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 「fulcrum」さんのコメント一覧 登録数(194件)rss
 コメント題投稿者投稿日
[001]リスボンに誘われて
 非常に巧みな映画化fulcrum2015-05-12
 【ネタバレ注意】
去年ポルトガル旅行に行く前に見たのですが、タイトルほど観光映画ではありませんでした。低予算なのか、ロケ地がかなり限られていたのかな。もっと写真写りの良い場所はあるし・・・
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去年ポルトガル旅行に行く前に見たのですが、タイトルほど観光映画ではありませんでした。低予算なのか、ロケ地がかなり限られていたのかな。もっと写真写りの良い場所はあるし、画角も広くデラックスに撮ればいいのに、映画はちまちました印象です。 それよりも本作は歴史サスペンスでして、1974年のカーネーション革命前夜の若者たちの姿を第三者の異邦人が掘り起こしていく、一種の探偵ものです。 あのクーデターは今でもポルトガルの人びとの心に深い影を落としているようで、いろんな遺物があの革命を顕彰するために残されています。サラザール時代は長かったので、そらにコミットしていた人たちも多いわけで、映画でも描かれてましたが、国民は分裂して、互いに傷つけ合った時代だったのです。 現在のシーンはユーモラスに描かれているのですが、過去のシーンはけっこうシビアなスパイ小説の趣きです。その過去との和解を探っていく作品です。 原作小説は映画とはだいぶ違いまして、冒頭の女はその後出てきませんし、あの本の入手先も違います。またアマデウたちの年齢設定もだいぶ上で、ライムントが訪ね歩くのは80以上の年寄りばかり。革命の頃も若者ではなく分別のある中年だったことになっている。魅力的な小説ではあるのですが、かなり破綻してる感があります。それを映画はうまくアレンジして、物語の骨を掬い上げている。非常に良い出来だと感心しました。 ポルトガルの人というのは控えめで温かく、スペインやイタリアのようなラテンぽさがありません。むしろ日本人のような感触というか。そしてスペインと違って英語を話してくれる人が多い。ライムントのような異邦人を迎えて、ゆっくりと心を開いていくさまが、何かリアルに感じました。
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[002]裏切りのサーカス
 続編は「キングスマン」?fulcrum2015-05-06
 【ネタバレ注意】
本作には隠されたテーマがあって、登場人物たちは激しい女性不信なのである。描かれる女性は浮気者、不貞を働く、あるいは権力の走狗となってこちらを監視する、取引を仕掛けて・・・
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本作には隠されたテーマがあって、登場人物たちは激しい女性不信なのである。描かれる女性は浮気者、不貞を働く、あるいは権力の走狗となってこちらを監視する、取引を仕掛けてくるなど、決して男を安心させない。同志的繋がりを持てる女性は、老いて性的魅力を放棄した人だけ。原作にすでにこのテーマはあるのだが映画はそこをさらに掘り下げてて、登場人物たちは同性愛的信頼でのみ繋がるのだ。 東欧に派遣されて撃たれ、挙句にサーカスから放逐されるジム・プリドーは、サーカスの実力者ビル・ヘイドンと大学同級生でクリケット仲間、精神的に深く繋がっている。スマイリーの片腕となるピーター・ギラムは映画では中年の男性教師と同棲していたが、スマイリーから「もぐら」炙り出しを命じられ、危険な任務だから身辺を整理しろと言われて彼と泣く泣く別れる。そして任務をこなすうちスマイリーへの信頼を深めていく。他にも大臣と次官がスカッシュで汗を流し、ロッカールームの背景に全裸でシャワーを浴びる男性がいたり、なんだか中年男の魅力爆発BL映画なのだ。 だからハンサムな「首斬り人」リッキー・ターがソ連の女情報部員と情を通じて彼女を亡命させたがる部分がものすごく不自然に浮いている。すごく重要なエピソードなんだけど、男女の間柄がうまくいくわけないのがこの作品の決まり事なので、ここの座りが悪いことが却って作品の魅力になってるという、ものすごい技巧が使われている。 ル・カレって凄い、人類の至宝のような文学を書いたんだなと思いながら読んでる。グレアム・グリーンも近親相姦的で不気味な話を書いてるけど、英国のこういう文学伝統は凄いと思う。原作の骨肉をうまく掬い上げた映画化はとても素晴らしい。 で、日本では夏公開予定の「キングスマン」、「キック・アス」の脚本家が書いた話で、ぼんくら少年がスーパースパイになる、というジェイムズ・ボンドもののパロディのような話だそうですが、先日飛行機で見たのですが、これが本作の続編のように見えちゃうんですね。 先輩のスーパースパイがコリン・ファースで、選抜養成課程の教官がマーク・ストロング。この組み合わせは「裏切りのサーカス」で情報部の大物ビル・ヘイドンとその同性愛的親友ジム・プリドーを演じたコンビではないか! 雰囲気めちゃめちゃ良い。「キングスマン」のスタッフは「裏切りの」を見てキャスティングしたんじゃなかろうかと疑う。 というのも、「裏切りの」のジム・プリドーは、ハンガリーでの作戦に失敗して撃たれ、ソ連に訊問されて東欧のスパイ網をずたずたにされ、ヘイドンの交渉でなんとか英国に送還されたが涙金とともに情報部を放逐され、挙げ句に私立中学に臨時教師として流れ着く、というエピソードがあるのだ。中学では異色の臨時教師として子供たちから支持され、とくに太っちょで引っ込み思案な少年ビル・ローチとの交流が美しい。ローチ少年は初めて自分を褒めてくれた大人として、元スパイのプリドーは自分が愛した男ビルと同じ名前だから、双方が互いを特別な存在と思うのだ。そして「君の取り柄は何だ。誰にでも取り柄はある。君は学校一優れた観察者だろう。とくに孤独な者は観察者に向いている」などと、我知らずローチ少年に情報工作員としての教育を施してしまうあたり、業が深い。 二人の交流は、英国情報部内のもぐら(二重スパイ)をスマイリーがまんまと炙り出してしまったせいで突然断たれる。プリドーは悲嘆に暮れ、「もうここへは来るな。みんなと遊べ」とローチ少年を拒む。プリドーの若い工作員養成は突然終わってしまうのだ。 それが、「キングスマン」での教官役にマーク・ストロングが再登場し、キャストが若干変わってしまったが、スパイ養成が続くのである。こちらはぼんくら少年をきちんと立派なスパイに育て上げ、お話は完結する。うれしいことです。 また「キングスマン」では仕立屋が重要な鍵になるが「仕立屋」はビル・ヘイドンの暗号名です。マーク・ストロングの役名「マーリン」はウイッチクラフト作戦の鍵人物名。まあおバカ映画ですが、偉大な作品への尊敬を秘めた、好ましい映画だと思いました。 それもこれも、「ティンカー・テイラー」から育ったのです。素敵です。
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[003]イルカと少年
 日本にもいたけどねfulcrum2015-01-03
 
美ら海水族館では病気で尾鰭を失ったバンドウイルカ「フジ」に人工尾鰭を装着していた。フジは2014年11月に病気で死んだが、10年以上人工尾鰭で生き、人工ヒレは何度も何度も改・・・
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美ら海水族館では病気で尾鰭を失ったバンドウイルカ「フジ」に人工尾鰭を装着していた。フジは2014年11月に病気で死んだが、10年以上人工尾鰭で生き、人工ヒレは何度も何度も改良されていった。 けっしてクリアウォーターが特別なんじゃない。 ただし、日本と米国で大きく違うところがある。ウインターは義足や義肢で生きる子どもたち、大人たちの勇気のシンボルになっていることだ。このことはすごく特別だと思う。 それは画面で見る通り美しいことでもあるし、イルカの姿を見ると自然の摂理に反したことのようにも思える。また、イルカを過度に擬人化してしまう過ちを犯しているようにも思える。 米国は何につけシンボルが必要なんだな、と思った映画だった。続編も見たけど、乾燥は変わらず。 あと、ヒロインの娘さんが美人じゃないけど可愛くて好きです。 それとモーガン・フリーマンは働きすぎではないかと。
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[004]海角七号/君想う、国境の南
 いや、意外に悪くない。力のある作品ですfulcrum2015-01-03
 【ネタバレ注意】
130分のうち100分くらいは僕も「ひどい映画だなー」と思っていた。 前からDVDを途中まで見てはやめ、見てはやめ、していた。 今回台湾旅行で墾丁に行ったのをきっかけに、帰り・・・
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130分のうち100分くらいは僕も「ひどい映画だなー」と思っていた。 前からDVDを途中まで見てはやめ、見てはやめ、していた。 今回台湾旅行で墾丁に行ったのをきっかけに、帰りの飛行機の中で我慢して見てみた。 100分すぎくらいから「もしかして悪くないかも」と思えてきて、コンサートシーンでは涙が出た。見終わると、何だかとても好きな映画のような気がしている。 主人公二人がとても嫌な奴に見えるんだよね。友子はいつも不満ばかり文句ばかりで、阿嘉は郵便配達の仕事なんかバカらしくてやっとれんといった感じの、許しがたく嫌な奴。とても感情移入できない。 これは二人が抱えたトラウマの深さをきちんと描き込んでいないせいだと思うのだけど。またバンドの練習も音が悪くて聴いてて不快。マラサンやカエルのエピソードはベタすぎてしらける。 しかし、警官のローマーが抱えた哀しい過去が出てくる辺りから、だんだん彼らのことが嫌いじゃなくなってくる。なんとなく許せてくるのだ。それは友子が阿嘉を許した辺りとシンクロする。 そしてコンサート本番では、バンドの音も、阿嘉の歌も良い! それだけで全部許せてしまう。不思議なものです。メンバーそれぞれのことが好きになるし、ゆるい南国の人情が素敵に思えてくる。 ローマーも阿嘉も原住民(少数民族)で、マラサンは客家。出自の違う人たちが段々と宥和する、そこに、台湾を支配し突然去っていった日本への、台湾の人が抱いたアンビバレンツな感情が重なる。大きなテーマをなかなかうまくまとめ上げた、大胆かつ巧妙な脚本だと思います。 最後の曲は本当に美しく心に響きます。たしかに拙く感じるところはある。けれど、この作品が台湾で大いに愛されたのはフロックではありません。それだけの力がある作品です。
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[005]L.A. ギャング ストーリー
 ペンの熱演が虚しいfulcrum2013-05-04
 
ショーン・ペンが実在の犯罪者ミッキー・コーエンを熱演しているが、多分に空回り気味。「ゴッドファーザー」が撮られた頃にペンがいたらどんな役をどんな演技でやったろう?と・・・
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ショーン・ペンが実在の犯罪者ミッキー・コーエンを熱演しているが、多分に空回り気味。「ゴッドファーザー」が撮られた頃にペンがいたらどんな役をどんな演技でやったろう?と思うが、残念ながら今はそんな時代じゃない。わかりやすい、つまらない犯罪者を演じなきゃいけない彼の苦衷には同情を禁じ得ない。 ブローリンは見るべきものがない。ユダヤ人ギャングとアイリッシュ警官との対決、のはずだがバックストーリーは殆ど描かれない。重層的な社会をまったく感じさせないのでギャング部隊に志願した警官たちの悲壮さとか全然伝わらない。家族の描写とか、とって付けた感が半端ない。 ノルティは好きな俳優だが、これもチラッと出てくるだけで残念。「LAコンフィデンシャル」のような組織描写を見たいのだが、もうそんなもん期待してはいけないんだろうか? 美術はがんばってたと思う(飛行機で見たので細部はわからんかったが、雰囲気は良かった)。でも、伝えるべきものがないのにがんばっても無駄なだけのような。
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[006]ファミリー・ツリー
 基本は、怖い映画fulcrum2012-05-07
 【ネタバレ注意】
ディカプリオとケイト・ウィンスレットだっけ、「レボルーショナリー・ロード」と似たようなトーンを感じました。 もっとも、こちら「The Descendants」はミステリー(昏睡中・・・
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ディカプリオとケイト・ウィンスレットだっけ、「レボルーショナリー・ロード」と似たようなトーンを感じました。 もっとも、こちら「The Descendants」はミステリー(昏睡中の妻が浮気していた)が早い段階で明らかになり、謎解きというより主人公ジョージ・クルーニーが運命と格闘する姿が主ですので、そのアクティブな感じが見る者に恐怖を感じさせません。 ですが、基本的には恐ろしい話だと思って見ていました。昏睡し、回復の見込みのない妻とは意思の疎通がとれない。絶対的な断絶が生じてしまっている。そして、それまで築いてきた信頼関係がすべて崩れるような事実を知ってしまった。そのことについての弁明も何も聞くことはできない。 浮気と、浮気を配偶者に告白することがどれほど恐ろしいことか、後半の展開を見ていると、鳥肌が立つほどの恐怖を感じます。 主人公は幸いなことに、まだ若い子供たちに囲まれています。子供たちとはデコボコな関係だけど、とりあえず解り合おう、許し合おうとして生きている。これは見る者にも希望を感じさせ、作品全体のトーンを柔らかく保ってくれます。 けれど、妻の死の直前に面会に訪れた人物を見ると。前に登場したときは瑞々しく幸せそうな姿でしたが、恐ろしいほどのやつれ具合で現れます。それが、家族間の信頼が崩壊し、ぼろぼろになった姿なのです。それは恐怖そのものです。世界の何処にも安心できる場がない、窮まった状況であるのが、その人物の姿から窺えます。非常に良いシーンだと思いました。 主人公は、その人物のやつれ果てた姿を見て、復讐がうまくいって幸せになったのでしょうか。達成感を得られた、妻の不貞の仇を取った気になれたでしょうか。 いいえ、そんなことはないと思います。自分と同じように傷ついた人間がこの世に増えてしまった、その不幸をひしひしと感じただけでしょう。 ハワイアンの美しい音楽や風景はこの映画を明るく彩ってくれますが、基本的にはものすごくビターな、いや、しばしば恐怖を感じる映画でした。 でも、世代が後に続くって良いことですね。それはとても大きな救いだと思います。十歳の次女が、この年ごろの女の子らしくブスに映っててリアルでよかったです。ブス可愛かったというか。ジョージ・クルーニーが二枚目を棄てて、飾り気を取り去った中年男を演じていたのもかえって恰好良かったですね。(まあどう転んでも恰好良く映るわけで、彼にとってはリスクゼロだなあとも思いますが)
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[007]実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)
 日本人の醜さを活写fulcrum2011-10-15
 【ネタバレ注意】
評判は聞いていたけれど昨日まで見ずにいた、実際見てみると、劇場で見なかったことをちょっと後悔した。誰か他人とこの映画の空気を共有したかった、と思える作品。 笠原和夫・・・
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評判は聞いていたけれど昨日まで見ずにいた、実際見てみると、劇場で見なかったことをちょっと後悔した。誰か他人とこの映画の空気を共有したかった、と思える作品。 笠原和夫脚本の東映「嗚呼、決戦航空隊」が好きだったのだけど、「実録連合赤軍」を見た後では「特攻を賛美なんかしちゃダメだ…」という思いに強く囚われる。大西瀧二郎は立派な人物だったと思うが、大きな視点から見ると無駄な死を積み上げただけではないか。日本人はダメだった。ドイツ人もダメだった。ムッソリーニを逮捕し早々と講和、ドイツに宣戦したイタリアのほうがよっぽど大人だ。ヘタリアなんて言われているが、国民の不幸を最小にできたのはイタリアだし、枢軸国の中で最も真剣に考えて果敢に行動したのもイタリア人たちだろう。日本は最後まで戦ったが、それは美談でもなんでもないし、決定的なカタストロフに至らなければ何もできなかった、決断力も勇気もなかったからではないか……という思いがする。 革命を志す学生闘士たちがキャンパスを離れ、街を離れて山岳ベースに籠もる。ここまでは日本人でない人でも理解できるだろう。アメリカでもミリシアなんかがそっくりなことを今でもやってるみたいだし。 だけど、脱走者の処刑から、仲間内で目につく者を順番に総括させリンチするあたりからは、日本人以外の人には理解できなくなるのではないか。なぜ彼らはお互いを傷つけ、革命から遠ざかっていくのか。Why? と。イタリア人なんかには絶対理解できないんじゃないか。個人個人を圧殺し、実際に死なせているのになぜ誰もそれに異を唱えない?と。個人が生き残らないところに革命なんか不可能だろ、と。もしかしたらドイツ人も反対するかもしれない。私は同志を殴ることはできない、私はリンチを拒否する、保身を拒否する、とたった一人でも言うかもしれない。 日本人である彼らには、イタリア人のような我が儘さもドイツ人のような生真面目さもなかった。彼らは保身の欲求、同調圧力に勝てなかった。ごく自然に、選択肢はそれしかないかのごとく、仲間を殴り、見捨て、死なせた。災難が自分に降りかかっても、子供っぽく「総括ってどうすればいいの?」と問い返すだけで、抵抗せず従容として死んでいった。愚かすぎる。でも自分もそこにいればこの愚かさに負けてしまうだろう、と思う。愚かで、醜い自分を見せられている。 この愚かな事件を経験し日本人は成長できたかというとどうもダメな気がする。いまだに無意味な同調圧力を大事にしているし、跳ね上がり者を全力で潰そうとする空気は健在だ。たった一人ででも、絶体絶命の瞬間にでも、異を唱える勇気のある日本人はいるだろうか? 醜い、恐ろしいほど醜悪な殺人劇だ。事実とは違う点があるのかもしれないけれど、この作品は真実に近づこうとする真摯な姿勢があると思う。「勇気がなかったんだよ!…」という叫びは、当時本当に現場で出た言葉ではないだろう。だがこの言葉を提示してくれたおかげで観客である私は救われた。
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[008]ミッション:8ミニッツ
 ジェイク、良い役者ですfulcrum2011-09-21
 【ネタバレ注意】
飛行機の機内で見ました。吹き替えがへぼかったのですがグイグイ引き込まれて見入ってしまいました。 こういう邦題がついたんですね。「:」がちょっと志低いかなと思いますが・・・
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飛行機の機内で見ました。吹き替えがへぼかったのですがグイグイ引き込まれて見入ってしまいました。 こういう邦題がついたんですね。「:」がちょっと志低いかなと思いますが原題よりはいいかな。「ソースコード」という言葉にはさして意味はないので。 一種のタイムマシンものSFとは知らずに見始めたのですが、もともとこの種のSFは大嫌いなのですが、事件や人物たちのディテールが魅力的で冒頭から引き込まれます。アメリカの通勤列車が舞台になる映画って久しぶりだな。メリルストリープの昔の映画に出てきたっけ。日常の中に凶悪な非日常が侵入する瞬間って怖いです。911から10年経ったわけですが、アメリカは以前のアメリカにはけっして戻れないことがよくわかります。 この映画は荒唐無稽なSFですが、911とイラク・アフガン戦争が深いところにテーマとして横たわっています。非常に社会的な作品です。ささやかな平和、ホッとする日常を取り戻すために今日この瞬間も我が身を犠牲に捧げている人たちがいる、ということです。ラスト、主人公の顔がアップになるとき、あまりの哀しさに涙がこぼれます。しかし映画はきちんと救済を描き、見事な着地を見せます。 期待して見て良いでしょう。SF作品、しかもこの種のトリックは私は苦手なのですが、それでも好きな作品です。ジェイクの眼差しは本当に良い。
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[009]ラスト、コーション
 サザエさんvs.トニー・レオンfulcrum2011-08-30
 【ネタバレ注意】
女優さん、そーんなに美人じゃないけど清楚で良いですね。ただ、あの髪型が途中からサザエさんに見えてしかたありませんでした。ですので例の過激な交情シーンもサザエさんとト・・・
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女優さん、そーんなに美人じゃないけど清楚で良いですね。ただ、あの髪型が途中からサザエさんに見えてしかたありませんでした。ですので例の過激な交情シーンもサザエさんとトニー・レオンが闘っているかのように見え。こういうの、困りますね。 李安監督、良いですね。時代劇になるわけですが、室内はもちろんのこと、目抜き通りをきちんとセット作って再現してたのが素晴らしい。CGも使ってたんでしょうが気づきません。すべての物事がアナログだった時代を画面に再現するのは実はけっこう大変です。それを厭わない映画作りができる、羨ましいですね。日本で戦時風景を再現する作劇はなかなかできないですね。 原作となった小説はごく短く、映画で言うと冒頭から電話掛けるまで、そして終端の電話のシーンから後ろです。ヒロインの最期も描かれませんし、台詞もごく短く、ものすごく行間を読まねばわからない難物です。しかし李安たちはそこから広大な物語空間を引き出しました。原作を尊重しつつこれだけの世界を構築したのは偉業です。 台湾の文化人から聞きましたが、中国文化の下の社会は伝統的に特務社会、つまり裏切りや密告、権力闘争の横行する、日本人には想像つかない剣呑な社会なのだそうです。麻雀というゲームはそのシミュレーションです。特務機関の長・イー先生の孤独が随所に暗示されますが、あれは日中〜太平洋戦争という時代に限ったものではありません。張愛玲の原作が長く読まれ、今この作品が多くの人に見られたのは、本作が普遍的な価値、普遍的な恐怖、普遍的なドラマを描いているからでしょう。 また、暗殺の先導者となったヒロインですが、大学生のイケメンへの恋愛感情などありまっしたっけ?っていうほど初っぱなから激しい劫火の中へ堕ちていく感じでしたね。スパイというのは本質的に二重スパイ化します。元々の帰属先に単純な忠誠心を持ち続けて優秀なスパイとなることは不可能なのです。この恐ろしさが存分に描かれた本作は、僕はバーホーベンの「ブラックブック」も好きですが、それを凌駕する女スパイ物の最高傑作だと思うのです。 ちなみに磯野家では波平さんが出征しており、フネさんも従軍看護婦だったという過去が噂されていますが、もしかすると上海の街でイー先生やマイ夫人とすれ違っていたかもしれませんね。
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[010]殺し屋1
 けっこう、がっかりfulcrum2009-07-02
 
 原作はすごい好きで何度も通読した(マンガ喫茶で)。  日本映画にはあまり興味がなかったのでいままで見る機会に恵まれなかったけど、昨日TSUTAYAが割引だったので借りてみ・・・
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 原作はすごい好きで何度も通読した(マンガ喫茶で)。  日本映画にはあまり興味がなかったのでいままで見る機会に恵まれなかったけど、昨日TSUTAYAが割引だったので借りてみた。  いや、がっかりした。  けっこう忠実に原作の筋をなぞっているので、映画制作者たちの興味は原作の意図に近いところにあったのだと思うけど、肝心なところがいつも肩すかしだったり、ボタンの掛け違えだったりする。  原作から入った人はみな思うだろうけど、浅野忠信の垣原はひどい。映画独自の造型が、垣原のあるべき姿のつねに反対に向いている。金髪、赤いロングコート、ネルシャツなど、いずれも垣原のセンスとは正反対なのだ。本来の垣原はそういった自己顕示系ファッションとは無縁で、やくざの制服であるダークスーツを適当に着て、おっさん臭い薄い黒ソックスなんて平気で履く人だ。外見なんかよりも精神性に重きを置くやくざ、のはずだろう。誰の解釈かしらないけど、それが真逆になってるんだよねえ。  リズムも悪いし、見ていて退屈だった。長いし。
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[011]レスラー
 飛行機で見ましたfulcrum2009-05-10
 【ネタバレ注意】
成田へ向かう京成電車のなかに「アメリカで盲腸手術…いくら?」という海外旅行保険の広告が出ています。盲腸は200万円だそうです。かほどにアメリカの医療費はバカ高い。ところ・・・
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成田へ向かう京成電車のなかに「アメリカで盲腸手術…いくら?」という海外旅行保険の広告が出ています。盲腸は200万円だそうです。かほどにアメリカの医療費はバカ高い。ところがです。プロレスラーという仕事は、怪我と無縁にはありえません。バカにしかできない、すごい仕事なんです。ミッキー・ローク演じるランディ・“ザ・ラム”・ロビンソンというプロレスラーは、80年代の人気絶頂期はいざ知らず、00年代の今は落ち目のポンコツレスラーです。高校の体育館や地域のコミュニティセンターを借りての興業にやっと顔を出し、週日はスーパーで働いている。しかしランディは満身創痍になりながらレスラーを続けたい。昨夜も腰を痛めて帰ってきたら、家賃滞納でトレーラーハウスの鍵が閉められている。しかたなしにバンで寝る。腰が痛いのにアイスバッグも取りに入れない。これがいかに大変なことかわかりますか? 腰だけじゃなくて膝も両方とも壊れてるみたいだし、腕だってちゃんと上がらないようだ。ロッカーでは今夜の相手と段取りを決めながら、お互いを褒め合い(心の底から)、そして薬を融通し合う。怪我の治療薬もだし、ステロイドも。このへんの描写がすごく泣ける。「やあランディ」とみなは陽気に声を掛け合う。「●●年のあの試合はよかったよなー」「グレイトだったよ」とか。基本、懐古譚になりがちなのが悲しい。泣ける。お互いを尊敬し合っている。そりゃそうだ。お互い痛い目をみながら客を喜ばせるために命をかけてるんだから。この映画はランディの一人称に近い構図で延々と手持ちっぽいカメラで撮られている。ドキュメンタリーもどきの画作りだ。だから風景もしょぼい。ニュージャージー近辺の田舎をドサ回りしていて、3月とか4月上旬の寒々しい、残雪が消えてない風景。そしてある試合の後、ランディは倒れる。目覚めると開胸手術が済んでて、心臓にバイパスが施されていた。おいおい、これだけでいくらの借金になっちゃうの? 悲惨すぎる。それでもランディはリングに立ちたい。いや、一度は引退を決意した。分かれていた娘との関係も修復したい。惚れてるストリッパーとも絆を深めたい。仕事も(スーパーのお総菜売り場だけど)打ち込みたい……。でも彼は結局リングしか帰るところがない。スーパーの仕事もうまくいかない。娘とも約束をすっぽかしてダメになった。ストリッパーは子持ちで固い。俺がいられる場所は…俺と関係を持ってくれる人は…リングしかない、ファンしかいない。「ファン感謝祭」のシーンがこれまた泣けるですね。感謝祭っつっても、公民館の会議室か何か借りて、ロートルなレスラーが集まって自分のグッズを売るだけなんです(それもVHSビデオとかですよ)。それでもランディのはちょっと売れるからいい。他のメンツは、杖ついてわざわざ来たのに、客来ない。売れない。車椅子の人もいる、後遺症がひどくて歩けなくなったんですね。プロレスというのがいかに苛酷なものであるか、こういうシーンを積み重ねて、この映画は僕たちの80年代的な熱狂の種明かしをしてくれます。ひどいです。こんなの見せてくれなくてもいい!って思う。でも、とくに僕のような1983年IWGP決勝・猪木vsホーガン戦に熱狂してた世代は、この映画を見る責務があります。そうです、主人公自ら「80年代は最高だった!…90年代は最悪だ」と告白している。まったくその通りだ。そしてランディ自身が苦しむ自分という病。彼の本名はロビン・ラムジンスキー。貧乏白人のせがれ。彼はそこから這い上がり、ランディ・ザ・ラムという全米の英雄になった。今はまた零落しているが。でも、断じてロビンなんて優男な名前が自分の名前じゃない。俺はランディだ、ランディと呼べ、と何度も言う。現実とのギャップが痛いほど響いてくるシーンだ。大人になりきれない男をうまく見せたシーンもある。トレーラーパークの近所のガキどもはランディと仲がよい。ときどきファミコン(ニンテンドー・エンタテインメント・システムか?)で戦う。プロレスゲームだ。ランディの持ちキャラはもちろん自分。必殺技「ラム・ジャム」を得意にしている。ところが付き合ってくれる男の子が好きなのはPS2とかPS3だ。最新作なんとか4がいかにすごいか、NESのゲームをやりながら少年が淡々と話すシーンも胸にぐっとくる。ランディは大人になれないうちに子どもたちにも置いて行かれてしまった…。そんな彼が、ラスト、すべてを棄てて臨んだ試合がつまらないものであるはずがない。傷だらけの彼は、よれよれの身体でトップロープに屹立する。この神々しいシーンを拝むために、ここまでのシーケンスがあった。だがこのシーンがすべてかというとそうじゃなくて、すべてのつまらないことどもがあるからこのシーンに価値がある、ということがよくわかる名シーンになっている。すごいです。
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[012]ゴモラ
 爽快感、格好良さ、まるでなしfulcrum2009-05-10
 【ネタバレ注意】
ナポリに巣くうカモッラというやくざ組織を描いたドキュメンタリーもどきの劇映画。ゴモラという題名はカモッラという組織名を旧約聖書の堕落した町と音的にかけたもんなんだろ・・・
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ナポリに巣くうカモッラというやくざ組織を描いたドキュメンタリーもどきの劇映画。ゴモラという題名はカモッラという組織名を旧約聖書の堕落した町と音的にかけたもんなんだろうね。しかしこれイタリア映画だと思って見ると全然裏切られるから気をつけて。舞台はたしかにナポリあたりらしいけど、風景は完全に南アジアか東ヨーロッパ。それくらい登場人物が全員粗野で洗練されてない。かっこも悪い。みんな汚いTシャツかジャージだ。イタリア人はおしゃれだなんてのは民族偏見だ。そしてこの映画に出てくる若いのはみなバカだし、年寄りは老獪で残酷。ドキュメンタリー映画みたいに手持ちカメラで、照明は暗く、画面は揺れるしざらつくし、ナレーションも音楽もないのも、殺伐さに花を添えている。しかも暴力シーンが多く、冒頭でいきなり日焼けサロンでくつろぐちんぴらたちが射殺される。爽快感のまるでない、イヤ〜な感じの殺しのシーン。こんなん金とって人に見せるなよ、と思うけど、ああ俺は飛行機で見てるから金出してないなと気を取り直す。あらすじも難しくて、「シリアナ」みたいに複数の人物が複数の筋立てで絡み合う脚本。わかりにくい。一番わかりやすいエピソードはバカ2人組、こいつら「スカーフェイス」のトニー・モンタナが大好きで他に何も考えてないバカ。組織の武器隠し場所から火器を持ちだして川辺で勝手に試射。このパンツ一丁で銃を構えた写真が見栄えがするのでよく媒体に出てるみたいですね。このシーンは実銃です。そしてトニー・モンタナみたいにM203グレネードランチャ付きM16をぶっ放す。グレネードで棄てられた船を燃やす。バカです。ちょっと羨ましいが。こいつらゲーセンで遊んでて負けが込んだら「おらおら強盗だぞー」と銃を振り回す、ほんとのバカです。組織の生業は産廃の不法投棄。これはずいぶん儲かる物らしいが、ナポリの周辺は産廃だらけということがはからずも暴露されています。僕はこれ、原語音声に英語字幕で見たので、筋は2割くらいしかわかりませんでした。不法入国みたいな中国人のアングラ縫製工場にイタリア人の元やくざで今は縫製職人がこっそり指導してたり、いろいろシノギの描写が出てくるんだけど肝心な全体像がなかなかわからない。そもそも出てくるおっさんたちの区別がつかない。みんな無個性なおっさんなんだもん。こんなとこにリアリティ出してもなー。ただ、ちんぴらどもの風俗は面白かったです。ちんぴらのくせにハッタリ効かせたクルマじゃなくてフィアットとか乗ってるのね。あと下品な改造したミニがいたな。殺しのシーンも多いんだが、劇的に盛り上げていくなんてことは一切しないで、唐突に殺しが起きる。これは似たような暴力映画「シティ・オブ・ゴッド」よりもずーっとドライで恐ろしい。殺しに特別な意味なんてない、というカモッラという組織の病的な日常感覚が伝わってくるようでした。しかも、子持ちのおばさんとかまで殺される。あっさりしすぎててかえって怖いです。
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[013]ダークナイト
 彼女と行くのはよせfulcrum2008-08-17
 【ネタバレ注意】
■TBSラジオ「ストリーム」で町山智浩さんが絶賛?というか激しく言及してたので、ついつい劇場に行ってしまいました。お盆で激混みの都心の劇場へ。 ■かなり大きい劇場でしたが・・・
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■TBSラジオ「ストリーム」で町山智浩さんが絶賛?というか激しく言及してたので、ついつい劇場に行ってしまいました。お盆で激混みの都心の劇場へ。 ■かなり大きい劇場でしたが空席がありませんでした。カップルとカップルの間の半端な一席にも、一人だけの男性とか一人だけの女性が必ず現れました。お盆に一人で映画かぁ、と思いましたが、女性と一緒に見に行った私のほうが間違っていたことがわかるのは上映終了後です。 ■本編が始まると、すごいテンポで物語が進みます。前作で世界観は披露し終わってるということでしょうか、「全焼した屋敷の」とか「ルールに縛られた」とか、わかりにくい事象も説明なしで物語が展開してゆきます。たいてい類推できるっちゃできるのですが、あまり気持ちよくありません。しっかり見るつもりなら前作は見といたほうが楽です(前作は140分、本作は150分ありますが)。 ■役者の印象など。ゲイリー・オールドマンの警部が、あまりにも好い人なので驚きます。目がビーグルとかコーギーとかの犬に似ている。マギー・ギレンホールのヒロインが「なんでこんな可愛くない人を」と連れには大不評でしたが、私は良いと思いました。すごくインテリに見えるし、二人の男性に好かれたのは中身があるからなのねきっと、と思わせる。結果、二人の男性も「外見に惚れたんじゃない」と株が上がりますね。……なんて弁護しなくても、この人なりに可愛いレイチェルだったと思います。法令線がキュート。あと、冒頭の銀行で散弾銃乱射してた支配人?、この人好きです。ウィリアム・フィクトナー?フィチナー? 世間的にはアルマゲドンの人なんでしょうが、私はコンタクトの盲目の天文学者が好きでした。 ■そしてジョーカーですよね。この映画の主役はジョーカー。あなたにとってもそうでしょ?絶対。トラックで護送車を襲撃するシーン、RPGを再装填する彼を見て「がんばれ!」と内心叫んだ人は相当多いと思う。それだけに、逆さ吊りのままの退場にはものすごく納得がいかない。 ■あと、もう一人の悪役トゥーフェイス、僕的にはこの人全然悪い人に見えないのですが、どうなんでしょう。警官を含む5人だか6人を殺害、といっても情状酌量の余地はものすごくあるでしょ。それこそアーカム・アサイラムに数年入って治療すべきでは。それを、緊急避難的とはいえ、モニョモニョしてしまうとは。しかも、こいつのせいでジョーカーが途中退場しちゃったのかよって理不尽な八つ当たりも。 ■そして終幕、誰からも愛されず(レイチェルに振られていたのを執事が隠してしまうあたり、哀しすぎる)、憎まれて、石もて追われる逃亡者となるバットマン。誰もが必要としているのに、誰もが憎しみをもって彼を見る。この後味の悪い終わり方はなんだろう! 深遠すぎる。 ■この後慌てて前作「ビギンズ」を見たのですが、「ビギンズ」はそんなに深遠なというかいろんな隠喩を読み取ってしまうような作品ではなかった。重厚ではあったけれど、「ダークナイト」ほど人間の業や根本にまで迫った作品ではなかった。 ■「ダークナイト」からは、いろんなものを読み取ってしまう。正義と法はそもそも並び立たないのか、とか。正義で判断して行動する(バットマン流)よりも、運に身を任せる(トゥーフェイス流)ほうがフェアなのか、とか。たとえば、今の市場経済に喩えることもできる。前者がファンダメンタル重視の投資スキームとすれば、後者はバブルと知ったうえでギャンブルに身を投じる投機型の行動のメタファ、と言ったりできるでしょ。現実に、ファンダメンタルがまったく通じなくなっているのが現代の市場であり、利益を最大化するという目的に忠実であろうとすればどんな投資家も投機に走らざるを得ない。バットマンが苦悩し、トゥーフェイスがはびこる、挙げ句の果てにはみんながジョーカー化するのが現代のハイパー資本主義だ。利益の最大化という錦の御旗のもと、世界市場をイナゴのごとく渡り歩く資金が途上国の市場を食い荒らすさまは、狂気でしょもう。 ■以上は一例にすぎず、見た人によって「ダークナイト」はいろんなものを思い起こさせるはずです。誰の心の中にもある黒いものを呼び起こさずにいない、不穏な映画。これが全米で歴史的なヒットをしているらしい。お盆の六本木ヒルズにも多数の善男善女を呼び寄せていた。しかし男女ペアの客は、総じて暗い顔で出口に向かっていた。警告します。けっして二人で見てはいけない。この映画は、一人で見て暗くなるのが正しいのです。
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[014]バットマン ビギンズ
 長い予告編だった。今考えると。fulcrum2008-08-17
 【ネタバレ注意】
■実は、昨日「ダークナイト」を見たので、今日慌てて「ビギンズ」を見たところ。ノーラン監督…聞いたことあるけど、と思っていたら、「メメント」の監督だったか。あんなに熱狂・・・
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■実は、昨日「ダークナイト」を見たので、今日慌てて「ビギンズ」を見たところ。ノーラン監督…聞いたことあるけど、と思っていたら、「メメント」の監督だったか。あんなに熱狂した映画なのに、作者の名前忘れてた。ごめんよ。 ■そして主役が「アメリカン・サイコ」のパトリック・ベイトマン。どっちの作品もエンディング曲がデビッド・ボウイの「サムシング・イン・ジ・エア」だったなぁ。本作は違うのかな? 違いましたね。ジマーだった。 ■クリスチャン・ベイルは器用なタイプじゃない、コツコツ型の人のように感じる。時々口が半開きのままになってるのが情けないが、好感持てる。 ■ノーラン監督は、僕が見たことあるのは初期2作だけなので「とにかく金がないのを工夫でしっかり見せる」人、というイメージがある。ところが本作なんてアメリカ最大規模の予算があるので、画面の隅から隅まで金がかかっている、ゴッサム市のスラムは「メメント」のモーテルよりもずっと高価そう、監督も金がありすぎて途方に暮れてるんじゃないかと同情してしまう。 ■基本的に真面目な人たちが結集して作られたバットマンなんだな、と思う。悪役たちにけれんがない。周囲の人物…執事、研究開発の人、経営責任者、幼なじみの検事補、汚職しない巡査、マフィアのボス…たちも、自分の行動に理を持たせようと一生懸命だ。理詰めで構築された作品だ。 ■だから見終わった後は、「アメコミなんだけど、なんかズシッと重いな」という感想になる。見終わって楽しい気分になることはないけど、悪いものを見たという感じもしない。 ■ところが、今となっては本作は長い長い予告編だったことがわかる。すべては「ダークナイト」の、それも結末のために用意されていたのだった。だから本作を見ただけだともったいない。早く「ダークナイト」を見てください。見て、あなたも暗い気持ちになれっ。
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[015]トゥモロー・ワールド
 おっどろいた〜fulcrum2007-11-29
 【ネタバレ注意】
いやー、すげーもの見てしまった感が残った鑑賞後の印象です。 私が驚いたのは、 ■ジュリアン・ムーアがあっさり死んでしまった(しかも死相がすごくリアル) ■自動車に併走す・・・
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いやー、すげーもの見てしまった感が残った鑑賞後の印象です。 私が驚いたのは、 ■ジュリアン・ムーアがあっさり死んでしまった(しかも死相がすごくリアル) ■自動車に併走する二輪を転倒させるところ。こんな映像見たことない! ■戦闘シーンのイヤになるようなリアルさ。とくに銃撃に巻き込まれた人の反射的な振る舞いが痛いほど迫真(さすがは最近まで国内で市街戦やってた国です) ■兵隊の顔やふるまいがイギリス人っぽい。イギリス人の下士官だなーと(ファシスト豚と呼ばれる男とかとくに) ■銃の発射音、着弾、戦車砲の砲撃音、ロケット砲の着弾などもやけにリアル。重量物が飛んでくる感じがします。昔の映画の着弾とは全然違う。 私はこの作品をSFとか思わずに見てしまいましたが、殺陣だけでもすごい作品だと思いますた。もちろん、終盤の「モーセのように」歩むシーンではぼろぼろ涙が出ました。子どもって嫌いなんですけどねえ。 あの豚の風船、欲しいですね。イギリスでは売ってるのかな。それと「クリムゾンキング」より「HUSH」のほうにグッと来ました。
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[016]戸田家の兄妹
 佐分利信、いいのかそれでfulcrum2007-11-16
 【ネタバレ注意】
後年の東京物語へと繋がる骨格を具えた作品ですが、趣はかなり異なります。 前半の没落する母娘の描写はとても秀逸です。しかし後半、ヒーローである佐分利信が再登場するや、・・・
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後年の東京物語へと繋がる骨格を具えた作品ですが、趣はかなり異なります。 前半の没落する母娘の描写はとても秀逸です。しかし後半、ヒーローである佐分利信が再登場するや、物語はなんだか妙なことに。これはカタルシスっていえるのでしょうか? 佐分利の一本気でやんちゃな次男坊ぶりが、物語をばらばらに解体してしまうのです。このへんが、たぶん他のレビュアーの方が、流れが悪いとおっしゃる所以かなと。 東京物語と違って美しくまとまった作品ではありません。しかし野性味があっておもしろい。戦前の金持ちのくらしぶりも興味深い。ある意味、SFよりも突飛だ。非常におもしろい作品です。大傑作ではないかもしれませんが、絶対に見て損じゃない。
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[017]ロッキー・ザ・ファイナル
 お前もいずれそうなるfulcrum2007-05-14
 【ネタバレ注意】
名台詞が乱れ飛ぶ本作、私がいちばん好きなのは以下のやりとりです。 試合後半、ロッキーのあまりの打たれ強さに疲れぎみのディクソンが、ラウンド開始時にグローブを合わせた・・・
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名台詞が乱れ飛ぶ本作、私がいちばん好きなのは以下のやりとりです。 試合後半、ロッキーのあまりの打たれ強さに疲れぎみのディクソンが、ラウンド開始時にグローブを合わせたとき、 ディクソン「クレイジーなおいぼれめ」(意訳。Crazy old man!とか言ってる) ロッキー「おまえもいずれそうなる」 この短いやりとりに、本作のすべてが凝縮されている。憎しみや欲望ではなく、自分に課せられた宿命を乗り越え、運命を切り開くために、二人は闘っている。だから二人はお互いを心から尊敬しながら殴り合う。 この汗くさい、泥臭い映画は、やはり最高です。試合はものすごく無様でひどい泥仕合ですが、それでもやはり素晴らしい。 ラスト、ロッキーはエイドリアンの墓に「We did it」と語りかけます。ここで字幕は「おれとお前(ロッキーとエイドリアン)」となっていますが、このweはそんな狭いものじゃないでしょう。ポーリ、スパイダー、長男、リトルマリーの息子ステップス、そして何よりディクソンも含めたweだと思いたい。 ロッキーという奇矯なボクサーが、老いや孤独といった運命に抗い、挑む。それによって周りの人たちが結びつき始める。まったく1と同じですね。素晴らしいです。 フィラデルフィア美術館(ですか?)の階段を駆け上がり、万歳する人たちのエンドロールが素晴らしいです。ロッキーは、今やっと、私たちのところに戻ってきた感じがします。
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[018]人狼 JIN-ROH
 あれ?fulcrum2007-01-10
 【ネタバレ注意】
この展開だと、首都警が無理矢理解散させられ、特機隊が叛乱するという「ケルベロス騒乱」が起きないのではないかと……。いや、これからしばらく経って起きたのかな? ■実写「S・・・
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この展開だと、首都警が無理矢理解散させられ、特機隊が叛乱するという「ケルベロス騒乱」が起きないのではないかと……。いや、これからしばらく経って起きたのかな? ■実写「StrayDog ケルベロス地獄の番犬」で主人公・乾を熱演した藤木氏が、本作でも素晴らしい演技で主人公・伏をアテています。「StrayDog」を見返すたんびに「ああ、この人の体型は残念だけど訓練を受けた警察官の体型じゃない…たとえ3年間服役してたという設定でも、この体型では無理がある」と思っていたのですが、本作はアニメですから、そういった瑕疵は皆無です。そして長身ゆえの低い声がキャラとマッチして非常に魅力的です。 ■「紅い眼鏡」「StrayDog」ではまったくわからなかった(予算とか大人の事情で描かれなかった)、首都警の仕事ぶりが描かれただけでも、もう大満足です。 ■押井さんは「ケルベロス」作品群で何を描きたかったのかというと、もしかすると、「ゲバ棒なんてもんじゃなくて銃器を使った武装政治闘争が起きてたらよかったのになー、ちくしょう!」という願望があって、それを絵にしたかっただけなんじゃないか、と思ってしまいます。不謹慎ですが。 ■「人間の中には廃墟願望、終末願望がある」とは押井氏自身の言葉ですが、彼には絶対「ケルベロス願望」があるはず。その構成要素は、銃器・公安と現場との諜報戦・ギア・叛乱・孤立無援の戦い・少女といったおなじみのものでありましょう。私たちにもその願望はいくばくかあるので、いへんよくわかります。 ■今まで見逃してて、昨夜やっと見たのですが、いやー、良い作品ですね。押井氏自身ではうまく整理してプレゼンできないものを、別の人がきれいに丹念に仕上げて見せてくれた感じ。これでケルベロス世界は押井氏を中心にした同心円ではなく、複数の軸を持つ共同幻想にまで広がったと思います。この作品がきっかけで生まれる芸術家がきっと後に続くはず。
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[019]ケルベロス 地獄の番犬
 激しく分裂した「詩」ですねfulcrum2007-01-10
 
■私は台湾が好きなので、十数年前に台湾(それも台北だけでなく南部の田舎で)ロケされた作品というだけで、もう大好きです。こんな風景はもう台北あたりでは見られないですし・・・
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■私は台湾が好きなので、十数年前に台湾(それも台北だけでなく南部の田舎で)ロケされた作品というだけで、もう大好きです。こんな風景はもう台北あたりでは見られないですし、その風景を愛して作品に入れ込んだ監督のキモチがびんびん伝わる、良い作品です。 ■ただし、筋は分裂しているし、描こうとしたものは極端から極端へと振れ、台詞は饒舌だったり足らなかったりで、不親切きわまりない。私は公開時に劇場で見ていたのですが、最近まで理解できませんでした。エビを食うシーンばかり記憶に残ってて。それでも押井実写作品ではいちばん好きです。 ■押井作品は「哲学的」と形容されることがあるみたいですが、哲学ではなくむしろ「詩」ですね。理解するのではなく、作者の意識を追体験することで初めて価値が出るというか。 ■この作品にはとても残念な瑕疵があります。主人公二人の体型が全然「警察官」らしくないことです。一人は小さすぎる。一人は痩せてて若々しすぎる。初期の押井実写作品の最大の欠点はすべてここにあります。 ■しかし主人公を演じた藤木さんはすらりと見事な長身で、プロテクトギアを着るとものすごく美しいシルエットになります。あの激しい銃撃シーンでギアとMG42を託せる役者は彼以外にいなかったろうな。 ■この作品は押井監督の「ケルペロス」世界が完成する途上で生まれた、未完成の作品だと思います。途中経過の報告というか。「人狼」でそれは完成するのでしょうが、その主人公を再び藤木さんがアテていたのは必然だったのでしょうね。
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[020]殺人の追憶
 猟奇殺人の風土を描ききっているfulcrum2006-11-25
 【ネタバレ注意】
1963年に東京近郊で起きた、未解決の猟奇殺人誘拐偽装「狭山事件」をご存じですか。冤罪事件として超有名なので、ご存じですかなんて言うのも失礼な話ですが、実はこの事件、真・・・
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1963年に東京近郊で起きた、未解決の猟奇殺人誘拐偽装「狭山事件」をご存じですか。冤罪事件として超有名なので、ご存じですかなんて言うのも失礼な話ですが、実はこの事件、真犯人がまだそこらへんを歩いてて、関係者の口を封じている可能性がある。 最近、新風舎文庫から『史上最大のミステリーを推理せよ! 狭山事件』という新刊が出ましたが、43年前の東京近郊って今の様子からはうかがい知れないほど田舎なんですね。いったい、どんな風土で、どんな人たちが事件に関わったのか、想像することすら難しい。 しかし、その雰囲気を知るための恰好の素材がありました。本作「殺人の追憶」です。 雨が降るとぬかるむ未舗装の道。見通しの悪い林と切り通し。夜になると外灯もなく懐中電灯が必須…(狭山事件が起きた夜も土砂降りの雨だった)…近くにできた工場のせいで流れ者の単身者が増え、風紀は悪化。だけど元々農村なので住人は知り合い同士が多い。警察も、こうした犯罪のノウハウが少なく捜査が下手。思いこみと決めつけの捜査、非効率的で違法な尋問。 たぶん、この作品が描く20年前のソウルからちょっとはずれた農村と、43年前の東京からちょっとはずれた農村は、すごく似ていたはずです。人も、空気も、風土も。あぜ道の草いきれ、藁のにおい、ぬかるみの滑る感触、道路の土埃。私たちは、映画を見ることによって、当時の犯人や被害者、警察が見たもの、感じたものを追体験することができます。 この雰囲気が好きだから、私はこの作品が大好きです。 映画の中で真犯人を提出しなかったのは大正解というか誠実な態度だと思います。真犯人はこれを見て、どう思うかな?
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[021]スクール・オブ・ロック
 ロック映画にはハズレが多かったけどfulcrum2006-11-10
 
ロックを冠した映画にはイマイチな作品も多い。「ロックンロールハイスクール」は文句なしにくだらない。「デトロイトロックシティ」もうまくいってるとは言い難い。「トミー」・・・
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ロックを冠した映画にはイマイチな作品も多い。「ロックンロールハイスクール」は文句なしにくだらない。「デトロイトロックシティ」もうまくいってるとは言い難い。「トミー」は最悪だし(ケンラッセルの前衛映画だと思えば許せるが)、「さらば青春の光」「シド&ナンシー」は老人ホーム用の映画だ。「ファントムオブパラダイス」は素晴らしい映画だけど、残念ながらロックじゃない。「ロッキーホラーショー」もそう。僕が許せるロックな映画は「ウェインズワールド」だけだった。 だけど、「スクール・オブ・ロック」は文句なしにロックしてると言える。 ロックしてる作品と、ロックじゃない作品の違いはどこにあるのだろうか。後者は、ロックの周辺をマーチャンダイズしてるにすぎない、関連グッズのような作品なんじゃないか。前者になるにはどうすれば?? 正直よくわからない。 しても、テーマ曲「スクール・オブ・ロック」は最高に素晴らしい曲でしたね。WHO\'s Nextのようなキーボードのイントロが良い。ジャック・ブラックの熱演がすごいけど、正直見ていて気持ちいいもんじゃない。見目良いのは子どもたちの生き生きした演技。子どもと動物に勝てる俳優はいない。とくにクラス委員の子とベースの子はとても可愛くて、将来が楽しみですね。 そうだ!真にロックしてる映画は、ロックの情けないところを隠さないんだな。
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[022]最凶女装計画
 意外に面白い!ホロッとする!fulcrum2006-11-09
 【ネタバレ注意】
■「最終絶叫計画」とは違う、かなり政治的社会的なコメディです。 「最終…」はパロディとバカを徹底的に追求した映画でした。本作はショーン・ウェイアンズ発案による「ヒルト・・・
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■「最終絶叫計画」とは違う、かなり政治的社会的なコメディです。 「最終…」はパロディとバカを徹底的に追求した映画でした。本作はショーン・ウェイアンズ発案による「ヒルトン姉妹の中身がウェイアンズ兄弟だったら」という階級・人種・性別のねじれで笑わせる映画です。しかしこれは初めてのことではなく、実は「最終…」の中にもジェンダーの取り違えギャグはすでに見えており、それもおそらくショーンがコンセプトを出しています(彼自身が演じているシーンです)。ショーンはこういうギャグが好きなんでしょうね。 ■大衆・黒人・男性であるウェイアンズたちは、上流・白人・女性に化けて、徹底的に敵をおちょくります。もう一組のヒルトン姉妹もどきが強烈なライバルとして設定されており、彼女たちとの抗争が非常に見応えがある。とても複雑な敵対概念の抗争になっているからです。 ■白人娘好きな黒人バスケ選手、という役回りが登場します。彼の存在が、この複雑な概念のねじれをはっきり見せている。たとえば、「黒人は白人に劣等感に近い憧れを抱いている」が同時に「白人は黒人に畏怖・嫌悪と同時に逞しさセクシーさといった先入観を抱いている」。さらに、「ダンスは黒人風なのが圧倒的にかっこいい」。「上流社会はうらやましい」けど「非人間的だ」、「社交界は華やかだ」けど「性病だらけで汚くて愚かしい」。「白人娘の笑い方を真似て鼻にしわを寄せてみると、醜さが強調されるのに、なぜだか可愛くも見える」等々…敵はつねに敵ではあるが憧れでもあるという、物事の両面を丹念に掘り起こしつつ、笑わせてくれます。かなり政治的なコメディと思うゆえんです。 ■ダンス・バトルのシーンは素直に驚嘆しました。女の子どうしのバトルも見応えあります。そしてウェイアンズ兄弟による偽白人姉妹のブレイクダンスは、大迫力です。 ■そして泣かせるシーンも。「パジャマパーティ」とか、酔った女友達を介抱するシーンが好きですね。ここで描かれるのは、階級・人種・性別を超えた共感や、悩みの共有、心の交流です。ちょっとブスい3人の女友達たちが、敵じゃなく仲間に、それぞれとても可愛らしく見えてくるシーンでした。レッテルの向こうから人間的な「地」が透けて見えてくるような瞬間です。 ■私には、本作は「お下劣・バカ映画」とは見えなかった。むしろ、理詰めの状況コメディであり、政治的社会的な断絶を笑いのめす政治映画の一種ではないかと思った。身体障害という断絶をよくネタにするファレリー兄弟、コミュニケーション不全をテーマにすることが多いコーエン兄弟などと並んで好きな作家です。
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[023]キャッチ22
 ささくれた心に突き刺さる悪夢fulcrum2006-11-07
 
第二次大戦中の地中海のとある島に展開する米軍の……と書こうとして、あれ?21世紀の中東某国に展開する米軍の…と書いても違和感全然ないじゃん、と思ってしまった。映画ではMM・・・
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第二次大戦中の地中海のとある島に展開する米軍の……と書こうとして、あれ?21世紀の中東某国に展開する米軍の…と書いても違和感全然ないじゃん、と思ってしまった。映画ではMMエンタープライゼスという名前になっていたが、現実にはハリバートンという名前で展開している会社があったなあ。などと。 1970年に作られたこの作品が、当時の観客にどんなふうに見られたのかよく知らないのだけれど、この悪夢が繰り返される(「未来世紀ブラジル」そっくりだ)ざらざらした画面は、疲れてささくれた心に気持ちよく突き刺さる。きっとみんな、とても楽しんで見たのではないだろうか。 なんだか、最近の世間は、この映画の雰囲気にとっても似ているような気がする。
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[024]カーズ
 涙そうそうそうfulcrum2006-10-22
 
機内で見たので吹き替えでした。ものすごく小さな液晶画面なので、CGがすごいとか全然わかりませんでした。 しかし、マックイーンがドクのガレージでアレを見つけてから以降、・・・
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機内で見たので吹き替えでした。ものすごく小さな液晶画面なので、CGがすごいとか全然わかりませんでした。 しかし、マックイーンがドクのガレージでアレを見つけてから以降、もう涙が止まらなくて困りましたよ。機内食を食べてトレイを返したり忙しくしながら、ずーっと涙を流しながら見ていました。 私は車が好きですが、残念ながらアメリカの車のことはほとんど知りません。だからドクの元ネタとかも知らないんですよ。知りたいなあ。わかりやすかったのは弁護士のサリーがポルシェ、タイヤ屋がFIAT500というあたり。こんな田舎町にポルシェが?という驚きがいい感じに自然にストーリーに生きてましたね。とても色気を感じるポルシェでした。 町山智浩さんがラジオで言ってましたが、ウォルマートが全米の小売業を制圧してしまった結果、劇中のラジエタースプリングのように滅びる街が本当にあるんだそうですね。日本でもシャッター商店街という問題がありますし、何より私たちは「信じられる仲間」という存在が希薄になった社会に生きている。私たちが失いつつあるものを直視させ、「どうだい、これを取り戻してみないかい?」と語りかけるラセターの演出。もう泣くしかないって感じ。 個人的には、レースのコースがオーバルなのに感心しました(つまりコーナーがない)。やっぱりアメリカですなあ。逆ハンドルも知らないし。
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[025]奇談 キダン
 阿部寛の稗田礼二郎がすばらしいfulcrum2006-05-26
 
ストーリーは破綻してるし、ヒロインはどうにもイマイチで、なかなか辛い作品ではありますが、私は支持します。 なにより稗田礼二郎に扮した阿部寛が良い。稗田の長髪を思い切・・・
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ストーリーは破綻してるし、ヒロインはどうにもイマイチで、なかなか辛い作品ではありますが、私は支持します。 なにより稗田礼二郎に扮した阿部寛が良い。稗田の長髪を思い切ってやめて、短髪&眼鏡にしたあたり、すばらしい判断だ。また、70年代の田舎町を再現しようとした美術が良い。古風なハンサムである阿部寛が黒ずくめのスーツで山道を歩く、その情景だけでも価値がある。かんじんの「ぱらいそさいくだ」のシーンはへぼいけど、そこに至る過程では諸星作品全盛期の空気が見事に再現されている。 この空気感を維持しながら、めげずに阿部寛の妖怪ハンターを作り続けてほしいものです。頼みます。
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[026]キング・コング
 全員ナオミに首ったけfulcrum2006-05-07
 
■私はこの映画、劇場じゃなくて飛行機で見たのです。雑音だらけの機内で、手のひらくらいの小さい画面で見るのは作品に申し訳ないなと思いながら、とても充実した三時間でした・・・
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■私はこの映画、劇場じゃなくて飛行機で見たのです。雑音だらけの機内で、手のひらくらいの小さい画面で見るのは作品に申し訳ないなと思いながら、とても充実した三時間でした。どんなに環境がしょぼくても決してスポイルされない作品自体の強さがありました。ものすごいポテンシャルの映画だと思いましたよ。 ■スペクタクル要素も面白いんですが、私にはこの映画の登場人物たちの構造が非常に面白かった。これは、監督ピーター・ジャクソンが自分自身をこれでもかこれでもかと描いた映画なんじゃないでしょうか。 ■映画会社と虚々実々の駆け引きを演じる監督・興行師も、気の弱い誠実な脚本家も、未熟で世間を知らない少年船員も、彼が憧れるタフな船員も、経験豊富な船長も、そしてキング・コングも、全員ピーター・ジャクソン自身の投影。そして全員がヒロインに首ったけ。興行師は打算で、脚本家は芸術家としての感覚で、少年船員は単純な憧れで…と動機はそれぞれ異なりますが、確かなのは全員が彼女をとても大事に思っていて、全員が彼女のために命を賭けること。もちろんその最大の求愛者はコングなのです。 ■孤独な密林の王はこれまで誰とも心を通わせることができなかった。囚われの身となったヒロインは、自分の命を守るためとはいえ、媚びたりせずに、鍛え上げた芸で誇りを持ってコングにぶつかっていった。かよわい人間のヒロインが全身全霊でアプローチしてくれたのが、コングの心を打ったんじゃねーかしら、と思うわけです。これってオタクが理想とする恋愛ですよねえ。 ■一方、人間の関係者一同もヒロインに命を捧げます。さっきまで「危険だから早く帰ろう」なんて腰が引けてたのに、ヒロインが未帰還だと知ると一致団結して救出に向かうあたり、すげー笑える。ていうか、この人たちは基本的に全員が同じ人なんだなと明白にわからせるシーンなんですね。そして文字通りほとんどが命を捧げてしまいます。 ■これは一人の男が美女に恋する物語です。一人の男は様々に分裂して複数のキャラとなって現れますが、全員同じ男です。だから、こんなに泣けるんじゃないかと。私はカップルを満載したGWの飛行機で2回、これ見ておいおい泣きました。
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[027]ブロークバック・マウンテン
 You bet.fulcrum2006-03-25
 【ネタバレ注意】
■ワイオミング州は日本の本州より広い面積がありながら、人口は50万人しかいない。1963年当時は30万人少々。北隣のモンタナの向こうはカナダ、南にコロラドとニューメキシコを・・・
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■ワイオミング州は日本の本州より広い面積がありながら、人口は50万人しかいない。1963年当時は30万人少々。北隣のモンタナの向こうはカナダ、南にコロラドとニューメキシコをはさんでテキサスがある。作中に出てきたエルパソはメキシコ国境に接したテキサス最西端の町である。 ■ワイオミングにはカウボーイ州との別名があるらしいが、彼らが牛を追っていたのは昔のことで、いまや肉牛は工場のような飼育舎で太らされ、処理場でパーツにされて流通する。だから本作でもカウボーイが追うのは羊である。羊番でなくなったイニス・デル・マーは道路工事などで糊口をしのぎ、やっとありつけた牧場の仕事は休めなくてきついのに金にならない。カウボーイ以外の生き方ができない不器用な彼にとって、もっとも自分がカウボーイらしかったのはブロークバック山での一夏だけだった。 ■ジャック・ツイストは地道な牧場仕事よりもロデオ・ライダーとして派手に楽しく生きたいと思った。だがさして才能はなく、身体は故障だらけで徴兵すら免除だ。ロデオ大会を渡り歩くのははっきり言って楽ではない。先は見えている。彼にとっても、もっともカウボーイらしく生きたのはイニスと二人で羊番をしたあの夏だけだった。 ■本作はゲイの映画ではない。不幸にも開拓時代ではなく現代に生まれてしまったカウボーイが直面する現実を描いた、ウェスタンだ。拳銃も強盗も保安官も出てこないが、歴とした西部劇なのだ。 ■前半、ブロークバック山での羊番の毎日が描写される。倒木を伐って焚き火をおこし、缶詰を温める。一夏の放牧期間中、風呂などない。柔らかい服もない。気晴らしはウイスキーだけ。山道を進む馬の背は揺れる。話し相手はお互いしかいない。アウトドアで寝たことのある人は思い当たるだろうが屋根のないところで暮らすのはものすごく過酷だ。この状況で、二人の間に特別な絆が生まれないなど、ありえない。二人がたまたま行為に及んだとしても、それは特別なことではない。相手が羊じゃなかっただけのことだ。 ■山を下りた二人が立ち戻った現実は、山よりも過酷だった。イニスは牧童仕事を見つかけたが金はない。赤子は泣く。金を得たジャックは妻の親に誇りを売り渡したような毎日だ。再会した二人が、二人だけのブロークバックに戻ろうとしたのは当たり前だ。だが、ブロークバックはもうどこにもなかった。 ■本作は、男なら誰にでもある、ありふれた出来事だけを描いた西部劇だ。友だちがいた。昔はよかった。生活はつらい。だが暮らしから抜け出すことはできない。最愛の友だちと会っても昔のようにただ幸せではいられない。お互いの心はすれ違う。普通なら、この不器用な関係がずるずると続いていくのだろう。だがジャックは死に、イニスは残された。ブロークバックの記憶だけを残して。 ■本作は断じてゲイ映画ではない。ただ単に、男の愛情を描いた映画なのだ。こういうことは昔からあったし、誰にでもある普遍的なことなのだ。だから、私には全然特別なことに見えなかった。むしろ、初めて見る風景や初めて見る習慣にも激しく既視感を覚えたし、「俺のことを撮った映画じゃないか」と終始疑いながら見た。私たちだって、ブロークバックの記憶だけを温めながら生きている。 ▼ところでゴムなしでやると雑菌性尿道炎になると思います。気をつけたほうが。 ▼画面の隅から隅まで目が離せない、巧妙に設計された、隙のない映画でした。Old Roseというウイスキーが写ってましたが実在するのかな? ▼奥さんたちの演技も素晴らしかった。二人ともセリフが少ない分、目千両でしたね。とくに好きなのがジャック夫人。夫が舅に激しく逆らったときの「偉い!」と言いたげな目が良かった。二人とも夫のことが好きだったし、夫の彼氏に嫉妬してたんですね。 ▼アカデミー賞三部門だそうですが、私のアカデミー賞を全部差し上げたいと思います。とくにアカデミー喫煙賞を。思えば、タバコを吸うのって、男の子が男になる過程で必須科目でしたね。昔は。 ▼けっこうカップルで見に来られた方が多かったようですが、どうなんですかね。私なんか何度か泣いちゃったしエンドロールでは涙が止まらなかったので、もしも横に彼女がいたら超気まずいです。
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[028]YAMAKASI ヤマカシ
 権威を信じるな、肉体を信じろfulcrum2006-03-14
 
けちょんけちょんに言われている本作ですが、僕は好きです。 ストーリーは「ナイト・オブ・ザ・スカイ」と同じくらいぺらぺらですね。でも、ヤマカシのメンバーたちが体現する・・・
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けちょんけちょんに言われている本作ですが、僕は好きです。 ストーリーは「ナイト・オブ・ザ・スカイ」と同じくらいぺらぺらですね。でも、ヤマカシのメンバーたちが体現するイメージを、一生懸命脚本にしようとしてたのが良かった。 彼らは全員純粋なフランス人ではなく、アフリカ系・アジア系のマイノリティ。暴動を起こす側の子たちですよね。彼らが現実を変えようとするなら、マジョリティのフランス人と同じ手続きでは無理。だから身体で主張する。というのを1時間半かけてやってるんだな、と。 泥棒じゃなくて、何かもっと他の手段で金を集められればよかったのにね。 がんばってほしいよ、フランス映画。CG使わず体を使うってアイデアは大好きです。
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[029]兵隊やくざ
 軍隊映画の傑作!fulcrum2006-03-09
 
■「ブロークバック・マウンテン日本版」か。 荒々しく骨太で義にあつい大宮貴三郎と、反骨心はあるが軍隊の世知に長けた有田上等兵。善悪を超越した彼らの戦いが、ものすごく面・・・
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■「ブロークバック・マウンテン日本版」か。 荒々しく骨太で義にあつい大宮貴三郎と、反骨心はあるが軍隊の世知に長けた有田上等兵。善悪を超越した彼らの戦いが、ものすごく面白かった。彼らのあいだには倫理や筋道はしっかりあるのだけど、それがたまたま実社会や軍隊の筋と一致していない。だからこそ、二人の結びつきは強い。 ■「ジャーヘッド1943」か。 原作の有馬頼義作品を読んだだけで、ずいぶん長く見る機会がなかったけど、角川から出たDVDを買いました。私が生まれた年の公開作品です。この年はまだ終戦から20年しか経っていない。リアルに軍隊を覚えている人がいっぱいいた時代ですから、考証はしっかりしてるんじゃないかと思います。 戦争というのはすごい人数の人が参加しますから、実戦を経験するのはごく一部だそうです。だから大宮や有田にとって戦争とは国境の町で待機すること。刑務所のような軍隊で暮らすこと。最近勇ましい日本軍の映画が作られているようですが、華々しくドンパチやる話よりこういうほうが私は好きです。 ■結局、日本の「M*A*S*H」なのかもしれん。 古い娯楽作品なんだろうけど、私には全然古く感じられなかった。殴り合いのシーンは古くさいですが、軍隊の仕組みをかいくぐって立ち回るあたりは最近の劇でこんなに面白いものはまるでありません。ていうか「終戦のローレライ」とかの美しくスマートな日本軍は全然ありえませんから。
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[030]シリアナ
 最後まで見た自分を褒めたいfulcrum2006-03-07
 【ネタバレ注意】
不親切な映画であった。まじで尻が痛かった。こんなこと久しぶりだ。 クルーニー(工作員)、デイモン(アナリスト)、ライト(弁護士)、ムニール(パキスタン人労働者)の視・・・
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不親切な映画であった。まじで尻が痛かった。こんなこと久しぶりだ。 クルーニー(工作員)、デイモン(アナリスト)、ライト(弁護士)、ムニール(パキスタン人労働者)の視点で物語はいれこになりながら進んでいくが、これらパズルのピースがかっちり合う瞬間はほとんどなく、映画的なカタルシスは皆無。「トラフィック」のできの悪い焼き直しじゃないか。 人物たちの行動も唐突で納得がいかない。CIAを追われた工作員がCIAによる兄王子暗殺を食い止めようとするのは理解できるが、車列に横から突入するってのはどうよ?テロと誤認されて射殺されても仕方ない。王子顧問のデイモンに暗殺を密告するとか、もっとやりようはあろうに。 CIAによる王子暗殺も必然性を感じない。こんな乱暴なことをCIAが事実やってきたのなら、それを告発するなら、もっと緻密に描き込まねば。 イスラム圏の貧困層が原理主義に取り込まれ、テロを志願する様子はうまく伝わってきた。けれど、ぼくにはそこから先を考えてみようという元気は残っていなかった。煩瑣な脚本についていくのがやっとだったから。 ぼくは政治的な映画は好きだけど、気取った映画は嫌いだ。この映画が提起している問題は重要なのに、観客がテーマにアクセスするのが非常に難しいのはなんなんだ。わかる者だけがわかればいい、と言ってるのか? 奇をてらった作り方がメッセージをぶち壊した、失敗作だと思う。
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