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 「montag」さんのコメント一覧 登録数(23件)rss
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[001]ミスト
 視線の推移からmontag2008-05-11
 
スーパーの中に立て籠もって、超自然の圧倒的な脅威から 身を守るという状況そのものが、現代文明の危うさを 象徴している、といううがった見方もあるだろうし、 戦う手段とし・・・
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スーパーの中に立て籠もって、超自然の圧倒的な脅威から 身を守るという状況そのものが、現代文明の危うさを 象徴している、といううがった見方もあるだろうし、 戦う手段として、最終的にガソリンに頼らざるを得ない (ラストのクレジットの後も執拗に続くあの音…)ところに、 何やら9.11前後の状況を揶揄しているという見方だって出来る。 でも、この映画の一番のポイントは、スーパーの中から外に 目を凝らす人々の目線が、初めは水平の方向に向けられているけれど、 やがて、それが下から上を見上げるという、垂直に上昇する動きに 変化していき、それにつれて、映画の中に全く別の次元の 恐怖が持ち込まれる、という点だと思う。 その見上げる視線は、ラスト近くのあの瞬間、 映画のもたらすものが、恐怖などとはさらに別の次元に シフトしていくことのきっかけをも作っている。
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[002]ノーカントリー
 世界の一部にmontag2008-03-16
 
少しの油断も許されない命がけの局面に、 とっさの機転でそれを生き延びる人間もいるし、 ヘマをやって呆気ないくらい簡単に命を落とす人間たちがいる。 そんな、一瞬一瞬が取・・・
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少しの油断も許されない命がけの局面に、 とっさの機転でそれを生き延びる人間もいるし、 ヘマをやって呆気ないくらい簡単に命を落とす人間たちがいる。 そんな、一瞬一瞬が取り返しのつかない時間がこれでもかと続き、 観客もパニックを起こしそうになるほどの焦燥に駆られる。 けれども、ハビエル・バルデムの殺し屋は、 そんな時間を自ら作りだしておきながら、 そんな時間を超越している。 殺し合いの場面に、彼はあらゆる焦燥とは無縁に、 まるですべては予定された、と言うよりすでに 経験ずみの時間であるかのような着実さで振る舞い、 危機一髪の局面も眉毛ひとつ動かさずにすり抜けていく。 薬屋を襲撃(?)する場面、交通事故の場面も含め、 この殺人者だけは、起こっている事件、流れている時間の外に、 超然と存在している。 特に人の足を、この映画が見つめているのも、 それと関係があるように思える。 この時間を超越した男の存在を、いくつかの 印象的な足のカットが輪郭づけているからだ。 足が床につけた跡、足についた傷、足の裏についた血。 足の場面には、彼が軽々と踏み越えてきた過去が記されている。 この映画には、そんな風に時間を超越した存在がもう一人いる。 トミー・リー・ジョーンズの老保安官。 金を持ち逃げした男とそれを追う殺し屋を追いながらも、 彼は常にそれに追いつけない。 自らが抱える事件を捜査していると言うより、 それに対するコメントを述べることによってのみ、 彼はこの映画の中で生かされている。 さらに、引退後、妻との朝食時の会話や、 同じく引退した元保安官との会話の 時間が止まってしまったような世界の中に、 この老人は生きている。 殺人者が残していったミルクを飲み、 殺人者が見たであろうテレビ画面に反射する自らの像を 彼が見る場面で、彼が殺し屋の存在に共鳴、と言うより 共振するのは当然のことに思われる。 原題はNo Country for Old Men。 老人のための国はこの世界にはない。 ラストシーンを目にした観客は、 改めて冒頭の保安官のモノローグを思い出す。 「O.K. I'll be part of this world.」
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[003]ラスト、コーション
 世界の崩れる音montag2008-02-26
 
視線のやりとりに、見ている我々の視線もからめとられる。 映画の官能って、こういうことなんだと思う。 物音に脅える主人公たち。 最後の、時計が鳴る音にびくっとする場面、・・・
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視線のやりとりに、見ている我々の視線もからめとられる。 映画の官能って、こういうことなんだと思う。 物音に脅える主人公たち。 最後の、時計が鳴る音にびくっとする場面、 彼方から微かに響いてくる世界の崩壊の音を聞くようで、 静かに怖い。 ヒロインが上海の街にさまよい出すところ、 乗り合い自転車の風車の回転が儚い。 ヒロインが最後に見る真っ黒い水の風景!
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[004]ブラックブック
 ヒッチコック賛歌montag2007-08-31
 
『トータル・リコール』でも『氷の微笑』でも 思いっきりヒッチコックしてたヴァーホーヴェンが 身も世もなくヒッチコック賛美に溺れた怪作。 髪をブロンドに染める『めまい』・・・
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『トータル・リコール』でも『氷の微笑』でも 思いっきりヒッチコックしてたヴァーホーヴェンが 身も世もなくヒッチコック賛美に溺れた怪作。 髪をブロンドに染める『めまい』からのシーン、 敵の将校に恋をする『汚名』からのシーン。 群集を利用して窮地から逃れる『引き裂かれたカーテン』からのシーン (特に、インシュリン注射からの脱出場面の目の覚めるような展開!)。
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[005]マリー・アントワネット
 今の女の子が、ヴェルサイユにいる不思議。montag2007-08-11
 
無為で退屈で身の置き所のない女の子が、 ソフィア・コッポラの映画には住み続けている。 彼女たちは、一体、どういう風に救われるんだろう? それが、コッポラ映画の最大の関・・・
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無為で退屈で身の置き所のない女の子が、 ソフィア・コッポラの映画には住み続けている。 彼女たちは、一体、どういう風に救われるんだろう? それが、コッポラ映画の最大の関心事。 キルステン・ダンストの唖然とする存在感。 トビー・マグワイアみたいな内向的なキャラにスパイダーマンを 演じさせるとしたら、こういう人にヒロインをさせるのが、 サム・ライミという監督の選択の正しさだって思ってはいたけれど、 ソフィア・コッポラの選択も、有無を言わせないほどの素晴らしさ。 ヴェルサイユでの朝食の場面を初めとして、 この王妃はルイ16世と並んで座る場面が圧倒的に多い。 そんな風に、視線を交わすことのない配置が日常化しているこの二人が、 視線を絡ませ合い、正面から互いに向き合う場面がいつ来るのか。 それを待ち続けることが、この映画を体験するってことなんだと思う。
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[006]ある朝スウプは
 流れ過ぎる愛montag2007-07-30
 【ネタバレ注意】
愛は止(とど)まることも淀むこともなく流れ続ける。 そういう意味をこめて、ジョン・カサベテスは、 あの痛々しくも美しい愛の映画に 『ラブ・ストリームス』というタイトル・・・
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愛は止(とど)まることも淀むこともなく流れ続ける。 そういう意味をこめて、ジョン・カサベテスは、 あの痛々しくも美しい愛の映画に 『ラブ・ストリームス』というタイトルをつけた。 カサベテスも、一瞬も停滞しない愛のほとばしりが ワンシーン・ワンカットという「本物の時間」によってしか 捉えられないことを、身をもって示した映画作家だった。 『ある朝スウプは』という映画にも、 味噌汁が冷めていくワンカットの時間の中で、 愛が無為にとめどもなく吹きこぼれる時間が 残酷なまでの克明さで刻まれている。 だからこそ、器に静かな水が注がれるように 愛がなみなみと満ちてくる あの光あふれるラストシーンに、 私たちは打たれるのだと思う。
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[007]フランドル
 これが映画だ。montag2007-07-22
 
風景をじっと見詰めているうちに心の中に何かが喚起されてくる。 その風景を輪郭づける音も、繊細で強い言葉となる。 それが映画だ。 暴力は、それを被る者をも加える者をも傷・・・
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風景をじっと見詰めているうちに心の中に何かが喚起されてくる。 その風景を輪郭づける音も、繊細で強い言葉となる。 それが映画だ。 暴力は、それを被る者をも加える者をも傷つけていくわけで、 その連鎖からはどんな人間だって逃れることが出来ない。 それを語るための媒体。 それが映画だ。 演技の出来る「俳優」はいらない。 何かを「風景で語る」のではなく、「風景が語る」。 何かを「俳優で語る」のではなく「俳優が語る」。 それが映画だ。
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[008]さよならみどりちゃん
 宙吊りの日々montag2007-04-18
 【ネタバレ注意】
ゆうこ(星野真理)の住まいに見とれる。 空と地上との曖昧な境い目といった佇まいで、 それでも、夕暮れどきには魅惑的な光に囲まれる高台の部屋。 まるで、ユタカ(西島秀俊・・・
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ゆうこ(星野真理)の住まいに見とれる。 空と地上との曖昧な境い目といった佇まいで、 それでも、夕暮れどきには魅惑的な光に囲まれる高台の部屋。 まるで、ユタカ(西島秀俊)との宙ぶらりんな日々そのものの空間。 後ろから撮られたユタカの圧倒的な裸の立ち姿を、正面から撮られた ゆうこのべたっと座った頼りない裸が見つめている。 そうやって、ゆうこはいつでもユタカの後ろ姿に追いつけない。 そうやって、古厩監督は残酷さと優しさの入り交じった目で、 この情けない主人公たちを見つめる。 ゆうこが、まるで世界に新たに降り立ってくるような ラストのカラオケが素晴らしい。
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[009]グエムル -漢江の怪物-
 巧み!montag2007-04-07
 【ネタバレ注意】
銃から始まるものの最後には原始的な武器がものを言ったり、 子どもが生け贄のように怪物に拉致されたり、 女が最後に唖然とする活躍を見せたり。 そういう発想は全部、ジェー・・・
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銃から始まるものの最後には原始的な武器がものを言ったり、 子どもが生け贄のように怪物に拉致されたり、 女が最後に唖然とする活躍を見せたり。 そういう発想は全部、ジェームズ・キャメロンの 『エイリアン2』から継承されてますね。 最初に海から怪物が登場する場面は、 スローモーションの繊細な使い方からも分かるように、 時間の伸縮の技術の高さが最近のハリウッド映画とは 比較にならないくらい上手い。 人も怪物もみなコケる映画ですが、 その一瞬の「間」が、まるで夢の中で味わうような 焦燥感を見る者に掻きたてる。 ローランド・エメリッヒあたりに見習ってほしいところです。
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[010]タイム・オブ・ザ・ウルフ
 炎と抱擁の映画montag2007-03-25
 【ネタバレ注意】
文明の内側から外側へと、突然放り出された 家族が求めるのは、火と抱擁。 電灯も絶えた荒野で、夜は原始の闇の中。 その中で人間が人間であり続けるために、 火の周囲に身を・・・
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文明の内側から外側へと、突然放り出された 家族が求めるのは、火と抱擁。 電灯も絶えた荒野で、夜は原始の闇の中。 その中で人間が人間であり続けるために、 火の周囲に身を寄せながら抱きあう場面が、 この映画の原風景。 例えば、フランソワ・トリュフォーが『突然炎のごとく』や 『華氏451』で、唐突に燃え上がる炎を、 戦きとともに映画に甦らせたように、あるいは、 ジョン・カサヴェテスが『ミニー&モスコウィッツ』や 『ラヴ・ストリームス』で、ぎこちない抱擁を 瑞々しい愛の形として映画に取り戻したように、 ハネケは炎と抱擁のイメージを目の覚めるような瞬間として 映画史の上に更新する。 だからこそ、炎と抱擁が新たな人類の価値観を 作りだすような崇高なラストに、胸が詰まる。
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[011]ヒストリー・オブ・バイオレンス
 「暴力の歴史」montag2007-03-09
 【ネタバレ注意】
主人公が繰り出す暴力は、それによって身を守る、という 「必要」の範疇をいつでも逸脱しながら、過激さを増していく。 その過程に、「A History of Violence」というタイトル・・・
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主人公が繰り出す暴力は、それによって身を守る、という 「必要」の範疇をいつでも逸脱しながら、過激さを増していく。 その過程に、「A History of Violence」というタイトルの意味を 汲み取らせようというクローネンバーグの目論見なんだろうな。 その暴力のたびに主人公も傷を負っていくというのも、象徴的。 クローネンバーグにとっての9.11映画。 ファーストシーンの二人組みの「疲れたよ」という言葉。 自分の中の過剰な暴力に疲れきった人間たち。 それに続く場面の「モンスターを見たの」という女の子の声も、 見終わった後の耳に残ってる。 ラストシーンの深いため息のような家族の儀式が、圧巻。
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[012]セブンス・コンチネント
 聖家族montag2007-03-05
 【ネタバレ注意】
こんなに激しく徹底的に崩壊していく家族を描いた映画も 珍しいけれど、その崩壊が、まるで砂時計の中でほんのわずかずつ 落ちていく砂みたいな微かさと静かさで進行していくの・・・
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こんなに激しく徹底的に崩壊していく家族を描いた映画も 珍しいけれど、その崩壊が、まるで砂時計の中でほんのわずかずつ 落ちていく砂みたいな微かさと静かさで進行していくので、 砂が全部落ちてしまうラストの喪失感は、見ていて本当に辛い。 しかも、ラストを見てしまってから、もう一度全編を見直してみたとき、 落ちていく一つ一つの砂が肉眼で見えてくるので、さらに辛い。 でも、それを我慢しながら見ていると、その辛さを 「経験」することの意味が見えてくるような気がする。 物質文明の地獄を生きる私たちすべての現代人の苦しみを 「引き受け」て滅んでいく聖家族のように、この家族が見えてくる。
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[013]
 赤の哀montag2007-03-05
 【ネタバレ注意】
役所広司のアパートや彼の勤める警察署の感動的な不気味さ。 黒沢空間を満たす「光」と「音」と、とりわけ、 そこに存在する空間的な「間」と時間的な「間」が、 不穏な磁場を・・・
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役所広司のアパートや彼の勤める警察署の感動的な不気味さ。 黒沢空間を満たす「光」と「音」と、とりわけ、 そこに存在する空間的な「間」と時間的な「間」が、 不穏な磁場を発生させて見る者を落ち着かない気分にさせる。 赤いドレスの幽霊というのは、『降霊』でも黒沢映画に やって来たけれど、こちらがさらに鮮烈なのは、 その現れ方と去り方が従来の幽霊の流儀を逸脱しているところ。 その逸脱に、一つ一つ納得したり驚いたり出来るのが、 この映画を見る快楽と言っていいでしょうね。 小西真奈美や葉月里緒菜をこんなに気持ち悪い キャラに造れるのは、黒沢清しかいないだろうな。 気持ち悪いけれど、切なく哀しい人(?)たち。
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[014]71フラグメンツ
 「愛してる」の響きだけで…montag2007-02-21
 
絶望という言葉に塗り込められたようなこの映画に 唯一光が射しこんで来るように、「愛してる」という 言葉が口から出されるシーンが出現する。 その言葉の前後の映画的サスペ・・・
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絶望という言葉に塗り込められたようなこの映画に 唯一光が射しこんで来るように、「愛してる」という 言葉が口から出されるシーンが出現する。 その言葉の前後の映画的サスペンスが凄い。 ハネケは、救いのない状況を映画にするけれど、 自分では「ヒューマニズム」の映画作家だと言っている。 それが、皮肉な発言ではないことが、この場面で分かる。 ハネケの映画が、本当の厳しさと表裏一体の 本当の優しさに貫かれているのが、見えてくる。
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[015]ベニーズ・ビデオ
 悪魔のビデオmontag2007-02-14
 【ネタバレ注意】
隣に座っているモンスターに邪魔されて まともに運転できないだけではなく、 しまいにはモンスターにハンドルをひっこ抜かれ 車が暴走し始めるという『悪魔の毒毒モンスター』・・・
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隣に座っているモンスターに邪魔されて まともに運転できないだけではなく、 しまいにはモンスターにハンドルをひっこ抜かれ 車が暴走し始めるという『悪魔の毒毒モンスター』のシーンを、 主人公の少年は繰り返し見ている。 もちろん、このシーンは少年の家庭の比喩。 ハンドルを失ってこの家庭は暴走し崩壊する。 殺される豚の断末魔の痙攣シーンも、 少年はビデオで執拗に巻き戻して見ている。 ビデオの中にしか「リアル」を見ることの出来ない 少年の心の崩壊が何度もさらけ出されるようで、 見ている我々は凍りつく。 少年には、ビデオ以外の現実世界は 現実として認識されていない。 床にこぼれた血を拭くこととテーブルにこぼれた牛乳を 拭くことが、少年にとって等価だということを 示す場面は、だから、限りなく怖い。 だが、この映画の怖さはそこで終わらない。 そんな風に壊されてしまった少年が家庭に復讐するラストシーン!
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[016]戦場のメリークリスマス
 試金石montag2006-12-31
 
デヴィッド・ボウイは植物の種子のように大地に埋められ、 それが坂本龍一のファナティックな軍人の心に花を開かせる。 人は人を支配する存在であることを止めないけれど、 そ・・・
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デヴィッド・ボウイは植物の種子のように大地に埋められ、 それが坂本龍一のファナティックな軍人の心に花を開かせる。 人は人を支配する存在であることを止めないけれど、 そういう暴力的な存在であるからこそ、 人の世に犠牲という行為も美しい花のように顕れる。 民主主義とかヒューマニズムとかに浸されて育った 私たちがこの映画の矛盾に耐えられないとしたら、 現代の日本人っていうのは、なんと薄っぺらな 心しか持てなかったのか、と思う。 そういう心からしか、たとえば現代のいじめの問題について 語る言葉が出ないとしたら、なんと寒々しい時代か、と思う。 大島渚は、そういう時代の心を、この映画で試しているんだと思う。
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[017]ブレイキング・ニュース
 二代目真打!montag2006-12-24
 
ファーストシーンの長回しのシーンが圧巻。 デ・パルマをはるかに超える密度の濃さと精度の高さ。 アパートの廊下や階段、エレベーターの中といった アクション映画の定番の空・・・
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ファーストシーンの長回しのシーンが圧巻。 デ・パルマをはるかに超える密度の濃さと精度の高さ。 アパートの廊下や階段、エレベーターの中といった アクション映画の定番の空間で、まだ出来ることが こんなにあるんだという発見に感動。 二組の犯人グループと人質とがテーブルを囲んで 一瞬家族になる場面に、非情な叙情性とでも言うべき 何とも言えない空気が漂って、香港ノワールで ジョン・ウーの跡目を継ぐのは、ジョニー・トーで 決まりだな、って思えてきます。
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[018]キング 罪の王
 ブレッソン好き?montag2006-12-02
 
話も凄いが、それを説得力のあるものにしている俳優が凄い。 人間っていうのは測り知れないもんなんだって、 この映画の俳優たちを見ているうちに、ふつふつと思えてくる。 さ・・・
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話も凄いが、それを説得力のあるものにしている俳優が凄い。 人間っていうのは測り知れないもんなんだって、 この映画の俳優たちを見ているうちに、ふつふつと思えてくる。 さらに言うなら、俳優たちの目。 目の表情のこんなに凄い映画も、近頃珍しい。 多分、この監督はロベール・ブレッソンの映画に 私淑しているのではないか、という場面がいくつかある。 欲を言えば、たった一箇所だけあるスローモーションは、 あれは、なかった方がよかったな。 ブレッソンなら、あれはやらなかったな。
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[019]ターミナル
 山羊の薬montag2005-07-18
 【ネタバレ注意】
「山羊の薬」のシーンがいい。 あの男とトム・ハンクスとは、同じ一人の人物の表と裏。 両方とも、父親と息子の絆の中に生きてるわけだし、 片や薬のケースを持ち、片やピーナ・・・
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「山羊の薬」のシーンがいい。 あの男とトム・ハンクスとは、同じ一人の人物の表と裏。 両方とも、父親と息子の絆の中に生きてるわけだし、 片や薬のケースを持ち、片やピーナッツの缶を持ってる。 両方とも、振るとしゃかしゃか音がするってとこまでそっくり。 こういうところ、スピルバーグって人は丁寧に映画を作るねえ…。
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[020]運命じゃない人
 コーエン兄弟的フランク・キャプラmontag2005-07-18
 【ネタバレ注意】
一つの場面を複数の視点から繰り返し眺めるっていう手法は、 最近では『パルプ・フィクション』や『エレファント』で使ってますね。 でも、この内田けんじっていう監督がそう・・・
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一つの場面を複数の視点から繰り返し眺めるっていう手法は、 最近では『パルプ・フィクション』や『エレファント』で使ってますね。 でも、この内田けんじっていう監督がそうやって時間と空間と 自由に戯れてみせる技術の高さは、むしろコーエン兄弟に近い。 ベッドの下のギャングなんてのも、『ミラーズ・クロッシング』に 対するオマージュ、としか思えない。 ただ、コーエン兄弟の映画を基本的に成り立たせている 人間に対する絶望が、この監督にはないですね。 あえて言えば、フランク・キャプラがコーエン兄弟の テクニックを持っちゃった、みたいな感じかな。 男を裸足にしたり裸にしたりっていうのも、すごく利いているし、 突然の疾走とか抱擁とか、身体を使う表現が上手いんだな。
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[021]ミリオンダラー・ベイビー
 救済の映画montag2005-07-17
 【ネタバレ注意】
イーストウッドとスワンクとの関係は次第に父と娘という 意味合いのものになっていくにしても、それがボクシングの 技術や精神を「継承」していく関係の上に成り立っているもの・・・
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イーストウッドとスワンクとの関係は次第に父と娘という 意味合いのものになっていくにしても、それがボクシングの 技術や精神を「継承」していく関係の上に成り立っているものだと いうことが、この映画を美しくしている。 デザイナーは『許されざる者』と同じヘンリー・バムステッド (ヒッチコック『めまい』のアーティスト!)。 彼が作ったジムのセットが素晴らしい。 イーストウッド自作の音楽も、『許されざる者』とすごく似てる。 そう言えば、スワンクに致命的なダメージを与えるのが 娼婦あがりの女、というところも、『許されざる者』の倒錯した反映か。 ナレーションはスクラップ(なんて仇名だ!)役のモーガン・フリーマン。 彼と主人公との関係を「長年連れ添った夫婦みたいな」と、 イーストウッドはインタビューで形容しているけれど、 「傷」を仲立ちにして結ばれている相棒の声が 孤独な主人公の輪郭を描き出していることで、 観客はこの残酷な映画を受け入れられるんだと思う。 残酷な映画だけれど、ラストに「救いがない」というのはどうだろう? 彼らは見失っていた生の輝きを取り戻すことで、 死っていうものに正面きって向き合うことが出来たんだろうし、 それによって死を乗り越えることが出来たんじゃないか。 『ミスティック・リバー』もそうだったけれど、 イーストウッドの最近の映画は、つけ焼刃のヒューマニズムを 超えた次元での「救済」がテーマになっているんだと思う。
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[022]コラテラル
 フィルム・ノワール、黒の映画montag2005-07-17
 
黒と白の映画。 ロスの夜に沈潜するようなジェイミー・フォックスの黒い肌。 そこに浮かび上がるトム・クルーズの白い肌、白い髪、白い服。 冒頭のバラマウントのロゴもモノク・・・
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黒と白の映画。 ロスの夜に沈潜するようなジェイミー・フォックスの黒い肌。 そこに浮かび上がるトム・クルーズの白い肌、白い髪、白い服。 冒頭のバラマウントのロゴもモノクロだった。
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[023]宇宙戦争
 傑作!montag2005-07-17
 【ネタバレ注意】
たとえば、この映画の「斜面」のシーンの作り方! 同じ時期に公開されているもう一つの「宇宙戦争」映画の ラストシーンに現れる「斜面」の貧相きわまりない 演出に比べれば、・・・
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たとえば、この映画の「斜面」のシーンの作り方! 同じ時期に公開されているもう一つの「宇宙戦争」映画の ラストシーンに現れる「斜面」の貧相きわまりない 演出に比べれば、スピルバーグがいかに「斜面」を 素晴らしい映画的空間にしているかが、分かろうというものだ。 トム・クルーズの職業を港湾のクレーン作業員にしているのも、 この監督の才能を裏付けている。 ファーストシーンで重機でものを吊り上げている主人公が、 逆に「吊り上げられる」運命になる、という経緯! 宇宙人の攻撃マシーンが地下に埋め込んであるっていうのは、 原作にないらしいけれど、映画に垂直の要素を持ち込むっていう 映画的要求からの発想なんだろうな。 「垂直」のアクションがあるから、 逆に「水平」の場面が生きてくる。 たとえば、主人公たちの呆然とした視線の前を異様なものが 水平に横切っていく場面が二回あって、 見ている我々の視線も凍りつく。 同様の場面を二回繰り返す、っていうのも スピルバーグの映画的知恵の高さ。 ダコタ・ファニングの目をふさぐ場面も二度あるし。 (ちなみに、目をふさぐっていう所作から、当然観客は 『マイノリティ・リポート』を思い出す!) 「人間のドラマがない」なんて言う人もいるみたいだけど、 そういう人は、あの息子とのキャッチボールの場面を どういう風に見ているんだろうか?
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