれば、ポーランド人監督から見て異世界の明るい日差しのリスボンや、美男美女である主人公の外見も、彼らの心象風景にすぎないと考えることが可能である。(無論、どんな映画でも程度の差はあれ心象風景があるだろうが、この映画の場合は、盲目の主人公が実際には暗闇の世界にいるのだから、極めて対照的な舞台設定となっている。) 全体として、明確でない断片的な情報の組み合わせで意味を構築しようとしていることはモンタージュ的発想であり、表現技法には新奇さを感じさせる。それと同時に、ヤキモフスキはドラマ性を意識しており、退屈で観念的な映画にはなっていない。 基本的に最近の作家映画は内容を軽視して描写だけにこだわる傾向が強く、それが悪弊となり空疎化しているのではと思うことがある。そのため本作のように、「知る」ということの驚きや、物事に対する自分の理解を脱構築していく様が描かれている、素朴ながらも知的で誠実な映画は、新鮮で印象が良かった。
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[020]祇園の暗殺者
 後味が悪いBava442015-06-21
 【ネタバレ注意】
監督は知らない人だが、春日太一氏のオススメ時代劇らしいので、一往見てみた。 幕末の勤王派を主人公に、理想のためにやむなくやった行為から、次第にほころびが出てくる様を・・・
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監督は知らない人だが、春日太一氏のオススメ時代劇らしいので、一往見てみた。 幕末の勤王派を主人公に、理想のためにやむなくやった行為から、次第にほころびが出てくる様を、非情な展開で魅せる作品である。より客観的に観た場合は、共通の理想を謳いながら、方法論の相違を巡って次第に内ゲバに発展していく様子を描いているといえる。(当然、全共闘世代を揶揄しているのだろう) 大島渚などと同世代的なものがあって物語は面白いと思うのだが、主人公に寄り添って葛藤のあるドラマを描きたいのか、それとも突き放して冷やかに俯瞰したいのか、どちらなのか半端な感じで、脚本の方向性には釈然としないものがあった。 ただ、演出は職人的で悪くなく、同時期の集団抗争時代劇と同様、這いずりまわる様な乱雑な殺陣をする陰湿さがあって良かった。また、クレイジーになった子供の描写が変に突出してインパクトがあって凄かった。あれでは『呪怨』よりも怖く、やりすぎである。
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[021]ボーグマン
 ボディ・スナッチャー/移民の恐怖Bava442015-06-21
 
かつてのSF映画『ボディ・スナッチャー』が、いつの間にか隣人が赤化して別人になるという共産主義への恐怖を描いていたとすれば、本作の場合は、欧州への移民によって自分た・・・
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かつてのSF映画『ボディ・スナッチャー』が、いつの間にか隣人が赤化して別人になるという共産主義への恐怖を描いていたとすれば、本作の場合は、欧州への移民によって自分たちの居場所が次第に乗っ取られていく様を隠喩としている不条理ホラーだといえる。 ただ、そういうシリアスな社会的背景があるとはいえ、監督のヴァーメルダムは、基本的にはブラック・コメディの作家なので、本作でも小ネタ満載でかなり笑わせてくれる。ジャンル映画の範疇に収まる作品でありながら、カンヌのコンペ部門に出品されているだけあって、最近のホラー映画の中では、頭ひとつ抜けた出来である。
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[022]スウィート ヒアアフター
 純文学的Bava442015-06-21
 【ネタバレ注意】
主役の弁護士に代表される合理主義的な価値観に対して疑念を示している、暗い人間ドラマ。 一見、謎解き的であるプロット構成の合理性を、弁護士の破たんした私生活のプリズム・・・
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主役の弁護士に代表される合理主義的な価値観に対して疑念を示している、暗い人間ドラマ。 一見、謎解き的であるプロット構成の合理性を、弁護士の破たんした私生活のプリズムを通すことで解体させていき、得体の知れないものを浮かび上がらせていくことに成功している。 「笛吹き男」のテクストを下地に使う寓話性や、はっきりとした主張を行わない演出には、多少『ピクニックatハンギングロック』のテイストに近いものがあった。また、終盤になってそのテクストが、死んだ子供たちに向けられるのではなく、弁護士に踊らされる大人たちに向けられる奪胎があり、面白かった。 ただし、作品のテーマが不明瞭なのと、時制の変化がやや分かりにくいのが難点だった。不可解なものを分からないままにするのは、表現内容にある種の広義性を出すだろうが、もう少し絞った方が良かったのではと思う。あと題材の割に「コミュニティー」の概念が弱いことも気になった。
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[023]西部魂
 宣伝映画Bava442015-06-21
 
20世紀FOXが製作した、アメリカの大手電信会社「ウェスタン・ユニオン」の宣伝映画。1941年当時に、カラー映画を企業宣伝のために丸々一本作ってしまうとは凄いことである。 ・・・
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20世紀FOXが製作した、アメリカの大手電信会社「ウェスタン・ユニオン」の宣伝映画。1941年当時に、カラー映画を企業宣伝のために丸々一本作ってしまうとは凄いことである。 西部劇という当時の大衆的ジャンルを用いて、意外にも娯楽性の強い作品になっていると思うが、南部側の悪役たちの動機や背景がよく分からず、締めくくり方が釈然としなかった。(無論、あまりにも明確な敵がいたとしたら企業として問題だろうが。) 個人的にこの会社のサービスは何回か利用したことがあるので、こんな映画を作っていたのかと、ちょっとした驚きである。今だったら、あざとい広告として忌避されるだろうに。
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[024]どたんば
 吐夢×橋本忍Bava442015-06-21
 
炭鉱で起きた落盤事故で5人の炭鉱夫が坑内に閉じ込められ、地上からの決死の救出作戦が行われるという内容を、迫真のリアリズムで描いた群像劇。 題材的に面白そうであるが、・・・
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炭鉱で起きた落盤事故で5人の炭鉱夫が坑内に閉じ込められ、地上からの決死の救出作戦が行われるという内容を、迫真のリアリズムで描いた群像劇。 題材的に面白そうであるが、中盤はややテーマがずれて空回りをしている。物語の展開に全く寄与しない地上の人間同士の余計なドラマは、吐夢の個人的葛藤に過ぎないだろう。原作があるとはいえ、絞り込みが足りず風呂敷を広げすぎである。劇構成的にみた場合は、始まって20分程度で事故が起きる導入部の浅さに、中だるみの原因があるのかもしれない。 また、閉じ込められた側のドラマというのがほとんど描かれていないため、志村喬が二度の落盤事故を生き抜いたベテラン炭鉱夫であるという設定が全然活かされておらず、物足りなさを感じた。 吐夢の演出は怪獣映画並みの迫力があるので、脚本さえしっかりしていれば、クルーゾーの『恐怖の報酬』に匹敵する世界的名画になったはずである。当時はこの手のジャンルの物語がまだ確立していなかったのかもしれないが、惜しいと思う。 57年キネ旬ベストテン第7位
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[025]新座頭市物語 折れた杖
 地図に載っていない町Bava442015-06-21
 
勝新演出には、消化不良の面白さというのがあって、程よく壊れたまま展開するのだが、それが面白いと思えるのは一時間弱であって、長編劇映画というフォーマットではかなりダレ・・・
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勝新演出には、消化不良の面白さというのがあって、程よく壊れたまま展開するのだが、それが面白いと思えるのは一時間弱であって、長編劇映画というフォーマットではかなりダレてくる。それは脚本の構成が悪いからではなく、勝新がホンに興味がないからというのが実際のところなのだろう。映像的には変わったショットを要求しているとは思うが、正直、殺陣の見せ方や編集は良いとは言えない。 もっともこの人は、この路線をこのまま突き進んで、白日夢的な境地にまで到達するから、本作はまだまだ通過点である。後年ほどではないが、舞台設定にやや抽象性があって奇妙な感じがする。すごく主観性の強い映画である。
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[026]蒼い記憶
 フィルム・ノワールBava442015-06-21
 【ネタバレ注意】
オープニングでいきなり複数の時制を示され困惑するが、中盤まではほぼその調子で進むので少し覚悟が必要である。映像的には、青色の照明や変な切り返しがあって、スタイリッシ・・・
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オープニングでいきなり複数の時制を示され困惑するが、中盤まではほぼその調子で進むので少し覚悟が必要である。映像的には、青色の照明や変な切り返しがあって、スタイリッシュな印象が強い。ただし、こうしたプロット構成も映像スタイルも特に効果があるわけではなく、ただ単に観にくくなっているだけのような気がする。 問題なのは、他人の脚本とはいえ、この古風なストーリーで一体何をしたかったのか、よく分からないことである。切り口はともかく、物語面でのリアリティ(パターンや約束事)が50年は違うので、違和感があった。基本的な演出は上手く、主役の俳優たちも良いので、わざわざ犯罪映画にせずとも普通のドラマ作品で十分見ごたえのある良作になったと思う。 ただそうした難点を考慮に入れても、世間一般の評価は低すぎではないだろうかと思っていたところ、ラストにバカ映画級の酷いオチが待っていた。呆気にとられているなか、エンドクレジットの際の音楽がやけに楽しそうで、神経に障る。これが観客の逆鱗に触れるのだろう。
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[027]シャルロット・フォー・エヴァー
 セット撮影Bava442015-06-21
 
全編、燃え尽きた灰のような、けだるい感覚の中で、シャルロットだけは冴えておりカッコ良く撮られている。照明も構図も音響も全部そのためだけに奉仕しているように見える。 ・・・
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全編、燃え尽きた灰のような、けだるい感覚の中で、シャルロットだけは冴えておりカッコ良く撮られている。照明も構図も音響も全部そのためだけに奉仕しているように見える。 演出は表現のバリエーションに欠けるのだが、強烈な個性で引っ張っていくので、なかなか魅せる。物語性がほとんどないので、他人の脚本で撮っていれば少しは面白い作品になったと思う。 監督の歪んだイメージの実現のために、スタッフはいい仕事をしているなと感心していたら、the endの後で(多分に自己完結的ではあるが)その苦労に報いるショットがあった。この部分を見ると、本作がどんなタイプの映画か一目で分かる。
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[028]DISTANCE/ディスタンス
 ナイト・オブ・ザ・リビング・デッドBava442014-10-31
 
「(迷いのない根本的確信:中心的理念の有無について。) 「中心」というものは、人間が自己と世界に関する観念の秩序だった体系を自分のために作り出すべき場所であり、その・・・
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「(迷いのない根本的確信:中心的理念の有無について。) 「中心」というものは、人間が自己と世界に関する観念の秩序だった体系を自分のために作り出すべき場所であり、その観念の体系によってさまざまな努力の方向性が規制されるのである。「中心」の問題にまったく注意を向けないとしても、中心が空白のまま残されることはない。暗黒時代にともかく精神が受け入れたあの大思想が中心に入り込んでくるだろう。(中略)それは人生の意味と目的の完全な否定であり、その信者のたどりつく先は絶望一色である。」(「スモール・イズ・ビューティフル」p122 E・F・シューマッハー) 題材となった事件そのものは描かずに、別の角度から、その遠因となった根源的な問題点を浮かび上がらせようとしている意欲的な作品。結果として、現代日本人の内面的な空虚さと、話が噛み合わない対話性の無さが、リアリティをもって描かれていたように思う。 ただし作るなら、もっと聞き取りやすい日本語で台詞を話してくれないと、ボソボソと何を言っているのかさっぱり分からなかった。こういうのは内容以前の欠陥になるのではないだろうか。 映画としては、シネマ・ヴェリテ風で、映像で語るタイプの作品なのだろうが、シチュエーションが特殊なわりに説明不足であり、同時に無駄なショットが多い。また、唐突なフラッシュバックは繋がっておらず、強い違和感がある。特に警察の取り調べ場面などは陳腐である。作風はともかく、もうちょっと「語り」の仕方を考えるべきだったと思う。 ちなみに、本作で描かれているような(知的な人間関係を持つことができない)凡人たちについては、オルテガの名著「大衆の反逆」で詳しく解かれている。いい虫除けになるので、意識の高い方は読むことをお薦めする。
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[029]サム・クレバノフ
 国境なき映画Bava442014-10-31
 
ロシアでアート映画の配給会社を経営していたのだが、最近、裁判所から破産宣告を受けてしまった。 これに限らず、世界的に映画業界はかなり厳しくなっているようである。日本・・・
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ロシアでアート映画の配給会社を経営していたのだが、最近、裁判所から破産宣告を受けてしまった。 これに限らず、世界的に映画業界はかなり厳しくなっているようである。日本の業界も他人事ではないので、あと数年で同じ道をたどることだろう。
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[030]鬼の詩
 前半は良かったBava442014-10-31
 
大映出身の監督だけあって、前半はTV版「座頭市」を連想させるような荒涼とした雰囲気があり、文化性も感じさせる。そこに林光の雪解け水のような爽やかな音楽が重なることで、・・・
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大映出身の監督だけあって、前半はTV版「座頭市」を連想させるような荒涼とした雰囲気があり、文化性も感じさせる。そこに林光の雪解け水のような爽やかな音楽が重なることで、詩情を醸し出している部分があった。 ただし、後半になるとほとんど一人芝居を見ているかのような、広がりのない物語になってくるので興味が薄れた。また、製作された時代を反映してか変にアングラな部分があり、完成度を落としていた。 「アングラ」という要素もまた、(ATG映画にとっては)受け狙いの商業的特徴に過ぎないのだから、不必要だと思う。
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