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 「黒美君彦」さんのコメント一覧 登録数(4037件)rss
 コメント題投稿者投稿日
[001]泥棒番付
 大泥棒黒美君彦2019-05-22
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>泥棒番付の東正横綱・日本一の大泥棒とうそぶく佐渡八(勝新太郎)が、鬼与力と異名をとる田中松次郎(内田朝雄)に捕らえられる。そこで田中から、見逃す代わりに・・・
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<あらすじ>泥棒番付の東正横綱・日本一の大泥棒とうそぶく佐渡八(勝新太郎)が、鬼与力と異名をとる田中松次郎(内田朝雄)に捕らえられる。そこで田中から、見逃す代わりに清七(青山良彦)を預り、京都でうどん屋でも開けと命じられる。さらにそこに孤児だというお慶(小林哲子)まで舞い込んでくる。やがて佐渡八は新選組の壬生浪人たちにも気に入られるようになるが、実は清七は、倒幕派の田中の命を受けた長州藩士で、新選組の動静を探り、お慶も実は田中の養女であったことが判明。ところが田中は、実は大泥棒の新選組五大力(内藤武敏)に逆襲されてしまう…。 司馬遼太郎の初期短編『盗賊と間者』(『大坂侍』1959年初出、未読)が原作。 脚本は伊藤大輔、ということもあって、勝新太郎の活き活きとした大阪弁が楽しめる人情劇に仕上がっている。 原作に書かれているかどうかは未確認ながら、相撲の番付に「横綱」が載るようになったのは明治も半ばを過ぎてからなんだけどね。 飛んだり跳ねたり、勝新太郎の活躍が全てだけれど、当時34歳。実に脂の乗った時期で、新国劇のような芝居も悪くない。 恩人の与力田中の仇五大を討つ佐渡八が、針を口に含み、それを吹き矢のように使って新選組を倒す、というのはまるで後の必殺シリーズのよう。そんな特技、いつの間に覚えたんだ(笑)。そしてその合間で厠に行けずに震える下っ端隊員を演じる藤岡琢也もいい味を見せている。 佐渡八は、新選組が奪った金銀を取り返すが、ふと我に返り「倒幕だの勤皇だのどちらも泥棒だ!」と言い放ち、金銀を屋根の上からばらまく。庶民の立場からすれば、権力者同士の血で血を見る抗争にどれほどの意味があろう、という佐渡八。ラストの勝新の口上は見事だ。 惜しむらくは青山良彦、小林哲子に今ひとつ魅力が感じられないところ。その分勝新太郎の輝きは増すのだが…。傑作とまではいえないが、勝新太郎の魅力にあふれた作品だと思う。
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[002]刑事フォイル (シーズン8)
 「国益」とは何か黒美君彦2019-05-21
 【ネタバレ注意】
第26話(シーズン8#1)「ハイキャッスル」/ High Castle <あらすじ>1946年10月。ニュルンベルクで通訳をしていた大学教授が刺殺体で見つかり、ポケットから、ロンドンに本・・・
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第26話(シーズン8#1)「ハイキャッスル」/ High Castle <あらすじ>1946年10月。ニュルンベルクで通訳をしていた大学教授が刺殺体で見つかり、ポケットから、ロンドンに本社を置くアメリカの石油会社グローバル・アメリカン・オイル会長クレイトン・デル・マー(ナイジェル・リンゼイ)の自宅住所のメモが見つかる。デル・マーはMI5協力者で、英国がイランの石油を獲得できる重要人物だ。調査を始めたフォイル(マイケル・キッチン)はデル・マーの過去に目をつけ、相棒のサム(ハニーサックル・ウィークス)がデル・マー家に病床の父親のための朗読係として潜入する…。 ニュルンベルク裁判では戦犯に限らず、ナチスに加担した企業家等も対象となった。この回ではそうした企業家が戦中に敵国ドイツに飛行機燃料を密かに輸出していた、というのが明らかになる。ポーランドのモノビッツ強制収容所と連携していったドイツの工場。そこでロンドン在住の企業家が戦時中はナチスと組んでいたことを証明する写真や資料。そしてイランに発つ直前、最後にはソ連の工作員によって暗殺されるデル・マー。 もちろんフィクションであるが、あの時代、ヒトラーに心酔し、彼に利する形でビジネスを進めた連合国側の企業家が少なからずいたのも事実だ。そんな人物に国益を代表する仕事を預けていいのか、というフォイルの指摘は正しい。言論の自由は認められるが「本当の意味での国益」を損ねる人物に国家を託してはならない。それは今も同じことだ。
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[003]芳華-Youth-
 文工団の青春黒美君彦2019-05-15
 【ネタバレ注意】
中国映画そのものを観るのが久しぶり。前に観たのは、今回と同じフォン・シャオガン(馮小剛)監督の『唐山大地震』だった気がするから、それだけ日本で公開される中国映画が減・・・
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中国映画そのものを観るのが久しぶり。前に観たのは、今回と同じフォン・シャオガン(馮小剛)監督の『唐山大地震』だった気がするから、それだけ日本で公開される中国映画が減っているということだろうか。 さてこの作品は1976年〜95年にわたる青春群像を追ったゲリン・ヤン(厳歌苓)原作の大河ドラマ。舞台は歌や踊りで兵士たちを慰労する軍の歌劇団・文芸工作団(文工団)。そこに、苗苗(ミャオ・ミャオ)演じる17歳の何小萍(ホー・シャオピン)が入団してくるところから始まる。政治動向と関係なく、田舎者のシャオピンはいじめられるのは世の東西を問わない。彼女の父は6歳の時に、反革命分子とみなされ、労働改造所送りにされ、やがて病死するという設定に、当時の文化大革命の影が落ちる。 シャオピンは、文工団の模範生劉峰(リウ・フォン/ホアン・シュエン(黄軒))に憧れ、リウ・フォンは歌唱担当の林丁丁(リン・ディンディン/ヤン・ツァイユー(楊采鈺))に好意を寄せている。小穂子(シャオ・スイツ/チョン・チューシー(鐘楚曦))はそんな二人を見守っている。彼女はトランペット担当の陳燦(チェン・ツァン/ワン・ティエンチェン(王天辰))に思いを寄せている。フォーカスは主にこの4人にあてられるが、女優陣がみな健康的で魅力的。 10代後半から20代にかけて最も美しい姿態が伸びやかだ。 ところがこの1976年は中国にとって激動の時代でもあった。周恩来や毛沢東が相次ぎこの世を去り、四人組が摘発される。7月には唐山大地震が発生し、25万人が犠牲になったとされる。 大きく画面に映し出される「可口可楽」(コカ・コーラ)の看板が印象的。中国が大きく変革していくことが示唆される。 だが、相変わらず常に監視される(何せ軍所属なのだから)立場の彼らは、さらに厳しい現実が襲い掛かる。 劉峰は1979年の中越戦争の最前線に送られ、何小萍もまた前線で看護師として悲惨な現実と直面することになる。 戦場シーンのあとの文工団解散、その後の団員たちの消息はやや駆け足だが、大河ドラマだから仕方ないか。 群像劇なので、どうしても総花的になってしまい、エピソードをなぞる構成なのが惜しい気がする。決して悪くはないのだが…。 人民解放軍に代表される中国の武力は、今や経済力にとってかわり世界を席巻している。国内には問題が山積しているが、それを無視してでも巨大化しようとするのが現代中国だ。しかし、その背景にあったかつての青春や悲劇、そうしたものにこの作品は目を向けようとしている。ノスタルジーに満ちた苦い青春。抗うことも出来ず必死でもがき、時代に翻弄された若者たちへの深い共感が、この作品には溢れている。
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[004]さまよう刃
 ぐんぐん迫る黒美君彦2019-05-14
 【ネタバレ注意】
韓国ではこれまで数々の東野圭吾作品が映画化されている。この作品も日本で先に寺尾聰主演で映画化されていて(2009年)、観ているはずなのに全く印象に残っていない。当時の感・・・
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韓国ではこれまで数々の東野圭吾作品が映画化されている。この作品も日本で先に寺尾聰主演で映画化されていて(2009年)、観ているはずなのに全く印象に残っていない。当時の感想として「散漫」「消化不良」と評しているのが残っているだけだ。それに対してこの韓国リメイク版は、ぐんぐんと迫ってくる勢いが違う、と感じた。 娘を惨殺された父イ・サンヒョンを演じたチョン・ジェヨンの熱演がとにかく圧倒的だ。人間性が壊れ、復讐心だけで生きる…その心の動きが過不足なく描かれ、日本版にあったような唐突感がない。雪山でのロケも圧巻だ。およそ絶望的な状況で、それでも復讐心だけで足を引きずりながら歩く男。大関領(テグァルリョン)の雪山風景が寒々しく、美しい。 遺体を見つけたところからサンヒョンと関係が生まれ、結果的に彼を追うことになってしまう刑事のチャン・オックァンは、いってみれば観客の立場にある。サンヒョンに同情的な若い後輩刑事パク・ヒョンス(ソ・ジュニョン)を叱りながら、一方で誰よりもサンヒョンに同情的な役をイ・ソンミンが巧演。 雪の中で倒れたサンヒョンの前に、娘スジン(イ・スビン)の幻が立ち、「もう終わりにしよう」と語りかける場面は胸に迫った。 イ・ジョンホ監督は原作に惚れ込み、映画化にあたってはその説得力に全力を注ぎ、50回もの改稿を繰り返したのだという。 少年による凶悪犯罪は厳罰化で防げるものではないと思うが、犯罪被害者の側の哀しみ、憤りが見事に描かれた作品に仕上がっていると思う。 ラストは原作とは異なるということだが、雪山で愛娘の幻影と再会したサンヒョンは、この結末しか選べなかったのではないか。 ぐいぐいと惹き込まれる作品ではあった。あまりに重く救いのないストーリーではあるが。
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[005]轢き逃げ 最高の最悪な日
 途中までは悪くないが…黒美君彦2019-05-13
 【ネタバレ注意】
水谷豊のオリジナル脚本監督作品。手堅い演出で中盤までは面白く観た。 「神倉」という架空の地名からてっきり鎌倉ロケだと思っていたら、後半は明らかに神戸ロケがメインで、・・・
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水谷豊のオリジナル脚本監督作品。手堅い演出で中盤までは面白く観た。 「神倉」という架空の地名からてっきり鎌倉ロケだと思っていたら、後半は明らかに神戸ロケがメインで、ちょっと戸惑ったけれど。 轢き逃げされて死んだ娘の死と向き合う父時山光央(水谷豊)。何か納得できないものを抱く父が突きとめたのは…というのが物語の核ではあるけれど、その結末があまりに陳腐というかご都合主義というか…。 轢き逃げ犯の宗方秀一(中山麻聖)と、大学時代からの親友だという森田輝(石田法嗣)の関係は、どうみても同性愛的なものを感じて、そうしたセクシュアリティの話と宗方の政略?結婚とが絡んでくるのか、そしてそれが大企業内の勢力争いに絡んでくるのか等々予測したのだけれど、意外に?もっとシンプルなストーリー。 しかし亡くなった娘望(さな)が、どうして会社を休んでまで事故を企てた男に会いに行く必要があったのかとか、事故前に男が何故携帯を盗む必要があったのか(事故後ならわかるが)とか、何故水谷豊がそこまで確信を持てたのかとか、そもそものところの組立てが正直杜撰なので、後半はややシラけてしまった。 狭い路地で見通しが悪い喫茶店の前で待ち合わせしていただけというのは、偶発的ともいえる事故を計画するにはあまりに予測不能な要素が多すぎる。住宅街の路地なら車の音くらい気づくだろうし、うーん。説得力がない。 男二人の関係性も何だかな。巨大な嫉妬を抱えたまま提灯持ちを続けられるほど人間は強くないしなあ。 宗方と結婚した途端、夫が逮捕されるという悲劇の妻を演じた小林涼子は久しぶりに見たけれど、彼女が夫を待ち続ける妻である必然性もよくわからん。 そんなわけで、娘を突然亡くした父親の役を演じる水谷豊はよかったけれど、映画全体としては今ひとつでありました。残念。
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[006]愛がなんだ
 都合のいい女黒美君彦2019-05-10
 【ネタバレ注意】
ミニシアターが若い女性を中心に満席で、不釣り合いな男ひとりにとってはちょっと居心地の悪い感じも(笑)。 でも面白かったのです、これが。主人公の山田テルコを演じた岸井ゆ・・・
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ミニシアターが若い女性を中心に満席で、不釣り合いな男ひとりにとってはちょっと居心地の悪い感じも(笑)。 でも面白かったのです、これが。主人公の山田テルコを演じた岸井ゆきのが、可愛くもあり、バカっぽい二十代後半の女を巧演。相手役の田中守ことマモちゃん役の成田凌もこれまた「いるいる」と思わせる俺様男。テルコの親友坂本葉子の深川麻衣はマモちゃんの女版でお姫様女。葉子のいいなり男の仲原青役の若葉竜也も情けない感じを漂わせる。この4人の関係が、マモちゃんが年上の塚越すみれ(江口のりこ)に惚れてから少しずつ変わっていく…。 ということで、主要な登場人物はこの5人。 テルコみたいなタイプ、いるなー。徹底的に尽くすことで自己満足するタイプ。男のいいなりになることによって、無意識の内に自らの居場所を作り上げ、少しずつ相手を自分の思い通りの男に改造していこうとするんだよねー。 マモちゃんは俺様男だけれど、その気持ちわからなくもない。何せ都合がいいから。可愛くないこともないし、させてくれるし。でもずっと一緒にいたくないだけ。一緒にいると段々鬱陶しくなるから。 すれ違う男女の微妙な心理が、食べるシーンと重ねられていたり、突然別の自分や子どもの頃の自分と出会ったりして、映像的にもよく練られている。客観的な自分は、醒めた目で自分を見ている。葉子に言われるまでもなく、テルコは自分が守にとって都合のいい女であるだけの存在であることはわかり過ぎるほどわかっているのだ。それでも声が聞けたり、誘われたりすると無条件に嬉しいのだから仕方がない。そのためには守の好きなすみれを利用しても構わない…。 「もう会わないことにしよう」と意を決した守に、「自惚れてる?」と冷水を浴びせるテルコ。「いつまでも好かれていると思ってない?」(うろ覚え)と、冷静なふりをしてでも守のそばにいようと決意するテルコは最早ストーカーだ。実はこの映画、そんな女の怖さを描いた作品なのだ、きっと(笑)。 それにしても、終盤の若葉竜也はとてつもなくいい。「しあわせになりたいっすね」「うるっせーバーカ」の台詞のやりとりは、この映画の中で最も印象的な場面。 そんなわけで、イマドキの「いるいる」「あるある」感が満載の面白い映画に仕上がっていた。 敢えて難をいえばちょっと上映時間が長すぎる気がする。後半の「仲原青」「坂本葉子」「山田テルコ」をクレジット入りでひとりひとり腑分けしていく必要はあったかなあ。 いやー面白かった。ただ、この世代は半径3mの範囲で生きているのかと思わないではないけどね。余計なお世話か。
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[007]あなたが眠っている間に
 予知夢黒美君彦2019-05-09
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>予知夢が見えるナム・ホンジュ(ペ・スジ)が出逢った新人の検事チョン・ジェチャン(イ・ジュンソク)。最悪の出逢いだったが、ジェチャンがある事故を防いでホン・・・
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<あらすじ>予知夢が見えるナム・ホンジュ(ペ・スジ)が出逢った新人の検事チョン・ジェチャン(イ・ジュンソク)。最悪の出逢いだったが、ジェチャンがある事故を防いでホンジュと警察官のハン・ウタク(チョン・ヘイン)の命を救う。実はジェチャンも予知夢を見て助けてくれたのだ。ウタクもまた予知夢を見るようになり、三人は互いの危機を未然に防ぐために助け合うようになる…。 タイム・スリップものの亜種のラブ・ファンタジー。命を助けられると、自然に救ってくれた人が危機に陥るとその予知夢を見るようになるという、とっても都合の良い(笑)設定。透明感溢れるスジがとても可愛いけど、シリーズ後半ジュンソクといちゃいちゃし過ぎちゃうかー。 ジェチャンの幼馴染で検事から弁護士に転身したイ・ユボム(イ・サンヨプ)が悪役として登場するが、イケメンであるイ・サンヨプを配したところは評価。ジェチャンを助ける検察事務官(「捜査官」としているサイトもあるけれどちょっと違う気が)チェ・ダムドン(キム・ウォネ)もなかなかいい味を出している。毎回サブタイトルが映画の題名というのもシャレた感じ。 スジはTV記者の役だったけれど、あまり活かされているとはいえない。検事と取材者があんなにいちゃいちゃしていいのかー(そこばっかり)。 とはいえ、それなりに楽しめるファンタジーでした。 それにしても皆、夢の内容をよく覚えているなあ。
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[008]ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ
 ピカソは殆ど登場せず黒美君彦2019-05-09
 【ネタバレ注意】
正直似た内容のドキュメンタリーは「BS世界のドキュメンタリー」でも観たことがあったし、さほど大きな驚きはなかった。 それにしてもこの邦題はいただけない。「ヒトラーVS.・・・
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正直似た内容のドキュメンタリーは「BS世界のドキュメンタリー」でも観たことがあったし、さほど大きな驚きはなかった。 それにしてもこの邦題はいただけない。「ヒトラーVS.ピカソ」って、ピカソは殆ど登場しないじゃん。ましてや面と向かって敵対したこともないのに、これは羊頭狗肉の最たるもの。 さてさてナチス・ドイツが略奪した芸術品は総数が約60万点にのぼり、戦後70年以上経った今も10万点が行方不明なのだそうだ。 もともと画家を志していたヒトラーが、芸術に造詣が深かったのは想像に難くない。彼は自分が認める芸術品を集めた「総統美術館」を故郷のリンツに作りたいと考えていたといい、同じく芸術好きなゲーリングと競い合うように略奪していった…というのは有名な話。 写実的で古典主義的な作品こそが芸術であると信じて疑わなかったヒトラーは「大ドイツ芸術展」を開き、その対極にあるピカソやクレーといった前衛芸術を集めて「退廃芸術展」を開催。 人間は君主を目指し、君主は芸術までもすべて手中に収められると考えているかのようだ。 戦後、所有者たちは略奪された芸術品の返還を求めるが、そもそも「所有していた」証明が困難だ。かくして芸術品の一部は宙に浮き、所有者の手元にそれらは戻らない…。 とまあ、そんな話がずっと繰り返されるのだが、新しい話が少ない上に、構成がきわめてマジメなのでさすがに眠気を覚えてしまった。エピソードのひとつにはなっても、この主題だけで映画化するのは辛いのではないか、というのが率直な印象だった。
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[009]イメージの本
 引用または夢黒美君彦2019-05-09
 【ネタバレ注意】
かつて引用だけで小説は書けないだろうか、と妄想したことがあった。 それを映画でしてみせたのが、御年88歳のジャン=リュック・ゴダールだ(もちろん新たな映像もあるけれど・・・
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かつて引用だけで小説は書けないだろうか、と妄想したことがあった。 それを映画でしてみせたのが、御年88歳のジャン=リュック・ゴダールだ(もちろん新たな映像もあるけれど)。 <絵画><映画><文章><音楽>をコラージュしたこの作品は、ゴダール自身が語りを務めていることもあり、時代や空間を超越した…そう、夢のような映像体験が可能だ。そこには暴力や戦争といった世界に対する眼差しも的確に織り込まれている。 パンフには、2018年5月のカンヌ映画祭でのゴダールの会見が採録されているが、そこでのやりとりは殆ど禅問答で、凡人にはおおよそ理解しがたい。映画で何度も登場する“指”に関して、「私の作品は、初めから、五本の指で作られる」と語る。ことほど左様に彼の言葉はあまりに哲学的だ。 個人的には、ゴダールの紡ぐ言葉や映像に翻弄されながら、何故か黒澤明の遺作である『夢』(1990年)を思い出していた。 晩年を迎えて、彼らは自らの記憶に刻まれた「image」を具現化したいと考えたのではないか。 それは理解されるとかされないとかいった次元を遥かに超えたところに存在する熱望のようなものではないのか。 そしてその「image」の大波に弄ばれながら、どこか心地よさを感じている自分もいた。 これもまた「映画」である。
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[010]疾風スプリンター
 クラッシュ黒美君彦2019-05-09
 【ネタバレ注意】
かつて自転車野郎だった者からすると、自転車ほど人間の身体能力を伸ばすマシンはない。他の動力の助けを借りず、筋力のみで時速70〜80kmを出せるのだから。バイクのような太い・・・
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かつて自転車野郎だった者からすると、自転車ほど人間の身体能力を伸ばすマシンはない。他の動力の助けを借りず、筋力のみで時速70〜80kmを出せるのだから。バイクのような太いタイヤではなくあの細いタイヤで、しかも事故った時には大怪我をしかねないのだからそのスリルたるや。せいぜい時速40kmくらいしか経験のない自分でもヒヤッとしたことは何度でもある。 いうまでもなく欧州ではツール・ド・フランスの例を挙げるまでもなく自転車競技が盛んだが、アジアでの人気はまだそこまでではない。 競技シーンの迫力がどれだけ表現できるかがこうした映画のポイントとなるが、この作品では多数のカメラを効果的に配置し、短いカットの編集でその迫力を十分伝えている。 物語は台湾の自転車ロードレース強豪チーム“チーム・レディエント”のアシストとして所属するチウ・ミン(エディ・ポン)とティエン(ショーン・ドウ)の二人が核に進む。チームのエースは韓国人のチョン・ジウォン(チェ・シウォン)。お調子者でいつも自信満々のチウ・ミンは、女性レーサーのホアン・シーヤオ(ワン・ルオダン)をティエンと奪い合うが、ホアンはチウ・ミンに惹かれていく。 さらに資金難で解散を余儀なくされたチームを離れ、三人はそれぞれの道を歩み始める…。 とにかく空気が澄んでいて、観ていて気持ちがいい。エピソードも僅か数カットで終わらせて、どんどん物語が進んでいくテンポの良さ。 エディ・ポンは問題児だが、母親との間で問題を抱えるレーサーを巧演。ショーン・ドウも真面目であるが故にドーピングに頼ってしまう選手を熱演。ワン・ルオダンは少々細い印象だが、可愛らしさが印象に残った。 自転車の疾走感の表現も見事だったが、逆にいうと撮影の苦労も相当のものだったと思う。 ダンテ・ラム監督によると「撮影全体での負傷者数は80人。そのうち骨折が5〜6人」出たという。 ロードレースにクラッシュはつきものではあるが、エンドロールでは撮影中のクラッシュシーンが紹介されていて、思わず「いたたた」と顔をしかめてしまった。 自転車をテーマにした実写映画を観るのは多分初めて。深いものがあるわけではないけれど、青春スポーツ映画としては上出来だった。何より、アジア各国(とイタリア)でロケをしたレースシーンも楽しめる。
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[011]12か月の未来図
 悪くない黒美君彦2019-05-07
 
フランスの教育をめぐる現状は余程深刻なのだ、と思わせる。というのもこの映画を観ながら、やはり実話ベースである『奇跡の教室〜受け継ぐ者たちへ』(マリー=カスティーユ・・・・
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フランスの教育をめぐる現状は余程深刻なのだ、と思わせる。というのもこの映画を観ながら、やはり実話ベースである『奇跡の教室〜受け継ぐ者たちへ』(マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール監督 2014年)を思い浮かべていたからだ。 『奇跡の教室』は高校が舞台で、この作品は中学校だといった設定こそ異なるが、貧しい移民が増えたパリ郊外の中学校での教育格差の問題がここでは主要なテーマとなる。ひょんなことから名門高校から12か月の期限付きで赴任したベテラン教師フランソワ(ドゥニ・ポダリダス)。子どもたちにどうすれば学習意欲を持ってもらうか、彼の試行錯誤に果たして生徒たちが本当についてくるのかは大いなる疑問ではあるが、少なくとも「切り捨てる」ことを前提とした教育の在り方に一石を投じようとする姿勢は共通する。 もうひとつ共通点があるとすれば、子どもたち自身に考えさせることこそが重要だとしている点だ。 『奇跡の教室』では、歴史の授業でホロコーストについて調べさせ、サバイバーの話を実際に聴き、まとめ上げて発表するという経過を通じて変化していく生徒たちを描いた。 この作品でもユーゴーの『レ・ミゼラブル』を通じて、現代国語や背景にある歴史等を総合的に学ばせようとフランソワは考える。 ここにあるのは画一的な教育システムではなく、各人に合わせた教育の方法論だ。 稼ぐ国民を育てる(つまり納税する国民を育成する)というのが教育だと考えている輩には到底納得できないかも知れない。何故なら個別事情に合わせた教育には、時間とコストが必要になるからだ。ましてや自分一人で道を拓いてきたと勘違いしているエリート連中には、「学習できない辛さ」などわかろうはずがない。 しかしながら大多数の子どもが寧ろ後者だと考えれば、彼らのレベルを引き上げてこそ国全体が機能し、豊かになるのだということでもある。 反抗的でお調子者のセドゥ(アブドゥライエ・ディアロ)がこの作品では問題児として描かれるが、まだ幼さを残した彼はまだマシな方だろう。その意味ではこの作品はまだ甘い気がしないではない。 だが、どの先進国でも同じ悩みを抱えている現代だからこそ、モデルとすべき教育を扱った映画が作られる意味はあるはずだろう。 作品としては『奇跡の教室』の方が遥かに優れているが、同じ悩みを抱える教育関係者には是非観て欲しい作品た。
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[012]デビルズ・ノット
 誰かがやらないと誰もやらない黒美君彦2019-05-07
 【ネタバレ注意】
さすがアトム・エゴヤン監督…と思わせる作品だった。 1993年5月5日。米国アーカンソー州ウェスト・メンフィスで実際に起きた3人の男児の不明事件。やがて3人は残虐な手口で殺・・・
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さすがアトム・エゴヤン監督…と思わせる作品だった。 1993年5月5日。米国アーカンソー州ウェスト・メンフィスで実際に起きた3人の男児の不明事件。やがて3人は残虐な手口で殺害された遺体で見つかる。容疑者として逮捕された3人のティーンエイジャーは「ウエスト・メンフィス3」と呼ばれる…。 この作品では、弁護士を支援する調査員ロン・ラックス(コリン・ファース)の視点で描かれるが、そこには集団ヒステリー的な「悪魔崇拝」への嫌悪と、オカルトとヘヴィメタに対する嫌悪が混在した冤罪の構図が浮かび上がってくる。 この映画のあとに制作されたアレハンドロ・アメナーバル監督『リグレッション』(2015年)を思い浮かべながら観ると、80年代から90年代にかけて全米を席捲した「悪魔崇拝儀式」事件とそこから生まれた冤罪の数々を意識せざるを得なかった。 とはいえ、この作品では警察に対する視点もきわめて冷静だ。 彼らは彼らなりの正義で事実を積み重ねていこうとした。ただそれが「自白に依拠したお粗末な捜査」だった、だけなのだ。 こうした捜査手法は米国に限った話ではない。 凶悪な事件であればあるほど、メディアも地域住民も犯人検挙を急ぐよう警察に圧力をかける。そこに「目撃者」と登場すれば、それに飛びつくのは当然のことだ。 とはいえ、この事件では物証が乏しかったこともあってさまざまな追跡が試みられた。 有罪判決から2年後の1996年、この裁判を追ったドキュメンタリー映画『パラダイス・ロスト』(ジョー・バーリンジャーとブルース・シノフスキー共同監督 未見)が公開されるなど、少なくとも4本のドキュメンタリー映画が製作され、冤罪との見方が強まることになった。しかしながら、現段階でも3人の容疑者が有罪だと考える人は決して少なくないのだという。 結局この事件では真犯人が不明のまま現在に至るわけだが、それこそがこの映画の最も怖いところかもしれない。 怪しい継父、血まみれの黒人男性、さまざまなパーツはあるものの、ひとつの絵にならない。そうなった時「彼らならやりかねない」程度の疑惑がいつしか確信になることは容易に想像できる。ましてやインターネットやSNSを通じて断罪されると、恐らく逃げ場もないだろう。 コリン・ファース演じる調査員が何故この事件にこだわったのかが今ひとつよくわからなかったが、元妻に「(調査を)あなたがやらないで誰がやるの?」と問われるシーンはなかなか良かった。誰かがやらないと誰もやらない。 そのことの意味を噛みしめてみる。 リース・ウィザースプーンも好演。どうしてテリー・ホッブス(アレッサンドロ・ニヴォラ)みたいな男と一緒になるのかは謎だけど。 逮捕された少年たちが死刑に処せられなかっただけでも良かった、と思わざるを得ない事件だった。
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[013]関ヶ原
 早口台詞黒美君彦2019-05-07
 【ネタバレ注意】
時代劇、それもこれだけ大勢出てきて、尚且つ合戦シーンもあるとなれば随分金がかかっていることは容易に想像できる。それでも合戦シーンが物足りないという声もあるようだけれ・・・
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時代劇、それもこれだけ大勢出てきて、尚且つ合戦シーンもあるとなれば随分金がかかっていることは容易に想像できる。それでも合戦シーンが物足りないという声もあるようだけれど、それはちょいと厳しすぎはしないかなあ。 大作であることは認めた上で、面白かったかといえばうーん。あちこちで評されているように、まるで『シン・ゴジラ』のような早口の台詞の応酬。も少しゆったり話しそうなものなのに、何を皆生き急いでいるのじゃ。 石田三成(岡田准一)が後生大事にする「義」とは何ぞや。結局最後までよくわからないまま。くのいちの初芽(有村架純)への純愛こそが「義」か(笑)。 せっかく岡田准一が演じているのに、彼のキャラがもうひとつはっきりしなかったのが惜しまれる。秀吉(滝藤賢一)や家康(役所広司)の方がその点はっきりしていたし、島左近(平岳大)もキャラ立ちしているのに、だ。 一説には細川ガラシャの哀れな最期で一気に三成は支持を失ったとも言われているが、「そんなつもりはなかった」と言い訳させて終わり、というのもなあ。 そもそも戦国時代の大名同士の争いに興味が抱けないので、いずれにせよ深い見方はできないのだけれど、最後まで観られたので面白くないことはないのだろう。ただひたすら長口舌の早口言葉だけは勘弁して欲しかった(しかも聞き取りにくい)。 しかし、くのいちに有村架純は似合わないよなあ。やる気は買うが、映画作品としては今ひとつ、といったところか。
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[014]刑事フォイル (シーズン7)
 東西冷戦を背景に黒美君彦2019-05-07
 【ネタバレ注意】
第23話(シーズン7#1)「新たなる戦い」/ The Eternity Ring <あらすじ>1945年7月。物理学者フレイザー教授(スティーヴン・ボクサー)らは米国ニューメキシコ州のロス・・・・
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第23話(シーズン7#1)「新たなる戦い」/ The Eternity Ring <あらすじ>1945年7月。物理学者フレイザー教授(スティーヴン・ボクサー)らは米国ニューメキシコ州のロス・アラモスで人類初の核実験を目撃。一年後、フォイル(マイケル・キッチン)は米国から英国に戻ってくるが、そこに待っていたのはアーサー・バレンタイン(ティム・マクミュラン)で、フォイルはMI5幹部のヒルダ・ピアース(エリー・ハデントン)に再会。東西冷戦を象徴する核技術のスパイを見つけて欲しいと依頼される…。 こうなるともう「刑事」ではなく「諜報員」なのだけど。ヒルダの上司チェインバース卿(ニコラス・ジョーンズ)によると、ロシア人亡命者の情報で「エタニティ・リング」と呼ばれるスパイグループが、核技術をソ連に流出させようとしているとか。たまたまフレイザー教授のもとで働いていたサマンサ・スチュアート(ハニーサックス・ウィークス)までがスパイの疑いにかけられ、結局彼女はフォイルの元に戻ってくる。実は「エタニティ・リング」とは二重スパイを炙り出すための作戦だった…。相変わらず複雑なプロットだけど、国家間の水面下の争いの中でフォイルの戦争は終わらない…そんなことを思わせる佳作。 第24話(シーズン7#2)「エヴリン・グリーン」/ The Cage <あらすじ>3人のロシアからの亡命高官が隠れ家で殺された。時を同じくして傷だらけの身元不明のロシア人が病院で死亡する。フォイルは、病院近くの元捕虜収容所バートン・ホールに事件を解明する鍵があると睨む。一方、サムの夫アダム・ウェインライト(ダニエル・ウェイマン)は選挙に立候補。運動中に、娘が行方不明になったと女性に泣きつかれる。娘はスパイ容疑の外務省の女と同じ名だった…。 モスクワに脱出したエヴリン・グリーンを助けるために、軍の秘密機関にいたマクドナルド(トム・ベアード)が偽りの住所で同姓同名のエヴリンを拉致させていた、という二重三重のどんでん返し。観ているときはなるほど、と思って観ているのだが、観終わると見事にすべて忘れていくのが悲しい。どこまで史実に忠実なのかはわからないが、東西冷戦当初は社会主義への幻想もあり、思想戦も激しかった。国家の中枢までシンパが潜在していた恐怖が、共産主義者への恐怖や憎悪に変わっていったのは容易に想像できる。 第25話(シーズン7#3)「ひまわり」/ Sunflower <あらすじ>フォイルはオランダ人の美術史教授ファン・ハーレン(ラース・アイディンガー)の保護を命じられるが、彼は実は元ナチス親衛隊少将シュトラッサーで、MI5の貴重な情報源だった。彼を狙っているのはトミー・ネルソン(チャールズ・エイトキン)。彼は1944年8月の仏北部モルタンでの作戦「ひまわり」(独名:ゾンネンブルーメ)で26名の米兵捕虜が処刑された戦争犯罪の唯一の生き残りだった。アメリカからの身柄引き渡し要求をMI5は拒否。その矢先ファン・ハーレンの乗った車が爆破され…。 比較的わかりやすい物語。元ナチス幹部をめぐる英米の駆け引きと同時に、戦争犯罪被害者のPTSDが重なっていく。 一方夫アダムが労働党の国会議員になったサムは、MI5にいることを利用して強制収用された農地が戦後倍額になったカラクリを調べる(それはあかんやろ)。戦後、米ソが元ナチをスパイとして奪い合ったのは事実で、うやむやにされた戦争犯罪も少なくなかっただろう。このエピソードは、そうした戦後の一断面を鋭く抉った名作だ。フォイルの推理もキレがいい。
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[015]主戦場
 フラットな取材黒美君彦2019-05-07
 【ネタバレ注意】
「ネトウヨ」の主張に関心を持った日系アメリカ人のユーチューバーであるミキ・デザキが撮影も編集も監督もこなしたドキュメンタリー。インタビューを積み重ねて構成するいわば・・・
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「ネトウヨ」の主張に関心を持った日系アメリカ人のユーチューバーであるミキ・デザキが撮影も編集も監督もこなしたドキュメンタリー。インタビューを積み重ねて構成するいわば「ディベート・ドキュメンタリー」とも呼ぶべきジャンルが、特に欧米では数多く存在するが、この作品もそのカテゴリーに含まれるだろう。 デザキは敢えて問題が複雑化した「従軍慰安婦」について、ネトウヨの論客にインタビューする。「慰安所はあったが、軍や国は関与していない」「金をもらっていたのだから奴隷ではなく売春婦だ」「元慰安婦の発言に一貫性がない」「全部朝日が捏造したもので、 背景には中国がある」…等々。ではそれらは本当のところはどうなのか、どう解釈されるべきなのか。 慰安婦問題に関係してきた、日米韓の実に27人ものインタビューを通じて見えてきたものは、安倍晋三以降勢力を拡大し続ける「歴史修正主義者」の姿であり、彼らの多くがレイシストと呼ばれても仕方がない言動を繰り返している実態だった。 この作品から垣間見えてくるのは、「歴史修正主義」(「修正」というより「改竄」だが)と「フェイクニュース」が重なる現状と、「無知」がその背景にあるということだ。 そして慰安婦問題は白か黒かの二択で論じられるべき性質のものでもない。 当時の社会状況や差別感情、経済状況等を踏まえた上で、単に「法的に」どうかというだけでなく「人道的に」見た時にどうか、という視点も必要である。確かにこの問題をめぐっては日韓双方の政府にも大きな責任がある。都合の悪い資料をことごとく焼却処分したことをいいことに「公文書がないから事実ではない」と言い募る日本政府。河野談話で謝意を示したからまだマシだが、その後の自民党政権はこの河野談話すら否定しようと躍起だ。 戦場においてキレイごとは存在しない。だからこそ、歴史に謙虚になり、新たな時代を築くことが必要であるのに、日韓両政府はその時々で反韓・反日感情を煽り立て、問題をこじらせてきた。 その結果損害を被るのは両国の国民だ。 とにかくこの映画はよく取材し、よく調査している。 フラットな気持ちでこの作品を観た時、いったいどう感じるだろうか。 公の場で元慰安婦を口汚く罵った目良浩一(歴史の真実を求める世界連合会代表)に、「恥を知れ」とアメリカ人が激怒する姿を見て、改めてこの問題の根幹には「他者の尊厳を踏みにじる感情」があるのだ、と感じた。つまりナショナリズムという自分自身のアイデンティティを守るためには平気で他者を踏みにじることができる、という感情だ。 デザキ監督は、従軍慰安婦問題を記事にした元朝日新聞の植村隆記者に誹謗中傷や脅迫が行われているという話を聞いて、この問題に関心を抱いたのだという。そこから始まってここまで深く考察できたなと、ただただ敬服した。 諦めてはいけない。
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[016]皇帝のいない八月
 人物に魅力なし黒美君彦2019-05-06
 【ネタバレ注意】
198X年に勃発した自衛隊によるクーデター。政府はそれをどう鎮圧するか…というのがこの映画の本質。 二・二六事件等を実体験した人々がまだ多く健在だった時代、軍事クーデター・・・
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198X年に勃発した自衛隊によるクーデター。政府はそれをどう鎮圧するか…というのがこの映画の本質。 二・二六事件等を実体験した人々がまだ多く健在だった時代、軍事クーデターは決して夢物語ではなかった頃のお話。 政権のありようや時代の閉塞感は現代に通じるところがある。「美しい日本」を取り戻すのだ、と威勢のいい為政者が人気を集める現代の方が、寧ろ静かなクーデターが進みつつあるように感じるのは何故だろう。 それはさておき、登場人物が豪華である割に物語が今ひとつ魅力的でないのはどうしたわけだろう。 ブルートレイン「さくら」に舞台が移るまでは緊張感もあって面白かったのだが。 ひとつは主人公である三人、藤崎顕正(渡瀬恒彦)、妻の杏子(吉永小百合)、杏子の元恋人石森宏明(山本圭)の関係性や主張に共感が持てないからだろう。 藤崎はなぜクーデターを起こしたかについて、1970年に市ヶ谷で自刃した三島由紀夫程度のことしか語っていない。彼の内面にあるどうしようもないクーデターに対する熱情が見えてこないのだ。これでは単に軍事国家こそが日本のあるべき姿だと主張する極右から一歩も出ていない。そして妻の杏子に至っては訳がわからない。石森に会いに行く途中に拉致され、藤崎に犯された彼女は、平然とその藤崎の妻におさまっている。そして訳のわからないまま杏子を喪った石森は結婚しているのに、五年ぶりに杏子に会った途端、妻について「足の悪い、おとなしいだけの女さ」と吐き捨てるように言い放つ。 何なんだ、こいつたちは。 一方政権では影の宰相大畑剛造(佐分利信)が、右翼の大物や財界トップとクーデターに関してそれとなくやりとりをしているけれど、黒幕であることを知った政権が大畑逮捕に動くと姿がなく、連絡先もわからない…って、葉山の別荘くらい把握しているだろう、普通。 そんなこんなで最後は自棄のやんぱち、鎮圧軍と銃撃戦の末、クーデターは失敗し、石森も杏子も撃たれ、特急「さくら」に仕掛けた爆弾で車両は吹っ飛ぶ。政府は報道管制を敷いて、全てを隠蔽…。 クーデター計画の隠蔽は1961年に実際に「三無事件」であったことなので、もしかすると知らないだけで他にもあったかも知れない。 何でも青年将校役は当初は渡哲也にオファーするはずがどうしてもスケジュールが取れず、弟の渡瀬恒彦が演じることになったのだとか。彼の内側の狂気はなかなか迫力があった(共感は皆無だけど)。「さくら」の乗客役で、戦前ソ連に恋人の演出家と逃避行し、収容所に長く収監された岡田嘉子(1902〜92)が出ているというのも興味深い。 それにしても、寝台特急の乗客を人質にして国家転覆なんて、いくら何でも無茶が過ぎる。ある種の自爆テロと考えればありなのかもしれないけれど。 そんな訳でやや中途半端な作品になってしまった感が強い。残念。
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[017]アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン
 まだまだ続く黒美君彦2019-05-06
 【ネタバレ注意】
ハリウッド版戦隊オールスター祭り第二弾、といったところ。新たに登場する改造人間のピエトロ・マキシモフ(アーロン・テイラー=ジョンソン)、ワンダ(エリザベス・オルソン・・・
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ハリウッド版戦隊オールスター祭り第二弾、といったところ。新たに登場する改造人間のピエトロ・マキシモフ(アーロン・テイラー=ジョンソン)、ワンダ(エリザベス・オルソン)の双子兄妹の妹ワンダによってことごとくマインド・コントロールされる超人たち(ホークアイを除く)。。。。で、疑問。トニー・スタークに対するコントロールはいったいいつ解けたのだ??そもそもそのマインド・コントロールって、操るというより悪夢を見させるのが目的なのか??うーむ、よくわからん。 まあウルトロンがどうしたこうしたというよくわからんやりとりはともかく、アイアンマンとハルクの闘いがいちばん派手だったかも。国?が浮上するとか墜落したら人類滅亡だとか、後半は話が派手過ぎて何が何だか、だったし。 究極の人造人間ヴィジョンは、アベンジャーズ寄りで良かったね。彼が一応アベンジャーズの中では最強、ということになるのかな??よくわからんけど。ピエトロは再生細胞で蘇るのかと思ったが、死んじゃうとそれは無理なんだね。 今回は韓国ソウルが舞台にもなり、マーベルのアジア戦略も相変わらず(笑) ただ上映時間はさすがに長い気がした。お子様は我慢できないんじゃないかな。 ああ、でも同工異曲のストーリーで、またすぐ忘れてしまいそうな気がする…。
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[018]ミロクローゼ
 派手な割には黒美君彦2019-05-06
 【ネタバレ注意】
こうしたポップなファンタジーといえば、この作品の数年前に公開された『パコと魔法の絵本』(2008年 中島哲也監督)なんかも思い出しつつ。ある日出会った「偉大なミロクロー・・・
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こうしたポップなファンタジーといえば、この作品の数年前に公開された『パコと魔法の絵本』(2008年 中島哲也監督)なんかも思い出しつつ。ある日出会った「偉大なミロクローゼ」(マイコ)に恋をした少年オブレネリ・ブレネリギャー、恋愛青春相談員として若者たちを叱咤する熊谷ベッソン、恋人を探して時空を越える浪人多聞の三役を山田孝之が一人でこなしたことで話題になった…記憶もある。ファンタジーといっても大人向け。大人向けにしてはファンタジー。これだけの舞台を作って、これだけ種類の違う演出をして、これだけのCGや撮影方法を駆使したぞっ、というけれん味たっぷりの作品。乗れる人は乗れるのだろうけど、個人的にはうーむ。 色彩の豊かさは、映画内でも登場する鈴木清順から学んだ、ということだろうか。 最も驚くべきは女優たちのメイクかも知れない。マイコはもちろん、原田美枝子なんかもぱっと見だけではとても彼女だとわからない。メイクと衣装に見事に幻惑された、という点では、私も石橋義正マジックにしてやられた、ということかも知れない。ただ、山田孝之だけはどれも彼だとはっきりわかったけれど。 ところどころスタイリッシュなカットも散りばめられ、目を惹いたのも事実。でも面白いかと問われると今ひとつ…と答えざるを得ないのがつらいところか。まあ、何も考えずに身を委ねる分にはいいのかも知れませんが。 派手な割にはあまり印象に残らない作品のような気がします…。
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[019]炎上弁護人
 ネット炎上黒美君彦2019-04-26
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>実家を事務所にしている弁護士の渡会美帆(真木よう子)のもとに、日下部朋美(仲里依紗)がやってくる。彼女はSNSで批判したマンション業者のモデルルームの火・・・
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<あらすじ>実家を事務所にしている弁護士の渡会美帆(真木よう子)のもとに、日下部朋美(仲里依紗)がやってくる。彼女はSNSで批判したマンション業者のモデルルームの火災を動画でアップしたことから、自作自演では?とネット上で炎上。美帆は代理人を引き受けるが、マンション業者からは信用棄損で訴えられ、美帆自身もネットで誹謗中傷を受ける。ネットで直撃を売りにしている馬場明(岩田剛典)は朋美の独占ネット中継を提案してくるが…。 ネット炎上をテーマにした単発ドラマ。かつては「便所の落書き」と揶揄されたネットの書き込みも、今やその拡散力や相次ぐフェイクでその影響を無視できない。この作品や『3年A組』等、そうしたネットの負の部分をクローズアップしたドラマが制作されるのも当然だ。ただ、この作品でいえば登場人物の誰にも共感できないのがツラいところ。ネット上の安全地帯から誹謗中傷を繰り返す輩には、とてもじゃないが共感できないけれど「現実よりネットがリアル」といわれてしまうと返す言葉もない。 一方で、物語としてはあちこちご都合主義で、これまたついていけなかった。岩田剛典は爽やか好青年過ぎるしなあ。器物損壊までしていた主婦役の仲里依紗はイヤみな役を巧演していたけれど。真木よう子は悪くなかったけれど、敢えて炎上の矛先を自らに向けるというのは、手口としてはどうかなあ。 いわゆるネット炎上で、誹謗中傷の書き込みを繰り返すのはネット人口の0.5%に過ぎない、という研究がある(田中辰雄・山口真一『ネット炎上の研究』)。とはいえ、それを拡散するのはその周辺者であり、しかもネットからはほぼ永遠にそうした誹謗中傷は消えない。 人間は社会的動物であるがゆえに「見えない敵」からの攻撃を最も恐れる。 「卑怯者!」と真木よう子が叫ぶシーンがあるが、生来人間は「卑怯者」なもので、それが露出するのがネット空間なのかも知れない。いずれにせよ、人間は「イジメ」や「リンチ」を基本的に好む動物なのかも知れない、と少し絶望的になる。
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[020]人魚姫
 相変わらず黒美君彦2019-04-23
 【ネタバレ注意】
アジア映画歴代興行収入ナンバーワン、世界で1億人を超える観客を動員したというチャウ・シンチー作品。 まあ、相変わらずチャウ・シンチーならではのナンセンスギャグやVF・・・
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アジア映画歴代興行収入ナンバーワン、世界で1億人を超える観客を動員したというチャウ・シンチー作品。 まあ、相変わらずチャウ・シンチーならではのナンセンスギャグやVFXが満載なんだけれど、ちゃんと環境問題も取り込んで(?)傲慢な人間の醜さを描いているところが彼らしい。何せ中国の富裕層はシャレにならない金満ぶりだからなあ。 とはいえ、イルカ漁のシーンは『ザ・コーヴ』(2009年)で使われた太地町の映像じゃないのかな。そこでそれ使うか。 何もうしろめたいところはないのだから、あのシーンを使ったからと言って文句を言う筋合いでもないけれど。 成り金のリウ・シュエン(ダン・チャオ)が人魚のシャンシャン(リン・ユン)と恋に落ち、変わっていくというのが大きな物語で、シャンシャンを演じたリン・ユンが可愛かったが、タコ兄(ショウ・ルオ)が自らの足を焼いたり切られたりするシーンがあまりにバカバカしくて笑えた。ちょっといくら何でも残酷ではあったけれど。 とにかくバカバカしく笑うには十分でした。 ちなみに続編も製作されるという情報があったけれど、その後どうなったのだろう。
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[021]セメントの記憶
 現代の黙示録黒美君彦2019-04-23
 【ネタバレ注意】
レバノンのベイルートはかつて1975年から15年に及ぶ長い内戦が続いた街だ。今はすっかり復興したかのように見えるが、目を凝らすとそこここに砲撃の痕跡や廃墟が残っている。そ・・・
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レバノンのベイルートはかつて1975年から15年に及ぶ長い内戦が続いた街だ。今はすっかり復興したかのように見えるが、目を凝らすとそこここに砲撃の痕跡や廃墟が残っている。その街の海側は今、超高層ビルの建設ラッシュだが、そこで働いているのは、同じように内戦で住まいを失ったシリア人労働者が少なくない。 どこまでも高い青空、広がる水平線、開放感に溢れた風景の中で、ヘルメット姿のシリア人労働者は劣悪な環境に耐えながら働いている。 一人の男のモノローグ。出稼ぎから帰ってきた父が持ち帰ってきた「海岸」の絵の記憶。父の手からはセメントの味。その味は、空爆で崩れた瓦礫の中で蘇る。 ジアード・クルスーム監督は、元シリア人兵士だった。2011年にデモ鎮圧のため派兵された首都ダマスカスで、市民が兵士に殺害されるのを見て、政府軍を脱退、ベイルートに亡命したといい、現在はベルリンに暮らすという。今なお内戦が続くシリアでは、およそ100万人が亡くなり、およそ1000万人が国外へと逃れた。そんな祖国シリアを逃れた多くの難民や移民がベイルートで働いているのだ。 彼は、「破壊」「建設」を繰り返す人間の普遍的な営みを美しい映像で表現する。その美しい映像ゆえにその底辺に生きるシリア人労働者たちの劣悪な現実が浮かび上がる。 舞台は32階建ての建設中のオーシャンビューのビル。そこには地下につながる大きな穴があり、その底ではシリア人を含む200人を超える労働者が生活をしている。途切れることのない空爆のニュースをぼんやり聞きながら、彼らはコンクリートの床に身を横たえ、じっと疲れを癒すしかない。 そして唐突に挿入されるシリアの反体制派支配地域などで活動するボランティア組織ホワイト・ヘルメッツ(シリア民間防衛隊)によって撮影された、空爆直後の救出劇。 人によって建てられた住居の壁や天井が崩落し、凶器として人々を踏み潰す。 その重みに阻まれて、体を引きずり出すこともできない。 そして労働者たちは祖国を離れ、また建物を建てる。その建物を装甲車が砲撃し、破壊する。 これは現代の黙示録か。 重い気分で劇場を後にした。
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[022]ほかいびと 伊那の井月(せいげつ)
 一所不在黒美君彦2019-04-22
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>幕末の嘉永6(1853)年、「井月(せいげつ)」と名乗る男が長野の伊那谷にやってきた。一切過去を語らない俳人は、やがてその句で村人に受け入れられていく。住ま・・・
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<あらすじ>幕末の嘉永6(1853)年、「井月(せいげつ)」と名乗る男が長野の伊那谷にやってきた。一切過去を語らない俳人は、やがてその句で村人に受け入れられていく。住まいを持たず俳諧に生きた井月は、やがて維新、明治という時代に、自由を奪われていく…。 井上井月(1822〜1887)については浅学にして全く知らなかったが、伊那谷の人は子どもから年寄りまでみんなが知っている俳人なのだそうだ。作品内で少しずつ明かされていくが、井月はもともと「井上勝蔵」という長岡藩士で、1853年に伊那谷を訪れ、後半生をそこで生きた。 芭蕉を心の師と慕い、「一所不在」を旨として俳句を詠むことで一飯の恩義を受けた井月。その足跡を追いつつ、田中泯がまるで井月が乗り移ったかのような演技を見せる。正月、雪、花見、紅葉と、四季折々の美しい伊那の風景が印象的だ。 当時、季節をことほぐ者を「ほかいもの」と呼んだ。幕末、何らかの過去を持つ流浪の民は、一芸を見せることによってその存在を許され、それどころかもてなしまでも受けられる存在だったのだ。 民俗学に基づいた数々の映像作品で知られる北村皆雄監督(彼は伊那生まれで、井上井月顕彰会理事も務めている)は、井月には戊辰戦争で幕府側につき、大きな犠牲を払った長岡藩に対するうしろめたさがあったのではないかと推測する。闘う場にいなかった元藩士は、もはや長岡に帰るわけにはいかなかった。 ところが明治の代になり、近代国家の形が整備されていくと、無住の人間の存在は次第に許されなくなっていく。国家の基本は税である。納税は国民の義務であり、あらゆるものから自由な民の存在は国家からは認められない。それは井月とても例外ではない。次第に井月は生きにくくなり、1870年代後半からはしばしば帰郷を促されるようになるが、一旦は長岡方面に向かうものの伊那に舞い戻る、ということが繰り返されるようになる。井月はいつか「無用な者」とされてしまったのだ。 晩年は、乞食とさげずまれ惨めな姿だったという。1886年末に行き倒れていた井月は、ふた月後に「何處やらに/寉(たづ)の聲きく/霞かな」という最後の句を詠み、亡くなった。 彼が遺した俳句は千八百にも及び、のちに芥川龍之介に高く評価されたという。 この映画のクランクアップは2011年3月10日。その日は66歳で亡くなった井月の命日であり、井月を演じた田中泯の66歳の誕生日でもあったとか。その翌日が東日本大震災の発生であった。 この映画で井月の着物を用意したのが西陣の帯匠誉田屋の十代目山口源兵衛。田中泯の着古した着物を作るために、一級の着物を排水溝に晒し、染物屋の排水溝に浸し、さらに牛の血で染め、最後に肥溜めに浸けたものを河で洗い流したのだそうだ。 「朝顔の命はその日その日かな」は監督が最も好きな句だとか。 とにかく田中泯の存在感が、井上井月の生涯と重なって見応えのある作品に仕上がっている。樹木希林のナレーションも前に出過ぎず、心地よい。さらに一柳慧の音楽も素晴らしかった。 井月もこの映画のことも知らなかったなんて…そう思わせるほどの素晴らしい作品だった。
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[023]ハンターキラー 潜航せよ
 アンドロポフ艦長黒美君彦2019-04-22
 【ネタバレ注意】
世界は局地的な紛争や自爆テロに満ち溢れ、国家対国家の衝突が映画で描かれることも激減した(過去を描いたものを除くと)。 その意味では久しぶりに劇場で観た戦争アクション・・・
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世界は局地的な紛争や自爆テロに満ち溢れ、国家対国家の衝突が映画で描かれることも激減した(過去を描いたものを除くと)。 その意味では久しぶりに劇場で観た戦争アクションものかも知れない。米露の対立も深まっているからあり得ないことはないけれど、今は米中の方が危ないのでは?と思ったら、この映画、中国も資本参加していた(笑)。 ロシアで大統領が拉致されるクーデターが発生。先に攻撃すると応戦する根拠を与えてしまい、第三次世界大戦に発展しかねない。 たたき上げのジョー・グラス艦長(ジェラルド・バトラー)率いる攻撃型原潜ハンターキラーを、米国防総省はロシアの大統領救出のため向かわせ、同時に4名のネイビーシールズを潜入させる。 ポイントとなるのが、沈んでいたロシア原潜の生き残りアンドロポフ艦長(ミカエル・ニクヴィスト)の存在。 彼は伝説的?な潜水艦乗りで、海軍は彼にみな従う組織(笑)。彼がいなかったらどうなったんだ。 ジェラルド・バトラーが先制攻撃をぐっと我慢するあまり、基地からのロケット弾が着弾寸前まで行くシーンはこれで終わりか、と思わせるが、ぎりぎりで大統領の乗った米原潜を守るべく露護衛艦がロケット弾を撃ち落としてくれる。予定調和といえばそれまでだけれど。「潜水艦映画にはずれなし」といわれるけれど、さほど潜水艦映画に精通していないので出来はいいのかどうかはよくわからない。 適度に外でのネイビーシールズの活躍を見せてくれるのはありがたかったけれど、この手の映画はどうしても群像になってしまうので、ポイントがボケる感がある。 主人公の艦長も、ノンキャリアであることはよくわかったけれど、その他の背景についてはぼんやりしたまま。まあ関係ないっちゃ関係ないけど。戦闘では、兵士は駒に過ぎないからね。 それでも最後はハッピーエンドなので、ぼんやり楽しめる作品。元原潜の艦長が脚本に参加したとあって、描写はリアル…なんだろう、きっと。 アンドロポフ艦長を演じたスウェーデンのミカエル・ニクヴィストはこの作品が遺作(2017年6月に56歳で死去)だということで、惜しまれる。
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[024]魂のゆくえ
 宗教と社会の溝黒美君彦2019-04-19
 【ネタバレ注意】
ポール・シュレイダーが半世紀にわたって構想してきたという作品。これもまた現代米国の一面。 きわめて静謐な作品であるが、米国における宗教と社会の関わりについては詳らか・・・
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ポール・シュレイダーが半世紀にわたって構想してきたという作品。これもまた現代米国の一面。 きわめて静謐な作品であるが、米国における宗教と社会の関わりについては詳らかでないので、理解が難しいところが少なくない。 主人公のエルンスト・トラー(イーサン・ホーク)はニューヨーク北部の第一改革派教会の牧師。何でもこうした小さい教会はどんどん信者が減っていて存続が困難になりつつあるのだとか。キリスト教徒に生まれ直す「ボーン・アゲイン」運動によって、多くの人が原理主義的な「福音派」に身を置き、いわゆる「メガ・チャーチ」に行くようになっているらしい。 それはともかくトラーは息子をイラク戦争で亡くし、離婚を経て毎晩酒に溺れている。 宗教者として導く立場でありながら、一向に立ち直っているようには見えない。 そこにメアリー(アマンダ・セイフライド)が夫マイケル(フィリップ・エッティンガー)の相談にやってくる。過激な環境保護活動家であるマイケルは、身籠ったメアリーに対して、子どもを産むべきではないと主張していた…。 神は何を求めているのか。神に何を求めることができるのか。 そんな台詞が飛び交い、少なくとも一神教的な宗教からは距離のある私にはなかなか理解しづらい。 マイケルは結局自殺し、ガレージからは自爆のためのジャケットが見つかる。 一方トラーの教会の上部組織である「Abundant Life(豊かな命)」教会は、環境汚染を引き起こした複合企業バルクから巨額の援助を受け、250周年行事を準備している…。 繰り返すまでもなく米国では共和党の支持母体のひとつが福音派だが、彼らは人工中絶禁止や同性婚禁止などを訴えていて、共和党政権はそういう主張に力を貸す代わりに資金提供を受けている企業による環境汚染等を黙認しているのが現状だ。「地球温暖化はない」とトランプ政権が地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」離脱を決めたのは記憶に新しい。 そうした現実を目の当たりにして、トラーは250周年記念行事で自爆テロを計画する。 ガン?による体調不良に苦しむ彼の中には自死することしかないが、それがいきなり公害を生む企業家を巻き添えにした自爆テロに進むのは何とも飛躍としかいえないのだが、それだけ切羽詰まった精神状況だということか。 そんななかで、メアリーが、いつもマイケルとしていたという「マジカル・ミステリー・ツアー」をトラーとする。体を密着させ、互いの呼吸を感じた時、ふたりは空中に浮遊し、美しい世界や汚染された現実を漂うのだ。このシーンは妙にファンタスティックで、エロティックでさえあるが、くちづけもしない。そりゃそうだ。妊婦と牧師なのだから。 自爆テロ決行の日、メアリーが会場にいるのを見つけ、トラーは自爆用のジャケットを脱ぎ捨て、有刺鉄線を自らの体に巻きつける。 このシーンの意味するところはよくわからない。プロテスタントではなくカトリックではこうした棘つきのチェーンを体に巻いて肉体を傷つける苦行があると聞いたことがあるが(『ダ・ヴィンチ・コード』(2006年)では「オプス・デイ」という秘密結社の儀式として登場するが、「オプス・デイ」側が猛抗議している)、トラーがそれをするのはどういう意味があるのだろう。 そして「エルンスト!」と初めて名前で呼んだメアリーと抱擁し合い、長いくちづけをするのだ…。 そこではメアリーの聖性が浮かび上がってくる。宗教・破壊される世界・愛欲・物欲・政治・社会…さまざまな角度で語られ、あるいは語られない現代米国の深い闇。イーサン・ホークが演じた牧師のなかの闇は、実は米国全体の闇に重なる。 とはいえ宗教界の状況を把握していないので、どこまで理解できたかはよくわからないままだ…。 イーサン・ホークがすっかりこうした内省的な役を演じる年齢になったんだなというのが感慨深かった。
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[025]国沢☆実
 『ピンク・ゾーン2 淫乱と円盤』黒美君彦2019-04-17
 
『ピンク・ゾーン2 淫乱と円盤』(2018) ピンク映画はこのサイトでも漏れが多数あるので、国沢実監督の項目に。 <あらすじ>真船昭比古(山本宗介)は片思いの波川久美(南・・・
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『ピンク・ゾーン2 淫乱と円盤』(2018) ピンク映画はこのサイトでも漏れが多数あるので、国沢実監督の項目に。 <あらすじ>真船昭比古(山本宗介)は片思いの波川久美(南梨央奈)にフラれたが、大学で研究に没頭する一方、地下アイドルとして活躍する久美を応援していた。ところが彼女とマネージャーの男の情事を目撃した昭比古は思わず自慰をし軽蔑されてしまう。その後、教授と不倫していた後輩の城野えり(佐倉絆)と研究に取り組む昭比古は、飲むと愛が高まる新薬"エキゾスコール"を開発する…。 サブカルに詳しい切通理作が二十数年ぶりに脚本を書いたというピンク映画。オタクとアニメとSFと特撮はエロ(それもロリ系)とも親和性が高いということなのかよくわからないけれど(笑)面白いかと問われると、ところどころ笑えはしたけれど、うーむ。 特に後半はストーリーも破綻暴走気味で、なかなか評価は難しい…というか、そんなことどうでもいいんだけどね(笑)。やたら男優の自慰シーンが多いのが特徴的で、「永遠の童貞」と異名をとる切通理作氏の浪漫主義は表現できていたようにも思う。。。 監督…国沢実 脚本…切通理作 撮影・照明…藍河兼一 編集…酒井編集室    助監督…菊嶌稔章・粟野智之 制作…フリーク・アウト   提供…オーピー映画
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[026]多十郎殉愛記
 「こんな女だからよ」黒美君彦2019-04-16
 【ネタバレ注意】
京都の撮影所で培った時代劇、とりわけちゃんばらに対する偏愛が高じて、2015年に『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』というドキュメンタリー映画までものした1934年生まれの・・・
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京都の撮影所で培った時代劇、とりわけちゃんばらに対する偏愛が高じて、2015年に『時代劇は死なず ちゃんばら美学考』というドキュメンタリー映画までものした1934年生まれの中島貞夫監督。20年ぶりにメガホンをとった本格時代劇は、静謐ななかにも美学を感じさせる作品に仕上がっていた。 物語はシンプル。幕末に長州藩を脱藩した剣の達人清川多十郎(高良健吾)が、仲間と袂を分かって絵師になろうと長屋でひっそり浪人暮らしをしているが、時代はそれを許さない。彼は用心棒をしている居酒屋のおとよ(多部未華子)に慕われているが、幕府側の抜刀組に襲われ、やむなく剣を抜く。目を失った弟をおとよに託して…。 多部未華子演じるおとよがなかなかいい。彼女は出戻りの役柄で、多十郎が「こんな男になぜ」と訊くと「こんな女だからよ」と応える健気な役。ちゃんばらシーンもふんだんに配置している(長い槍もあるのだから同時に数か所から突いたら簡単に突けそうだけど、それを言っちゃあおしまいか)。 高良健吾も巧演している。栗山和樹の音楽も画によく合っている。 「本来剣劇は命のやりとりを描くもの」という中島貞夫の言葉には含蓄がある。単純な斬った斬られたではない無様な斬り合いを、この映画ではちゃんと表現しているし、その前後の余白もちゃんと描かれている。 斬られ役で知られる75歳の福本清三も参戦。 三島ゆり子や栗塚旭も出演していて、時代劇ファンのみならず映画ファンにも楽しめる作品に仕上がっていると思う。
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[027]麻雀放浪記2020
 シマウマ(笑)黒美君彦2019-04-16
 【ネタバレ注意】
公開直前に端役で出演しているピエール瀧が薬物使用をめぐって逮捕されたことから、どうなるかが話題になったけれど、結局ノーカット公開が決定。そりゃそうだろう。何でもかん・・・
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公開直前に端役で出演しているピエール瀧が薬物使用をめぐって逮捕されたことから、どうなるかが話題になったけれど、結局ノーカット公開が決定。そりゃそうだろう。何でもかんでも自粛すりゃいいってもんじゃないぞ。映画を観もしない「世間」「良識」の無責任な声が、どれだけ世の中を窒息させていることか。 それはともかく真田広之主演の『麻雀放浪記』から35年、何じゃこりゃ、というSFコメディにしてしまう辺り、白石和彌監督の幅の広さというか節操のなさというか(笑)感じないわけにはいかない。 主人公の坊や哲(斎藤工)が1945年から2020年の東京にタイムスリップ。しかもその東京は終戦直後の混乱期でゴリンピックも中止したというパラレルワールド。AIが発達し、国民はマイナンバーに紐づけられて一挙手一投足を監視されている…という設定。 設定そのものがパロディというか諷刺というか。どうみたって20歳には見えない斎藤工の坊や哲とか、およそマジメとは思えないのだが、ところどころブラックな笑いをとる。 しかも“イケメンふんどし雀士”として大人気となりながら、違法賭博容疑で逮捕された途端、グッズがみな棄てられてしまうなんて、まるでピエール瀧の事件まで見越していたみたいだ。 なぜ「麻雀五輪」なのだかさっぱりわからないけれど、そのバカバカしさは実際の東京五輪にも通じるところがある。ま、全編を壮大なコントと考えればいい。何せヒロインもチャラン・ポ・ランタンのモモであり、シマウマのVRでセックスしたり、ベッドシーンでゲロを吐きまくったりするシーンまであるのだから。しかしシマウマってどうよ(笑)。 ベッキーもこんな役をするようになったのか、と感慨深くもあった。彼女もスキャンダルを超えてひと皮剥けたかな。 この作品では、邦画では初めて常時20台のiPhoneを駆使して全編を撮影したのだとか。最早劇映画撮影にiPhoneのカメラが耐えられる時代なのだということに改めて感慨。機材はここまで進化した。さて問題は何を作るかだ。
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[028]逃走車
 クッキーボーイ黒美君彦2019-04-15
 【ネタバレ注意】
2013年に交通事故で急逝したポール・ウォーカーがプロデューサーと主演を兼ねた作品。全編車載カメラを駆使したことで、ワン・シチュエーションドラマのような味わいだが、時々・・・
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2013年に交通事故で急逝したポール・ウォーカーがプロデューサーと主演を兼ねた作品。全編車載カメラを駆使したことで、ワン・シチュエーションドラマのような味わいだが、時々主人公が車外に出るので、さほど窮屈感は覚えなかった。 ストーリーは後づけみたいなものなので、死んだ検察官の証言だけで刑事訴追できるとは思えないとか、車の塗装を腕時計ひとつでやってくれるストリート系若者とか、ところどころご都合主義と破綻が見られたけれど、P・ウォーカーとカーチェイスを楽しめたらそれでいいという映画なので多くを望むべきではない(笑)。 電話でやりとりした黒幕の話し方が、「クッキーボーイ」(クッキーのように脆いヤツ)と呼んでバカにしていた父親と似ている、と突然正義に目覚める主人公マイケル・ウッズ(P・ウォーカー)。 警察組織が関与した性的人身売買を突きとめたレイチェル・シャバング(ナイマ・マクリーン)の遺志を継いで、唯一信頼できる判事がいる裁判所に突っ込み、TVリポーターを人質に判事を呼ぶ…。無謀っちゃ無謀。悪徳警官に撃たれてしまうけれど、証言は放送されて…という結末には苦笑するしかないけれど。 それでもポール・ウォーカーはカッコいいし、カーチェイスはそれなりに見させてくれる。と同時にヨハネスブルグの空気感も少し伝わってくる。アパルトヘイト廃絶以降の南アの空気。 まあ何も考えずに観る分には十分。
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[029]バイス
 「リベラル臭」黒美君彦2019-04-11
 【ネタバレ注意】
徹頭徹尾ブラックジョークで作られた諷刺劇のようだが、実は事実に基づいているのだから怖い。 映画を観終わった男が「リベラル臭い」と吐き棄て、「事実が確認出来たらリベラ・・・
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徹頭徹尾ブラックジョークで作られた諷刺劇のようだが、実は事実に基づいているのだから怖い。 映画を観終わった男が「リベラル臭い」と吐き棄て、「事実が確認出来たらリベラルなのかよ」と噛みついた男と殴り合いになる…そんなシーンまで用意しているところが凄いけれど、何せ監督のアダム・マッケイは、コメディー劇団「アップライト・シチズン・ブリゲイト」の創設メンバーで、政府を諷刺する人気コメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」の脚本もこなしているのだとか。 しかし内容は綿密な取材に基づいているので、笑ってばかりもいられない。 おかしいのはひとつはその“そっくりさん”ぶり。 チェイニーを演じたクリスチャン・ベイルは、20kgもの増量をして髪を剃り、本人そっくりに。スティーヴ・カレルのラムズフェルド国防相も、サム・ロックウェルのジョージ・W・ブッシュも、観ている内に本人のような気がしてくるくらい。その他ライス補佐官、パウエル国務相もみな似ていること似ていること。 ディック・チェイニーが2012年に71歳で心臓移植を受けたというのは知らなかった。通常70代に対して移植手術はしないもんだけどね。先が長くないから。けれど金と権力があればそれもクリアできちゃうのか。その「心臓移植」が、この映画では実は重要な意味を持つ(笑)。 平たく言えば、頭の悪いブッシュを操っていたのはチェイニー、そのチェイニーを操っていたのは妻のリン(エイミー・アダムス)という構図なんだけど、それはそれで実行する能力を持っていたのだから、チェイニーもそれなりに優秀な「ワル」だったのだろう。 彼が副大統領で目指したのは「一元的執政府」。緊急事態を宣言すれば大統領が議会を無視して「独裁」が可能になるシステム。これを真似したのが「緊急事態法」だといえばわかりやすいだろうか。 大統領に権力を集中させる=副大統領であるチェイニーの思い通りになる、ということで、9.11同時多発テロに乗じて、無関係のイラクを侵攻したのは周知の通り。チェイニーは閣僚経験後に民間に天下り、石油開発会社「ハリバートン」のCEO、イラク戦争を機に「ハリバートン」はイラクの油田を管理することになり、ついでに戦地の復興事業も請け負って大儲け。4,000人の米兵が死に、10万人のイラク人が死に、テロで2,000人が死に、IS(イスラミック・ステート)が生まれようが知ったことではない。そんなチェイニーの実像が浮かび上がってくる。 途中やり過ぎだろ、と思わせる悪ふざけぶりが鼻につく場面もあるが、新自由主義に毒されたアメリカに始まり、世界各国に分断の火の粉がまき散らされたのは間違いない。あの時ゴアが選挙で勝っていればと、死んだ子の歳を数えても詮無いが、彼の手口を学んで各国で嘘にまみれた政治家ばかりが幅を利かす現状を見るにつけ、彼の罪は果てしなく重い、と思う。
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[030]リヴァプール、最後の恋
 入り込み切れず黒美君彦2019-04-10
 【ネタバレ注意】
アカデミー賞助演女優賞を受賞(1952年『悪人と美女』)したグロリア・グレアム(1923〜81)と、20歳以上年下のピーター・ターナーのラブストーリー。アネット・ベニングがグロ・・・
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アカデミー賞助演女優賞を受賞(1952年『悪人と美女』)したグロリア・グレアム(1923〜81)と、20歳以上年下のピーター・ターナーのラブストーリー。アネット・ベニングがグロリアを、ジェイミー・ベルがピーターを演じた。 落ち目の往年の大女優と駆け出しの役者。予告編で観た通りと言ってしまうとそれまでなのだけど。 年寄り扱いされることを何より嫌う彼女は、『ロミオとジュリエット』のジュリエットを演じたいとまでいう身の程知らず(笑)。 アネット・ベニングは熱演だが、実年齢より随分老けて見えたなあ。首筋の皺は隠しようがないし、痛々しくもあり。 しかし彼女はいつまでも若々しくいたかったのだろう。それに応じる若き役者の卵のグロリアに対する愛情がいつどうして生まれたのかが結局最後までわからず仕舞い。いつの間にか恋愛関係に陥るのだけれど、年齢差のある恋愛はいろいろ障害もつきもので。 何故突然彼女がピーターに冷たくしたか、という謎解きもあまりにみえみえで、意外性はなし。全体に悪い話ではないけれど、原作を超えるものではない、という印象に尽きる。 グロリア・グレアムという女優が、どのようなキャリアを積み、現在に至ったのかということも殆ど言及がないので、彼女を知らない私のような観客にはどうにも入り込み切れないラブストーリーだった。
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