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 「黒美君彦」さんのコメント一覧 登録数(3445件)rss
 コメント題投稿者投稿日
[001]タレンタイム〜優しい歌
 良かった黒美君彦2017-04-28
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>7回目の芸能コンクール「タレンタイム」に向けて、マレーシアの高校はざわついている。予選を勝ち抜いたのは7人。女子生徒ムルー(パメラ・チョン)は、リハーサ・・・
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<あらすじ>7回目の芸能コンクール「タレンタイム」に向けて、マレーシアの高校はざわついている。予選を勝ち抜いたのは7人。女子生徒ムルー(パメラ・チョン)は、リハーサルの送迎役を担うマヘシュ(マヘシュ・ジュガル・キショール)と恋に落ちるが、マヘシュは耳が聴こえなかった。二胡を演奏する中国系の優等生カーホウ(ハワード・ホン・カーホウ)は、成績トップで自作の歌を歌う転入生ハフィズ(モハマド・シャフィー・ナスウィップ)にライバル心を抱いていた。一方でマヘシュの叔父は結婚式の夜に些細なことからイスラム教徒によって射殺されてしまう。ハフィズは脳腫瘍で闘病中の母を介護していた…。 マレーシア映画を観るのは初めてかも知れない。 マレーシアといえば、北朝鮮の金正男が暗殺された空港のある国として注目されたが、もともとマレー系、インド系、中国系(華人系)による他民族国家で、言葉も公用語のマレー語、タミール語、中国語、英語が飛び交っている。しかも19世紀にイギリスの植民地だったこともあり、英連邦の一員でもある。 登場する高校生たちの家庭も国が入り乱れている。 ムルーは父がイギリス系とマレー系のハーフで、母はマレー系。家の宗教はイスラム教。母親同様に育ててくれたメイリンは華人系でムスリム。 マヘシュはインド系でヒンドゥー教徒。母方の叔父に可愛がられたが叔父は昔、ムスリムの娘と恋に落ち、マヘシュの母に反対されて諦めた過去があった。 ハフィズはマレー系ムスリム。 カーホウは華人系だ。 高校生たちの夢と現実と恋。宗教も言葉も民族も違う、そんな壁を越えようとする彼らの姿に胸が熱くなる。 マヘシュが手話で会話する、というのは、多言語の壁を越える象徴でもある。言葉は違っていても、心を通わせることはできる。 ムルーとマヘシュがひとつの座布団を枕に眠っているシーンは、ムルーの伸びやかな肢体が美しくて、改めて若いっていいなあと思ってしまった。 そしてマツコ・デラックスによく似ている(笑)タレンタイムを主導する女性教師アディバ先生(アディーバ・ヌール)も、同僚からの愛の告白に「好きな人がいるの」と答える。 回想や独白、歌にインサートされるカットがどれも愛おしい。 女性監督のヤスミン・アフマドは1958年生まれ。母方の祖母は日本人で、英国で心理学を学んだというが、監督六作目の本作が完成した後の2009年、脳内出血で51歳の若さで亡くなったという。 その才能の喪失が惜しまれる。
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[002]六月燈の三姉妹
 そぞろ歩き黒美君彦2017-04-24
 【ネタバレ注意】
思いがけず出会った好編。いわゆる“ご当地”映画ではあるのだが、舞台となっている鹿児島を押しつける感じはなく、ごくありふれた市井の温かな空気が心地よい。 舞台となってい・・・
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思いがけず出会った好編。いわゆる“ご当地”映画ではあるのだが、舞台となっている鹿児島を押しつける感じはなく、ごくありふれた市井の温かな空気が心地よい。 舞台となっている鹿児島市真砂の商店街にある和菓子屋「とら屋」。頑固な主人有馬慎平(西田聖志郎)と、慎平の浮気で離婚した中薗恵子(市毛良枝)、出戻りの長女静江(吉田羊)、三女の栄(徳永えり)が暮らしているが、そこに次女の奈美江(吹石一恵)が東京から帰ってくる。奈美江は夫の平川徹(津田寛治)と離婚する気で戻ってきたのだが、奈美江のあとを追って徹まで鹿児島にやってくる。 この家族、相当にややこしい。 母恵子と静江、奈美江の父親は早々に離婚し、奈美江は父親と17歳まで一緒に暮らすが、その父が死んだため、その後母や静江と暮らした。栄は恵子と慎平の間の娘で、姉たちとは異父姉妹ということになる。しかも同居しながら恵子と慎平は離婚しているというのだから…。 不倫していることがバレて母親から叱責され、家を飛び出た徳永えりと、吉田羊、吹石一恵が夜の商店街をそぞろ歩くシーンが秀逸。 地方都市の寂れていく商店街を背景に、それぞれが抱える思いや悩みがぶつかり合うわけだけど、無理な設定もなくすんなり三姉妹の世界に入っていけた。 そもそもこの映画の原作となった舞台から慎平役を演じてきた西田聖志郎が巧い。 2009年頃から全国で公演されたそうだけど、舞台とは異なる映像空間でも西田は頑固で、しかもちょっと情けない家長の役を好演している。 吹石一恵を追ってきた夫を演じた津田寛治もいい役どころ。 吹石一恵は嫁姑問題で離婚協議まで発展してしまったようだけど、実は好きな人も出来ていた、というやや複雑な心境。そこに妹の不倫話が舞い込んできたりして、結局落ち着くところに落ち着いていく。 エピソードが互いを邪魔せずに、見事なハーモニーを見せているのは、職人佐々部清監督の手腕か。 「六月燈」とは、7月(旧暦の6月)に鹿児島県内の神社や寺院で行われお祭りで、薩摩藩の二代藩主島津光久が、上山寺新照院に観音堂を建立して供養のために燈籠を灯したのがきっかけなのだとか。 鹿児島に伝わる古い習俗なのだが、暑い夏になかなか似合う。 夏のヒグラシの声などノイズも良かった。 ご当地ものだけれど、そこに留まらないよく出来ている秀作だと思う。
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[003]あなたにドロップキックを
 脚本がいい黒美君彦2017-04-21
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>看護師の秋吉秋子(イモトアヤコ)は結婚を約束した小林健二(高橋光臣)から突然「本当に好きだったのは幼なじみだったんだ」とフラれる。絶望した彼女は、女子レ・・・
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<あらすじ>看護師の秋吉秋子(イモトアヤコ)は結婚を約束した小林健二(高橋光臣)から突然「本当に好きだったのは幼なじみだったんだ」とフラれる。絶望した彼女は、女子レスリング教室に通い始め、そこで悪役として活躍するモモ(安川惡斗)と出会う。彼女は秋子の病院に入院している恋人に求婚されるも、悪役レスラーとしてリングに上がっていることを言い出せずにいた。そこへ秋子の部屋に、健二の幼なじみが謝りにやってくる…。 日本放送作家協会とNHKが募集する「創作テレビドラマ大賞」受賞の、中谷典子さんの脚本をもとにした単発ドラマ。前年を100編以上上回る999編の応募作から選ばれたのだとか。 イモトアヤコが等身大の適齢期女性の役を巧演。「自分は常に人生の脇役」と諦めてしまう彼女。わからないではない(笑)。 しかし、恋人にリング上で戦う姿を見せるモモに触発され、もう一度プライドを引き戻す秋子。痴漢の背後からドロップキックを決めた瞬間、彼女は自らの背中を押された気になる。悲劇のヒロインのように謝って楽になろうとするのは許せない!と元恋人に啖呵を切るのが気持ちいい。 イモトアヤコは巧くはないが、こんな女性いるいる、と思わせる。民放の恋愛ものではあり得ない配役(笑)。 元プロレスラーの安川惡斗のリング上での戦いは胸が熱くなってしまった。 元恋人へのドロップキックも実写ではなくアニメで処理するのはウマい。 脚本がよく練られていて、なかなか面白い作品でした。
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[004]盗まれた恋
 何も盗まれていないけど黒美君彦2017-04-21
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>浅草の踊り子だった蟹良子(久慈あさみ)と能登半子(加藤道子)は劇場閉鎖で失業。そこで良子は毎日花束を贈ってきた銀行専務の阿久根隆(森雅之)と結婚を目論む。とこ・・・
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<あらすじ>浅草の踊り子だった蟹良子(久慈あさみ)と能登半子(加藤道子)は劇場閉鎖で失業。そこで良子は毎日花束を贈ってきた銀行専務の阿久根隆(森雅之)と結婚を目論む。ところが阿久根は結婚はいやだが、恋愛のためなら何でもしようというので、良子は許婚の画家を有名にして欲しいとでまかせをいう。街で知り合った画家三田門太(川喜多小六)の個展を開催させるが、評判は散々。阿久根に文句を言うと、金の力で新聞には提灯記事が載り、美術評論家の宗方宗太郎(志村喬)までも買収されてしまう。酔った宗方に酷評された三田は、作品を切り刻むが、残された作品に宗方は芸術の萌芽を見出す…。 新東宝でプログラムピクチャーを量産していた頃の市川崑監督のコメディ作品。テンポが良くて面白い。 オープニングで久慈あさみ(当時29歳)、森雅之(40歳)、加藤道子(31歳)、志村喬(46歳)、川喜多小六(27歳)にそれぞれ「アイラブユー」と言わせる、なんて当時の映画としては洒落ている。 森雅之が演じた銀行家の阿久根は、徹頭徹尾、早口でまくし立てる超ポジティブ思考の男。何でもスポーツ精神で徹底してやれば可能になると信じるところはある意味単細胞。彼にとっては過去成し遂げたことが自慢で仕方ない。 「人生はスポーツなり、というのが僕のモットーなんですがね、ものにするまで粘るんですね。碁は一年で二段まで来ました。柔道は二年で三段、ゴルフは4年でハンディ8。競馬じゃ50万儲けました。みんなスポーツの精神でやりました。実に愉快なもんですよ」 しかし、と彼は考える。「女はダメです」。 阿久根と良子のやりとりから作られる“一流”画家、三田門太を演じる川喜多小六も好感度が高い。独学で続けてきた自分の才能を信じる男が、メディアの力であっという間に時代の寵児になる、というのは昔も今もそうそう変わらない。 浅草や有楽町、渋谷界隈が、ほんの少しだが映るのも1951年当時の町並みが窺われ興味深い。 浅草では1951年5月に公開された美空ひばり主演の『泣きぬれた人形』(千葉泰樹監督)、前年末に公開された『摩天楼』(キング・ヴィダー監督)の看板が、そして加藤道子が働く喫茶店には藤田進主演の1951年5月公開『新遊侠伝 遊侠往来』(佐伯清監督)のポスターが見える。 ということは1951年6月のこの映画、ロケは公開直前、ということになる。 それにしてもラスト、阿久根が鮎釣りを同じようにしている隣の男(東野英治郎)に「あんたは誰だ」と問うと「あたしもあい釣りをしている者ですよ」と答え、その直後川のなかで釣りをしていた阿久根の秘書古谷(伊藤雄之助)が転倒する、というシーンで終わるけれど、あれは何を意味しているんだろう。 それからもうひとつ、現在残っている台本にはタイトルとして『I LOVE YOU』としかないが、この作品のどこが「盗まれた恋」なのだろう。何も盗まれていないけれど…不思議。
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[005]抗い 記録作家 林えいだい
 記録を続ける意味黒美君彦2017-04-17
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>記録作家・林えいだい(1933〜)は、神主だった父・寅治を憲兵隊の苛烈な拷問で亡くした。父は炭鉱から脱走した朝鮮人鉱夫を匿っていた。そうした記憶から林は、三・・・
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<あらすじ>記録作家・林えいだい(1933〜)は、神主だった父・寅治を憲兵隊の苛烈な拷問で亡くした。父は炭鉱から脱走した朝鮮人鉱夫を匿っていた。そうした記憶から林は、三十代後半から筑豊を中心に、戦争の傷や朝鮮人強制連行の記録などを丹念に記録してきた。80歳を超えてがんに侵されながらなお取材と記録を続ける林えいだいを追う。 RKB毎日放送のドキュメンタリーの映画化。カネミ油症や朝鮮人強制連行など数々の記録を精力的に書いてきた林えいだい。 字を書くのに力が入らなくなってきたからと、指と万年筆をテープで固定する執念は凄まじい。 国家権力に虐げられてきた人々の証言を丹念に掘り起こし、記録していく。 林は公害問題と直面して記録作家としての道を歩みだしたという。 終戦直前、ある半島出身の特攻隊員が銃殺された重爆特攻機「さくら弾機」放火事件をめぐっては、冤罪の可能性が高いという証言を得る。この取材は2016年秋、57冊目のルポルタージュとして出版された。 歴史においてすべて国家は善であり、被害はすべてウソである、というオルタナ・ファクトがもてはやされる昨今、愚直なまでに記録にこだわる林えいだいの執念はある意味すがすがしくさえある。 林は自らを「国賊・非国民」の子、と定義する。 そう決めつけられたからこそ見えるものがある。それは決して高みから見下ろすものではない。 あるぶれない男の半生を描いたドキュメンタリー作品だ。
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[006]トレインスポッティング
 ヘロヘロヘロイン黒美君彦2017-04-17
 
何だかんだで観る機会を逸してようやく拝見。 90年代半ばのスコットランドのヤク中の若者群像。タイトルの「TRAINSPOTTING(鉄道オタク)」って、廃線の操車場で薬物をヤるヤク・・・
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何だかんだで観る機会を逸してようやく拝見。 90年代半ばのスコットランドのヤク中の若者群像。タイトルの「TRAINSPOTTING(鉄道オタク)」って、廃線の操車場で薬物をヤるヤク中のことなんだそうで。 あの頃のスコットランドはあんな感じだった?ドラッグとアルコールと犯罪と暴力、セックス。そんな自由が謳歌できるのは、多分社会が安定しているから。ただエイズへの恐怖もちゃんと入っていて、一方的でないところが面白い。かといって全然教訓的ではないんだけど。 個人的にはレントンの禁断症状の妄想シーンが印象に残った。 傑作か?と問われると、個人的にはもろ手を挙げて賛成とまではいかないのだが、S・キューブリックの『時計仕掛けのオレンジ』と並び評されるのはよくわかる。 真っ直ぐに人生を生きられる人間ばかりじゃない。 妥協しつつ、生きるしかないから生きているだけ、という感性に共鳴する、そんな作品なんだろうと思う。 そういえばこの作品が撮影された頃にロンドンとか行ったなあ、なんていう個人的な思い出も蘇ってしまった。
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[007]標的の島 風(かじ)かたか
 地域の分断黒美君彦2017-04-17
 【ネタバレ注意】
沖縄戦で敗走する日本軍は多くの民間人を見殺しにした。本土決戦を前に、国は沖縄を捨石にした。そんな歴史を負った沖縄が、今また軍備拡張の舞台となっている。 現場にあるの・・・
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沖縄戦で敗走する日本軍は多くの民間人を見殺しにした。本土決戦を前に、国は沖縄を捨石にした。そんな歴史を負った沖縄が、今また軍備拡張の舞台となっている。 現場にあるのはまた繰り返される「地域の分断」だ。 米軍の高江ヘリパッド建設や辺野古移設、宮古島の自衛隊機地設置に沖縄のみなが反対しているわけではない、と右派は鬼の首をとったように言う。それはそうだろう。原発建設と同じだ。原発を建設すれば地域経済が潤うとか、雇用が増えるとか、そんなことは言われなくてもわかっている。だが、一度許してしまうとこの国では後戻りはできなくなる。だから反対する人たちは命懸けで抗議する。 彼らは主張する。離島に軍事施設を作るということは、そこが攻撃目標にもなるということだ。島民はどこへ逃げればいいのか。そこまで考えているのか。軍事力が抑止効果を持つ、というのは検証が不可能だ。抑止力に対抗するのは先制攻撃しかない。先制攻撃が行われた瞬間、「抑止力」は機能しなかったことになる。それは有事の前には有効性が検証できないのだ。 沖縄をめぐるドキュメンタリー作品第三作となる三上智恵監督は、抗議する住民を排除する警察権力を怒りを込めて描く。沖縄県警と反対住民はもう顔見知りで笑顔を交わすこともあるが、本土から大挙やってきた各都府県警の機動隊員らは容赦ない。そこまで沖縄を蹂躙する目的は何なのか。 作品では、各地で育まれて来た地域の伝統行事も紹介される。ユーモラスなやりとりの背景にある悲しみや怒り。 非暴力の住民たちの素顔を、国も国民もどうして見ようとしないのか。 絶望的なまでの圧倒的な権力に、「反対する自分がいたという歴史は残る」と抵抗を続ける住民たち。 沖縄の現実のひとつの側面を描いた労作である。
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[008]■嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件
 懐中電灯黒美君彦2017-04-17
 【ネタバレ注意】
柔らかな陽射しと、深い夜の闇。その両面を抱える思春期の少年少女の群像を、この作品は浮かび上がらせる。 舞台は1960年代初めの台北。 建国高校夜間部に通う小四(シャオスー・・・
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柔らかな陽射しと、深い夜の闇。その両面を抱える思春期の少年少女の群像を、この作品は浮かび上がらせる。 舞台は1960年代初めの台北。 建国高校夜間部に通う小四(シャオスー/チャン・チェン)は不良グループ「小公園」のひとり王茂(ワンマオ/ワン・チーザン)や飛機(フェイジー/クー・ユールン)といつも遊んでいた。小四はある日、小明(シャオミン/リサ・ヤン)と知り合う。彼女は小公園のボス、ハニー(リン・ホンミン)の女だった。ハニーは対立するグループのボスと小明を奪い合い、相手を殺して台南へ逃げていた。小四は新たに転校してきた軍司令官の息子小馬(シャオマー/タン・チーガン)ともつるむ。そこにハニーが帰ってくる…。 実際に起きた事件にインスパイアされてエドワード・ヤンが監督した作品。同世代が犯した少女殺人事件に大きなショックを受けたという。 台湾では日本統治が終わった1940年代後半に中国本土から台湾に移り住んだ「外省人」と、もともと台湾にいた「本省人」とが、微妙な格差構造にあった。 外省人は共産党のスパイではないかと疑われることもあった。この作品でも小四の父親が秘密警察に連行されるシーンがある。 繊細な少年の少女への思いは、不良グループというには犯罪的な殺伐としたグループに毒されていく。 そもそも小明がグループのボス(といっても少年だが)の“女”であった、というところから、彼らが台湾の下層部のコピーであることがわかる。 小四は冒頭で、撮影所から懐中電灯を盗む。 その懐中電灯は、先の見えない闇を照らすかすかな光だった。「小明」という名と、懐中電灯が重なっていることはいうまでもない。 「軍人村」のボス山東(シャンドン/ヤン・シュンチン)はハニーを走ってくる車の前に突き出して殺し、小四は台湾ヤクザに山東を殺させる。そんな殺伐としたなかで小四は夜間部を退学となり、心機一転昼間部に転入することを決意する。 しかし彼が、親友の小馬の家が小明母子を住み込みで雇い、小馬が小明を弄んでいることを知った時、何かが崩れ落ちる。 懐中電灯を手放した彼は、現代でいえばストーカーに過ぎない。 彼は小明に対して「君のこと全部知ってるよ。でも気にしない。僕だけが知ってて君を助けられる。君には僕だけだ」と言うが、この言葉は小明を苛立たせる。「あなたなら私を変えられると? あなたも同じね。ほかの人と同じ。親切にするのは私の愛情がほしいから。そして安心したい。自分勝手ね」そして「私を変えたい?私はこの世界と同じよ変わるはずがない。あなたは何なの?」と。 小四は小明が世界のすべてになっていた。だから拒絶されるわけにはいかなかったのだ。「君こそなんだ!恥知らず!」と小四は刃物を小明に突き立てる。殺し合いを目の当たりにして来た彼が刃先を向けたのは、もしかすると「闇」に対してだったのかも知れない。 小四は死刑判決を一旦受けるが、結局懲役15年となったという。 3時間56分という長大な作品だが、最後まで退屈する場面もなく緊張感が持続する。 比較的まともだったはずの小四が、なぜ凶行に至ったのか。繊細であるが故に爆発する怒りは、何処から来たものだったのか。 時代背景とともに丹念に描いた傑作だと思う。
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[009]チア☆ダン 〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜
 広瀬すずのオーラ黒美君彦2017-04-14
 【ネタバレ注意】
正統派青春ストーリーの王道を行くストーリーだが、やはり広瀬すずのオーラは凄い、と改めて痛感した。 『ちはやふる』にも似たサクセスストーリーではあるが、今回はからだ全・・・
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正統派青春ストーリーの王道を行くストーリーだが、やはり広瀬すずのオーラは凄い、と改めて痛感した。 『ちはやふる』にも似たサクセスストーリーではあるが、今回はからだ全体で表現するチアダンス。少女たちの笑顔がとにかく眩しい。 展開はある程度予想通りではあるが、エピソードをテンポ良く見せるので長くは感じない。部長を演じる中条あやみも頑張っていて好感度が高い。生徒たちの背景もさくっと紹介するのも巧い。 先生役の天海祐希は端役で終わるのかと思わせつつ、ラストでぐっと存在感が増す。 苦難の末の笑顔はやはり胸を打つ。そして広瀬すずの目力がとにかくいい。 このストーリーの元となっているのは、県立福井商業高校のチアダンス部JETS。2009年に全米チアダンス選手権で優勝するなど、内外のチアダンス大会で幾度も優勝しているのだとか。そのレベルに近づくために広瀬や中条らは猛特訓を重ねたのだとか。全米大会のダンスシーンは確かに感動モノだ。 正統派青春ストーリーであることは確かだけれど、キレイごとではない反目や停滞も巧く取り込んでいて、観た後は爽やかな気分になれた。
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[010]プリデスティネーション
 尾を食べる蛇黒美君彦2017-04-12
 【ネタバレ注意】
タイムパラドックスを突きつめたR・A・ハインラインの短編を、見事に映像化した古典SFの薫りも漂う秀作。 イーサン・ホークはともかく、ひとり二役を演じきったセーラ・ス・・・
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タイムパラドックスを突きつめたR・A・ハインラインの短編を、見事に映像化した古典SFの薫りも漂う秀作。 イーサン・ホークはともかく、ひとり二役を演じきったセーラ・スヌークが巧い。 冒頭こそ爆弾処理をめぐる銃撃戦あり、顔の大火傷ありで、何かが何かになり替わることは推定できるけれど、その後の1970年11月の酒場でのバーテンダー(イーサン・ホーク)に語るジョン(セーラ・スヌーク)の世にも奇妙な生い立ちシーンが長くて、冒頭のシーンを忘れてしまった(ことはない 笑)。 航時局なる秘密エージェントの一員であるイーサン・ホークが、最終的に目指していたのは史上最悪の爆弾魔フィルズ・ボマーの犯行阻止だったのか? 何度も時空を超えて心を病んだイーサン・ホークは、爆弾魔になってしまうわけだけれど(ラストのアップはそれを示唆している?)、犯行直前にフィルズ・ボマーを殺してしまったら、爆弾事件は阻止され、この映画における無限ループは壊れてしまう。 それとも結局爆弾事件は起きてしまうのか?? 鶏が先か卵が先か、という例えが出てくるように、一人の人物がぐるぐると入れ替わり過去の自分に影響を及ぼす。挙句の果てに両性具有まで持ち込んで完全ひとりループを作り上げてしまう。いろいろな伏線が張られているので、奇妙な緊張感も持続する。 最後までよくわからなかったのが、航時局幹部のロバートソン(ノア・テイラー)の存在。彼は時標変換キットを提供して、歴史上のさまざまな事件を阻止するエージェントのボス(中間管理職?)に過ぎないのか。けれどそもそも事件を阻止すれば歴史が変わり、航時局も存在しなくなる可能性がある…とまあ、そういうところは目をつぶって(笑)。 しかし、両性具有とはいえ、自分とそんな関係になれるか?という疑問が最も大きかったりするけど(笑)。 スピエリッグ兄弟の作品は初見だったが、なかなかセンスの良さを感じた。それにしてもこの英語そのままの邦題、何とかならないものか。 プリデスティネーションって単語の意味、すぐにわかる人はさほど多くないと思うけどな。
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[011]ゴースト・イン・ザ・シェル
 意外に楽しめた黒美君彦2017-04-11
 【ネタバレ注意】
米国では興行的に失敗とみなされたとか。確かに陰鬱なテイストは、アメリカでは受けないかも。 いうまでもなく押井守監督『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(1995年)の影響・・・
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米国では興行的に失敗とみなされたとか。確かに陰鬱なテイストは、アメリカでは受けないかも。 いうまでもなく押井守監督『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(1995年)の影響をもろに受けた実写版。 スカーレット・ヨハンソンは意外に頑張っているし、香港や日本をイメージした東アジア的サイバー都市空間の描写もリアル。欧米的なイメージからは程遠く、それも米国での苦戦を招いたのかもしれない。米国では映画の内容やキャストではなく、起用されたキャストの「Whitewashing」(原作では有色人種が主役なのに、ハリウッド版ではキャストが白人ばかりになる)問題だという指摘もあるが、これは許容範囲だと思うけどな。アジア系も大勢出ていたし。 個人的には面白く観たのだけれど、原作が「人間とは何か」という哲学的な問いに溢れていたのに対して、この作品では少佐の自分探しに留まってしまったところがいいのか悪いのか。わかりやすくなったといえば聞こえはいいけど。 たとえばこんな台詞。「人間を人間たらしめるのは、記憶じゃない。あなたが、何をするかだ」。 そんな単純なことではないだろう、と思ってしまう。記憶は拠って立つアイデンティティーそのものだろうと思うからだ。 ただ、繰り返しになるが個人的には面白く観た。 エンディングで流れる川井憲次の音楽が、オリジナルへのリスペクトを表現しているとも感じたし(全編川井憲次を使っても良かったのに、とも思うけど)。 「草薙素子」の母として出演した桃井かおりは悪くなかったけれど、荒巻大輔役の北野武は滑舌が悪すぎて、日本語なのに聞き取りにくい。 それにしてもCGって何でも出来てしまうなあ。逆に言えば実写版の意味はあるのだろうか、とも思ってしまうけど。
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[012]ルンタ
 松明黒美君彦2017-04-10
 
<あらすじ>中国による圧政が続くチベット。自らに火を放ち抵抗を示す“焼身抗議”が後を絶たない。インド北部の町ダラムサラには、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が・・・
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<あらすじ>中国による圧政が続くチベット。自らに火を放ち抵抗を示す“焼身抗議”が後を絶たない。インド北部の町ダラムサラには、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が暮らしている。そこに30年間住み続けている建築家中原一博は、NGO代表としてチベット人支援を続けている…。 タイトルの「ルンタ」とは、チベット語で“風の馬”を意味するそうで、人々の願いを仏や神々のもとに届ける役割を担っているらしい。 仏教を尊び、非暴力を貫くチベットの人々はいま、どのような状況に生き、何を考えているのか。 焼身抗議はもう150人を超えているという。自らに火を放ち、自らを抗議の松明にするというのは、徹底した非暴力の象徴といえるかもしれない。 だが、池谷監督が本当に描きたかったのは、「酷い目にあわせた中国でさえも許そうとする、チベット人の「利他」や「慈悲」といった他者を思いやる心」だという。 チベットでは1949年のチベット併合以降、弾圧が続いた。特に1959年のラサ蜂起では3日間で1万人〜1万5千人の市民が虐殺されたとチベット亡命政府が指摘している。 現在も中共による弾圧や虐殺は続いているとされ、市民たちは密告を恐れて何も語らない。だからこの映画の後半、チベットを訪れた池谷監督と中原は市民たちに何も尋ねない。 誰もいない場所で中原が「チベットに勝利を!」と叫ぶばかりだ…。 まずはチベットで何が起きているかを知ってほしい、と池谷は語る。 このチベットを描いた映画もまた、故郷を根こそぎ奪われた人々の物語だ。 アジアの諸問題も個人としては詳しくないが、それでいいのか、と突きつけられた気がした。
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[013]先祖になる
 頑固ひと筋黒美君彦2017-04-10
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>東日本大震災で大きく被災した岩手県陸前高田市。77歳になる佐藤直志は農林業を営んでいる。消防団員だった47歳の長男を亡くし、妻は「もうここには住みたくない」・・・
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<あらすじ>東日本大震災で大きく被災した岩手県陸前高田市。77歳になる佐藤直志は農林業を営んでいる。消防団員だった47歳の長男を亡くし、妻は「もうここには住みたくない」と家を出て行く。しかし彼は、先祖代々住んできた土地に家を建てようと決意する…。 監督の池谷薫は震災発生ひと月後に陸前高田市に向かい、そこで花見を催す佐藤直志と出会ったという。以来50回以上東京から陸前高田に通い続けた。 監督自ら語るように、この作品はいわゆる「震災」を描いた映画ではない。頑固に自分の土地に固執する老人の生き様を丹念に追った作品だ。彼は言う。「水さえあればどこででも生きてゆける」と。 高台移転を促されても彼は首を縦には振らない。先祖代々生きてきた土地を離れる気はさらさらないのだ。 木こりとして今も働く佐藤はこうも言う。「(被災地の人は)働かないともらい癖がつく。このまま2、3年するとダメになる」。 津波にも流されなかった家を「気仙大工のいい仕事のおかげ」と讃えながら、彼はそこにもう一度家を建てる決心をする。その一徹な頑固さをよく知る妻は「私はイヤ」と言って別居する。それも仕方がない、と佐藤は相棒の菅野剛とともに地域にこだわる。 震災は人の命や財産を奪うだけでなく、その地域の伝統や文化をも奪ってしまう。開催が危ぶまれた気仙町のけんか七夕まつりで青年部のリーダーが「青年部は解散したくねえんだ!」と絶叫する。それは、仮設住宅や高台移転といった無機的な“復興”へのアンチテーゼでもある。 さらに「来年家を建てる」と宣言した佐藤は、本当に家を建ててしまった。 その実行力の凄さ。池谷監督のいう「傑物ですよ」という意味が本当によくわかる。 この作品には一切仮設住宅は登場しない。そこもいわゆる「震災」映画とは一線を画すところだろう。 奪われても奪われても立ち上がる、夢を持ち続ける、そんな男の生き様がこの作品には描かれている。だがわがままなだけではなく、彼は周囲に対してもとても優しい。そんな佐藤直志さんという市井の人の魅力でこの映画は成立している。
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[014]サラエヴォの銃声
 ホテル・ヨーロッパ黒美君彦2017-04-10
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>2014年6月28日は、第一次世界大戦勃発のきっかけとなった皇太子夫妻暗殺事件=サラエヴォ事件から100年の記念日に向けて、サラエヴォ最高級のホテル“ホテル・ヨー・・・
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<あらすじ>2014年6月28日は、第一次世界大戦勃発のきっかけとなった皇太子夫妻暗殺事件=サラエヴォ事件から100年の記念日に向けて、サラエヴォ最高級のホテル“ホテル・ヨーロッパ”では、記念式典の準備に追われていた。そのホテルの屋上では、ジャーナリスト・ヴェドラナ(ヴェドラナ・セクサン)が戦争について暗殺者と同じ名のガヴリロ・プリンツィプ(ムハメド・ハジョヴィッチ)にインタビューをし、式典に招待されたVIPジャック(ジャック・ウェバー)は演説の練習をしている。しかしその背後ではホテルの従業員がストライキを企て、ラミヤ(スネジャナ・ヴィドヴィッチ)はストの中心である母と支配人オメル(イズディン・バイロヴィッチ)の板ばさみになる。そんな混沌とするホテルに鳴り響く一発の銃声…。 原作はベルナール=アンリ・レヴィによる戯曲。 文字通りホテルは混沌としたヨーロッパを象徴している。 1908年に、オーストリアがボスニア・ヘルツェゴビナを併合。南スラヴ諸国への統合を望んでいたボスニアに住むセルビア人の多くは強い反感を抱き、民族間の対立感情が高まった。1914年6月28日、オーストリアの皇位継承者フランツ・フェルディナント夫妻がサラエボ視察中に暗殺される。世にいう「サラエヴォ事件」だ。 犯人はボスニア系セルビア人の青年ガヴリロ・プリンツィプで、犯行グループの一人が、武器がセルビア政府の支給品であることを自白した。この事件がきっかけでオーストリアがセルビア政府に宣戦布告したことが、第一次世界大戦の直接的な引き金だったのだ。 プリンツィプはテロリストとされているが、いまだに多くのセルビア人は彼を「英雄」と捉えている。ジャーナリストとの対話でそんな「ズレ」が浮かび上がる。 一方、ホテルの裏側では不穏な動きが蠢いている。資金繰りに困っているらしく、従業員の給料は二か月未払いのままだ。従業員たちはストを企て、支配人は闇の勢力に解決を依頼する。 ラミヤがホテルのバックヤードを歩き回るその後ろをカメラがずっとついていく。見かけは瀟洒なホテルだが、裏側には汚れた通路が迷路のように入り組んでいる。そこには見えない力が働いているのだ。 いわゆるグランド・ホテル形式で展開される群像劇は、ボスニア・ヘルツェゴビナをめぐる近現代史をある程度知らないとついていくのは難しいかも知れない。 そして現代ヨーロッパが直面する数々の問題も。 一度はEUとしてひとつになったはずの欧州だが、英国が離脱、フランスをはじめ各国で移民排斥を主張する政党が勢力を拡大するなど不穏な空気が流れ始めている。 イスラム国によるテロもまた、その不穏な空気に拍車をかける。 サラエヴォ事件から100年経った今も、一発の銃声によって大きく国際関係が揺らぐ可能性を秘めているのだ。 なかなか一筋縄ではいかない作品。もう少し知識をつけないと。
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[015]千住クレイジーボーイズ
 短編小説のような黒美君彦2017-04-06
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>かつて売れっ子漫才コンビ「クレイジーボーイズ」のひとりだった辰村恵吾(塚本高史)は仕事もなくなり、恋人にも愛想をつかされて一文無しに。足立区でかつての相・・・
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<あらすじ>かつて売れっ子漫才コンビ「クレイジーボーイズ」のひとりだった辰村恵吾(塚本高史)は仕事もなくなり、恋人にも愛想をつかされて一文無しに。足立区でかつての相方斎藤行(小池徹平)やシングルマザー指江のばら(比嘉愛未)、元ヤンキーの床屋野町巧馬(北村有起哉)とその仲間と出会う。行の部屋に転がり込み、銭湯で岩丸龍二(品川徹)の手伝いを始めるが、お節介な人々に恵吾は馴染めない。そんな折、「メモリアルリバース千住」という町おこしイベントで、恵吾のステージが企画される…。 東京舞台にわざわざ「地域発ドラマ」を作らなくても…と思ったけれど、これが意外に面白かった。 主役に敢えて地域を背負わせなかったのが正解。嫌なヤツを主人公に、短編小説のような趣のある作品に仕上がった。 塚本高史は、自らのネタの才能に頼って地道な努力をバカにするヤツ。自分を特別扱いするいわゆる自我肥大に陥っているヤツって、周りにも結構いるよなあ。 下町の距離感は難しいところもあるけれど、適度な関係を保てれば意外に居心地がいい。 それは「自己責任」といった言葉で自分を縛らないから。 北村有起哉の台詞で「隣で困っているヤツがいれば助けるんだよ」というのがあったけれど、そうしたエピソードとして女の子の不明事件を入れるあたりはなかなか巧い。その辺は作者の高羽彩のセンスの良さが感じられる。 1時間ドラマで全てを語ることは無理がある。そうした中この作品は、無理せず「余白」を感じさせている点で、なかなか良くできていた。
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[016]南國土佐を後にして
 もっと土佐の風景を見たかった黒美君彦2017-04-05
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>賭博がらみの暴力沙汰で服役していた原田譲司(小林旭)は、出所後母のぶ(高野由美)と恋人春江(浅丘ルリ子)のいる高知に戻った。刑務所に慰問で訪れたペギー葉・・・
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<あらすじ>賭博がらみの暴力沙汰で服役していた原田譲司(小林旭)は、出所後母のぶ(高野由美)と恋人春江(浅丘ルリ子)のいる高知に戻った。刑務所に慰問で訪れたペギー葉山の歌う「南国土佐を後にして」が彼の琴線に触れたのだ。特攻隊員として出撃した亡き兄の許婚者はま子(南田洋子)は別れの場でこの歌を歌っていた。高知で春江は、父親の作った借金のためにヤクザの北村(内田良平)と結婚することになっていた。しかし帰郷した彼は前科ゆえに職になかなか就けず、再び東京に戻る。はま子の世話になる譲司に彼女の妹の麻子(中原早苗)が迫るが、彼は春江の借金を返すために最後の大博打に挑む…。 “ダイスの目”という異名をとる男が小林旭の役どころ。昔の仲間であるヤクザの会津(二本柳寛)とベレーの寛(西村晃)の前で、ツボに5つのダイスを入れて振り、ツボを開けるとダイスが見事に5つ重ねられている、というシーンがあるが、これ一切ネタのない妙技なのだとか。本当かな。 もともとこの「南国土佐を後にして」は、高知出身者が多いことから「鯨部隊」と呼ばれた陸軍の朝倉歩兵236連隊で生まれたのだとか。それを武政英策が改変し、1958年ペギー葉山の歌でミリオンセラーになった。 高知がもっと前面に出てくるのかと思いきや、冒頭でよさこい祭の様子が出てくるくらいで、あとは基本的にドラマが中心。 この作品では浅丘ルリ子が受身であまり活かされていないけれど、南田洋子や中原早苗といった今は亡き女優たちが美しい。 小林旭の出世作らしいけれど、ストーリーは凡庸。 ヤクザ役の内田良平ももう少し活かしようがあったように思うけれど。 若き日のペギー葉山が本人役で出演(当時25歳)。当時まだ20歳だった小林旭をやさしく励ます有名歌手、という役そのまんま。 もう少し土佐の風情を感じられる作品になっていたら良かったのに…と思う。 ※追記:このコメントを書いた一週間後の2017年4月12日にペギー葉山さんが83歳で亡くなった。めぐりあわせとはいえ、不思議な感覚に襲われた。伸びやかな歌声が忘れられない。お悔やみ申し上げます。
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[017]アシュラ
 楽しい!(?)バイオレンスアクション黒美君彦2017-04-05
 【ネタバレ注意】
内容によっては絶対寝てしまいそうな、そんな体調の芳しくない夜に観たこの作品、相変わらずのバイオレンスアクションなのだけれど、なぜか楽しく観て元気がもらえた! 登場人・・・
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内容によっては絶対寝てしまいそうな、そんな体調の芳しくない夜に観たこの作品、相変わらずのバイオレンスアクションなのだけれど、なぜか楽しく観て元気がもらえた! 登場人物がとにかくみな濃い。 架空の都市アンナムの刑事ハン・ドギョン(チョン・ウソン)は重い病の妻のために、弟分の後輩ムン・ソンモ(チュ・ジフン)とともに悪徳市長パク・ソンベ(ファン・ジョンミン)の裏の仕事を引き受けてきた。しかし市長の摘発を目指す特捜検事キム・チャイン(クァク・ドウォン)やト・チャンハク(チョン・マンシク)は、ドギョンを使って不正の証拠をつかもうとする…というストーリー。 主役のチョン・ウソンをはじめ殺人の手助けもしてしまう悪徳警官、摘発のためには拷問も辞さない検察チーム、そしてあらゆる悪を駆使して利権を貪る市長と、この作品には悪役しか出てこないこの潔さ(笑)。 チョン・ウソンが車を運転するカーチェイスは、どうやって撮影したのだろうと思わせる迫力がある。 ラストのクライマックスに向かって、凄まじいまでの暴力が展開する。ここまでイタタタ系が続くと普通嫌気がさすものだが、編集のテンポがいいのか、全く飽きることなく最後まで楽しく?観られた。 これまで出演したドラマや映画では人の好い役柄を好演していて、好感度が高いファン・ジョンミンが徹底した悪役を演じるのだが、これがまた格段に巧い。 そこにイケメンのチョン・ウソンやチュ・ジフンが絡むのだから面白くないわけがない。 はっきり言って結末は読めるし、そこに向けてぐんぐんテンションが上がっていくのも一目瞭然なのだけど、最後にキム・チャイン検事が寝返ってしまう徹底ぶりはスゴい。こんなの嫌だなあ(笑)。 でも何だろう、この面白さ。最近観たバイオレンス・アクション作のなかではとっても気に入った作品なのでした。
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[018]今日も地獄でお待ちしています
 地獄よいとこ黒美君彦2017-04-04
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>大分・別府市鉄輪(かんなわ)。温泉地であるこの場所には「貸間旅館」という自炊の素泊まり宿が点在している。そのひとつ「清和荘」の一人娘・藤原ひかる(徳永えり・・・
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<あらすじ>大分・別府市鉄輪(かんなわ)。温泉地であるこの場所には「貸間旅館」という自炊の素泊まり宿が点在している。そのひとつ「清和荘」の一人娘・藤原ひかる(徳永えり)は、女将の母・綾子(銀粉蝶)が倒れて足が不自由になったことから、東京から戻り貸間を継ぐと宣言するが、綾子はそれを認めず「貸間は閉じる」という。そんな清和荘に、一見ヤクザ風でワケありっぽい池内三郎と名乗る男(松方弘樹)がやってくる…。 いわゆる「Uターン」ものではあるが、親が跡を継ぐことを認めない、というところが新しいといえるかも。 徳永えりの若いがゆえの傲慢さもよく表現できていた。夜の風景であちこちから湯煙があがって照明が滲むシーンなど、別府ならではの光景も切り取られていて悪くない。 鉄輪温泉は鎌倉時代に一遍上人が開湯したともいわれ、湯治場として古から発展してきた。長期にわたる湯治のために安く宿泊できる「貸間旅館」がかつては数多く存在した。ただ、宿賃が安いがゆえに経営はなかなか大変なようで、少しずつ貸間は減りつつあるようだ。 ここではそんな厳しい経済環境の中で経営を継ぐことの難しさを象徴する人物として、大手企業の会長として松方弘樹が出演。息子への委譲をためらう親心をうまく配している。 松方弘樹は2017年1月に74歳で亡くなったが、2012年10月の彼の公式ブログを見ると、別府温泉でのロケを楽しむ彼のコメントが残っていて(初回OAは2013年1月)、何ともやるせない気になった。ドラマでは病をまったく感じさせないだけに、彼の存在感の大きさを改めて思う。
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[019]蠢動 -しゅんどう-
 何が武士道黒美君彦2017-04-03
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>大飢饉より三年が過ぎた享保二十(1735)年。山陰の因幡藩で、剣術師範の原田大八郎(平岳大)は、藩を守るため自刃した父をもつ香川廣樹(脇崎智史)や木村一浩(花田・・・
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<あらすじ>大飢饉より三年が過ぎた享保二十(1735)年。山陰の因幡藩で、剣術師範の原田大八郎(平岳大)は、藩を守るため自刃した父をもつ香川廣樹(脇崎智史)や木村一浩(花田昇太朗)を教えていた。香川の姉由紀(さとう珠緒)は木村に嫁入りする予定だった。ある日、城代家老の荒木源義(若林豪)のもとに、用人舟瀬太悟(中原丈雄)が剣術指南役の松宮十三(目黒祐樹)の密書を持ち込む。松宮は藩の失政を密かに幕府に報告していたのだ。荒木は一計を案じ、原田に松宮を斬らせ、それを剣術修行を志す血気盛んな香川の仕業にしようと思いつく…。 自主映画界初の16mm時代劇として知られる監督作『蠢動』(1982年)から30年。三上康雄監督が三代続いた家業の会社を売り払って製作した作品、といった方が良いだろうか。 製作費が高騰することからメジャーでも敬遠しがちな時代劇に挑んだこの作品は、ある意味とてもストイックだ。 音楽もほとんど使っていないが、ずっと小さな町のノイズのようなものが聴こえていたような気がする…気のせいかもしれないけど。 若き藩士たちの演技は今ひとつだが、家老を演じた若林豪、剣術師範役の平岳大はさすがに巧い。 藩を守るために腕の立つ香川に罪をなすりつけるなんて、武士道の鑑にもとるのだが、ラストに向けての雪中の斬り合いはなかなか迫力がある。さすがに追手たちが弱すぎるだろ、と思わないではないが。 権力者は保身のために、簡単に若い命を犠牲にする。武士道とは何ぞや、所詮はその程度ではないのか、と問いかけるような終盤、夜になって雪の上に武士の遺骸が放置されている光景が印象に残る。 「どうしてこうなるんだー!」という香川の無念の叫びも印象的だ。 地味といえば地味ではあるが、こうした時代劇がインディーズで製作されたことに驚きを禁じ得ない。 次回作にも期待したいところだ。
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[020]雪女
 冷ややかなエロス黒美君彦2017-04-03
 【ネタバレ注意】
国際的な活躍が注目される俳優でもある杉野希妃の監督第三作。 交通事故に遭って長く入院するなどするなかで、小泉八雲『怪談』に収められた「雪女」に心を惹かれたのだという・・・
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国際的な活躍が注目される俳優でもある杉野希妃の監督第三作。 交通事故に遭って長く入院するなどするなかで、小泉八雲『怪談』に収められた「雪女」に心を惹かれたのだという。 ただ小泉八雲の「雪女」はごくごく短い物語だ。監督は、雪女である雪(杉野希妃)と所帯を持つ巳乃吉(青木崇高)との生活のディテイルを書き込み、雪女が人間になっていく過程を描こうとした。 物語はどこかシュールな薫りがする。冒頭の雪山のエピソードはモノクロで、渡し舟で川を跨ぐことは彼我の世界を行き来するかのようだ。 音楽と映像の美しさが印象的だ。 雪女はやがて巳乃吉との間にウメ(山口まゆ)という娘をもうける。 ウメは異界とこの世とのいわば混血だ。彼女自身が何らかの能力をもっているかは最後まで明らかにされない。 雪女はどこか冷ややかなエロスを帯びた存在だ。 自ら演じた杉野希妃は雪女にしては健康的で「熱」を感じてしまう分やや損しているようにも思えるが、人間の女として巳乃吉と温泉で交わるシーンは熱演。雪女、溶けちまわないか?と心配にもなったけど(笑)。 この作品では「他者との関わり」を監督は意識したというが、寧ろ不条理な世界を描いた映画として観た方がいいかも知れない。 すべての解答が用意されているわけではないので、自由に想像し補えばいいのだと思う。 脇役の水野久美や佐野史郎も悪くない。というか水野久美も「婆ば」役なんだなあ、と若き日の美貌を知っているだけに少し複雑…。 あんまり頭でっかちでないところに好感が持てる作品だった。
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[021]ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命
 ケネディ神話黒美君彦2017-04-03
 【ネタバレ注意】
ジャクリーン・ケネディにスポットを当てたドキュメンタリー番組(NHKBSプレミアム「アナザーストーリー」)を以前観たことがあるせいか、JFKの暗殺後の夫人の立ち居振る舞・・・
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ジャクリーン・ケネディにスポットを当てたドキュメンタリー番組(NHKBSプレミアム「アナザーストーリー」)を以前観たことがあるせいか、JFKの暗殺後の夫人の立ち居振る舞いにはさほど新味は感じなかった。 敢えて血痕が飛び散ったスーツのまま、夫の遺体とともに空港に降り立ったジャクリーン。ファーストレディとして、暗殺された大統領をいかに最後の舞台に立たせるのかに腐心する姿。 悲しみや怒りを内面に抱えながら、現実に立ち向かう彼女をナタリー・ポートマンが好演している。 相談役として唯一心を許せるのは義弟のボビーことロバート・F・ケネディ(ピーター・サースガード)。P・サースガードは『アイヒマンの後継者』での主演を観たばかりだったので、続けざまのサースガード体験(笑)。 当時の米国の混乱が感じられる記録映像をところどころに挿入しているところは巧い。1960年代のファッションやテレビ取材に対する語りなどは興味深く拝見した。 ただ、個人的にはケネディ暗殺をめぐるエピソードはほぼ語り尽くされた感があり、本作で新たな視点が示されたというものではないように思う。その意味では個人的にはやや物足りなさを感じないではなかった。 彼女もまたケネディ神話の一部をなしていることは確かなのだけど。
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[022]ムーンライト
 痛々しくも美しい黒美君彦2017-04-03
 【ネタバレ注意】
苦難のなかで、自らの魂に忠実であろうとするひとりのアフリカ系米国人の三つの時代を描いた作品。 ポスターの黒人男性の写真をよく見ると、三分割されたポートレートはそれぞ・・・
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苦難のなかで、自らの魂に忠実であろうとするひとりのアフリカ系米国人の三つの時代を描いた作品。 ポスターの黒人男性の写真をよく見ると、三分割されたポートレートはそれぞれ別の顔だ。それはシャロンというアフリカ系アメリカンの子ども時代、少年時代、そして大人になってからの三つの時代を意味している。 子ども時代のシャロン(アレックス・ヒバート)は「リトル」と呼ばれ、いじめの標的になっている。彼はどこか頼りなく、本人が気づくまでもなく母親をはじめとする周囲は、彼がゲイであることを見抜いている。けれどそこで彼を助けるフアン(マハーシャラ・アリ)というキューバ出身の麻薬の売人がいい。彼はシャロンを可愛がり、海で水泳まで教えてくれる(ちなみに水泳を習う機会がない黒人は少なくないという)。麻薬に溺れるシャロンの母親ポーラ(ナオミ・ハリス)と衝突までしながら。「あんたがヤクを売っているんじゃないか」という母親の指摘は正しいが、フアンはそんな矛盾を抱えた「大人」として描かれる。 フアンがキューバ時代の思い出話として語る「月明かりで、おまえはブルーに輝く」という言葉が深く刻まれる。 10代のシャロンは、相変わらずいじめの標的ではあるが、できるだけ距離を置いて巻き込まれないように努めている。唯一心を許せるのは、ケヴィン(ジャレル・ジェローム)だけ。シャロンは彼に対する感情を抑えつけるが、ある月の晩に互いの気持ちに気づく。そしてその感情はあるいじめによってシャロンの感情を爆発させ、彼は逮捕されてしまう。 そして大人のシャロン。筋肉モリモリになったシャロン(トレヴァンテ・ローズ)は、出所後麻薬密売人になり羽振りもいい。そんな彼の元に突然ケヴィンから電話がかかる。 マッチョなシャロンの切ない瞳が何ともいえない。俺に触れたのはお前だけだ、なんて、「純愛」そのままではないか。 今やLGBTにQ(ジェンダークイア=性別が当てはまらない)がつく時代。 貧困、麻薬、黒人、そして性的少数者という困難が容易に想像できる環境の中で、かすかな救いを描いている。そこには次世代の子どもには真っ当な暮らしをさせたいと考える大人や、ストイックな純愛がある。 アン・リー監督の『ブロークバック・マウンテン』(2005年)を想起するところもあるが、本作はより現代に近い。 1979年生まれの監督バリー・ジェンキンスと、原案となっている戯曲を書いたタレル・アルヴィン・マクレイニーは、偶然にもほぼ同じ時代をフロリダ州マイアミのリバティ・スクエアという、住民の9割以上がアフリカ系という町で育っていた。 『ムーンライト』はマクレイニーの自伝的作品でもあり、実際彼の母親は重度の麻薬中毒で、エイズで亡くなっているという。そしてジェンキンスの母親もまた麻薬中毒だった…。 リバティ・スクエアは、二人にとってとても重い場所であるが、敢えてそこをロケ地にしたのは、リバティ・スクエアが二人の出発地でもあるからだろう。 お前は苦難のなかでどう生きるのか。この作品がどこか聖性を帯びるのは、少し大袈裟にいえば、それがまるでキリストの苦難とも重なるからかも知れない。 音楽も見事(ジェンキンス監督は、大島渚監督『御法度』の坂本龍一の音楽をイメージしたという)。 単なるアフリカ系アメリカンを主人公にした作品、というだけではない普遍性がこの映画から感じられる傑作である。
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[023]アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発
 鋭い問いかけ黒美君彦2017-03-31
 【ネタバレ注意】
社会心理学者のスタンレー・ミルグラム(ピーター・サースガード)が1961年に行った「権威への服従」実験を軸にした実験的な作品。 ユダヤ人の両親を持つ彼は、なぜホロコース・・・
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社会心理学者のスタンレー・ミルグラム(ピーター・サースガード)が1961年に行った「権威への服従」実験を軸にした実験的な作品。 ユダヤ人の両親を持つ彼は、なぜホロコーストが起きたのかを解明したい、と考えた。当時、アイヒマン裁判も含めてナチス=モンスター(怪物)だったのだ、という論調があちこちで見られた。 つまり「彼ら=非人間的存在」であり、「私たち」とは異質の存在だからあれだけの虐殺や残虐行為ができたのだ、という解釈だ。 果たしてそうなのか、と疑義を呈したのが「悪の陳腐化」を唱えた哲学者ハンナ・アーレントであり、実験を通じてそれを証明しようとしたのがこのミルグラムだ。 主人公のミルグラムはいつも陰鬱な表情を浮かべ、実験の意義や他の研究者への辛らつな言葉をスクリーン越しに観客に語りかける。 実験結果は、責任を負わない立場の人間は、それが他者への攻撃であっても殆どがたやすく命令に服従し続ける、というものだった。 被験者に嘘をついて行われたこうした実験に対して、その後、倫理的に問題があると学会はもちろん、一般からもミルグラムは批判を受ける。 そんな彼を支えていたのは、妻サシャ(ウィノナ・ライダー)だった。 こうした心理実験は倫理的な問題と常に表裏一体だ。1971年のスタンフォード監獄実験(看守役と囚人役に分けた時に、時間経過とともに役割に合わせていくようになる心理状態を観察した)の例を挙げるまでもなく、場合によっては被験者が深く心的外傷を負う恐れがあるから…つまり、気づいていなかった暴力的な自分自身の存在を気づかされてしまうからだ。 だが、こうした心理実験の結果、人間はいとも簡単に暴力的になったり残虐行為が出来てしまったりすることが明らかになりつつある。アイヒマンは思考停止した小役人に過ぎず、あらゆる人の中にそうした暴力への萌芽は隠されていることは今や否定できない。 倫理的に許されない、という声は、単にそうした内面の直視から逃れたい、ということに違いない。 たとえばどうして人間はしてもいない犯罪を自白してしまうのか。そこには拘禁状態におかれた独特の心理状態を知る必要がある。バイアスのない状態での心理実験は同時に拘禁症状を招く危険を孕んでいる。 映像はやや演劇風。廊下で歩きながら観客に話しかけるミルグラムの後ろを、本物のゾウがゆっくり歩く奇妙なシーンもある。しかし誰もそれに気づかないふりをすれば、何も起きない。ゾウがいるぞ!子どもの顔が青く塗られているぞ!と誰かがおかしいと言い出さない限り、人間は同調圧力に押し流されてしまうのだ。 ピーター・サースガードは往年のウィリアム・シャトナーに似ているよな、と思っていたら、1976年にCBSが製作したドラマでミルグラムの役を演じたのがウィリアム・シャトナーが演じたのだとか。 1984年に51歳の若さで亡くなったミルグラムだが、彼の数々の心理実験は今もその多くが有効だ。 人間が同調しようとするのは、おそらくは防衛機制なのだと思う。多数に身を寄せることで、自らの安全を確保しようとしてしまうのだ。 だから同調圧力や服従のメカニズムを理解したうえで、自分自身の行動を決めていくべきなのだ。そうでないと、また大虐殺は必ず起きてしまう。 ミルグラムが幾度か「ミルグラムの意味はヘブライ語で『ザクロ』だ」と語っていたが、それってどういう暗喩だったのだろうか。
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[024]嘘なんてひとつもないの
 ヘンなの黒美君彦2017-03-29
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>対人恐怖症で7年も引きこもっている24歳の山崎真は、パイロットになる夢を抱いていたが、航空大学の受験も年齢制限ぎりぎりになっていた。フライトシミュレーショ・・・
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<あらすじ>対人恐怖症で7年も引きこもっている24歳の山崎真は、パイロットになる夢を抱いていたが、航空大学の受験も年齢制限ぎりぎりになっていた。フライトシミュレーションをするネトゲ仲間の「コツカ」だけが唯一の友達。母の香津子(戸田菜穂)とも口を利かない。そんな真がふとしたことでネットで可愛い女の子と知り合う。同じく対人恐怖症だという彼女の名は「ヤマザキマコト」(山崎真琴=石井杏奈)。対人恐怖症と闘いながら、ついに出逢った実物の彼女だったが、すべてはドッキリ番組だったと知り…。 CMプランナーでクリエイティブディレクターとして知られる篠原誠の原案で、脚本や演出も30代半ばという実験的なドラマ。 ファンタジーなのだけど、ところどころリアリティがあるのが良いのか悪いのか。最後まで観ても何となく狐につままれた気分。 もう一人の山崎真琴に何度も何度も裏切られる真。単に美人に弱いだけじゃん。 そしてそこにつけこむ真琴と番組制作者(?)。意味わからん。依頼者は母親ということになっているが、あんな筋立てを求める母親なんて最低だし、何度も何度も騙す女にも憤り以外何も感じない。 アメリカでパイロット免許をとるべく導いたのも実は真琴だった、なんてそれも全く信用できないし、結局このドラマはすべて真の脳内妄想だったとした方がまだはっきりしていいと思うけどな。 といいつつ、これはいったいどうなるんだ?と思わせるので、ついつい観てしまったけれど。 OPの切ないハーモニカの響きはいい。
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[025]わたしは、ダニエル・ブレイク
 I'm a man,not a dog黒美君彦2017-03-29
 【ネタバレ注意】
名匠ケン・ローチ監督が引退宣言を撤回して製作したこの作品。弱者への冷たい視線は、いわゆる先進国共通の病なのだと痛感する。 財政赤字を解消するという名目で導入される緊・・・
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名匠ケン・ローチ監督が引退宣言を撤回して製作したこの作品。弱者への冷たい視線は、いわゆる先進国共通の病なのだと痛感する。 財政赤字を解消するという名目で導入される緊縮政策。これは予算支出を徹底的に減らそうというもの。つまり、税金を高くして公共事業を軒並み民営化することによって政府の支出を減らそうというもので、声を上げることが出来ない生活保護など福祉面の給付金が徹底的にカットされる結果を招く。 英国がいまその状況にあるのは間違いない。 心臓が悪く、主治医から就労が禁じられても、認定人は審査でくだらない質問を繰り返した挙句「就労可能」と結論づける。就職活動をしないと手当ては出ないと脅され、態度が悪いと支給停止をふりかざす。 小役人たちは「規則」をたてに、僅かなミスも容赦しない。 その結果野垂れ死にしたとしても、そこで浴びせられるのは「自己責任」の言葉だろう。 その現状は、ダニエル・ブレイク(デイヴ・ジョーンズ)だけの問題ではなく、英国独自の問題ではなく、おそらく経済が停滞するどの国でも起きていることである。 ニューカッスルで大工として生きてきたダニエルはパソコンも満足に扱えないが、いまや何でもかんでも「ウェブサイトを見ろ」「そこから申請しろ」だ。 彼の苛立ちはわがことのように伝わってくる。いったい自分が何をしたというのだ。真面目に生きてきて、どうしてこんな目に遭わなくてはならないのか。 そこに子ども二人を抱えたシングルマザー、ケイティ(ヘイリー・スクワイアーズ)との出会いが生まれる。ロンドンのホームレス収容所を追い出された彼女は、あてがわれたアパートのあるニューカッスルでいきなり冷水を浴びせられ、手当てがもらえない。 彼女を非難するのは簡単だ。将来的展望のない男の子どもを産み、捨てられた若い女。子どもがいるので働き口すらなかなかない。夢は抱いているが、目先の食事すらままならず万引きをしてしまう。そして手っ取り早く稼ぐために風俗に身をやつす…。 セーフティネットが機能しない社会とは、何と非情だろう。 誰もが予期しない不幸に見舞われる可能性がある。その不幸に立ち向かう手助けをするのが、セーフティネットであったはずなのに、それを機能させないがために、不幸は倍にも三倍にもなってしまう。やがてセーフティネットが信頼されなくなり、誰も信用できないギスギスした社会になってしまう。悪いのは誰だ、と悪者探しが始まり、やがて排他的な自己中心的な社会に変貌していく…。 それが私たちの望んでいた社会なのか? ダニエル・ブレイクが遺した言葉は、すべての現代人に投げかけられている。 「私は誇りを持って税金を納めてきた」「地位の高い人間に媚びることはなかったが、困っている隣人は助けてきた」「私は、ダニエル・ブレイクで、住民社会保険番号ではない。私は人間で、犬じゃない。」 「他人には敬意をもって接するべきだ」という当たり前のことが失われた不寛容な社会は息苦しく、生きにくい。21世紀に入って加速するそんな生きづらさを描いた、まさに現代を象徴する作品だ。 映画初主演だというコメディアン、デイヴ・ジョーンズが人の好い労働者階級の男を巧演。 ネットを操り、非合法的に安く中国製のシューズを輸入する隣に住むチャイナを演じたケマ・シカズウェもなかなかいいアクセント。 ストーリーもわかりやすく、「現代」の病弊が透けて見える作品に仕上がっている。
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[026]LEADERS II
 男くさい佳作ドラマ黒美君彦2017-03-27
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>1934(昭和9)年、自動車需要は加速していた日本には、アメリカのフォードやGMが本格的に参入し、しのぎを削っていた。同じ頃、愛知自動織機の常務・愛知佐一郎 (・・・
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<あらすじ>1934(昭和9)年、自動車需要は加速していた日本には、アメリカのフォードやGMが本格的に参入し、しのぎを削っていた。同じ頃、愛知自動織機の常務・愛知佐一郎 (佐藤浩市)は、国産自動車の開発を手がけ始めていた。名古屋のGM車販売店「日の出モータース」の支配人・山崎亘(内野聖陽)は、日下部誠(東出昌大)とともに一方的で不公平な販売方針を押しつけられることに嫌気をさしていたが、ある日偶然、山崎は愛知に出会う。国産車なんてムリだ、という山崎だったが、「俺たちは夢を作っているんだ!」という愛知に惹かれる。そして彼は「アイチ自動車」販売店第一号になることを決意するが…。 トヨタ自動車創業者の豊田喜一郎をモデルにしたドラマの第二弾。2014年3月に二夜連続で放送された前作は、まさに国産自動車開発の舞台裏を追ったものだったが、今回はほぼ同じ時期を販売店サイドから構成。 前作同様上海で大がかりなセットを組み、骨太のドラマに仕上げている。確かに故障が続くトラックの販売を担う販売店は大変だっただろう。 徹底したアフターケアで対応するしかない、というのはよくわかるが、そんなトラックを買わされた方はたまらなかっただろうなあと同情してしまう。 途中でアイチ自動車の販売店となる若草自動車の・菊間武二郎を演じた大泉洋が、ちゃらけた部分を封印して堂々とした演技。 もうひとつ面白かったのが厭味な悪役に徹した郷ひろみ。意外に厭味なところ、ぴったりじゃん。 山崎努の存在感はさすが。東出昌大も巧くなったねえ。 今回は前作以上に男くさいドラマだったせいか、あるいは「販売店」という業態があまり共感を生まなかったせいか、視聴率も期待ほどではなかったようだが、個人的にはそれなりに面白く観た。 ちなみに放送された日の翌日は、モデルの豊田喜一郎氏の65回目の命日だったそうだ。 日本スゴい!と殊更に繰り返さなくてはいけないほど、現代は弱っているのかな、という気もしつつ。ものづくりを忘れたら、ヤバいよね、この国。
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[027]右門捕物帖 南蛮鮫
 丑の刻参り黒美君彦2017-03-27
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>三代将軍家光(山城新伍)の頃、相次いで手練れの武士が殺される。被害者はみな金槌と三寸釘を持ち、境内の大木には呪いの人形。同心あばたの敬四郎(進藤英太郎)・・・
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<あらすじ>三代将軍家光(山城新伍)の頃、相次いで手練れの武士が殺される。被害者はみな金槌と三寸釘を持ち、境内の大木には呪いの人形。同心あばたの敬四郎(進藤英太郎)にむっつり右門こと近藤右門(大友柳太朗)が捜査する。侍の一団に追われる娘千鶴(大川恵子)を救ったり、すりの与吉(大川橋蔵)が不審な動きをしていたり。斬られた侍たちがなぜ呪いで相手を殺めようとするのか。右門は、信頼する松平伊豆守(山形勲)の弟水野甲斐守信之(坂東吉弥)が狙われていると直感する…。 右門捕物帖シリーズ第三彈。 明るく楽しい東映時代劇ではあるけれど、ストーリーはなかなか手が込んでいて面白かった。 信州松本藩主水野信之は、松平伊豆守の弟。家老の島右京之亮(柳永二郎)は、水野信之を亡き者にして自らの不義の子鶴丸を跡目にしようと呪いをかけていたのだ。さらにそこには将軍家光の信頼が厚い伊豆守を失脚させようとする土井大炊頭(香川良介)の思惑もあり、水野家の内紛を明るみに出そうと送り込んだのが隠密・与吉こと千波小次郎(大川橋蔵)。 島右京之亮の企みを知って、呪いをかけようとする侍たちを討っていたのが、娘曲芸師のお花(丘さとみ)と千鶴こと田鶴(大川恵子)。田鶴の父は、水野藩の元家老村井信濃(明石潮)で、娘ふたりは悪侍たちを協力して吹き矢で弱らせて首を絞めて殺していたのだ。 さらには島右京之亮一味は三宅島帰りの南蛮鮫の辰(阿部九州男)を使って侍を襲わせ、金品を奪わせる陽動作戦まで展開する。 その挙句にすべてを村井信濃に罪をかぶせようとするが、右門の活躍で最後に事件解決、と相成る。 新藤英太郎とのコミカルなやりとり、若かりし夢路いとし・喜味こいしの漫才コンビ、おしゃべり伝八を演じる堺駿二、そして男ぶりが際立つ大川橋蔵と脇役もいい。大友柳太朗の落ち着いた演技(何せ当時48歳だ)もいいが、右門に惚れている妙姫は当時15歳の松島トモ子。可愛いけど、大友とはあまりに実年齢差が…(苦笑)。 大川恵子、丘さとみも美しい。 ストーリーもしっかり推理ものとして成立しているし、なかなかの仕上がりだと思う。「南蛮鮫」はほとんど筋には無関係だけど。
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[028]SING/シング
 予想通り黒美君彦2017-03-24
 【ネタバレ注意】
予定調和だし、またまた動物キャラクターだし、ということでさして期待せずに字幕版へ。 で、思った通りというか予想通りというか、それなりに楽しめたし、まあいいか、といっ・・・
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予定調和だし、またまた動物キャラクターだし、ということでさして期待せずに字幕版へ。 で、思った通りというか予想通りというか、それなりに楽しめたし、まあいいか、といった感じのアニメ。 よく知られているヒット曲がふんだんに使われているので、音楽的にも楽しめる。挿入曲はレディー・ガガにエルトン・ジョンにケイティ・ペリー、フランク・シナトラ、ビヨンセなどなど。 レッサーパンダ5匹組(“キューティーズ”という名前らしい)は、日本出身で英語はわからないのでいつもニコニコして踊り狂っている。彼女(?)たちが歌うのはきゃりーぱみゅぱみゅの「にんじゃりばんばん」「きらきらキラー」「こいこいこい」の一部。 リース・ウィザースプーンやスカーレット・ヨハンソンが歌が巧いというのはわかったけれど、全体としては割とありきたりのストーリー。キャラクターももひとつこれ、というのがなかったような。もちろんアニメとしての完成度は決して低くないし、最後まで面白く観ることができたんですけどね。
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[029]ビギナーズ
 埋もれた名作かも黒美君彦2017-03-23
 【ネタバレ注意】
1986年当時の空気を封じこめたかのような作品。ミュージック・クリップの佳作が次々世に出て、音楽と映像の融合が進んだ時期。監督のジュリアン・テンプルもセックス・ピストルズ・・・
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1986年当時の空気を封じこめたかのような作品。ミュージック・クリップの佳作が次々世に出て、音楽と映像の融合が進んだ時期。監督のジュリアン・テンプルもセックス・ピストルズのドキュメンタリーやMTVで活躍していたという。だから全編がミュージック・クリップのようなテイストに彩られている。 そしてここで舞台となっているのは1958年ロンドンのノッティング・ヒル周辺。“ティーンエイジャー”という存在が注目されたのは1950年代半ば以降だといわれるが、そのティーンエイジャーたちの夢と挫折、そして背景の黒人排斥運動などがこの作品のテーマとして描かれる。 全体としてはミュージカル・ファンタジーの様相だが、主役のコリンを演じたエディ・オコネルとヒロインのスゼット役のパッツィ・ケンジットはそれぞれなかなかいい。特にパッツィ・ケンジットはとてもキュート(どうしてもっとブレイクしなかったのだろう)。 そしてデヴィッド・ボウイ。主題歌と挿入曲も彼の手によるものだが、彼の立ち位置はやや曖昧。かつて夢を売り、今や不動産を売っているフィクサーといったところで、後半の黒人への暴行地上げ騒動の黒幕、という役回りなのだけど…。 1986年といえば、世界的にバブル経済が膨らみつつある頃だった。世界中で不動産の値が上がり、ジャパンマネーが相次いで超高値でばんばん購入していた。そこで邪魔になるのはそこで暮らす貧しい住民だ。 作品後半では人種差別のファシスト集団が登場し、「英国を白人の取り戻せ!」と気勢を上げるが、これは21世紀初めの現在と重なる光景だ。 経済第一になると、必ず弱者にそのしわ寄せがいき排他的になる。そんな光景は1986年当時の映画でありながら、予見的ですらある。 個人的には昔から好きなシャーデーが歌うシーンが挿入されているのが嬉しい。 監督のジュリアン・テンプルは今はドキュメンタリー映画を中心に活動を続けているとか。 今は亡きデヴィッド・ボウイを偲んだ。
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[030]カルテット
 面白かった黒美君彦2017-03-22
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>ある日練習していたカラオケボックスで出会ったバイオリニストの巻真紀(松たか子)、別府司(松田龍平)、チェリストの世吹すずめ(満島ひかり)、ヴィオラ奏者の・・・
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<あらすじ>ある日練習していたカラオケボックスで出会ったバイオリニストの巻真紀(松たか子)、別府司(松田龍平)、チェリストの世吹すずめ(満島ひかり)、ヴィオラ奏者の家森諭高(高橋一生)の4人は、弦楽四重奏のカルテット「ドーナツホール」を結成。別府の祖父のものだという軽井沢の別荘で共同生活を送る。レストラン「ノクターン」で演奏活動をするうち、それぞれの過去が明らかになっていく。真紀は夫の幹生(宮藤官九郎)が失踪したと話すが、実は真紀が殺したのではないかと義母鏡子(もたいまさこ)に疑われ、すずめは依頼されて真紀の動向を探っていたのだった…。 なかなかミステリアスでコミカルな面白いドラマ。脚本家坂元裕二と、メインの演出を務めた土井裕泰の力によるところが大きい。 登場人物4人がそれぞれ過去に謎を秘めていて、共同生活を送るに従って薄皮を剥がすようにその謎が明らかになっていく。 その謎の中核を松たか子演じる巻真紀が握っている。失踪した夫を彼女は本当に殺したのか。彼女は何者なのか。誰を愛しているのか。 コントのようにところどころ散りばめられている他愛ないやりとりもまた、実は伏線になっていたりする。 ただリアリティがあるようでないので、やりとりが演劇的に過ぎるか、という気もしていた。 ところが、殺されたかも知れない、と観る者も思っていた真紀の夫幹生(宮藤官九郎)が登場する全十話の第六話からドラマは俄然面白くなる。とりわけこの第六話はきわめて秀逸だった。夫と妻が、同じエピソードを別の相手に語るとき、同じコメントを別の感慨を込めて語るのだ。 「(これから)40年か」と家族をずっと求めていた真紀が笑顔で語れば、「40年かぁ!」と結婚生活にうんざりした幹生がため息混じりに吐き出す。一緒にいながら通わない男と女の言葉の違いがサスペンスフルに描かれていた。 第八話の後半も満島ひかりの魅力が溢れていて好きな回。 展開がところどころ無茶だろ、と思わせるほど早いのも特徴的だった。 高橋一生や吉岡里帆のつかみどころのなさも面白かった。ふたりとも笑わない瞳が印象的だが、息子と会っている時の高橋一生は父親ぶりが堂に入っていて巧かった。 そして椎名林檎作詞作曲のテーマ曲「おとなの掟」を4人で歌うラストのビデオクリップがまたオシャレ。 何かを伝えるとか、何かをもたらす、とかいうのではなく、漠然と、でも懸命に生きる三十代のカルテットが妙に心に残る作品だった。
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