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ジュリー&ジュリア」に対してのコメント
  味わえない 幸村和 2010-05-08
  【ネタバレ注意】
玉ねぎもうまく切ることができなかった外交官の奥様ジュリア・チャイルドがそのバイタリティーでメキメキ腕を挙げ、とうとう本まで出版する、という成功譚は既にパンフで説明済みなので、予想通り楽しめる一方、予想を超えるというところまではいきません。メリル・ストリープが底抜けに明るくバイタリティーの塊のようなジュリア・チャイルドを好演していていてさすが、という印象でした。 しかし、この映画の肝は現代のジュリー・パウエル(エイミー・アダムス)部分にあったと私は思っています。自分が描いていた将来像とは違う、華やかさとは無縁の職業に就いてどこか満たされないものを持っているジュリー・パウエルが、そんな毎日をなんとかしたいとジュリア・チャイルドの524もあるレシピを1年の期限で全品作り、それをブログに公開する、という課題を自分に課す、というまるで「いきなり黄金伝説」みたいなそのストーリー。その課題がいかに困難極まるものであったのか、というところがクローズアップされないと、こちらは映画に入り込むことはできません。 じゃないと、結局はジュリア・チャイルドが何もないところから作り上げたものをなぞるだけになってしまって、「大変なことをやり遂げて自信がついた」彼女に対し、一緒に成功体験を味わうことができないからです。 これ、ものすごーく大事なポイントだったと思うのですが、残念ながら観ているこちらも一緒に「やったね!」と思うことはできませんでした。 大量のバターや、牛肉のブロックを2回も買ったり、ロブスターを3匹も買ったり、いくら共稼ぎでも普通そんな高級食材を買ってたら、費用がバカにならないんじゃないか?家計を逼迫しなかったのか?入手困難な食材や調味料もあるでしょ。しかし、その辺の苦難については表現不足を感じました。現実にお金に困らない夫婦だったのかもしらん。ピザ屋の2階に住んでるんだからそんなに資金が潤沢には思えませんがね。 そして、フルタイムで働いてあれだけのことをしたら睡眠時間も削ってフラフラになりそうだけどその辺もそんなに感じなかった。 せいぜい共感できるのはうまく作れなくてヒステリーを起こす、というところと、ブログに対して反応がないことを気にしている、というところか。同調するにはやや弱いです。 決してお金持ちでもなく、人一倍エネルギッシュなわけでもなく、器用でもないごく普通の女性が、限界値を超えたところでふんばって目標を達成した、と思えたら、この映画はジュリア・チャイルドの成功とジュリーのそれを重ね合わせて、観ているこちら側も一緒に成功体験を味わい、元気をもらえたのでしょうけどね。 それともうひとつ気になったのは、彼女は作ることを目標としてしまっているように見えること。その結果、料理を味わい楽しむ、という部分が見えなかった。出来上がった料理をただ「美味しい」と言うだけでは物足りなさが残るし、酷いのになると2回も作った牛肉の煮込み料理を「食べてない」という状態。ブログの反応は気にするけど、それより大事なのは成功も失敗も含めてどう味わったのか、ということだったのでは?と食べ物を捨てることが大嫌いな私は思うわけです。 ジュリア・チャイルドが「私の好きなことは食べること!食欲、モリモリ〜♪」と朗らかに言う女性だったように、彼女のレシピは「食べるため」にあります。「作るため」じゃないんですよね。作ること、ブログにアップすること、ブログの反応、それらを気にしているジュリーを観ていると、それではジュリアが不快感を示すのも無理はない、と私は思ってしまいました。いくらジュリーがジュリアが好きと言っても、ジュリアという人そのものを理解していないのでは? ジュリーの成功体験、そして料理そのもの、残念ながら両方ともに私は味わうことができませんでした。
  
 

 
 



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