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 「黒美君彦」さんのコメント一覧 登録数(3903件)rss
 コメント題投稿者投稿日
[001]40minutes
 学園サスペンス黒美君彦2018-12-07
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>全国1位の成績を誇る高校生ハン・ジョンフン(ユ・スンホ)は、体育の時間に誰もいない教室で問題児で度々衝突していたクラスメイトのキム・テギュ(チョ・サング・・・
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<あらすじ>全国1位の成績を誇る高校生ハン・ジョンフン(ユ・スンホ)は、体育の時間に誰もいない教室で問題児で度々衝突していたクラスメイトのキム・テギュ(チョ・サングン)が刃物でめった刺しにされ死んでいるのを見つける。そこにたまたまやってきたのが、推理小説マニアのイ・ダジョン(カン・ソラ)。ダジョンに「殺人者にされるか、この授業時間中に真犯人を探し出すか」と迫られ、チョンフンはダジョンとともに真相を追い求める。残りは40分。怪しいのは教師たち。「MBC」(マーガリン、バター、チーズ=しつこい)と呼ばれるピョンス先生(チョン・ジュノン)が最初最も怪しく見えたが…。 原題は直訳すると「4時限目 推理領域」。学園サスペンスドラマなのだけど、『金田一少年の事件簿』や『名探偵コナン』の焼き直しだ、演技が学芸会レベルだと想像以上に酷評の嵐。 ま、確かに推理ものとしての出来は今ひとつではあるのだが、主人公のふたり、ユ・スンホとカン・ソラは決して悪くない。とりわけ体操着のまま校舎を走り回るカン・ソラは、この映画の5年後に作られたドラマシリーズ『ミセン〜未生』での巧演が印象に残っていたが、少し幼い時期の彼女も十分魅力的。 ただ今ひとつ恐怖感や緊迫感が描けなかったのはこの手の作品としては致命的かも。追いつ追われつというシーンを見せるだけではねえ。 この頃の携帯はまだガラケー。そんなデバイスの変化も感じられるこの作品だけれど、瑞々しい主人公二人を楽しめるというだけで十分かも。 こんな美人のクラスメイトとのサスペンス、そういえば昔は妄想していたっけなあ(笑)
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[002]ルームロンダリング
 も少し観たかった黒美君彦2018-12-05
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>幽霊と会話が出来てしまう八雲御子(池田エライザ)は、不動産屋の叔父・悟郎(オダギリジョー)に頼まれ、“ルームロンダリング”の仕事をしている。御子が越してき・・・
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<あらすじ>幽霊と会話が出来てしまう八雲御子(池田エライザ)は、不動産屋の叔父・悟郎(オダギリジョー)に頼まれ、“ルームロンダリング”の仕事をしている。御子が越してきたマンション「トアル」の部屋は、床下収納から死体が発見された「事故物件」。そこで殺されたチンピラの山尾純也(矢本悠馬)の幽霊が、サンバパブで働く元恋人・キャンディへの思いで成仏できないことを知る。御子は、以前の部屋の隣人だった虹川亜樹人(伊藤健太郎)に頼み、キャンディの現在を探ってもらうが…。 映画の後にドラマが始まるという、通常とは逆のパターン。映画は未見なので、人間関係は今ひとつよくわからないところがあったが、全体は何となくわかってくる。全4話と短いこともあって、登場する幽霊もごく限られる。ブラジル人ダンサーに恋したチンピラ山尾純也(矢本悠馬)と、クリスマスパーティーで一気飲みされて死んだ大野まくず(生駒里奈)。サンタの格好で幽霊にはなりたくないものだ。彼女は父子家庭だったが、死ぬ直前に父親に贈ったプレゼントが気がかりで成仏できずにいる。 その他、パンクロッカーの幽霊(渋川清彦)や、小学校の同級生の幽霊(込江大牙)とか。このパターンならいろいろ幽霊のバージョンが無限に?考えられる。発案した監督の片桐健滋、巧い。 池田エライザが冴えない霊感少女の役を巧く演じている。ストーリー自体はありがちではあるけれど、コミカルでありながらどこかほろっとさせる辺り、今後が期待できる。 もう少し長いドラマシリーズで観たかったかな。
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[003]007/ドクター・ノオ
 すべてはここから黒美君彦2018-12-03
 【ネタバレ注意】
子どもの頃?以来の再会。男盛りのショーン・コネリーがMI6に呼び出され、最新兵器(一作目は単なる最新式の銃だけど)を渡され、颯爽とジャマイカへ。CIAが登場して、ド・・・
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子どもの頃?以来の再会。男盛りのショーン・コネリーがMI6に呼び出され、最新兵器(一作目は単なる最新式の銃だけど)を渡され、颯爽とジャマイカへ。CIAが登場して、ドクター・ノオがいる“クラブ・キー島”へ。このクラブ・キー島、日本語吹き替えでは「蟹ヶ島」と訳されていて少々笑える。 007シリーズ第一作なので、秘密組織スペクターも当然初登場。 原子炉をめぐるアクションなんて、今改めて観ると、所詮当時は「核」をめぐる怖さなんて理解されていないのだと痛感する。 原子炉を暴走させてはいかんだろ、ジェームズ・ボンド。 公開当時、たまたまキューバ危機が発生して、テロや諜報活動への関心が高まったのが幸いし、その後今日まで007シリーズは続くことになる。 ストーリー自体は牧歌的で、緊迫感には欠けるけれど、後半は子どもの頃観た記憶が蘇って来た。 ボンド・ガールのハニー(ウルスラ・アンドレス)も肉感的。ラストシーンは007らしいなあ。 すべてはここから。007シリーズの記念碑的な作品だと思えば、それなりに面白い。
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[004]スマホを落としただけなのに
 スマホは失くさないようにしましょう黒美君彦2018-12-03
 【ネタバレ注意】
今や最も身近なデバイスとなったスマホ。メールや電話帳はもちろん、スケジュール管理やアルバム、日記代わりまであらゆる個人情報がそこにあるが故の恐怖。 こんな偏執狂的な・・・
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今や最も身近なデバイスとなったスマホ。メールや電話帳はもちろん、スケジュール管理やアルバム、日記代わりまであらゆる個人情報がそこにあるが故の恐怖。 こんな偏執狂的な男の手に恋人のスマホが渡ってしまったからさあ大変。 そんなストーリーとあわせて、主人公稲葉麻美(北川景子)の知られざる過去にまで遡ってしまう展開に。 まあ、ある程度は筋書きは読めてしまうけれど、飽きずに最後まで観ることができた。ご都合主義はもちろんあるのだけど、北川景子が熱演。 じわじわと迫ってくる恐怖は、さすが中田秀夫監督と思わせる。 誰かから標的にされると、人間は弱い。その他大勢であれば怖くないが、1対1の関係で追いつめられると、社会生活を送っていく以上、逃げ場はどこにもない。ましてや個人情報を握られてしまうと。 便利ゆえのリスクは、PCも同じだけど、つい置き忘れてしまうスマホは実に怖い。 まだガラケー時代に携帯を置き忘れた経験があるので、尚更怖い。悪い人に悪用されませんように…と、これはもう神頼みのレベルだ。 実はいちばんの熱演は成田凌かな、と思ったサスペンスだった。 ただこの手の作品は数年経つとデバイスがどんどん進化していくので、古くなっちゃうんだよねー。
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[005]
 父殺し黒美君彦2018-12-03
 【ネタバレ注意】
原作は未読。雰囲気のある作品ではある。 主人公の西川トオルを演じた村上虹郎は巧演。どこか居場所を持てない主人公が、たまたま「銃」を拾い、偏愛することによって自らが変・・・
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原作は未読。雰囲気のある作品ではある。 主人公の西川トオルを演じた村上虹郎は巧演。どこか居場所を持てない主人公が、たまたま「銃」を拾い、偏愛することによって自らが変容していく様を、囁くように呟く若者。 したくなったらトースト女(日南響子)とセックスし、一方でヨシカワユウコ(広瀬アリス)に対しては奥手な男を演じる。 いくつもの仮面を被りながら、その核にある「銃」。武器を手にして、その本質は「命を奪う」ことであり、究極は「人を撃つ」ことである、と考えたトオルだが、虐待を繰り返す女をついに撃てない。 銃を棄てたはずの主人公は、電車のなかでマナーが悪い男を銃で撃ち殺すが、これは現実か夢か妄想か。 撃たれる男が実父の村上淳が演じている、という遊び心も見せながら、モノクロのスクリーンはここでカラーに転じる…。 村上虹郎のナレーションは少々台詞が生硬な印象があったが、全体としては不思議な雰囲気のある作品だったと思う。 こんな父子共演があるとは思わなかったけれど(笑)
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[006]一寸法師
 子どもにとって幸福な時代黒美君彦2018-11-16
 【ネタバレ注意】
珠玉の人形アニメを数多く制作した高橋克雄(1932〜2015)の作品。活き活きとした造形と特殊効果を組み合わせて、一寸法師の物語を見事に表現している。桑山正一の語りも巧いし・・・
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珠玉の人形アニメを数多く制作した高橋克雄(1932〜2015)の作品。活き活きとした造形と特殊効果を組み合わせて、一寸法師の物語を見事に表現している。桑山正一の語りも巧いし、どこか憎みきれない鬼たちもいい。 こんな良質の人形アニメも最近は観ることが減ってしまった。CGアニメも悪くないけれど、こうした人形アニメをこつこつ作っていた大人たちがいた時代は、きっと子どもにとっても幸福な時代だったといえるのではないだろうか。 高橋克雄は、大阪の放送局で人形劇をするために、その都度東京から大阪に人形劇のセットすべてを運ぶのがあまりに大変だったため、人形劇をフィルムに収録しようと思ったのが人形アニメ制作のもともとのきっかけだったという。時代を超える佳作アニメだと思う。
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[007]ガンジスに還る
 死亡広告黒美君彦2018-11-15
 【ネタバレ注意】
監督が25歳と知り、驚くべきインド映画の裾野の広さに驚いた。いや、若い監督だからこそ果敢に生と死と家族の物語に正面から切り込めたのだともいえるけれど。 物語はある意味・・・
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監督が25歳と知り、驚くべきインド映画の裾野の広さに驚いた。いや、若い監督だからこそ果敢に生と死と家族の物語に正面から切り込めたのだともいえるけれど。 物語はある意味、単純だ。死期を悟った父親が、ガンジス川沿いにある「解脱の家」で死を迎える決心をする。仕事中毒の息子がそんな父親に付き添うが…。 この「解脱の家」こそが、この作品のもうひとつの主人公だ。ヒンズー教では「死」を、人生の試練や苦悩からの解脱(モークシャ)と捉え、魂の解放であるとみなす。解脱するためには聖なるガンジス川の水によって浄化される必要があると信じられている。 主人公たちが向かうバラナシには、そんな解脱を求める人が生活する「解脱の家」(ムクティ・バーヴァン)が数多くある。そこには医師や看護師はいない。死者を送る祭祀などを行う宗教者がいるだけだ。ただし規則があり、2週間以内に亡くならなければ、「解脱の家」を離れて部屋を明け渡さなければならないのだという。 そうしたことを踏まえてこの作品を観ると、そこここにインドの宗教観が見え隠れして面白い。死別はもちろん家族に悲しみをもたらす。しかし悲しいだけではない、解脱を祝うという意味もそこには込められている。父親が親しくなった女性が「先に解脱できるなんて嫉妬してしまうわ」と語るシーンがあるが、死もまた受け容れるべき“段階”に過ぎないのだ。「生まれ変わったらライオンになりたい、いやカンガルーがいい、ポケットに何でも入れられる」と笑う父親と息子。 生命の循環がそこで語られる。 直線的な時間の流れはキリスト教的な概念だ。そう考えると、ここにある循環する時間の概念はきわめて東洋的な概念でもある。 死は終わりだけど終わりではない。 亡くなった後、本人が書き残した「死亡広告」を孫娘が読み上げ、泣きながら笑い転げる場面が印象的だ。「高名な詩人」を騙る一方で、その詩集は古書店で埃をかぶっているというユーモア。 IT大国でもあるインドの一面も垣間見えるが、一方で続くヒンズー教の教えも根強く残っている。 踊って歌うインド映画もいいけど、時にはこんな作品もいい。
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[008]007/ゴールドフィンガー
 究極のはったり黒美君彦2018-11-13
 【ネタバレ注意】
全編を観るのはいったいいつ以来だろう。細部は忘れていた場面があったが、それでもハロルド坂田演じるオッドジョブが山高帽を投げて石像の首を落としたり、自動車があっという・・・
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全編を観るのはいったいいつ以来だろう。細部は忘れていた場面があったが、それでもハロルド坂田演じるオッドジョブが山高帽を投げて石像の首を落としたり、自動車があっという間に潰されてキューブにされたり、最後の戦いで007が感電死させたりといったシーンはそれぞれ覚えているので、子どもの頃に観た映像の力というのはスゴいものだ。 シャーリー・バッシーのテーマ曲とその背後にスクリーン代わりに登場する艶かしい金色の裸体も印象的。 「007」シリーズといえば、私の中では「ゴールドフィンガー」が最も鮮烈に記憶されている作品だ。 この後のシリーズでは、敵役がやたら巨大になり、技術の進歩に設定が追いつかなくなっていくが、この作品はまだ牧歌的だ。 ポーカーのイカサマでは、望遠鏡で相手のカードを読んで無線で知らせるという古典的なトリックが使われるし、ゴルフのシーンに至ってはボールを入れ替えるという単純な方法でゴールドフィンガーをギャフンと(死語?!)いわせる。 金粉を全身に塗られたジル・マスターソン(シャーリー・イートン)の死に方も鮮烈。そんな面倒な殺し方しないだろうとかこの際野暮なことは言いっこなし(ちなみに皮膚呼吸ができずに死ぬ、というのは誤り)。 妹のティリー・マスターソンなんて、007とカーチェイスするためだけに登場?可哀想にあっけなく山高帽で殺されてしまうし。 ゴールドフィンガーに捕らえられてからも、なかなか殺されないというのが物語の妙。金をも切断するレーザー光線なんて、この後も手を変え品を変えいろいろなサスペンスで流用されるけれど、これに限らず逃げ出しても逃げ出しても、ハロルド坂田がにやっとするだけで許してくれる。何て優しい悪役だ。 そしてゴールドフィンガーがマフィアたちに「グランド・スラム計画」について説明する際の小道具は、ムダに細かい模型などを駆使。もうはったりの極みとしかいいようがない。 そしてこの計画そのものが笑える。致死性のガス「デルタ9」をプッシー・ガロア(オナー・ブラックマン)率いる女性空中サーカス団に散布させ、フォート・ノックスで小型核爆弾を爆発させる。そうすれば放射性物質で金塊が汚染され、58年間は搬出不可能に。金の価格はバランスが崩れ、金を所有するゴールドフィンガーもがっぽり儲けるという(ちなみに58年の根拠は定かではない)。 はてさて「ゴールドフィンガー」はドイツの名優ゲルト・フレーベ(1913〜88)が演じているが、個人的にはもう少しイケメンを用意して欲しかった気がする。シャーリー・バッシーの歌の歌詞も、優しくて素敵だけど騙されないように…という内容で、フレーベのようなずんぐり体型はイメージに合わない。指が綺麗なわけでもないしね。 悪役の用心棒は日系人、工場で働くのは中国人と、当時のアジア系に対する「不気味」なイメージも窺える。確かに棒で殴ってもニヤッと笑うだけのハロルド坂田は何とも存在感がたっぷり。 子どもの頃はワクワクして観たなあ。この頃のスパイは人間的だなあと、改めて感心して観たのでした。
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[009]花郎 〈ファラン〉
 イケメン揃い黒美君彦2018-11-12
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>6世紀の朝鮮・新羅。第24代王の真興王 彡麦宗(サンメクチョン/パク・ヒョンシク)は、摂政の母・只召(チソ/キム・ジス)太后の命で、幼い頃から王宮を離れ、・・・
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<あらすじ>6世紀の朝鮮・新羅。第24代王の真興王 彡麦宗(サンメクチョン/パク・ヒョンシク)は、摂政の母・只召(チソ/キム・ジス)太后の命で、幼い頃から王宮を離れ、顔を明かすことなく育ってきた。そんな彼が、街頭で聴衆に物語を語るアロ(Ara)に興味を惹かれる。同じ頃、只召太后は王の親衛隊を作ろうと考えていた。一方、孤児として育った賎民のムミョン(パク・ソジュン)は、家族を捜す親友のマンムン(イ・グァンス)とともに城壁を超えて都に潜り込む。ところが、顔を知られていない王の顔を見たとしてマンムンは殺され、ムミョンも重傷を負う。アロの父で医師のアンジ(チェ・ウォニョン)はマンムンが生き別れた息子のソヌと気づく。アンジはムミョンを、わが子ソヌとして都に送り込む。親衛隊は「花郎(ファラン)」と名づけられ、親友の復讐を誓ったソヌもその一員になる…。 K-POPやらイケメン俳優が勢ぞろいしたことで話題を呼んだドラマシリーズ。真興(チヌン)王役のパク・ヒョンシクはK-POPグループ“ZE:A”のメンバー、スホ役のチェ・ミンホ(ミノ)は“SHINee(シャイニー)”のメンバー、ソク・ハンソン役のキム・テヒョンは防弾少年団の「V」として活躍中。長身、モムチャン(いい体)のイケメンたちがアクションふんだんに飛び回るんだから、そりゃ人気も出るでしょうよ。 ドラマは初めの方こそ茶店「手打拍手(スターバックス)」とか「多易書(ダイソー)」とか、現代のパロディを面白がっていたけれど、やがて意外にもマジメな歴史劇へと変貌。王の座と、ヒロインのアロ(Ara)をめぐる花郎の思いや諍い、権力闘争をめぐる思惑などが中心となっていく。それに従って芝居もシリアスなものに…。 家人に引きずられて観たのだけど、それなり、かな。1500年も前のお話には全く見えなかったけれど…ま、いいか。
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[010]劇場版 コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-
 あわただしい黒美君彦2018-11-12
 【ネタバレ注意】
ドラマシリーズは一切観たことがなく、スクリーンで初めて対面(笑)。 知り合いが「面白かった」と話していたし、異例のロングランだったので劇場へ。 結論からいえば、うん、・・・
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ドラマシリーズは一切観たことがなく、スクリーンで初めて対面(笑)。 知り合いが「面白かった」と話していたし、異例のロングランだったので劇場へ。 結論からいえば、うん、テレビドラマSPとしてはよくできていたね、という感想。エピソードもテレビドラマっぽく次々入れ替わり、脳死になった少年がいたかと思えば、余命わずかな末期がんの花嫁もいるし、アルコール依存症の母親の入院に悩む看護士や大型フェリーの事故に巻き込まれた男と息子の物語、etc.etc. 落ち着かないまま次々物語が展開するのでいったいどこへ行くのかと心配しちまった。それぞれ、ちゃんとオチはついていたから良かったけれど。どんな修羅場でも髪が巻いてある新木優子とか比嘉愛未とか、クールな山下徹久とか安藤政信だとか、主役の新垣結衣や戸田恵梨香を差し引いてもこの救命救急病院には美男美女が勢ぞろい。 ラストで故児玉清(2011年死去)が田所医師役で「手紙」という形で登場してきたところは驚いたけれど…テレビドラマシリーズを観ていたらもっと感動したのかな。 少し大人びたガッキーは相変わらず良かったけれど…。 そういえば1990年代、ドクターヘリの導入を訴える救急医の話を聞いたことがある。当時は費用対効果を疑問視する声も多く、なかなか導入に踏み切ることが出来なかったが、21世紀に入ってようやく法整備が進み、やっと定着してきた感がある。一方で地域による医療格差は厳然としてあり、3Kの救急現場を志す医師は決して多くはない。 映画化された中味をみると、「カッコいいドクターヘリの医師」と、それを取り巻く美しき看護士たちの物語に終始していて、テレビドラマの続編としてはともかく、それ以上でもそれ以下でもない。いや、決して悪くはないんですけどね。 救急の現場ってもっと泥臭いので、美化しすぎかな、と思ってしまって…。
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[011]クレイジー・リッチ!
 金満チャイニーズ黒美君彦2018-11-09
 【ネタバレ注意】
ついに主要キャストがアジア系俳優のみ、というハリウッド映画が登場!しかも大ヒット!…といわれているが、クリント・イーストウッド監督『硫黄島からの手紙』(2006年)は主・・・
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ついに主要キャストがアジア系俳優のみ、というハリウッド映画が登場!しかも大ヒット!…といわれているが、クリント・イーストウッド監督『硫黄島からの手紙』(2006年)は主要キャストは日本人だけだったぞ。そういえばロブ・マーシャル監督の『SAYURI』(2005年)もあったぞ。あれはどうなんだ、と思ってしまうけど。 ま、それはおいといて、こうした作品の背景にあるのは中国の経済力をハリウッドも無視できない、ということなのでしょう。もちろん大昔から華僑の進出はアジアはもちろん、欧米でもあったわけだけど、今や金満といえば中国系、という感じなのでしょうか。 桁外れの大富豪一族で最も重い価値をもっているのは「家族」(一族)。そこが「個人」を重視しがちな欧米の価値観と対立しがちなところ。儒教の影響を受けている中国や韓国では、とりわけこの「家族」(一族)重視が行き過ぎ、不正などにもつながるのだけど。 中国系だけど、根っからのニューヨーカーであるレイチェル・チュー(コンスタンス・ウー)が、恋人の家族に会いにシンガポールに渡るんだけど、そこには彼女をよく思わない大富豪一族がいて、周囲の妬みも大変で…というお話。レイチェルはNY大の経済学の教授という役回りなので、年齢も三十代半ばというところか(コンスタンス・ウー自身1982年生まれ)。 ヒロインが美人かというと必ずしもそうではないが、高価なドレスを身に纏うとそれなりに美しく見えるから不思議。 唯一、大富豪だが普通の一般男性と結婚した美貌のアイコンで、主人公ニック・ヤン(ヘンリー・ゴールディング)の従姉アストリッドがマトモな感性を持った人物として登場するが、アストリッドを演じているジェンマ・チャンは身長175cmのモデル体型。コンスタンス・ウーのお姉さん役…という役どころだが、彼女は実はコンスタンスと同じ1982年生まれだとか。 ミシェル・ヨーはいつの間にか50代半ば。こんな役もこなすようになったんだ。 とにかくバカげた金満ぶりが楽しい。個人的にはあんな金持ちになりたいとは思わないけど。 中国系の留まるところを知らない金満ぶりって少々鼻につくけれど、一族と恋人の間で揺れ動いた愛の行方は結局…というラブ・ロマンス。特に印象には残らないと思いますが、そこそこ楽しめました。
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[012]若おかみは小学生!
 「ひとりにしないで…!」黒美君彦2018-11-09
 【ネタバレ注意】
累計発行部数300万部という原作は未読、アニメも知らなかったが、意外なロングランヒットを続けているということで劇場へ。 高坂希太郎監督はこれまでもジブリ作品などに関わっ・・・
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累計発行部数300万部という原作は未読、アニメも知らなかったが、意外なロングランヒットを続けているということで劇場へ。 高坂希太郎監督はこれまでもジブリ作品などに関わってきたということだが、柔らかな筆致の映像は好感度が持てた。 物語はきわめてストレート。思わぬ交通事故で両親を喪った小学6年生関織子(声:小林星蘭)ことおっこが、祖母峰子(声:一龍斎春水)が経営する「花の湯温泉」の老舗旅館「春の屋」に引き取られる。そこで知り合ったのは峰子の幼なじみで幽霊のウリ坊こと立売誠(声:松田颯水)と同級生の姉で7歳で死んだ秋野美陽(声:遠藤璃菜)、食いしん坊の鈴鬼(声:小桜エツ子)に励まされながら、“若おかみ”として成長していくお話。 ファンタジー要素も入れながら、旅館を訪ねてくるいろいろな客の人生に触れながら、おっこが少しずつ逞しく成長していくのが微笑ましい。そして周囲に一切悪役がいない、というのも清々しい。お客様に喜んでもらえると、それが自分の喜びになるというおっこ。 ただ気になるのは、突然死別した両親への思いだ。車の助手席で突然記憶がフラッシュバックして気分が悪くなる、という伏線があり、終盤でその悲しみが爆発するシーンは思わず胸に迫るものがあった。 彼女をみつめる幽霊や小鬼。やがて見えなくなっていく彼らとの別れ、両親との死別、それらがすべて彼女に覆いかぶさり、「私をひとりにしないで…!」と叫ぶシーン。ここで初めて涙する彼女の健気さにとても共感するのだ。 12歳は、大人が思うよりずっと「おとな」だ。 いろいろな思いを自分なりに整理して、外向けの顔を作ることができる。でもそれでも「こども」なのだ。誰かがいないと崩れ落ちてしまいそうなほどの脆弱な魂を抱いていたりする。想像以上に子どもの内面は孤独で、寂しいものなのだ。まだ自分自身すら曖昧なままなのだから。 この作品が心を打つのは、そんなおっこの内面を無理やり解釈するのではなく、あくまで12歳の少女の視点に立って表現しているからではないだろうか。 途中で出てきた温泉街の風景は見たことがあると思ったら、やはり有馬温泉を参考にしていたんですね(原作は伊豆の温泉をイメージしているらしいけど)。 なかなかの作品でした。
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[013]フランシス・レイ
 仏映画音楽の至宝黒美君彦2018-11-08
 
1932年ニース生まれ。クロード・ルルーシュ監督作品の「男と女」(66年)が大ヒット。個人的には「恋人たちのメロディー」(71年)の“SMIC,SMAC,SMOC”も好きだ。この作品では・・・
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1932年ニース生まれ。クロード・ルルーシュ監督作品の「男と女」(66年)が大ヒット。個人的には「恋人たちのメロディー」(71年)の“SMIC,SMAC,SMOC”も好きだ。この作品ではフランシス・レイその人も、盲目のアコーディオン弾き役で出演していたっけ。 2018年11月初めに死去。86歳。素敵な音楽をありがとうございました。
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[014]続社長繁盛記
 四国観光地めぐり黒美君彦2018-11-07
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>高山物産の高山圭太郎社長(森繁久彌)は、35歳以上の社員を対象にした体力テストに臨むため、家でいきなり運動を始め顰蹙を買う。一方秘書の田中徹(黒沢年男)は・・・
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<あらすじ>高山物産の高山圭太郎社長(森繁久彌)は、35歳以上の社員を対象にした体力テストに臨むため、家でいきなり運動を始め顰蹙を買う。一方秘書の田中徹(黒沢年男)は、同僚の中川めぐみ(酒井和歌子)に映画に誘われ、婚約者がいるはずなのにと思い悩む。第一営業部長の本庄健一(小林桂樹)は、英国製船舶レーダーを四国の来島造船に売り込むべく、名古屋のアトラス社長の藤川社長(中村伸郎)を通じて働きかけて欲しいと圭太郎に依頼。明治村に移転する火力発電所の地鎮祭を終えた圭太郎だが、体力テストの無理が祟って悪さもできない。それでも藤川社長の了解をとりつけた圭太郎は今治に向かうが、来島造船の江尻庄吾社長(河津清三郎)は息子修(桐野洋雄)の結婚式で、愛媛県の奥道後温泉にいると聞き、松山に向かう…。 社長シリーズ第34作(数え方によっては29作目)。『社長繁盛記』の続編なので、ストーリーはさておき、当時を映しているところに着目するとそれなりに面白い。 名古屋に向かう新幹線。もちろんゼロ系。森繁がスナック「エレクトラ」のマダム秋子(浜木綿子)と逢瀬を楽しむのは今はなきビュッフェ。 明治村に向かった圭太郎が宿泊するのが、名鉄犬山ホテル。1965年に開業して間もないホテルだが、2019年夏に営業を終え、解体するのだとか(2021年に新ホテルが開業するらしい)。 秘書の田中が楽しんだと思われる木曽川の日本ラインの遊覧船も登場する。 飛行機は高松空港に到着。今治の来島ドックも少しだけ登場。 次なる行き先は奥道後ホテル。この奥道後温泉は、「船舶王」の異名をとった来島どっくの経営者坪内寿夫(1914〜99)がホテル奥道後を中心とした温泉レジャーランドとして開発したもので、1963年に開業している。 作品にも登場し、森繁や香港のバイヤー范平漢(小沢昭一)が見学する「錦晴殿」は、宮大工が動員され、京都の金閣寺を模して建てられた金箔貼りの建物で、当時1億7000万円を投じて1966年に完成したという。残念ながらこの「錦晴殿」は2001年6月の集中豪雨で土砂崩れに巻き込まれ、全壊したそうだ。ホテル奥道後も経営不振に陥って人手に渡り、ロープウェーも運転を休止したままとのこと。 このほか香川県観音寺市の琴弾八幡宮や山之神神社、琴弾公園の銭形砂絵も登場する。これは今も昔も変わらない。 半世紀の歳月はやはり大きい。 人間のありようだけが相変わらず、といえるか。 物語は相変わらず。浮気は成就せず、商売は何とか巧くいき…という感じ。ラストでカメラに向かって「何が楽しくて社長をしているのやら」と自嘲的に笑う森繁が印象的だ。
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[015]ライ麦畑で出会ったら
 Salingerish黒美君彦2018-11-07
 【ネタバレ注意】
ジェローム・デイヴィッド・サリンジャー(1919〜2010)の『ライ麦畑でつかまえて』(1951年刊行)は中学校の頃、すでに“古典”であり、文学においては“権威”だった。だから逆に・・・
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ジェローム・デイヴィッド・サリンジャー(1919〜2010)の『ライ麦畑でつかまえて』(1951年刊行)は中学校の頃、すでに“古典”であり、文学においては“権威”だった。だから逆に反発して読まなかった記憶がある。 それはともかくこの作品は1969年を舞台に、いじめられていた男子高校生が『ライ麦畑でつかまえて』の演劇化の許可を得たいと、サリンジャーを捜すというのが物語の核となっている。いわばマクガフィンものといえる。 主人公の冴えない高校生ジェイミー・シュワルツ(アレックス・ウルフ)が頼りなげな風情で巧演。彼に思いを寄せるディーディー(ステファニア・オーウェン)の運転する車で、隠遁生活を送るサリンジャーの住まいを求めて旅に出る。 若きカップルの姿は瑞々しく、あの頃を思わず思い出す。ディーディーが綿毛をいっぱい飛ばす夕暮れのシーンはそこはかとなく美しい。 思わず抱きしめてキスするのもよくわかるが、それ以上進まないというのも、あの頃の真っ直ぐな青春を想起させて心が疼く。 ディーディー役のステファニア・オーウェンが可愛い。どこか少女らしさが抜けないそばかすだらけの女の子。けれど、彼女が母親のように、活発なティーンエイジャーとしてジェイミーを引っ張り、時に諌め、慰める。 果たしてわずか2日余りでサリンジャーに巡りあえるのか、という疑問はついてまわるが、このロードムービーの場面がとにかく美しいのだ。バージニア州のオレンジ郡で撮影したということだが、森は秋に彩られ、常に彼らの背景に紅葉がある。 学校に溶け込めないジェイミーは、サリンジャーが生んだホールデン・コールフィールドその人であるかのように、彼の台詞を口にする。 たびたび「サリンジャーっぽい(Salingerish)」という言葉が出てくるが、この映画は「ホールデン=サリンジャー=ジェイミー」でもあるのだ。なぜ薬物乱用をジェイミーが許せず、学校に同級生を密告したのか。他人に干渉しない徹底した個人主義の時代に、彼のとった行動の背景にはベトナム戦争で死んだ(とみられる)兄の存在があった。 サリンジャー役のクリス・クーパーがまた良かった。彼は噛んで含めるようにジェイミーに演劇化の許可をしない理由を語る。 それをすべて理解した上でジェイミーは演劇に仕上げるのだが…。 きわめて正統な青春映画に仕上がっていて好感が持てた。
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[016]シュガー・ラッシュ
 レトロ・ゲーム黒美君彦2018-11-05
 
いろいろなゲームが融合したという設定なので、そのキャラの多様なところがとにかく楽しい。 「フィックス・イット・フェリックス」というゲームで悪役である「壊し屋」を演じ・・・
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いろいろなゲームが融合したという設定なので、そのキャラの多様なところがとにかく楽しい。 「フィックス・イット・フェリックス」というゲームで悪役である「壊し屋」を演じる大男ラルフの冒険譚。 悪役同士で愚痴をこぼしあうも、ヒーローに憧れるラルフは、自分のゲームを飛び出してしまい、別ゲーム「ヒーローズ・デューティ」の世界へ。そこで誤って敵キャラのサイ・バグの卵を孵化させてしまい、そのままサイ・バグの幼生を連れて「シュガー・ラッシュ」の世界へ。サイ・バグ退治にカルホーン軍曹が登場。凛々しい彼女に、ラルフを捜しに来たフェリックスが惚れてしまうというのが面白い。ラルフは不具合のあるバグとして扱われるヴァベロペと知り合い、彼女のレース参加を助けようとするが…。 いろいろなゲーム世界があるということで、ここで描かれるのはいってみればパラレルワールド。 しかもサイ・バグという敵キャラも配してスリリングな展開もあり。 この辺はピクサーならではの作りこみ。 子どもの頃は誰もがおもちゃに人格を投影したはずだけど、このゲームの世界も同じ。このゲームのキャラが、こちらのゲームに移ったらどうなるのか、なんて誰もが一度は考えること。それを具現化したのがこの作品だ。 難しいことは考えずに楽しんだらそれでいい。 個人的には「飴玉」サワー・ビルのキャラが好みでした。 レトロなゲームは、誰でも参加できるハードルの低さが魅力だなあ。
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[017]華氏119
 11月9日黒美君彦2018-11-05
 【ネタバレ注意】
アメリカの「現在」を舌鋒鋭く批判してきたマイケル・ムーアだが、この十年ほどは海外取材が増え、「どうしてアメリカではこんな風にできないのか」と諸外国と比較したり(2007・・・
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アメリカの「現在」を舌鋒鋭く批判してきたマイケル・ムーアだが、この十年ほどは海外取材が増え、「どうしてアメリカではこんな風にできないのか」と諸外国と比較したり(2007年の『シッコ』や2015年の『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』)、「私ひとりではもう無理だ」(2007年の『キャピタリズム』)と珍しく弱音を吐いたりする場面が増えていた。 還暦を過ぎ、彼自身のパワーも衰えてきたかと思わずにはいられなかったが、この作品ではもう一度その力を振り絞るかのように、アメリカの「現在」と対峙する。 2004年の『華氏911』にちなんだタイトルは『華氏119』。2016年11月9日はトランプ大統領が誕生したその日だ。 トランプ大統領誕生は突発的なアクシデントだったのか?とM・ムーアは問う。 いやそうではない。例えばムーアの故郷であるミシガン州の知事に2010年に当選した大富豪のスナイダー。トランプの知己でもある彼は、知事に権力を集中させる。黒人が多く住むフリントという町の水道を民営化すると、水には鉛が混入し、水道水由来と思われる疾病が頻発した。だが「問題なし」と言い募ることによって事実は覆い隠され、オバマ大統領すら水に口をつけるパフォーマンスでお茶を濁すのみ。 いつの間にか民主党も共和党と何ら変わらない体質になり、民心から離れてしまった。 国民の間に広がる政治への諦め、無関心…それらは一夜のうちにファシズムに変貌しかねない危うさがあると、ムーアは警告する。 それでも彼は、銃乱射事件の生き残りである高校生たちが「銃規制すべき」と声を上げる様子や、危機感を抱いて議員に立候補する女性たちの、いわゆる“ピンク・ウェーブ”に活路を見出そうとする。 しかしながら半数近い国民は就任2年経っても、国民を分断するトランプを支持するのだ。ウソの上にウソで塗り固めた方が、メディアより信頼がおけると信じているのだ。そんなアメリカの「現在」と、その属国とさえ揶揄される日本の「現在」は驚くほどの相似形を見せている。 ウソ、強弁、開き直り、はぐらかし、思いつき、その影で進められる必要とは感じられないさまざまな施策。 M・ムーアの視点は決して「公正中立」ではない。だが、公正中立である必然性もない。 繰り返し「アメリカン・ファースト」を謳いあげる現職の大統領と、彼を支える政治への異議が、このドキュメンタリーの核である。そして彼の叫びは、そのまま木霊のようにこの国にも返って来る。 全面的に賛同する必要などない。このような「視点」もまたアメリカなのだと受け止めるべきなのだ。
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[018]文学処女
 「文学処女、ナメんなよ」黒美君彦2018-11-02
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>出版社緑泉社の新米文芸編集者月白鹿子(森川葵)は、26歳にして男を知らない。彼女が、編集者を志すきっかけとなった小説を書いた人気作家・加賀屋朔(城田優)の・・・
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<あらすじ>出版社緑泉社の新米文芸編集者月白鹿子(森川葵)は、26歳にして男を知らない。彼女が、編集者を志すきっかけとなった小説を書いた人気作家・加賀屋朔(城田優)の担当となる。鹿子は加賀屋に最高の恋愛小説を書いて欲しいと歩み寄るが、加賀屋は鹿子に対し、気ままに振舞い、鹿子は振り回されるばかり。それでも少しずつ心が通い始めたと思ったのだが…。 コミック(未読)のドラマ化ということで、演技もややフレームアップした印象。「文学処女」というタイトルに少々ドキッとしないではないが、森川葵演じる26歳の処女の編集者がいそうで怖い(笑)。純粋無垢といえば聞こえがいいけれど、人生経験が浅いともいえる。そりゃ加賀屋にしてみれば重過ぎるだろ。 「人間として最低」といわれて涙する加賀屋。いや、確かに最低でなくては書けないかもしれない、というのが作家の性だ。常識的な恋愛を望む鹿子とは永遠に交わることはないのではないか、というのが個人的な感想。 ドビュッシーの「月の光」を多用するのも、原曲がいいだけに安っぽく感じた。映像はところどころでセンスを感じたんだけどね。 物語としては単なる恋愛ものの一定型、ということで。「文学処女、ナメんなよ」という決め台詞のみ面白かった。
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[019]旅猫リポート
 猫の擬人化に失敗黒美君彦2018-11-02
 
猫を擬人化した映画はまず失敗する。そんな経験則をどのように突破するか、その一点の興味だけでこの作品を観たのだけれど、やはり突破できなかったか、というのが率直な感想。・・・
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猫を擬人化した映画はまず失敗する。そんな経験則をどのように突破するか、その一点の興味だけでこの作品を観たのだけれど、やはり突破できなかったか、というのが率直な感想。 まず登場してくる猫(回想のなかの「ハチ」、現在の「ナナ」)がいずれも美猫とはいえず可愛くない。たまたま調教できたのがその猫だったんだろうけれど、この猫が撮影中基本的に常に興奮状態にあることが一目瞭然なので、俳優の演技と噛み合っていない。そもそも俳優と目を合わさない猫に語りかける台詞を吹き替えってどうよ。無理がありあり。そもそも猫(声・高畑充希)の台詞が多すぎる。しかもそれがいちいち説明っぽいので、観ていてシラけてくるのだ。 致命的なのは、映画の中で、猫がリラックスしたり眠ったりしている場面が皆無であること。 猫の魅力はツンデレにある。 人間の都合に合わせて走ってきたりするのは「犬」であって猫ではない。 そしてそんな風にリラックスし、無防備に眠る猫の寝姿に、ひとは癒されたりするものなのだ。 恐らくこの映画の作り手はさほど猫好きではない。 そんな状況で猫に演技を求めても、それは無理というものだ。 原作(未読)に忠実なのかも知れないが、猫との距離感が測れる作り手ならば、別の作り方があったような気がする。 その意味でロジャー・スポティスウッド監督の『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』(2016年)は主演の「ボブ」(猫)をはじめ、よく出来ていたなと改めて思った。 動物を扱う映画はことほど左様に簡単ではないのだ。
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[020]ライアー ライアー
 「ノモ!」黒美君彦2018-11-01
 【ネタバレ注意】
良くも悪くもジム・キャリー節が満載のコメディ。 “Lawyer”と“Liar”、確かに似ている。乱訴社会のアメリカならではのシニカルな視点も忘れていないが、もうひとつ息子のマックス・・・
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良くも悪くもジム・キャリー節が満載のコメディ。 “Lawyer”と“Liar”、確かに似ている。乱訴社会のアメリカならではのシニカルな視点も忘れていないが、もうひとつ息子のマックス(ジャスティン・クーパー)との父子の愛がテーマ。 それにしても元妻オードリー(モーラ・ティアニー)と離婚に至ったのは何故。互いに憎かったわけではないのに(苦笑)。 マックスがバースデイ・ケーキのキャンドルに「一日でいいからパパが嘘をつかないように」と願をかけたらそれがかなってしまった、というファンタジー仕立てなんだけど、ジム・キャリーの暴走を面白いと思うか、やり過ぎと思うか。個人的には少々やり過ぎだと思うのだが、それでもテンポ良く観ることができた。 それは脇役のモーラ・ティアニーや、品のある老秘書役のアン・ヘイニー(2001年に死去)が脇を固めているせいかも知れない。彼女たちの堅実な演技があってこそ、ジム・キャリーの悪ふざけが映えてくる。 それにしてもフェイクニュースや、嘘を嘘と思わず言いまわる輩が多数を占める現代こそ、「真実」のもつ本当の価値を見出したいものだ。 5歳の子どもに胸を張れるかどうか、という、きわめてわかりやすい問いかけ。 もっともラストの離陸しようとする飛行機に対するアプローチは、テロリストとみなされて射殺されてしまうぞ、今なら。 野球ファンのマックスの口から「ノモ(野茂)」「ホセ・カンセコ」といった90年代半ばに活躍した大リーガーの名前が出てくるのも懐かしい。95年にメジャーデビューした野茂、この頃主にレッドソックスで活躍した強打者のホセ・カンセコ。 この頃の携帯電話の形態や、ジム・キャリーがダブルのスーツを着ているのも時代を感じさせる。
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[021]search/サーチ
 観るなら「今」黒美君彦2018-10-30
 【ネタバレ注意】
全米9館での限定公開からスタートして上映が拡大、大ヒットを記録したこの作品は全編がPCの画面で構成された異色のサスペンス。 アイディア勝負といえばその通りなのだけど・・・
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全米9館での限定公開からスタートして上映が拡大、大ヒットを記録したこの作品は全編がPCの画面で構成された異色のサスペンス。 アイディア勝負といえばその通りなのだけど、そこにあるのはSNSでつながるもう一つのコミュニケーションが確立された現代そのものでもある。母親パム(サラ・ソーン)を早く亡くしたキム父娘。娘マーゴット(ミシェル・ラー)が姿を消し、父デビッド(ジョン・チョー)が娘の交友関係を必死で探る。Facebookの「友達」をひとりひとりつぶしていくが、娘は実は友人といえるほどの友人がおらず、寧ろ孤立していた様子が見えてくる。担当となった警察官ヴィック(デブラ・メッシング)も協力して捜査してくれるが…。 銃を撃ちまくらなくても、十分スリリングに展開できるというお手本のようなストーリー。 自称犯人が動画で犯行を自白し、銃で自殺する、というのもありそうな話だ。途端に「仲の良い友達だったのに」と、ネット上で溢れる嘆きの声。 物語はある事実をきっかけに大きく動き始める。それもPC画面がきっかけだ。 逆にいえば、ネットに溢れる情報のなかに、いかに多くの犯罪が隠されているのか、という気にもなってしまう。 ネタがわかれば、慎重に伏線が引いてあったことがわかる。いやー、よく出来ている。 映画の撮影後、寧ろポストプロダクションに時間がかかり、公開まで2年を費やしたというが、それもわかる作り込み。 手触りのないPCのなかだけで、これだけのサスペンスが出来るとは大したものだ。 その意味できわめて現代的なのだが、一方でこうしたITに依拠した作りは、数年でその技術が古めかしくなってしまうので、観るなら「今」に限るのだろう。 父娘が在米韓国人というのもユニーク。監督のアニーシュ・チャガンティがインド系だからだろうか。こうしたアジア系俳優による作品がハリウッドで大ヒットというのも映画の面白いところだ。
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[022]フェイクニュース
 反日暴力女記者黒美君彦2018-10-29
 
<あらすじ>大手の東日本新聞からネットメディア「イーストポスト」に出向した東雲樹(北川景子)は、編集長の宇佐美寛治(新井浩文)からカップうどん「鶴亀うどん」への青虫・・・
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<あらすじ>大手の東日本新聞からネットメディア「イーストポスト」に出向した東雲樹(北川景子)は、編集長の宇佐美寛治(新井浩文)からカップうどん「鶴亀うどん」への青虫混入事件についての取材を命じられる。樹の前に現れたのは、SNSに青虫混入の投稿をした男(光石研)。彼は八ツ峰製菓の社員猿滑昇太だった。彼はSNS投稿をきっかけに、あちこちからもたらされたニュースを拡散するが、ついに猿滑の正体が明らかにされてしまう。一方東雲は猿滑によって情報を拡散され、ネット上では「反日暴力女性記者」と名指しされる…。 このところ社会派のドラマを数多く手がけている野木亜紀子の脚本。ネットメディアやSNSで容易に炎上してしまう現代の病理を描いている。 登場する会社で居場所を失くし、SNS投稿で憂さを晴らすおじさん、というのは少々ステロタイプだが、普通の主婦がブログにウソを書いてあっけらかんとアフィリエイト広告からの収入を得ている、というのがありそう。こうした無責任で何も考えていない者ほど怖いものはないといえるかもしれない。 ちなみに本人にはどうしようもない属性に基づく中傷や非難を「差別」といい、事実に基づかない言説を「デマ」という。 SNSをはじめとするネット上の情報を無条件に信じてしまうのは愚かとしかいいようがないのだが、自分の信頼する人・メディアからの情報だと信じやすくなるのは確か。本当はその上でなおかつ情報を咀嚼し、考えることが必要なのだが…。 前編は面白かったが、後編はやや風呂敷を広げすぎた感があってまとまりを欠いてしまった気がする。 いずれにせよ、見知らぬ他人に呼び捨てされ、罵詈雑言を浴びせられるのは相当傷つく。 不寛容、分断…それらが急速に世界で進んでいるのはどうしてなのだろう。
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[023]エンジェル、見えない恋人
 Mon Angel黒美君彦2018-10-29
 【ネタバレ注意】
予告編だけ観ていると「小さな恋のメロディ」のファンタジー版かと思えたが、中盤以降は一気に官能的な色彩が濃くなる。 台詞はみな囁くようなフランス語。 子ども時代のハンナ・・・
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予告編だけ観ていると「小さな恋のメロディ」のファンタジー版かと思えたが、中盤以降は一気に官能的な色彩が濃くなる。 台詞はみな囁くようなフランス語。 子ども時代のハンナ・ブードロー、少女時代のマヤ・ドリー、そして成熟した女性を演じたフルール・ジフリエ、マドレーヌ役の三人が違和感なく“盲いた美少女(美女)”を演じている。赫燿たるその髪、吸い込まれそうな蒼い瞳、真っ白な肌…。 母親から「私の天使=モナンジュ(Mon Angel)」と呼ばれる息子と、目の見えない少女のロマンスなのだが、姿が見えない故に自由に?彼女の姿を窃視出来てしまう彼は果たして「天使」だろうか(笑)。昔からもし透明人間になったら、という設定のAVが数多くあるけれど、一歩間違えるとそちらに堕してしまいそうな設定。 しかしこの作品は徹頭徹尾そうした劣情を排し、美しい映像で大人のラブ・ファンタジーに昇華している。 「目に見える」という当たり前の感覚に根ざした「映画」を用いて、「見えない愛」をファンタスティックに描いているせいか、客席には若い女性の姿が目立った。 とにかく映像が美しい。 白人の美少女って、アップで見るとそばかすのような斑点が気になっちゃうんだけど…。 それにしても「透明人間」を扱ったものは数多くあるけれど、いっつも不思議に思うのは、主役は季節を問わず裸なの?とか、ものを食べたらそれも透明になるのはヘンじゃない?とか、どうでもいいことばかり。汚れちまった大人は、なかなか素直になれないのだとさ。
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[024]社長繁盛記
 レギュラー交代黒美君彦2018-10-26
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>高山物産の高山圭太郎社長(森繁久彌)は、大株主である義父柿島伝之助(宮口精二)に頭が上がらない。「もっと若返れ」と説教される始末。第一営業部長の本庄健一・・・
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<あらすじ>高山物産の高山圭太郎社長(森繁久彌)は、大株主である義父柿島伝之助(宮口精二)に頭が上がらない。「もっと若返れ」と説教される始末。第一営業部長の本庄健一(小林桂樹)宅に居候をしている社長秘書の田中徹(黒沢年男)は、同僚の中川めぐみ(酒井和歌子)に片思い。第二営業部長の赤間仙吉(谷啓)は香港のバイヤー范平漢(小沢昭一)の接待に忙しい。そうしたなか圭太郎は輸入した特殊鋼をアトラス自動車に売り込もうと名古屋に出張。明治村で理事をしている藤川社長(中村伸郎)に会い、社長が義父が所有する四国の火力発電所建物が欲しいというので安請け合いしてしまう。早速高松に向かう圭太郎たちだったが、偶然赤間の一行も高松へ。一方田中はめぐみの実家である高松の青果店を訪ね歓迎されるが、妹の高校生はるみ(岡田可愛)から、姉が婚約していることを教えられる…。 社長シリーズ第33作(数え方によっては28作目)。森繁も54歳、出演者もやや高齢化し、マンネリ化を打破したいと思ったのだろう、レギュラーだった三木のり平が谷啓へ、ヘンな外国人を演じさせると天下一品だったフランキー堺が小沢昭一に交代。 小林桂樹(当時39歳)もいつまでも社長秘書じゃないだろうと、当時23歳の若き黒沢年男(現・年雄)にその役を譲った形になった(加東大介は引き続き出演)。が、あちこちで言われるように三木のり平の洒脱な演技はまだ谷啓には無理で、小沢昭一も頑張ってはいるがフランキー堺の境地にまでは達していない。 この回では名古屋、犬山市の明治村(1965年オープン)、高松・栗林公園が主な観光ロケ地に。 女優陣では高松の芸者を演じる沢井桂子(当時22歳)、クラブ「エレクトラ」のママ秋子の浜木綿子(当時32歳)がいずれも美しい。森繁に「椎茸みたい」と言われる岡田可愛は当時19歳。その岡田可愛の姉役の酒井和歌子は当時まだ18歳で、岡田より年下。そんな彼女にOL役をさせるのはさすがに無理が(笑)。 社長というだけであんなにモテるかどうかはともかく、芸者役の沢井桂子と「長期貸家か売家か」と交わす台詞が何とも艶っぽい。 相変わらずの展開だが、レギュラー出演者の交代はやはり難しいものだと思ってしまった。
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[025]ある機関助士
 巨大システムと人間黒美君彦2018-10-26
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>1962年秋、電化の遅れている常磐線取手以北で働く中島鷹雄機関士と小沼慶三機関助士は、C62による急行「みちのく」に乗務していた。朝、尾久機関区に出勤し、上野・・・
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<あらすじ>1962年秋、電化の遅れている常磐線取手以北で働く中島鷹雄機関士と小沼慶三機関助士は、C62による急行「みちのく」に乗務していた。朝、尾久機関区に出勤し、上野・水戸間を急行「みちのく」で往復、20時頃に退勤する日勤。下り急行「みちのく」(青森行)はダイヤ通り水戸に到着、2人は夕方まで休息を摂れた。だが夕方の上り「みちのく」は、水戸に3分延着。取手から上野までの電車(国電)区間(現在の常磐快速線区間)は帰宅ラッシュで過密ダイヤになっているため、取手に到着するまでに遅れを回復しなくてはならない。水戸・上野間で許される最高速度は95km/hで、信号機の数は150、踏切の数も300ほどある。1時間40分の間に、ミスが許されない状況の中で少しずつ遅れを取り戻していく…。 ドキュメンタリー映画監督土本典昭(1928〜2008)の監督デビュー作として知られるこの作品は、もともと国鉄が安全性への取り組みを宣伝するために企画されたのだという。その背景には1962年5月に東京・荒川区の常磐線で起き、160人が死亡した脱線多重衝突事故「三河島事故」があった。高度経済成長の影で、国鉄は戦前から使用して来た老朽化した鉄道施設を更新もせずに使い続けたという。ダイヤは過密になり、乗務員たちの勤務は苛酷を極めた。とりわけ東海道本線に比べて電化が遅れた東北本線・常磐線ではその無理な運用が問題視されていた。 国鉄はこの三河島事故をきっかけに保有していたプロ野球球団も手放し、安全対策に舵を切る。 この記録映画は、事故をきっかけに国鉄が導入を急いだATS(自動列車停止装置)をアピールしたい目論見で企画されたが、土本監督が国労などと協議し、協力を得た上で制作したものだった。 当時、世間から「三河島事故の加害者」と糾弾された機関士と機関助士を中心に据え、彼らの過酷な労働実態や環境を描いたこの作品は、芸術祭文部大臣賞や教育映画祭最高賞、キネ旬短編映画第1位等を軒並み受賞。公開に消極的だった国鉄上層部も上映を認めざるを得なかったという。 映画では、乗務員たちの業務だけでなく、機関区での束の間の休息や、国鉄労働医学研究室による乗務中の機関士の身体調査や事故を想定した訓練などを描いているほか、三河島事故で大破したD51の運転席等も映し出され、貴重な映像資料ともなっている。 撮影に三か月半を費やしたというこの記録映画は37分という短編だが、土本典昭の視点はあくまで「機関士」「機関助士」にこだわる。 彼らが石炭をくべる姿はお馴染みだが、僅かな停車時間内での安全点検や、運転に備えて休息をとる姿などは、のちに水俣病などを取材した土本らしい視点に充ちている。鉄道の本質が巨大なシステムではなく、動かしている人間にあるということを今更ながら思い知らされる。 車窓から見える線路脇の光景はいかにも昭和30年代だ。 国鉄はその後さまざまな労働争議を経て1987年に分割民営化されるが、2005年にはJR西日本で乗客106人が死亡する福知山脱線転覆事故が発生する。運転士に対する日勤教育のあり方などが問われたこの事故は、利便性を追及するあまり無理を強いる都市交通の危険性を露わにした。 巨大システムに人間はどう対峙すべきなのか。土本監督によるこの短編記録映画は、今も問いかけ続けている。
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[026]ミッドナイトクロス
 面白かった黒美君彦2018-10-22
 【ネタバレ注意】
製作された1981年といえば、CG効果などが映画の中でようやく少しずつ使われ始めた時期。 そのなかで主役のジョン・トラヴォルタがB級映画の音響効果(SE)を生業にしてい・・・
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製作された1981年といえば、CG効果などが映画の中でようやく少しずつ使われ始めた時期。 そのなかで主役のジョン・トラヴォルタがB級映画の音響効果(SE)を生業にしているというのが、当時のアナログの象徴のようで面白い。 途中オープンリールを何度も巻戻し、印をつけていくシーンなんて感涙もの。昔は本当にアナログだったよなー。デジタルの時代からは想像もつかないに違いない。 この作品は、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の作品『欲望』(1966年・未見)にインスパイアされたといわれるが、一方で悲劇的なラストからブライアン・デ・パルマが憧れるヒッチコックの『めまい』に通じると指摘する声も多い。 それはともかく、少々はすっぱなサリー(ナンシー・アレン)とともに、大統領候補暗殺の真相に近づく主人公ジャック・テリー(J・トラヴォルタ)に、猟奇的な殺人犯バーク(ジョン・リスゴー)がひたひたと近づいてくるところが見どころ。 鮮やかな色彩や合成を多用した画面構成などをところどころ挟み込みながら、物語はちゃんとサスペンスになっているところがいい。 そして、B級映画の悲鳴を探すトラヴォルタの伏線がラストで明かされる切なさ。 息絶えたサリーを抱きかかえるトラヴォルタの背景に、無数の打ち上げ花火が上がるシーンは実に美しい。 デ・パルマ監督の1980年代の傑作に数えられるだけあって見どころが多い作品。 ナンシー・アレンがもう少し好みだったらもっと感情移入できたんだけどねー。
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[027]止められるか、俺たちを
 映画をめぐるもう一つの青春黒美君彦2018-10-22
 【ネタバレ注意】
2012年10月、思わぬ交通事故で76歳でこの世を去った若松孝二監督。 数々の傑作や珍作を世に問い、エピソードに事欠かない若松監督と、彼を取り巻く若い才能を映画化したのが、・・・
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2012年10月、思わぬ交通事故で76歳でこの世を去った若松孝二監督。 数々の傑作や珍作を世に問い、エピソードに事欠かない若松監督と、彼を取り巻く若い才能を映画化したのが、若松プロ出身の俊英白石和彌監督だ。 舞台は1969年。当時ピンク映画の問題作を量産していた若松監督はまだ33歳だった。その頃若松プロダクションの門を叩いた吉積めぐみ(門脇麦)の目を通して、若松プロの青春群像が描かれる。 若松監督を演じたのは井浦新。およそ若松監督には似ても似つかないが、観ているうちに若松孝二その人に見えてくるから不思議だ。実際、本人を知る人たちはみな「そこにおやっさんがいる」と驚嘆したという。 若松孝二はもともと正真正銘のチンピラだったが、喧嘩で刑務所に入ったのがきっかけで「オマワリを殺しまくるには映画だ!」と映画の世界に飛び込んだという変り種。この映画の時代、若松プロには映画監督の足立正生や、その後「日本昔ばなし」の脚本を手掛けた沖島勲、「ルパン三世」でもおなじみの脚本家・大和屋竺、今も脚本家や映画監督として活躍する荒井晴彦など、錚々たる面々が集っていた。それはこの映画でも表現される若松孝二の無頼な勢いやオーラに引き寄せられたのかも知れない。大島渚や佐藤慶、渡辺文雄、赤塚不二夫らが若松と飲み、語り合っていた。 主人公の吉積めぐみは実在の人物をモデルにしている。1969年春、新宿のフーテン仲間に誘われ、いつしか若松プロダクションの頼りになる助監督に成長していく。だが、一方でこの頃若松孝二はレバノンで日本赤軍の重信房子らと合流して、パレスチナ解放戦線の撮影を敢行。帰国後、映画『PFLP世界戦争宣言』の上映運動に奔走していた。 若松孝二という人物は、なかなか単純に割り切ることはできない。彼は時に政治的であり、煽情的であり、映画作りにすべてを注ぎ込み、しかし一方で緻密な計算を重ねていたようにも見える。若手に直接教えることはなく、自分の後姿を見せることで、映画に必要なすべてのことを示した人物でもあったのではないだろうか。その意味で彼はやはり傑物だったのだ。 主人公がどうして落命しなくてはならなかったのか、この作品でははっきり答えは示されない。 女を棄てようとしながら、女であることから逃れられない絶望が暗示されているが、それとても可能性の一つに過ぎないだろう。 しかし60年代末、こんな青春が映画界の片隅に確かにあったのだ。 めちゃくちゃだがどこか羨ましい…そんな桃源郷が、フィルムに定着されている。
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[028]恋のしずく
 日本酒「鯉昇」黒美君彦2018-10-22
 【ネタバレ注意】
ワインのソムリエを目指していたのに、東広島・西条の酒蔵で大嫌いな日本酒について実習することになった東京の農大生が主人公。反発していたのにいつしか酒づくりに目覚め…と・・・
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ワインのソムリエを目指していたのに、東広島・西条の酒蔵で大嫌いな日本酒について実習することになった東京の農大生が主人公。反発していたのにいつしか酒づくりに目覚め…という、ある意味ありがちなご当地物語。 主人公の川栄李奈が、ワインを口に含んで薀蓄をぺらぺらいう冒頭の場面が何ともウソくさくて、これはトンデモ映画か?と一瞬身構えたのだが、舞台が西条に移ってからは何とか水準を保ってくれた。それもこれも脇役がしっかり固めてくれたおかげ。 研修先の乃神酒造の経営者乃神輝義役に大杉漣。杜氏のリーダー坪島泰淳に小市慢太郎。このあたりがしっかり物語を締めてくれた。 清酒「鯉昇」を生産している乃神酒造で父親に反発する息子の莞爾(小野塚勇人)や、農家の娘で主人公橘詩織(川栄)にいろいろ教えてくれる高宮美咲(宮地真緒)、地元酒造会の期待の若手のホープ有重一紀(中村優一)といった若者たちの恋模様も織り込んでいる。 東広島市の西条は、1キロ圏内に「賀茂鶴」や「亀齢」、「西條鶴」「福美人」「白牡丹」「賀茂泉」「山陽鶴」の七つの酒蔵が集中し、別名「酒都」と呼ばれている。特徴は西条の良質な軟水。 酒を嗜まない立場からするとさほど関心はないんだけど、日本酒ブームの一方で老舗を続けていく困難さは容易に想像できる。 ただ、致命的なのはみな広島弁が下手なこと。 大杉漣や小市慢太郎に救われてはいるものの、そこがなあ。 川栄李奈は頑張っているけれど、主役を務めるにはやや弱いかなあ。 ちなみに西条は山の中なので、瀬戸内海を見るにしても、広島市内に出るにしても意外に遠いんだな、これが。 大杉漣の急逝や出演者の不祥事、クルーの車が事故を起こしたりと、いろいろなトラブルに見舞われた作品だけど、まあ及第点かな、という作品です。
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[029]日日是好日
 心に沁みる黒美君彦2018-10-22
 【ネタバレ注意】
さほど期待していたわけではないが、予想より心に沁みた。 森下典子の原作は未読だが、近いようで遠いお茶の世界が意外に巧く表現されている。 現代っ娘(多部未華子・黒木華)・・・
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さほど期待していたわけではないが、予想より心に沁みた。 森下典子の原作は未読だが、近いようで遠いお茶の世界が意外に巧く表現されている。 現代っ娘(多部未華子・黒木華)がひょんなことから武田先生(樹木希林)からお茶を習い始めるのだけれど、最初は殆ど「異文化」だったお茶席が、次第にしっとりなじんで来る。 所作がひとつひとつ美しく、静寂のなかでの時の移ろいが心地好い。 小道具がまた効果的。季節によって架け替えられる床の間の軸や一輪挿し。そこからイメージを自在に膨らませる“自由”。 情報過多の世界にあって、情報を遮断し、考えるのではなく身体に沁みこませる。そのことでしか得られない“自由”を改めて感得できた気がした。 就職や結婚、公私ともに時代は立ち止まらない。 けれど、一期一会の意味をもう一度噛みしめる。 黒木華が女子大生から三十代までを演じているが、少しずつ成熟していくのを表情や所作で表現できているのはさすが。そして遺作となった樹木希林の包み込むような柔らかな演技も心憎いばかりだった。 そして彼女の台詞ひと言ひと言が、まるで別れを予感しているかのようにさえ感じた。 「こうして毎年、同じことができることが幸せなんだって」…まことにそういうものかも知れない。 雨を聴き、花を愛で、季節を体感する。すっと背筋を伸ばした女性の着物姿が凛々しく、かつて花嫁修業のひとつとしてお茶が含まれていたこともそういうことかと思わないでもない。 お茶席ではおもてなしの心が第一で、主と客は対等な関係だ。かつての権力者がお茶を好んだのは、一切の虚飾を剥ぎ取り、世俗から離れることに目的があったのかも知れない。 観終えて清々しい気持ちになれる作品だった。
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[030]運命は踊る
 FOXTROT、またはラクダ黒美君彦2018-10-17
 【ネタバレ注意】
不思議な余韻の残る作品だ。冒頭、イスラエルのテルアビブに住む夫婦のもとに、息子ヨナタンの戦死の連絡がもたらされるところから物語は始まる。悲嘆に暮れる両親。ところが、・・・
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不思議な余韻の残る作品だ。冒頭、イスラエルのテルアビブに住む夫婦のもとに、息子ヨナタンの戦死の連絡がもたらされるところから物語は始まる。悲嘆に暮れる両親。ところが、戦死は誤報だったことが明らかになる。だが父親のミハエル(リオル・アフケナージ)は、安堵するより怒りを強め、直ちに息子を家に帰せと主張する。お前たちの言うことは信じられない、と。 一転して、国境近くの検問所。ヨナタン(ヨナタン・シレイ)たち若い兵士四名が、時折通りかかる車を停め、検問するのが仕事だ。時折ラクダがふらっと現れ、ヨナタンたちが検問所のバーを上げるのがユーモラスだ。そこでヨナタンは、アラブ人の若者たちが乗る車を停めた際に、美しい少女が微笑を浮かべるのを見る。次の瞬間、車から落ちた空き缶を手榴弾と見誤った同僚兵士の声で、ヨナタンは機関銃で車内の若者たちを皆殺しにしてしまう。事態を隠蔽されるために大きく穴が掘られ、車が崩れ落ちていく。そこへヨナタン帰還の命令がもたらされる。 再びテルアビブの夫婦。状況が大きく変わっていることが窺われる。夫婦は別居し、妻ダフナ(サラ・アドラー)は心を病んでいることがみてとれる。ヨナタンが赴任先で描いていたイラストが何故か部屋に飾られている…。 三幕から成るギリシャ悲劇のようにこの作品は構成されている。 全編を通して真上から人間を見下ろす俯瞰のカメラが特徴的だ。戦死を告げられた両親の悲嘆は異常なほど。だから同姓同名の戦死と間違えたと言われたミハエルは激昂したのか。 だが、この作品で最も面白いのは二幕目にあたる国境の検問所のシーンだ。女性の笑顔が大きく描かれた廃車(この女性の顔は、サミュエル・マオズ監督の娘がモデルだとか)があるほかは、地平線まで荒涼とした平地が広がるだけの場所。 そこで突然一人の兵士が踊り始める“FOXTROT”。原題にもなっているこの“FOXTROT”は、1910年代初めにアメリカで流行したダンスステップだという。前へ、右へ、後ろへ、左へ…4分の4拍子のステップは、必ず元の場所に戻ってくる。 静寂に彩られた作品の中で、このシーンだけが異彩を放っている。イスラエルのダンサーであるイタイ・エクスロード演じる兵士は、華麗にステップを踏み、銃を女性のように抱きすくめる。 兵士が生活をしているのは、毎日少しずつ沼地に沈んでいくコンテナだ。缶詰の肉を食べながら、少しずつ傾いでいくコンテナに、彼らはなす術もない。 時折検問所で停められる不機嫌なアラブ人たちの表情も印象的だ。 車の外へ出ろといわれた中年の太ったドレス姿の女性は、突然降り始めた激しい雨に打たれ、泣き出しそうな顔で途方に暮れる。 もともとこの物語は、監督自身の経験にインスパイアされたのだという。 彼の長女は朝が苦手で、タクシーで学校に行くという彼女を叱りつけ、バスで向かうよう命じた朝、そのバスがテロリストによって爆破されたのだという。長女はバスにも乗り遅れたために惨事に巻き込まれずにすんだが、監督は彼女に連絡がつかない間、「自身の戦争の時期をすべて合わせたよりもひどい」「人生で最悪の時間を過ごすことにな」ったのだという。 彼はインタビューで語っている。 「ヘブライ語で、『人間はあれこれ企むが、神はそれをせせら笑う』という言葉があります。運命の笑みとは、人が運命を変えようともがいている様を神が笑っているということです」(杉本穂高による監督インタビュー。https://www.huffingtonpost.jp/hotaka-sugimoto/destiny-movie_a_23536427/) 人間の営みは些細な偶然の積み重ねで行われており、時によってはそれは生死すら決定することがある。 危険な戦場においてはとりわけそうだろう。紙一重で生死を分けたエピソードは事欠かないのだから。 FOXTROTは、そんな皮肉な運命を象徴するステップだ。運命を逃れたとしても再び同じ場所に戻って来るしかない。そういうと、この作品がまるで「運命論」を語っているかのように思われるかも知れないが、そこで翻弄される人間の感情や現状を彼は描きたかったのではないだろうか。 ぼんやりしたラクダですら、ヨナタンの運命を握っていた。 そしてひとりの人間の死は、確実に周辺の人々の人生にも干渉するのだ。
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