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めがね」に対してのコメント
  閉じた世界 幸村和 2010-01-13
 
前作「かもめ食堂」と同じ癒し路線を狙ったんでしょうけどねぇ。なんででしょうかねぇ。こちらはただ退屈なだけの作品になってしまっていますね。もたいまさこの使い方もいい加減マンネリだし、役者として彼女もああいう怪しい役ばっかし厭じゃないのかな。なんか人間じゃないみたい。 「かもめ食堂」では料理とそれを求めて訪れる人々を中心に繰り広げられる人とのつながりが温かく描かれ、その繋がりが外の世界へと広がってそれがなんとも心地よかったのですが、今回はそれとは全く似て非なる感じがします。人間関係に広がりがないし、むしろ登場人物たちだけで世界が閉じてしまっている感じ。 更にこれまた前作ではたとえばトンカツをサクサク切る音、キャベツを刻む音、温かそうな湯気のたつ様子、そんなシーンから美味しそうな匂いさえ立ち上るような気配がして作品に温度を感じていたのですが、この作品はこれまたその逆で、なんとも色々な「におい」や温度が全く消えているような気がします。食卓を囲む風景もサッパリしていてテーブルの上に何が載っていたのか記憶に残っていません。 そして私が一番「におい」や温度が消えていると感じたところはサクラさん(もたいまさこ)のかき氷屋さん。かき氷が美味しい季節ならもっとみんなドロドロに汗をかいてかき氷に飛びつきそうですがそんなギラギラした人ゼロ。海で泳いでいる人もゼロ。かき氷食べて「頭いて〜」とか「食べたらさぶなったわー」とか言うような人もゼロ。かき氷ってそれ自体がおいしいというよりそれを食べるシチュエーションが食欲をそそる部分大だと思うのだが、そういうのが欠落したこのかき氷風景で食べたくなるか?かき氷。私はならんなー。 そして、見た目には暑くもなく寒くもなさそうな気候のなか、みんなが誰も泳いでいない海を眺めながら淡々とかき氷を食べてます。なんかちょっと薄気味悪い。そして極めつけはそこから「お金」といった生臭いものを一切排除してしまっています。ここまで浮世離れしていると私には妙に作り物めいた世界に映ってこんな人間の血肉が通った感じのしない世界にまったく魅力を感じませんでした。とにかく退屈、その一言に尽きます。 と思っていたら「あの世説」もでているようですね。なるほどそれも説得力があります。ただ、よしんば「あの世説」が正しかったとしてもこの作品が退屈であることには変わりありません。 洋の東西を問わず地獄絵図は芸術家のイマジネーションが炸裂するテーマらしくとってもおもしろい絵(ヒエロニムス・ボッシュやブリューゲルなど)がいっぱいあるのに比べ、おしなべて天国のイメージはみんな貧困。それは地獄というのが具体的なのに比べ、幸せというのがあまりに抽象的だからかもしれません。そしてそんな天国絵を見た人がみんな幸せな気持ちになれるかというと必ずしもそうではなく、やっぱり絵として退屈だと感じる人が多いのは地獄絵との人気や知名度の差からもわかるとおりです。 もしかしたら荻上直子は浮き世を忘れる桃源郷が描きたかったのかもしれませんが、思わずそんな絵画で描かれる天国世界に抱くのと同じ印象をこの作品から感じました。そして、やっぱり影があるから光が美しいんだなあと当たり前で皮肉なことも。私の印象にすぎませんが。
  
 

 
 



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