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 「sabu」さんのコメント一覧 登録数(86件)rss
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[001]トランスフォーマー
 変身シーンは絶対1カットで撮りたいんだ!sabu2008-02-29
 
まずは映画館で見るべきだろう。その映像はやはり革新的だ。 ベイ監督が、撮影の前段階で「ロボットの変身シーンは絶対ワンカットで撮りたいんだ!これだけは譲れない!」と駄・・・
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まずは映画館で見るべきだろう。その映像はやはり革新的だ。 ベイ監督が、撮影の前段階で「ロボットの変身シーンは絶対ワンカットで撮りたいんだ!これだけは譲れない!」と駄々をこねた結果、VFXの作成に膨大な時間と金を使っただけはある。 ベイ監督と言えばアクション映画で最大限の力を発揮する監督だと個人的には思っている。特に、カーチェイスのクオリティは凄まじいものがある。前作の『アイランド』のカーチェイスも良かったし、何より個人的には『ザ・ロック』のカーチェイスシーンは素晴らしかった。ポンポンと切り替わるカットと、車の横転シーンを「そんな位置から!?」と言わんばかりに、斬新なカメラ視点で拾う。この辺りのセンスがやはり抜群である。 この映画にも予告の段階でカーチェイスがあることを確認していたのだが、フタを開けてみれば少し短かったので残念。 映画のストーリー的には王道を行く作り。地球を舞台に繰り広げられる異星人ロボたちの戦いに人間が介入するという感じなので、どちらかといえば、ロボット達の活躍が目まぐるしく描かれており、そのスピード感は抜群。 しかし、キューブの存在や、このロボット達の素性などが結局説明不足になってしまっているので、数々の疑問を残しつつも終盤に向かう。そのへんの説明不足を補えばもう少しはドラマに張りを持たせられたかもしれない。 そしてドラマのところどころに入る馴れ合いジョークも正直微妙だ。ストーリーを全体的にライトにしたい様子は伺えるが、このテーマならそこまでやる必要もないと思うし、なによりとってもベイ監督らしくない演出。『アルマゲドン』よりひどい冗談の応酬は少し堪える。。 映像95点のストーリーが45点。それでも全体的には及第点だ。
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[002]ベクシル 2077 日本鎖国
 マトリックス3部作を借りた方がずっといいsabu2008-02-29
 
近い将来の日本の話。自分達の文明が進化し過ぎた結果、国連で様々な規定が作られ、それを府に落ちないと思った結果日本はハイテク鎖国をする。その日本にアメリカの特殊部隊が・・・
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近い将来の日本の話。自分達の文明が進化し過ぎた結果、国連で様々な規定が作られ、それを府に落ちないと思った結果日本はハイテク鎖国をする。その日本にアメリカの特殊部隊が潜入するといった内容。 正直、設定はめちゃくちゃだ。未来を描くと言うことはやはり一筋縄では行かず、そこまでどのような経路を経てそうなったか、という部分を明確なディテールをもって描かないとどこかで必ず破綻する。そういう意味ではこの作品はずいぶんと頑張ってはいるが、やはり不自然な部分は多々ある。 そしてこの映画において一番肝心なのはやはり映像という部分なんだろう。3Dライブアニメーションという最先端技術を駆使して作っているらしく、モーションキャプチャーで俳優が演じた動きをそのままCG化し、そこにアニメーションを融合していく。 この手法は『マトリックス リローデッド』の時、画期的なVFX技術として紹介されていたはずで、しかもリローデッドの場合はアニメなんかよりも遙かに難しいVFXで人間を作りそれを実写と融合させるという技術を用いている。ちなみに今から約4年前のことだ。 確かに、この映画ならではの手法も使われてはいるんだろうけど、こう考えてみると、実に日本映画界は技術が遅れていると感じさせる。 映像に関しても2年前の『アップルシード』と何も変わらないし進歩もしていない。 そして内容は迫力シーンはあるものの、全てのシーンがどこかで見たことがあるようなもの。ハリウッドのSF映画のシーンの要所要所を持ってきてくっつけ合わせたようなもの。なんでいまさらこんなことをやるんだろうと感じる。曽利監督曰く、ハリウッドに一矢報いたいと言っていたが、これじゃあただハリウッドのマネをして映画を作っただけのもの。しかもハリウッドならこれくらいのレベル、実写で十分作れるだろう。彼はいつまで『タイタニック』に関わりました、という看板を下げていくのだろう・・・。 最後に、黒木メイサの演技は下手すぎる。普通に声優を使えばいいのに、話題性があるからというだけで今流行りの人を使うのはいただけない。
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[003]善き人のためのソナタ
 内容が素晴らしいだけあり、勿体無い…sabu2008-02-29
 【ネタバレ注意】
ただ1つの欠点を除いてほぼパーフェクトな作品。 まだドイツが東西に分かれていた時代の東ベルリンを舞台に、一人の監視員の心境の変化を描く、正直なんてことのないドラマだ・・・
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ただ1つの欠点を除いてほぼパーフェクトな作品。 まだドイツが東西に分かれていた時代の東ベルリンを舞台に、一人の監視員の心境の変化を描く、正直なんてことのないドラマだが、それぞれのシーンに深みがありなんともいえない美麗な雰囲気を全編に渡り保つことが出来ている。 主要シーンのほとんどは、監視対象であるドライマンの部屋と、その上階の監視部屋で展開される。前者はとても華々しく、明るい光で彩られ、部屋ではドライマンとその恋人であるクリスタが等身大の愛を育みあっている。 そして逆に後者では、今にも饐えた臭いが漂ってきそうな薄暗く殺風景な部屋、緑がかかった暗くて重苦しい室内で主人公がヘッドホンに耳をやり、参謀が行われないかを調査している。 この対となるふたつの部屋の雰囲気作りもさることながら、主人公の滞在する上階の雰囲気が物語が進むにつれて「あまり悪くは無いんじゃないか?」と観客に思わせてしまう手腕が素晴らしい。 あることをきっかけに主人公は監視員という立場でありながら彼らを見守ることに徹する。そこからがこの物語が本当に面白くなってくるところ。 実際に参謀が行われているにも関わらず、上層部に報告しない主人公、しかしそれに薄々勘付き始める上司。この辺りの駆け引きもスリリングで見せ方も実に上手い。 言わずもがな、ラストの一連の展開はうなるような面白さ。淡々と進んでいくスピードがむしろいじらしい。監督が「まあ落ち着け、これからどうなるかゆっくり見せてやるから」と言ってるかのように思える。 冒頭で挙げたただ1つの欠点についてだが、それは主人公の心境が変化する理由にある。シュタージの職員を通じ、今まで散々良心を持った人たちを監房送りにしてきた。それは序盤の一連のシーンでまざまざと明らかになる。序盤の主人公の印象、それは「冷酷」ただひとつ。拷問にも近い取調べを容疑者に強いて、吐かせるまで寝させないという徹底した手法を説明している。 そんな人間が一体どういう過程において自分の良心を見出すのだろうか?これはそんじょそこらの理由じゃ片付けられない。この作品ではピアノの演奏を聞いた辺りから主人公の心境が変わっていく。 「え?それだけ?」という感じが正直なところ。 血も涙も人間がピアノの演奏だけでそんなに変わるものだろうか? 僕は納得できなかった。ここはピアノの演奏を発端にし、少しずつ主人公の心を動かす何かをシーンの中に散りばめていくべきだった。一瞬のことで全てを変えようというのは都合がよすぎる。その他の部分はとても上質なだけあって本当に勿体無い作品だと思う。
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[004]ローグ アサシン
 中身のなさに唖然。sabu2008-02-29
 
稚拙なアイデアから作られた作品だと思う。 おそらくこんな経緯ではなかろうか↓ 日本のヤクザを映画に出したい、あとカタナを使った決闘も撮りたい! 日本=アジアだから・・・主・・・
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稚拙なアイデアから作られた作品だと思う。 おそらくこんな経緯ではなかろうか↓ 日本のヤクザを映画に出したい、あとカタナを使った決闘も撮りたい! 日本=アジアだから・・・主演はジェット・リーでいいんじゃない? あとはアメリカらしくFBI捜査官を出すか。役者はどうしようかな・・・。 (プロデューサー、何気なくテレビをつける。そこにはトランスポーターのCMが) お?こいつなんていいんじゃない?たくましくてFBIっぽいぞ!よし、ジェイソン・ステイサム! あとはヤクザの組長だな、これは重要だぞ。・・・ん?ケンワタナベ?だめだめ、ギャラが高すぎる。う〜ん、アメリカ人にも顔なじみのある日本人誰かいないかな・・・。 あっ!そういえばハリウッド版呪怨に出てたあの渋い刑事役の奴なんていいんじゃないか?英語も喋れるみたいだし・・・! とまあこんな感じ。それを物語るかのように、中身が空っぽなストーリー。 全体的なテーマとして「裏切り」と「復讐」というふたつが物語の根底にあるのは分かるとしても、ローグがことごとく組織を裏切っていく描写を見ていくうちにそのテーマがどんどん希薄になっていく。後半になるにつれて「こいつは何がしたいんだ?」という疑問が浮かんできてしまう。 もちろん、ローグという人物はミステリアスであり、最終的なオチで驚いて欲しいというのも分かるし、そのうえでの設定作りなので仕方が無いのかもしれないが、ここまでまざまざと意味の分からないことをやられると、オチどうこうの前に観る気が失せてしまうのが勿体無い。 肝心のオチに関しても悪い意味で唖然。まさにポカーンという感じ。 この監督、エミネムなど有名なアーティストのPVを撮っているにも関わらず、映像にスタイリッシュさがないところも残念。目立って格好いいシーンやカットは無い。さらに加えて演出力も並以下だから特筆すべきものがこれといってない。 アクションシーンに関しては、頑張ってますよ!と広告で言う割には、全体的にアクションは少ない。しかも一つ一つが短め。中身に関してもビックリするくらい普通。 矢継ぎ早にアクションシーンが展開するようなジェットコースタームービーじゃなければ、深みのあるサスペンスでもない。何もかもが中途半端。 もう少し脚本の段階を丁寧に踏んでほしかった。
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[005]キングダム/見えざる敵
 “決着のない現実”をどう直視する?sabu2008-02-29
 
とても良質な作品、その一言に尽きる。 ストーリーを言ってしまえば至極単純な話。サウジでのアメリカ民間人をターゲットにした爆破テロの捜査、そして報復をするために合衆国・・・
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とても良質な作品、その一言に尽きる。 ストーリーを言ってしまえば至極単純な話。サウジでのアメリカ民間人をターゲットにした爆破テロの捜査、そして報復をするために合衆国のFBIが現地に赴くという話である。 この作品、タイトルや予告編から察するに、コテコテの社会派ドラマであることを予想していたが、実際はかなり深みのある社会派アクション映画だった。 冒頭では中東諸国とアメリカとの関係を明確に示し、いかにアルカイダのテロ組織がアメリカに憎悪を持ったのか?を明示している。正直、この辺りは物語の展開をスムーズにさせたいこじつけであり、本編とはそれほど関係ない。なのでここで色々と頭を働かせなくても本編には十分ついていける。 序盤では卑劣なまでのテロ攻撃の現状を、そしてそれによりアメリカ政府が出した答え→納得が行かず、サウジに乗り込むFBI捜査官。といったようなとっても分かり易い構図でシーンを繋げている。が、そこで単純にならないのは、サウジ政府、合衆国政府、FBIの思惑などの葛藤と、現代における問題や障害を物語内に上手く組み込めているからであろう。 現地に着いたFBI捜査官たちは捜査が思うよう出来ないことに苛立ちを募らせる。しかし、彼らの活躍がだんだん実になっていくにつれ、自由を与えられ・・・という一連の流れは政治的背景を含めながら描かれ、膨大なリサーチを必要とされたであろう秀逸な流れだ。 そこから終盤、物語りは一気にアクションのほうに流れていく。ここに全く違和感がないのも、その前までの見せ方の賜物。スリリングであり迫力のあるカメラワーク。実質アクション映画へと切り替わる場面だが不自然さは無い。 そして極めつけはラストシーン、両者の一言に尽きる。 やられたらやり返す、そして憎悪が生まれ、それは連鎖していく。まさに悲劇、殺人、憎悪のスパイラル。ここに決着は無い。どちらかが歩み寄るのか?暴力を行使して回避するしかない、しかしそこには犠牲がある、この現実を映画の中では語っている。この“決着のない現実”を知った時、僕らは感嘆する。深いメッセージではあるものの、それを感じさせな映画自体の作りのうまさは一級品とも言えるだろう。 個人的に、FBIに同行した現地警察のアル・ガージー役のアシュラフ・バルフムの演技が素晴らしいと感じた。オスカー級だが、アラブ系というだけでノミネートもされないだろう。それが現実なのかもしれない。 とにかく、タイトルは実に簡潔でサブタイトルがつくあたり、日本でのヒットは見込めないし、話題にも上らないと思うが、この作品にはそれらを凌駕した面白さがある。タイトルや予告に騙されず鑑賞することをお薦めしたい。
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[006]パンズ・ラビリンス
 心に幻想を、それは生きるための糧。sabu2008-02-29
 
現実と幻想がここまでうまく調和し、それぞれを引き立てている作品はなかなかお目にかかれない。 それでいて確固たるメッセージ性を孕み、抜群のカメラワークとライティングの・・・
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現実と幻想がここまでうまく調和し、それぞれを引き立てている作品はなかなかお目にかかれない。 それでいて確固たるメッセージ性を孕み、抜群のカメラワークとライティングのうまさで序盤からラストまで実にあっと言う間。 ファンタジーという媒体を含ませながらスペイン内戦の真っ只中と言う舞台背景にすることにより現実とファンタジーの差異がはっきりと分かり、それは凄惨なまでに観客の心に突き刺さる。 言うまでもなく近年稀に見る名作。やはりギレルモ・デル・トロ、鬼才にして天才的な演出力とクリーチャーの造形はやはり神がかり的。 観客の想像力をくすぐりつつ物語は展開していく。周りの冷ややかな態度に気付きながらも、自らの感性をストレートに表現していく少女オフェリア。彼女はやがて自分の世界を作りだす。これは一種の現実逃避みたいなものにも思えるが、それを感じさせない素晴らしさがある。 脚本の展開、カメラのカットバックも素晴らしい。オフェリアは与えられた試練を一生懸命にクリアしようとする。その一方で彼女の義父は政府に対抗するゲリラ軍を容赦なく銃殺していく。この血なまぐさい戦いからおとぎの世界に入り込むというカットバックは素晴らしい。現実と幻想を対比させることで現実をより残虐に、幻想をよりファンタジックにさせる。 それぞれのキャラクター設定もかなり活きている。ゲリラのスパイとして義父の邸宅に家政婦として潜入している女性と、ゲリラ軍の一員である彼女の弟。この二人の関係もかなり良く、実にスリリングだ。 どこをとっても秀逸なこの作品、外国語映画賞では圧勝と思われたものの『善き人のためのソナタ』にオスカーを奪われてしまった。(個人的にはこっちのほうが断然いい)でもデル・トロ監督はいつか必ず獲れるだろう。全盛期のティム・バートンやテリー・ギリアムを髣髴とさせる演出力と独創性、それでいてこんなにも人々の心を熱くさせる映画監督。少なくとも今は彼の独壇場だと思う。(その証拠に今後も様々な作品を手がける予定)ヘルボーイ2には期待してはいないが・・・。 なぜ人間には幻想が必要なのか?現実にはないものを求めることに意味はあるのか?これは究極の問いのように思える。しかし、この作品を見るとおそらくその答えは一変するのかもしれない。人の心の中には紛れもなく幻想は必要なのだと。
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[007]スターダスト
 ファンタジーならなんでもアリはダメかと…sabu2008-02-29
 【ネタバレ注意】
いい所は沢山あるが、同じくらい悪い部分がある作品。 御伽噺のような語り口から物語りは始まり、徐々にストーリーに引き込まれていく。主人公であるしがない青年のトリスタン・・・
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いい所は沢山あるが、同じくらい悪い部分がある作品。 御伽噺のような語り口から物語りは始まり、徐々にストーリーに引き込まれていく。主人公であるしがない青年のトリスタンは、実に平凡であるが故にすんなり感情移入できるし、クレア・デーンズ演じる流れ星の女性も、少女のような感じで凄くかわいいキャラクターだ。 まずはいい部分から言うと、ストーリーの構成と工夫されたカメラワークだろう。 ストーリーにおいては、序盤色々なエピソードを語らせつつ、それらが終盤に向かうにつれて収束していく過程が面白いし、実にファンタジックだ。それぞれのキャラが立っているので、見ていてワクワクするし、ロマンチックな場面ではドギマギしたりする。 カメラワークもなかなかうまく、通常ではシーンの移り変わりでダレる場面がそうならないよう工夫されている。例えば、夜空に浮かぶ満月のあとに、別場面でコインが空中に投げられ浮かぶシーンを入れる。こういった一連のシーンつなぎが上手い。 この手法はキューブリックの『2001年宇宙の旅』の冒頭で原始時代の猿人が骨を空中に投げた直後のシーン、その骨が宇宙船に変わるというカットで使われ、その当時は画期的なカット割として評された。その古き善き手法を多用している。 このように面白い部分はそれなりにあるがやはり悪い部分、納得できない設定はスルーできない。 まず、ファンタジーというジャンルにおいて、現実世界と幻想世界が融合している舞台背景の場合、どうしてもそれらが交わっていないという設定を作りたがり、実際交わっていないなら、どうしてそうなるかという説明は絶対的に必要不可欠なのである。この作品はそれらをすっ飛ばしている。 例えば主人公が住むのはイギリスの外れにある小さな村であり、この世界はイギリスなわけだから、現実世界なのである。その証拠に、物語内でパリ、ロンドンなど実際の地名が登場している。 にも関わらず、その村の外には壁があり、それを越えてはならないと言う。その先は魔法の国があるからだ。壁の番人が言うには、この壁を越えたものは誰もいないという。まずここでそんなはずないだろうという疑問が浮かびあがってくる。 人間には好奇心があり、村の外にそんな壁があったら誰でも超えてみたいと思うはずだし、パリやロンドンがあるなら、そこにいる研究者や冒険家が絶対興味を持たないわけがないだろう、と。 その壁もそもそも2mあるかないかくらい。本気を出せばどこからでも越えていける。この村、この世界の人間には探究心がないのか?いや、好奇心がない人間なんていない。この一連の設定は全て物語りを作るうえで都合よく作られたものであり、納得のいかない部分だ。 デニーロ演じる海賊も、イギリスは好きなんだ、イギリスの話をしてくれ。と劇中で語る。イギリスに行ってみたいなどという願望を仄めかしている。じゃあ行けばいいじゃない。自分で行く気はないのか?そんな大そうな空飛ぶ船があるんだから。本当、バカな連中ばかり。 この物語の登場人物は、作者の都合のいいように作りすぎだ。もう少し人間というものを見直してみたほうがいい。ファンタジーだからなんでもアリなんだよ、という設定は個人的には目を瞑れない。先日見た『パンズ・ラビリンス』と比べてもその描きかたの差は歴然だ。そこに現実があるからファンタジーは活きるものだと思っている。 しかしながら、設定をすっ飛ばして見れる人にはオススメできる映画だ。
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[008]インベージョン
 均整の取れた社会は果たして善か?sabu2008-02-29
 【ネタバレ注意】
映像と俳優の演技力(それに裏打ちされるのは監督の演出力)が突出して素晴らしい作品。ドイツの巨匠であるヒルシュビーゲルらしいといえばらしい題材。 この監督とにかく観る側・・・
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映像と俳優の演技力(それに裏打ちされるのは監督の演出力)が突出して素晴らしい作品。ドイツの巨匠であるヒルシュビーゲルらしいといえばらしい題材。 この監督とにかく観る側の心理、それは不安や恐怖、安堵感や不信感などの感情をあたかもそのまま映像に描写したようなカメラワークとライティングの色味をつけるのがとにかく上手い。その手法は『es』で遺憾無く発揮されてるがこの作品も彼の映像表現を称える代表作となるであろうことは間違いない。 何の変哲も無い日常から、主人公は何かがおかしいと感じ始める。街の人たちの様子がおかしい。この辺りから序盤の鮮やかな色合いが次第と歪になっていく。まさに僕らの不安を煽るかのようななんだかモヤモヤした色味。不自然な位置から撮られたカット。いつもと何かが違う、これを監督は映像で表現している。 そして俳優陣の演技。特筆すべきはやはりニコール・キッドマンだろう。彼女はこの作品で人間の持つあらゆる感情を表情や全身で表現している。特に感染した人間になりすますための感情を殺した演技がすばらしい。 序盤では感情を殺すことが出来ずに表情に少しだけ人間味が残ってしまっている。しかし、終盤ではその人間味も薄れていく。この間、彼女は3パターンほどの表情を用意し、それを場面ごとに使い分けた。監督の力添えもあっただろうが、やはり彼女自身の演技力の賜物と言えるだろう。 逆にダニエル・クレイヴ。彼は・・・感情を殺している時も、普段とあまり変わらない。なんというかこれはニコール・キッドマンが凄すぎるという点と、ダニエル・クレイヴの顔の作り(表情に感情が出にくい外国人特有の硬さ的な?)がアダになったかな?とも思う。 ストーリーに関しては正直、とても単純であり、メッセージ性も分かり安すぎるほど如実に見て取れる。 それもやはりラストシーン、中盤でロシアの外交官が言ったメッセージを復唱する場面があるが、あれこそこの物語の中核を成す部分。 これは個人的には要らなかったような気がする。このセリフを復唱させる意味はこの作品の中核を全部バラすことであり、この作品のイメージがここではっきりしてしまうからだ。 このセリフは、エンドロールの最中に観客がまた映画をいちから思い出し、この映画のメッセージ性を改めて考えるという楽しみを奪ってしまっているように思える。
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[009]ブレイブ ワン
 許す、許さないは問題じゃない。sabu2008-02-29
 【ネタバレ注意】
簡単に言えばジョディ・フォスター版『処刑人』みたいな作品だ。 でもそれと最も違う部分は、フォスター演じる女性は暴漢の被害者であり、なぜ犯罪者を憎むようになったのかを・・・
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簡単に言えばジョディ・フォスター版『処刑人』みたいな作品だ。 でもそれと最も違う部分は、フォスター演じる女性は暴漢の被害者であり、なぜ犯罪者を憎むようになったのかを徹底的に描いている部分。 犯罪者を憎むという解釈には若干の誤解があるかもしれない。彼女は犯罪者に対する感情が物語り内で変化していく。 はじめ、犯罪などは到底自分には起こり得ないことであり、それに対して恐怖を抱くなんてそもそも他人事のように感じていた。しかし、いざ自分が被害者の立場になってみて気付かされる。人間とは暗く恐ろしい生き物だと。ここから彼女は犯罪者を恐れ始める。しかし、彼女はヤミで銃を買い、それを使ってしまったことにより何かに目覚めるのだ。 なにかとんでもない力が自分の中で目覚め、今まで感じたことのない感覚にとらわれる。ここでとても活きたのは彼女の職業設定だろう。彼女の職業はラジオDJ。声をリスナーに届けることを生業とし、彼女の武器はそれまで自らの声であった。しかし、ここで彼女は自分の体を使って何かを成し遂げる、という結果を生み出したことにより、自分の武器を増やしてしまったのだ。それが幸か不幸かは見る側が決めることだろう。 この作品において議論されがちなメッセージはやはり彼女の選択という部分だろう。この映画、見る前からきっと賛否両論、色々な意見が出るのだろうなと思ったがやはりその通りだった。でもそのことについて僕はあえて触れる必要はないと思う。なぜならばこの作品にはもう1つ僕らに深いメッセージ、ある可能性を示唆しているのだから。もしかしたらこの作品のメインはこっちなのかもしれないと僕は感じた。 それは“平凡である人間誰もが彼女のように劇的に変わり、人を殺してしまうことがあるかもしれない”という可能性だ。この映画のもう1つの見所、簡単に言えばそれは心の奥深くにある人間の暴力性である。 彼女は劇中では復讐と言う行為を早くから始めていない。そもそも彼女の目的は復讐ではないのだ。 彼女は恋人を殺され、犯罪者を憎んだが、それ以上に彼女は犯罪そのものを恐れていた。それはもう絶望的に。しかし、犯罪者を1人また2人と殺していくうちに、自分は犯罪者にも勝る力を手に入れたと確信していく。これは一種の報復のような行為である。 2つの事件を起こした彼女はわざわざ自ら犯罪者に近づくような行動を取る。ここではすでに自分の力量に自惚れていたのかも知れない。 では彼女は何によって動かされていたのか?犯罪者を殺してやりたい。被害者を増やしたくない。この街を犯罪のない世界にしたい・・・そんな簡略的な想いではない、彼女は“自分がどこまでできるか試してみたい”と思っていたんじゃないだろうか。もしそうだとしたらとても恐ろしいことである。 ついこの前まで被害者であり、被害者が感じる心の傷を理解しておいて、自ら加害者になってしまうのだから。 僕が個人的に感じたのはこのようなメッセージだ。人間の心境というのは刻一刻と変化する。しかしその変化の道筋が逸れてしまったら?それはとんでもない結果を招くことになるかもしれないという警鐘。そしてその可能性は誰しもが持っているということを、この作品では言っているのではなかろうか。
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[010]フライボーイズ
 ドラマ部分はちょっと詰め込みすぎ。sabu2008-02-29
 
戦争映画の虚無感と青春映画のすがすがしさを併せ持ったような作品。第一次世界大戦を背景にまだ米軍が中立を保っていた時代のアメリカの若者が自らフランスに志願兵として赴き・・・
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戦争映画の虚無感と青春映画のすがすがしさを併せ持ったような作品。第一次世界大戦を背景にまだ米軍が中立を保っていた時代のアメリカの若者が自らフランスに志願兵として赴き、戦闘機パイロットとなり活躍する。 監督のトニー・ビルは自身、大の第一次世界大戦おたく。とにかくこの作品では複葉機での空中戦を優雅に且つ華麗に描きたかったんだなぁという意志は伝わってくる。 第一次を舞台においたのが実はミソで、この頃はまだ戦争においての概念があまり確立されておらず、空中戦に関してもなんだか騎士道を思わせるような作法がある。卑怯な戦法は取らず、真正面から堂々と勝負をする。それが清々しさに繋がるのだが、戦争をしてるという感じがしない。どちらかというとなんかの競技をしてる感じ。 この辺りの描き方が何だかちょっと物足りない。肝心の空中戦も、色々な作戦があるのだが、何がどう違うのか分からず最終的にはちょっと飽きてしまった。もっとアクロバティックに描けないものかなとも思う。戦闘機じゃなく複葉機、と言う部分が少し足かせになってしまったのか。戦闘機ならもっと攻撃や攻め方のバリエーションが多様で見せ方も工夫できたのになぁ・・・。 ドラマ部分はなんか『海猿』みたいな感じ(心なしか主演のジェームズ・フランコは伊藤英明に似てる・・・?)。愛もあり、青春のほろ苦さもあり、熱い友情もあり・・・そこにプラス、先輩パイロットの復讐エピソードなんかも絡んできて実にボリュームがある。故に一つ一つのエピソードがすごく薄く、キャラクターも説明不足なのでどうしても物語りに集中できない。 ここはとりあえず深く掘り下げるもの、そうでないものの差異を見極め描いて欲しかった。 しかし、やはり実話ならではの説得力はある。歴史の時間軸そのままに描き、彼らがどんな気持ちで空に飛び立っていったのか?がよく読み取れる。
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[011]ボーン・アルティメイタム
 順を追うごとに面白くなる稀なシリーズsabu2008-02-29
 【ネタバレ注意】
マット・デイモンの新境地を切り開いたアクションシリーズの完結編。シリーズを追うごとに面白さは増し、ドラマはより深い展開を見せていく。今作もデキは上々で、十分満足でき・・・
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マット・デイモンの新境地を切り開いたアクションシリーズの完結編。シリーズを追うごとに面白さは増し、ドラマはより深い展開を見せていく。今作もデキは上々で、十分満足できる作品に仕上がっている。 この作品の特徴と言えばやはり、今までにないスタイリッシュな映像美とアクション、そしてアクション映画にあるまじき濃密なストーリーだろう。CIAをおわれた主人公のジェイソン・ボーン、彼の記憶をなくすことによって観客はすんなりと感情移入できるし、何よりマット・デイモンの堅実で揺るぎのない演技力がこのシリーズを確固たるものにした。 今作はアクションシーンを割と抑え、ドラマ部分に重点を置いている。しかしアクションシーンも短い中だが凄まじく濃密なので前シリーズとは引けを取らない。 完結編だけあり、そのストーリーの内容もより確信に迫っている描写が序盤から展開される。 絶妙な撮影方法も健在で、手持ちカメラによる意図的なブレが観客の心理状態と上手くリンクし、上質な緊迫感を演出している。 この作品、個人的な意見を言えば、演出、撮影方法においてはノーミス。危なげな橋も渡ることなく、そこにオリジナリティを上乗せしている。ストーリーもなかなか練られていて、終盤、思いがけないオチも待っている、とてもお得な映画。最後を飾るには相応しい。 ドンパチやっても主人公には絶対弾が当たらないような柔なアクション映画じゃないことは既に前シリーズで証明済み。この作品で多くを語ることはあまり意味の無いことなので素直に見ごたえのある完結編とだけ言えば十分かと・・・。 特に序盤〜中盤あたりの駅構内でのやり取りと、ラストのやりとりはかなり見ごたえがある。アクションシーン以外の部分でこんなにヒリヒリとした緊迫感が出せるのは凄い。同じシーンを幾つのカメラアングルで撮影したんだ?と素直に思わせるカット割り、それが瞬時に切り替わる。BGMの使い方も秀逸。ラストもくどくなくていい。 見た目は白濁でこってりとしていそうな豚骨ラーメンのスープを飲んでみると、驚くほどあっさり・・・なんつうか、こんな感じの映画です。
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[012]ナンバー23
 粗探しだけで小一時間は盛り上がれる?sabu2008-02-29
 【ネタバレ注意】
物語の入り口はとてもいい感じだと思う。1人の男がある古本を手にすることにより自分の人生が一変する。一見すると、かなりスリルとサスペンスに満ち溢れた作品のように感じる・・・
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物語の入り口はとてもいい感じだと思う。1人の男がある古本を手にすることにより自分の人生が一変する。一見すると、かなりスリルとサスペンスに満ち溢れた作品のように感じる。 が、正直合格点を出せるほどの映画ではなかった。骨組みがもっとしっかりしていれば面白くなる要素は十分にあるのに残念。 まず、なにかにつけて無理矢理。主人公が本を読み始めるにしても、その展開を作りたいがために唐突に古本屋で本を薦める彼の妻。あからさまに不自然。 そして本を少しずつ少しずつ読み進める主人公。なんで物語内容が自分の生い立ちと酷似していて物凄く気になっている本なのに1日で読破しないの?と・・・。 それで中盤、この本を書いたのは一体誰かという答えを追い求めながら自らも呪われた23という数字に蝕まれていく。ここらへんの描き方はそれなりに良いのだが話があっちこっち行き過ぎていて統一性が無い。 以下ネタバレ。 終盤は完全に今まで出してきた全ての伏線を半ば無理矢理回収する。もうその無理矢理さは笑える。特に犬の謎はすごい。正直、犬をこの物語に絡めてきたのは今までにない斬新さがあり、面白くなるかな?と思えた伏線の1つだったのに、ただ事件を目撃していただけなんて・・・。まさに家政婦は見た!の犬版。 最終的なオチは、真犯人は誰かを模索していって、結局自分でした系オチ。この手法はもう見飽きた感があるのは否めない。このオチでも他の骨組みがしっかりしていれば納得できることもある。近年公開された『シークレットウインドウ』も同じ類のオチだが、こちらにはしっかりとした推理要素があり、展開も面白かった。こういう骨組みがこの作品には絶望的に足りない。 ここがこうだから、こういう結果になる。その納得性の下手さだけが目立つ。 この映画を見終わったあとはきっと粗探しだけで盛り上がれるに違いない。
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[013]アイ・アム・レジェンド
 無神論者の孤独と希望sabu2008-02-29
 
まず先に、この映画についてはネタバレなしで書くのが難しいので先に言っておきます。 色々とネタバレありますので未鑑賞の方は以下は見ないほうがいいと思います。 フランシ・・・
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まず先に、この映画についてはネタバレなしで書くのが難しいので先に言っておきます。 色々とネタバレありますので未鑑賞の方は以下は見ないほうがいいと思います。 フランシス・ローレンスが監督と言うことでかなり期待していた今作。過去に公開されたリメイク&オリジナルは全て鑑賞していなかったので新鮮な気持ちで見ることが出来た。 癌を克服することができる新薬が開発された3年後、人類は絶滅した。その新薬の副作用により、恐るべき病気が発症したのだ。その新薬を使っていない人間も全ての感染経路から漏れなく人体に侵入してくる。KVと呼ばれるそれは発症後、狂犬病に似た症状が出て、その後病気が進行すると、90%の確率で死亡し、残り10%は理性を失い凶暴性だけが増し生き続ける。外見ももはや人間と呼べはしない。 そんな世界で1人だけ生き残った主人公が、人類を救うために翻弄する。それが彼の目的であり彼自身を生かしている希望でもあった。この設定背景を踏まえつつ、物語は進んでいく。 まずいいのはやはり映像。ローレンス独特の手法とも言える映像の色身は展開にいっそう緩急を与えるエッセンスとなっている。VFXのデキもかなり上々。冒頭の狩りのシーンはなかなか素晴らしい。そんなエンターテイメント性を押し出しながら語られる孤独との戦いは目を見張る。 主人公の過去と現在を行ったり来たりする構成もなかなかいい。主人公の心の傷となっている部分を一度には見せず徐々に見せていく。物語が佳境に入るまで彼のこれまでのいきさつは分からない。どうせなら何故自分だけが生き残ったのか?をもう少し詳しく描いて欲しかった。 物語が進んでいくうちに、ああ次はこうなるのかな?と思わせる展開をラストで裏切ってくれた。このラストは賛否両論ある部分だろうか。どうせなら生きて伝説になって欲しかった、と。 まあこの尺なら仕方ないのかな。ラスト、地下のガラスの割れた模様が蝶になる伏線はさすがだった。うまい伏線だが、ここで主人公が自分が死なないとこの世界を救えないと感じた理由があまりはっきりできず残念。それか若しくは、自分の娘を思い出しまた会いたいと思ったのだろうか。どちらにも取れる蝶の仕掛け、感慨深いものがある。 この作品でうまいなと個人的に思ったシーンをひとつだけあげてみよう。 それは主人公が女性と子供に助けられ、3人で朝食を食べるシーン。主人公は希望にすがりつく女性につい感情的になり食べていた皿を床にぶちまける。その瞬間危機を感じた女性は銃を構え、子供はナイフを持つ。 子供が危機を感じてナイフを持つというこのシーンは素晴らしいと思う。こんな小さな子供でさえも自分が置かれた状況を理解し、危機感を感じると同時に自分の身を守る術を瞬時に察知し行動する。それはまさに鍛えぬかれたいち兵士のような行動。そんな状況になってしまったという哀れみと、子供ながらに子供らしくないことをしてしまうという本能を観客に知らしめる上質なシーンだ。これは演出の賜物なのか、果たして本の段階で組み込まれていたのかは分からないが、とても映画を飲み込む手助けが出来ている場面であることは変わりない。
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[014]ウォーター・ホース
 終盤が特にヒドイsabu2008-02-29
 【ネタバレ注意】
ネス湖で不思議な石を拾った少年の物語。やがてそれは孵化し、中から見たことも無い恐竜の赤ちゃんが生まれる。 この話は世界的にも有名なネス湖のネッシーの写真(湖に恐竜の首・・・
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ネス湖で不思議な石を拾った少年の物語。やがてそれは孵化し、中から見たことも無い恐竜の赤ちゃんが生まれる。 この話は世界的にも有名なネス湖のネッシーの写真(湖に恐竜の首が出てるあの写真)から構想を得て製作されたらしいのだが、物語の冒頭に“このれは真実の物語である”とテロップが出ちゃう。 未だネス湖の怪物について、実在した物的証拠や確信的な証言がないのにこう断言してしまうのもどうだろう?現在に至ってはむしろ否定的見解が大多数だというのに・・・。 この辺りからこの映画大丈夫か?的な不穏な空気が流れる。 序盤は至ってシンプル且つチープ。この手のファンタジー系のお手本のような展開運び。 ここでこの時代の背景でもある戦争を絡めてきた辺りは評価できるかもしれない。 毎度言っているように、ファンタジーを描くに置いて現実的で凄惨な描写があるからこそ幻想的でファンタジックな描写が活きる。近年では『パンズ・ラビリンス』の描き方がこれに当てはまっており、やはり秀逸な作品となった。 戦争、軍隊を出してくる辺り、その作り方を髣髴とさせ期待が持てたのだが、終盤その期待は見事に裏切られる。 終盤のストーリー破綻は特にひどい。劇的に見せたいがために、多くのご都合主義を用いてわざわざ窮地を作り出している。以下はネタバレです。 まず、軍人が全員バカ。彼らを統率する隊長もバカならその部下もバカ。敵影を確認していないのにただの一本の無線で「とりあえず大砲を撃て!」なんて指示する隊長がどこにいますかと。 部下も双眼鏡でロクに確認してもいないのにとりあえず怪しいところに迫撃する。 そしてそんな大砲が飛び交う中、ネッシーに乗っちゃう少年。 え?そこは普通に陸にあがらせて、事情説明するなりなんなりして、とりあえず攻撃をやめさせてもらうことが先決じゃないの? んでもって、ネッシーは少年を背中に乗せ、猛スピードで水中に潜る、そして浮き上がる。 人間の体のつくりってものを完全に舐めてる。人はわずか1.2mという水深ですら場合によっては肺の中の空気が膨張し肺が破裂してしまう。ダイビングをしたことがある人間は特に注意するべき点である。 この映画で少年は猛スピードで潜水&急浮上を繰り返しているが、現実的にこういうことをすると人は死んでしまう。これを製作者はよく覚えておいた方がいい。 細かすぎ!と言われるかも知れないが、僕はこういう些細な部分のディテールをないがしろにしてしまう映画は好きじゃない。 近年、ファンタジー作品は大体ヒットが見込めるだけあり、色んなものが作られている。 この映画に関しても『ナルニア』や『ロード・オブ・ザ・リング』のスタッフが!などの宣伝文句を武器にしているだけあり、ヒットするのだろう。 でも僕個人の意見としてはお金を払ってまで行く映画では無い。
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[015]スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
 ティム・バートンマジックは健在です。sabu2008-02-29
 
すごくティム・バートンらしい映画。前作の『チャーリーとチョコレート工場』の次にこの題材を持ってきたのはとても良かったのではないかと思ってる。 まず前作が陽ならば、この・・・
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すごくティム・バートンらしい映画。前作の『チャーリーとチョコレート工場』の次にこの題材を持ってきたのはとても良かったのではないかと思ってる。 まず前作が陽ならば、この作品は陰。前作がバートンらしくないな〜なんて思った人は今作でああ、やってくれたな〜なんて思うに違いない。 このミュージカルを映画化しようと考えた時、何より困難なのは雰囲気作りだろう。 コメディの要素がありつつ、そこに描かれているのは殺人鬼の復讐劇。ようは真剣なことをコミカルに見せているのだ。そのベースを観客が不自然だな、と感じないような雰囲気は最低限求められることである。 バートンは映像作りに、不自然なくらいに黒はより黒く、そして白はより白く見せ、鮮血ほとばしる赤はディープな色彩で描いた。この黒白赤のコントラストがとても鮮烈。 そしてある場面ではもう不自然なくらいに明るい風景を描写している。こういう部分が合間に入ってくると観客が映像に飽きず、そのままストーリーに入っていける。雰囲気のダークさで言えば『スリーピー・ホロウ』に近いかな。 そして何よりこの映画の凄いところが一点ある。ミュージカル映画というものは実際においてあらゆる部分が不自然なのは一目瞭然だ。だって普通に生活している人がいきなり歌いだすなんて見た事がない。しかしバートンはそのあからさまな不自然さを笑いに変えた。 特に見て取れるのは、復讐を果たすターゲットの髭を剃りながら歌を歌う場面。もうなんというか、歌は後でいいからまず喉をカッ切れよ!と。んで最終的にほらほら〜逃げられちゃったじゃん〜!みたいな。 序盤はこのミュージカル調の映画に観客は嘲笑を浮かべるが、終盤は何の不自然さもなく、もはやこの一定の間隔が心地よいとすら思えてしまう。 これがティム・バートンが仕掛けた最大のマジック。 これに気付けた人とそうでない人は、たぶんこの映画に対しての評価がだいぶ違うんではないかな?とすら思える。 個人的に残念な点を一つ。 今回の楽曲はロンドンの舞台公演で使われてたものをそのまま使っているのだが、音楽でも何か一つくらい、ダニー・エルフマンが作って欲しかった。 ティム・バートンの映画=音楽はダニー・エルフマンじゃなきゃダメ!っていう個人的な見解があるからとっても理不尽で自分勝手な意見なのは本当に申し訳ない・・・。
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[016]アメリカン・ギャングスター
 マフィアとギャングの違いとは?sabu2008-02-29
 
マフィアと言えば・・・イタリア系の紳士、冷徹無比であり懐には凶器を常備している。しかし、スーツをビシッと着こなし、言葉遣いもどことなく紳士的というイメージがあるかもし・・・
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マフィアと言えば・・・イタリア系の紳士、冷徹無比であり懐には凶器を常備している。しかし、スーツをビシッと着こなし、言葉遣いもどことなく紳士的というイメージがあるかもしれない。 ではギャングとは・・・?主に黒人が思い浮かぶ。あからさまにガタイの良い背格好で、ジャラジャラと光物のアクセサリーを付け路地裏を肩で風を切って練り歩く。少なくとも僕はそんなイメージがあった。 しかしここで描かれるギャングのフランクにはそんなイメージは微塵もない。むしろ、ギャングというのは本来こういうものだと言う説得力があり、僕らの思い浮かべるギャングのイメージは長い年月の間どこかで擦り返られてしまったのかも知れないとすら思える。 この物語はNYを牛耳ったアフリカ系黒人のフランクと、彼を執念で追い詰めた刑事の物語である。史実に基づく映画として物語に説得力があるのは当たり前のことで、この作品を作るうえでポイントとなってくるところは“視点”だろうと思う。 同じものでも視点を変えれば違って見える。この映画はその視点がきちんとしていてるので、映画として物語をより深く理解できる。 ほとんどはフランクの物語であると言っても過言ではない。彼がどのようにしてNYを牛耳ったのか、それが事細かに描かれている。 フランクにはコネが無かった。自分のボディガード対象の顧客はハーレムを仕切っていた大物というだけで、自分には何の発言力も力も無かった。しかし、彼にはそれを変える力があった。いつもそばで見ていた、いわば自分の恩師から多くのことを教わった彼は経験と知恵を駆使し、頂点へとのし上がった。 彼が味方につけたものは“固定観念”だった。NYのフレンチ・コネクションは有名であり、多くのマフィアたちは様々なところで繋がり、それは膨大な走査線のようにあらゆる所を無駄なく網羅している。 しかし、フランクはそんな彼らが100年かかって出来なかったことをやってのける。 彼が味方につけた固定観念とは自分の人種だった。黒人であるが故、そんなことはできるはずもないという理屈があったおかげで彼にとってそれは隠れ蓑になった。 序盤のキャラ説明を事欠かず丁寧に、そして説明がちにさせず飽きさせない作りはリドリー・スコットの真骨頂。ぼんやりと見ていても、主要人物2人のキャラ設定は頭に入ってくる。そして彼らの周りを取り巻く人物に対しても徹底的にぬかりなく描いてる部分はやはりすごい。 物語が動くのはとてもスローだが、一切飽きのこない演出でまさに計画通り。終盤は息もつかせぬ展開へと発展していく。リドリーはもはや静と動のエキスパート。 全体的な演出、構成は史実ということにも助けられてか、無難だがミスの無いよう進められている。これといってあっと驚くシーンや展開がないのは残念。 とても良質な映画であり、難なくオススメできる映画であることは間違いない。しかし、この作品、強烈に心に来るものがあまり無い。『ゴッド・ファーザー』を見たときのような衝撃がほしかった。 にしても・・・個人的に好きな俳優であるキューバ・グッディング・Jr。あの使い方は凄く勿体無い!でもやっぱりスクリーンでの存在感はあった。
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[017]潜水服は蝶の夢を見る
 “人間でいること”は時に足枷にもなりうるsabu2008-02-29
 
各方面で絶賛を浴びた作品。 ELLEの編集者としてなに不自由のない暮らしをしていた主人公を襲った突然の病魔。 彼は全身麻痺に陥る。 これは実際に起きたノンフィクションもの・・・
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各方面で絶賛を浴びた作品。 ELLEの編集者としてなに不自由のない暮らしをしていた主人公を襲った突然の病魔。 彼は全身麻痺に陥る。 これは実際に起きたノンフィクションものの作品であり、全身麻痺に陥った主人公は約20万回の“まばたき”により、この『潜水服は蝶の夢を見る』を書き上げたという。 この映画の素晴らしいところは、演出やカメラワークにより、徹底的に主人公に感情移入させようと必死になって作られているところかもしれない。 結局、人というのは自分の人生を生きているのであって、大半の人は彼が背負う悲しみや悩みなんて知る由もない。 人は絶対に他人の立場には立てない。これは僕の個人的な通説みたいなもので、人の立場に立って物を考えているようで結局は第三者からの目線でものを考えているはず。僕だって誰だって。 この映画にしても、全身麻痺になった主人公が何を考え何を感じているのかは分かる。もちろん、第三者として。そこには主人公と観客という決して超えられない壁のようなもので隔たっていて、その壁を壊すことは容易ではない。 でもこの作品、その壁を壊しちゃうんですよ。 それがこの作品の素晴らしいところ。 まず、冒頭の30分あまり、主人公の目線で映像は進んでいく。気が付けばベッドに寝かせられていて、四肢が動かない。白衣を着た医者達が慌ただしく病室を出たり入ったりしていく。言葉は発しているはずだ、でも相手は何の反応もない。ここで初めて主人公は自分は喋れないんだ、ということに気付く。深い絶望と悲しみに包まれる瞬間だ。 この作品ではシーンに合わせカメラワークをポンポンと切り替えている。まずは冒頭30分の主人公目線の視点(もちろん、その後も出てくる)。そして俯瞰でのカメラワーク(普通の構図)。そして主人公の回想、想像の世界である。これを絶妙なタイミングで切り替える。全てが計算し尽くされたような素晴らしさ。演出はもはや言うまでもなく良い。 あれよあれよと展開が進むうちに、観客はどっぷりと主人公に感情移入していることに気付く。見事なカメラワークと演出力の賜物だ。 そして主人公はやがて葛藤するようになる。それは自分の人間性に悩む場面だ。 人間であって、人間ではないような気がする。 僕は生きているのだろうか?それともただ死んでいないだけ? 人間でいる、ということは時に足枷にもなり、それは紛れもなく自分の心の弱い部分に入り込む。「こんなの死んだ方がマシだ」と思うが、自分で自分を殺すことさえできない。 それが切々と刻まれるシーンの数々。 やがて彼は自分を憐れむのをやめた。そして自分の人間性に正直に向き合うため本を書くことにした。 本を書いている間も彼は、もしかして自分の人間性を模索していたのかもしれない。 普通の人間が本を書くことは容易なことだ。ペンを握って紙に文字を綴れば良い。 しかし、自分は違う。 彼は自らの言葉どおり「麻痺していない左眼と、記憶と想像力」で本を書いた。 何度も諦めようと思ったことはあっただろう。しかし、彼がそれでも本を書くのを諦めなかった理由。それは、“人間でいたかったから”じゃないだろうか? 彼はベッドの上で時折、想像の中で旅をする。 自分の記憶と想像力を働かせ、未だ行った事がない未開の地へも行くことが出来るし、綺麗な彼女と愛を育むこともできる。 それも人間だからこそできること。 全ての生き物の中で、唯一、人間だけが“想像する”ということができる。 彼は全身麻痺になり、そんな人間のナイーブな本質に触れることにより、自分の人間性を失うことなく生きていけたんだと思う。
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[018]マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋
 この映画はすごく勿体無いsabu2008-02-29
 【ネタバレ注意】
総体的に評価すれば、まあ合格点が与えられる映画だと思う。 映像美もちゃんとしているし、役者陣は皆ベテランなので手堅い演技をしている。 映像に関して言うと、まず色味が・・・
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総体的に評価すれば、まあ合格点が与えられる映画だと思う。 映像美もちゃんとしているし、役者陣は皆ベテランなので手堅い演技をしている。 映像に関して言うと、まず色味が特に綺麗。カメラワークもなかなか秀逸。 主におもちゃ屋さんの中が多いが徹底的に飽きさせない撮り方をしている。カラフルな玩具が画面いっぱいに溢れ、子供たちの楽しそうな表情がそれに上乗せされ、見る側を飽きさせない。 でも、一変して野外撮影になるとすごく質が落ちてしまうのが残念。 病院のシーンと、主役2人がダンスをする広場のシーンの物寂しさはひどい。とりあえず、俳優の演技一つでとりあえず場を繋いでる感じがする。(序盤のファンタジックでカラフルな雰囲気に慣れてしまうと尚更) そしてこの映画、脚本についてもすごく勿体無いな〜と思う。以下からネタバレがチラホラ。 この作品は物語がクライマックスに進むにつれて作品自体が消沈してしまう印象を受けた。 まず、伏線をもっと丁寧に回収できたはず。 例をあげれば、序盤にマゴリアムおじさんからもらった木製のキューブ。あれは物語内で重要な役割を果たすのは誰もが分かっていて、最後、何か驚くような展開に結びつくのかな?と思わせておいて結局その展開はたいしたものじゃない。もっと化かせてもよかった。 あと、友達のできない少年と、会計士のエピソード。この会計士のヘンリーって、個人的に一番変貌できる面白いキャラのような気がした。玩具や子供に全く興味がなく、彼が興味があるのは数字と書類。そんな典型的な“堅物の大人”がどのように心境が変化していくか?その過程ってとってもドラマチックに描けると思うし、それがこの作品の面白さの一端を担うくらい重要なものにもできる。終盤、まあ一応心境は変化したんだがいかんせん弱い。 何故、「少年とチェッカーの約束を断ってしまう」っていう面白い伏線を残しておいたのに、最後仲良くチェッカーをする場面を入れないんだ!?映画的観点から見てここをスルーすることはできないのに…。 あと、ぬいぐるみの猿の伏線もそう。物語序盤から猿のぬいぐるみが物悲しそうに何かを乞う描写を幾度となく挿入していて、観客もたぶん気になっていたと思う。それで最終的にヘンリーに抱きつくだけって…。なんか他にあったんじゃないか?って思う。 そして物語の本当の終盤、モリーが玩具屋を引き継ぐと決心した経緯が凄く弱いんだよなぁ。 キューブが飛び回って、何故かヘンリーが失神して、目覚めてヘンリーが説得して…。このあたりの一連の展開が無理矢理すぎる。意味もよく分からないし…。最後、綺麗に終わってるから気にならなかった人もいると思うが、冷静に考えてみれば結構な力技で無理矢理引っ張って幕引きをしている。 物語の基本である「起承転結」において起承転まではすごく良かったと思う。でも結が非常に弱く曖昧なせいで、それが作品自体にも影響しちゃってる。 すごく勿体無いなぁと思う。「起承転落」って感じ。
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[019]ジャンパー
 その場のノリだけで映画を作っちゃったsabu2008-02-29
 
瞬間移動とアクションを組み合わせたらきっと誰も見たことの無いアクション映画が出来るんじゃないだろうか? ・・・という実に安易なアイデアで作られた映画。 ストーリーなんて・・・
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瞬間移動とアクションを組み合わせたらきっと誰も見たことの無いアクション映画が出来るんじゃないだろうか? ・・・という実に安易なアイデアで作られた映画。 ストーリーなんてものはあってないようなもの。 特殊能力で瞬間移動を使える人間がいて、その力を利用していることを気に食わない輩VS瞬間移動を私利私欲のためにしか使わない輩という実にチープな構図。ただ延々に追跡、攻撃、逃避を繰り返すだけ。ドラマ部分は壊滅的なデキの悪さ。 序盤のストーリーテンポは良い。ハリウッド的スピード感でついていけなくなることもなく、頭で深く考えることもなくただ見てるだけで分かる。ただ、その後の展開のなさに唖然とする。 ストーリーとして言えば、主人公の生い立ちや母親などの謎が少しだけ描かれるが全部おざなり。主人公のガールフレンドの女の子もまったくキャラがたってない。キャラ作りに徹底さがないんだよなぁ。そのへんが観客をスクリーンに引き込めない要因の一つ。 そうするとやっぱり瞬間移動をいかに面白く見せるかってところで勝負するしかない。確かに序盤の方は主人公がスフィンクスの上にワープしたりビッグベンの時計台の上から下界を眺めたりするロケーションは雰囲気もあいまって新感覚な映像を作り出してはいる。しかし、バリエーションが無いからすぐに飽きてしまう。 アクション部分は別にその場で普通に戦えばいいのに、変に色んなところにワープして戦う。観客に飽きさせないよう配慮してるんだろうなぁっていう意図は分かるけど、瞬間移動はそういう方法でアクションに盛り込むんじゃなく、もっと画期的な使い方をして欲しかった。 ジェイミー・ベルがイギリス?に行って二階建てバスを持ってきた部分はまぁ良かった。具体的に言えばああいう特殊な使い方とでも言おうか、そういうのがもっとあっても良かった。 敵として扱われる輩の設定もまぁいい加減。何故ジャンパーをこの世界から排除するのか?その理由は描かれるが、しかし曖昧。そんな理由で命を賭けるな!(笑)それでこいつらは何でピストルとかを使わないの?証拠を残したくないからだろうか?なんか重たそうな鉄製の棒みたいなやつを使う。そんなもんよりピストルのほうが100倍役立つのに・・・。 SFアクションというのは名前だけでストーリーはカラッポ、アクションシーンも面白くない。個人的にはヘイデンファンくらいにしかオススメできません。
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[020]ノーカントリー
 最高級のディナーを味わった後の余韻sabu2008-02-29
 【ネタバレ注意】
この映画はとても独特で一見して全てを語ることは無理かもしれない。 しかし、この映画は、見終えた後、なんとも心に引っかかる何かを残し、同時にそれは一体何なのかを再考さ・・・
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この映画はとても独特で一見して全てを語ることは無理かもしれない。 しかし、この映画は、見終えた後、なんとも心に引っかかる何かを残し、同時にそれは一体何なのかを再考させる力を持っていることは確かだ。 この映画の面白さとは何か?を考える上で、多少なりとも僕の意見を参考にしてくれるのならばそれはとても有り難い事だ。 ◆保安官ベルのモノローグ 作品の始まりと終わりは似ている。ベルのセリフで始まり、そして終わるのだ。始まりはベルのモノローグから入る。自分が若くして保安官になったことと、残酷な加害者が理解できないこと、それを自虐的に嘆いている。 そして終わり、それは妻に向かって昨夜自分が見た二つの夢のことを話す。ここでベルは"自分の父親は先に行ってしまった、だけど自分を待っていることを知っている"と語る。これは父への愛情の表れであり、人々の死の摂理を受け入れ、それを悲観的ではなくむしろ楽観的に語っている。それはどことなく幸せなイメージすら与える。 この対照的な語りの中で、ベルという人間がどのように物語の中で心境が変化していったかが読み取れる内容になっている。 ◆殺人鬼シガーのコイントスと独自のルール シガーは自らの中にルールを持っている。コインの表裏で殺すかどうかを決め、約束したことは意味をなさないことであっても守る。それはどことなく奔放なイメージを感じさせる。 これはベルと対照的な人物像だ。ベルは父が保安官である影響から、自らも保安官になった。結果的に言えば誰かに影響された人生。しかし、どちらが正解とは判断できないのもこの作品の面白いところ。 シガーのこだわるルールにより、彼は意味の無い殺しをすることになる。それは物語終盤、金を持って逃げたルウェリンの妻を殺すことだ。金が無くなった今、彼女を殺すことは無意味だと分かっていながらシガーは彼女に銃口を向ける。 彼女が「殺す必要はない」と言うとシガーは"みんなそう言う"と返す。これはシガーの確固たるポリシーが確立されていることを表すセリフだ。 そして彼女を殺した帰り、彼は自動車事故を起こす。これは彼の中のルールが必ずしも正解ではないということを表していると思う。まったく無意味にルウェリンの妻を殺したうえ、帰りに事故に遭ってしまうと言う災難。しかし、難を逃れた彼は災難を災難と思わず冷静に対処する。 ここで僕は少なくとも恐怖を覚えた。それは彼の確固たるルールが彼自身をも凌駕しているのではないかと感じたからだ。"あんなことをしなければ事故に遭わずに済んだのに"彼は少なくともそんな後悔を微塵も感じてはいなかった。あたかも事故に遭うことすら、彼のルールの中の一部だというかのように対処するシガーを見て、恐ろしい人間だと言うことを再認識させられる。 ◆シガーとベルの共通性 彼らに共通することは2つある。劇中、2人はルウェリンという同じ人物を追うことになる。しかし結局、ルウェリンを殺し金を奪ったのは第三者。結局、彼らはルウェリンに辿り付けなかったのだ、これが一つ目。そして2人はもう一度現場に訪れる。これが二つ目である。彼ら2人は終盤、ルウェリンが殺されたモーテルにもう一度戻りドア越しで対峙する。緊迫感の先にあるもの、それは2人の感情の変化をもたらした。 ベルはドアを蹴破り、中に入る。しかし犯人の姿はない。ここでベルは確信する。"もう自分は保安官という仕事を全うすることができない"と。その証拠に彼はその後保安官を辞職することとなる。 一方シガーはその場から逃げる。今まで散々殺してきた人間が逃げるのはとても珍しい。彼は諦めたのだ。金を追う事自体を。 この2人が自分の目的を果たせなかったことがこの物語の重要な部分ではないだろうかと、僕は思う。 ◆この物語の時代背景と、この作品の原題を考える。 この作品の舞台となっているのはベトナム戦争終戦直後のアメリカ。人々の考え方が少しずつ変わってきた時代である。そしてこの『ノーカントリー』の原題『NO COUNTRY FOR OLD MEN』。直訳すれば「老人たちにとって、国はない」ということ。 人々の考え方と言うのは日々常に真新しいものへと変化していく。その過程で、古きに縛られているものは取り残されてしまう。このメッセージを伝えることが一番適切であるのがこの時代背景なのだ。 ・・・と言うように、自分なりにこの作品を紐解いて考えてみた。これはあくまで個人的に思ったことで、こういう部分を見つつ僕は映画というものを楽しんでいるつもりだ。結果分かったことは、"この映画は面白い"ということ。それに対しては微塵の揺るぎも無い。こんな映画がこれからも多く輩出されてくれることを願う。 長くなってしまった・・・。読んでくれた方、ありがとうございます。
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[021]ダイ・ハード4.0
 ウィリス+アクション=ダイ・ハードsabu2007-06-22
 
ブルース・ウィリスが出ているド派手なアクション映画は全部ダイ・ハードでいいんじゃないか?と思わせるような作品だった。いや、これは決して悪い意味ではない。 そもそも、・・・
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ブルース・ウィリスが出ているド派手なアクション映画は全部ダイ・ハードでいいんじゃないか?と思わせるような作品だった。いや、これは決して悪い意味ではない。 そもそも、ダイ・ハードシリーズの最大の見せ場はド派手なアクションに他ならないことは確かである。しかし、それに隠れるように存在していた、抜群のキャラ設定の面白さと、上手いドラマ展開と哀愁というのものも、このシリーズに必要不可欠な要素であり、現に前3作ではそれがあますことなく描かれていたと思う。 しかし、この4.0ではアクションシーンのド派手さだけが妙に際立ってしまい、肝心のストーリーは粗が目立つという結果になってしまったことは否めない。ただ、そこに映し出されたのは紛れもなくジョン・マクレーンだった。あの飄々とした語り口、どんな恐怖にも臆すことのない立ち振る舞い、常に愚痴を漏らす粋な親父・・・。そんな彼を再びスクリーンに蘇らせてくれただけで、僕は星4つをあげたい。 今回はサイバーテロと闘うのだが、やはり序盤からのアクションシーンの応酬は凄いものがある。登場人物のキャラ設定をアクションシーンのみで語らせるという手法はとても分かり易く古典的だが、いちいちキャラ説明を入れてると観客がダレてくるだろう、と思しき理由で無駄を一切排除。結果、とてもスマートになったと思う。親子愛も描かれていることは確かだが、本当に凄まじく浅い。とてもマクレーンらしい。ラストの敵の倒し方も派手さはないが、なんだか斬新だった。結局最終的には「正義は勝つ!」「愛の力は素晴らしい!」ってことで一件落着。ここまでされるとむしろ気持ちがいい。 近年公開した『ティアーズ・オブ・ザ・サン』という映画が実はダイ・ハードの続編として当初は企画されていた。最終的にはダイ・ハードには似ても似つかないようなシリアスな戦争映画に仕上がったが、僕はこれが『ダイ・ハード4』なんですよ、と言われたら納得してしまうかもしれない。それくらい、ウィリス+アクション=ダイ・ハードという方程式が僕の中ではしっくり来てしまう。
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[022]大日本人
 うわべだけを描く、現代の映画とは対極sabu2007-06-03
 
今の日本が抱える諸問題を様々なところに織り込みながら、それを皮肉じみた展開により強調している。さらにペーソスの中に笑いを取り入れることで、誰も見たことがない映画に仕・・・
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今の日本が抱える諸問題を様々なところに織り込みながら、それを皮肉じみた展開により強調している。さらにペーソスの中に笑いを取り入れることで、誰も見たことがない映画に仕上がった。この作品においての松本人志は天才だととらえるかも知れないが、この作品はとても練られていて、どちらかというと秀才が作り出したような完成度の高い、そして勢いだけじゃない作品だと思う。 まず、松本が独自で考えたヒーロー像が素晴らしい。序盤からドキュメンタリータッチで描かれ、大佐藤の人間らしさや人間臭さを部分的に見せている。それはどことなく物悲しくもあり、ある種、先祖代々と続いた呪縛に縛られているかのようにも取れる。この作品の素晴らしいところはそこにある。 普通のヒーロー映画の葛藤といわれている部分は、自分がヒーローであるが故のアイデンティティの保ちかた、正義の意味などという部分を切り取られがちだが、ここで描かれるヒーローはそんなものはもはや通り越し、ヒーローという意味を考えることすら馬鹿馬鹿しいと感じているようにも思える。 これは日本人の独特の考え方だと思う。ある種曖昧で、優柔不断のような。 それは劇中、大佐藤が「嫌だ嫌だ」と言っているにも関わらず、最終的に認めてしまいました、という場面が多数出てくることでも分かる。 そして様々な日本独特の問題を劇中で語らせている。核としては、やはりラストの一連のシーンなのかなとも思う。 笑いという一点を取れば、この作品はじゅうぶんに熟成した笑いを提供できている。冒頭にも言ったが、ペーソスの中に生まれる笑い以上に面白いものはない。それは松本本人も、自分の笑いの根底に常々持っているもので、それを多大にスクリーンに映し出せていると感じた。そこにプラスアルファ、演出の上手さが加わり、皮肉を織り交ぜ、とても完成度を高くしている。 ただ、この作品を面白くないと捉えることも分からなくはない。それはやはり、後半の展開がガラリと変わる部分、そしてはっきりとした起承転結がない部分に起因しているのだと思う。僕は逆に後半、特にラストの一連のシーンは秀逸だと感じたし、あそこはああ撮らないと全く意味がないと感じさせてくれた。 松本の映画作りの才能は素晴らしいものがあると思う、次回はさらなるものを作って欲しい。ただ、今回が面白かったからといって、空回りしないで欲しい。
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[023]300 <スリーハンドレッド>
 頭をからっぽにして見ても…微妙。sabu2007-06-01
 
史実であるテルモピュライの戦いを題材にしたらしいが、劇中のそれは戦いの名称以外全てフィクションなので、事前に知識を仕入れておく必要もナシ、それでいてドラマが驚くほど・・・
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史実であるテルモピュライの戦いを題材にしたらしいが、劇中のそれは戦いの名称以外全てフィクションなので、事前に知識を仕入れておく必要もナシ、それでいてドラマが驚くほど平坦なのでアタマで何も考えなくていい。 確かに今のフランク・ミラーは飛ぶ鳥を落とすかのごとく良質な作品を世に輩出しているが、この作品はなんだか違う。最初、ザック・スナイダーが監督と聞き、大丈夫か?と思った方も少なくないはず。悪く言えば単調で稚拙な作品、よく言えば大味で大胆なスペクタクルと言ったところだろう。 確かにこの題材でこの映像、という点に置いては新鮮だったのかもしれない。光の陰影を不自然なほど強調し、なおかつザラついた茶色がかった色調の映像と、VFXを全編にわたり織り交ぜている。その真新しさに、観客は序盤、心を鷲づかみにされるが、後半では飽きてくる。一本調子な物語となんのドラマも起伏もないストーリー、そして相変わらずの映像。映像にこだわりすぎてストーリーを練らなかった?ともとれる。 逆にこれが狙いだったとしてもいただけない。なんだか製作者側の「この映像でやれば全てが新鮮に見えるんじゃない?」みたいな小癪な意図が見え隠れしてならない。1つはこの作品のウリでもあるアクションシーン。ストップモーションと長回し、素早いズームなどを多用しているが、この手法も全然新しくない。いわばアクションの撮り方の基本とも言える。スピードに緩急をつけると、観客は追いついていけなく、それがスタイリッシュに見える。そう、この手法の肝は“見える”という部分。もっと言えば、見てる側に錯覚させているとも言える。 アクションにこだわった映画の中にはこの手法をあえて取らないものも沢山存在している。もちろんその作品の意図は「うちのアクションシーンは他のものとは違います」というところだろう。この映像にこのアクションシーン。なんだか手を抜いている気がするのは否めない。個人的に残念に思ったのは残酷な描写が少なかったところ。スナイダーは一般向けにちょっとそこらへんを控えめにしたのか? ストーリーは至極単純。キャラクター達の内面をひとつも描けてないし、葛藤なんてのも形だけ。善悪の区別も容易。醜いもののほとんどが悪、勇敢で力強いものが善。単純明快すぎる。この映画はそこらへんの快活さにカタルシスを感じられるかどうかなのかも知れない。
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[024]プレステージ
 問題はオチじゃなくキャラ設定。sabu2007-05-29
 
基本に忠実だが、もったいない部分も多々ある映画だなと思う。 原作は各方々から評価され、このミステリーがすごい!でも上位に食い込んだだけあり、物語背景や地盤がとてもし・・・
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基本に忠実だが、もったいない部分も多々ある映画だなと思う。 原作は各方々から評価され、このミステリーがすごい!でも上位に食い込んだだけあり、物語背景や地盤がとてもしっかりしている。何しろマジックという設定を盛り込んだ重厚なサスペンスという物語は今まで見たことがなかった。 しかしこの映画、まずどちらの主人公にも共感できないという欠点がある。対照的であるような二人のマジシャンだが、そこまで対照的でもない。 名声を得たい、相手が有名になるのが悔しい、野心があるという部分では二人とも同じ、性格の面でもはっきりとした差異がないし、何より両名ともミステリアスな人物なので、腹のうちが読めない。ゆえに何を考えているのかが分かりづらく、結果的に共感できないということに繋がってしまう。 この面白い設定を作り出してこのキャラ設定は非常にもったいないと思う。一人は天才で、もう一人が努力家の秀才。こういう単純だが分かり易い関係のほうがもっと物語が活きてくるような気がした。 そして肝心の物語だが、美術や描写にも助けられ、うまい展開運びが出来ていると思う。時間軸をズラすことにより、新たな事実を観客に突きつけるタイミングを計っている。観客は断片的に頭の中で物語を整理し、その中からパズルのヒントを見つけ出し、オチを推理する。とてもスタンダードだが奥深い内容である。マジックやトリック、手品の要素を物語の様々な個所に当てはめていくと同時に観客にもこの作品の“タネ”を考えさせるという手法、そしてそれの見せ方と監督の手腕はとても評価できると言っていいだろう。 正直、オチどうのこうのはどうでもいい。こんなオチは勘のいい人だったら序盤で分かるし、なにしろ作品の冒頭に「この物語の結末は言わないでください」と煽る映画に素晴らしいオチがあったことなど今までに1つとしてないのだから。
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[025]ザ・シューター/極大射程
 ドラマとしてもアクションとしても秀逸!sabu2007-05-15
 
傑作と言われた原作は未読だが、方々の評論家から絶賛されたという小説の映画化なので、期待はしていた。『エネミー・オブ・アメリカ』などの映画を髣髴とさせる作りで、主人公・・・
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傑作と言われた原作は未読だが、方々の評論家から絶賛されたという小説の映画化なので、期待はしていた。『エネミー・オブ・アメリカ』などの映画を髣髴とさせる作りで、主人公の敵となるのはアメリカ合衆国政府。こういう面もハリウッド映画にありがちな「アメリカ万歳!」という実にチープなクライマックスを迎える映画と比べればそれなりに好感の持てる作りだ。 主人公は孤高のスナイパー。遠距離射撃の精度は神がかり的で、1600メートル先の標的も射抜くほどの名手だが、近距離戦に関しても全く侮れない。まさに万能タイプの主人公。しかし、スナイパーにありがちな性格設定である偏屈がまったくなく、どことなくワイルド。それをウォルバーグが演じたらやっぱりかっこいい。 序盤の主人公がハメられるまでの展開運びが実にスピーディでありながら、まったくキャラ説明を怠っていない見せ方は実にうまく脚本ができている。 中盤は、政府の手から逃れながら真相を探っていくというお決まりの展開であり、アクションシーンなど、派手な展開があまりないのだが、一人一人の人物のキャラの重厚さに支えられ、うまいドラマ作りが出来ている。 終わってみれば、そこまで派手さがないことが分かるが、ストーリーの展開に無理が無いので、どこかでつっかかることなく最後までドキドキ感を持続させながら見ることができる。 フークワ監督はもともとは少しクセのある演出をする人だなと、個人的に思っていたが、今作、そのクセはまったくなく、万人が楽しめるようにできている。それを残念に思うかどうかは人それぞれだが、少なくとも僕はそれが心地よかったように感じる。 アクションがウリの映画だが、僕はあえてウォルバーグのかっこよさと、緻密なストーリーの練り方、展開のテンポのよさをこの映画の見所と考える。
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[026]スパイダーマン3
 詰め込みすぎたー!!惜しい!!sabu2007-05-03
 
ヒーロー映画にはあるまじき心理描写を巧みに描くことでも有名なこのシリーズ、やはり今回もそのあたりの葛藤はすごくよく描けている。 特に今回はキャラクターがとても多く、・・・
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ヒーロー映画にはあるまじき心理描写を巧みに描くことでも有名なこのシリーズ、やはり今回もそのあたりの葛藤はすごくよく描けている。 特に今回はキャラクターがとても多く、その一人一人に心理的変化ないしは葛藤からの脱却という、ドラマ映画さながらのスケールで描かれているのが魅力的であろう。 それ故にこの『スパイダーマン』というシリーズは常に異端な部分で語られることが多かった。 その最も大きな所以としてはやはり監督のサム・ライミの影響は大きい。昔、『死霊のはらわた』などのスプラッター描写たっぷりな作品を撮り続け、その線のファンからは神にまで崇められた人間がまさかスパイダーマンを撮るなんて夢にも思わなかった。 ライミをもってすれば人を恐怖に陥れることと、ヒーローが大げさに自分の存在意義を問い、それを人に共感させることは同じようなことなのかもしれない。 今作は冒頭でも言ったように、個々のキャラの心理的葛藤がとても良く描かれている。特に復讐心に目覚めるという点では、その過程の描き方は秀逸。でもおそらく、映画を途中まで観ていて大抵の人は思ったはずだ。ここまでストーリーの展開を膨らませすぎて、収拾がつくのだろうか?と。 はっきり言って、途中までの展開と主人公の葛藤、そしてそれを取り巻く周りのキャラクター達のそれぞれの心の変化を最後に一気に収拾してしまう。 この膨れ上がった展開を丁寧に収拾しようとすればもうプラス1時間くらい尺が必要だっただろう。サム・ライミは何故か今作、焦りすぎた印象があるのは否めない。 しかもスパイダーマン、もう1つのうりはなんと言ってもアクションシーンなわけだから大変。キャラの絡みの合間合間に派手なアクションシーンを入れないといけないわけだから、さらに展開が速足になる。 その大きな理由として、やはりキャラが多い。敵役だけで3人いる。 正直、今作の敵はサンドマンだけに集中して欲しかった。ニューゴブリンのエピソードはあのままでいいから、サンドマンvsスパイダーマンの描写をきっちり描いて欲しかった。そして個人的にヴェノム好きな僕からしてみれば、あの敵は『4』にまわしてもいいような気がする。 原作ではとても面白いキャラクターなんだから、1作を通して丁寧に描いて欲しかった。 と、このように文句を言っているようだが、映画としてのデキはやはり素晴らしいものがある。アクションシーンに関しては2作目以上のものができるのだろうかと思っていたが、結果的にできてしまった。これだけ詰め込めばファンにとってはお腹いっぱい。個人的に言えば、惜しい! その一言に尽きる。
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[027]バベル
 単純な映画じゃないsabu2007-04-30
 
どちらかというと難解で、賛否両論も分かるような映画だし、この映画にひとつの答えを求めようとするのも野暮である。 真に敷かれたメッセージは、コミュニケーションができな・・・
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どちらかというと難解で、賛否両論も分かるような映画だし、この映画にひとつの答えを求めようとするのも野暮である。 真に敷かれたメッセージは、コミュニケーションができないためのわずらわしさ、というものだが、イニャリトゥ監督はこのメッセージ性を単純には表現していない。様々なキャラの切り口から時間軸をズラし、映画を鑑賞しながらそれらが繋がっていることが分かってくる。『21g』ほどブツ切りではなくスマートに仕上がっているのは、何よりもメッセージを素直に伝えたかったからであろう。 そんな中で「だったらもっとストレートに見せろ」という意見もあるかもしれないが、それがイニャリトゥ監督のいい意味での一種の小癪さであり、彼の作品が好きな人にはまさにこの部分がたまらない。 この作品はまさに脚本が秀逸だ。難解でパズルのようなストーリー、そして後半にいくに連れて、どの物語も盛り上がりを見せ、クライマックスへと助走していく。 言葉が伝わらない、コミュニケーションがとれないことのもどかしさ、理解と価値観の相違、そして言葉でなくとも伝わるという対極の部分も少しだけ見せることにより、それが救いになっていく。日本パートは他国の人でも分かり易いように、聾唖の少女を軸にした。そして実はこの日本パートが一番分かりやすく、メッセージ性も色濃く出ている。 言葉以外の方法でしか意思を、気持ちを伝えることができない彼女の、全身を使いメッセージを発しようとするその行動は、一見不可解にうつるかもしれないが、彼女はそういうことでしか自分のアイデンティティを見出すことが出来ないのだ。誰かと繋がっていたいその気持ちを表現する方法を彼女は自分なりに体現した。果たしてそれが間違いなのかどうかは、観客一人一人に問うしかない。でもこの問題はそんな単純なものではないし、この映画を一口で片付けることも容易ではないはずだ。 それと1つ、メキシコパートで、ガエルが国境付近で警備隊を振り切り車で逃亡してしまったシーン。あそこの説明できない行動はいただけない。それをする必要がどこにある? 個人的に思うのは、ここに納得できる理由があったら完璧な映画だった。
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[028]ゲゲゲの鬼太郎
 これを作る意味があったのか?sabu2007-04-20
 
まず、水木しげる氏が今まで築き上げてきた鬼太郎の世界観をこんなに崩壊させてまでこの映画を作る必要があったのかが疑問だ。 自分の確固たるポリシーを持っている水木氏もこ・・・
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まず、水木しげる氏が今まで築き上げてきた鬼太郎の世界観をこんなに崩壊させてまでこの映画を作る必要があったのかが疑問だ。 自分の確固たるポリシーを持っている水木氏もこれによくGOサインを出したなとも思う。 結局、物語冒頭からラストシーンまで、その「不自然さ」は拭い切れなかった。それはVFXのチープさ、衣装の粗雑さにも顕著に表れているが何よりもストーリー展開が絶望的につまらない。浮き沈みのあるストーリーでもなければ、主人公の葛藤など心理的な描写も何一つ描けていない。それでいてコメディは安っぽいし、この映画の“売り”がなんなのか最後まで分からなかった。 個人的にはゲゲゲの鬼太郎という漫画にはとても思い入れがあり、水木氏の描く妖怪はとても魅力的で、そのストーリーの随所にはおどろおどろしい雰囲気とコミカルなキャラが融合し合い、今までになかったホラーという分野での礎を築いてきたように思える。 幼いとき、漫画の数ページを読んだだけで、ワクワク感が生まれたのを今でも覚えている。 そんな鬼太郎ファンが見れば、もしかしたら冒涜だ、などと言われてしまうかもしれないし、僕自身もそのような気持ちは少しだけ感じた。 この作品の致命的な部分は、やはり、人間界と妖怪界の融合がうまくいかなかった(スクリーンでそれを表現できなかった)ことだろう。ビジュアル的にもかなり無理がある。はたから見れば、ただのコスプレにしか見えない。 そしてもう1つ、無理のある展開が多々あり、構成が上手くない。 良かった点はほとんどと言っていいほど無いが、ひとつだけ挙げるとすれば大泉洋。彼のねずみ男はかなりハマっていた。
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[029]ブラッド・ダイヤモンド
 社会派エンターテイメントというジャンル。sabu2007-04-10
 
ズウィックにこの手の作品を撮らせると必ず及第点以上の面白さを与えてくれるから良い。『レジェンド・オブ・フォール』の時も感じた。 今作はアフリカのシエラレオネという国・・・
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ズウィックにこの手の作品を撮らせると必ず及第点以上の面白さを与えてくれるから良い。『レジェンド・オブ・フォール』の時も感じた。 今作はアフリカのシエラレオネという国が舞台であり、紛争ダイヤモンドを軸にそれに関わっていく3人の物語を描く。 序盤から紛争国の現状が凄惨な描写と共に映し出されていく。今回の映画で投げかけているテーマは様々であり、中でも強く問題提起をしたのが紛争ダイヤモンド、少年兵たちの存在だ。後者にいたっては、反政府グループに捕らえられ、少年兵として生きるように洗脳されていく様が手抜きなしで描かれていく。 その描写はとても悲しいものがあり、必ず何かを考えさせてくれる。 ズウィックの素晴らしいところは、そんなメッセージ性を事欠かずにエンタメ性をうまく融合してくるところだろう。 物語随所にあるレオと兵士達の銃撃戦。そこのみを切り取ってみれば、レオ主演のアクション超大作のさわり部分のように見えてしまうから凄い。 レオの見事な立ち回りはまさに孤独な戦士を想像させる。 しかしこれ、アフリカの悲しい現状を映し出した社会派サスペンスに位置付けられる秀作なのだ。 ワクワクドキドキし、感動する。そして深く何かを感じ胸にずっしりと来る。この2つを同時に感じることは意外と少ない。それはどちらかを見せるともう一方が弱くなってしまうからだ。 しかしこの作品はどちらも感じさせてくれる。そのへんの塩梅がやはり、ズウィック監督の見事なところだろう。
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[030]ゴーストライダー
 満足なのはニコラス・ケイジだけ。sabu2007-02-23
 
アメコミという括りでの実写映画化ものは『スーパーマン』や『バットマン』を筆頭に今まで散々やり尽くされたもの。 近年でも『スパイダーマン』の世界的大ヒットを皮切りに、・・・
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アメコミという括りでの実写映画化ものは『スーパーマン』や『バットマン』を筆頭に今まで散々やり尽くされたもの。 近年でも『スパイダーマン』の世界的大ヒットを皮切りに、廃れつつあったアメコミ業界に再び灯が灯り、様々な題材のアメコミが実写映画化されて来た。 そんな中飛び出した今作。正直、やり尽くされた手法とシークエンス、設定、物語の内容の薄さとストーリーの単調さは見るに耐えないものがある。 個人的に言わせて貰えばニコラス・ケイジのただの自己満足としか思えない。 昔からアメコミが大好きで、自身もスーパーマンのクラーク・ケント役に志願したほどの彼。しかしその要望も見事に突っぱねられ、与えられたこの役を彼は無我夢中に演じている。しかし、それすら空回りしている所が、なんとも皮肉だ。 内容的には正統派の正義ではなくダークなヒーローという像を作っている。 しかしこれも、あれこれ小難しい設定により、主人公が本当は何をしたいのか?が分からず、感情移入も出来ない。 物語に悪魔や、契約などのオカルト的要素も出てきているのだが、正直、このへんのくだりもうんざりだ。説明不足により破綻するストーリーに、無理矢理とってつけたかっこいいアクションシーンが見事に浮いている。 目を見張る物と言えば、やはりVFXくらいしかない。最先端のVFXを駆使して作られたアクションシーンや登場シーンは見ものと言えるだろう。 しかし、ストーリーが破綻していたらせっかくのVFXも死んでしまう。 全米ではニコラス・ケイジの久しぶりの大ヒット作になったようだが、調子に乗って続編を作らないでくれよと、切に願う作品になった。
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