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 「blacus」さんのコメント一覧 登録数(82件)rss
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[001]細雪
 あれれ、洪水は?blacus2016-03-27
 
東宝50周年記念作品であれば、阪神大水害のくだりはやはりきっちり入れて欲しかった。豪華俳優陣にお金をかけること自体に反対はしないが、着物は個人的にはどうでもよいので・・・
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東宝50周年記念作品であれば、阪神大水害のくだりはやはりきっちり入れて欲しかった。豪華俳優陣にお金をかけること自体に反対はしないが、着物は個人的にはどうでもよいので、洪水の場面をどうやって映画的に表現するのかをやはりみてみたかった。まあ、あれを入れると2時間の映画ではその比重が大きすぎるから思い切ってカットしようという話になったのだろうけど、あれがないと板倉(岸部一徳)と妙子の関係がどうも説得力がないわけで、それなら板倉の存在自体があまり意味がないのではないか。 全体に2時間尺で四姉妹中心に話がすすむように原作に改変が加えられているが、ひとつ気になったのは長女鶴子の存在感が増したこと。原作では下の三姉妹に比べて、鶴子はやや蚊帳の外で顔がいまいち思い描きづらい存在なのに対して、こちらでは4姉妹にほぼ同等に脚光があてられていて、鶴子(岸恵子)と次女幸子(佐久間良子)の仲がやたらとよい。 幸子の夫(石坂浩二)と雪子の関係をにおわせるという変更はさほどよいアイディアだとは思われない。 吉永小百合の雪子は数多のサユリストの方たちには申し訳ないが、正直、違和感がある。雪子はふだんからうつむき加減で、「はぁ」としか言わないような人なので、やはりこの役にはもう少し影のある女優さんがよかった。それに、最後、台詞なしのエモヤンにもっていかれるという展開は急ぎ足すぎる。 古手川祐子の妙子は小悪魔的な色気があってよかった。原作ではかなり悪女扱いだが、こちらではもう少し穏当な感じ。 音楽は賛否あるようだが、伝統主義者の衣をかぶった谷崎の隠されたモダニズムを表しているようで、個人的には悪くないと感じた。
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[002]6才のボクが、大人になるまで。
 瞬間が私たちをつかむblacus2015-10-08
 
『バードマン』も悪くなかったけど、アカデミー作品賞はこっちじゃなかったか。 『ビフォア・・・』シリーズといい、この作品といい、リンクレーターという人はやはり目をはな・・・
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『バードマン』も悪くなかったけど、アカデミー作品賞はこっちじゃなかったか。 『ビフォア・・・』シリーズといい、この作品といい、リンクレーターという人はやはり目をはなせない。 しかもこちらは監督とイーサン・ホークの出身地テキサス州ヒューストンやオースティン周辺を舞台にしているとあって、リアルなアメリカの世相のなかの一家族を目の当たりにしているような気がしてくる。 例えば、リベラルで民主党支持のはずのイーサン・ホークが再婚して、南部の銃好きで保守キリスト教ずっぽりの家族に取り込まれてしまうあたりのくだりは実に皮肉なリアリティにあふれている。 次はまた12年後に続編を期待したい。 (コメント題はMasonのガールフレンド(?)Nicoleのことば "You know how everyone's always saying seize the moment? I don't know, I'm kinda thinking it's the other way around. You know, like the moment seizes us" から)
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[003]マダム・イン・ニューヨーク
 English Vinglishblacus2015-05-08
 
かつて『踊るマハラジャ』を途中で観るのを止めて以来、インド映画といえばどうでもいいストーリーと踊りばかりで退屈という先入観があって、この映画も観るまで正直あまり気が・・・
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かつて『踊るマハラジャ』を途中で観るのを止めて以来、インド映画といえばどうでもいいストーリーと踊りばかりで退屈という先入観があって、この映画も観るまで正直あまり気が進まなかった。実際、インドで話が展開する最初の30分くらいは退屈してしまってもういいかという気分になりかけていたのだけど、主人公の主婦がニューヨークに単身渡ってきて、英語の洗礼を受けるあたりからめっぽう面白くなってきた。一人町歩きをしていてお腹が空いてどうしようもなくなって、たまたま目についた店に勇気を振り絞って飛び込んだのはいいけど、黒人店員の話す英語がわからず、おたおたして、店員からバカにされて、落ち込んで店から出てくるってわかるわぁ。人間、一回はこういう経験をしないとダメだと思うよ、いやホントに。多国籍な英語クラスの様子とか、外国で英語と格闘した経験がある人ならば間違いなく共感できるはず(実際の英語クラスはあんなに学生同士仲良くないと思うが)。 それにしても映像が洗練されてるね。インド映画の伝統のテイストを巧みに盛り込みつつ、こういうポップで爽やかな後味の映画を撮れる若い女性監督(1974年生まれ)が出てきたんだと感心。今後の活躍を期待したい。
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[004]グレート・ディベーター 栄光の教室
 佳作blacus2012-08-31
 【ネタバレ注意】
戦前の南部(特にテキサス)の人種差別や労働組合・共産主義運動という歴史的背景を盛り込みつつ、見応えのある熱血教師ものに仕上がってます。なんでこれがこれまで日本未公開・・・
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戦前の南部(特にテキサス)の人種差別や労働組合・共産主義運動という歴史的背景を盛り込みつつ、見応えのある熱血教師ものに仕上がってます。なんでこれがこれまで日本未公開だったのかは不可解。確かにアメリカ社会や歴史について興味がないとつまらないと感じる人も多いのかもしれないけど。 デンゼル・ワシントン演じる教師のメルヴィン・トルソンは実在の人物で、この映画も事実にある程度基づいているようですが、やや「盛っている」部分もあります。 例えば、ディベート・チームに女性が入っているところ。あるいはラストのハーヴァード大学との対戦は完全にフィクションです(実際は南カリフォルニア大学のチームと対戦)。 まあ白人の大学としてもっとも権威のあるハーヴァードにしないとラストを締めくくるのに格好がつかないと思ったのかもしれないけど、アフリカ系アメリカ人の社会進出が極めて限定された時代に白人のディベート・チームに勝ったというのはそれだけでも十分な偉業なわけだから、史実どおりのお話にしてもよかったんじゃないかと個人的には思う。若干盛り過ぎ感が強く、そのせいで全体にお話が嘘くさくなっているのは残念。 ちなみにフォレスト・ウィテカーの息子を演じているデンゼル・ウィテカーは、かなり名前が紛らわしいけど、フォレストとは特に血のつながりはないらしい。
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[005]レボリューション・めぐり逢い
 民衆の側から見たアメリカ独立戦争blacus2012-02-29
 
アメリカ独立戦争を題材にしているも関わらず、この映画にはジョージ・ワシントンもトマス・ジェファーソンもフランクリンも直接にはでてこない。そのかわりにここで描かれてい・・・
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アメリカ独立戦争を題材にしているも関わらず、この映画にはジョージ・ワシントンもトマス・ジェファーソンもフランクリンも直接にはでてこない。そのかわりにここで描かれているには、一市民の目からみた独立戦争だ。 アル・パチーノ演じる毛皮わな漁師のドッブは、独立戦争で船を接収され、戦闘に無理やり参加させられるが、イギリス兵の暴挙を目の当たりにするにつけ、アメリカの「自由」という大義に目覚め、愛国者として積極的に戦争に関わるようになる。 革命の興奮に沸くニューヨークや、赤い制服を着て整列して前進してくるイギリス軍と雑多な民衆の集まりであるアメリカ軍の対比など、リアリズムに徹したシネマトグラフィは素晴らしい。 ただ、単純に映画として面白いかというと残念ながらと言わざるを得ない。最大の問題はパチーノと金持ちの娘でありながら革命に身を捧げたナスターシャ・キンスキーのロマンスがあまりに説明不足でおまけ程度にしかみえないことだと思う。 この映画の興行的な大失敗のために、パチーノはその後しばらく出演作に恵まれず、ハリウッドも2000年の『パトリオット』までアメリカ独立革命を題材とした映画を製作することを避けたとされる。
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[006]華麗なるギャツビー
 いまいちblacus2012-02-24
 
原作の重要な要素を多く網羅している点では評価できるが、逆にいえばそれだけ。映画としてはさほど面白いものではない。テレビ用に作られたためか、全体にひどく安っぽい。 ト・・・
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原作の重要な要素を多く網羅している点では評価できるが、逆にいえばそれだけ。映画としてはさほど面白いものではない。テレビ用に作られたためか、全体にひどく安っぽい。 トム・ブキャナン役のマーティン・ドノヴァンは正直出てきた時がっかりした。トムはそこにいるだけで圧倒されるような威圧的な体格の持ち主でなければと思う。 トビー・スティーヴンスのギャツビーは成り上がり者のいかがわしさという点では確かに正しいのだが、もう少し光り輝くような純朴な魅力もあって欲しかった。 ミラ・ソルヴィーノのデイジーはこのキャストのなかではなかなかよかったと思う。
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[007]エスター
 『オーメン』以来の快作blacus2012-02-22
 【ネタバレ注意】
これは大昔にテレビで観た『オーメン』に比肩するホラー/スリラー・ジャンルの快作と言ってもよいかもしれない。 こちらも子供の頃に観た小公女セーラ(もちろんアニメの方)・・・
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これは大昔にテレビで観た『オーメン』に比肩するホラー/スリラー・ジャンルの快作と言ってもよいかもしれない。 こちらも子供の頃に観た小公女セーラ(もちろんアニメの方)みたいな、黒い髪で東欧のお姫様のようなイザベル・ファーマンがあまりにはまり役。コネチカットの雪景色に、彼女の青白い肌と対照的に浮かび上がる黒い髪と瞳がなんとも不気味。 あんなに小さい女の子が大人の男を誘惑するなんておいおい大丈夫かよとハラハラしたが、謎解きでああそういうことねと納得した。しかし少女にああいう役をやらせるのはもやもやした部分もある。 すでに2人自分の子供がいるのに3人目の子供を養子に迎えるというのは確かに日本の感覚ではあまりないが、複数の養子をとることが日本よりもはるかに一般的なアメリカでは十分にありえることだと思う。特にある程度裕福で「リベラル」な考えをする夫婦ならば不思議じゃない。
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[008]マージン・コール
 救いようもなく寒々とした世界blacus2012-02-20
 
よくあるハリウッド映画だったら剥き出しの金の力を男女のロマンスでオブラートに包むなどの小細工をするところで、この映画はあくまでストイックに寒々とした金融界を描くこと・・・
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よくあるハリウッド映画だったら剥き出しの金の力を男女のロマンスでオブラートに包むなどの小細工をするところで、この映画はあくまでストイックに寒々とした金融界を描くことに徹しているのが好感をもてる。 舞台となっている投資銀行の社長John Tuld(リーマンブラザーズの元CEO、Richard Fuldをモデルにしているとされる)が言うように、金融危機というのは市場につきもので、1637年、1797年、1819年、37年、57年、84年、1901年、 07年、29年、1937年、1974年、1987年、92年、97年、2000年と歴史を繰りかえしてきた。Tuldのような人物からすれば、そうした危険性を理解しないで金融商品に手を出す人間こそが悪いということになるのだろう。 並みの感覚を持つ人間は、この映画を見て、剥き出しの物質主義に嫌悪感を感じて金融などには関わりたくないと思うだろう。しかし同時に、金融がもたらす巨万の富には抵抗しがたい魅力がある以上、市場危機は繰り返されるのだろう。
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[009]僕のピアノコンチェルト
 ちょっと違うblacus2012-02-16
 
頭がよければ他の人よりも抜きんでることができて社会で成功しやすいというのは否定しがたい事実だと思うけど、それは天才が失敗しないということを意味するわけではない。むし・・・
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頭がよければ他の人よりも抜きんでることができて社会で成功しやすいというのは否定しがたい事実だと思うけど、それは天才が失敗しないということを意味するわけではない。むしろ頭がよすぎるゆえに他の人の愚かさをどうしても理解できない盲目さというのがあると思う。そして社会の99パーセントを構成しているのはまさにそういう愚かさをもった人たちであって、そうした愚かさへの洞察なしには単に多数派の社会から疎外されるだけではないだろうか。 だからこの映画をみながら、天才少年が頭のよさゆえに先走った行動をしてしまって、その結果取り返しのつかない大きな失敗を犯してしまうが、そこから多くのことを学んで、神から与えられた自らの才能を受け入れまた成功の道を歩んでいく、っていう話なのかなと思っていたんだけど、そうではなく、あくまで天才は思い通りに成功するって話だったので何か違和感が残った。 とはいえ今の経済システムはますます抽象化しているから、そこで頭のよさだけで成功するというのはあり得ない話ではない。しかし主人公のヴィトス少年がインサイダー取引で最初の財産を作るのはやはり違和感がある。それだったら別に天才でなくとも思いつくわけで、だからこそ法律で禁じているわけで。それとも子供だからインサイダー取引しても許されるということなのだろうか。
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[010]シングルマン
 ロサンジェルスの(ゲイの)イギリス人blacus2012-02-11
 
最初に言ってしまうと私はあまりこの映画を好きになれない。 もしこれが異性愛の男が長年の伴侶を失ったあとの一日を扱ったものだったら実に他愛もない話ということになるので・・・
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最初に言ってしまうと私はあまりこの映画を好きになれない。 もしこれが異性愛の男が長年の伴侶を失ったあとの一日を扱ったものだったら実に他愛もない話ということになるのではないだろうか。 1962年当時としては西海岸の都市部においてさえおおっぴらするのがはばかれた同性愛的欲望の戯れを洗練された映像でみせているが、私にはこの映像の審美性だけに依拠する演出はひどく表面的なものに思える。 また、最後で突然訪れる心臓発作による英文科教授たる主人公の死もあまりに脈絡がなく偶然的で説得されない。 全体としてファッションデザイナー出身の監督トム・フォードのアプローチの仕方にはまったく関心しないが、主人公を演じたコリン・ファースの演技は評価できる。この映画に見どころがあるとしたらそこに他ならない。
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[011]イントゥ・ザ・ワイルド
 なぜかズシンblacus2012-01-27
 【ネタバレ注意】
無際限の自由を求めて国中を放浪し、現実に若くして死んでしまった人の物語は想像していた以上に自分の心にズシンときた。 人を寄せ付けないアラスカの自然の美しさと残酷さ。 ・・・
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無際限の自由を求めて国中を放浪し、現実に若くして死んでしまった人の物語は想像していた以上に自分の心にズシンときた。 人を寄せ付けないアラスカの自然の美しさと残酷さ。 最後に映しだされる、本物のマッカンドレスがマジック・バスの前で撮影して遺した彼の写真のあの表情が心に焼きついて忘れることができない。 彼の無垢さがあまりにも痛ましいものに感じるのだ。 彼の行動をナイーヴだと言って片付けるのはたやすい。しかし、アメリカの表面的な物質主義の底流には究極の自由を求める極端なまでの観念主義があり(彼の愛読書はソローとジャック・ロンドンだ)、マッカンドレスはまさにそうした精神を探求して死んでしまったのだということを忘れてはならない。
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[012]アメリカを斬る
 ジョン・カセリス/ジョン・カサヴェテスblacus2012-01-19
 
アメリカにとって1968年は激動の年だった。1月にはテト攻勢でヴェトナム戦争がますます泥沼化し、4月にはマーティン・ルーサー・キングが暗殺され全米各地の都市で暴動が起き・・・
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アメリカにとって1968年は激動の年だった。1月にはテト攻勢でヴェトナム戦争がますます泥沼化し、4月にはマーティン・ルーサー・キングが暗殺され全米各地の都市で暴動が起き、6月には大統領候補であったロバート・ケネディが暗殺される。この映画の脚本ができたのは、同年の1月ということだから、後のシカゴ民主党大会で大きな争いが起きるということを予見して撮影に入り、実際その通り、あるいは予想を越えた数々の事件が撮影中に起きたことになる。メンフィスでのキング牧師の暗殺もロサンジェルスでのケネディの暗殺も直接画面に映すことはあえて避けられているが、こうした事件は映画のプロットを推進する重要な要素としてはっきりと感じられる。ドキュメンタリーとフィクションの混交がクライマックスに達するのが、シカゴ民主党大会と同時に実際に起こっていた警官隊によるデモ隊の暴力的鎮圧の現場であるリンカーン公園に、息子を探す黄色いワンピースを着たヴァーナ・ブルームが迷い込んでしまう場面だろう。同時代のアメリカン・ニューシネマにはドキュメンタリー手法を取り入れたものも多いが、この映画はそのなかでもそうした試みが最もうまくいった作品だと思う。 主人公のジャーナリストの役は、もともとはジョン・カサヴェテスが演じる予定であったがスケジュールがあわなかったため、ロバート・フォースターが演じることになり、それにあわせてジョン・カセリスと名前が変えられたらしい。
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[013]シンシナティ・キッド
 ニューオリンズにやってきたシンシナティblacus2011-12-17
 
これだけシンプルなお話でちゃんとみられる映画ができるというのが、逆に新鮮。 俳優陣がなかなかよい。若いマックイーン、アン=マーグレットの悪女ぶりも堂に入っているし、・・・
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これだけシンプルなお話でちゃんとみられる映画ができるというのが、逆に新鮮。 俳優陣がなかなかよい。若いマックイーン、アン=マーグレットの悪女ぶりも堂に入っているし、それになによりも往年のギャング・スターのエドワード・G・ロビンソンの貫録。顔の表情をむしろ一切動かさないことでこれだけ存在感のある演技ができるというのが驚き。 50年近く前のニューオリンズは、なんか時々西部開拓時代にタイムスリップしたような不思議な気分になってくる。
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[014]死の追跡
 復讐と法blacus2011-11-16
 
平和主義者の保安官がギャングたちに妻と子を殺され、復讐のためにギャングたちを追うというのがお話の基本枠組みだが、途中で同じくギャングたちを追うメキシコの保安官が出て・・・
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平和主義者の保安官がギャングたちに妻と子を殺され、復讐のためにギャングたちを追うというのがお話の基本枠組みだが、途中で同じくギャングたちを追うメキシコの保安官が出てきてプロットにひねりが加わる。リチャード・ハリス演じるアイルランド系の保安官キルパトリックが個人的な復讐のためにギャングたちを追うのに対し、メキシコの保安官グティーレスはあくまで法に基づいてギャングたちを逮捕し法廷に差し出すことを主張し、もしキルパトリックが自分の目の前でギャングたちを撃ったらキルパトリックを逮捕すると脅す。この個人的な復讐と法との相克というテーマはやや観念的だが、キルパトリックはそもそものはじめから観念的な平和主義者として描かれているので、ある意味では一貫している。つまりキルパトリックの内部では復讐という動機が法の遵守という動機を圧倒したが、今度はその内的な対立関係がグティーレスという法を体現する人物の登場によって外化されるのだ。 なんともチープな映像でB級テイスト、エンディングもあまり説得力がないが、その観念性ゆえにむしろ嫌いになれない映画。
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[015]ミッシング
 後日談blacus2011-11-04
 【ネタバレ注意】
Charles HormanとFrank Teruggiという二人のアメリカ人ジャーナリストの実際にチリで起きた失踪事件をベースにしているということだが、ピノチェト軍政によって全体主義的な戒・・・
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Charles HormanとFrank Teruggiという二人のアメリカ人ジャーナリストの実際にチリで起きた失踪事件をベースにしているということだが、ピノチェト軍政によって全体主義的な戒厳令下におかれた都市の描写は本当に息苦しくなってくるほどだ。 1999年に公開されたアメリカの政府文書によると、やはりこの二人の逮捕と殺害にはCIAも一枚噛んでいたらしいことがわかったようだ。 また、アメリカにCharles Hormanのものだとして戻された遺体は、最近のDNA検査で別人のものだということがわかったらしい。 Charles Hormanの父親エドを演じたジャック・レモンの演技はとてもよかったと思う。確か『摩天楼を夢見て』(92年)のDVD付録映像で、「演技で評価されるように、若いころは早く年をとりたいと思っていた」というようなことを言っていたが、後期のいくつかの映画を見るとそれも納得できる。 それにしても父親がクリスチャン・サイエンスって、あの執念はやはりそれが影響しているのだろうか。
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[016]ヒア アフター
 悪くないですが・・・blacus2011-11-02
 【ネタバレ注意】
イーストウッドの映画という以外ほとんどなんの予備知識もなしに借りてみたら、最初で突如3.11の津波の映像を思わせる場面がでてきたのでいきなり不安感に襲われた。 こんなに・・・
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イーストウッドの映画という以外ほとんどなんの予備知識もなしに借りてみたら、最初で突如3.11の津波の映像を思わせる場面がでてきたのでいきなり不安感に襲われた。 こんなに派手にVFXを使うなんてほんとにイーストウッドの映画?と思いつつ鑑賞を続けると、パリ、サンフランシスコ、そしてロンドンで独立したストーリーが展開し、一体どのようにそれらが交差するのかなかなか読めない。 死後の世界とか霊能力のテーマがだんだんとはっきりしてきて、3人の登場人物がロンドンで遭遇するとやっとそういうことねと了解できた。マット・デイモン演じる霊能力者がディケンズが好きというのはなぜ?と思ったが、このための伏線だったのね。ただ、この最後の遭遇に行くまでで1時間半ほどかかっていて、ちょっと長いかなと感じた。逆に出会ってからはデイモンとフランス人女性キャスターであるマリーが結びついて終わりというのはちょっと早急に過ぎる感じがした。例えばマリーが死後の体験で何を見たからデイモンと結びつくことになったのかに関してもう少し説明がないと、安易なロマンスのように見えてしまう。 デイモンとブライス・ダラス・ハワードが目隠しをしつつ味見をする場面は伊丹十三の『たんぽぽ』みたいで個人的には好きだけどな。少なくとも最後のデイモンとマリーのハリウッドの定型的なラヴシーンよりははるかにいいと思う。
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[017]摩天楼を夢みて
 グレンギャリーとグレン・ロスblacus2011-10-26
 
ピューリツァ賞を受賞している戯曲が原作だけあって脚本は素晴らしいし、この上なく豪華な俳優陣の演技についても文句のつけようがない。ただ反面、舞台原作の映画化の例にもれ・・・
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ピューリツァ賞を受賞している戯曲が原作だけあって脚本は素晴らしいし、この上なく豪華な俳優陣の演技についても文句のつけようがない。ただ反面、舞台原作の映画化の例にもれず、映画的な演出はあまりないのでその点ではやや物足りない。 NYの事務所(原作の戯曲ではシカゴが舞台らしいが)でフロリダの土地を売りつけるって、東京で北海道のタダ同然の人も住めない未開の原野を売りつけるようなものだろうか。その意味では、会社の存在自体が詐欺みたいなもので、それを売りつけるためにジャック・レモンが嘘ばかりついているとしても特に非難には値しないのかもしれない。 下で別の人も書いてるけど、この邦題はいまいちだと思う。登場人物は中年ばかりで生活のために仕事をしているのであって、とても「夢」をみれるような年齢ではない。そもそも摩天楼なんてほとんどでてこないし。 原題のGlengarryはGlengarry Highlandsというフロリダの彼らが現在売りつけている物件、対してGlen RossはGlen Ross Farmsというかつて売りつけるのに成功した物件を指している。だから恐らく過去と未来の成功を示しているのではないかと思う。
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[018]インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実
 このままでは世界経済破綻は間違いなくくるblacus2011-09-27
 
先の東日本大震災の際に投資家たちが今こそ投機のチャンスという動きを見せたというニュースは記憶に新しいが、他人の株が大暴落すると一部の投資家にとってはむしろ大金が入る・・・
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先の東日本大震災の際に投資家たちが今こそ投機のチャンスという動きを見せたというニュースは記憶に新しいが、他人の株が大暴落すると一部の投資家にとってはむしろ大金が入るという恐ろしい仕組みが2000年代に入って確立してしまったことはこのドキュメンタリーを観て初めて知った。規制緩和の名のもとにこの不正な仕組みを作ることで年に何十億もの収入を得て、2008年の経済危機を作り出した張本人たちが何らその罪を問われることなく、オバマ政権でも未だに要職を独占しているというのは愕然とする。名前を挙げれば、クリントン政権下の財務省長官ローレンス・サマーズ、ブッシュ政権下の財務省長官ヘンリー・ポールソン、先代のFRB(連邦準備制度理事会)議長アラン・グリーンスパンと現在の議長ベン・バーナンキ等々。サマーズが今ではハーヴァードの学長になっていることからもわかるように、主流のアメリカ経済学会もこの流れに加担して、規制緩和が正しい経済政策であるかのような幻想を組織的に作り出してきたのに、誰一人として罪に問われていない。映画の中でも指摘されているとおり、銀行強盗を犯した者は刑務所に送られるが、銀行の頭取が巨額の詐欺をはたらいても刑務所に送られることはないというのはひどい矛盾ではないか。 世界の投資家たちの間でも最近、投資銀行の役員たちの報酬を制限すべきとか高額所得者たちに高い税金をかけるべきだと意見が出てきているのは、今の世界経済システムがいかに危ういバランスの上に成り立っているのかを認識するとそこで多額の利益を得ている者でさえ恐怖を覚えるからだろう。外からの規制がなければ彼らは自分たちが際限なくリスクの高い投機をやらざるを得ないのを分かっているのだ。しかし問題は、どのような規制ならば有効に働くかということだ。下手な規制では、頭の良い彼らはいくらでも抜け穴を見つけるだけであろう。 また日本だと規制緩和はダメだという話になれば、官僚たちが既得権をさらに強化するような仕組みをこの時とばかり作り出すのだろうし、そうした既得権を解体しつつかつ投機に対して有効な規制を作っていくというのは目の回るほどたいへんな仕事だ。 マット・デイモンがナレーションを担当しているのは観終わった後で気づいた。 監督のCharles Fergusonは、ブッシュ政権下でのイラク戦争を題材としたNo End in Sightというタイトルのドキュメンタリー(2007年)が第一作目らしいが、こちらも日本公開してほしいところ。 追記: Wikipedia英語版によると、監督のFergusonは55年生まれで、UC-Berkeleyを数学専攻で卒業、そしてMITで政治学のPhDを取得とのこと。かなりのエリートのようだ。 自分で作ったインターネット関連の会社を1994年にマイクロソフトに$133,000,000で売却。その後Representational Picturesという映画製作会社を設立。 次回作はなんとあのWikileaksのジュリアン・アサンジを取り上げるとのこと。
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[019]ケネディ家の人びと
 呪われた家系blacus2011-09-26
 
ジョン・F・ケネディといえば、ダラスで暗殺されてしまったアメリカの若きリーダーというイメージが強いが、このミニシリーズの前半のエピソードで強調されているのはむしろ、・・・
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ジョン・F・ケネディといえば、ダラスで暗殺されてしまったアメリカの若きリーダーというイメージが強いが、このミニシリーズの前半のエピソードで強調されているのはむしろ、体格がよく将来を期待されていたが戦死してしまった長兄ジョセフとは対照的に、もともとは演説下手で、体が弱く、女の誘惑を断れずに妻ジャクリーンをないがしろにしてしまうどうしようもない男という負のイメージだ。61年のキューバのピッグス湾事件では判断ミスを犯し、アメリカ側のゲリラ部隊をみすみす見殺しにしてしまうという失政もきちんと描かれていた。 そんななかでケネディがリーダーとして大きく成長を遂げる様子が描かれている見どころのエピソードは、ケネディの公民権運動に対する対応(62年の黒人学生ジェームズ・メレディスのミシシッピ大学入学)を描いた第5話、そしてなによりもキューバ危機を描いた第6話だろう。キューバへの先制攻撃を説く軍部に対して、ケネディが最後の最後まで平和的解決の方向性を探り、第三次世界大戦の危機を回避したことは称賛に値する。このあたりのエピソードを見ると、60年代前半に、現在の世界経済システムの危機以上に世界的な綱渡りの状態にあったのかがよくわかる。 ジョン・Fの暗殺を描く第7話と弟ロバートの暗殺を描く第8話あたりは逆によく知られている部分だけに、あまり踏み込まず当たり障りのない描き方をしていて、むしろさほど面白くないかもしれない。 全八話と少ないエピソードのために、もっと話数を増やして描いてほしいと思えたところもある。例えば、ジョン・Fの父親ジョセフ・ケネディの影響力の大きさは特に前半部で非常に強調されているが、この人がどのような出自をもつ人なのかはほとんど描かれていない。あるいは、ケネディ家にはジョン・Fとロバート以外にも7人の兄弟姉妹がいるはずだが、第二次世界大戦で戦死した長兄ジョセフJr.と知恵遅れでロボトミーを受けた長女ローズマリー以外はほとんど紹介されていなかったのでもう少しみてみたかったところ。 それにしても4人の男兄弟のうち、3人は自然死を迎えられなかったというのはやはり呪われた家系と言わざるを得ない。これはあくまで個人的な推測だが、暗殺犯オズワルドは単独犯ではなく、やはりシカゴの選挙でマフィアの協力を得て当選したのに、ロバートがマフィア撲滅を公言したことでケネディ家に対して私怨を招いたのではないかという気がする。もしこれが共産圏との対立が原因ならばケネディ家だけが狙われるのは説明できないだろうし。
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[020]チャイナ・シンドローム
 3.11以降に改めて観るべき映画blacus2011-09-19
 
東日本大震災後の原発事故で起きたこととあまりに重なることが多く、今この作品を観ることはなんとも不気味な慨視感に満ちた体験だった。 この作品が公開された約2週間後にアメ・・・
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東日本大震災後の原発事故で起きたこととあまりに重なることが多く、今この作品を観ることはなんとも不気味な慨視感に満ちた体験だった。 この作品が公開された約2週間後にアメリカではスリーマイル島事故が起こったそうだが(映画のモデル自体は75年にアラバマ州で起こった事故とのこと)、30年以上たった今でも原発を巡る問題の本質は何一つ改善されていないことがわかる。 時代や国を問わず同じ問題がいつまでも繰り返されるというのは、そもそも原発は不確実性に満ちたもので、そして一旦事故が起きると収束が困難であるにもかかわらず(あるいはまさにそのために)、100%安全であるという神話を維持しなければならないという内在的な矛盾を解決できていないからだろうし、そしてこれは恐らくこれからも完全には解決することはできないのではないだろうか。 ジャック・レモンは原発の制御室長という職務(原発が文字通り「恋人」であるかのように毎日計器とにらめっこののひとり者)と正義感の間で板挟みになる人物を素晴らしく好演していた。 しかしあのように自分の独断で自己の身を呈してまで原発の欠陥を告発しようとする人物が本当に現れるかどうかかなり怪しい。特に日本のような組織主義社会では責任者は口を濁すばかりではないか。
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[021]フラッシュフォワード
 シーズン1で終わりは不可解blacus2011-09-18
 
DVDではなく、毎週のテレビ放送でシーズン1全話観ました。 他のテレビシリーズに比べて決して面白さやアイディアの良さの面では負けていないと思われるのに、あまり視聴率では・・・
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DVDではなく、毎週のテレビ放送でシーズン1全話観ました。 他のテレビシリーズに比べて決して面白さやアイディアの良さの面では負けていないと思われるのに、あまり視聴率では振るわなかったようで、残念ながらシーズン1で打ち切りとのこと。 IMDbで見てみると10点満点で7.9だからそれなりに視聴者の評価は良かったといっていい。ちなみに『24』は8.7、『ロスト』は8.5でこれより高いが、数シーズン続いた『エイリアス』は7.7、『ヒーローズ』は7.2でこれより低い。 あの終わり方は完全にシーズン2以降まで話が続かないと意味が通らないので、ぜひ作成して欲しいところ。特に竹内結子がからむエピソードはシーズン1だけではなんのためにあるのか狙いがよくわからない。 ただし、竹内の演じる日本人女性の役(ケイコ・アラヒダなる謎の名前)は、基本的にアメリカ人が見た日本人のステレオタイプの域を出ていないのであまり見どころとは言えない。 竹内の母親の役をやっていた女優さんは、上のデータには出ていないが、IMDbによるとHira Ambrosino (Hiroko Takayanagi) なる名前の日本人で、結構色んな作品にちょいちょいでているようだ。しかし68年生まれだから、80年生まれの竹内の母親役としては意外に若いということになる。画面でみるとそんなに違和感はないんだけどね。
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[022]マルタのやさしい刺繍
 悪くないが・・・blacus2011-09-16
 
心和む物語で悪くないが、古ぼけた映像といい、インターネットが出てくる以外はなにか20〜30年以上前の映画をみているような感じ。日本だとまだインターネットや水洗トイレが入・・・
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心和む物語で悪くないが、古ぼけた映像といい、インターネットが出てくる以外はなにか20〜30年以上前の映画をみているような感じ。日本だとまだインターネットや水洗トイレが入っていない東北や四国の山村みたいなものか。 やはり最後の最後で急に事態が好転するという展開はちょっと急で都合がよすぎると感じた。もう少しあと一波乱、二波乱あったほうが物語としては説得力があったように思う。 監督のベッティナ・オベルリは72年生まれとまだ若い。真価が試されるのはこれからということか。
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[023]大いなる男たち
 3000頭の馬blacus2011-09-12
 
見どころはジョン・ウェインとロック・ハドソンという二大スターの共演、そしてウェイン演じる元北軍の大佐が率いる3000頭の馬の川のような群れといったところだろうか。 当時・・・
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見どころはジョン・ウェインとロック・ハドソンという二大スターの共演、そしてウェイン演じる元北軍の大佐が率いる3000頭の馬の川のような群れといったところだろうか。 当時のメキシコで、マキシミリアン皇帝を戴いたフランスの傀儡政権とフアレスの革命派が争い、革命派がもともとメキシコとは対立していたアメリカの協力を得て勝利し、マキシミリアンを処刑した…などという歴史的背景は高校の世界史以来すっかり忘れていたので、いまいちわかりにくかった。 しかし、基本内向きな西部劇というジャンルの末期において、そしてヴェトナム戦争の時代において、メキシコという外国の政情を背景とした作品が作られたこと、他方でまさに外国を舞台とすることで南北の違いを超えたアメリカ合衆国民の絆を確認していることは注目に値するかもしれない。 ハドソン演じる元南軍の大佐の娘(メリッサ・ニューマンという綺麗だけどあまり出演作のない女優さん)が、同じ白人の求愛者を捨ておいて、ウェインが養子にしたインディアンの若者を好きになるという展開には最初疑問を感じたが、実はこの役を演じているのがアメフトの有名選手だとわかって、ああそういうことねと納得した。そりゃそんなスター選手なら一瞬で好きになるわな。
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[024]クレイジー/ビューティフル
 快作!blacus2011-09-09
 
一見するといわゆるティーンムービーで、これ以上ないくらい直球勝負の映画だけど、この映画が頭一つ二つ抜きんでているのは、ロサンゼルス郊外の白人富裕層と貧しいヒスパニッ・・・
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一見するといわゆるティーンムービーで、これ以上ないくらい直球勝負の映画だけど、この映画が頭一つ二つ抜きんでているのは、ロサンゼルス郊外の白人富裕層と貧しいヒスパニック系の経済的格差をきちんと描いているからだろう。家族の期待を一身に受けるカルロス(ジェイ・ヘルナンデス)が、ニコール(キルステン・ダンスト)を選ぶか、それとも将来の成功を選ぶかという選択は十分な説得力を持っている。 それに主演二人の好演、特にダンストの演技には目を見張らせられるものがある。この人が泣き顔になるとこっちまで涙がでてきそうになる。私はこの女優さんのことをさほどきれいだと思わないけど、むしろ容貌的には平凡な女優さんだからこそこの映画では役にはまっていた。 そんななかで残念なのは、最後があまりにも足早にさほど説得力の無いハッピーエンディングになってしまっていたこと。あと30分長くしてもう少しほろ苦いエンディングにしてもよかったかもしれない。
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[025]ボーン・コレクター
 残念な作品blacus2011-09-08
 【ネタバレ注意】
他の方も書いてますが、後半、謎解きの段階になると急に失速します。前半のサスペンスの盛り上げがよかっただけに特にそれが目立つ。デンゼル・ワシントンに個人的怨恨を持つ犯・・・
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他の方も書いてますが、後半、謎解きの段階になると急に失速します。前半のサスペンスの盛り上げがよかっただけに特にそれが目立つ。デンゼル・ワシントンに個人的怨恨を持つ犯人がなぜ連続を殺人を犯さなければならないのかなど、疑問符が頭のなかに浮かぶばかり。 そういう風に展開に疑問をもってしまうとベッドに貼り付けになったデンゼルとぷっくりした唇の新米刑事アンジェリーナ・ジョリーという意外で印象的な取り合わせにも疑問が浮かんできてしまった。 もともと原作ではライムは白人らしいがなぜアフリカ系アメリカ人に変えたのかとか、それにともなってライムの伴侶役(いわゆるワトソン役)が白人男性からクィーン・ラティファに変えられたのに、よりによって彼女を最後には殺してしまい、そしてデンゼルとアンジェリーナのロマンスをなんとなくにおわすような展開にしたのかとか、このあたりの変更がなんとも場当たり的でお手軽な感じがしてしまう。
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[026]ジェシー・ジェームズの暗殺
 果たして誰が臆病者だったのか?blacus2011-09-06
 
『臆病者ロバート・フォードによるジェシー・ジェームズの暗殺』というのが元になっているRon Hansonの1983年の小説の題名で、プロデューサーのひとりであるブラット・ピットは・・・
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『臆病者ロバート・フォードによるジェシー・ジェームズの暗殺』というのが元になっているRon Hansonの1983年の小説の題名で、プロデューサーのひとりであるブラット・ピットは映画化に際し、この長いタイトルを変更しないという文言を契約書に盛り込んだらしい。 なぜブラット・ピットがこの長たらしくて極めて説明的なタイトルにこだわったのだろうか?恐らくその名声ゆえに多くの取り巻きに囲まれるピットが、同じような境遇のジェシー・ジェームズに共感していたからかもしれない。 しかし映画を見ると、ロバート・フォードの行動は決して誉められたものではないとはいえ、彼がジェシー・ジェームズを殺さざるを得なかったある程度の必然性は見えてくる(ケイシー・アフレックはこの微妙な役をうまく演じていた。ただし、撮影当時32歳の彼が20歳そこそこの若者を演じるのはやや無理がある気がしたが)。対して、英雄化されたジェシー・ジェームズであるが、常に疑心暗鬼になってかつての仲間を殺すのをみると、実はジェシー・ジェームズこそ臆病者なのではないかとさえ思えてくる。民衆がジェシーを愛したのは、彼が金持ちから金を奪って貧乏人に配っていたという評判が広がったからだが、これが事実であるという証拠はどこにもないらしい。ならば、本当の被害者は一体誰なのだろうか。 映像的には、いまいち苦手なテレンス・マリック風のスタイルだったので退屈するかと危惧したのだが、意外にも2時間40分ほとんど飽きずに観れた(もともとは4時間で、ヴェネツィア映画祭ではそちらのヴァージョンが上映されたらしい)。 同じジェシー・ジェームズとロバート・フォードを題材にした映画というと、サミュエル・フラーの49年の監督デビュー作"I Shot Jesse James"(『地獄への挑戦』)があって、米国版DVDも出ているようなので、日本でもDVD化して欲しいところだ。
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[027]ザ・パシフィック
 戦争の陰惨さblacus2011-09-03
 
『バンド・オブ・ブラザーズ』のほうがお話としては出来がよかったと思う。 今回は太平洋戦線で日本兵が相手という設定のためなのか、あるいは単純に戦闘場面の量が増えたのか・・・
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『バンド・オブ・ブラザーズ』のほうがお話としては出来がよかったと思う。 今回は太平洋戦線で日本兵が相手という設定のためなのか、あるいは単純に戦闘場面の量が増えたのかよくわからないが、延々と続く陰惨な戦場の描写にうんざりして正直もう観るのをやめようかと思ったくらい。 その分、戦場以外でのエピソードの方が気分が休まるような気がして安心して楽しめた。 アメリカ兵と日本兵の交流みたいなものはほとんど描かれることなく、日本兵はほぼ一貫してアメリカ兵を悩ます悪夢のような存在として描かれている。もちろんこれはおそらくほとんどのアメリカ兵の実感だったのだろうし、逆に日本兵にとってはアメリカ兵は単に鬼畜のごとく存在であったのと全く同じなのだろう。 不思議なのは、これを見ていると自分が日本人であることを忘れて、アメリカ兵の視点で戦場を見てしまっていることだ。物陰から突然日本兵が現れたりするとそれに対して防衛本能が働いてしまう自分を発見して戸惑うことがある。 太平洋戦争はアメリカと日本の国力の違いからすれば全体としてはアメリカに圧倒的に優位な戦争であったことは間違いないと思うが、個々の戦場ごとに見れば決してアメリカ兵にとって余裕綽々の戦いではなかったことがこれをみるとよくわかる。そのことを教えてくれるという一点だけでもこの番組には見る価値があるといえる。
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[028]インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
 ニューオリンズblacus2011-08-31
 
今観るとゲイカップルとAIDSの寓話にしかみえない。 ゲイカップルが娘をアドプトしたが、むしろ娘からなんで自分を家族にしたのってなじられて…っていう話。 1990年代前半は、A・・・
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今観るとゲイカップルとAIDSの寓話にしかみえない。 ゲイカップルが娘をアドプトしたが、むしろ娘からなんで自分を家族にしたのってなじられて…っていう話。 1990年代前半は、AIDSはかかってしまうと必ず2〜3年で死んでしまうとして癌よりも恐れられていた時代。トム・ハンクスの『フィラデルフィア』も1993年だしね。ヴァンパイアの血が入るとその人もヴァンパイアになってしまうという設定はAIDSの恐怖を比喩的に語るのに適していた。 公表身長170cmのトム・クルーズと180cmのブラット・ピットが並ぶとちょうど同じくらいの頭の高さになっている場面があるが、クルーズは台にでも乗っていたのだろうか?
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[029]ぼくのエリ 200歳の少女
 雪と血blacus2011-08-26
 【ネタバレ注意】
最後の、オスカーがいじめっ子の兄貴にプールに押し込まれていると、いじめっ子の首とその兄貴の腕がちぎれて水の中に落ちていく一連のショットは素晴らしかったし、それ以外の・・・
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最後の、オスカーがいじめっ子の兄貴にプールに押し込まれていると、いじめっ子の首とその兄貴の腕がちぎれて水の中に落ちていく一連のショットは素晴らしかったし、それ以外の北欧のうら寂しい雪景色もよかった。(ただし、いくらヴァンパイアとはいえ、エリに腕や首を切ったりする力はあるのかという疑問はでてきますが) エリのもともとの付き添いのおじさんとオスカーが実はパラレルだということは他の人のコメントを見て初めて気づいた。それが最初見たときはわからなかったので、エンディングはどうも腑に落ちなかったのだが。 IMDbで調べてみると、原作ではエリは去勢された少年ということらしい。なるほど「女の子じゃなくても好き?」というセリフはそういうことか。エリの局部が大写しになるショットがあって、日本版DVDでは当然のことながらここはぼかされてしまっているが、ここでエリが「男でも女でもない」ということがはっきりわかるという仕掛けらしい。そんな重要なシーンなら修正しないでそのままにして欲しかったところだが。
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[030]エニグマ
 アラン・チューリングblacus2011-08-16
 
暗号解読機の細かい設定などがわかりずらいし、ソ連軍のポーランド人虐殺が鍵になっていていまいちピンとこない話ではある。しかし、イギリス映画らしい美しい田園風景はよかっ・・・
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暗号解読機の細かい設定などがわかりずらいし、ソ連軍のポーランド人虐殺が鍵になっていていまいちピンとこない話ではある。しかし、イギリス映画らしい美しい田園風景はよかった。 主人公のトム・ジェリコはアラン・チューリングをモデルにしているらしいが、チューリングが同性愛者であったのに対し、この映画は異性愛者を主人公にしてわかりやすいロマンスを盛り込んでいる。でもこの内容だったら思い切ってロマンスなしのほうがよかったかもしれない。 ケイト・ウィンスレットはいまいちいけてない女の役がはまってた。 ミック・ジャガーがプロデューサーのひとりで、個人所有の本物の暗号解読機をこの映画のために貸し出したそうだ。カメオ出演もしていたらしいが、どこにいたのか見落としてしまった。
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