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 「常さん」さんのコメント一覧 登録数(94件)rss
 コメント題投稿者投稿日
[001]この世界の片隅に
 庶民にとっての戦争とは常さん2016-12-14
 【ネタバレ注意】
 太平洋戦争末期の広島、呉を舞台にした一人のごく平凡な女性すずさんの物語。戦争をあつかった映画は多くあるが戦闘シーンはごく一部である。その時代の人々がどんな空気の中・・・
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 太平洋戦争末期の広島、呉を舞台にした一人のごく平凡な女性すずさんの物語。戦争をあつかった映画は多くあるが戦闘シーンはごく一部である。その時代の人々がどんな空気の中で生きていたのか、庶民にとって戦争とは何だったのかをていねいにていねいに描いている。  手をつないでいた姪っ子を爆風で右手とともに失ってしまった。生き残ってしまった者の悲しみを一生背負って生きていかなければいけないすずさん。右手を失って大好きな絵を描くことができなくなった。嫁として満足に働くこともできなくなった。そんな自分を「笑顔の入れ物であればいい」とつぶやく。大声で叫びたくなるような感情をすべて飲み込んで、空虚なほどの自分の存在を自認している。そんなつぶやきの中にかすかな希望が見えてくるように感じた。多くの人に是非とも観ていただきたい作品である。 「君の名は」「この世界の片隅で」は日本の劇場アニメーションの新たな境地に達する記念碑となる作品だと思う。東日本大震災以来、日本人の災害や戦争などつらい体験に対する感じ方が根本的に変化してきているように思う。つらい体験を自分の体験の一部として共感していこうと変化してきているように思う。
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[002]君の名は。
 透明感に満ちた物語常さん2016-10-09
 
「おおかみ子どもの雨と雪」以来の感動できるアニメでした。空間と時間を超越して入れ替わる三葉と瀧が携帯メモを媒介して互いの記憶を共有する設定はとても現代的だけど、クレ・・・
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「おおかみ子どもの雨と雪」以来の感動できるアニメでした。空間と時間を超越して入れ替わる三葉と瀧が携帯メモを媒介して互いの記憶を共有する設定はとても現代的だけど、クレーターの中心に祀られたご神体の祠は古代から継承された悠久の時間を感じさせる。一葉ばあちゃんの組紐にこめた結いの想いはこの物語の軸を二人のつながりを伝承、を
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[003]シン・ゴジラ
 法治国家・痴呆国家常さん2016-08-08
 【ネタバレ注意】
 日本国政府の危機管理の脆弱性をかなりシリアスに語っている。怪獣映画全盛だった時代は対象が子供たちだったように思うが、本作品は青年以上の大人をターゲットとして描かれ・・・
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 日本国政府の危機管理の脆弱性をかなりシリアスに語っている。怪獣映画全盛だった時代は対象が子供たちだったように思うが、本作品は青年以上の大人をターゲットとして描かれている。「可愛らしい進化途中」のゴジラはぬいぐるみそのもので、シンゴジラとの対比はやや滑稽でもある。「シン」の要素は「神」「新」「真」「深」などだろうが、昭和30年初代ゴジラの精神は忠実に継承しているように思う。大地を揺るがす足音が映画の中でずっと続くボレロのような恐怖も描いてほしかったなあ。ローアングルから見上げる巨大生物のロングショットはすばらしい。「監督代われば映画が変わる」が成功した作品である。
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[004]杉原千畝 スギハラチウネ
 時代を洞察する力が外交官の力常さん2015-12-05
 
 杉原千畝が単なるヒューマニストではなく諜報活動(スパイ活動)に優れた大日本帝国の国益の為に懸命に働いた外交官であることが作品から伝わってくる。語学力に優れているば・・・
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 杉原千畝が単なるヒューマニストではなく諜報活動(スパイ活動)に優れた大日本帝国の国益の為に懸命に働いた外交官であることが作品から伝わってくる。語学力に優れているばかりでなく、周囲の人々の信頼を得る人間力こそが外交官の力量であり、そこから得られた情報によって赴任先の国情を正しく洞察することが外交官の本領なのであろう。「ただのお人好し」「最低の外交官」が人として最高の賛辞であることを読み取らなければならない。何度も涙する作品である。
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[005]リトルプリンス 星の王子さまと私
 原作の心を最大限に尊重常さん2015-11-23
 
「星の王子さま」の原作本には「ドキッ」とするようなすばらしい言葉がちりばめられています。本作では「ビジネスマン」という言葉が非人間性を象徴する言葉になっていたように・・・
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「星の王子さま」の原作本には「ドキッ」とするようなすばらしい言葉がちりばめられています。本作では「ビジネスマン」という言葉が非人間性を象徴する言葉になっていたように思います。疎外感や孤独、子どもの発想の豊かさ、夢見ることの大切さ、何が本当に大切なのか問う中で人の心を思いやることを静かに訴えかけています。原作の心をとても尊重した作品になっているように感じました。
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[006]パシフィック・リム
 4DX版にピッタリ常さん2015-11-23
 
 日本の特撮怪獣物+ガンダム、エヴァ実写版のような映画です。でも4DXにはピッタリ。「激しい動き」と「水しぶき」まさに4DXのために作られたような映画で割増料金を払・・・
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 日本の特撮怪獣物+ガンダム、エヴァ実写版のような映画です。でも4DXにはピッタリ。「激しい動き」と「水しぶき」まさに4DXのために作られたような映画で割増料金を払っても損はないなと思いました。4DXは全ての映画で効果的とは思えませんが、この映画に限っては椅子の動き、振動をたっぷり楽しめたように思います。音響もずいぶん大きめで映画の世界にどっぷりとつかることができました。
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[007]雨あがる
 やっと鑑賞できましたが常さん2015-10-25
 
 ずいぶん前から気になっていた作品ですが、やっとDVDで鑑賞することができました。寺尾さん、宮崎さんらしい慎ましやかで抑制された演技の作品ですが、三船さんの大根ぶり・・・
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 ずいぶん前から気になっていた作品ですが、やっとDVDで鑑賞することができました。寺尾さん、宮崎さんらしい慎ましやかで抑制された演技の作品ですが、三船さんの大根ぶりがやはり浮き上がっていました。おそらくほとんどの観客にとっては退屈な作品だったと思います。日本映画のすばらしさを表現しようとして、うまくいかなかった作品だと思います。何が足りなかったのでしょうか。黒沢さんを感じたのは川止め宿でのどんちゃん騒ぎ場面かな。
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[008]蜩ノ記(ひぐらしのき)
 あまりにも美しすぎる常さん2015-10-05
 
お家のためとはいえあまりにも美しすぎる。藤沢周平の物語にも通じる武士の鑑としての秋谷(役所)は、父として、師として、夫として愛情にあふれ、何事にも動じない信念を貫き・・・
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お家のためとはいえあまりにも美しすぎる。藤沢周平の物語にも通じる武士の鑑としての秋谷(役所)は、父として、師として、夫として愛情にあふれ、何事にも動じない信念を貫き、己の命を全うする。一人の人間の一生なんてちっぽけなものである。その一生を何かのために使うとしたら、誰かのために使うとしたら、このような使い方もありなのかも知れない。武士の世の物語ではあるが、あまりに美しく、すがすがしく、せつなく、暖かい物語である。泉谷監督の作品はこれほどの気品を描きながら、なぜか肩肘張らない自然体を保っている。地味なのだが日本映画の最も優れた一面を表現している。 
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[009]ジュラシック・ワールド
 1作目の偉大さを改めて感じる常さん2015-08-09
 【ネタバレ注意】
 とうとう4作目。琥珀から取り出した恐竜のDNAにカエルやは虫類のDNAを補って恐竜を誕生させる基本設定は同じ。今回は恐竜を生物兵器として利用しようとまで考えている・・・
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 とうとう4作目。琥珀から取り出した恐竜のDNAにカエルやは虫類のDNAを補って恐竜を誕生させる基本設定は同じ。今回は恐竜を生物兵器として利用しようとまで考えているようです。恐竜が生きているように動く1作目の映像は古生物学者すら驚くほどの映像でした。DNAによる恐竜再生の設定とCGの融合はこのシリーズの真髄であり、その根本は1作目に確立されたのです。1作目の偉大さを改めて思いました。
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[010]日本のいちばん長い日
 昭和天皇の描かれ方に注目常さん2015-08-08
 
 同名前作品に比べて昭和天皇の描き方がずいぶん変わったように思います。聖断を利用し頼ってしまった鈴木貫太郎総理。朕の名で始められた戦争が朕の言葉で終わらせられるので・・・
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 同名前作品に比べて昭和天皇の描き方がずいぶん変わったように思います。聖断を利用し頼ってしまった鈴木貫太郎総理。朕の名で始められた戦争が朕の言葉で終わらせられるのであればとお気持ちを表明する昭和天皇。陸軍のクーデターをなんとか止めようとする阿南陸軍大臣。鈴木は侍従として天皇のお側の経験を持ち、阿南も侍従武官としての経験を持つ。戦争を終わらせるにはこの3人の絆がどうしても必要だったのかも知れません。玉音盤争奪に関わる秘話以上の作品になっていたように思います。
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[011]バケモノの子
 はみだし者の魅力常さん2015-07-12
 
「おおかみ子どもの雨と雪」を見終わったときの爽快感と比べるとちょっと感激が少ないかな。れん(九太)と熊さんのはみだし者同士がののしり合いながらも心を通わせていく過程・・・
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「おおかみ子どもの雨と雪」を見終わったときの爽快感と比べるとちょっと感激が少ないかな。れん(九太)と熊さんのはみだし者同士がののしり合いながらも心を通わせていく過程にとても魅力を感じました。総士もそれが見抜けていたからこそ、熊さんに目をかけたのだと思います。水玉鯨の泳ぐ姿はとても印象的でした。  
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[012]おかあさんの木
 文部省選定常さん2015-07-01
 
 鈴木京香さんの「愛国の母」がいいですね。まさにピッタリのキャスティング。昭和の時代の香りがプンプンです。戦後70年。「誉れの家」「海ゆかば」知っている世代がほとん・・・
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 鈴木京香さんの「愛国の母」がいいですね。まさにピッタリのキャスティング。昭和の時代の香りがプンプンです。戦後70年。「誉れの家」「海ゆかば」知っている世代がほとんどいなくなりました。「日本の一番長い日」にも期待。安倍さんはまた歴史を繰り返すつもりなのかなあ。
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[013]愛を積むひと
 心がしみいる手紙常さん2015-06-27
 
 日本一美しい美瑛の丘を舞台に静かで心にしみいる映画になりました。とても心穏やかに自然体で観ることができました。真珠の誕生日プレゼントがとても素敵です。
  
 
[014]マエストロ!
 大工のオッチャン常さん2015-03-03
 
 西田敏行扮するマエストロはどう見ても大工のオッチャンそのもの。同じようにオーケストラのコンダクターをあつかった「のだめカンタービレ」の玉置さんの棒は学生指揮者の経・・・
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 西田敏行扮するマエストロはどう見ても大工のオッチャンそのもの。同じようにオーケストラのコンダクターをあつかった「のだめカンタービレ」の玉置さんの棒は学生指揮者の経験をもつ私の目から見ても、とても素人の演技とは思えないほどの棒振りであった。いくら優秀な役者であっても指揮棒を振る演技は音楽経験のない役者さんには難しいと思う。西田さんのような達者な役者であっても、その指揮者ぶりは音楽とは全く無縁の演技で大工のオッチャンそのものであった。音楽のあつかいも《のだめカンタービレ」のレベルに遠く及ばない、ただ音を借りてきただけのものであった。桃李さんのコンマスも含めてキャスティングのミスである。
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[015]中島みゆき「縁会2012〜3 劇場版」
 客席そのもの常さん2015-03-01
 
 これは映画なのでしょうか。特別料金2500円も支払いました。舞台裏も、歌詞字幕も、曲目紹介さえもない。ただコンサートを撮影した映像だけです。ただそれだけです。感動・・・
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 これは映画なのでしょうか。特別料金2500円も支払いました。舞台裏も、歌詞字幕も、曲目紹介さえもない。ただコンサートを撮影した映像だけです。ただそれだけです。感動しました。中島みゆきのCDを探しに行きました。
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[016]くちびるに歌を
 Nコン世代の賛歌常さん2015-03-01
 
 NHK合唱コンクール略して「Nコン」。合唱関係者なら誰でも知っているが、世の中のほとんどの人は知らない、いわば合唱での甲子園のような存在です。それを題材に様々な人・・・
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 NHK合唱コンクール略して「Nコン」。合唱関係者なら誰でも知っているが、世の中のほとんどの人は知らない、いわば合唱での甲子園のような存在です。それを題材に様々な人生の出会いをさわやかな五島列島の風にのせて描いているのが本作です。この映画であつかわれているアンジェラアキの「手紙」やいきものがかりの「YELL」はNコン課題曲の中でも一般の人々にも広く知られた曲です。今の中学生や高校生のほとんどは「合唱なんてダサイ」と思っている人がほとんどだと思います。でも声を合わせて一つの曲を創りあげることの苦しさと楽しさは今も昔も変わるものではありません。  この映画は「悲しみを半分に、喜びを倍にしてくれる」合唱のすばらしさを改めて感じさせてくれました。一人一人の人生に無駄な人生なんて一つもありません。中学生だろうと大人だろうと悩みをいっぱい抱えながらもがいているのです。C#2つは出航の合図です。この映画は前へ進み出す人々への応援歌なのです。
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[017]WOOD JOB!(ウッジョブ)〜神去なあなあ日常〜
 山の空気を感じる常さん2014-05-27
 
 矢口監督の一番好きな作品はロボジーですね。今回の中村林業も木村電気に劣らない魅力的な職場でした。私自身「森を再生する会」と称するNPOの一員としてチェーンソーや鉈・・・
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 矢口監督の一番好きな作品はロボジーですね。今回の中村林業も木村電気に劣らない魅力的な職場でした。私自身「森を再生する会」と称するNPOの一員としてチェーンソーや鉈を使いますので、山に携わることのワイルドさは都会の方よりは理解しています。映画のようにマムシには頻繁には出会えませんが、愛知の山林にもいます。映画の中で英明さんのチェーンソー姿はかっこいいですね。腰がしっかりはいていて素人さんとは思えないほどです。クライマックスシーンで出てくるご神木は本当に切ってしまったのでしょうか。あれだけの樹は日本の山の中にもなかなかないと思います。木挽き鋸もいいですね。あれほど巨大な木挽き鋸は見たことありませんが、150センチぐらいの木挽き鋸を機会あるごとに小学生に体験させています。ヒノキのにおいや山の空気の神聖さを感じさせる本作品が山の仕事の魅力を少しでも伝えてくれたら、うれしいですね。
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[018]それでも夜は明ける
 奴隷制度は天下の悪法常さん2014-04-06
 
 昨年の「リンカーン」に続いて「大統領の執事の涙」「それでも夜は明ける」と奴隷制度、黒人差別を中心テーマとしたハリウッド映画を3本観ることが出来ました。どの映画にも・・・
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 昨年の「リンカーン」に続いて「大統領の執事の涙」「それでも夜は明ける」と奴隷制度、黒人差別を中心テーマとしたハリウッド映画を3本観ることが出来ました。どの映画にも共通するのは「黒人も白人も家族が大切なんだよ」という人類普遍の想いでした。  人種差別は人の心を蝕む癌のようなものです。欧米社会ではその社会的影響があまりに大きいので、日本人には過敏と思えるほど排除に懸命です。子ども向けテレビ番組では白人だけの番組も黒人だけの番組も存在しません。必ずどちらも登場しなければならないのです。出来ればヒスパニックや東洋人も仲間の一人として登場させるのです。  先日、サッカーの試合会場でJapanes onlyの横断幕が掲げられたことにより無観客試合の処分を受けました。おそらくサポーターが海外の事情も知らずに掲げてしまったものだと思われます。それほど日本人は差別に対して鈍感なのです。永らく島国で単一民族社会であったのだから無理もないことです。しかし、日本にも差別がなかったわけではありません。江戸時代に統治をしやすくするために、人間でない人間を政治的に作ってしまったのです。 「差別」は知らない間に人々の心の中にはびこります。それを知っているからこそ欧米ではやり過ぎと思えるほどに人種差別に厳しく対処しているのです。 過去の悪法を積極的に打ち消そうと懸命に努力しているのです。それが本作品が必然的にアカデミー賞に推される理由の一つなのです。  
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[019]アナと雪の女王
 松さんの歌声がすばらしい常さん2014-03-22
 
 上映時間の関係で吹替版になりましたが、松さんのエルサの歌が素晴らしい。ストレートな全力投球という感じですが、映像ともマッチしてとても引き込まれました。予告編で英語・・・
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 上映時間の関係で吹替版になりましたが、松さんのエルサの歌が素晴らしい。ストレートな全力投球という感じですが、映像ともマッチしてとても引き込まれました。予告編で英語版の歌声もすこし聞いていますが、それに迫るほどの迫力がありました。日本人は英語がよほど堪能な方以外はどうしても字幕に目がいってしまいます。吹替版はその煩わしさが無い代わりに英語版の台詞や迫力のニュアンスが無くなってしまう場合もよくあります。この作品ではアニメであるため違和感が少なく、ミュージカルであるので歌声のすばらしさでとてもすてきな作品になっているように思いました。ディズニーの王子様の常識を裏切るストーリーも面白いですね。
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[020]ホビット 竜に奪われた王国
 ホビット3部作に見る価値はあるのか常さん2014-03-01
 
 ロードオブザリングの三部作に比べてなぜかスケール感を感じない。どうしてなんだろう。
  
 
[021]大統領の執事の涙
 アメリカ公民権運動の裏側で常さん2014-02-18
 【ネタバレ注意】
 人種差別はアメリカの根源的な病理のひとつである。先年、リンカーンの映画が話題となったが、この映画は「奴隷解放」について語っている。奴隷でなくなっても、人種による差・・・
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 人種差別はアメリカの根源的な病理のひとつである。先年、リンカーンの映画が話題となったが、この映画は「奴隷解放」について語っている。奴隷でなくなっても、人種による差別はその後も長く続いていた。キング牧師を中心に人としての平等を求めてアメリカ公民権運動を進めたが、真の意味での平等は現時点でも確立されているとは言えない。オバマ大統領が誕生したことは歴史的な一歩ではあるが、依然として人種差別は社会の隅々に至るまで残されている。本作品は、そんな時代の変遷をホワイトハウスの中の執事の目から描いている。大統領やその側近達の会話がそのまま政治に反映されていくことを感じながらも、あくまでも執事として「空気のごとき」存在になることを求められ「見ざる聞かざる」をモットーに給仕するその姿は、職業人として威厳に満ちている。長男が公民権運動に身を投じ何度も逮捕されるが「自分とは世界が違う」と息子を見限る場面もある。正義とは何か。そして職業とは何か。国に尽くすとは、社会に奉仕するとは。さまざまな問いの中で、自身の役割を懸命に果たそうとする主人公が最後にたどり着いた先は家族であった。人を、家族を大切に思う心が普遍的な価値であることを静かに語っているように感じた。
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[022]BUDDHA2 手塚治虫のブッダ―終わりなき旅―
 めざめた人常さん2014-02-11
 【ネタバレ注意】
 全3作の中編に当たる。王子の座を捨て、修業の旅に出たシッダルタとシャカ族に恨みを持つルリ王子の確執が物語の中心となっている。奴隷の母を持つルリ王子の苦悩をヤタラに・・・
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 全3作の中編に当たる。王子の座を捨て、修業の旅に出たシッダルタとシャカ族に恨みを持つルリ王子の確執が物語の中心となっている。奴隷の母を持つルリ王子の苦悩をヤタラに説くことを通して目覚めた人ブッダと名乗ることになるまでを描いている。手塚の原作を手がかりにしながらも、より現代的な人物像となっている。アッサジの飼虎捨身による生命のつながりをより分かりやすく描くことに成功しているように思う。  
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[023]世界が食べられなくなる日
 GM食品による健康被害をもっと詳しく常さん2014-02-05
 
 GM食品問題と原発被爆問題を同列に論じている点に違和感を感じる。もちろん、2つの問題に共通点はある。現代巨大科学が生み出した問題であること、大きな経済的利益を一部・・・
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 GM食品問題と原発被爆問題を同列に論じている点に違和感を感じる。もちろん、2つの問題に共通点はある。現代巨大科学が生み出した問題であること、大きな経済的利益を一部が享受し大きな負の遺産を後世に残すこと、重大な健康被害を国民にもたらす危険性があること、国家権力と結びついていることなど。また、映画が科学的事実の発信という看板を掲げながら、大衆と巨大多国籍企業の衝突、経済優先か生命優先か、GM作物か有機農業かなど情動的に描いている点も気になる。ラットの死亡率、GMトウモロコシの含有率、ラウンドアップの使用量など、もっと科学的議論に耐える内容にしてほしかった。映画の中で監督の最後のテロップ「真の豊かさを守ろう」が作品を貫くテーマであろう。
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[024]ラッシュ/プライドと友情
 阿保な世界のホンモノ達常さん2014-02-03
 
 F1レースなんて実際に観たこともないが、この映画ではドライバー目線でそれが実感できるという何とも迫力満点の映画です。一般の自動車とは桁違いのパワーとスピードを持つモ・・・
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 F1レースなんて実際に観たこともないが、この映画ではドライバー目線でそれが実感できるという何とも迫力満点の映画です。一般の自動車とは桁違いのパワーとスピードを持つモンスターカーがフォーミュラ―カーであり、まさに走る棺桶です。それに社運も命も懸けて挑むのがF1レースあり「阿保な世界」クレージーそのものです。そのレースに自動車技術の粋やメカニックのチームワーク、ドライバーの運転テクニック、精神力を極限まで高めて挑んでいるのです。そこにはホンモノの人間ドラマ、恐怖、友情があることをこの映画は語っています。  この映画には不自然さがありません。おそらく、多くのSFX技術を使っているのでしょうが、それと見破られるようなちゃちな技術は使われていません。1970年代の実写ドキュメンタリーのような肌感覚が全編を貫いています。レースシーンの迫力ばかりでなく、レーサーの事故への恐怖心と勝利への渇望、レーサーを支える女性達、巨大自動車レースビジネスなど、実話を基にした物語なので豊富な背景も垣間見ることが出来ます。ニキとハンスの人間味もとても魅力的に描かれています。欧州の香りがする日本映画では描くことが出来ない世界です。
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[025]小さいおうち
 やさしさがあふれる日本映画常さん2014-01-28
 【ネタバレ注意】
 さすが山田監督です。日本映画のもっともすばらしい特徴である「やさしさ」と「せつなさ」があふれています。歴史の教科書でしか知らない日中戦争から太平洋戦争にかけての時・・・
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 さすが山田監督です。日本映画のもっともすばらしい特徴である「やさしさ」と「せつなさ」があふれています。歴史の教科書でしか知らない日中戦争から太平洋戦争にかけての時代が庶民の目から描かれています。当時の日本人の感覚は紀元2600年の祝賀ムードで提灯行列が行われていたことは歴史の教科書には書かれていません。お孫さんの感覚と当時を生きたおばあちゃんの感覚の違いをみごとに描き出しています。  物語の入り方は「永遠の0」とよく似ています。2つの映画共におばあちゃんのお葬式から始まるのです。現代という時代から太平洋戦争当時を振り返るのに、おばあちゃんの人生の記録を孫たちがたどるという設定が入りやすいからなのかもしれません。「49日のレシピ」も同じ手法を用いていたと思います。  当時の東北地方の貧しさを背景として、東京のお手伝いさんの立場を考えなくてはなりません。ご主人や奥様は絶対的な存在なのです。奥様の秘密に気づいても決して奥様を非難できないのです。当時は封建社会の道徳が色濃く残っていた時代です。不義密通は重罪なのです。もしも、ばれてしまったら奥様ばかりか、ご主人様も坊ちゃまも社会からはじき出されてしまうのです。お手伝いの立場でタキさんがとった行動は最も懸命な行動だと思います。その奥様の想いを封をしたまま死ぬまで開けなかったタキさんの心がこの映画の神髄なのです。
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[026]四十九日のレシピ
 心がホット和む映画常さん2013-12-11
 【ネタバレ注意】
 おそらく制作費はあまりかかっていないであろうが、心が和む「よき日本映画」の1本である。介護職の母親が亡くなり残された夫と娘に四十九日の法要にみんなで楽しく宴会をや・・・
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 おそらく制作費はあまりかかっていないであろうが、心が和む「よき日本映画」の1本である。介護職の母親が亡くなり残された夫と娘に四十九日の法要にみんなで楽しく宴会をやってほしいと遺言する物語である。ストーリーが進むにつれて生前の母親の働く姿をほとんど見ていないかったばらばらな家族であったことに気づいていく。そして母親の仕事が周りの人々の心の支えになっていたことを知り、家族が再び絆を取り戻す物語である。ごくありふれた家族の物語であるが、心がホット和む日本映画独特の味を持った作品である。
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[027]利休にたずねよ
 利休の熱き想い常さん2013-12-07
 
 誰にでもお墓まで持って行きたい秘め事の一つや二つあるものです。天下の茶人千利休にも若き頃の熱き想いがあったというのが、この物語です。史実か創作かは知りませんが、利・・・
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 誰にでもお墓まで持って行きたい秘め事の一つや二つあるものです。天下の茶人千利休にも若き頃の熱き想いがあったというのが、この物語です。史実か創作かは知りませんが、利休の人間味を十分に楽しめました。本覺坊遺文のような美に対してのピリピリした感覚はありませんでしたが、茶器や茶室に対しての感覚がおもしろく表現されていました。茶碗に高価な値段を付ける日本の美意識は所詮「泥をこねて焼いたもの」に対する東洋独特のものなのかもしれません。映画の中の翡翠色の香盒がとても美しく見えました。海老蔵さんの利休もなかなか味があって良かったと思います。
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[028]少年H
 ワカメのごとき日本人常さん2013-08-11
 【ネタバレ注意】
 もうずいぶん前に上下2巻の原作を読んだと思います。この家族、当時の日本の平均的な家族でないように感じました。さすが神戸の洋服屋さんです。しかも外国人相手のテーラー・・・
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 もうずいぶん前に上下2巻の原作を読んだと思います。この家族、当時の日本の平均的な家族でないように感じました。さすが神戸の洋服屋さんです。しかも外国人相手のテーラーですので、平均的な日本人の家庭とはちょっと違う感覚をもっていたのかもしれません。お父さんの「日本人よりも外国の人の方が、日本の国のことがよく分かっているのかもしれない」という言葉がありました。当時の日本人としてはとても開明的な考え方でしょう。また、お父さんの「おとなしく、つつましやかに、目立たぬように、でも人としてだれに恥じることなく立派に生きなさい」という姿勢に庶民でありながら感動を覚えます。  戦争が終わって、少年Hはお父さんに態度を明確にするように迫ります。でも、お父さんはなにも語ることができません。お母さんはキリスト者としての他者への愛を貫こうとします。この映画で一番心に残った言葉は「みんな海の中で見たワカメと同じだ」という言葉です。世の中に流され、体制のままに生きている現代の日本人に向けた言葉だと思いました。自分の目で確かめ、自分の頭で行動を決めている日本人がどれくらいいるのでしょうか。  もっともっと自分の目で見て、自分の頭で考えて、自分で行動できる日本人を育てていかなければいけないと、改めて考えさせられる映画でした。
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[029]終戦のエンペラー
 続 日本のいちばん長い日常さん2013-07-29
 
 この作品は「日本のいちばん長い日」の続編にあたるものであろう。大日本帝国の戦争責任は天皇にあるのか。ポツダム宣言受諾の条件に「国体の護持」がある。これは天皇制の存・・・
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 この作品は「日本のいちばん長い日」の続編にあたるものであろう。大日本帝国の戦争責任は天皇にあるのか。ポツダム宣言受諾の条件に「国体の護持」がある。これは天皇制の存続である。親日派のフェラーズ准将にとってもエンペラーに対する日本人の心情を理解することはかなり難しいことである。西田敏行演ずるジェネラルが彼に教えようとするが、映画の中でも言葉不足である。まさに「なにもかも曖昧な日本」なのである。  ハリウッドの日本理解も歴史と共にずいぶん進んできている。「硫黄島からの手紙」では日本人が気づかなかったような心情までも描いている。本作品は当時の連合国軍が天皇制をどのようにとらえたかを描いたものであり、現在のハリウッドの理解でもある。まだまだ、日本人の天皇に抱く心情の理解はできていないものの、天皇に戦争責任を課したときの日本人の反応とその損得勘定についてはフェラーズ准将は正しくマッカーサーに報告したわけである。  アヤなる人物は架空の人物のようであるが、明治天皇の御製で終戦の御意志を表明したことは史実であり、玉音放送による終戦の顛末については「日本のいちばん長い日」に描かれている。この映画がフェラーズ准将の視点から描かれている点を高く評価したい。
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[030]BRAVE HEARTS 海猿
 スキルと冷静な判断、そして熱い心常さん2012-07-23
 【ネタバレ注意】
 切なさでいえば「リミットオブラブ」の方が上でしょう。でも、このシリーズなぜか見終って爽快さと勇気づけられるような感動がどれも得られます。今回は「ブレイブハーツ勇者・・・
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 切なさでいえば「リミットオブラブ」の方が上でしょう。でも、このシリーズなぜか見終って爽快さと勇気づけられるような感動がどれも得られます。今回は「ブレイブハーツ勇者たち」という副題が付けられています。もちろん勇者とは仙崎、吉岡とともに機長さんが主役です。そして潜水士達や海上保安庁の人々、警察官、消防士、医師、民間の船乗りまですべての人々をさすのでしょう。ちょっと女性の影が薄い感じがしますが、被害日本大震災の後だけに人々の絆が力強く語られています。一番グッとくるのは「仲間を探しに行こう」というところでしょうが、吉岡さん死んでしまってもよかったかも。
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