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実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」に対してのコメント
  総括=敗北死=ポア 幸村和 2010-04-12
  【ネタバレ注意】
学生運動が盛んだった1960年代と言えば、一方で貧しい地方農家の娘や次男以下は大学どころか高校にも行けず、中学校を卒業して都会に集団就職していた時代でもある。当時の大学進学率を見てもわかるように、それほど貧富の差が激しかった時代に大学まで行くというのは、経済的に余裕のある家庭の子どもだったと私は思っている。全共闘運動だか何だか知らないがそんな富裕層中心の若者たちが、大学に入って現を抜かしていた学生運動に私なんかは苦々しい思いをずっと抱いていた。 なので私はそんな学生運動に端を発した赤軍派が起こした事件に対してもかなり冷ややかでした。しかし、それでいて気になる点はあって、それは高水準の教育を受けたはずの集団が何がどうしたらそういう蛮行愚行に走るのか、ということ。 そしてこの映画はその当事者の連合赤軍の内部の視点で描かれたという。ならば、その行いに走るメカニズムが見てとれるのかと期待しましたが、残念ながらそれが描けているとは思いませんでした。 そもそも前半、かなりの時間を費やして語られる原田芳雄のナレーションは情感ありすぎて聞きづらかった。その後の惨劇を知っているだけに、かえってもっとシンプルな声の人に淡々と読んでほしかった。そのせいかどうかわからないけどここでも連合赤軍誕生のいきさつがいまいち理解できず。 今回初めて知って印象に残ったことといったら、実は事件の主犯格の森恒夫はかつて途中で逃げたチキンな若造だったことくらいか。その後の森恒夫の行状を見ていると、多分この人はやられないようにするためには誰より先に生贄をぶち上げることだとその臆病さからくる嗅覚で察していたんだろううなとはしみじみ思いましたね。 地曳豪がやみくもに残虐なことが好きなクレイジーな若者ではなく、むしろ怯えるあまりに吠える犬のような森恒夫をうまく演じていたと思います。 しかし、映画の内容としては後半もやっぱり自分が求めているものが得られず。彼らの行いをトレースしても内面がわかるというものではないと思うんだけどな。 といってもじゃあこの映画がダメだったのかと言うとそんなことはない。 私自身は今まで本で読んだりしてある程度知ってはいたリンチ殺人の様子。 たとえば口紅をつけてるとかそんなくだらない理由で「覚悟ができてるのか」と難癖をつけられ遠山が総括対象になったことからもわかるように、このリンチ殺人は「国家権力に対する殲滅戦に向けての根性試し」の要素を多分に含んでいたと私は思っています。それが相当に皮肉で「勇気」というものについてとても考えさせられるし、一応同じ理想を掲げて集まったはずの集団が、仲間内でリンチ殺人にまで堕落していくその過程は、映像としてよく描けていたとは思います。 次に吊るしあげられる人は誰だ?という怯え、緊張、それぞれが目を合わさない空気。そして自己を正当化してリンチ殺人を敗北死と言い換える欺瞞。あまりの彼らの愚かさと卑劣さと弱さに言いようのない怒りと恐ろしさを映像を通じてあらめて感じました。 頭でっかちで口ばかり達者な若者が、銃砲店から銃を強奪するという犯罪を犯し、革命らしい具体的行動を何もしないうちからくだらない理由で自分たちの手でその戦力を殺し、減らしてんだから、これを愚かと言わずして何というんでしょうか。私はほかの言葉が思いつきません。 にしても目標を一つにして多くの仲間とそれに向かっていく、という行為は連帯感と恍惚感を得られて特に若者を虜にしそうですが、それが一歩間違うとこうなる、という事実を知っておくべきだとも思います。 それと、これも多くの方がコメントしているように、並木愛枝が演じた永田洋子が素晴らしい。イメージぴったりです。「家政婦は見た!」の市原悦子の目に暗い光を宿し、その目で獲物を定めたら舌なめずりして蛇のように獲物に近づくって感じ。「男にモテて羨ましいからこの女を懲らしめてやろう」というモテない女性の怨念がメラメラと〜〜。いやはや恐ろしかった。現実の永田洋子は死刑を宣告されましたが彼女は死刑執行するより死ぬまで総括→ダメ出しのを繰り返しを刑罰として課した方が堪えそうな気がするけどな。
  
 

 
 



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