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 「黒美君彦」さんのコメント一覧 登録数(3828件)rss
 コメント題投稿者投稿日
[001]銀魂
 これがかの黒美君彦2018-08-20
 【ネタバレ注意】
これがかの「銀魂」かー、とつくづく自らのセンスの古さにがっくし。 だってパロディっぽいところでくすっと笑えるってとこにしか見どころがないんだもの。壮大な学芸会を観て・・・
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これがかの「銀魂」かー、とつくづく自らのセンスの古さにがっくし。 だってパロディっぽいところでくすっと笑えるってとこにしか見どころがないんだもの。壮大な学芸会を観ている感じ? でもこんなのも他愛なく笑えるし、全否定する気はさらさらない。あとには何も残らないだろうけど、その刹那、面白いと感じたら勝ち!みたいな感じかなあ。 けれどこの手の映画で手を抜かない小栗旬に菅田将暉、嫌いじゃない。橋本環奈ってあんなに…だったっけ?? ま、いいんじゃない、という感じで。
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[002]LEGO(R)ムービー
 スパボン黒美君彦2018-08-20
 
レゴで遊んだ経験が殆どない自分にとっては、別に懐かしさも何もなかったんだけど、そのバカバカしい展開についつい最後まで観てしまった。レゴで出来た世界を守るウィトルウィ・・・
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レゴで遊んだ経験が殆どない自分にとっては、別に懐かしさも何もなかったんだけど、そのバカバカしい展開についつい最後まで観てしまった。レゴで出来た世界を守るウィトルウィウス(声:モーガン・フリーマン、「ウィトルウィルス」とは共和政ローマ期の建築家・建築理論家の名だとか)はおしごと大王(声:ウィル・フェレル)に最終兵器スパボンを奪われてしまう。予言された「奇跡のパーツ」を見つけたエメット(クリス・プラット)は「選ばれし者」なのか?? バットマンやらスーパーマンやら、ワンダーウーマンならぬワンダーガールやら、スターウォーズやら、もうあれもこれも放り込んでぐちゃぐちゃに物語を進めるのは、まさに子どものおもちゃ箱の中のよう(笑)。 けれども「上にいるお方」(=人間)が最終パートに登場するのは笑ってしまう。 しかも大人のくせにレゴの世界にとりつかれた男がウィル・フェレルというのも適材適所(笑)。 スーパーボンドを使って接着してしまうのは、確かに本来のレゴの遊び方からは逸脱しているよな。 パロディもお遊び感満載で、思った以上に楽しく観てしまった。 いわゆるストップ・アニメーションではなく、すべて3Dアニメだとのことで、それはそれでよく出来ている。 大ヒットしたこの映画がもとでプリンセス・ユニキャットのアニメまで生まれたのだとか。巷の評価が高いのも納得。マニュアルを逸脱しないとレゴの面白さはわからないものなのだ。
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[003]16歳の合衆国
 救いなき殺人黒美君彦2018-08-13
 【ネタバレ注意】
今をときめくライアン・ゴズリングがまだ無名時代に主役を演じた作品。 彼の役どころは恋人の弟を刺し殺した16歳の少年リーランド。 矯正施設で担任となった教師パール・マディ・・・
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今をときめくライアン・ゴズリングがまだ無名時代に主役を演じた作品。 彼の役どころは恋人の弟を刺し殺した16歳の少年リーランド。 矯正施設で担任となった教師パール・マディソン(ドン・チーゲル)は作家志望で、彼の話を小説にしたいと考え、話を聞き始める。 リーランドは、著名な作家アルバート・T・フィッツジェラルド(ケヴィン・スペイシー)の息子だが、パリに住む父親とはもう10年も会ったことがなかった…というお話。監督を務めたマシュー・ライアン・ホーグのLAの矯正施設で働いた経験をもとにしたそうだ。 単純にいうと、登場人物の誰にも共感を抱けないので、何ともいい難い。本来なら物語の語り手であるパールが透明な存在になるのだろうけど、彼は恋人がいながら同僚とさっさと浮気してバレて「弱い人間だから」と言い訳する下劣な男。しかもリーランドの父親のもとに行って「君は息子を利用して本を書きたいんだな」と見破られて、呆気なく担任を外されてしまう。 リーランドは人々から悲しみを感じる能力が強い。 誰もが悲しみに圧し潰されそうになっている…だから、希望もなく“普通でないことに気づいている”ライアンの生命を奪ったのだ、とでもいいたげに。うーん、優生思想の持ち主かよ。 彼は殺された少年の姉ジュリー・ポラード(ミシェル・ウィリアムズ)の元恋人アレン・ハリス(クリス・クライン)に刺殺されるが、何だかスッキリしない終わり方ではある。 いろいろ頭の中でごちゃごちゃ考えているうちに障害者は不幸だから救ってやりたいと思って殺したのか、というのではそれこそ救いがない。君は何者なのか。そんな問いに向き合う間もなく殺されてしまうのだから。 ライアン・ゴズリングは巧演なんだけどね。
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[004]ブロードチャーチ2 〜殺意の町〜
 「人は孤独だ」黒美君彦2018-08-13
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>英国南西部の小さな町ブロードチャーチで11歳の少年ダニー・ラティマーが殺された事件は、エリー・ミラー巡査部長(オリヴィア・コールマン)の夫ジョー(マシュー・・・
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<あらすじ>英国南西部の小さな町ブロードチャーチで11歳の少年ダニー・ラティマーが殺された事件は、エリー・ミラー巡査部長(オリヴィア・コールマン)の夫ジョー(マシュー・グラヴェル)の逮捕で落着したかと思われたが、公判当日ジョーは無罪を主張する。ジョーにはシャロン・ビショップ弁護士(マリアンヌ・ジャン=バプテスト)がつき、検察側には敏腕とうたわれたジョスリン・ナイト弁護士(シャーロット・ランプリング)がついて、法廷で火花を散らす。一方アレック・ハーディ警部補(デヴィッド・テナント)は、以前の勤務地サンドブルックで担当した12歳の少女ピッパが遺体で発見され、その従姉で子守の19歳のリサが行方不明になった事件の捜査をやり直そうとしていた。最有力容疑者はリー・アシュワース(ジェームズ・ダーシー)。ハーディは、容疑者の妻で重要証人のクレア・リプリー(イヴ・マイルズ)を匿っていた…。 ふたつの事件が進行するシーズン2。ひとつはダニー殺害事件の公判。英国の法廷のシステムはよくわからんが、弁護士は法廷で勝手な推理を立てて、「実の父親が犯人である!といえない確証はあるのか?」とか「ミラー巡査部長はハーディとの関係を続けたいために姉に賄賂を渡してウソの供述を依頼した!といえない確証はあるのか?」と言いたい放題。こんなの法廷で認められるのか??名誉毀損も甚だしいと思うのだが…。 一方サンドブルックでの事件は、リーから逃げるクレアをハーディが匿っているという展開だが、そこのところがもうひとつよくわからない。クレアは何を恐れているのか。最終的にはリーにとって最大の不利な証拠であるピッパのペンダントを、ハーディの妻の車から盗んだのはクレアだと明らかになるのだが、そこまでしていて何故リーを恐れる?? そして最終回にはダニー殺しで思わぬ評決が。うーむ。これは遺族が怒るのも無理はない。 名優シャーロット・ランプリングが弁護士役で巧演。 相変わらず存在感が半端じゃない。彼女が登場するだけで、ドラマがきゅっと締まる感じ。 美しいカメラワークも相変わらずで、若干疑問符は残るものの全体としては面白く観ることができた。新証拠が出てきてシーズン3に続く、ということかな?? 「愛は裏切られる…人は孤独だ」とクレアの取調べで語るハーディに「さっきのは間違いよ。人は孤独じゃない」というミラーのひと言が洒落ていた。
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[005]カメラを止めるな!
 満席!黒美君彦2018-08-13
 【ネタバレ注意】
公開初日の劇場はどこも満席で驚き。 確かに口コミ(というか「SNSコミ」?)で期待値が上がった、ということなんだろうけど、正直びっくり。 物語は「なんじゃこれ」という・・・
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公開初日の劇場はどこも満席で驚き。 確かに口コミ(というか「SNSコミ」?)で期待値が上がった、ということなんだろうけど、正直びっくり。 物語は「なんじゃこれ」という短編ソンビ映画に始まり、そうなるんだこれ、と思っていると、なるほど、そういう構成ですか、と。 後半はただただ笑うばかり。 それでいて、ラストにはちゃんと胸に迫る仕掛けが用意されていて、爽やかなエンディングにつながるという、なかなか良くできた作品。 達成感に包まれた面々の表情は、番組でなくとも仕事を共に成し遂げた時の一体感に通じる。昔のテレビの勢いを感じさせるような無茶苦茶な作りが、手作り感もあって訴えてくるものがある、ということだろうか。 ただ、それにしてもここまでの大ヒットは少々出来過ぎ。誰か仕掛け人がいるのでは?とは知人の弁だが、確かにそんな気も。 いや、出来が悪いわけではないではないですよ、決して。 まあ、万人が楽しめる作品であることは確かです。
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[006]焼肉ドラゴン
 「働いた…働いた」黒美君彦2018-08-13
 【ネタバレ注意】
2008年、東京の新国立劇場とソウルの「芸術の殿堂」の合同公演のために、韓国側から熱烈なラブコールを受けて鄭義信(チョン・ウィシン)が書いた戯曲が原作。 舞台は1969年、・・・
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2008年、東京の新国立劇場とソウルの「芸術の殿堂」の合同公演のために、韓国側から熱烈なラブコールを受けて鄭義信(チョン・ウィシン)が書いた戯曲が原作。 舞台は1969年、伊丹空港に近い場所を占有している在日の集落で、焼肉屋を営む家族の物語だ。 映画はいかにも舞台を映画化したような作りだが、それはそれで悪くない。 アボジの金龍吉(キム・サンホ)、オモニ英順(イ・ジョンウン)、長女静花(真木よう子)、次女梨花(井上真央)、三女美花(桜庭ななみ)、そして一人息子の時生(大江晋平)。 アボジは戦争で左腕を失い、戦後この地で焼肉屋を営みながら子どもたちを育ててきた。故郷の済州島は、1948年に起きた四・三事件で住民が大虐殺され、50年には朝鮮戦争が起きる。帰るに帰られず、彼らはこの地で差別に耐えながら生きるしかない。 つらい目にあってもアボジは美しい夕焼けに目を向けて「明日はきっとええ日になる…たとえ昨日がどんなでも」と語る。 それでも悲劇は留まらない。進学校で執拗ないじめに遭った時生は、言葉を失い、ついに自ら河に身を投げる…。 娘たちはいろいろな愛憎劇を繰り返し、長女夫婦は北朝鮮へ、次女夫婦は韓国へ、そして焼肉屋も国有地からの立ち退きを迫られ、一家は離散する。 後半のアボジの独白が胸に迫る。韓国ドラマでもお馴染みのキム・サンホが実にいい。オモニ役のイ・ジョンウンもいかにもコリアのオモニ、といった迫力だ。三姉妹はいくら何でも綺麗過ぎるけれど…(笑)。 立ち退きを迫られたアボジが「この土地は醬油屋の佐藤さんから買った」という台詞があるが、これは鄭義信監督の実体験によるのだという。彼の父は姫路で屑鉄屋をしていたが、立ち退きを迫られた時、そう言い張っていたのだそうだ。 戦後、軍事政権の韓国には帰りたくない、と思った在日も多かったろう。ましてや日本で生まれ育った二世にとって、半島にルーツはあっても故郷はない。帰国事業が推進された北朝鮮が実際はどのような国であったかは今さら語るまでもない。 「働いた働いた」と身世打鈴(シンセタリョン=身上話の意)を語るキム・サンホの独白は胸を打つ。 コミカルなのに、じんと胸に迫る…そんな在日を描いた秀作に仕上がっている。 大泉洋や大谷亮平らも巧演。なかなかの作品だ。
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[007]操作 〜隠された真実
 国家的陰謀黒美君彦2018-08-09
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>暴力団をバックにした愛国新聞は「マスゴミ」と自称するネットメディア。記者ハン・ムヨン(ナムグン・ミン)は、5年前ドーピング疑惑で柔道界を追放された際、支・・・
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<あらすじ>暴力団をバックにした愛国新聞は「マスゴミ」と自称するネットメディア。記者ハン・ムヨン(ナムグン・ミン)は、5年前ドーピング疑惑で柔道界を追放された際、支えてくれた大韓日報記者チョロ(オ・ジョンセ)を殺された経験を持つ。真犯人を捜そうと記者になったのだ。ある事件で壁に埋め込まれた白骨死体を見つけたことから、ムヨンは兄の同僚だった敏腕記者イ・ソクミン(ユ・ジュンサン)やクォン・ソラ検事(オム・ジウォン)らと事件の背景に迫る。そこには詐欺企業代表のナム・ガンミョン(イ・ウォンジョン)、その背景には大韓日報のク・テウォン常務(ムン・ソングン)、弁護士法人代表チョ・ヨンギ(リュ・スンス)らがいた…。 韓国で平均11.1%の視聴率を出したサスペンスドラマ。 大手新聞社の記者殺害の裏には国家的陰謀が隠されていた…という展開だが、少々話がややこしいので逆の意味で目が離せない。 安全企画部(かつてのKCIA)が主導して、身寄りのない子供をミドゥム園という施設に引き取り、そこで命令に忠実な軍人を「武器」として純粋培養しようとする。園を率いているのはニューハーベストという詐欺企業。そのニューハーベストの背後にはサヘ財団があり、そこにつながっているのがサヘ財団理事長の息子のチョ・ヨンギ弁護士と大韓日報のク・テウォン常務。 サヘ財団とミドゥム園が表に出ないように、記事捏造を常務が命じていた、ということで、数々の冤罪事件がでっちあげられていた、ということになる。 あたかもタイガーマスクの「虎の穴」か仮面ライダーの悪役のように(古い!)、悪いヤツが次第に大規模になっていく。 ご都合主義のところも決して少なくないし、今や新聞がそんな影響力を持ち得ない、というような粗も目立つが、毎回事件が展開していくのでついつい最後まで観てしまった。 女性キャストが大韓日報の記者とオム・ジウォンがメインなので、ラブロマンスは一切なし。そこが地味といえば地味。 しかしメディアを巻き込んだ国家的陰謀はそれなりのリアリティを持っていた。 新聞記者の敵は、いまや政権に忖度しまくる上司だったりするわけだしね。
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[008]祝福〜オラとニコデムの家〜
 複雑黒美君彦2018-08-06
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>ポーランド・ワルシャワ郊外の街で14歳の少女オラは、酒に溺れる父マレクと自閉症の13歳の弟ニコデムと暮らしている。母マグダレナは家を出て別の男性と暮らしてい・・・
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<あらすじ>ポーランド・ワルシャワ郊外の街で14歳の少女オラは、酒に溺れる父マレクと自閉症の13歳の弟ニコデムと暮らしている。母マグダレナは家を出て別の男性と暮らしている。オラは家事をこなし、弟の面倒を見る毎日だが、一方彼女は、ニコデムの初聖体拝領式がうまくいけば、家族がまたひとつになれると夢見ている…。 プライベート・ビデオのようにある家族に密着したドキュメンタリー。こうしたドキュメンタリーは、取材・撮影される側がどこまで意識的かに成否がかかる。取材を受けたところで、彼らの生活が豊かになるわけではないし、逆に家族のネガティヴな部分に光をあてられるのが厭だ、という反応があったとしても仕方がない。その意味でこの作品は、前提がすでに奇跡的といえるかも知れない。 オラはだらしない父と、自閉症の弟を抱えるどうしようもない現実に生きている。母は男を作って出て行ってしまったし、どこにもぶつけようのない怒りや苛立ちで彼女は爆発寸前に見える。 カトリックが国民の9割を超えるというポーランドにおいて初聖体拝領式は、大人への通過儀礼として家族で過ごす重要な儀式だ。普通は8歳かそこらで儀式を受けるが、自閉症のジコデムは13歳になってもまだ受けていない。アンナ・ザメツカ監督が家族に初聖体拝領式を受けないかと提案したことで、家族は変化を遂げる。何よりオラが家族がまたひとつになれるのでは、という夢を抱き、事前に神父の面接試験を受けなくてはならないニコデムにカトリックの勉強を教え始めるのだ。 とはいえ、現実はそれほど簡単ではない。初聖体拝領式を経たからといって、何かが変わるはずもなく、オラが大人の事情に振り回されるのも相変わらずだ。 そんななか、「1988年」のクレジットがある母親の幼い頃のビデオが挿入される。彼女もまた30年後、こんな人生を歩んでいるとは当時夢にも思わなかっただろう。厳しい現実に直面しながら、子ども達は大人になっていくしかない。そんなことを思いながら、少女オラ、そしてニコデムの未来が少しでも希望に満たされますように…と祈らずにはいられなかった。 結論があるわけではない、複雑な思いを抱かせる作品である。
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[009]沖縄スパイ戦史
 力作黒美君彦2018-08-06
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>第二次世界大戦末期、沖縄戦では民間人を含む24万人余りが死亡したが、一方沖縄北部ではゲリラ戦やスパイ戦が展開されていた。動員されたのはまだ10代半ばの少年た・・・
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<あらすじ>第二次世界大戦末期、沖縄戦では民間人を含む24万人余りが死亡したが、一方沖縄北部ではゲリラ戦やスパイ戦が展開されていた。動員されたのはまだ10代半ばの少年たちで、彼らは「護郷隊」と呼ばれたが、ゲリラ戦のスキルを仕込んだのは陸軍中野学校出身のエリート青年将校たちだった。青年将校に率いられ、少年たちは勝ち目のない戦闘に身を投じていく。またある者は偽名で学校の教員として派遣され、波照間島の住民の西表島への移住を軍命の下に強いた。マラリアを恐れていた住民たちだったが、次々彼らは病に斃れていく。沖縄の住民を利用することを徹底した軍の実相が見え隠れする…。 ふたりの女性監督によるもうひとつの沖縄戦。綿密なインタビュー取材で浮かび上がってくるのは、陸軍中野学校に教え込まれた「住民を管理・利用」しようという軍幹部の思考だ。 作品は幾つかのパートに分かれている。少年ゲリラ兵部隊「護郷隊」は、22歳と24歳の青年将校だった。少年たちは時として戦車への自爆攻撃を命じられたり、子どもを装い米軍内部に潜入させたりされた。やがてケガや病気に罹ると足手まといになるから、スパイに違いないから、と、隊の内部で処刑が行われる。そんな凄惨な中を生き延びた老人の言葉が重い。 護郷隊は最終的に160人が死んだ。 またあるパートでは、マラリアで500人が死んだ波照間島の住民の事件を追う。「山下虎雄」という偽名で青年指導員として国民学校に赴任した男の正体は「酒井清」という陸軍中野学校出身の工作員だった。男はある日軍刀を掲げ、波照間島の守備にあたって邪魔になる高齢者や女子どもに対して、西表島に移住するよう迫ったという。西表島はマラリア感染が必至の島だ。人々は「山下」を恨みながら死んでいったというが、戦後「酒井」に戻った男は何くわぬ顔で滋賀県で暮らしていたという。 沖縄で住民がスパイ容疑をかけられ、軍部に処刑されたケースは枚挙にいとまない。そこには住民による密告や裏切りもあった。力を持つ者に無条件に従う、というのは、戦場ではありがちな心理状態だ。住民を利用することに長けていた当時の工作員や軍が少し動けば、住民が住民を監視し、時には住民自ら“討伐”してくれる。 高齢の証言者を探し出し、インタビューするのは容易ではなかったに違いない。しかしそこで語られる肉声がどれほど重いことか。 タイトル「沖縄スパイ戦史」が果たして適切かどうかという気がしないではないが、ここに描かれている「過去」は、現在繰り返されてもおかしくない現実だ。 地道に取材を続けるディレクターに拍手。
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[010]ゲッベルスと私
 無数のポムゼル黒美君彦2018-08-06
 【ネタバレ注意】
2018年に亡くなったクロード・ランズマン監督の『SHOAH』(1985)を想起していた。演出や誇張を可能な限り排し、あの時代を生きた女性の語りをじっと聴く。 だが、そもそもこの・・・
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2018年に亡くなったクロード・ランズマン監督の『SHOAH』(1985)を想起していた。演出や誇張を可能な限り排し、あの時代を生きた女性の語りをじっと聴く。 だが、そもそもこのドキュメンタリーの前提に驚く。あのナチスのゲッベルスの秘書がまだ生きていたなんて。そして証言に応じたなんて。 2013年、200時間にも及ぶインタビューにゲッベルス宣伝相の秘書として働いたブルンヒルデ・ポムゼルが応じたことが奇跡のように思える。インタビュー時103歳。顔に深く刻まれた皺は、まるで彫刻のようで、特殊メイクではないのかとさえ思える。しかも言葉は明瞭で、記憶力も恐ろしく良い。 そして語られる言葉。 ゲッベルスの醸しだす魅力。ユダヤ人の友人の話。彼女は強制収容所のことも、ユダヤ人迫害の実態も知らなかった、と語る。そこにドイツが製作した宣伝用の映画が挿入される。たとえばポーランドのゲットー内部で餓死したと思しき無数の死体を“処分”するシーンが入る。この映像はゲットーで暮らすユダヤ人たちが自己管理も出来ないで大量に死んだというイメージを作り上げる為に製作されたという。死体すらプロパガンダに利用するおぞましさ。 彼女が何も知らなかったはずはない、と観客の多くは思うだろう。しかし彼女は極めて正直に語ってもいる。「最後は自分のことしか考えていなかった」と吐露する場面からもそれは明らかだ。 では、事実を多少知っていたとして、彼女に何が出来たかを考えてみる。 彼女は見たい事実、信じたい事実だけを見て、信用し、恐らく戦後も自分を納得させる為にずっと自分自身に言い聞かせて来たに違いない。 非難するのは容易だ。しかしその背後には語ることなく死んでいった無数のポムゼルがいたはずだ。 「命令を実行しただけだ」と言い放ったのは、アイヒマンだった。ハンナ・アーレントが「悪の陳腐さ」を語ったように、恐ろしいのは思考を停止し、命令を実行するだけの人間ばかりになった瞬間だ。 オーストリアではこの映画に対して「負の歴史を敢えて映画で振り返る必要はない」という批判も多かったという。 それは現代の世界に共通する傾向ですらある。 106歳という長寿を全うしたポムゼル。しかし彼女の後半生を考えたとき、彼女もまたナチスに人生を蹂躙された一人であったことは間違いない。事実の重みに踏み潰されそうな、そんなドキュメンタリー作品だった。
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[011]シカゴ・タイプライター 〜時を越えてきみを想う〜
 盛り上がりそうで…黒美君彦2018-08-06
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>スランプに陥った人気ベストセラー作家ハン・セジュ(ユ・アイン)は、シカゴで古びたタイプライターと出会うが、それ以降1930年代の幻を見るようになった。交通事故・・・
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<あらすじ>スランプに陥った人気ベストセラー作家ハン・セジュ(ユ・アイン)は、シカゴで古びたタイプライターと出会うが、それ以降1930年代の幻を見るようになった。交通事故に遭い、執筆が出来ない間に、ゴーストライターを名乗るユ・ジノ(コ・ギョンピョ)が書き始めた「シカゴ・タイプライター」が話題に。一方セジュの大ファンだというチョン・ソル(イム・スジョン)が次第にセジュの生活に入り込んでくる。実は彼らは前世、1930年代の武装抵抗組織「朝鮮青年同盟」のメンバー、頭領ソ・フィヨン(ユ・アイン)と片腕のシン・ユル(コ・ギョンピョ)、狙撃手リュ・スヒョン(イム・スジョン)として固く結ばれていたのだった…。 盛り上がりそうで盛り上がりきらなかったドラマシリーズ。前世の因縁が現世に蘇る…そしてそのきっかけになるのがシン・ユルがとりついたシカゴ・タイプライター。「シカゴ・タイプライター」というのはもともと米国製の短機関銃の呼び名なんだとか。つまり「タイプライター」と武器をかけたのがこのタイトルだということになる。 セジュが手に入れたタイプライターにとり憑いていたのがシン・ユルの霊。 実はハン・セジュとチョン・ソル、シン・ユルは、前世で独立組織のメンバーだったということなのだが、シン・ユルは自分が誰に殺されたのか記憶がない(幽霊なのに)。 物語は現代と1930年代を行ったり来たり。 もう少し面白く出来そうだったのだが、今ひとつ盛り上がりきらず。それでも1979年生まれのイム・スジョンと1987年生まれのユ・アインのカップリングに違和感がないのだから、恐るべしイム・スジョン。 植民地統治をしていた国におもねる朝鮮人の存在もあり、歴史を何とか取り込もうとするのはわかるけれど、少々スタイリッシュにしすぎた感じがある。あたかも京城が上海のようだ(笑)。 もう少し面白くなりそうだったのになあ。惜しい。
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[012]ヒトラーを欺いた黄色い星
 途切れぬ緊張黒美君彦2018-08-01
 【ネタバレ注意】
70年以上経った現代においても、ナチスの蛮行とそれに抵抗した人々の物語をこうして映画化するドイツ。過去の不都合な事実と向き合い、記録し続けるその姿勢にはただただ頭が下・・・
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70年以上経った現代においても、ナチスの蛮行とそれに抵抗した人々の物語をこうして映画化するドイツ。過去の不都合な事実と向き合い、記録し続けるその姿勢にはただただ頭が下がる。 それだけ深い傷がドイツにもヨーロッパ全体にも残っている、ということの証左でもあるだろう。 ナチスによって殺戮されたユダヤ人は600万人にものぼると言われるが、そのうちドイツ国籍を持っていたのは16万人。彼らは国外への移住が禁じられ、なす術もなくその多くが収容所に送られた。 1943年6月に宣伝相ゲッペルスが「ベルリンからのユダヤ人一掃」を宣言したことは、浅学にして知らなかった。 だが、この時7,000人のユダヤ人がベルリンに潜伏していたという。結局そのうち生き延びることが出来たのは1,500人。逆にいえば5,500人が命を落としたということでもあるのだが…。 この作品には派手なアクションも銃撃戦もヒーローも登場しない。 いつ摘発されるかわからない緊張感のなかで生き延びた4人の若者を、ドラマと証言で再現している。 名前を変え、住まいを変えながら潜伏する彼らを、自らの危険を顧みず匿ったドイツ人も少なからず存在した、ということも驚きに値する。 子どもが反ナチの親を告発していた時代でもある。もちろんドイツ国民は、ナチスによるユダヤ人大量虐殺の現実を詳らかに知っていたわけではない。しかし、ユダヤ人を匿うことが自らの安全を脅かすおそれにつながることは知っていた。それでも敢えて匿った市民がいたのだということはもっと知られていい。 生き延びた若者たちに共通しているのはどこか楽天的であること。最悪の事態を考えつつ、信じられそうな人に希望を託す時には躊躇しない。 いろいろな運が重なり合って、証言者たちは生き延びることが出来たのだ。 1943年、16歳で潜伏生活を始めたオイゲン・フリーデが語った言葉が印象的だ。 「ユダヤ人を憎むこととガス室に送って殺すことは、全く別問題だ。そこが今も私には理解できない」。 1980年生まれの若きドイツ人哲学者マルクス・ガブリエルの言葉がふと甦った。 「冷笑と反民主主義に対しては断固“NO”を言うべきだ。たとえみんなと違っていたとしてもね」。
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[013]続社長忍法帖
 「忍法ひかり」黒美君彦2018-07-30
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>北海道で無事新ビル受注に成功した岩戸久太郎社長(森繁久彌)率いる岩戸建設。札幌出張所の毛馬内強(フランキー堺)は本社の営業課長に昇進した。一方札幌のスナ・・・
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<あらすじ>北海道で無事新ビル受注に成功した岩戸久太郎社長(森繁久彌)率いる岩戸建設。札幌出張所の毛馬内強(フランキー堺)は本社の営業課長に昇進した。一方札幌のスナック「まりも」のマダム澄江(新珠三千代)は東京進出を目論み、設計を依頼された岩戸は安請合いするが、息子が生まれたばかりの石川隆技術部長(小林桂樹)が残業を拒んだため、岩戸自ら徹夜する始末。見かねた妻登代子(久慈あさみ)が石川の妻京子(司葉子)に注意し、石川夫妻の仲は険悪に。一方建設費残金5,200万円を支払わない大阪の甲賀商事社長(新藤英太郎)との交渉に富樫忠造常務(加東大介)、間々田弁次郎部長(三木のり平)とともに乗り込んだ岩戸だったが、甲賀社長は「京都のホテル建設斡旋で三か月待ってくれ」。そのホテルの施主、祇園の女将せん(浪花千栄子)は、設計は有名建築家の丹波(伊藤久哉)に依頼していたが、丹波と石川が衝突。石川が馬鹿にされ、岩戸も丹波と絶縁を宣言。ところが石川は「社長の無責任な経営についていけない」と、辞職を申し出た…。 社長シリーズ第23作。前作からひと月も経たない内に公開された続編だ。物語は岩戸目線で、毛馬内の歓迎会名目で「まりも」のマダムとふぐを食べに行ったのが妻にバレたり(20時前に切り上げて帰宅したんだから問題はないと思うけど)、彼女に依頼されたクラブの設計図を描いたり、と何かと忙しい。祇園で何故か目をつけられた芸者玉菊(草笛光子)としっぽりやろうと思っていたら、間々田に邪魔されたり、と岩戸社長は踏んだり蹴ったり。それでも部下を馬鹿にした若手建築家を一喝するシーンはなかなかいい。 宴会芸が一切なく、コメディといっても比較的正統な作りなのだけど、その分三木のり平やフランキー堺の活躍する場がなくて少々寂しい気もする。 冒頭では東京五輪後の「新東京八景」が紹介される。東京国際空港、東京港と高速一号線(モノレール)、皇居付近、赤坂見附周辺の立体交差、代々木スポーツセンター、駒沢オリンピック公園、3,330世帯1万人が暮らす赤羽台マンモス団地、そして新宿民衆駅…それぞれの1964年の姿が記録されていて、それはそれで面白い。「新宿民衆駅」?という呼び名が耳慣れないが、国鉄と地元が共同で駅舎を建設し、商業施設を設けた駅のことを「民衆駅」と呼んだそうで、新宿駅東口は1964年に完成したとのこと。 また、当時の京都・歌舞練場で行われた「都をどり」は通常4月の行事だが、1964年だけは「東京オリンピック大会記念公演」として10月にも開催されており、恐らくその時に撮影したものだろう。 また、始めの方で、「課長の歓迎会をぱっと新橋あたりで」と三木のり平が言い出したのを「やりたいなら自腹で行け」と社長が釘を刺すあたりは、東京五輪後に実際にあった光景のよう。 進藤英太郎、浪花千栄子といった名脇役が出ているのも楽しい。 火災を起こした関西デパート社長(藤田進)に、すぐに復旧工事を申し出て、事業もうまく回り始めてめでたしめでたし、となる大団円。 森繁は相変わらずの達者ぶりだけど、「忍法」は殆ど出てこなかったな。大阪出張の時の「忍法ひかり」(by間々田部長)くらいか。
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[014]未来のミライ
 半端じゃない期待はずれ黒美君彦2018-07-27
 【ネタバレ注意】
久しぶりの細田守作品。山下達郎の予告編もワクワクさせてくれたんだけど…期待外れ感は半端じゃなかった。 幼児向けの道徳アニメ素材みたいな(あくまで個人的印象です)、何が・・・
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久しぶりの細田守作品。山下達郎の予告編もワクワクさせてくれたんだけど…期待外れ感は半端じゃなかった。 幼児向けの道徳アニメ素材みたいな(あくまで個人的印象です)、何が何だか。まずは「くんちゃん」役に上白石萌歌を使ったのはなぜ。 ミライちゃん役でいいじゃん。彼女の声は「少女」の声であり、男の子の声になっていない。しかもあれだけ演技を求められる役柄なら、ちゃんとプロの声優を使うべきではないでしょうか。麻生久美子の声も何だかなあという印象。星野源と福山雅治、役所広司といった男性陣はよかったけど。 雛人形を仕舞い込むエピソードなんてどうでもいい、という感じ。4歳の子にあんな片づけ方はそもそも無理だし。 ファンタジーの設定も中途半端。設定が4歳?だから仕方ないとはいえ、観ている側はいらいらするばかり。ひいじいちゃんとのタイムスリップのエピソードも、4歳には難し過ぎるだろ。 「ミライの東京駅」のエピソードは面白かったから、寧ろその路線で進めた方が良かったのか…。 CGアニメも何だか平面的。盛り上がりにも欠けてがっくり。 製作費は相当かかっているらしいけど、これはしんどいだろうなー。
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[015]野沢尚
 愛(めぐみ)の世界〜暴かれたプライバシー黒美君彦2018-07-27
 【ネタバレ注意】
野沢尚脚本作品だがデータが見当たらないのでここに記載。 OA:1990年4月19日 日テレ「木曜ゴールデンドラマ」枠でOA。 監督:鶴橋康夫 脚本:野沢尚 第6回芸術作品賞、・・・
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野沢尚脚本作品だがデータが見当たらないのでここに記載。 OA:1990年4月19日 日テレ「木曜ゴールデンドラマ」枠でOA。 監督:鶴橋康夫 脚本:野沢尚 第6回芸術作品賞、第17回放送文化基金賞ドラマ番組部門優秀賞受賞 <あらすじ>首都日報の江上尋子(大竹しのぶ)は、野心を胸に地方紙から転進してきた記者。うまく記事が書けない彼女は、貧困家庭で家庭内暴力を振るう母親を階段から突き落とし、死なせてしまった少女メグミ(建みさと)を主人公にした連載記事「愛(めぐみ)の世界」で、日本記者クラブ連盟賞を受賞し、一躍スター記者となる。ところが彼女のフランス留学などの経歴がウソだったことがわかり、記事そのものもでっちあげではないかとの疑惑が社内で浮かび上がった。真偽を調べるよう命じられたのは、尋子の先輩記者でかつて愛人関係にあった三村昴志(役所広司)だった…。 きわめて現代的な内容のドラマで決して古びていない。この頃の新聞社はまだ男尊女卑で、そんな中で女性記者が男性記者と伍していくには決して簡単なことではなかった。 そうしたなかで彼女は、間違いなく評判を呼ぶと確信していた“ネタ”があった。そして実際その連載記事でスター記者に上り詰めるが、虚偽の経歴が明らかになった途端、開き直る主人公。この憎々しげな役に大竹しのぶがぴったり。少しコケティッシュに、しかし野心に燃えている彼女のしたたかさがよく描かれている。 もちろん観る側は、「愛(めぐみ)」とは、彼女自身の体験に基づいた少女だ、ということにすぐ気づく。そして大竹が読み上げる少女の体験が、彼女の傷痕を深く抉る行為だということも。 かつて愛した先輩記者三村が、彼女の記事の真偽をはっきりさせるのと引き換えに、支局から戻る取引に乗ったというのも、なかなか冷たい関係を示唆していて面白い。 悪女でありながら、悲しみを内在させた女…本来鶴橋康夫の演出はこうした作品に向いているのかも知れない。1990年というバブルの崩壊と軌を一にしたドラマである、ということがぐんぐん迫ってくる。
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[016]アイアングランマ2
 ううむ。黒美君彦2018-07-23
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>学園理事長塩谷令子(大竹しのぶ)と、孫の世話をしている佐藤直美(室井滋)は、かつて諜報活動の特殊捜査官コンビだった。その名も「ソルト&シュガー」。20年ぶ・・・
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<あらすじ>学園理事長塩谷令子(大竹しのぶ)と、孫の世話をしている佐藤直美(室井滋)は、かつて諜報活動の特殊捜査官コンビだった。その名も「ソルト&シュガー」。20年ぶりに任務をこなした二人に、新たなミッションが下った…。 飯田譲治脚本・監督のコメディ・アクションドラマの第二弾。テロ資金の密輸ルート壊滅を目指すとか、ヤバい仕事が舞い込むとNHKらしからぬ相次ぐ敵諜報員による殺人も。現実生活とのギャップが面白みを生んでいた第一シリーズに比べると、強大な敵?との戦いが前面に出ただけ何か陰惨なイメージがつきまとってしまった。 加藤雅也とか、今ひとつよくわからん敵キャラだったなあ。 コメディにしちゃ戦闘シーンも派手だし、うーん、どう見たら良いのかよくわからないドラマでした。やっぱり印象に残らない気がする…。 大竹しのぶと室井滋は頑張っているんですけどねー。
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[017]そろばん侍 風の市兵衛
 無難な時代劇黒美君彦2018-07-23
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>文政年間の江戸。「渡り用人」として商家の家計を預かる唐木市兵衛(向井理)は、もともと筆頭目付の家に生まれながら、上方で商売を経験した算盤が得意な侍。実は・・・
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<あらすじ>文政年間の江戸。「渡り用人」として商家の家計を預かる唐木市兵衛(向井理)は、もともと筆頭目付の家に生まれながら、上方で商売を経験した算盤が得意な侍。実は剣の達人でもあり、その剣は「風の剣」と呼ばれた。異母兄で旗本・御家人を取り締まる筆頭目付片岡信正(筒井道隆)を助けながら、市兵衛は北町奉行所の同心渋井鬼三次(原田泰造)らとともに悪に立ち向かう…。 第一部「春の風」第二部「雷神」第三部「帰り船」と、三回でひとつのドラマをまとめるというのは意外に見やすかった。辻堂魁の原作は未読だが、爽やかな後味の時代劇。 とはいえ、向井理が演じる「そろばん侍」が剣の達人というのがほぼ全て。もう少し会計的な?活躍も見たかった気もするけど…。 村川絵梨、小芝風花、前田亜季という各商家を守るのが妙齢女性ばかりというのも、何だかなあという気がしないではなかったけど、そこは彩りも必要ですからね。その割には全体的に地味な女優が多かったけど(笑)。 それにしても悪い連中がみな、現代と重なって見えてしまうのが何ともはや。 特に難しい展開もなく、素直に楽しめる時代劇に仕上がっていました。
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[018]べネファクター/封印
 孤独な富豪黒美君彦2018-07-23
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>フィラデルフィアで病院を経営する大富豪のフラニー(リチャード・ギア)は、5年前親友夫婦を自分が原因の交通事故で死なせてしまう。その後自暴自棄の生活を送っ・・・
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<あらすじ>フィラデルフィアで病院を経営する大富豪のフラニー(リチャード・ギア)は、5年前親友夫婦を自分が原因の交通事故で死なせてしまう。その後自暴自棄の生活を送っていたフラニーだったが、親友夫婦の忘れ形見の娘オリヴィア(ダコタ・ファニング)が医師ルーク(テオ・ジェームズ)と結婚して故郷に戻ってきたことから、オリヴィアたちに不相応なまでの待遇を用意し、逆に疎まれる…。 リチャード・ギアにダコタ・ファニング…でも劇場未公開でDVDスルー。うーむ、何かわかる気がする(苦笑)。 WOWOWでの邦題「リチャード・ギア 人生の特効薬」って、全く内容を理解していないし、ヒドいタイトル。原題の「ベネファクター」とは、アメリカにありがちな「慈善家」みたいな意味か。「封印」の意味はやっぱ不明(笑)。 金はあるが、家族なし、友人なし、天涯孤独の男が、唯一気を許せた医師夫婦のボビー(ディラン・ベイカー)と妻ミア(シェリル・ハインズ)。ところが運転中のボビーへの悪ふざけで事故を招き、彼らを死なせてしまったフラニーは、ずっと引きこもり状態。 “プードル”と呼んで可愛がったダコタ・ファニングが妊娠してフィラデルフィアに男と帰ってくることになり、フラニーは男を病院で雇い入れ、オリヴィアには実家をプレゼントするのは、親友夫婦を死なせてしまった償いのつもりか。 中盤以降はフラニーがモルヒネ依存症で、あちこちで問題を起こすのだけれど、オリヴィアが産気づいた途端、何故か立ち直るフラニー。 生まれたのが男の子で、ロバート(愛称ボビー)と名づけたからか? いずれにせよ薬物依存から立ち直るのがあまりに唐突で、ううむ、という感じ。 とはいえ、家族も友人もいないと、孤独な老人は金があってもつまらない、ということかな。いやいや、金があるだけマシでしょ、と思うのは単にひねくれているからだろうか。
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[019]告白小説、その結末
 もやもや感黒美君彦2018-07-23
 【ネタバレ注意】
フランス。人気作家デルフィーヌ(エマニュエル・セニエ)のサイン会に現れた女性エル(エヴァ・グリーン)に次第にとり憑かれるサイコ・サスペンス…なのだろうけど、これまた・・・
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フランス。人気作家デルフィーヌ(エマニュエル・セニエ)のサイン会に現れた女性エル(エヴァ・グリーン)に次第にとり憑かれるサイコ・サスペンス…なのだろうけど、これまた個人的には乗り切れず。最近のフランス映画って、ついていけないなあ。 デルフィーヌとエルはおそらく作家とファンの関係ではなく、エルはデルフィーヌが生み出したもうひとりの自分、ということか。 しかし、だとするとエヴァ・グリーンが美しすぎるぞ。それに殺鼠剤の混入は自分でしたことになっちゃうぞ。うむむ、どうなんだ。 結局最後までエルが実在の人物なのかそうでないのかも曖昧なまま、映画の幕は閉じるのだけど、何だろうこのもやもや感は。 ロマン・ポランスキーが80歳を過ぎても創作意欲を持ち続けていることは素晴らしいけれど、だからといってその作品が面白いとは限らない。 うむむ、という内容、感想でした。
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[020]エヴァ
 乗り切れない黒美君彦2018-07-23
 【ネタバレ注意】
最近のフランス映画は今ひとつついていけない。イザベル・ユペールが高級娼婦“エヴァ”を演じるこの作品も何だかなあという印象。 まず主人公の劇作家ベルトラン(ギャスパー・・・・
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最近のフランス映画は今ひとつついていけない。イザベル・ユペールが高級娼婦“エヴァ”を演じるこの作品も何だかなあという印象。 まず主人公の劇作家ベルトラン(ギャスパー・ウリエル)が共感を持てないキャラだからなー。彼はかつて英国でブッカー賞を受賞した男色?の老作家の介護をしていた青年。老作家の死に際して、彼が最後に書いていた『合言葉』という戯曲の原稿を盗み、まんまと新進気鋭の劇作家として華々しいデビューを飾る。 美しいカロリーヌ(ジュリア・ロワ)という婚約者もできるが、訪れたカロリーヌの両親の別荘に男とエヴァという娼婦が不法侵入しているのをみつけ…という展開。いくら作家っぽくしても所詮他人の作品でデビューした男だから底は浅い。エヴァはエヴァで、実は美術商で偽造品を作ったため刑務所にいる夫ジョルジュ・マーラン(マルク・バルベ)がいる…。 ウソで塗り固めた虚無な作家が謎めいた娼婦に破滅に導かれる、ということなのだろうけど、いくらイザベル・ユペールが美しいといっても、誰もが溺れてしまう娼婦の役は無理があるように感じられた。 というわけで全く乗り切れないまま終わってしまった。フランス映画っぽいセンスがないわけではないけれど…この映画、面白いか?
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[021]愛と死の記録
 傑作黒美君彦2018-07-17
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>レコード店に勤める松井和江(吉永小百合)は、印刷工場で働く三原幸雄(渡哲也)のバイクに驚き持っていたレコードを割ってしまう。弁償しようとする幸雄と和江の・・・
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<あらすじ>レコード店に勤める松井和江(吉永小百合)は、印刷工場で働く三原幸雄(渡哲也)のバイクに驚き持っていたレコードを割ってしまう。弁償しようとする幸雄と和江の間は当初険悪だったが、幸雄の友人藤井(中尾彬)とその恋人で和江の同僚ふみ子(浜川智子)のいたずらがきっかけで急速に親しくなり、結婚まで意識するようになった。しかし幸雄の親代わりでもある上司の岩井(佐野浅夫)はいい顔をしない。実は幸雄は4歳で被爆し、両親を失っていた。成人してから再生不良性貧血で入院。退院したものの、いつ病に倒れるかわからない状況だった。そして作業中倒れてしまう幸雄。彼は白血病を発病していた。原爆病院に入院した幸雄を和江は懸命に看病するが…。 吉永小百合主演の代表作『愛と死をみつめて』(1964年)と混同してしまいそうだが、この作品での相手役は浜田光夫ではなく、前年にデビューしたばかりの渡哲也(当時24歳)。しかも吉永小百合は難病にはならない。 当初浜田光夫が予定されていたが、クランクイン直前に酔客同士の喧嘩に巻き込まれて重傷を負ったため、急遽渡哲也に代わったのだとか。だが渡はこの作品でブルーリボン賞の新人賞を受賞したのだから、強運の持ち主といえるかも知れない。 もっとも全力投球で撮影に臨んだ渡哲也は、夕食後の翌日のリハーサルに出てこなかったことがあったと吉永小百合は語っている。押入れのなかで疲れ果てて眠っていたのだとか。真夏の撮影は過酷なものでもあった。 撮影は、原爆が投下された8月6日過ぎから全編広島で行われた。 手持ちのカメラを多用したモノクロの映像がドキュメントタッチで、若い男女二人とともにその背景である街もまた主役であると感じさせる。 とりわけこの作品では広島の川にかかる「橋」が数多く登場する。 「荒神橋」や「平和大橋」「音戸大橋」…そして台詞でも「三篠橋」といった名前が飛び交う。 鉄橋をSLが駆け抜けていくシーンもある。 クレジットでは出てこないが、この作品は、大江健三郎の『ヒロシマ・ノート』(1965年)で紹介されたエピソードに基づいているという。4歳で被爆した青年が、20歳で白血病を発病。何とか寛解になった彼は、印刷会社に就職し、楽器店に勤めていた女性とめぐり合って婚約。ところが病が再発した彼は死んでしまい、恋人は後追い自殺をしたというのだ。 道理で滝沢修が演じる原爆病院の当時の重藤信夫院長にとてもよく似ているわけだ。 1966年には和江が住んでいるのは、かつて市内に点在していた「原爆スラム」と呼ばれるバラックの家並みだし、幸雄や藤井が働く印刷工場は「中本総合印刷」という実在の会社だ。 カクテル光線が闇に浮かび上がる広島市民球場や、平和記念公園の噴水や折鶴の塔も登場する。 原爆病院でもロケを行っているが、吉永小百合によると、出演していた被爆者の高齢女性に「渡さんが『おばあちゃん、元気でな』と呼びかけると『あいよ』と答えてくださって。それがとても素敵でした」という。 この原爆病院のシーンや、原爆ドーム内でのシーンは明らかにアラン・レネ監督の傑作『ヒロシマ・モナムール(邦題「二十四時間の情事」)』(1959年)を意識している。 幸雄が、原爆資料館を訪ねたことがあるという和江に、君はわかっていない、というシーンは、『ヒロシマ・モナムール』の「君はヒロシマで何も見ていない、何も」と繰り返される岡田英次の台詞に呼応する。 “日本のヌーベルバーグ”の一翼を担った蔵原惟繕監督の傑作のひとつに仕上がった作品だったが、とんだ横槍が入ったと吉永は語る。 「日活の偉い方が見て、原爆ドームを象徴的に映した場面と、芦川いずみさんが演じた被爆者の顔のケロイドの場面を削るように、命令を下したんです」吉永小百合はこの指示に抗議し、スタッフとともに、撮影所の食堂の前の芝生に座り込んだのだという。 「みんなで作り上げた映画なのに残念で仕方がないという思いで、ただ無言で座っていただけです。でも、だめでした」(東京新聞 2017年2月26日)。 和江の隣家に住む芦川いずみのシーンが短く、後半でアリバイのように登場するのが不自然だったが、背景には日活幹部の指示があったのだ。 それにしてもこの作品が撮影されたのは1966年。原爆投下から21年。 乾いた傷のかさぶたを剥ぐと、内側から生々しい血が流れ出す、そんな時代だった。 被爆者たちは子どもたちへの遺伝的影響に怯え、差別されることも日常だった。 原爆はその瞬間だけではなく、その後の人生をも支配するという意味でも、非人道的な兵器なのだ。 この作品は単なるメロドラマという枠を超えようとした意欲作だと思う。
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[022]チャルカ 〜未来を紡ぐ糸車〜
 高レベル放射性廃棄物黒美君彦2018-07-17
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>北海道豊富町で酪農を営む久世薫嗣(しげつぐ)さん一家。隣の幌延町には、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物の地層処分研究施設がある。久世さんは「過疎を・・・
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<あらすじ>北海道豊富町で酪農を営む久世薫嗣(しげつぐ)さん一家。隣の幌延町には、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物の地層処分研究施設がある。久世さんは「過疎を防ぐには子どもを都会に出さないこと」と、家族で“自給”の精神で乳製品の加工を続けている。このほか、もう一つの研究施設がある岐阜県東濃地域や、世界初の地下処分施設「オンカロ」を建設中のフィンランド、原子力大国フランスの処分計画地ビュールを取材。核のゴミをめぐる現状と、脱原発をめぐる動きを描く。 写真家の島田恵が、『福島 六ヶ所 未来への伝言』(2013)に続いて、放射性廃棄物問題をテーマに制作したドキュメンタリー作品。 2011年の福島原発災害で大勢の国民が避難を余儀なくされても、相変わらず原発をめぐっては推進の姿勢をとり続けるこの国にあって、最も頭が痛いのは、高レベル放射性廃棄物の問題。これは東日本大震災以前から繰り返され言われてきたことではあるが、相変わらず地震大国のこの国で進められている研究は「地層処分」。再処理のメドが立たない現状において、直接処分ではウランやプルトニウム、核分裂生成物等を全て含んだままガラス固化体として廃棄することになるが、天然ウラン並みに毒性がなくなるには約10万年かかる。 目の前から見えなくすれば危険じゃないよね、という子どものような理屈で、地下深く埋設しようというのが「地層処分」だ。 10万年なんて時間軸を人類は持ち合わせていないので、これはもう冗談としか考えられないが、それを真剣に検討しているのが原発推進側だ。だが、この作品では単に地層処分反対を唱えるだけではなく、経済的な恩恵を与えられている各地の推進派住民の声も取材している。 核廃棄物をめぐる問題は基地問題に酷似している。総論賛成、各論反対の住民の分断を狙い、過疎地域を札束で従わせようとする推進側。エネルギー問題に論点をすり替え、犠牲を強いるやり口。 タイトルの「チャルカ」とはインドの手紡ぎ機「糸車」のことだ。マハトマ・ガンジーは、英国からの独立を主張するにあたって、綿花の輸出をやめて、自らの衣服を自らの綿花で賄おうと訴えた。自給自足こそが独立の鍵になると説いたのだ。 エネルギー問題も同様だ。核燃料も石油も輸出に依存しているこの国において、自給自足を目指すということはどういうことなのか。 核廃棄処分方法の限界はすでに明らかであるだけに、その次の方策を考えるべきなのだが、都合の悪いところには目を向けない現状をみると、絶望感すら感じてしまう。久世さん一家の生き方は確かに素敵ではあるが、みなが同じような生き方が出来るわけではないだけに、どうしたものかと考えさせられた。
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[023]菊とギロチン
 今作らねば黒美君彦2018-07-10
 【ネタバレ注意】
ルース・ベネディクトの『菊と刀』ならぬ『菊とギロチン』。 刀ではなく、ギロチン、というところに革命への強い意思が反映されるように思えた。 関東大震災を経て国内には閉塞・・・
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ルース・ベネディクトの『菊と刀』ならぬ『菊とギロチン』。 刀ではなく、ギロチン、というところに革命への強い意思が反映されるように思えた。 関東大震災を経て国内には閉塞感が漂う大正末期、全国で興行されていた「女相撲」と、アナキスト集団「ギロチン社」。 一見何の関係もないように見えるが、あくまで見世物として扱われ、風紀を紊乱するとして官憲の取り締まり対象ですらあった「女相撲」を通じてひたすら強くなることを夢見る女たちと、自由を渇望しテロを計画する若きアナキストたちは、いずれも社会を異化するものであった。 「女相撲」は、さまざまな背景を持つ力士たちばかりで、なかには朝鮮人もいた。日露戦争から戻った在郷軍人が朝鮮人力士を拷問し、「天皇陛下バンザーイ」と無理やり言わせるシーンは、醜い心性が露わになる。 一方ギロチン社の面々は、革命を夢見るにしてはどこか弱く、か細い。頭でっかちな彼らの弱さは、やがて時代の呑み込まれていく運命を示唆しているようだ。その一方で、大地を踏まえた女相撲力士の強さが印象的だが、結局そのいずれをも潰そうとする見えない力の奔流が描かれる。 瀬々敬久監督が80年代から構想していたというこの作品は、大手の映画会社が引き受けなかったため、自主製作作品として製作せざるを得なかったという。確かに当時の時代背景の知識をある程度持っていないと、物語にはなかなかついていけないかもしれない(しかも3時間を超える長編だし)。エピソードも若干切り貼り感があって、そこは少々つらい。 とはいえ「神聖な土俵」だなどという幻想が喧伝されるなか、この国に確実に存在した「女相撲」の正々堂々とした土俵入り姿を見よ。天皇制に反旗を揚げた「ギロチン」の名を標榜した徹底した反権力集団の闘いを見よ。 忖度を繰り返し、ウソ出まかせを流布するような政治家を支える現代にあって、瀬々監督は「今作らねば」と強く意識したという。 決して受け入れやすい作品ではない。しかし、傷つき、死んでいく者たちの姿に揺さぶられたのも事実だ。 映画監督として念願の作品を仕上げる瀬々敬久の強さもまた心に響いてくる。 この作品は、確実に存在した、時代を疾走した者たちへの鎮魂歌である。
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[024]ニューヨーク 冬物語
 なんだかな黒美君彦2018-07-09
 【ネタバレ注意】
アメリカ文学で高い評価を受けているマーク・ヘルプリンの“Winter' s Tale”(未読)が原作なのだとか。 ま、ファンタジーなんだろうけど、そもそも白馬の王子、いや白馬の泥棒・・・
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アメリカ文学で高い評価を受けているマーク・ヘルプリンの“Winter' s Tale”(未読)が原作なのだとか。 ま、ファンタジーなんだろうけど、そもそも白馬の王子、いや白馬の泥棒のピーター・レイクを演じるコリン・ファレルが好みじゃないんだよなー。何せ彼は追放された移民夫婦が、模型の船“City of Justice”号に乗せて海に流し、その後拾われて悪の道に進んだという役柄。 何故か足を洗おうとして悪の権化ラッセル・クロウに追われるけれど、結核に冒された赤毛の美少女ベバリー・ペン(ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ)と惚れ合って、父アイザック(ウィリアム・ハート)にも認められ、でも初めて結ばれた瞬間にべバリーは死んじゃう。そして時代は100年過ぎて、愛という名の奇跡で歳をとらないピーター…。 白馬で都合のいい時だけ翼が生えるペガサスやら、魔王ルシファーが今にもヒップホップを始めそうなウィル・スミスやらで、どこまでこの作品を真剣に観たらいいのか悩んでしまった(笑)。 そもそも何で悪魔はピーターが奇跡を起こすと知ったんだろうなあ。 ということで、興行的にも散々だったこの作品。むべなるかな、と思ってしまった。 善と悪の戦いにしてはあまりにストーリーが陳腐なんだよなあ。 原作は本当に面白いのだろうか??
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[025]社長忍法帖
 きっくら疝気黒美君彦2018-07-09
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>岩戸久太郎社長(森繁久彌)率いる岩戸建設は五輪終了後も順調に業績を伸ばしていた。そこに札幌出張所の毛馬内強(フランキー堺)が万才生命の新ビル建設計画の情・・・
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<あらすじ>岩戸久太郎社長(森繁久彌)率いる岩戸建設は五輪終了後も順調に業績を伸ばしていた。そこに札幌出張所の毛馬内強(フランキー堺)が万才生命の新ビル建設計画の情報をもたらした。ライバル会社東西組のお得意先の万才生命だが、本来岩戸建設の順番である大学体育館建設を、東西組が受注するというので急遽岩戸らは万才生命ビル受注に動き出した。早速間々田弁次郎部長(三木のり平)は、万才生命の武田社長(東野英治郎)が寵愛する芸者鈴千代(池内淳子)を使って接待するが、北海道の真駒内団地の工事の遅れを指摘され失敗に。石川隆技術部長(小林桂樹)は、妻京子(司葉子)を残して単身札幌へ向かう。堅物の石川は毛馬内から浮気相手にバー「まりも」のホステス百合子(団令子)を紹介されるが乗り気ではない。一方岩戸は「まりも」のマダム澄江(新珠三千代)と親しくなるが富樫忠造常務(加東大介)が助けを求め台無しに。今度は北海道出張を理由に東京で鈴江としっぽりするはずが、妻登代子(久慈あさみ)が北海道に来るというので、急いで札幌へ。偶然武田社長夫妻を出迎える形になり、無事新ビル工事は岩戸建設が受注することに…。 1964年公開の前作でシリーズ終了となるはずが、ファンや映画館主からのの根強い要望で制作された社長シリーズ第22作。 「忍法帖」ブームとはいえ、少々無理がないわけではない。作品そのものはドタバタ感が強まったが、長らく秘書課長役が続いた小林桂樹も部長に昇進して、しかも美しい妻までいるという役柄。 冒頭「建設業の信義」が語られるが、それは即ち業界内の「談合」のこと。かつてはこうした談合が堂々と行われていたのだなあと感慨深くさえある。そしてやたら水商売の女性にモテる社長。これまた社長の自由になる金が大きかった時代ならではといえるか。 新珠三千代とさあこれから、という場面で加東大介が「きっくら疝気」(北海道弁で「ぎっくり腰」のこと)になって助けを求めて来る、というのがおかしい。恋路を邪魔されても医者を手配する優しい社長であった(笑)。 そして今度は池内淳子と、と思ったら、妻の札幌行きで慌てて同じ飛行機に乗る森繁。トイレに行きたくとも後ろの席にいる妻に見つかりたくなくて、席で七転八倒。 バー「まりも」では森繁が作詞作曲した「知床旅情」が流れるといった小ネタもある。 この作品では毎度お馴染みの宴会芸もなく、少々登場人物たちがくたびれてきたイメージがある。この社長シリーズも、1963年頃がピークと考えるべきか。
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[026]続社長外遊記
 ハワイの社長黒美君彦2018-07-09
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>ハワイ進出を目論む丸急デパートの風間圭之助社長(森繁久彌)、大島源太郎常務(加東大介)、珍田文治営業部長(三木のり平)は、中村宏課長(小林桂樹)が先乗り・・・
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<あらすじ>ハワイ進出を目論む丸急デパートの風間圭之助社長(森繁久彌)、大島源太郎常務(加東大介)、珍田文治営業部長(三木のり平)は、中村宏課長(小林桂樹)が先乗りするホノルルへ。早速日本料理屋「さくら亭」で関係者と宴会を開く。ここで風間はさくら亭のマダム紀代子(新珠三千代)にぞっこん。敷地買収は日系三世のジョージ・沖津(フランキー堺)にまかせ、デートにいそしむが、紀代子が結婚まで考えているとわかってびっくり。一方珍田はフラダンス大会に女装で出場して見事一位になり、ミスコン開催をぶちあげる。大島は干していた褌を拾ってもらった縁で日系の松本老人(柳家金語楼)と親しくなったが、実は目的の土地の持ち主は松本老人で、彼は紀代子に土地を売ったところだった。ところが紀代子は東京に帰ったという…。 社長シリーズ第19作で、正編の後半の舞台ハワイから続編はスタートする。夢の島ハワイ旅行なんて1963年当時は当然高嶺の花で、こうしたロケもサービスのうちだった、のかな? アラモアナショッピングセンターも登場するが、新珠三千代と森繁が逢引する回転式の展望レストランは、米国初ということで話題になった「La Londe」というお店だとか(今ハワイにあるのは「トップ・オブ・ワイキキ」で別)。 それにしても昔は割り切ったおつきあいというのがこんなに公然と行われていたのかなあ。ミスコン審査でスリーサイズを風間たちが測るというのも今や許されない行為だ(笑)。とはいえ、三木のり平のフラダンス風の滑稽なダンスは相変わらずお見事。 ジョージが店員のキャサリン(ハヌナ節子)をめぐって中村に嫉妬するかと思えば、中村は会田春江(藤山陽子)と無事結婚。ジョージは紀代子と結婚することになって、丸急デパートは目的の土地も獲得…森繁久彌がカメラに向かって言う「ちょっと話が上手く出来過ぎてると思わんかね?」との台詞もごもっとも(笑)。 幸せな時代のコメディ映画の代表格といってもいいだろう。幼い岡田可愛や桜井浩子も娘役で登場する。
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[027]ガザの美容室
 「ファタハもハマスも両方クソ」黒美君彦2018-07-03
 【ネタバレ注意】
鎖された美容室で女たちが会話し、反目しあい、助け合う。あたかも舞台劇のようだが、それは同時にイスラエルによって封鎖されているガザそのものを寓話的に示しているともとれ・・・
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鎖された美容室で女たちが会話し、反目しあい、助け合う。あたかも舞台劇のようだが、それは同時にイスラエルによって封鎖されているガザそのものを寓話的に示しているともとれる。 ガザ地区は東地中海に面していて2016年現在200万人が暮らしている。しかしパレスチナ自治政府はPLOの主流派ファタハとイスラム過激派のハマスの間で覇権争いが続き(2007年以降はハマスが統治)、2008年以降はイスラエルによる封鎖が続いている。 度重なるイスラエルの空爆によって、下水処理施設や上水道施設が破壊され、水の汚染が深刻だ。停電も日常的で、8時間おきに停電しているという話もある。 そんなきわめて劣悪な環境の中で、物資はエジプトからの地下道を通じて運ばれているが、それらもイスラエルによる攻撃で限定的になっているという。 そんなガザで美容室を経営しているクリスティン(ヴィクトリア・バリツカ)はロシアからの移民だ。美容室のアシスタントのウィダト(マイサ・アブドゥ・エルハディ)は、マフィアの一員である恋人アハマド(タルザン・ナサール・本作の監督)との関係に悩んでいる。夫と離婚調停中のエフィティカール(ヒアム・アッバス)は弁護士とつきあっている。戦争で負傷した夫に暴力を振るわれているサフィア(マナル・アワド)は、薬物中毒者。敬虔なムスリムであるゼイナブ(ミルナ・サカラ)は、女たちの下ネタに冷ややかな視線を向ける。このほか結婚式を今夜に控えたサルマ(ダイナ・シバー)や臨月の妊婦ファティマ(サミラ・アル・アシーラ)、サルマの母ワファ(リーム・タルハミ)や離婚経験のあるソーサン(ウェダッド・アル・ナサル)といった女性たちが、困難な暮らしや男たちのこと、政治や戦闘について語り合うが、誰ひとり共感できる者がそこにはいない。 長期間にわたる封鎖によって、人々は自分のことで精一杯で他人を思いやる気持ちなどどうに枯れ果てている。 そんなギスギスしたやりとりもまた、ガザの「現在」なのだろう。 「ファタハもハマスも両方クソよ!」と叫ぶ女はしかし、否応なしに戦闘に巻き込まれていく。 そしてまた殺され、嘆きが町を包む。 ガザの現状についてある程度知識がないとなかなか状況が飲み込めないかもしれないが、寓話的な物語は初監督作品とは思えない。パレスチナ問題は全世界に影響があり、責任もある。当然国際世論を無視し、イスラエルを支持する米国の責任も大きいが、間接的に日本もまたガザ封鎖に関与しているのだ。知らないではすまされない現実がこの作品にはあった。 なお、原題の『DEGRADE』は仏語で「(髪型の)段カット」という意味だが、同時に「劣化」という意味もある。目に見えない「封鎖」という暴力に曝されて、ガザに暮らす人々の生活は日々劣化している。それこそがこの“デグラデ”という原題に込められた意味なのだ。 じわじわと殺されるガザの現実を描いた作品である。
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[028]牡蠣工場
 実は境界に接している過疎の町黒美君彦2018-07-02
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>岡山県瀬戸内市牛窓。広島に次ぐ有数の牡蠣の産地だが、牡蠣工場の数は減り、養殖された牡蠣の殻を取り除く「むき子」も、数年前から中国人労働者が担う工場もある・・・
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<あらすじ>岡山県瀬戸内市牛窓。広島に次ぐ有数の牡蠣の産地だが、牡蠣工場の数は減り、養殖された牡蠣の殻を取り除く「むき子」も、数年前から中国人労働者が担う工場もある。ある牡蠣工場では、東日本大震災で家業の牡蠣工場が壊被害を受け、宮城県から移住してきた一家があとを継いだ。2人の労働者を中国から迎えるが、言葉も通じず、なかなか大変だ。中には故国に戻る労働者もいる…。 「平野かき作業所」は宮城県南三陸町出身の渡邉さんによって引き継がれた。高齢の平野さんは、いつも黙々と牡蠣を剥く作業に取り組んでいる。この作品は2013年に撮影された。当初、監督はこの作品のなかに牛窓で暮らす人々の姿を織り込もうと考えたが、工場とあまりに違う町の風景にもう一本のドキュメンタリー『港町』(2018年公開)を作ってしまう。 この『港町』にも登場する港の老婆やネコが、この作品でも時々映り込むのが面白い。 牡蠣工場の仕事は決して楽ではない。朝は7時から、ひたすら牡蠣の殻をこじ開け、身を取り出す。 「3K」と自嘲するその仕事を担うのが中国人労働者であってもちっとも不思議ではない。しかし2013年3月に広島県江田島市の牡蠣工場で発生した中国人技能実習生による殺傷事件が起きて間もない時期でもある。もともとの経営者から、中国人がやってくる直前に「もうカメラの撮影は拒否」と告げられるのも理解できないわけではない。このときは何とか撮影継続の許可を得たが、結局翌日改めて撮影中止を求められたという。 そんな緊張感もある作品のなかで描かれるのは、過疎化と一次産業の衰退だ。 しんどい仕事に若い人は就かず、外国人労働者に頼らざるを得ない現実。普段知識として知っていても、敢えて見ようとしていない現実。 瀬戸内ののどかな町で、そんな境界に接したせめぎあいがあることは知られていない。 海に転落した男性を助けようと、船が急行して救い上げるシーンがほっとさせてくれる。 そして「シロ」と呼ばれる妙に人懐こいネコもいい(実は「ミルク」という名前らしいけど)。
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[029]社長外遊記
 ハワイロケ敢行黒美君彦2018-07-02
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>丸急百貨店社長の風間圭之助(森繁久彌)は、妻幸子(久慈あさみ)と長女めぐみ(中真千子)、次女ひろみ(桜井浩子)、三女はるみ(岡田可愛)、四女末子(相原ふ・・・
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<あらすじ>丸急百貨店社長の風間圭之助(森繁久彌)は、妻幸子(久慈あさみ)と長女めぐみ(中真千子)、次女ひろみ(桜井浩子)、三女はるみ(岡田可愛)、四女末子(相原ふさ子)、五女留子(上原ゆかり)に囲まれ、あれこれねだられる。そんな風間の元に、戦後駐留軍としてつきあいのあった旧友の日系人ジョージ・沖津(フランキー堺)がやってくる。ハワイで雑貨店を営んでいるというジョージは酒を飲むと人が変わってしまう酒乱。ところがライバルの福助屋が香港に支店を出すと聞き、風間はハワイ進出を決意。会田春江(藤山陽子)に近づこうと英語を習いだした秘書課長中村宏(小林桂樹)が駐在を命じられる。三か月後、ハワイにやって来た風間、大島源太常務(加東大介)、珍田文治第一営業部長(三木のり平)たちだったが、風間は料亭「さくら亭」の女将紀代子(新珠三千代)に気に入られてしまう…。 「社長シリーズ」18作目となるこの作品で森繁久彌はデパートの社長を演じる。売り場にまで足を伸ばす社長がこれまた似合っているから大したもの。娘たちの次女・三女として桜井浩子(当時17歳)、岡田可愛(当時15歳)が出演しているのが何とも愛らしい。 社長シリーズでは前年の1962年公開の『社長洋行記(正・続)』で香港ロケを敢行しているが、この作品の舞台はハワイ。まだ夢のまた夢、という常夏の国でのロケ、というのが、当時の映画産業の隆盛ぶりを物語るようだ。 とはいえ、ハワイが登場するのは作品の後半になってから。 前半では例の如くフランキー堺が怪しげな広島弁風のカタコト日本語を駆使。酔っ払うと花瓶の花やらネコヤナギの芽やらをむしゃむしゃ食べてしまう奇行に走る。 ハワイに渡ってからの宴会では森繁が歌い、三木のり平が巧みに踊り、この宴会芸だけでも大したものだ。 その他草笛光子、新珠三千代といったレギュラー陣も健在。 「オリンピックもあるし、外人客との折衝が多くなるから」と高まる英語熱。あれ、今もさほど状況は変わっていないような。 高度経済成長を象徴するようなコメディ映画。この辺りの作品が社長シリーズのピークかな。
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[030]ブラックペアン
 「…邪魔」黒美君彦2018-06-26
 【ネタバレ注意】
<あらすじ>東城大学医学部付属病院で君臨する“神の手”を持つと称される心臓外科医・佐伯清剛教授(内野聖陽)。彼は日本外科学会理事長の座を狙い、帝華大学の西崎啓介教授(・・・
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<あらすじ>東城大学医学部付属病院で君臨する“神の手”を持つと称される心臓外科医・佐伯清剛教授(内野聖陽)。彼は日本外科学会理事長の座を狙い、帝華大学の西崎啓介教授(市川猿之助)としのぎを削っていた。その佐伯を勝るとも劣らない手技の持ち主が佐伯研究室の渡海征司郎(二宮和也)。彼の鮮やかな手技は、研修医の世良雅志(竹内涼真)や新人看護師の花房美和(葵わかな)も目を瞠った。そこに名医を必要としないという触れ込みで、最新医療用機器「スナイプ」を新任講師・高階権太(小泉孝太郎)が持ち込む。彼は帝華大学西崎教授から理事長選で必要な「インパクト・ファクター」を獲得すべく差し向けられたのだった…。 二宮和也が天才外科医でありながら金に汚い悪役?を演じたことで話題になった医療サスペンス。医局で浮いた存在の彼の過去と、佐伯教授の関わりは…というのが全体を通す一本の柱で、そこに帝華大と東城大の学会理事長選をめぐる駆け引きが描かれる。 医師のレベルで生死が左右されるなんてよくあることなので、こうしたドラマが成立するんだけど、僧房弁手術に役立つ「スナイプ」なんて、本当にあったら便利そうだ。 ドラマなので仕方ないけれど、手術で必ず危機一髪になってそこに現れて見事に手術を成功させる渡海、なんてあまりにご都合主義ではある。最終回に至っては、心臓を悪くした佐伯教授が思い通り(笑)倒れるし。 結局渡海の父親一郎(辻萬長)が医療過誤の汚名を着せられた、体内留置したままのペアンをめぐる復讐が渡海の行動の原点だった、ということが明らかになるが、うーん何だかな。急に佐伯教授がいい人になってもなあ。いろいろネタを引っ張った挙句に、大した謎はなかったってか。 とはいえ内野聖陽は巧演。それに比べると小泉孝太郎はもう少し何とかならなかったのか。 竹内涼真はもうひとつ存在感ないし。 視聴率はなかなか良かったようだけど、もうひとつすっきりしない感じが拭えない作品だった。 「邪魔」とドクターたちをかきわけて渡海が見事手術をこなす、というのが唯一の見どころ、ということかな。 手術室等のセットは見事ではありました。
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